JPH09177464A - オールケーシング工法用竪孔掘削装置及び掘削物切断方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 地下構造物の解体撤去を容易に行って、作業
能率を向上し、硬い岩盤等に対して効率的に掘削し、経
済的に有利なオールケーシング工法用竪孔掘削装置及び
掘削物切断方法を提供する。 【解決手段】 掘削物１１９に遭遇した場合、ハンマグ
ラブの代わりに竪孔掘削機１をワイヤ２６により吊り下
げ、ケーシングチューブ１１１内へ挿入して、連結手段
によりケーシングチューブ１１１内に固定し、次いでボ
ーリングマシンによりケーシングチューブを押込みなが
ら回転させて、掘削物を円柱状に掘削する。そして一定
の深さに達したら、ケーシングチューブ１１１の押込み
を止め、回転のみを与え、同時に切断手段用駆動手段に
より切断手段２０、２１をケーシングチューブの中心に
向かい動かして、掘削物の下部を切断し、次いで連結手
段を解除して、ケーシングチューブから竪孔掘削機を切
り離し、ワイヤにより竪孔掘削機１を地上に持ち上げ
て、ケーシングチューブ内の円柱状の掘削物を排出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、基礎杭を造る場所
打杭施工等に適用するオールケーシング工法用竪孔掘削
装置及び掘削物切断方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図７〜図９は、オールケーシング式ボー
リングマシン（オールケーシング工法用竪孔掘削装置）
の従来例を示している。図７の１０１がボーリングマシ
ン、１０２が走行装置で、同走行装置１０２の上部に本
体１０３が取付けられている。この本体１０３には、シ
リンダ１０４により起伏するブーム１０６とウインチ１
０７とが設けられている。

【０００３】ブーム１０６の先端部には、滑車１０５が
取付けられ、ウインチ１０７から延びたワイヤ２６が滑
車１０５を経て下方に垂下して、そこにグラブバケット
１０９が懸垂状態に取付けられている。１０８がグラブ
バケット１０９の先端部に開閉可能に取付けられたグラ
ブ、１１１がケーシングチューブ、１１２が本体１０３
の前部に取付けられたケーシングチューブ１１１の押込
み装置、１１８が地盤である。

【０００４】ケーシングチューブ１１１は、図８に示す
ように、下端部円周上に掘削ビット１１３を設けたファ
ーストチューブ１１４と、ファーストチューブ１１４の
上端部に設けた雄ジョイント１１５と上部ケーシング１
１７の下端部に設けた雌ジョイント１１６とによりファ
ーストチューブ１１４に連結される上部ケーシング１１
７とにより構成されている。

【０００５】このケーシングチューブ１１１を図７のボ
ーリングマシン１０１により、図９の矢印方向に回転さ
せながら押込力を加えて、地中に押込む一方、グラブバ
ケット１０９の昇降とグラブ１０８の開閉とを行って、
ケーシングチューブ１１内の土砂を掘削、排土する。こ
の掘削、排土により、規定の深さに達したら、ケーシン
グチューブ１１１内に鉄筋カゴを入れ、生コンクリート
を注入しながら、今度は、ケーシングチューブ１１１に
引抜力を加え、ケーシングチューブ１１１を徐々に引き
抜いて、基礎杭を構築する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記図７〜図９に示す
従来のオールケーシング式ボーリングマシンでは、鉄筋
コンクリート等の地下構造物がある場合、ケーシングチ
ューブ１１１に設けた掘削ビット１１３により掘削でき
るが、ケーシングチューブ１１１内に残った掘削物を撤
去することが困難で、作業不能になる場合があり、基礎
杭施工の上で重大な障害になっている。

【０００７】本発明は前記の問題点に鑑み提案するもの
であり、その目的とする処は、地下構造物の解体撤去
を容易に行うことができて、作業能率を向上でき、硬
い岩盤等に対して効率的に掘削でき、従来のボーリン
グマシンの改造が不要で、経済的に有利なオールケーシ
ング工法用竪孔掘削装置及び掘削物切断方法を提供しよ
うとする点にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、ケーシングチューブと、ケーシングチ
ューブを掘削部に押込む押込み手段とを有するオールケ
ーシング工法用竪孔掘削装置において、前記ケーシング
チューブの内側に設置される内側チューブと、前記ケー
シングチューブとともに同内側チューブを地中に押込む
ように同各チューブを連結する連結手段と、同内側チュ
ーブの下部に設置して内側チューブを地中に押込むとき
に内側チューブ内の掘削物の下部を切断する切断手段
と、同内側チューブの押込み時には内側チューブを押込
み易くするために前記切断手段を内側チューブの内壁に
沿った開状態にし切断時には前記切断手段を内側チュー
ブの中心に向かって押出すことにより掘削物を切断する
切断手段用駆動手段とよりなる竪孔掘削機を具えている
（請求項１）。

