JPH09173797A - 中空糸の洗浄方法及び洗浄済みの中空糸型モジュール - Google Patents

中空糸の洗浄方法及び洗浄済みの中空糸型モジュール

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JPH09173797A
JPH09173797A JP34113995A JP34113995A JPH09173797A JP H09173797 A JPH09173797 A JP H09173797A JP 34113995 A JP34113995 A JP 34113995A JP 34113995 A JP34113995 A JP 34113995A JP H09173797 A JPH09173797 A JP H09173797A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のフロンによる中空糸の洗浄方法に代え
て、医療用途や、医薬、食品、半導体産業等に使用され
る中空糸に存在する油状物質を除去し得る中空糸の洗浄
方法及び該洗浄方法で洗浄した中空糸型モジュールを提
供すること。 【解決手段】 オゾン破壊係数が0.2以下の塩化フッ
素系炭化水素(例えば、構造式C3 HCl25 又はC
23 Cl2 F)とフッ化炭素系化合物(例えば、構造
式Cn F2n+n、n=5〜8)を混合した溶剤により、中
空糸に存在する流動パラフィン等の油状物質を除去する
中空糸の洗浄方法、及び、油状物質の残存量が中空糸内
径基準で1m2 あたり150mg以下の洗浄済みの中空
糸型モジュール。 【効果】 従来のフロン代替の洗浄剤の欠点を低減しつ
つ、中空糸に存在する油状物質を効率的に除去し得る洗
浄方法と洗浄済みのモジュールの提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は中空糸の洗浄方法及び洗
浄済みの中空糸型モジュールに関する。更に詳しくは、
医療用途(例えば血液浄化器)や、医薬、食品、半導体
産業等に使用される中空糸に残存する油状物質の洗浄方
法及び洗浄済みの中空糸型モジュールに関する。
【0002】
【従来技術】現在、各用途に各種素材の中空糸が提供さ
れている。かかる中空糸は、例えばポリマー溶液又はポ
リマー溶融物をオリフィスから押出す際に、中空糸の内
側に流動パラフィン等の油状物質を同時に吐出して、油
状物質を充填した状態で紡糸される。また、このように
して紡糸された中空糸は束ねられ、プラスチックより成
る血液浄化器用の円筒ケース内に装填され、中空糸束の
両端部をウレタン、エポキシ等の接着剤で固着した後、
接着部を切断して中空糸端部を開孔して血液浄化器(モ
ジュール)として製造される。ここで、中空糸内部に充
填された油状物質は、紡糸後又はモジュール化後に残存
するが、かかる残存した油状物質は中空糸内部にフロン
を通液することで効率良く除去でき、従来はフロンによ
り中空糸に残存する油状物質を除去していた。しかしな
がら、フロンはオゾン層を破壊することから、先進国を
中心に生産を中止し、使用を制限する方向へ進んでお
り、フロンに代わる代替の洗浄剤へ切替を早急に行うこ
とが必要とされている。
【0003】近年、これに対し、塩化フッ素系炭化水素
化合物、フッ化炭素系化合物、有機溶剤等によるフロン
の代替が検討されているが、それぞれ実用上の問題点を
有する。例えば、特開平07−138807には、塩化
フッ素系炭化水素化合物として、構造式C23 Cl2
Fの化合物を代替の洗浄剤として検討しているが、これ
らの化合物はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の
プラスチックへの浸食(例えば、表面がざらざらする、
部分溶解による白化、クラックが入る)があり、中空糸
をケースに組込んだ後に中空糸内部へ通液することがで
きなかった。特開平06−285160には、フッ化炭
素系化合物を代替の洗浄剤として検討しているが、これ
らの化合物は基本的に油状物質を溶解することは無く、
表面張力が低いため膜素材と油状物質の間に入り込み油
状物質を物理的に剥離する形で除去するため、油状物質
の除去効率が悪く、多量の洗浄剤を必要としていた。ま
た、特開平06−285161には、脂肪族炭化水素、
例えばヘキサンを代替の洗浄剤として検討している。こ
れらは油状物質を選択的に溶解除去することができる
が、引火点を持つため防爆設備の中での使用が必須とな
り、製造プロセスの大幅変更が必要となる。
【0004】このように、フロンの代替洗浄剤として完
全なものはないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記課
題を解決すべく鋭意研究した結果、中空部形成剤として
油状物質を用いて紡糸した中空糸を、塩化フッ素系炭化
水素とフッ化炭素系化合物とを混合した溶剤を用いて洗
