JPH09176538A - アミドカール防止剤を含有する水性インク組成物 - Google Patents

アミドカール防止剤を含有する水性インク組成物

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JPH09176538A
JPH09176538A JP8337985A JP33798596A JPH09176538A JP H09176538 A JPH09176538 A JP H09176538A JP 8337985 A JP8337985 A JP 8337985A JP 33798596 A JP33798596 A JP 33798596A JP H09176538 A JPH09176538 A JP H09176538A
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    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/38Inkjet printing inks characterised by non-macromolecular additives other than solvents, pigments or dyes

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カール防止剤を含有する水性インク組成物の
提供。 【解決手段】 このインク組成物は水性キャリアー媒
体、着色剤および普通紙基体のカールを実質的に取り除
くのに有効な量の少なくとも1種のカール防止剤とから
なり、前記カール防止剤は25℃で少なくとも4.5%
の水溶性を有し、そしてカルボン酸アミド、テトラヒド
ロピリミドン化合物、イミダゾリジノン化合物から選ば
れる化合物であることを特徴とする。このインク組成物
を用いることにより保存安定性、デキャップ特性または
プリント品質などに相反する作用を与えることなく、普
通紙のプリント済みエレメント中の用紙のカールを実質
的に低減または除去し、かくして高価でかつかさばる機
械カール阻止装置、または特定の耐カール媒体を不要に
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は水性インクに関し、さらに詳細に
は普通紙にプリントする際のカールを防止する、インク
ジェット用の水性インク組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】インクジェットプリントはノンインパクト
法の1つであり、電子デジタル信号に応じて、紙または
透明フィルムのような基体上に付着されるインク液滴を
生成するものである。サーマルまたはバブルジェットの
ドロップオンデマンドインクジェットプリンタは、オフ
イスおよび家庭でのパーソナルコンピューター用の出力
として広範な利用が認められている。インクジェットプ
リントで用いられる水性インクは主要成分として水を含
有している。水は大部分有機溶剤で構成されている非水
性インクに比べて、非毒性、不燃性そして環境的に安全
であるという利点を有している。水はまた分散した顔料
または溶解した色素に対して優れた媒体でもある。
【0003】しかしながら、大濃度で水を使用するとい
くつかの欠点がある。水は低沸点の有機溶剤に比べて蒸
発速度が遅く、これは乾燥速度を低下させ、従ってプリ
ント速度を低下させる。水はまた紙に作用して、用紙の
ひずみおよびカールとして知られている2つの主要な歪
曲収差を生じる。紙形のひずみは、隆起、字下がりおよ
びその他の不規則性が、プリント済みの紙上にランダム
に生じて“しわ状”の外観を与える歪曲収差である。カ
ールは紙の端が用紙の中心に向けて移動する現象であ
る。カールの向きは紙のプリントされた側のこともあ
り、またはプリントされていない方の側のこともある
(後者は“逆カール”として知られている)。
【0004】カールはプリント直後に現れるか、または
出現するのに数日を要することもある。その最終的な状
態で、紙シートは筒状になることもある。カールした紙
は積み重ねることができず、使用者に大きな不都合をも
たらすことになる。カールした紙は展示または保管する
