JPH09175439A - 自動車の後部車体構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 専用のリヤエンドクロスメンバや補強部材を
用いることなく車体後部の剛性向上を図る。 【解決手段】 リヤエンドパネル１の下端部に曲折成形
した延設部３を、リヤフロアパネル２の後端部に形成し
たオフセット部４の下側にオーバーラップさせて接合
し、これら延設部３とオフセット部４とで車幅方向に延
在する閉断面のリヤエンドクロスメンバ８を構成するこ
とによって、車体後部の剛性が高められる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車の後部車体構
造、とりわけ、リヤエンドパネルとリヤフロアパネルと
の接続部周りの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車の中でもワゴン系の車両は、リヤ
エンドパネルの下端部裏面にリヤエンドクロスメンバを
接合して閉断面を形成し、該リヤエンドクロスメンバに
リヤフロアパネルの後端を突き当てて接合して、該リヤ
エンドクロスメンバによって車体後部の剛性を高めるよ
うにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】セダン系の車両はワゴ
ン系の車両と異なり、車体の後部ウエスト部にリヤパー
セルパネルを配設してあるためある程度は車体後部の剛
性を確保できるが、音振性能の向上および後面衝突対策
等の観点から車体後部の剛性向上のニーズが高まってい
る。

【０００４】そこで、このセダン系の車両にあっても前
述したワゴン系車両と同様にリヤエンドクロスメンバの
配設が望まれるが、長大なリヤエンドクロスメンバを用
いればその分車体重量が嵩んで要望されている車体の軽
量化に逆行してしまうのみならず、部品点数および組付
工数等が増加してコスト的に不利となってしまう。

【０００５】そこで、本発明は長大なリヤエンドクロス
メンバやその他の専用の補強部材を用いることなく車体
後部の剛性を高めることができる自動車の後部車体構造
を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１にあっては、リ
ヤエンドパネルの下端部とリヤフロアパネルの後端部と
を、それらの間に閉断面が形成されるようにオーバーラ
ップして接合して、これらリヤエンドパネルの下端部と
リヤフロアパネル後端部とで車幅方向に延在するリヤエ
ンドクロスメンバを構成したことを特徴としている。

【０００７】請求項２にあっては、リヤエンドパネルの
下端部に前方に向けて延設部を曲折成形する一方、リヤ
フロアパネルの後端部に上方に曲折したオフセット部を
形成し、該オフセット部の下側に前記延設部をオーバー
ラップさせて接合して、これら延設部とオフセット部と
で車幅方向に延在する閉断面のリヤエンドクロスメンバ
を構成したことを特徴としている。

【０００８】請求項３にあっては、請求項２に記載のリ
ヤフロアパネルの後端部のオフセット部を斜め上方に傾
斜成形する一方、上側に開口する開断面に形成されてリ
ヤフロアパネル下面に接合されたリヤサイドメンバの後
端部両側壁をその開き角度を後端に至るに従って拡大し
て傾斜壁として形成し、他方、リヤエンドパネルの延設
部に該リヤサイドメンバ後端部の外形形状に見合った凹
部を前後方向に形成して、該凹部をリヤサイドメンバ後
端部に外嵌重合して接合したことを特徴としている。

【０００９】請求項４にあっては、請求項３に記載のリ
ヤエンドパネルの延設部に形成した凹部の前端をリヤサ
イドメンバの後端に外嵌重合して接合すると共に、該凹
部を前端から後端に至るに従って深さを浅く形成したこ
とを特徴としている。

【００１０】請求項５にあっては、請求項３，４に記載
のリヤサイドメンバ後端部の傾斜側壁に外側に膨出する
ビード部を形成し、該ビード部外面にブラケット類を接
合配置する一方、リヤエンドパネルの延設部に形成した
凹部の側壁に、前記ビード部の進入係合を許容する切欠
部を形成したことを特徴としている。

【００１１】請求項６にあっては、請求項５に記載のリ
ヤサイドメンバ後端部の傾斜側壁と、リヤエンドパネル
の延設部に形成した凹部の側壁との重合部分に、該凹部
の側壁に設けた切欠部周りに閉断面部を形成したことを
特徴としている。

