JPH09176392A - 耐火性樹脂組成物 - Google Patents

耐火性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH09176392A
JPH09176392A JP33491395A JP33491395A JPH09176392A JP H09176392 A JPH09176392 A JP H09176392A JP 33491395 A JP33491395 A JP 33491395A JP 33491395 A JP33491395 A JP 33491395A JP H09176392 A JPH09176392 A JP H09176392A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphorus compound
resin composition
polyethylene
weight
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33491395A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Tono
正樹 戸野
Bunji Yamaguchi
文治 山口
Kenji Iuchi
謙治 居内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP33491395A priority Critical patent/JPH09176392A/ja
Publication of JPH09176392A publication Critical patent/JPH09176392A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性を有し、しかも燃焼後の残渣が充分な
形状保持能力を有することにより、顕著な耐火性能を発
現する耐火性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリエチレン系樹脂に、リン化合物、中
和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機充填剤を含有し
てなり、それぞれの含有量が、前記ポリエチレン系樹脂
100重量部に対して、リン化合物と中和処理された熱
膨張性黒鉛との合計量が20〜200重量部、無機充填
剤が50〜500重量部、中和処理された熱膨張性黒
鉛:リン化合物の重量比が、9:1〜1:9であり、前
記ポリエチレン系樹脂が、重合触媒として4価の遷移金
属を含むメタロセン化合物を用いて得られる耐火性樹脂
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐火性樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】建築材料の分野においては、従来から、
耐火性が重要な意味を持っている。近年、樹脂材料の用
途拡大に伴って、建築材料として樹脂材料が広く用いら
れてきており、耐火性能を付与された樹脂材料が求めら
れている。
【0003】このような耐火性能としては、単に材料自
体が燃え難いばかりではなく、火炎を裏面に回すことが
ない性質等も要求されている。樹脂成分及び有機成分
は、本質的に燃焼又は溶融する性質を有するので、いか
に長時間このような状態にならないか、含有される無機
成分が、いかに長時間脱落しないか等が問題となる。
【0004】特開平6−25476号公報には、ポリオ
レフィン樹脂に赤リン又はリン化合物と熱膨張性黒鉛と
を用いる技術が開示されている。このものは難燃性につ
いては充分であるが、例えば、シート状にして壁の裏打
ち材等に使用した場合には、耐火、防火試験において脆
い灰分だけが残り、残渣が脱落したり、裏面の温度が2
60℃以上に上昇してしまう等の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記に鑑み、本発明
は、難燃性を有し、しかも燃焼後の残渣が充分な形状保
持能力を有することにより、顕著な耐火性能を発現する
耐火性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、耐火性
樹脂組成物を構成するにあたって、ポリエチレン系樹脂
に、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び、
無機充填剤を含有してなり、それぞれの含有量が、前記
ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、リン化合物
と中和処理された熱膨張性黒鉛との合計量が20〜20
0重量部、無機充填剤が50〜500重量部、中和処理
された熱膨張性黒鉛:リン化合物の重量比が、9:1〜
1:9であり、前記ポリエチレン系樹脂が、重合触媒と
して4価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得
られるものとするところに存する。以下に本発明を詳述
する。
【0007】本発明の耐火性樹脂組成物は、ポリエチレ
ン系樹脂に、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒
鉛、及び、無機充填剤を含有してなる。上記ポリエチレ
ン系樹脂は、重合触媒として4価の遷移金属を含むメタ
ロセン化合物を用いて得られる。上記メタロセン化合物
としては、一般に遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で
挟んだ構造の化合物を示し、ビス(シクロペンタジエニ
ル)金属錯体が代表的なものであり、例えば、チタン、
ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、白
金等の4価の化合物に1又は2以上のシクロペンタジエ