のに困難であり、そして媒体の送り、トラッキングおよ
びプリントアラインメントのように、平面に近い状態が
必要なプロセスでは使用できない。カールはベタ詰めプ
リントでもっとも影響があり、そのため文字プリントと
は異なり図形の場合はより重大な問題である。同様の理
由で、図形が顕著である4色プリントの際に主として問
題となる。加熱エレメントの使用(通常水性インクの乾
燥速度を高めるため用いられる)は、用紙のカールを促
進することが知られている。
【0005】加熱ローラーと伸張具のような各種の機械
装置がカールを低減させるのに試みられた。これらの装
置は端の部分だけで効果があり、プリンタのコストとサ
イズを著しく大きくする(カールを減らすための加熱ロ
ーラーは乾燥速度を高めるため用いるヒーターとは異な
り、前者ではプリント後に紙の両面に熱を与えるが、後
者ではプリント工程中に熱が与えられる)。
【0006】またプリント用媒体を調整することにより
カールを低減することも知られている。しかしながら、
この方法はそれが高価であるためと、消費者が広い範囲
のオフィス用紙を使用できるプリンタを圧倒的に好むた
めきわめて望ましくない。このことは電子写真コピー用
紙の市場で販売されているプリンタ、またはいわゆる
“普通紙”プリンタの場合も特にそうである。従って、
用紙のカールを生じることなく全ページにグラフィック
スをプリントすることができ、これにより高価で、非効
率なそして面倒な機械装置やまたは特別なプリント用媒
体を必要としない、水性インク組成物に対する要請があ
る。
【0007】
【発明の要点】本発明は目詰まり、コゲーション、プリ
ント品質の劣化、または保存の不安定性などのような問
題のない、そして装置または媒体に変更を行なうよりは
るかに低いコストで、用紙のカールを低減するプリント
方法を提供するものである。したがって、本発明は普通
紙基体にインクジェット組成物を付与することから本質
的になる、普通紙のプリント済みエレメントにおける用
紙のカールを低減するためのプリント方法を提供するも
のであって、このインク組成物は水性キャリアー媒体、
着色剤および普通紙基体のカールを実質的に取り除くの
に有効な量の少なくとも1種のカール防止剤とからなっ
ており、かつ、前記カール防止剤は25℃で少なくとも
4.5%の水溶性を有し、そして下記化合物よりなる群
から選ばれる: (a) 以下の式をもつ化合物:
【化11】 ここで、Rは1、2、4または5個の炭素原子をもつ直
鎖または分岐鎖の脂肪族化合物; (b) 以下の式をもつ化合物:
【化12】 ここで、R1、R2およびR3は独立してH、CH3または
CH2CH3である; (c) 以下の式をもつ化合物:
【化13】 ここで、R1およびR2は独立してH、CH3またはCH2
CH3である;そして (d) 以下の式をもつ化合物:
【化14】 ここで、R′およびR″は独立してH、CH3、−CH2
CH3、−CH2CH2CH3、または
【化15】 であるが、ただしR′とR″とは合わせて6個までの炭
素原子をもつこととする。
【0008】
【発明の具体的説明】カール防止剤を含有する本発明の
水性インクは一般的なインクジェットプリンタで用いる
のに適しており、特にザーマルインクジェットプリンタ
で用いるのに適している。これらのインクはまたエアー
ブラシタイプの利用にも有用である。これらのインクは
顔料かまたは色素着色剤のいずれかを含むことができ
る。このインクは個々のインクジェットプリンタの要求
に合致するように、光安定性、こすれ耐性、粘度、表面
張力、光学濃度、低毒性、高い材料相溶性および乾燥速
度などのバランスを、既知の添加物を使用して与えるこ
とができる。
【0009】〔水性キャリアー媒体〕水性キャリアー媒
体は水であるか、またはカール防止剤以外の少なくとも
1種の水溶性有機溶剤と水との混合物である。通常脱イ
オン水が用いられる。水溶性の有機溶剤はよく知られて
おり、代表的な例は米国特許第5,085,698号に示
されている。水と水溶性有機溶剤との適当な混合物の選
定は、所望の表面張力と粘度、選ばれた着色剤、インク
の乾燥時間、およびインクがプリントされる媒体のよう
な、特定の利用上の要件に依存する。少なくとも2個の