【０００９】前記ケーシングチューブを回転させながら
前記竪孔掘削機の内側チューブを押込むときに、ケーシ
ングチューブとともに前記切断手段を回転させながら掘
削物を切断するようにしてもよい（請求項２）。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明のオールケーシング工
法用竪孔掘削装置の竪孔掘削機を図１〜図６に示す一実
施形態により説明する。図１はオールケーシング工法用
竪孔掘削装置の竪孔掘削機の一実施形態を示す縦断側面
図、図２は図１の矢視Ａ−Ａ線に沿う横断平面図、図３
は図１の矢視Ｂ−Ｂ線に沿う横断平面図、図４は図１の
矢視Ｃ−Ｃ線に沿う横断平面図、図５は同竪孔掘削機の
油圧回路図、図６（ａ）〜（ｄ）は同竪孔掘削機の作用
説明図である。

【００１１】図１〜図４の１が竪孔掘削機、２５がワイ
ヤ２６により竪孔掘削機１を吊り上げるための吊りフッ
ク、２が吊りフック２５の下部に設けたロータリジョイ
ント、３ａ、３ｂが地上設備から油圧を供給するための
油圧ホース、４がロータリジョイント２の下部に結合し
たボディで、同ボディ４には、以下の連結手段５〜８が
取付けられている。

【００１２】５がシリンダ、８がグリッパ、６ａ、６ｂ
がリンク、７がボディ４に取付けたブラケットで、リン
ク６ａ、６ｂとグリッパ８とブラケット７とにより平行
リンクが構成されており、シリンダ５を伸長方向に作動
すると、グリッパ８がケーシングチューブ１１１に押付
けられ、シリンダ５を縮み方向に作動すると、グリッパ
８がケーシングチューブ１１１の中心側に引き寄せられ
る。

【００１３】９が円筒形ケーシング（内側チューブ）、
１０がケーシング９の上部に設けてボディ４に結合した
上部サポート、１１がケーシング９の内部に設けた下部
サポートで、上部サポート１０と下部サポート１１との
間には、以下の切断手段用駆動手段１２〜１９が設けら
れている。１２が上部サポート１０と下部サポート１１
とのボスにより支持したピン、１３がピン１２に回動可
能に取付けたボス、１４ａ、１４ｂがボス１３に固定し
たアーム、１５ａ、１５ｂがアーム１４ａ、１４ｂにピ
ンにより支持したシリンダで、シリンダ１５ａ、１５ｂ
の他端部は、ケーシング９に取付けたブラケット２３に
ピン結合されている。

【００１４】１６がボス１３に固定したカムプレート、
１８が下部サポート１１及びケーシング９に取付けたブ
ラケット１９により回動可能に支持した軸、１７が軸１
８の上端にブラケット２２を介して固定したアーム、２
４がアーム１７にピン結合したスライドベアリングで、
カムプレート１６には、スライド用溝１６ａが設けら
れ、スライド用溝１６ａには、スライドベアリング２４
が嵌挿されており、シリンダ１５ａ、１５ｂによりカム
プレート１６を回転し、この回転をスライドベアリング
２４を介してアーム１７に伝える。

【００１５】２０が軸１８の下部に取付けた切断アーム
（切断手段）、２０ａが切断アーム２０に設けた切削ビ
ット（切断手段）で、カムプレート１６の回転をアーム
１７により軸１８に伝えて、切断アーム２０を駆動す
る。図５の油圧回路において、２７が油圧源、２８が切
換弁、３２がタンクで、これらが地上設備であり、油圧
源２７からの圧油が切換弁２８→油圧ホース３ａ、３ｂ
→ロータリジョイント２へ供給される。

【００１６】２９が低圧選択弁、３０が高圧選択弁、３
１が切換弁、５がグリッパ８を駆動するシリンダ、１５
ａ、１５ｂがカムプレート１６を駆動するシリンダであ
り、これらが竪孔掘削機１に設けられている。次に前記
図１〜図５に示すオールケーシング工法用竪孔掘削装置
の竪孔掘削機の作用を図６により説明する。 （１）〔竪孔掘削機のケーシングチューブへの挿入〕 図６（ａ）は、竪孔掘削機１をケーシングチューブ１１
１に挿入した状態を示している。この状態では、図５に
示す油圧回路の切換弁２８を切換位置ａに切り換えて、
シリンダ１５ａ、１５ｂを縮み方向に作動する。それに
伴い、カムプレート１６が回転し、図２に示すようにス
ライドベアリング２４を介してアーム１７が回転し、切
断アーム２０がケーシング９側に動かされて、図３に示
すようにシリンダ１５ａ、１５ｂの最縮位置では、切断
アーム２０がケーシング９に沿って停止する。

