JPH09176644A - 含水土壌の固化剤および固化方法 - Google Patents

含水土壌の固化剤および固化方法

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JPH09176644A
JPH09176644A JP7341143A JP34114395A JPH09176644A JP H09176644 A JPH09176644 A JP H09176644A JP 7341143 A JP7341143 A JP 7341143A JP 34114395 A JP34114395 A JP 34114395A JP H09176644 A JPH09176644 A JP H09176644A
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cement
salt
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啓史 坪井
Naoyuki Shirane
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含水土壌を、充分な強度を有する細粒状に容
易に固化し、例えば砂の代替品等の資源としての再利用
を図る際に好適な固化剤、および、固化方法を提供す
る。 【解決手段】 所定の性状等を備えたポリアクリル酸お
よび/またはその塩と、セメントとからなる固化剤を用
いて含水土壌を固化する。固化剤は、ポリアクリル酸
(塩)の水溶液と、セメントとからなる。また、固化剤
は、粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内であるポリアクリル
酸(塩)の粒子と、セメントとからなる。さらに、固化
剤は、ポリアクリル酸および/または中和率が70%以下
のポリアクリル酸塩と、セメントとからなる。そして、
含水土壌に上記のポリアクリル酸(塩)を混合し、混合
物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加する。
これにより、含水土壌が、所定の粒子径を有する粒子状
に細粒化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含水土壌の固化剤
および固化方法に関するものであり、さらに詳しくは、
含水土壌を固化し、例えば砂の代替品等の資源としての
再利用を図る際に好適な固化剤および固化方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば、泥水シールド工法等を
採用した掘削工事においては、掘削孔に掘削泥水を供給
することにより、掘削時に発生する発生土を該掘削泥水
と共に外部に排出している。上記の発生土は、土砂が分
離されて再利用されると共に、残りが泥水として廃棄さ
れる。従って、泥水は、粘土と共に水を多量に含んだス
ラリー状となっている。そして、上記の泥水を、産業廃
棄物として処理する際には、運搬等が行えるように、該
泥水を脱水プレスする等して固液分離を行った後、脱水
ケーキ等として得られる汚泥、即ち、含水土壌に吸水性
樹脂やセメント、消石灰、生石灰等を混合して固化する
ことが行われている。このような処理方法として、例え
ば、特開平2-194891号公報には、含水土壌に、アニオン
性アクリル系凝集剤の分散液と、セメント等とを添加・
混練する方法が開示されている。また、特開昭64-51198
号公報には、含水土壌に、凝集性を有する水溶性の合成
高分子物質等と、セメントとを混合する方法が開示され
ている。
【0003】そして、固化された含水土壌は、例えば埋
め立て処分場等の所定の廃棄場所に廃棄されている。或
いは、掘削孔の埋め戻しが必要な土木工事においては、
含水土壌に吸水性樹脂やセメント等を混合した後、固化
する前に該含水土壌を掘削孔に注入することが行われて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、含水土
壌は産業廃棄物として処理しなければならないので、多
大な処分費用がかかる。また、含水土壌を廃棄する廃棄
場所は、年々減少している。従って、上記従来の固化方
法で含水土壌を処理すると、廃棄場所の確保が困難とな
るという問題点も有している。このため、含水土壌の再
利用を図ることができる固化方法が切望されている。
尚、特開昭64-51198号公報には、含水土壌の再利用を図
るのに好適な固化方法および用途については、開示され
ていない。
【0005】また、特開平4-345685号公報並びに特開平
6-17054号公報には、含水土壌に、アクリルアミドとア
クリル酸ナトリウムとの共重合体等の、カルボキシル基
を含有する水溶性の重合体の粉末と、石灰とを添加する
ことにより、土質を改良し、該含水土壌の再利用を図る
方法が開示されている。しかしながら、石灰を使用する
と、水和反応によって急激な発熱が引き起こされる。従
って、含水土壌を処理する際の作業性が低下すると共
に、固化された含水土壌の強度が低くなる。
【0006】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、含水土壌を、充分な強度を
有する細粒状に容易に固化し、例えば砂の代替品等の資
源としての再利用を図る際に好適な固化剤、および、固
化方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
目的を達成すべく、含水土壌の固化剤および固化方法に
ついて鋭意検討した。その結果、所定の性状等を備えた
ポリアクリル酸および/またはその塩と、セメントとか
らなる固化剤を用いて含水土壌を固化することにより、
固化後の含水土壌が、充分な強度並びに所定の粒子径を
有する粒子状に細粒化され、例えば砂の代替品等として
有効に活用できることを見い出し、本発明を完成させる
に至った。
【0008】即ち、請求項1記載の発明の含水土壌の固
化剤は、上記の課題を解決するために、ポリアクリル酸
および/またはその塩の水溶液と、セメントとからなる
ことを特徴としている。請求項2記載の発明の含水土壌
の固化剤は、上記の課題を解決するために、粒子径が0.