ヒドロキシル基をもつ水溶性の有機溶剤(たとえば、ジ
エチレングリコール)と脱イオン水との混合物が、水性
キャリアー媒体として好ましい。
【0010】水と有機溶剤との混合物が水性キャリアー
媒体として用いられるとき、カール防止剤を含む水性キ
ャリアー媒体の全重量を基準に、水は水性媒体の30〜
95重量%、好ましくは60〜95重量%である。水性
キャリアー媒体(カール防止剤を含んで)の量はインク
の全重量を基準に、有機顔料を選択したときは約70〜
99.8%、好ましくは84〜99.8%の範囲内;無機
顔料を選択したときは約25〜99.8%、好ましくは
70〜99.8%;そして色素を選択したときは80〜
99.8%の範囲である。
【0011】着色剤 着色剤は顔料分散剤または色素であってよい。“顔料”
の用語は不溶性の粒子状態で用いられる着色剤を意味す
る。用語“色素”とは溶解状態で用いられる着色剤を意
味する。不溶性の着色剤である分散色素を選択してもよ
い。当該技術分野で知られているように、また本明細書
で用いられているように、用語“顔料分散剤”は顔料と
分散剤との混合物を表わす。好ましくは、分散剤は重合
体分散剤である。
【0012】色素 有用な色素にはアニオン、カチオン、両性および非イオ
ン色素などが含まれる。このような各色素は従来からよ
く知られている。アニオン色素は水溶液中で着色アニオ
ンを生じ、そしてカチオン色素は水溶液中で着色カチオ
ンを生成する。典型的にはアニオン色素はイオン部分と
してカルボン酸基かまたはスルホン酸基を含んでいる。
カチオン色素は普通第4級の窒素基を含んでいる。両性
色素は液のpH値の関数としてアニオン、カチオンのこと
もあるしまたは両方の電荷をもつこともある。ある種の
非イオン色素は水性インク中で用いられるのに充分な水
溶性を有している。溶解性の劣る色素は顔料としてとり
扱い、以下に述べるのと同じ方法で水性インク中で使用
するために分散させることができる。
【0013】前記各タイプの色素は一般的にはその最終
用途により分類されている。色素のさらに一般的な分類
は酸性、塩基性、直接、食用、分散、媒染、バット、ソ
ルベント、および反応性色素などである。これら各種類
の色素はどれも1個またはさらに多くの別の官能性基を
有しており、たとえばニトロソ化合物、ニトロ化合物、
アゾ化合物、スチルベン化合物、トリアリールメタン化
合物、キサンテン化合物、キノリン化合物、トリアゾー
ル化合物、アジン化合物、オキサジン化合物、チアジン
化合物、アミノケトン化合物、アントラキノン化合物、
インジゴイド化合物、フタロシアニン化合物、ジフェニ
ルメタン化合物、アクリジン化合物、キノリン化合物、
メチンまたはポリメチン化合物、インダミンまたはイン
ドフェニル化合物、その他でありこのすべては従来から
よく知られている。
【0014】インクで用いられる色素の色調と分量は主
として選択の問題であり、インクにより達成されるプリ
ントの所望の色調、色素の純度、およびその強度に大き
く依存する。低濃度の色素では色調に鮮明さは得られな
い。高濃度ではプリントヘッドの作動不良を生じまた暗
い色調となる。色素はインクの全重量を基準に0.01
〜20重量%、好ましく0.05〜8重量%、さらに好
ましくは0.1〜5重量%の量で存在する。
【0015】顔料 分散剤に有用な顔料には広範な種類の有機および無機の
顔料の単独かまたは組み合わせが含まれる。水性のキャ
リアー媒体に実質的に不溶性である色素(たとえば、分
散色素)もまた選択することができる。顔料の粒子はイ
ンクジェットプリント装置を通じてインクが自由に流れ
ることができるよう充分に小さくなければならない。粒
径はまた顔料分散物の安定性に影響を有している。微細
な粒子のブラウン運動はまた粒子の沈降を阻止するのを
助ける。小さな粒径はまた色強度を最大にするのに望ま
しい。有用な粒子サイズの範囲は大体0.005ミクロ
ン〜15ミクロンである。好ましくは、顔料の粒径は
0.005〜5ミクロン、そしてさらに好ましくは0.0
1〜0.5ミクロンの範囲である。
【0016】選択した顔料はドライ状またはウエット状
で用いることができる。たとえば、顔料は水性の媒体中
で通常製造され、得られる顔料は水で湿ったプレスケー
キの状態で得られる。プレスケーキの形態では顔料は乾
