JP3966916B2 - 含水土壌を細粒化する固化剤および固化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水土壌を細粒化する固化剤および固化方法に関するものであり、さらに詳しくは、含水土壌を固化し、例えば砂の代替品等の資源としての再利用を図る際に好適な固化剤および固化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えば、泥水シールド工法等を採用した掘削工事においては、掘削孔に掘削泥水を供給することにより、掘削時に発生する発生土を該掘削泥水と共に外部に排出している。上記の発生土は、土砂が分離されて再利用されると共に、残りが泥水として廃棄される。従って、泥水は、粘土と共に水を多量に含んだスラリー状となっている。そして、上記の泥水を、産業廃棄物として処理する際には、運搬等が行えるように、該泥水を脱水プレスする等して固液分離を行った後、脱水ケーキ等として得られる汚泥、即ち、含水土壌に吸水性樹脂やセメント、消石灰、生石灰等を混合して固化することが行われている。このような処理方法として、例えば、特開平2-194891号公報には、含水土壌に、アニオン性アクリル系凝集剤の分散液と、セメント等とを添加・混練する方法が開示されている。また、特開昭64-51198号公報には、含水土壌に、凝集性を有する水溶性の合成高分子物質等と、セメントとを混合する方法が開示されている。
【0003】
そして、固化された含水土壌は、例えば埋め立て処分場等の所定の廃棄場所に廃棄されている。或いは、掘削孔の埋め戻しが必要な土木工事においては、含水土壌に吸水性樹脂やセメント等を混合した後、固化する前に該含水土壌を掘削孔に注入することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、含水土壌は産業廃棄物として処理しなければならないので、多大な処分費用がかかる。また、含水土壌を廃棄する廃棄場所は、年々減少している。従って、上記従来の固化方法で含水土壌を処理すると、廃棄場所の確保が困難となるという問題点も有している。このため、含水土壌の再利用を図ることができる固化方法が切望されている。尚、特開昭64-51198号公報には、含水土壌の再利用を図るのに好適な固化方法および用途については、開示されていない。
【0005】
また、特開平4-345685号公報並びに特開平 6-17054号公報には、含水土壌に、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとの共重合体等の、カルボキシル基を含有する水溶性の重合体の粉末と、石灰とを添加することにより、土質を改良し、該含水土壌の再利用を図る方法が開示されている。しかしながら、石灰を使用すると、水和反応によって急激な発熱が引き起こされる。従って、含水土壌を処理する際の作業性が低下すると共に、固化された含水土壌の強度が低くなる。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、含水土壌を、充分な強度を有する細粒状に容易に固化し、例えば砂の代替品等の資源としての再利用を図る際に好適な固化剤、および、固化方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記の目的を達成すべく、含水土壌の固化剤および固化方法について鋭意検討した。その結果、所定の性状等を備えたポリアクリル酸および/またはその塩と、セメントとからなる固化剤を用いて含水土壌を固化することにより、固化後の含水土壌が、充分な強度並びに所定の粒子径を有する粒子状に細粒化され、例えば砂の代替品等として有効に活用できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明の含水土壌を細粒化する固化剤は、上記の課題を解決するために、常温常圧下にて5cP 〜5000cP( 5 × 10 −3 Pa ・ s 〜 5Pa ・ s )の粘度であるポリアクリル酸の水溶液と、セメントとからなり、上記ポリアクリル酸は、完全酸型であることを特徴としている。ここで、上記ポリアクリル酸は、重量平均分子量が50,000〜5,000,000 の範囲内であるとよい。本発明の含水土壌を細粒化する固化剤は、上記の課題を解決するために、粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内である重量平均分子量が50,000〜5,000,000 のポリアクリル酸の粒子と、セメントとからなり、上記ポリアクリル酸は、完全酸型であることを特徴としている。尚、上記含水土壌を細粒化する固化剤がポリアクリル酸塩を含む場合、ポリアクリル酸塩は、中和率が70%以下であるとよい。
【0009】
上記の構成によれば、固化後の含水土壌(以下、固化物と称する)が、充分な強度並びに所定の粒子径を有する粒子状に細粒化(以下、単に細粒化と称する)される。これにより、上記の固化物を、例えば砂の代替品等として有効に活用することができる。即ち、固化物を、資源として再利用することができる。また、固化物を再利用することができるので、環境保全、省資源、および廃棄場所の延命を図ることができると共に、含水土壌の処分費用を低減することができる。
【0010】