01mm〜2mmの範囲内であるポリアクリル酸および/また
はその塩の粒子と、セメントとからなることを特徴とし
ている。請求項3記載の発明の含水土壌の固化剤は、上
記の課題を解決するために、ポリアクリル酸および/ま
たは中和率が70%以下のポリアクリル酸塩と、セメント
とからなることを特徴としている。
【0009】上記の構成によれば、固化後の含水土壌
(以下、固化物と称する)が、充分な強度並びに所定の
粒子径を有する粒子状に細粒化(以下、単に細粒化と称
する)される。これにより、上記の固化物を、例えば砂
の代替品等として有効に活用することができる。即ち、
固化物を、資源として再利用することができる。また、
固化物を再利用することができるので、環境保全、省資
源、および廃棄場所の延命を図ることができると共に、
含水土壌の処分費用を低減することができる。
【0010】また、請求項4記載の発明の含水土壌の固
化方法は、上記の課題を解決するために、含水土壌にポ
リアクリル酸および/またはその塩の水溶液を混合し、
混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加す
ることを特徴としている。請求項5記載の発明の含水土
壌の固化方法は、上記の課題を解決するために、含水土
壌に粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内であるポリアクリル
酸および/またはその塩の粒子を混合し、混合物を粒状
化した後、該粒状化物にセメントを添加することを特徴
としている。請求項6記載の発明の含水土壌の固化方法
は、上記の課題を解決するために、含水土壌にポリアク
リル酸および/または中和率が70%以下のポリアクリル
酸塩を混合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセ
メントを添加することを特徴としている。
【0011】上記の方法によれば、固化物を細粒化する
ことができる。これにより、上記の固化物を、例えば砂
の代替品等として有効に活用することができる。即ち、
固化物を、資源として再利用することができる。また、
固化物を再利用することができるので、環境保全、省資
源、および廃棄場所の延命を図ることができると共に、
含水土壌の処分費用を低減することができる。
【0012】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかる固化剤および固化方法によって固化するのに好適
な含水土壌としては、主に粘土やシルトで構成され、例
えば、地中連続壁工法、泥水シールド工法等を採用した
掘削工事での掘削時に発生する発生土を土砂と泥水とに
分離し、該泥水を脱水プレスする等して固液分離を行っ
た後、脱水ケーキ等として得られる汚泥;建設作業に伴
って発生する泥水を沈殿槽に静置し、沈殿として得られ
る汚泥(建設汚泥);掘削残土、軟弱残土等が挙げられ
る。そして、上記の含水土壌は、JIS A 1203
(含水比試験方法)に基づいて測定され、「(水(g) /
固形分(g) )×100 」で表される含水比が20%〜 150%
の範囲内のものが好ましい。含水比が 150%を超える含
水土壌は、水の含有量(以下、水分量と称する)が多い
ので、固化剤を多量に用いなければならず、固化剤のコ
ストが高くなり、好ましくない。尚、水分量が多い含水
土壌は、再度、固液分離を行い、水分量を低減すればよ
い。また、含水土壌の出所は、上記例示にのみ限定され
るものではない。さらに、含水土壌は、粘土やシルトの
他に、ベントナイト等を含有していてもよい。
【0013】本発明において、ポリアクリル酸とは、ア
クリル酸を主成分とする共重合体も含むものとする。そ
して、ポリアクリル酸が共重合体である場合における共
重合成分は、特に限定されるものではない。ポリアクリ
ル酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩
等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;アミン塩等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。
【0014】ポリアクリル酸の中和率は、特に限定され
るものではないが、70%以下が好ましく、40%以下がよ
り好ましく、20%以下がさらに好ましい。ポリアクリル
酸の中和率が70%を超える場合には、固化物を細粒化す
ることができなくなるおそれがある。そして、ポリアク
リル酸および/または中和率が70%以下のポリアクリル
酸塩のうち、完全酸型であるポリアクリル酸が最も好ま
しい。
【0015】ポリアクリル酸および/またはその塩(以
下、ポリアクリル酸(塩)と記す)の重量平均分子量(M
w)は、50,000〜 5,000,000の範囲内が好ましく、 200,0
00〜1,500,000の範囲内がより好ましい。そして、重量
平均分子量(Mw)が 500,000〜1,200,000 で、かつ、中和
率が40%以下のポリアクリル酸(塩)が最も好ましい。
ポリアクリル酸(塩)の重量平均分子量(Mw)が50,000未
満である場合には、固化物を細粒化することができなく
なるので好ましくない。また、ポリアクリル酸(塩)の
重量平均分子量(Mw)が 5,000,000を超える場合には、粒
子のポリアクリル酸(塩)を含水土壌に混合すると増粘
効果が生じて両者を均一に混合することができなくなる
ので好ましくなく、また、水溶液の状態のポリアクリル
酸(塩)を含水土壌に混合すると該水溶液の粘度が高く
なり過ぎ、両者を均一に混合することができなくなるの
で好ましくない。