燥形態ほどには凝集しない。したがって、水で湿ったプ
レスケーキ状の顔料は、乾燥顔料からインクを調製する
プロセスほどの多くの解膠を必要としない。選択するこ
とのできる代表的な市販のドライおよびプレスケーキ顔
料は、前記した米国特許第5,085,698号に開示さ
れている。
【0017】金属または金属酸化物の微小粒子もまた選
択することができる。たとえば、金属と金属酸化物はイ
ンクジェット用磁気インクの調製に適している。シリ
カ、アルミナ、チタニア、その他のような微小粒径の酸
化物もまた選択することができる。さらに、銅、鉄、ス
チール、アルミニウムおよび合金類のような、細かに粉
砕した金属粒子は適切な利用に選択することができる。
【0018】有機顔料の場合、インクはほぼ30重量%
までの顔料を含むことができるが、典型的にはほとんど
のサーマルインクジェットプリントに適用するため全イ
ンク組成物の0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜8
重量%の範囲内である。もし無機顔料を選択する場合に
は、インクは有機顔料を用いる同じようなインクよりも
高い重量%の顔料を含む傾向があり、場合によっては約
75%ほどの高い重量%にすることもでき、これは無機
顔料が有機顔料よりも一般に高い比重を有するためであ
る。
【0019】分散剤 ポリマー分散剤は顔料の好ましい分散剤である。適当な
ポリマー分散剤にはAB、BABまたはABCブロック
コポリマーがある。もっとも好ましいものはグループト
ランスファー重合法により作られたポリマー分散剤で、
これらがペン口金ノズルを詰まらせる傾向のある高分子
量の物質を含むことがないためである。適当なABまた
はBABブロックコポリマーおよびその合成法は前記米
国特許第5,085,698号に開示されている。適当な
ABCトリブロックコポリマーとその合成は1993年
8月25日に発行された、Ma氏他の、EPO公報第0
556649 A1号および米国特許第5,219,94
5号に記載されている。
【0020】ランダムコポリマーも分散剤として用いる
ことができるが、これらは顔料分散物の安定化にブロッ
クポリマーほど効果的ではなく、したがって好ましいも
のではない。ポリマー分散剤は一般に全インク組成物の
約0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜8重量%の範
囲で存在する。顔料粒子の分散安定性はポリマー分散剤
の量が不充分なときは相反する作用を受ける。好ましい
ポリマー分散剤化合物に加えて、またはその代わりに、
界面活性剤化合物を分散剤として用いることができる。
これらにはアニオン、カチオン、ノニオンまたは両性の
各界面活性剤がある。非−ポリマー分散剤ならびにいく
つかのポリマー分散剤の詳細なリストが、McCutcheon氏
Functional Materials、北アメリカ版、マヌファクチ
ュアリングコンフェクション出版社(1990年刊)、
第110〜129頁、分散剤の章に掲載されている。
【0021】〔カール防止剤〕本発明を実施する際に用
いられるカール防止剤は、25℃で少なくとも4.5%
の水溶性(100部の水中に4.5部のカール防止剤)
を有し、そして以下に述べる各化合物の群から選ばれ
る。
【0022】(a) 以下の式をもつ化合物:
【化16】 ここで、Rは1、2、4または5個の炭素原子をもつ直
鎖または分岐鎖の脂肪族化合物である。代表的な化合物
にはアセトアミド、プロピオンアミド、イソブチルアミ
ド、およびヘキサンアミドが含まれる。アセトアミドと
プロピオンアミドが好ましい。
【0023】(b) 以下の式をもつ化合物:
【化17】 ここで、R1、R2およびR3は独立してH、CH3または
CH2CH3である。代表的な化合物にはテトラヒドロ−
2−ピリミドン、3−メチル−テトラヒドロ−2−ピリ
ミドン、4−メチル−テトラヒドロ−2−ピリミドン、
3−エチル−テトラヒドロ−2−ピリミドンおよび4−
エチル−テトラヒドロ−2−ピリミドンが含まれる。テ
トラヒドロ−2−ピリミドンが好ましい。
【0024】(c) 以下の式をもつ化合物:
【化18】 ここで、R1およびR2は独立してH、CH3またはCH2