また、本発明の含水土壌を細粒化する固化方法は、上記の課題を解決するために、含水土壌に常温常圧下にて5cP 〜5000cP( 5 × 10 −3 Pa ・ s 〜 5Pa ・ s )の粘度であるポリアクリル酸の水溶液を混合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加し、上記ポリアクリル酸として、完全酸型のポリアクリル酸を用いることを特徴としている。ここで、上記ポリアクリル酸は、重量平均分子量が50,000〜5,000,000 の範囲内であるとよい。本発明の含水土壌を細粒化する固化方法は、上記の課題を解決するために、含水土壌に粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内である重量平均分子量が50,000〜5,000,000 のポリアクリル酸の粒子を混合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加し、上記ポリアクリル酸として、完全酸型のポリアクリル酸を用いることを特徴としている。尚、上記含水土壌を細粒化する固化方法にて、ポリアクリル酸塩を用いる場合、ポリアクリル酸塩は、中和率が70%以下であるとよい。
【0011】
上記の方法によれば、固化物を細粒化することができる。これにより、上記の固化物を、例えば砂の代替品等として有効に活用することができる。即ち、固化物を、資源として再利用することができる。また、固化物を再利用することができるので、環境保全、省資源、および廃棄場所の延命を図ることができると共に、含水土壌の処分費用を低減することができる。
【0012】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0013】
本発明にかかる固化剤および固化方法によって固化するのに好適な含水土壌としては、主に粘土やシルトで構成され、例えば、地中連続壁工法、泥水シールド工法等を採用した掘削工事での掘削時に発生する発生土を土砂と泥水とに分離し、該泥水を脱水プレスする等して固液分離を行った後、脱水ケーキ等として得られる汚泥;建設作業に伴って発生する泥水を沈殿槽に静置し、沈殿として得られる汚泥(建設汚泥);掘削残土、軟弱残土等が挙げられる。そして、上記の含水土壌は、JIS A 1203(含水比試験方法)に基づいて測定され、「(水(g) /固形分(g) )×100 」で表される含水比が20%〜 150%の範囲内のものが好ましい。含水比が 150%を超える含水土壌は、水の含有量(以下、水分量と称する)が多いので、固化剤を多量に用いなければならず、固化剤のコストが高くなり、好ましくない。尚、水分量が多い含水土壌は、再度、固液分離を行い、水分量を低減すればよい。また、含水土壌の出所は、上記例示にのみ限定されるものではない。さらに、含水土壌は、粘土やシルトの他に、ベントナイト等を含有していてもよい。
【0014】
本発明において、ポリアクリル酸とは、アクリル酸を主成分とする共重合体も含むものとする。そして、ポリアクリル酸が共重合体である場合における共重合成分は、特に限定されるものではない。ポリアクリル酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;アミン塩等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0015】
ポリアクリル酸の中和率は、特に限定されるものではないが、70%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。ポリアクリル酸の中和率が70%を超える場合には、固化物を細粒化することができなくなるおそれがある。そして、ポリアクリル酸および/または中和率が70%以下のポリアクリル酸塩のうち、完全酸型であるポリアクリル酸が最も好ましい。
【0016】
ポリアクリル酸および/またはその塩(以下、ポリアクリル酸(塩)と記す)の重量平均分子量(Mw)は、50,000〜 5,000,000の範囲内が好ましく、 200,000〜 1,500,000の範囲内がより好ましい。そして、重量平均分子量(Mw)が 500,000〜1,200,000 で、かつ、中和率が40%以下のポリアクリル酸(塩)が最も好ましい。ポリアクリル酸(塩)の重量平均分子量(Mw)が50,000未満である場合には、固化物を細粒化することができなくなるので好ましくない。また、ポリアクリル酸(塩)の重量平均分子量(Mw)が 5,000,000を超える場合には、粒子のポリアクリル酸(塩)を含水土壌に混合すると増粘効果が生じて両者を均一に混合することができなくなるので好ましくなく、また、水溶液の状態のポリアクリル酸(塩)を含水土壌に混合すると該水溶液の粘度が高くなり過ぎ、両者を均一に混合することができなくなるので好ましくない。
【0017】
ポリアクリル酸(塩)を水溶液の状態で用いる場合における該水溶液の粘度は、5cP(センチポアズ)〜 5,000cPの範囲内が好ましく、10cP〜 1,000cPの範囲内がより好ましい。水溶液の粘度が5cP未満である場合には、固化物を細粒化することができなくなるので好ましくない。また、水溶液の粘度が 5,000cPを超える場合には、含水土壌に水溶液を均一に混合することができなくなると共に、固化物を細粒化することができなくなるので好ましくない。尚、1cP は、10 −3 Pa ・ sである。尚、用いるポリアクリル酸(塩)の重量平均分子量(Mw)にもよるが、水溶液の粘度を上記の範囲内に設定するには、該水溶液の濃度を 0.5重量%〜50重量%の範囲内、好ましくは 1.0重量%〜15重量%の範囲内に設定すればよい。
【0018】