浄することにより、下記の1〜3を充足し、且つ、油状
物質を選択的に除去し得ることを見い出した。 1.膜構造に変化を与えない 2.孔径保持剤であるグリセリンを残存させる 3.血液浄化器の部材である接着剤・ケースプラスチッ
クの浸食を抑える
【0006】即ち、本発明者らは、従来単独で用いられ
ていた(又は用いられ得ると考えられる)代替洗浄剤の
ある種のものを、適切に組み合わせて用いることによ
り、単なるプラス効果ではなく、予期せぬ効果、つまり
単独で用いた場合の欠陥を著しく低減し、且つ、より優
れた効果を発揮し得ることを見い出した。具体的には、
油状物質の溶解力を持つ塩化フッ素系炭化水素とフッ化
炭素系化合物を混合することにより、相対的に表面張力
が低いフッ化炭素系化合物が膜素材と油状物質の間に入
り込み、油状物質を膜面から浮上がらせ、塩化フッ素系
炭化水素で効率良く溶解し除去することが可能となり、
且つ、フッ化炭素系化合物は表面張力が低いため、膜
(含、孔径保持剤)と塩素系フッ素化合物の間にミクロ
な薄膜の様に介在し、塩素系フッ素化合物の浸食から膜
を保護するという効果を生じることを見い出した。
【0007】本発明者らは、上記知見に基づきさらに検
討を重ね、本願発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】つまり、本発明は、オゾ
ン破壊係数が0.2以下の塩化フッ素系炭化水素とフッ
化炭素系化合物とを含む溶剤により中空糸に残存する油
状物質を選択的に除去する中空糸の洗浄方法、及び、前
記洗浄方法により油状物質を除去した中空糸が装填され
たモジュールであって、油状物質の残存量が中空糸内径
基準で1m2 あたり150mg以下であることを特徴と
する中空糸型モジュールを提供するものである。
【0009】本発明の中空糸の洗浄方法に用いる溶剤
(塩化フッ素系炭化水素+フッ化炭素系化合物)中のフ
ッ化炭素系化合物の重量比は5〜60重量%であること
が好ましい。
【0010】本発明の中空糸の洗浄方法に用いる塩化フ
ッ素系炭化水素としては、構造式がC3 HCl25
び/又は構造式がC23 Cl2 Fの化合物が好まし
い。
【0011】本発明の中空糸の洗浄方法に用いるフッ化
炭素系化合物としては、構造式がC n2n+2(n=5〜
8)の化合物が好ましい。
【0012】本発明のモジュールに用いられる中空糸の
素材は、セルロース系ポリマー又はポリスルホン系ポリ
マーが好ましい。
【0013】本発明における中空糸の洗浄は、中空糸又
はモジュールの製造工程において、好適に用いることが
できる。通常、中空糸を製造する工程は、ポリマーを溶
媒・膨潤剤に溶解もしくは溶融させて紡糸原液を作製
し、これをチューブインオリフィスから中空糸状に押出
す際に、チューブから中空糸の内側に流動パラフィン等
の油状物質を同時に吐出して、油状物質を充填した状態
の中空糸を紡糸する。その後、例えば乾湿式紡糸では、
空中走行を経て同じ溶媒・膨潤剤組成で濃度を下げた凝
固浴に導き温度差・濃度差を駆動としてミクロ相分離を
起こさせ中空糸膜を形成させる。最終的には水洗槽で溶
剤・膨潤剤を除去した後に、孔径保持剤であるグリセリ
ンを充填し乾燥する。また、このようにして紡糸された
中空糸は束ねられ、プラスチックより成る血液浄化器用
の円筒ケース内に装填され、中空糸束の両端部をウレタ
ン、エポキシ等の接着剤で固着した後、接着部を切断し
て中空糸端部を開孔してモジュールとして製造される。
上記のように、中空糸又は中空糸を装填したモジュール
は製造されるが、本発明は、上記の製造工程の、例えば
溶媒・膨潤剤の除去後、グリセリン充填乾燥後、又は、
モジュール組立後等に適用することができる。なお、上
記においては、一例として乾湿式紡糸法につき説明した
が、本発明の適用範囲は乾湿式紡糸法に限定されるもの
ではなく、全ての紡糸法に適用することが可能である。
【0014】本発明に用いられる中空糸の素材として
は、特に限定されるものではなく、例えば、再生セルロ
ースや改質セルロース(酢酸セルロース、三酢酸セルロ
ース)等のセルロース系ポリマー、ポリスルホン系ポリ
マー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリアミド系
ポリマー、ポリメチルメタクリレート系ポリマー等が挙
げられるが、特にセルロース系ポリマー及びポリスルホ
ン系ポリマーの中空糸には好適に適用できる。これらの
ポリマーの場合、紡糸する時に、油状物質を中空部形成
剤として好適に用いられるからである。なお、本発明の
中空糸は、上記のポリマー単独で構成されていても、複
数が組み合わされて構成されていてもよく、また、上記
のポリマー以外に親水化剤として、例えばポリビニルピ
ロリドンやポリエチレングリコール等の親水性ポリマー
や低分子量又は中分子量の親水化剤が中空糸に含まれて
いてもよい。
【0015】本発明においては、オゾン破壊係数が0.