【0016】ポリアクリル酸(塩)を水溶液の状態で用
いる場合における該水溶液の粘度は、5cP(センチポア
ズ)〜 5,000cPの範囲内が好ましく、10cP〜 1,000cPの
範囲内がより好ましい。水溶液の粘度が5cP未満である
場合には、固化物を細粒化することができなくなるので
好ましくない。また、水溶液の粘度が 5,000cPを超える
場合には、含水土壌に水溶液を均一に混合することがで
きなくなると共に、固化物を細粒化することができなく
なるので好ましくない。尚、用いるポリアクリル酸
(塩)の重量平均分子量(Mw)にもよるが、水溶液の粘度
を上記の範囲内に設定するには、該水溶液の濃度を 0.5
重量%〜50重量%の範囲内、好ましくは 1.0重量%〜15
重量%の範囲内に設定すればよい。
【0017】ポリアクリル酸(塩)を粒子として用いる
場合における該粒子の粒子径は、0.01mm〜2mmの範囲内
が好ましく、0.02mm〜1mmの範囲内がより好ましく、0.
05mm〜 0.5mmの範囲内がさらに好ましい。粒子径が2mm
を超える場合には、固化物を細粒化するためには使用量
を多くしなければならないのでコストが高くなり、好ま
しくない。さらに、粒子径が0.01mm未満である場合に
は、ポリアクリル酸(塩)を取り扱う際に粉塵が発生し
易くなると共に、該ポリアクリル酸(塩)が吸湿し易く
なる。従って、作業性が低下すると共に、含水土壌に添
加した際に継粉を生じて、細粒化するためには使用量を
多くしなければならないのでコストが高くなり、好まし
くない。
【0018】含水土壌 100重量部に対する上記ポリアク
リル酸(塩)の使用量は、0.05重量部〜10重量部の範囲
内が好ましく、 0.1重量部〜5重量部の範囲内がより好
ましい。ポリアクリル酸(塩)の使用量が0.05重量部未
満である場合には、固化物を細粒化することができなく
なるので好ましくない。また、ポリアクリル酸(塩)の
使用量を10重量部より多くしても、上記の範囲内で使用
した場合と殆ど効果が変わらない。従って、過剰に使用
したポリアクリル酸(塩)が無駄となるので好ましくな
い。尚、ポリアクリル酸(塩)を水溶液の状態で用いる
場合における上記の使用量とは、水溶液中の該ポリアク
リル酸(塩)の量(純分)を示す。ポリアクリル酸
(塩)は、水溶液の状態で用いるほうが、使用量を少な
くすることができ、しかも、細粒化によって得られる粒
子径が小さくなるので、特に好ましい。
【0019】本発明にかかるセメントとしては、公知の
各種セメントを採用することができる。該セメントとし
ては、具体的には、例えば、普通ポルトランドセメン
ト、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセ
メント等のポルトランドセメント;高炉セメント;アル
ミナセメント;カルシウムセメント;或いは、フライア
ッシュセメント等が挙げられるが、特に限定されるもの
ではない。これらセメントは、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0020】含水土壌 100重量部に対する上記セメント
の使用量は、1重量部〜35重量部の範囲内が好ましく、
2重量部〜25重量部の範囲内がより好ましい。セメント
の使用量が1重量部未満である場合には、固化物の強度
(後述する)が不充分となるので好ましくない。また、
セメントの使用量を35重量部より多くしても、上記の範
囲内で使用した場合と殆ど効果が変わらない。従って、
過剰に使用したセメントが無駄となるので好ましくな
い。
【0021】以上のように、本発明にかかる固化剤は、
所定の性状等を備えたポリアクリル酸(塩)と、セメン
トとからなっている。次に、上記構成の固化剤を用いて
含水土壌を固化させる固化方法について以下に説明す
る。
【0022】先ず、該含水土壌に上記のポリアクリル酸
(塩)を粒子若しくは水溶液の状態で混合する。含水土
壌とポリアクリル酸(塩)とを混合する際に用いられる
混合機としては、両者の混合物を混練することなく攪拌
・混合することができる装置が好ましく、例えば、いわ
ゆる遊星運動式または二軸式で、かつ、両者の混合物に
対して剪断力を付与しながら攪拌することができるよう
に、攪拌翼の形状が棒状や釣針状等に形成されている装
置が好適である。つまり、攪拌翼は、攪拌・混合によっ
て移動する混合物の移動方向に対して、できるだけ直角
方向に拡がった形状が、混練による粒子径の粗大化を抑
制することができると共に、攪拌翼や装置内壁への混合
物の付着を防止することができるので、望ましい。
【0023】このような装置としては、例えば、遊星型
強制ミキサ(プラネタリミキサ)等が挙げられる。上記
の混合機を用いて含水土壌とポリアクリル酸(塩)とを
混合すると共に、攪拌翼によって生じる剪断力を用いる
ことにより、混合物を粒子径が 0.1mm〜50mmの範囲内、
好ましくは 0.3mm〜10mmの範囲内である粒子状に細粒化
(粒状化)することができる。尚、含水土壌とポリアク
リル酸(塩)との混合方法は、特に限定されるものでは
ない。
【0024】次に、得られた粒状化物にセメントを添加
して混合する。両者を混合する際に用いられる混合機
は、特に限定されるものではないが、両者の混合物を混
練することなく攪拌・混合することができる装置が好適
である。また、このような混合機を用いて混合する際に
は、上記含水土壌とポリアクリル酸(塩)とを混合する
際の混合方法ほどに剪断力が掛からないようにすると共
に、攪拌翼の回転数を比較的少なくして、粒状化物の表
面にセメントを付着させる(まぶす)ように攪拌するこ
とが好ましい。これにより、粒状化物の表面にセメント