ポリアクリル酸(塩)を粒子として用いる場合における該粒子の粒子径は、0.01mm〜2mmの範囲内が好ましく、0.02mm〜1mmの範囲内がより好ましく、0.05mm〜 0.5mmの範囲内がさらに好ましい。粒子径が2mmを超える場合には、固化物を細粒化するためには使用量を多くしなければならないのでコストが高くなり、好ましくない。さらに、粒子径が0.01mm未満である場合には、ポリアクリル酸(塩)を取り扱う際に粉塵が発生し易くなると共に、該ポリアクリル酸(塩)が吸湿し易くなる。従って、作業性が低下すると共に、含水土壌に添加した際に継粉を生じて、細粒化するためには使用量を多くしなければならないのでコストが高くなり、好ましくない。
【0019】
含水土壌 100重量部に対する上記ポリアクリル酸(塩)の使用量は、0.05重量部〜10重量部の範囲内が好ましく、 0.1重量部〜5重量部の範囲内がより好ましい。ポリアクリル酸(塩)の使用量が0.05重量部未満である場合には、固化物を細粒化することができなくなるので好ましくない。また、ポリアクリル酸(塩)の使用量を10重量部より多くしても、上記の範囲内で使用した場合と殆ど効果が変わらない。従って、過剰に使用したポリアクリル酸(塩)が無駄となるので好ましくない。尚、ポリアクリル酸(塩)を水溶液の状態で用いる場合における上記の使用量とは、水溶液中の該ポリアクリル酸(塩)の量(純分)を示す。ポリアクリル酸(塩)は、水溶液の状態で用いるほうが、使用量を少なくすることができ、しかも、細粒化によって得られる粒子径が小さくなるので、特に好ましい。
【0020】
本発明にかかるセメントとしては、公知の各種セメントを採用することができる。該セメントとしては、具体的には、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメント;高炉セメント;アルミナセメント;カルシウムセメント;或いは、フライアッシュセメント等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらセメントは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0021】
含水土壌 100重量部に対する上記セメントの使用量は、1重量部〜35重量部の範囲内が好ましく、2重量部〜25重量部の範囲内がより好ましい。セメントの使用量が1重量部未満である場合には、固化物の強度(後述する)が不充分となるので好ましくない。また、セメントの使用量を35重量部より多くしても、上記の範囲内で使用した場合と殆ど効果が変わらない。従って、過剰に使用したセメントが無駄となるので好ましくない。
【0022】
以上のように、本発明にかかる固化剤は、所定の性状等を備えたポリアクリル酸(塩)と、セメントとからなっている。次に、上記構成の固化剤を用いて含水土壌を固化させる固化方法について以下に説明する。
【0023】
先ず、該含水土壌に上記のポリアクリル酸(塩)を粒子若しくは水溶液の状態で混合する。含水土壌とポリアクリル酸(塩)とを混合する際に用いられる混合機としては、両者の混合物を混練することなく攪拌・混合することができる装置が好ましく、例えば、いわゆる遊星運動式または二軸式で、かつ、両者の混合物に対して剪断力を付与しながら攪拌することができるように、攪拌翼の形状が棒状や釣針状等に形成されている装置が好適である。つまり、攪拌翼は、攪拌・混合によって移動する混合物の移動方向に対して、できるだけ直角方向に拡がった形状が、混練による粒子径の粗大化を抑制することができると共に、攪拌翼や装置内壁への混合物の付着を防止することができるので、望ましい。
【0024】
このような装置としては、例えば、遊星型強制ミキサ(プラネタリミキサ)等が挙げられる。上記の混合機を用いて含水土壌とポリアクリル酸(塩)とを混合すると共に、攪拌翼によって生じる剪断力を用いることにより、混合物を粒子径が 0.1mm〜50mmの範囲内、好ましくは 0.3mm〜10mmの範囲内である粒子状に細粒化(粒状化)することができる。尚、含水土壌とポリアクリル酸(塩)との混合方法は、特に限定されるものではない。
【0025】
次に、得られた粒状化物にセメントを添加して混合する。両者を混合する際に用いられる混合機は、特に限定されるものではないが、両者の混合物を混練することなく攪拌・混合することができる装置が好適である。また、このような混合機を用いて混合する際には、上記含水土壌とポリアクリル酸(塩)とを混合する際の混合方法ほどに剪断力が掛からないようにすると共に、攪拌翼の回転数を比較的少なくして、粒状化物の表面にセメントを付着させる(まぶす)ように攪拌することが好ましい。これにより、粒状化物の表面にセメントがほぼ均一に付着した細粒化物が得られる。尚、セメントは、その一部が粒状化物の内部に入り込んでいてもよい。また、粒状化物とセメントとの混合方法は、特に限定されるものではない。
【0026】
次いで、得られた細粒化物を、常温で、3日間〜7日間程度、放置する。これにより、セメントが養生され、該細粒化物、即ち、固化物は所定の強度を備える。該固化物の強度は、JIS A 1211(CBR試験方法)に基づいて測定される90%修正C.B.R.(California Bearing Ratio)値が5%〜95%である。該強度は、含水土壌の粘度や含水比、或いは、ポリアクリル酸(塩)やセメントの添加量等により、任意に調節することができる。尚、90%修正C.B.R.値は、数値が大きいほど、強度が高いことを示す。
【0027】