2以下の塩化フッ素系炭化水素とフッ化炭素系化合物と
を含む溶剤を用いる。かかる化合物を混合して用いるこ
とにより、中空糸に存在する油状物質を選択的、効率的
に除去でき、同時に、これらの化合物を単独で用いた場
合の例えば下記のような欠陥を著しく低減できるためで
ある。 1.膜構造に変化を与えない 2.孔径保持剤であるグリセリンを残存させる 3.血液浄化器の部材である接着剤・ケースプラスチッ
クの浸食を抑える 即ち、本発明においては、単独で用いられていた(又
は、用いられ得ると考えられる)上記の化合物を、組み
合わせて用いることにより、単なるプラス効果ではな
く、予期せぬ効果、つまり上記のような欠陥を著しく低
減し、且つ、より優れた選択的な油状物質の除去効果を
発揮して、中空糸を洗浄し、又は洗浄した中空糸及びモ
ジュールを得ることができる。具体的には、本発明にお
いて、油状物質の溶解力を持つ塩化フッ素系炭化水素を
フッ化炭素系化合物を用いて希釈することは、単に塩化
フッ素系炭化水素の油状物質以外(膜・グルセリン・ケ
ースプラスチック等)に対する接触確率を下げる希釈効
果ではない。つまり、両者の化合物の混合状態でも、相
対的に表面張力が低いフッ化炭素系化合物が膜素材と油
状物質の間に入り込み、油状物質を膜面から浮上がらせ
塩化フッ素系炭化水素で効率良く溶解することが可能で
あり、一方、フッ化炭素系化合物は表面張力が低いた
め、膜(含、孔径保持剤)と塩素系フッ素化合物の間に
ミクロな薄膜の様に介在し、塩素系フッ素化合物の浸食
から膜を保護するという効果を生じる。なお、上記でオ
ゾン破壊係数とは、CFC−11のオゾン破壊能力を1
とした相対値であり、UNEP(国連環境計画)のSy
nthesis Report(1991)に掲載され
た値を本発明では採用する。又、本発明におけるオゾン
破壊係数は、現在実用化されている代替フロンのオゾン
破壊係数を指標として0.2と設定したもので、本来の
目的から明らかな通り、オゾン破壊係数は低いほどよ
く、本発明におけるオゾン破壊係数は0.15以下であ
ればより好ましい。
【0016】本発明で用いられるフッ化炭素系化合物の
重量比は、溶剤の全量(フッ化炭素系化合物+塩化フッ
素系炭化水素)に対して5〜60重量%が好ましい フッ化炭素系化合物の混合割合が5重量%未満では、塩
化フッ素系炭化水素固有の影響が強くなり、洗浄時に中
空糸そのものの構造が変化したり、グリセリンが油状物
質と共に溶解除去されたり、血液浄化器部材の樹脂・プ
ラスチックケースが浸食されることが顕在化する。一
方、フッ化炭素系化合物の混合割合が60重量%を越え
ると、塩化フッ素系炭化水素の油状物質の溶解能力が低
下するため、多量の洗浄剤を必要としたり、処理時間が
掛かりすぎることになる。より好ましい重量比は、10
〜50重量%である。
【0017】本発明で用いられる塩化フッ素系炭化水素
としては、オゾン破壊係数が0.2以下であり、油状物
質を溶解し得るものであれば特に制限はなく、各種の化
合物を単独に又は混合して用いることができる。具体的
には、塩化フッ素系炭化水素として、CHm Cln
4-m-n (m+n<4、m<3、n<3)、C2m Cl
n6-m-n (m+n<6、m<5、n<5)、C3m
Cln8-m-n (m+n<8、m<7、n<7)等が挙
げられる。特に、構造式がC23 Cl2 F(オゾン破
壊係数0.1)の化合物、構造式C3 HCl25 (オ
ゾン破壊係数0.03)の化合物は好適に用いられる。
これらの化合物は沸点が約55℃、約32℃と比較的高
く、常温での使用が容易なためである。