がほぼ均一に付着した細粒化物が得られる。尚、セメン
トは、その一部が粒状化物の内部に入り込んでいてもよ
い。また、粒状化物とセメントとの混合方法は、特に限
定されるものではない。
【0025】次いで、得られた細粒化物を、常温で、3
日間〜7日間程度、放置する。これにより、セメントが
養生され、該細粒化物、即ち、固化物は所定の強度を備
える。該固化物の強度は、JIS A 1211(CB
R試験方法)に基づいて測定される90%修正C.B.R.(C
alifornia Bearing Ratio)値が5%〜95%である。該強
度は、含水土壌の粘度や含水比、或いは、ポリアクリル
酸(塩)やセメントの添加量等により、任意に調節する
ことができる。尚、90%修正C.B.R.値は、数値が大き
いほど、強度が高いことを示す。
【0026】以上のようにして得られる固化物は、所定
の粒子径および強度を備えているので、粉砕やふるい分
け等の操作を行わなくても、例えば砂の代替品等の資源
としての再利用を図ることができる。つまり、掘削孔の
埋め戻しが必要な土木工事においては、砂等を別途に用
意しなくとも、該固化物を用いて埋め戻しを行うことが
できる。また、上記の固化物は、埋設管や構造物等を埋
め戻す際の埋め戻し材、人工砂等としての遮断層材、の
り面に吹き付けて該のり面を加工する植生基材、土壌改
良材、路盤材料、保水材、透水材、水質改善材等に用い
ることができる。さらに、固化物を再利用することがで
きるので、環境保全、省資源、および廃棄場所の延命を
図ることができると共に、含水土壌の処分費用を低減す
ることができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。
【0028】〔実施例1〕泥水シールド工法を採用した
掘削工事によって発生した泥水を脱水プレスすることに
より、含水土壌を得た。含水土壌の含水比は、84%であ
った。そして、混合機として、釣針状のフック型攪拌翼
を備えたプラネタリ式混合機(株式会社土木試験機製作
所製・M−20型)を用いた。
【0029】該混合機に上記の含水土壌5kgを仕込み、
該含水土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量
(Mw)が 800,000、中和率が0%、粒子径が0.05mm〜0.25
mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸25gを含水土
壌に少しずつ添加・混合して細粒化した。含水土壌に対
するポリアクリル酸の割合、即ち、使用量は、 0.5重量
%である。
【0030】次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌
しながら、セメントとしてのポルトランドセメント 750
gを粒状化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対
するポルトランドセメントの割合は、15重量%である。
【0031】以上の操作により、粒状化物の表面にポル
トランドセメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得
た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜10mmの範囲
内であり、平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒
化物を、常温で7日間、放置した。これにより、固化物
を得た。該固化物の90%修正C.B.R.値は、18%であっ
た。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1
に示す。
【0032】〔実施例2〕実施例1の混合機と同一の混
合機に、含水比が84%の含水土壌5kgを仕込み、該含水
土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が
800,000、中和率が0%であるポリアクリル酸の5重量
%水溶液 500gを含水土壌に少しずつ添加・混合して細
粒化した。上記水溶液の粘度は、40cPであった。また、
含水土壌に対するポリアクリル酸の割合、即ち、使用量
は、 0.5重量%である。
【0033】次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌
しながら、セメントとしてのポルトランドセメント 750
gを粒状化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対
するポルトランドセメントの割合は、15重量%である。
【0034】以上の操作により、粒状化物の表面にポル
トランドセメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得
た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜5mmの範囲
内であり、平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒
化物を、常温で7日間、放置した。これにより、固化物
を得た。該固化物の90%修正C.B.R.値は、16%であっ
た。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1
に示す。
【0035】〔実施例3〕実施例1の混合機と同一の混
合機に、含水比が78%の含水土壌5kgを仕込み、該含水
土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が