CH3である。代表的な化合物には2−イミダゾリジノ
ン、ジメチルイミダゾリジノン、およびジエチルイミダ
ゾリジノンが含まれる。2−イミダゾリジノンが好まし
い。
【0025】(d) 以下の式をもつ化合物:
【化19】 ここで、R′およびR″は独立してH、CH3、−CH2
CH3、−CH2CH2CH3、または
【化20】 であるが、ただしR′とR″とは合わせて6個までの炭
素原子をもつこととする。代表的な化合物にはブチルウ
レア;1,3−ジメチルウレア;エチルウレア;プロピ
ルウレア;イソプロピルウレア;および1,3−ジエチ
ルウレアが含まれる。好ましい化合物にはブチルウレア
と1,3−ジメチルウレアとが含まれる。
【0026】記載した各種類内および種類間の両方の化
合物の混合物を本発明の実施に際して選択することもで
きる。効果的に用いるためには、カール防止剤はインク
組成物の全重量を基準に少なくとも10重量%の量で存
在しなければならない。カール防止剤の許容範囲はイン
クの全重量を基準に10〜75%、好ましくは12〜5
5%、そしてもっとも好ましいのは15〜30%であ
る。
【0027】〔その他の各成分〕インクはその他の各成
分を含有することができる。たとえば、前記の界面活性
剤は表面張力を変えると同時に浸透を最大にするために
用いることができる。しかしながら、界面活性剤は顔料
分散物を不安定化することもあるため、他のインク各成
分と界面活性剤との相溶性を確実にするよう注意を払う
べきである。水性インク中で、界面活性剤はインクの全
重量を基準に0.01〜5%、好ましくは0.2〜3%の
量で存在させることができる。
【0028】殺菌剤を微生物の生長を阻止するためにイ
ンク組成物中で使用することができる。DowicideR(ダ
ウケミカル社)、NuoseptR(ハルスアメリカ社)、Omid
ineR(オリン社)、NopcocidesR(ヘンケル社)、Troys
ansR(トロイケミカル社)および安息香酸ナトリウムな
どがこの種の殺菌剤の例である。このほか、EDTAの
ような封鎖剤を重金属不純物の有害作用を除くために含
有させることができる。粘度調整剤およびその他のアク
リル系または非アクリル系ポリマーのような、既知のそ
の他の添加剤をインク組成物の各特性を改良するため添
加することもできる。前記したように、本発明のカール
防止剤の多くは、インクジェット用のインク処方物に対
する効果的な湿潤剤である。
【0029】〔インクの調製〕本発明のインク組成物
は、他のインクジェット用のインク組成物と同じ方法で
調製される。着色剤として顔料分散物を用いるならば、
分散物は選定した顔料(複数)と分散剤とを水中で前混
合することにより調製される。分散工程は水平ミニミ
ル、ボールミル、摩砕機中でか、あるいは米国特許第
5,026,427号で記載されているように、水性キャ
リアー媒体中に顔料粒子の均一な分散物を作るため、混
合物を少なくとも1000psi(70.3kg/cm2)の液
体圧力で、液体ジェット相互作用室内に複数のノズルを
通じて流通させることにより行なうことができる。浸透
性またはデキャップ(decap)特性を改善するその他の
共溶剤をこの分散工程で存在させることができる。
【0030】着色剤として色素が用いられたとき、分散
剤は存在せずまた顔料解膠も不要である。この色素ベー
スのインクは分散装置よりも、むしろよく撹拌された容
器で調製される。一般的に、インクジェット用インクは
濃縮した形態で作るのが望ましく、これはついでインク
ジェットプリント系で用いるのに適切な濃度に希釈され
る。希釈により、インクは特定の各適用のための所望の
粘度、色調、色相、飽和濃度、およびプリント被覆率な
どに調節される。
【0031】〔インクの諸特性〕ジェット速度、液滴の
分離長さ、液滴サイズ、および液流の安定性などは、イ
ンクの表面張力と粘度により著しく影響される。インク
ジェットプリント系で使用するのに適したインクジェッ
ト用インクは、20℃で約18〜約70ダイン/cmの範
囲、またさらに好ましくは20〜約50ダイン/cmの範
囲内の表面張力をもつべきである。許容し得る粘度は2
0℃で20cPより大きくなく、好ましくは約1.0cPか
ら約10.0cPまでの範囲内で、画像セッティングとサ