ニル環又はその類縁体が配位子として存在する化合物等
が挙げられる。
【0008】上記配位子としては、例えば、シクロペン
タジエニル環、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水
素−置換メタロイド基により置換されたインデニル基等
が挙げられる。これらπ電子系の不飽和化合物以外にも
配位子として、塩素、臭素等の1価のアニオン配位子又
は2価のアニオンキレート配位子、炭化水素、アルコキ
シド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、ホ
スフィド、アリールホスフィド等が遷移金属配位子に配
位結合していてもよい。上記シクロペンタジエニル環に
置換する炭化水素基としては、例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、アミル、イソアミル、ヘキシ
ル、イソブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシ
ル、セチル、2−エチルヘキシル、フェニル等が挙げら
れる。
【0009】上記メタロセン化合物としては、例えば、
シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミ
ド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス
(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チ
タニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシク
ロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジク
ロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエ
ニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチ
ルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−
ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフ
ェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−
ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニ
ウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウム
トリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリ
ス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウム
トリス(ジ−n−ブチルアミド)等が挙げられる。
【0010】上記メタロセン化合物は、金属の種類や配
位子の構造を変え、特定の共触媒(助触媒)と組み合わ
せることにより、モノマーの重合の際、触媒としての作
用を発揮する。より具体的には、重合は通常これらメタ
ロセン化合物に共触媒としてメチルアルミノキサン(M
AO)、ホウ素化合物を加えた触媒系で行われる。上記
メタロセン化合物に対する共触媒の割合は、10〜10
0万モル倍、好ましくは50〜5000モル倍である。
【0011】上記重合の条件は、特に制限されず、例え
ば、不活性媒体を用いる溶液重合法、実質的に不活性媒
体が存在しない塊状重合法、及び、気相重合法等が利用
できる。重合温度は通常−100〜300℃、重合圧力
は常圧〜100kg/cm2で行うのがよい。上記メタ
ロセン化合物は触媒として、活性点の性質が均一である
という特徴を有しており、各活性点が同じ活性度を備え
ているため、合成するポリマーの分子量、分子量分布、
組成、組成分布の均一性が高まる。従ってこれらのメタ
ロセン触媒にて重合されたポリオレフィンは分子量分布
が狭く、共重合の場合、どの分子量成分にも重合体成分
がほぼ等しい割合で導入される。
【0012】上記メタロセン化合物を重合触媒として得
られたポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重
合体及びエチレン−αオレフィン共重合体が挙げられ
る。上上記αオレフィンとしては、例えば、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メ
チル−1−ペンテン、1−オクテンが挙げられる。この
ようなものとして、例えば、ENGAGE(ダウケミカ
ル社製)、EXACT(エクソン・ケミカル社製)等が
市販されている。
【0013】本発明で用いられるポリエチレン系樹脂
は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した結晶融
解ピークが一つであり、かつ、融解ピーク温度より全結
晶が融解し終わるまでの温度幅が、40℃以内のものが
好ましい。上記結晶融解ピークが一つであるということ
は、二つ以上のピークに明確に分かれていない場合を包
含する。結晶融解ピークが複数存在すると、結晶性の異
なる成分が複数個存在することを意味し、その場合無機
充填剤の高充填が困難となる。また、温度幅が40℃を
超えると、ポリエチレン分子間で結晶性の高いものと低
いものとの差が大きくなり、やはり無機充填剤の高充填
が困難となる。
【0014】本発明における示差走査熱量分析は以下の
方法で行うことができる。約10mgのポリエチレン系
樹脂サンプルをアルミパンに入れ、示差走査熱量計(D
SC、セイコー電子社製SSC5200型)にて測定す
る。測定条件は、サンプルを一度融解させた後、5℃/
minの速度で−50℃まで冷却させ、それから5℃/
minの昇温速度で測定する。
【0015】上記ポリエチレン系樹脂は、密度が、0.