【００１２】

【発明の効果】請求項１によれば、リヤエンドパネルの
下端部とリヤフロアパネルの後端部とで閉断面のリヤエ
ンドクロスメンバを構成しているから、別部品のリヤエ
ンドクロスメンバを用いた車両と同等の車体剛性が得ら
れて、コスト的におよび重量的に有利に音振性能および
後面衝突性能を高めることができる。

【００１３】請求項２によれば、リヤフロアパネルの後
端部のオフセット部と、リヤエンドパネルの延設部とで
リヤエンドクロスメンバを構成することによって、請求
項１と同様の効果を得ることができることは勿論、リヤ
フロアパネルの後端部およびリヤエンドパネルの地上高
を不必要に低めなくても済むから、車体後部の造形を容
易に行えると共にフロア下部品の配設レイアウトに支障
となることはなく、また、路面干渉の問題を生じること
もない。

【００１４】請求項３によれば、請求項２の効果に加え
て、リヤサイドメンバとリヤエンドクロスメンバの閉断
面同志を構造上およびレイアウト上無理なく直結するこ
とができて車体剛性をより一層高めることができる。

【００１５】また、リヤサイドメンバ後端部のリヤエン
ドクロスメンバとの接続部分の閉断面積を拡大できて、
応力が集中し易い該接続部分の剛性を著しく高めること
ができる。

【００１６】請求項４によれば、請求項３の効果に加え
て、延設部の凹部がリヤサイドメンバの延長部として機
能するから、該リヤサイドメンバ後端部と凹部とのラッ
プ量を極力少なくして強度、剛性を損なうことなく軽量
化を図ることができる。

【００１７】また、凹部の後側の地上高が高くなるた
め、リヤサイドメンバに沿って配設されるフロアフ下部
品であるマフラーの配設地上高を極力高く、しかも、フ
ロアセンター側に寄せて配設することができて、該マフ
ラーの路面干渉を回避することができると共に、マフラ
ーの配設レイアウトを容易にすることができる。

【００１８】請求項５によれば、請求項３又は４の効果
に加えて、ブラケット類は面剛性の高いビード部に接合
してあるため、該ブラケット類を介して作用する入力に
よってリヤサイドメンバ側壁が変形するのを防止するこ
とができる。

【００１９】また、凹部側壁の切欠部によってビード部
の進入係合が許容されるため、リヤサイドメンバ後端部
と凹部との前後方向からの挿入嵌合が容易で組付性を向
上することができる。

【００２０】請求項６によれば、請求項５の効果に加え
て、切欠部周りが閉断面部で補強されるから切欠部の形
成による強度、剛性の低下を回避することができる。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
と共に詳述する。

【００２２】図１〜４において、１はリヤエンドパネ
ル、２はリヤフロアパネルを示し、リヤエンドパネル１
の下端部には前方に向けて延設部３を略水平に曲折成形
してある一方、リヤフロアパネル２の後端部には上方に
曲折したオフセット部４を形成してある。

【００２３】延設部３はオフセット部４の下側にオーバ
ーラップさせてその前端部をリヤフロアパネル２の一般
部の下面に重合して接合し、また、オフセット部４はそ
の後端の周縁フランジ２ａをリヤエンドパネル１面に突
き当てて接合して、これら延設部３とオフセット部４と
で車幅方向に延在する閉断面のリヤエンドクロスメンバ
５を構成している。

【００２４】この実施形態では、オフセット部４を斜め
上方に傾斜成形して、車両の後面衝突時に該オフセット
部４の曲折基部に極力応力が集中することがないように
している。

【００２５】また、リヤエンドクロスメンバ５の両側端
部は、リヤフロアパネル２の側縁部の周縁フランジ２ａ
およびリヤエンドパネル１の下側部の周縁フランジ１ａ
に亘って接合したフロアサイドパネル６で閉塞してあっ
て、リヤフェンダパネル７はこのフロアサイドパネル６
に接合してある。