【００１７】また切換弁３１をワイヤ２６の張力により
切り換える。即ち、ワイヤ２６に張力が生じた状態で
は、切換弁３１を切換位置ａに保持し、ワイヤ２６に緩
んで張力がなくなった状態では、切換弁３１を切換位置
ｂの位置に切り換えるが、図６（ａ）の状態では、切換
弁３１を切換位置ａの位置に保持しており、シリンダ５
のヘッド室５ｈを切換弁３１の切換位置ａ→低圧選択弁
２９に連通し、シリンダ５のロッド室５ｒを切換弁３１
の切換位置ａ→高圧選択弁３０に連通し、油圧源２７か
らの圧油を高圧選択弁３０→シリンダ５のロッド室５ｒ
へ供給する一方、ヘッド室５ｈの油を切換弁３１の切換
位置ａ→低圧選択弁２９を介して地上設備のタンク３２
へ戻して、シリンダ５を縮み方向に作動して、グリッパ
８をケーシングチューブ１１１の中心側に引き寄せる。 （２）〔竪掘削〕 図６（ｂ）は、竪孔掘削状態を示している。この状態で
は、挿入時と同様に図５の油圧回路の切換弁２８を切換
位置ａに切り換えておき、また切断アーム２０を図３に
示すようにケーシング９に接する状態に保持しておく。
一方、竪孔掘削機１の先端は地盤に着くので、ワイヤ２
６が緩み、切換弁３１が切換位置ｂに切り換えられ、シ
リンダ５のヘッド室５ｈが高圧選択弁３０に連通し、シ
リンダ５のロッド室５ｒが低圧選択弁２９に連通し、シ
リンダ５が伸長方向に作動して、図１に示すようにグリ
ッパ８がケーシングチューブ１１１に押し付けられる。

【００１８】この状態で、押込み装置１１２により、ケ
ーシングチューブ１１１に押込力Ｆと回転力Ｔとを与え
て、押し込みながら回転させると、竪孔掘削機１は、ケ
ーシングチューブ１１１と一体になって駆動されて、掘
削ビット２１、１１３により、鉄筋コンクリート等の地
下構造物１１９が円柱状に掘削される。 （３）〔切断〕 図６（ｃ）は切断状態を示している。上記の〔竪掘削〕
で一定の深さを掘削すると、ケーシングチューブ１１１
に押込力Ｆを与えず、回転力Ｔのみを与えて、図３の矢
印Ｚ方向に回転させる。また図５の油圧回路において、
地上設備の切換弁２８を切換位置ｂに切り換える。そう
すると、油圧源２７からの圧油がシリンダ１５ａ、１５
ｂのヘッド室５ｈへ供給され、シリンダ１５ａ、１５ｂ
が伸長方向に作動して、カムプレート１６が矢印Ｘ方向
に駆動し、アーム１７にピン結合したスライドベアリン
グ１４がカムプレート１６の溝１６ａに沿って動くの
で、アーム１７が矢印Ｙ方向に回転して、軸１８に回転
力が伝えられ、切断アーム２０が図３の二点鎖線に示す
ように中心方向に駆動されて、切断アーム２０に取付け
た切削ビット２０ａにより、円柱状に掘削された鉄筋コ
ンクリート等の地下構造物１１９の底部が切断される。 （４）〔撤去〕 図６（ｄ）は撤去状態を示している。上記（３）項の切
断が完了すると、ワイヤ２６を吊り上げる。そうする
と、切断弁３１が切換位置ａに切り換えられ、シリンダ
５のロッド室５ｒが高圧選択弁３０に連通し、シリンダ
５のヘッド室５ｈが低圧選択弁２９に連通し、シリンダ
５が縮み方向に作動して、図１に示すグリッパ８がケー
シングチューブ１１１から離れ、竪孔掘削機１がケーシ
ングチューブ１１１から離れて、地上に持ち上げられ
る。

【００１９】そして地上に持ち上げられた後、図５に示
す切換弁２８を切換位置ａに切り換え、シリンダ１５
ａ、１５ｂを縮み方向に作動して、切断アーム２０をケ
ーシング９側に駆動して、ケーシング９内部の掘削物を
排出する。上記掘削作業工程で、鉄筋の少ない地下構造
物や岩盤では、以下に述べる掘削方法を実施すれば、さ
らに効率的に解体撤去作業が行われる。