860〜0.945g/cm3 であって、クロス分別法
によって10重量%溶出したときの温度から100重量
%溶出し終わったときの温度幅が、50℃以下であり、
重量平均分子量/数平均分子量が、1.5〜3.5のも
のが好ましい。密度が0.860g/cm3 未満である
と、ポリエチレン樹脂組成物の耐熱性が低下し、0.9
45g/cm3 を超えると、結晶性が高く、無機充填剤
の充填が困難となる。温度幅が50℃を超えると、ポリ
エチレン系樹脂中に結晶性の高い部分と低い部分が同時
に存在することになり、無機充填剤の高充填が難しくな
る。
【0016】上記クロス分別法(CFC分析)とは、以
下に示すものである。まず、ポリエチレン系樹脂を14
0℃又はポリエチレン系樹脂が完全に溶解する温度のo
−ジクロロベンゼンに溶解し、次いで、一定温度で冷却
し、予め用意しておいた不活性担体の表面に、薄いポリ
マー層を結晶性及び分子量の高い順に生成させる。次に
温度を連続的又は段階的に昇温し、順次溶出した成分の
濃度を検出して、組成分布(結晶性分布)を測定する。
これを温度上昇溶離分別(Temperature R
ising Elution Fractionati
on;TREF)という。同時に順次溶出した成分を高
温型GPC(SizeExclusion Chrom
atograph;SEC)により分析して、分子量と
分子量分布を測定する。本発明では上述した温度上昇溶
離分別部分と高温GPC部分の両者をシステムとして備
えているクロス分別クロマトグラフ装置(CFC−T1
50A型、三菱化学社製)を用いて測定する。
【0017】本発明の耐火性樹脂組成物には、上記ポリ
エチレン系樹脂のほか、他の樹脂を添加してもよい。上
記他の樹脂としては、例えば、他のポリオレフィン系樹
脂が好ましく、なかでも他のポリエチレン系樹脂が好ま
しい。上記他のポリエチレン系樹脂としては、例えば、
メタロセン化合物以外の触媒を用いて合成される高密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とする共重
合体、これらの混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−エチレンアクリレート共重合体等が挙げ
られる。上記エチレンを主成分とする共重合体として
は、例えば、エチレン部を主成分とするエチレン−αオ
レフィン共重合体等が挙げられ、上記αオレフィンとし
ては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げ
られる。
【0018】本発明の耐火性樹脂組成物は、上記ポリエ
チレン系樹脂に、リン化合物、中和処理された熱膨張性
黒鉛、及び、無機充填剤を含有してなる。本発明の耐火
性樹脂組成物の耐火性能は、これら3成分がそれぞれの
性質を発揮することにより発現する。具体的には、加熱
時に熱膨張性黒鉛が膨張断熱層を形成して熱の伝達を阻
止する。無機充填剤は、その際に熱容量を増大させる。
リン化合物は、膨張断熱層及び充填材の形状保持能力を
有する。
【0019】上記リン化合物としては特に限定されず、
例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレ
ジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレ
ジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホ
スフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウ
ム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金
属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で
表される化合物等が挙げられる。なかでも、ポリリン酸
アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物が
好ましい。
【0020】
【化1】
【0021】式中、R1 、R3 は、水素、炭素数1〜1
6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数
6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数
1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数
1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭
素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のア
リールオキシ基を表す。
【0022】上記赤リンとしては、市販の赤リンを用い
ることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等
の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティ
ングしたもの等が好ましい。
【0023】上記ポリリン酸アンモニウム類としては、
例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリ
ン酸アンモニウム等が挙げられる。市販品としては、ヘ
キスト社製「AP462」、住友化学工業社製「スミセ
ーフP」が挙げられる。
【0024】上記一般式(1)で表される化合物として
は、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメ
チル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、
プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプ
ロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジ
メチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェ
ニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジ
メチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチ
ルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオ
クチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチル
フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス
(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられ
る。上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併
用してもよい。
【0025】本発明で用いられる熱膨張性黒鉛は、従来
公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラ
ファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝
酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸
塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強
酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させ
たもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物
である。
【0026】本発明では上記のように酸処理して得られ
た熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミ
ン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で
中和する。上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モ
ノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、
エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げ
られる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属
化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カル
シウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化
物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。このよ
うに中和処理した熱膨張性黒鉛の具体例としては、例え
ば、CA−60S、日本化成社製等が挙げられる。
【0027】本発明で用いられる中和処理された熱膨張
性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュのものが好まし
い。粒度が200メッシュより細かいと、黒鉛の膨張度
が小さく、望む耐火断熱層が得られず、粒度が20メッ
シュより大きいと、膨潤度が大きいという点では効果が
あるが、樹脂と混練する際の分散性が悪く物性の低下が
避けられない。
【0028】本発明で用いられる無機充填剤としては特
に限定されず、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸
化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウ
ム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、
水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイ
ト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マ
イカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セ
ピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、
ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒
化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイ
ト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チ
タン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」、チタン
酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデ
ン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁
性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げ
られる。なかでも、加熱時に脱水し、吸熱効果のある水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム等の含水無機物を用いるのが好ましい。
【0029】本発明においては、上記ポリエチレン系樹
脂100重量部に対して、上記リン化合物と上記中和処
理された熱膨張性黒鉛との合計量が20〜200重量
部、上記無機充填剤が50〜500重量部含有される。
上記リン化合物と上記中和処理された熱膨張性黒鉛との
合計量が20重量部未満であると、充分な耐火性能が得
られず、200重量部を超えると、機械的物性の低下が
大きく、使用に耐えられないので上記範囲に限定され
る。上記無機充填剤が50重量部未満であると、充分な
耐火性能が得られず、500重量部を超えると、機械的
物性の低下が大きく、使用に耐えられないので上記範囲
に限定される。
【0030】本発明においては、中和処理された熱膨張
性黒鉛とリン化合物を組み合わせることにより、燃焼時
の膨張黒鉛の飛散を抑え、形状保持を図るもので、熱膨
張性黒鉛が多すぎると、燃焼時に膨張した黒鉛が飛散
し、加熱時に充分な膨張断熱層が得られず、逆にリン化
合物が多すぎても、断熱層が充分でなく、望む効果が得
られなくなるため、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン
化合物の重量比は中和処理された熱膨張性黒鉛:リン化
合物=9:1〜1:9である。好ましくは5:1〜1:
5、より好ましくは3:1〜1:3である。
【0031】本発明では、組成物の物性を損なわない範
囲で、更に、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸
化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋
剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。
【0032】本発明の耐火性樹脂組成物は、上記各成分
を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニー
ダーミキサー、ロール等の混練装置を用いて混練するこ
とにより得られる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0034】実施例1 直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン重合触媒によっ
て得られた密度=0.870、MI=5.0、CFC分
析による全樹脂の10wt%溶出する温度=8℃、CF
C分析による全樹脂の溶出する温度=50℃、重量平均
分子量/数平均分子量=2.06、DSC分析による結
晶融解ピーク温度=47℃、DSC分析による結晶融解
終了温度=78℃)(表1中、LLDPE1と表す)
に、中和処理された熱膨張性黒鉛(CA−60S、日本
化成社製)、ポリリン酸アンモニウム(スミセーフP、
住友化学社製)、t−ブチルホスホン酸(和光純薬社
製)、水酸化アルミニウム(B703S、日本軽金属社
製)、水酸化マグネシウム(キスマ5B、協和化学社
製)を表1に示した配合割合で、各成分をロールを用い
て、溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂
組成物を140℃でプレスし、耐火性評価に用いる試験
片を作製した。
【0035】耐火性の評価は、コーンカロリーメータ
(CONE2A、アトラス社製)を用いて、照射熱量3
5kW/m2 (水平方向)で行った。評価方法は試験片