800,000、中和率が0%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範
囲内である粒子状のポリアクリル酸 125gを含水土壌に
少しずつ添加・混合して細粒化した。含水土壌に対する
ポリアクリル酸の割合、即ち、使用量は、 2.5重量%で
ある。
【0036】次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌
しながら、セメントとしての高炉セメント 750gを粒状
化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対する高炉
セメントの割合は、15重量%である。
【0037】以上の操作により、粒状化物の表面に高炉
セメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得た。得られ
た細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜10mmの範囲内であり、
平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒化物を、常
温で7日間、放置した。これにより、固化物を得た。該
固化物の90%修正C.B.R.値は、25%であった。主な固
化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1に示す。
【0038】〔実施例4〕実施例1の混合機と同一の混
合機に、含水比が78%の含水土壌5kgを仕込み、該含水
土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が
800,000、中和率が0%であるポリアクリル酸の10重量
%水溶液 625gを含水土壌に少しずつ添加・混合して細
粒化した。上記水溶液の粘度は、 630cPであった。ま
た、含水土壌に対するポリアクリル酸の割合、即ち、使
用量は、1.25重量%である。
【0039】次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌
しながら、セメントとしての高炉セメント 750gを粒状
化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対する高炉
セメントの割合は、15重量%である。
【0040】以上の操作により、粒状化物の表面に高炉
セメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得た。得られ
た細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜7mmの範囲内であり、
平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒化物を、常
温で7日間、放置した。これにより、固化物を得た。該
固化物の90%修正C.B.R.値は、34%であった。主な固
化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1に示す。
【0041】〔実施例5〕実施例1の混合機と同一の混
合機に、含水比が50%の含水土壌5kgを仕込み、該含水
土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が
800,000、中和率が0%であるポリアクリル酸の10重量
%水溶液 250gを含水土壌に少しずつ添加・混合して細
粒化した。上記水溶液の粘度は、 630cPであった。ま
た、含水土壌に対するポリアクリル酸の割合、即ち、使
用量は、 0.5重量%である。
【0042】次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌
しながら、セメントとしての高炉セメント 750gを粒状
化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対する高炉
セメントの割合は、15重量%である。
【0043】以上の操作により、粒状化物の表面に高炉
セメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得た。得られ
た細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜5mmの範囲内であり、
平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒化物を、常
温で7日間、放置した。これにより、固化物を得た。該
固化物の90%修正C.B.R.値は、69%であった。主な固
化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】〔実施例6〕実施例1において用いたポリ
アクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 800,00
0、中和率が40%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内で
ある粒子状のポリアクリル酸(ナトリウム)を含水土壌
に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同
様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた
細粒化物は、粒子径が 0.5mm〜15mmの範囲内であり、平
均粒子径が1mmであった。また、固化物の90%修正C.