【００２６】８は断面逆ハット形に形成され、上縁のフ
ランジ８ａをリヤフロアパネル２の下面に重合して接合
して閉断面を形成した車体前後方向の強度部材であるリ
ヤサイドメンバを示し、該リヤサイドメンバ８の後端部
の両側壁はその開き角度を後端に至るに従って拡大して
傾斜側壁９として形成してある。

【００２７】一方の傾斜側壁９の後端寄りには外側に膨
出するビード部１０を形成してあり、該ビード部１０に
タイダウンフックやマフラー１６を支持するブラケット
等のブラケット類１１を接合配置してある。

【００２８】一方、リヤエンドパネル１の延設部３に
は、前記リヤサイドメンバ８に対応する部分に該リヤサ
イドメンバ８の後端部の外形形状に見合った凹部１２を
前後方向に形成してある。

【００２９】本実施形態にあっては凹部１２の前端をリ
ヤサイドメンバ８の後端に外嵌重合して接合してあっ
て、凹部１２はこの接合した前端から後端に至るに従っ
て深さを浅くして凹底面１２ａを後斜上方に傾斜して形
成してある。

【００３０】また、凹部１２の側壁の前記ビード部１０
に対応する部分には、該ビード部１０の進入係合を許容
する切欠部１３を形成して、リヤサイドメンバ８の後端
と凹部１２とを前後方向から挿入嵌合し易いようにして
ある。

【００３１】更に、この切欠部１３の形成部周りは外側
に向けて段差成形してある一方、ビード部１０の形成部
周りを内側に向けて段差成形して、これら段差により切
欠部１３周りに閉断面部１４を形成して補強してある。

【００３２】また、リヤフロアパネル２の前記リヤサイ
ドメンバ８の後端と凹部１２の前端との嵌合部分に対応
する部位には、スポット溶接を行うための作業孔１５を
形成してある。

【００３３】この作業孔１５の形成部分は室内側に膨出
成形して面剛性を高めてある。

【００３４】以上の実施形態の構造によれば、リヤエン
ドパネル１の下端部に曲折成形した延設部３と、リヤフ
ロアパネル２の後端部のオフセット部４とで車幅方向に
延在する閉断面のリヤエンドクロスメンバ５を構成して
あるから、従来、専用の長大なリヤエンドクロスメンバ
を用いて車体後部の剛性を高めていたものと何等遜色の
ない車体剛性が得られて、コスト的におよび重量的に有
利に音振性能の向上と後面衝突性能の向上とを実現する
ことができる。

【００３５】特に、前記延設部３はオフセット部４の下
側にオーバーラップさせて接合して、リヤエンドクロス
メンバ５の下側への突出をなくしているから、リヤエン
ドクロスメンバ５を構成するためにリヤフロアパネル２
の後端部およびリヤエンドパネル１の地上高を不必要に
低めなくても済み、従って、車体後部の造形を容易に行
えると共にマフラー１６等のフロア下部品の配設レイア
ウトに支障となることはなく、また、路面干渉の問題を
生じることはない。

【００３６】また、前記オフセット部４を斜め上方に傾
斜成形してあるから、車両の後面衝突時に該オフセット
部４の曲折基部に応力が集中するのを極力回避すること
もできる。

【００３７】一方、リヤサイドメンバ８はその後端部両
側壁をそれらの開き角度を拡げて傾斜側壁９としてあっ
て、この開き角度を拡げた後端部を前記延設部３に形成
した凹部１２に嵌合して接合してあるから、リヤサイド
メンバ８とリヤエンドクロスメンバ５の閉断面同志を構
造上およびレイアウト上無理なく直結できて車体剛性を
高められることは勿論、リヤエンドクロスメンバ５との
接続部分の閉断面積を拡大できて、応力が集中し易いこ
れらリヤエンドクロスメンバ５とリヤサイドメンバ８と
の接続部分の剛性が高められて、車体後部の強度、剛性
を著しく高めることができる。

【００３８】とりわけ、本実施形態にあっては凹部１２
の前端をリヤサイドメンバ８の後端に嵌合接続して、該
凹部１２の深さを後端側が浅くなるように傾斜成形して
あるから、リヤサイドメンバ８の後端部と凹部１２との
ラップ量を少なくして強度、剛性を損なうことなく軽量
化を図ることができると共に、凹部１２の後側地上高が
高くなることからリヤサイドメンバ８の外側に沿って配
設されるマフラー１６の配設地上高を極力高く、しか
も、フロアセンター側に寄せて配設することができて、
マフラー１６の路面干渉回避と、配設レイアウトの自由
度を高めることができる。