ーマルインクジェットの詰め代え頻度の両方に適切なレ
オロジー性をもつことである。
【0032】インクは各種の射出条件、たとえば、サー
マルインクジェットプリント装置では駆動電圧とパルス
幅、ドロップオンデマンド型装置またはコンティニュア
ス型装置のいずれかにはピエゾ素子の駆動周波数、そし
てノズルの形状とサイズなどに合致し得る物理的特性を
有している。これらはコンティニュアス型、圧電ドロッ
プオンデマンド型およびサーマルまたはバブルジェット
のドロップオンデマンド型のような、各種のインクジェ
ットプリンタに使用することができ、特にサーマルイン
クジェットプリンタで使用するのに適している。このイ
ンクは長期間すぐれた保存安定性を有しており、インク
ジェット装置中で詰まることがない。普通紙エレメント
のプリントに用いるのに特に好都合であるが、本発明の
インクはまた各種のプリント媒体、布地、透明フィルム
などのようなものに用いるのにも適している。プリント
したインク画像は清澄な色調と高い濃度とを有してい
る。このインクはインクジェットプリント装置の各部品
に合致するものであり、また本質的に無臭である。
【0033】
【実施例】本発明をさらに以下の実施例により説明する
が、ここで部とパーセントは特記しない限り重量による
ものである。カール防止剤は記載のない限りアルドリッ
チ社から購入したものである。
【0034】ポリマーの調製1 これは顔料を分散するのに使用したカチオンポリマーの
調製を示すものである。これはBZMA//DMAEMA
10//20ジブロックポリマーである。12リットル
のフラスコに機械撹拌器、温度計、N2導入口、乾燥管
排気口、および添加ロートなどをとり付けた。このフラ
スコにテトラヒドロフランTHF4002g、およびp
−キシレン7.7gを入れる。ついで、触媒のアセトニ
トリル中のテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾ
エートの1.0モル溶液を2.0ml添加した。開始剤、1
−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチルプロ
パン155.1g(0.891モル)を注加する。原料I
〔2−ジメチルアミノエチルメタクリレートDMAEM
A 2801g(17.8モル)〕を0.0分で添加し始
め45分かけて添加した。原料Iの添加終了の100分
後に、原料II〔ベンジルメタクリレート 1568g
(8.91モル)〕を加え始め30分かけて添加した。
400分に、乾燥メタノール310gを前記の液に添加
し蒸留を開始する。合計1725gの溶剤を回収した。
I−プロパノール1783gを蒸留完了後に添加した。
これにより固体分49.6%でBZMA//DMAEMA
10//20ジブロックポリマーが得られMn=5000
であった。
【0035】分散物の調製1 これはBZMA//DMAEMA 10//20ジブロック
ポリマーと2−ロールミルとを使用するカチオンシアン
顔料分散物の調製を示す。シアン顔料分散物は以下の各
成分を充分混合することにより作られる:
【表1】 この混合物を2−ロールミルに入れ30分間処理した。
これにより顔料60%とポリマー40%とを含有した顔
料分散物が作られ、P/D=1.5/1であった。この
2−ロールミルチップをつぎに中和剤としてリン酸を使
用して溶解し、水性の顔料濃縮液とした。水性の顔料分
散物濃縮液は、中和剤としてリン酸を使用して適宜撹拌
しながら2−ロールミルチップと混合し、これを溶解す
ることにより調製する:
【0036】
【表2】 さらに水を添加して顔料11.01%を含有する水性顔
料濃縮物を得、そしてポリマーのアミノ基の90モル%
をリン酸により中和した。
【0037】コントロール1 シアンインクが前記顔料分散物を使用して、顔料2.5
%を含むよう作られた。インクは以下の組成を有してい
た:
【表3】
【0038】このインクをヒューレットパッカード社の
HP XL300プリンタに使用するようにした、空の
インクジェットペンにつめてそのプリンタでテストし
た。200%のべた詰めプロットをギルバートR ボンド
紙(ミード社製、25%コットン、スタイル1057)