B.R.値は、14%であった。主な固化条件、および、細粒
化物の粒子径等を表2に示す。
【0046】〔実施例7〕実施例1において用いたポリ
アクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 800,00
0、中和率が 100%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内
である粒子状のポリアクリル酸ナトリウムを含水土壌に
対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様
の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細
粒化物は、粒子径が 0.5mm〜20mmの範囲内であり、平均
粒子径が2mmであった。また、固化物の90%修正C.B.
R.値は、15%であった。主な固化条件、および、細粒化
物の粒子径等を表2に示す。
【0047】〔実施例8〕実施例1において用いたポリ
アクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 220,00
0、中和率が0%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内で
ある粒子状のポリアクリル酸を含水土壌に対して 0.5重
量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行う
ことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒
子径が 0.5mm〜8mmの範囲内であり、平均粒子径が2mm
であった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、11%
であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等
を表2に示す。
【0048】〔実施例9〕実施例1において用いたポリ
アクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 1,400,0
00、中和率が0%、粒子径が 0.1mm〜0.45mmの範囲内で
ある粒子状のポリアクリル酸を含水土壌に対して 0.5重
量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行う
ことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒
子径が1mm〜25mmの範囲内であり、平均粒子径が3mmで
あった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、16%で
あった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を
表2に示す。
【0049】〔実施例10〕実施例1において用いたポ
リアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 3,00
0,000、中和率が60%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲
内である粒子状のポリアクリル酸(ナトリウム)を含水
土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作
と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得ら
れた細粒化物は、粒子径が1mm〜25mmの範囲内であり、
平均粒子径が3mmであった。また、固化物の90%修正
C.B.R.値は、13%であった。主な固化条件、および、細
粒化物の粒子径等を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】〔実施例11〕実施例1において用いたポ
ルトランドセメントの割合を、15重量%から5重量%に
変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うこ
とにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子
径が 0.3mm〜10mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmで
あった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、7%で
あった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を
表3に示す。
【0052】〔実施例12〕実施例1において用いた含
水土壌の代わりに、含水比が 112%の含水土壌5kgを用
い、同実施例において用いたポリアクリル酸の代わり
に、重量平均分子量(Mw)が 3,000,000、中和率が60%、
粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリア
クリル酸(ナトリウム)を含水土壌に対して 0.5重量%
用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うこと
により、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径
が1mm〜25mmの範囲内であり、平均粒子径が3mmであっ
た。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、13%であっ
た。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表3
に示す。
【0053】〔実施例13〕実施例5において用いた高
炉セメントの代わりに、ポルトランドセメントを含水土
壌に対して25重量%用いた以外は、実施例5の操作と同
様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた
細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜5mmの範囲内であり、平
均粒子径が1mmであった。また、固化物の90%修正C.