以上のようにして得られる固化物は、所定の粒子径および強度を備えているので、粉砕やふるい分け等の操作を行わなくても、例えば砂の代替品等の資源としての再利用を図ることができる。つまり、掘削孔の埋め戻しが必要な土木工事においては、砂等を別途に用意しなくとも、該固化物を用いて埋め戻しを行うことができる。また、上記の固化物は、埋設管や構造物等を埋め戻す際の埋め戻し材、人工砂等としての遮断層材、のり面に吹き付けて該のり面を加工する植生基材、土壌改良材、路盤材料、保水材、透水材、水質改善材等に用いることができる。さらに、固化物を再利用することができるので、環境保全、省資源、および廃棄場所の延命を図ることができると共に、含水土壌の処分費用を低減することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1〕
泥水シールド工法を採用した掘削工事によって発生した泥水を脱水プレスすることにより、含水土壌を得た。含水土壌の含水比は、84%であった。そして、混合機として、釣針状のフック型攪拌翼を備えたプラネタリ式混合機(株式会社土木試験機製作所製・M−20型)を用いた。
【0030】
該混合機に上記の含水土壌5kgを仕込み、該含水土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が 800,000、中和率が0%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸25gを含水土壌に少しずつ添加・混合して細粒化した。含水土壌に対するポリアクリル酸の割合、即ち、使用量は、 0.5重量%である。
【0031】
次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌しながら、セメントとしてのポルトランドセメント 750gを粒状化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対するポルトランドセメントの割合は、15重量%である。
【0032】
以上の操作により、粒状化物の表面にポルトランドセメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜10mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒化物を、常温で7日間、放置した。これにより、固化物を得た。該固化物の90%修正C.B.R.値は、18%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1に示す。
【0033】
〔実施例2〕
実施例1の混合機と同一の混合機に、含水比が84%の含水土壌5kgを仕込み、該含水土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が 800,000、中和率が0%であるポリアクリル酸の5重量%水溶液 500gを含水土壌に少しずつ添加・混合して細粒化した。上記水溶液の粘度は、40cPであった。また、含水土壌に対するポリアクリル酸の割合、即ち、使用量は、 0.5重量%である。
【0034】
次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌しながら、セメントとしてのポルトランドセメント 750gを粒状化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対するポルトランドセメントの割合は、15重量%である。
【0035】
以上の操作により、粒状化物の表面にポルトランドセメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜5mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒化物を、常温で7日間、放置した。これにより、固化物を得た。該固化物の90%修正C.B.R.値は、16%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1に示す。
【0036】
〔実施例3〕
実施例1の混合機と同一の混合機に、含水比が78%の含水土壌5kgを仕込み、該含水土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が 800,000、中和率が0%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸 125gを含水土壌に少しずつ添加・混合して細粒化した。含水土壌に対するポリアクリル酸の割合、即ち、使用量は、 2.5重量%である。
【0037】
次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌しながら、セメントとしての高炉セメント 750gを粒状化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対する高炉セメントの割合は、15重量%である。
【0038】
以上の操作により、粒状化物の表面に高炉セメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜10mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒化物を、常温で7日間、放置した。これにより、固化物を得た。該固化物の90%修正C.B.R.値は、25%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1に示す。