とハンマーミルフォアR DP(ハンマーミル製紙社製)
上に作成した。プリント区域は用紙の端部の1インチ
(2.54cm)以内にまで及んでいる。用紙のカールは
紙の端部のそりをスケールによりmmで測定することによ
り検査した。カールはプリント後1時間と24時間後に
測定した。
【0039】以下のスケールを測定したカールの評価に
使用した:
【表4】 結果を以下の表1に示す。
【0040】実施例1 以下の点を除いてコントロール1で記載したようにして
別な3つのシアンインクを調製した:インク試料1は前
記のベヒクル成分に加えてイミダゾリジン5重量%を含
有し、インク試料2はブチルウレア5重量%を含有し、
そしてインク試料3は1,3−ジメチルウレア5重量%
を含有していた。各インクはコントロール1で述べたよ
うにしてカールを測定し、以下の結果を得た。
【0041】
【表5】 これらの各インク処方物は一般的なプリント性について
もまたテストし、良好な特性が得られることが認められ
た。

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 普通紙基体にインクジェット組成物を付
    与することから本質的になる、普通紙のプリント済みエ
    レメントにおける用紙のカールを低減する方法であっ
    て、前記インク組成物が水性キャリアー媒体、着色剤お
    よび普通紙基体のカールを実質的に取り除くのに有効な
    量の少なくとも1種のカール防止剤とからなり、前記カ
    ール防止剤が25℃で少なくとも4.5%の水溶性を有
    し、そして以下の各化合物よりなる群から選ばれること
    を特徴とする、前記方法。 (a) 以下の式をもつ化合物: 【化1】 ここで、Rは1、2、4または5個の炭素原子をもつ直
    鎖または分岐鎖の脂肪族化合物である; (b) 以下の式をもつ化合物: 【化2】 ここで、R1、R2およびR3は独立してH、CH3または
    CH2CH3である; (c) 以下の式をもつ化合物: 【化3】 ここで、R1およびR2は独立してH、CH3またはCH2
    CH3である;そして (d) 以下の式をもつ化合物: 【化4】 ここで、R′およびR″は独立してH、CH3、−CH2
    CH3、−CH2CH2CH3、または 【化5】 であるが、ただしR′とR″とは合わせて6個までの炭
    素原子をもつこととする。
  2. 【請求項2】 着色剤が顔料とポリマー分散剤とからな
    る顔料分散物である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 着色剤が色素である、請求項1に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 カール防止剤が構造(a)の化合物から選
    ばれた、アセトアミド、プロピオンアミド、イソブチル
    アミドおよびヘキサンアミドである、請求項1に記載の
    方法。
  5. 【請求項5】 カール防止剤が構造(b)の化合物から選
    ばれた、テトラヒドロ−2−ピリミドン;3−メチル−
    テトラヒドロ−2−ピリミドン;4−メチル−テトラヒ
    ドロ−2−ピリミドン;3−エチル−テトラヒドロ−2
    −ピリミドン;および4−エチル−テトラヒドロ−2−
    ピリミドンである、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 カール防止剤が構造(c)の化合物から選
    ばれた、2−イミダゾリジノン;ジメチルイミダゾリジ
    ノン;およびジエチルイミダゾリジノンである、請求項
    1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 カール防止剤が構造(d)の化合物から選
    ばれた、ブチルウリア;1,3−ジメチルウリア;エチ
    ルウリア;プロピルウリア;イソプロピルウリア;1,
    3−ジエチルウリアである、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 ポリマー分散剤がブロックコポリマーで
    あり、インク組成物がその全重量を基準に約0.1〜8