【0018】本発明で用いられるフッ化炭素系化合物と
しては、上記の塩化フッ素系炭化水素と相溶性があり、
塩素を含まない化合物であれば特に制限はなく、各種の
化合物を単独に又は混合して用いることができる。具体
的には、フッ化炭素系化合物として、Cn2n+2(n=
5〜8)、Cn2n+1NO(n=5〜8)等が挙げられ
る。特に、構造式がCn2n+2(n=5〜8)のフッ化
炭素系化合物が好適に持ちいられる。塩化フッ素系炭化
水素として、構造式がC23 Cl2 Fの化合物、構造
式C3 HCl25 の化合物を用いる場合、相溶性がよ
いためである。
【0019】本発明において除去し得る油状物質は、特
に限定されるものではなく、例えば、流動パラフィン、
イソプロピルミリスチレート等が挙げられる。また、本
発明において除去し得る油状物質は、中空糸の中空部に
存在している油状物質は当然として、中空糸の外表面及
び内表面に付着している油状物質や中空糸の孔に存在す
る油状物質も含む。
【0020】以下、本発明において、中空糸を洗浄する
方法の一例を具体的に説明するが、本発明は、下記の方
法に限定されるものではない。紡糸直後の場合は、紡糸
された中空糸を繊維束にして両端を軽く結束する。その
後、両端結束部外側を切断し、中空糸端部を開孔する。
繊維束を遠心機に組み込み繊維束が乱れない程度に低速
で遠心させ、おおよその油状成分を除去する。次に、繊
維束全体を液に縦形状で洗浄液に浸漬して上下させ、洗
浄液と内液の重力差を利用して洗浄液を中空糸内部に送
り込み、油状成分を完全に洗浄除去する。油状成分の除
去後、繊維束を加熱し洗浄液を蒸発除去する。モジュー
ル化後の場合は、紡糸された中空糸を繊維束にし、プラ
スチックの円筒ケース内に装填し、繊維束の両端部を例
えばウレタン接着剤で固着した後、接着部を切断し、中
空糸端部を開孔する。開孔後に円筒ケースごと遠心機に
掛けて遠心力でおおよその油状成分を除去する。その
後、ケースの両端にチューブを接続可能なポートを有す
るキャップをはめ込み、チューブを接続して片方から洗
浄液を流して、油状成分を完全に除去する。油状成分の
除去後、熱風を端部から送り込み、洗浄液を蒸発除去す
る。
【0021】本発明のモジュールは、油状物質の残存量
が中空糸内径基準で1m2 あたり150mg以下であ
る。油状物質は紡糸時、中空部を形成する目的で用いら
れるが、製品中においては、本来完全に除去されるべき
ものであり、本発明においても、油状物質の残存量が中
空糸内径基準で1m2 あたり100mg以下であればよ
り好ましい。なお、本発明において、油状物質の残存量
は例えば下記のように求める。中空糸内径基準で一定膜
面積(Am2 )分の中空糸をサンプルとしてモジュール
から切り出し、エーテルに浸漬して油状物質を抽出す
る。抽出後エーテルを蒸発させ油状物質を回収した後、
フロン(CFC113)に溶解してガスクロマトグラフ
ィーにより定量する(Bmg)。次式により計算する。 油状物質の残存量=B/A(mg/m2
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、下記の実施例において、透水性、尿素
及びビタミンB12の透析性は日本人工臓器学会で制定さ
れた「ダイアライザー性能評価基準」に従って測定し
た。
【0023】(実施例1)三酢酸セルロース25重量部
を溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン68重量部と
膨潤剤であるトリエチレングリコール7重量部と混合し