【0039】
〔実施例4〕
実施例1の混合機と同一の混合機に、含水比が78%の含水土壌5kgを仕込み、該含水土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が 800,000、中和率が0%であるポリアクリル酸の10重量%水溶液 625gを含水土壌に少しずつ添加・混合して細粒化した。上記水溶液の粘度は、 630cPであった。また、含水土壌に対するポリアクリル酸の割合、即ち、使用量は、1.25重量%である。
【0040】
次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌しながら、セメントとしての高炉セメント 750gを粒状化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対する高炉セメントの割合は、15重量%である。
【0041】
以上の操作により、粒状化物の表面に高炉セメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜7mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒化物を、常温で7日間、放置した。これにより、固化物を得た。該固化物の90%修正C.B.R.値は、34%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1に示す。
【0042】
〔実施例5〕
実施例1の混合機と同一の混合機に、含水比が50%の含水土壌5kgを仕込み、該含水土壌を 160 rpmで攪拌しながら、重量平均分子量(Mw)が 800,000、中和率が0%であるポリアクリル酸の10重量%水溶液 250gを含水土壌に少しずつ添加・混合して細粒化した。上記水溶液の粘度は、 630cPであった。また、含水土壌に対するポリアクリル酸の割合、即ち、使用量は、 0.5重量%である。
【0043】
次に、得られた粒状化物を 160 rpmで攪拌しながら、セメントとしての高炉セメント 750gを粒状化物に少しずつ添加・混合した。含水土壌に対する高炉セメントの割合は、15重量%である。
【0044】
以上の操作により、粒状化物の表面に高炉セメントがほぼ均一に付着した細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜5mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmであった。その後、該細粒化物を、常温で7日間、放置した。これにより、固化物を得た。該固化物の90%修正C.B.R.値は、69%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
〔参考例6〕
実施例1において用いたポリアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 800,000、中和率が40%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸(ナトリウム)を含水土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.5mm〜15mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmであった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、14%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表2に示す。
【0047】
〔参考例7〕
実施例1において用いたポリアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 800,000、中和率が 100%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸ナトリウムを含水土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.5mm〜20mmの範囲内であり、平均粒子径が2mmであった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、15%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表2に示す。
【0048】
〔実施例8〕
実施例1において用いたポリアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 220,000、中和率が0%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸を含水土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.5mm〜8mmの範囲内であり、平均粒子径が2mmであった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、11%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表2に示す。
【0049】
〔実施例9〕