(長さ100mm、幅100mm、厚さ3.0mm)に
上記熱量を30分間与えた後、試験片裏面の温度が26
0℃以下のものを○、260℃を超えるものを×とし
た。結果を表1に示した。
【0036】実施例2、3及び比較例1、2 表1に示した配合成分、配合割合で各成分をロールを用
いて、溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹
脂組成物を実施例1と同様にして試験片をして耐火性の
評価を行った。結果を表1に示した。
【0037】表1中、LLDPE2は、メタロセン重合
触媒によって得られた直鎖状低密度ポリエチレン(密度
=0.888、MI=2.2、CFC分析による全樹脂
の10wt%溶出する温度=30℃、CFC分析による
全樹脂の溶出する温度=53℃、重量平均分子量/数平
均分子量=2.10、DSC分析による結晶融解ピーク
温度=74℃、DSC分析による結晶融解終了温度=9
0℃)を表し、LDPEは、低密度ポリエチレン(密度
=0.92、MI=7.0)を表す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明により得られる耐火性樹脂組成物
は、加熱時に膨張断熱層を形成し、さらにその形状を保
持することにより顕著な耐火性を有しており、幅広い用
途に提供できるものであり、成形して、壁貫通管の耐火
被覆等に好適に用いられるものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン系樹脂に、リン化合物、中
    和処理された熱膨張性黒鉛、及び、無機充填剤を含有し
    てなり、それぞれの含有量が、前記ポリエチレン系樹脂
    100重量部に対して、リン化合物と中和処理された熱
    膨張性黒鉛との合計量が20〜200重量部、無機充填
    剤が50〜500重量部、中和処理された熱膨張性黒
    鉛:リン化合物の重量比が、9:1〜1:9であり、前
    記ポリエチレン系樹脂が、重合触媒として4価の遷移金
    属を含むメタロセン化合物を用いて得られるものである
    ことを特徴とする耐火性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエチレン系樹脂が、示差走査熱量計
    (DSC)を用いて測定した結晶融解ピークが一つであ
    り、かつ、融解ピーク温度より全結晶が融解し終わるま
    での温度幅が、40℃以内のものである請求項1記載の
    耐火性樹脂組成物。
JP33491395A 1995-12-22 1995-12-22 耐火性樹脂組成物 Pending JPH09176392A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33491395A JPH09176392A (ja) 1995-12-22 1995-12-22 耐火性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33491395A JPH09176392A (ja) 1995-12-22 1995-12-22 耐火性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09176392A true JPH09176392A (ja) 1997-07-08

Family

ID=18282645

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33491395A Pending JPH09176392A (ja) 1995-12-22 1995-12-22 耐火性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09176392A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007501309A (ja) * 2003-08-01 2007-01-25 ミレニアム インオーガニック ケミカルズ、 インコーポレイテッド 有機ホスフィン酸化合物で処理された無機粒子状固体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007501309A (ja) * 2003-08-01 2007-01-25 ミレニアム インオーガニック ケミカルズ、 インコーポレイテッド 有機ホスフィン酸化合物で処理された無機粒子状固体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106496729B (zh) 基于含磷成炭剂和次磷/膦酸盐复配阻燃的高分子材料
JP3838780B2 (ja) 耐火性シート状成形体及びシート積層体
US20150004343A1 (en) Polyolefin flame retardant composition and synergists thereof
WO1998031730A1 (fr) Moulage de type feuille resistant au feu, lamine resistant au feu et recouvrant une tole, structure resistant au feu pour paroi et procede de fabrication de la tole et de la paroi resistant au feu
MX2013014883A (es) Composicion polimerica retardante de flama libre de halogeno que comprende retardante de flama intumescente basado en piperizina.
KR20150070130A (ko) 열팽창성 수지조성물
JP2009197476A (ja) 防火区画貫通部構造およびその施工方法
JP4908907B2 (ja) 防火区画貫通部構造
JP2007332715A (ja) 耐火被覆構造体
JPH08113662A (ja) 高難燃性樹脂発泡体
JP3299899B2 (ja) 耐火性樹脂組成物
JPH09208731A (ja) 難燃性ポリオレフィン系樹脂発泡体
JPH09176579A (ja) 耐火テープ
JP2002114914A (ja) 耐火性樹脂組成物およびそのシート状成形体
JPH09176392A (ja) 耐火性樹脂組成物
JPS608349A (ja) 煙抑制後塩素化ポリ塩化ビニル組成物
JP5066303B1 (ja) 高耐火性ゴム組成物シート
JPH09176404A (ja) 耐火性樹脂組成物
JP3832703B2 (ja) 耐火性塗料
JPH107838A (ja) 耐火性ゴム組成物
JP3588864B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JPH0873649A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JPH093256A (ja) 難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物
JP3688508B2 (ja) 耐火性多層シート
JPH11333989A (ja) 耐火性多層シート

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20040324

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040721