【００３９】更に、リヤサイドメンバ８後端部の傾斜側
壁９のブラケット類１１を接合配置した部分はビード部
１０として形成してあるから、このタイダウンフック等
のブラケット類１１を介して作用する入力によってリヤ
サイドメンバ側壁が変形するのを防止ことができ、しか
も、凹部１２の切欠部１３周りには閉断面部１４を形成
してあるため、該切欠部１３周りの剛性も高められて品
質感および信頼性を一段と向上することができる。

【００４０】なお、前記実施形態では凹部１２の前端を
リヤサイドメンバ８の後端に嵌合接続してあるが、凹部
１２とリヤサイドメンバ８の後端部の全体をラップさせ
て接合するようにしてもよいことは勿論である。

【００４１】また、この場合、凹部１２およびリヤサイ
ドメンバ８の後端部の両者を後斜上方に傾斜成形して路
面干渉対策を図ることが望ましい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す斜視図。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図３】図１のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【図４】図１のＣ−Ｃ線に沿う断面図。

【符号の説明】

１ リヤエンドパネル ２ リヤフロアパネル ３ 延設部 ４ オフセット部 ５ リヤエンドクロスメンバ ８ リヤサイドメンバ ９ 傾斜側壁 １０ ビード部 １１ ブラケット部 １２ 凹部 １３ 切欠部 １４ 閉断面部

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リヤエンドパネルの下端部とリヤフロア
   パネルの後端部とを、それらの間に閉断面が形成される
   ようにオーバーラップして接合して、これらリヤエンド
   パネルの下端部とリヤフロアパネルの後端部とで車幅方
   向に延在するリヤエンドクロスメンバを構成したことを
   特徴とする自動車の後部車体構造。
2. 【請求項２】 リヤエンドパネルの下端部に前方に向け
   て延設部を曲折成形する一方、リヤフロアパネルの後端
   部に上方に曲折したオフセット部を形成し、該オフセッ
   ト部の下側に前記延設部をオーバーラップさせて接合し
   て、これら延設部とオフセット部とで車幅方向に延在す
   る閉断面のリヤエンドクロスメンバを構成したことを特
   徴とする自動車の後部車体構造。
3. 【請求項３】 リヤフロアパネルの後端部のオフセット
   部を斜め上方に傾斜成形する一方、上側に開口する開断
   面に形成されてリヤフロアパネル下面に接合されたリヤ
   サイドメンバの後端部両側壁をその開き角度を後端に至
   るに従って拡大して傾斜壁として形成し、他方、リヤエ
   ンドパネルの延設部に該リヤサイドメンバ後端部の外形
   形状に見合った凹部を前後方向に形成して、該凹部をリ
   ヤサイドメンバ後端部に外嵌重合して接合したことを特
   徴とする請求項２記載の自動車の後部車体構造。
4. 【請求項４】 リヤエンドパネルの延設部に形成した凹
   部の前端をリヤサイドメンバの後端に外嵌重合して接合
   すると共に、該凹部を前端から後端に至るに従って深さ
   を浅く形成したことを特徴とする請求項３記載の自動車
   の後部車体構造。
5. 【請求項５】 リヤサイドメンバ後端部の傾斜側壁に外
   側に膨出するビード部を形成し、該ビード部外面にブラ
   ケット類を接合配置する一方、リヤエンドパネルの延設
   部に形成した凹部の側壁に、前記ビード部の進入係合を
   許容する切欠部を形成したことを特徴とする請求項３，
   ４記載の自動車の後部車体構造。
6. 【請求項６】 リヤサイドメンバ後端部の傾斜側壁と、
   リヤエンドパネルの延設部に形成した凹部の側壁との重
   合部分に、該凹部の側壁に設けた切欠部周りに閉断面部
   を形成したことを特徴とする請求項５記載の自動車の後
   部車体構造。