B.R.値は、90%であった。主な固化条件、および、細粒
化物の粒子径等を表3に示す。
【0054】〔比較例1〕実施例1において用いたポリ
アクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が30,000、
中和率が0%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である
粒子状のポリアクリル酸を含水土壌に対して 0.5重量%
用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行った。
しかしながら、細粒化物を得ることができなかった。主
な固化条件を表3に示す。
【0055】〔比較例2〕実施例2において用いたポリ
アクリル酸の5重量%水溶液の代わりに、重量平均分子
量(Mw)が 3,000,000、中和率が60%であるポリアクリル
酸(ナトリウム)の1重量%水溶液を含水土壌に対して
0.1重量%用いた以外は、実施例2の操作と同様の操作
を行った。上記水溶液の粘度は、 5,700cPであった。し
かしながら、細粒化物を得ることができなかった。主な
固化条件を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】〔比較例3〕実施例1において用いたポリ
アクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 6,000,0
00、中和率が 100%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内
である粒子状のポリアクリル酸ナトリウムを含水土壌に
対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様
の操作を行った。しかしながら、細粒化物を得ることが
できなかった。主な固化条件を表4に示す。
【0058】〔比較例4〕実施例1において用いた含水
土壌の代わりに、含水比が 200%の含水土壌5kgを用い
ると共に、同実施例において用いたポリアクリル酸の割
合を、 0.5重量%から10重量%に変更し、ポルトランド
セメントの割合を、15重量%から35重量%に変更した以
外は、実施例1の操作と同様の操作を行った。しかしな
がら、細粒化物を得ることができなかった。主な固化条
件を表4に示す。
【0059】〔比較例5〕実施例1において用いたポリ
アクリル酸の割合を、 0.5重量%から0.02重量%に変更
した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行った。し
かしながら、細粒化物を得ることができなかった。主な
固化条件を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の含水土壌の固化
剤は、以上のように、ポリアクリル酸および/またはそ
の塩の水溶液と、セメントとからなる構成である。本発
明の請求項2記載の含水土壌の固化剤は、以上のよう
に、粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内であるポリアクリル
酸および/またはその塩の粒子と、セメントとからなる
構成である。本発明の請求項3記載の含水土壌の固化剤
は、以上のように、ポリアクリル酸および/または中和
率が70%以下のポリアクリル酸塩と、セメントとからな
る構成である。
【0062】これにより、固化後の含水土壌が、充分な
強度並びに所定の粒子径を有する粒子状に細粒化される
ので、該含水土壌を、例えば砂の代替品等の資源として
有効に活用(再利用)することができるという効果を奏
する。また、固化物を再利用することができるので、環
境保全、省資源、および廃棄場所の延命を図ることがで
きると共に、含水土壌の処分費用を低減することができ
るという効果も併せて奏する。
【0063】また、本発明の請求項4記載の含水土壌の
固化方法は、以上のように、含水土壌にポリアクリル酸
および/またはその塩の水溶液を混合し、混合物を粒状
化した後、該粒状化物にセメントを添加する方法であ
る。本発明の請求項5記載の含水土壌の固化方法は、以
上のように、含水土壌に粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内
であるポリアクリル酸および/またはその塩の粒子を混
合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを
添加する方法である。本発明の請求項6記載の含水土壌
の固化方法は、以上のように、含水土壌にポリアクリル
酸および/または中和率が70%以下のポリアクリル酸塩
を混合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメン
トを添加する方法である。
【0064】これにより、固化後の含水土壌を、充分な
強度並びに所定の粒子径を有する粒子状に細粒化するこ
とができるので、該含水土壌を、例えば砂の代替品等の
資源として有効に活用(再利用)することができるとい
う効果を奏する。また、固化物を再利用することができ
るので、環境保全、省資源、および廃棄場所の延命を図
ることができると共に、含水土壌の処分費用を低減する
ことができるという効果も併せて奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C09K 103:00 (72)発明者 白根 直之 大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目1番1号 株式会社日本触媒内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアクリル酸および/またはその塩の水
    溶液と、セメントとからなることを特徴とする含水土壌
    の固化剤。
  2. 【請求項2】粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内であるポリ
    アクリル酸および/またはその塩の粒子と、セメントと
    からなることを特徴とする含水土壌の固化剤。
  3. 【請求項3】ポリアクリル酸および/または中和率が70
    %以下のポリアクリル酸塩と、セメントとからなること
    を特徴とする含水土壌の固化剤。
  4. 【請求項4】含水土壌にポリアクリル酸および/または
    その塩の水溶液を混合し、混合物を粒状化した後、該粒
    状化物にセメントを添加することを特徴とする含水土壌
    の固化方法。
  5. 【請求項5】含水土壌に粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内
    であるポリアクリル酸および/またはその塩の粒子を混
    合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを
    添加することを特徴とする含水土壌の固化方法。
  6. 【請求項6】含水土壌にポリアクリル酸および/または
    中和率が70%以下のポリアクリル酸塩を混合し、混合物
    を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加すること
    を特徴とする含水土壌の固化方法。
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