【００２０】図６（ｃ）の切断を部分的に行い、その
後、切断アーム２０を引き込み、ワイヤ２６により竪孔
掘削機１を吊り上げた後、ワイヤ２６を弛め、ケーシン
グチューブ１１１に固定する。この状態で、再度掘削し
た円筒形の上部を切断アーム２０で掴み、ケーシングチ
ューブ１１１を回転させると、掘削した円筒部は、図６
に示す切断溝部１１９ｃで捩じりせん断破壊を起こす。
この方法では、切断アーム２０で完全に切断しないの
で、さらに効率的に解体撤去作業が行われる。

【００２１】

【発明の効果】本発明のオールケーシング工法用竪孔掘
削装置の竪孔掘削機は前記のように掘削部（鉄筋コンク
リート等の地下構造物）に遭遇した場合、ハンマグラブ
の代わりに竪孔掘削機をワイヤにより吊り下げ、ケーシ
ングチューブ内へ挿入して、連結手段によりケーシング
チューブ内に固定し、次いでボーリングマシンによりケ
ーシングチューブを押込みながら回転させて、掘削部
（地下構造物）を円柱状に掘削する。そして一定の深さ
に達したら、ケーシングチューブの押込みを止め、回転
のみを与え、同時に切断手段用駆動手段により切断手段
をケーシングチューブの中心に向かい動かして、円柱状
に掘削した掘削部（地下構造物）の下部を切断し、次い
で連結手段を解除して、ケーシングチューブから竪孔掘
削機を切り離し、ワイヤにより竪孔掘削機を地上に持ち
上げて、ケーシングチューブ内の円柱状の掘削部（地下
構造物）を排出するので、従来工法で困難であった地下
構造物の解体撤去を容易に行うことができて、作業能率
を向上できる。

【００２２】またケーシングチューブ内の全断面を掘削
しないので、硬い岩盤等に対して効率的に掘削できる。
また従来のボーリングマシンの改造が不要で、経済的に
有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のオールケーシング工法用竪孔掘削装置
の竪孔掘削機の一実施形態を示す縦断側面図である。

【図２】図１の矢視Ａ−Ａ線に沿う横断平面図である。

【図３】図１の矢視Ｂ−Ｂ線に沿う横断平面図である。

【図４】図１の矢視Ｃ−Ｃ線に沿う横断平面図である。

【図５】同竪孔掘削機の油圧回路図である。

【図６】（ａ）〜（ｄ）は同竪孔掘削機の作用説明図で
ある。

【図７】従来のオールケーシング式ボーリングマシンを
示す側面図である。

【図８】同ボーリングマシンのケーシングチューブを示
す縦断側面図である。

【図９】同ボーリングマシンのグラブバケットを示す縦
断側面図である。

【符号の説明】

１ 竪孔掘削機 ２ ロータリジョイント ３ａ、３ｂ ホース ４ ボディ ５〜８ 連結手段 ５ シリンダ ６ａ リンク ６ｂ リンク ７ ブラケット ８ グリッパ ９ 内側チューブ（ケーシング） １０ 上部サポート １１ 下部サポート １２〜１９ 切断手段用駆動手段 １２ ピン １３ ボス １４ａ アーム １４ｂ アーム １５ａ シリンダ １５ｂ シリンダ １６ カムプレート １７ アーム １８ 軸 １９ ブラケット ２０、２１ 切断手段 ２０ 切断アーム ２１ 掘削ビット ２５ 吊りフック ２６ ワイヤ １１１ ケーシングチューブ １１２ 押込み手段（押込み装置） １１３ 掘削ビット １１９ 掘削物（地下構造物）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 清美 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目１番１ 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 奥本 和信 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目１番１ 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングチューブと、ケーシングチュ
   ーブを掘削部に押込む押込み手段とを有するオールケー
   シング工法用竪孔掘削装置において、前記ケーシングチ
   ューブの内側に設置される内側チューブと、前記ケーシ
   ングチューブとともに同内側チューブを地中に押込むよ
   うに同各チューブを連結する連結手段と、同内側チュー
   ブの下部に設置して内側チューブを地中に押込むときに
   内側チューブ内の掘削物の下部を切断する切断手段と、
   同内側チューブの押込み時には内側チューブを押込み易
   くするために前記切断手段を内側チューブの内壁に沿っ
   た開状態にし切断時には前記切断手段を内側チューブの
   中心に向かって押出すことにより掘削物を切断する切断
   手段用駆動手段とよりなる竪孔掘削機を具えていること
   を特徴としたオールケーシング工法用竪孔掘削装置。
2. 【請求項２】 前記ケーシングチューブを回転させなが
   ら前記竪孔掘削機の内側チューブを押込むときに、ケー
   シングチューブとともに前記切断手段を回転させながら
   掘削物を切断することを特徴とした請求項１記載のオー
   ルケーシング工法用竪孔掘削装置の掘削物切断方法。