実施例1において用いたポリアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 1,400,000、中和率が0%、粒子径が 0.1mm〜0.45mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸を含水土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が1mm〜25mmの範囲内であり、平均粒子径が3mmであった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、16%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表2に示す。
【0050】
〔参考例10〕
実施例1において用いたポリアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 3,000,000、中和率が60%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸(ナトリウム)を含水土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が1mm〜25mmの範囲内であり、平均粒子径が3mmであった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、13%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
〔実施例11〕
実施例1において用いたポルトランドセメントの割合を、15重量%から5重量%に変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜10mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmであった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、7%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表3に示す。
【0053】
〔参考例12〕
実施例1において用いた含水土壌の代わりに、含水比が 112%の含水土壌5kgを用い、同実施例において用いたポリアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 3,000,000、中和率が60%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸(ナトリウム)を含水土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が1mm〜25mmの範囲内であり、平均粒子径が3mmであった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、13%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表3に示す。
【0054】
〔実施例13〕
実施例5において用いた高炉セメントの代わりに、ポルトランドセメントを含水土壌に対して25重量%用いた以外は、実施例5の操作と同様の操作を行うことにより、細粒化物を得た。得られた細粒化物は、粒子径が 0.3mm〜5mmの範囲内であり、平均粒子径が1mmであった。また、固化物の90%修正C.B.R.値は、90%であった。主な固化条件、および、細粒化物の粒子径等を表3に示す。
【0055】
〔比較例1〕
実施例1において用いたポリアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が30,000、中和率が0%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸を含水土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行った。しかしながら、細粒化物を得ることができなかった。主な固化条件を表3に示す。
【0056】
〔比較例2〕
実施例2において用いたポリアクリル酸の5重量%水溶液の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 3,000,000、中和率が60%であるポリアクリル酸(ナトリウム)の1重量%水溶液を含水土壌に対して 0.1重量%用いた以外は、実施例2の操作と同様の操作を行った。上記水溶液の粘度は、 5,700cPであった。しかしながら、細粒化物を得ることができなかった。主な固化条件を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
〔比較例3〕
実施例1において用いたポリアクリル酸の代わりに、重量平均分子量(Mw)が 6,000,000、中和率が 100%、粒子径が0.05mm〜0.25mmの範囲内である粒子状のポリアクリル酸ナトリウムを含水土壌に対して 0.5重量%用いた以外は、実施例1の操作と同様の操作を行った。しかしながら、細粒化物を得ることができなかった。主な固化条件を表4に示す。
【0059】
〔比較例4〕
実施例1において用いた含水土壌の代わりに、含水比が 200%の含水土壌5kgを用いると共に、同実施例において用いたポリアクリル酸の割合を、 0.5重量%から10重量%に変更し、ポルトランドセメントの割合を、15重量%から35重量%に変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行った。しかしながら、細粒化物を得ることができなかった。主な固化条件を表4に示す。