    %の顔料、0.1〜8%のブロックコポリマー、および
    84〜99.8%の水性キャリアー媒体とカール防止剤
    からなる、請求項2に記載の方法。
  9. 【請求項9】 インク組成物がその全重量を基準に、約
    0.01〜20%の色素、および80〜99.99%の水
    性キャリアー媒体とカール防止剤からなる、請求項1に
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 カール防止剤がインクの全重量を基準
    に10〜75%重量%の量で存在する、請求項1に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 インクジェットプリンターで普通紙基
    体にプリントするのに特に適した水性インクであって、
    前記インクが水性キャリアー媒体、着色剤およびこの紙
    基体におけるカールを実質的に取り除くのに有効な量の
    少なくとも1種のカール防止剤とから構成され、前記カ
    ール防止剤が重量でインクの10〜75%含まれ、25
    ℃で少なくとも4.5%の水溶性を有し、そして以下の
    各化合物よりなる群から選ばれる水性インク。 (a) 以下の式をもつ化合物: 【化6】 ここで、Rは1、2、4または5個の炭素原子をもつ直
    鎖または分岐鎖の脂肪族化合物である; (b) 以下の式をもつ化合物: 【化7】 ここで、R1、R2およびR3は独立してH、CH3または
    CH2CH3である; (c) 以下の式をもつ化合物: 【化8】 ここで、R1およびR2は独立してH、CH3またはCH2
    CH3である;そして (d) 以下の式をもつ化合物: 【化9】 ここで、R′およびR″は独立してH、CH3、−CH2
    CH3、−CH2CH2CH3、または 【化10】 であるが、ただしR′とR″とは合わせて6個までの炭
    素原子をもつこととする。
  12. 【請求項12】 着色剤が顔料とポリマー分散剤とから
    なる顔料分散物である、請求項11に記載のインク。
  13. 【請求項13】 着色剤が色素である、請求項11に記
    載のインク。
  14. 【請求項14】 カール防止剤をインクの12〜55重
    量%含む、請求項12または13に記載のインク。
  15. 【請求項15】 カール防止剤が構造(a)の化合物から
    選ばれた、アセトアミド、プロピオンアミド、イソブチ
    ルアミドおよびヘキサンアミドである、請求項11に記
    載のインク。
  16. 【請求項16】 カール防止剤が構造(b)の化合物から
    選ばれた、テトラヒドロ−2−ピリミドン;3−メチル
    −テトラヒドロ−2−ピリミドン;4−メチル−テトラ
    ヒドロ−2−ピリミドン;3−エチル−テトラヒドロ−
    2−ピリミドン;および4−エチル−テトラヒドロ−2
    −ピリミドンである、請求項11に記載のインク。
  17. 【請求項17】 カール防止剤が構造(c)の化合物から
    選ばれた、2−イミダゾリジノン;ジメチルイミダゾリ
    ジノン;およびジエチルイミダゾリジノンである、請求
    項11に記載のインク。
  18. 【請求項18】 カール防止剤が構造(d)の化合物から
    選ばれた、ブチルウリア;1,3−ジメチルウリア;エ
    チルウリア;プロピルウリア;イソプロピルウリア;
    1,3−ジエチルウリアである、請求項11に記載のイ
    ンク。
  19. 【請求項19】 インクが重量で0.1〜8%の顔料着
    色剤、0.1〜8%のポリマー分散剤および12〜55
    %のカール防止剤を含む、請求項11に記載のインク。
  20. 【請求項20】 インクがブロックポリマーと15〜3
    0重量%の少なくとも1種のカール防止剤とを含む、請
    求項11に記載のインク。
  21. 【請求項21】 インクが色素着色剤と15〜30重量
    %の少なくとも1種のカール防止剤を含む、請求項11
    に記載のインク。
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