【0060】
〔比較例5〕
実施例1において用いたポリアクリル酸の割合を、 0.5重量%から0.02重量%に変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行った。しかしながら、細粒化物を得ることができなかった。主な固化条件を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
【発明の効果】
本発明の含水土壌を細粒化する固化剤は、以上のように、常温常圧下にて5cP 〜5000cP( 5 × 10 −3 Pa ・ s 〜 5Pa ・ s )の粘度であるポリアクリル酸の水溶液と、セメントとからなり、上記ポリアクリル酸は、完全酸型である構成である。ここで、上記ポリアクリル酸は、重量平均分子量が50,000〜5,000,000 の範囲内であるとよい。本発明の含水土壌を細粒化する固化剤は、以上のように、粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内である重量平均分子量が50,000〜5,000,000 のポリアクリル酸の粒子と、セメントとからなり、上記ポリアクリル酸は、完全酸型である構成である。尚、上記含水土壌を細粒化する固化剤が、ポリアクリル酸塩を含む場合、ポリアクリル酸塩は、中和率が70%以下であるとよい。
【0063】
これにより、固化後の含水土壌が、充分な強度並びに所定の粒子径を有する粒子状に細粒化されるので、該含水土壌を、例えば砂の代替品等の資源として有効に活用(再利用)することができるという効果を奏する。また、固化物を再利用することができるので、環境保全、省資源、および廃棄場所の延命を図ることができると共に、含水土壌の処分費用を低減することができるという効果も併せて奏する。
【0064】
また、本発明の含水土壌を細粒化する固化方法は、以上のように、含水土壌に常温常圧下にて5cP 〜5000cP( 5 × 10 −3 Pa ・ s 〜 5Pa ・ s )の粘度であるポリアクリル酸の水溶液を混合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加し、上記ポリアクリル酸として、完全酸型のポリアクリル酸を用いる方法である。ここで、上記ポリアクリル酸は、重量平均分子量が50,000〜5,000,000 の範囲内であるとよい。本発明の含水土壌を細粒化する固化方法は、以上のように、含水土壌に粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内である重量平均分子量が50,000〜5,000,000 のポリアクリル酸の粒子を混合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加する方法である。尚、上記含水土壌を細粒化する固化方法にて、ポリアクリル酸塩を用いる場合、ポリアクリル酸塩は、中和率が70%以下であるとよい。
【0065】
これにより、固化後の含水土壌を、充分な強度並びに所定の粒子径を有する粒子状に細粒化することができるので、該含水土壌を、例えば砂の代替品等の資源として有効に活用(再利用)することができるという効果を奏する。また、固化物を再利用することができるので、環境保全、省資源、および廃棄場所の延命を図ることができると共に、含水土壌の処分費用を低減することができるという効果も併せて奏する。
Claims (6)
- 常温常圧下にて5cP 〜5000cP( 5 × 10 −3 Pa ・ s 〜 5Pa ・ s )の粘度であるポリアクリル酸の水溶液と、セメントとからなり、
上記ポリアクリル酸は、完全酸型であることを特徴とする含水土壌を細粒化する固化剤。 - 上記ポリアクリル酸は、重量平均分子量が50,000〜5,000,000 の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の含水土壌を細粒化する固化剤。
- 粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内である重量平均分子量が50,000〜5,000,000 のポリアクリル酸の粒子と、セメントとからなり、
上記ポリアクリル酸は、完全酸型であることを特徴とする含水土壌を細粒化する固化剤。 - 含水土壌に常温常圧下にて5cP 〜5000cP( 5 × 10 −3 Pa ・ s 〜 5Pa ・ s )の粘度であるポリアクリル酸の水溶液を混合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加し、
上記ポリアクリル酸として、完全酸型のポリアクリル酸を用いることを特徴とする含水土壌を細粒化する固化方法。 - 上記ポリアクリル酸は、重量平均分子量が50,000〜5,000,000 の範囲内であることを特徴とする請求項4記載の含水土壌を細粒化する固化方法。
- 含水土壌に粒子径が0.01mm〜2mmの範囲内である重量平均分子量が50,000〜5,000,000 のポリアクリル酸の粒子を混合し、混合物を粒状化した後、該粒状化物にセメントを添加し、
上記ポリアクリル酸として、完全酸型のポリアクリル酸を用いることを特徴とする含水土壌を細粒化する固化方法。
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