た後、熱的に溶解し紡糸原液(ドープ)とする。この紡
糸原液を150℃の温度にしたノズルに組込んだチュー
ブインオリフィスから中空糸状に押出す際に、チューブ
から中空糸の内側に流動パラフィンを同時に吐出して、
流動パラフィンを充填した状態の中空糸を紡糸する。そ
の後、5cmの空中走行を経てN−メチル−2−ピロリ
ドン13重量%、トリエチレングリコール2重量%およ
び水85重量%からなる14℃の凝固浴に導き温度差・
濃度差を駆動として中空糸状ドープにミクロ相分離を起
させ膜を形成させる。最終的には45℃の水洗槽で溶剤
・膨潤剤を除去した後に、孔径保持剤であるグリセリン
を充填し最終的に80℃で乾燥する。以上の操作により
内径200μm、膜厚15μm、空孔率60%の中空糸
を得た。このようにして紡糸された中空糸を8800本
の繊維束にしてポリカーボネイト樹脂の円筒ケース内に
装填し、中空糸繊維束の両端部をウレタン接着剤で固着
して内径基準で1.1平米の膜面積とした後、接着部を
切断して中空糸端部を開孔する。開孔後、円筒ケースご
とに遠心機に掛けて遠心力でおおよその内液を除去す
る。ケースの両端にチューブを接続できるポートを有す
るキャップをはめ込む。チューブを接続して片方から構
造式C3 HCl25 の塩化フッ素系炭化水素に構造式
614のフッ化炭素系化合物を溶剤全量に対し45重
量%で混合した溶剤を25℃で500ml/分の流量で
20分流して流動パラフィンを除去した。結果を表1に
示す。フロン洗浄による従来法(比較例5)と比べて同
等の流動パラフィン除去能力を示し、膜性能にも変化を
与えず且つポリカーボネートに対する浸食性も観察され
ない。従って、フロンの代替として有効である。
【0024】(実施例2)構造式C3 HCl25 の塩
化フッ素系炭化水素に構造式C614のフッ化炭素系化
合物を溶剤全量に対し15重量%で混合した溶剤によ
り、ポリカーボネートケース(ウレタンポッティング固
定)に実施例1の製法で作製した三酢酸セルロース膜を
組込み洗浄をおこなった。結果を表1に示す。フロン洗
浄による従来法(比較例5)と比べて同等の流動パラフ
ィン除去能力を示し、膜性能にも変化を与えず且つポリ
カーボネートに対する浸食性も観察されない。従って、
実施例1同様にフロンの代替として有効である。
【0025】(比較例1)構造式C3 HCl25 の塩
化フッ素系炭化水素のみを溶剤として、ポリカーボネー
トケース(ウレタンポッティング固定)に実施例1の製
法で作製した三酢酸セルロース膜を組込み洗浄を行っ
た。結果を表1に示す。流動パラフィンの除去には有効
であるが、同時にグリセリンが部分的に除去され膜性能
の低下が観察される。更にポリカーボネイトに対する浸
食性も観察されるため、フロンの代替としては有効では
ない。
【0026】(比較例2)構造式C614のフッ化炭素
系化合物のみを溶剤として、ポリカーボネートケース
(ウレタンポッティング固定)に実施例1の製法で作製
した三酢酸セルロース膜を組込み洗浄を行った。結果を
表1に示す。フロン洗浄による従来法(比較例5)と比
べて同じ溶剤量での洗浄をする限り流動パラフィンの除
去能力が劣り、中空糸内に残存する流動パラフィン量が
多い。また、残存量が多いことから膜性能も充分引き出
すことができない。ポリカーボネイトに対する浸食性は
観察されないが、総合的にみてフロンの代替としては有
効ではない。
【0027】(実施例3)構造式C23 Cl2 Fの塩
化フッ素系炭化水素に構造式C512のフッ化炭素系化
合物を溶剤全量に対し45重量%で混合した溶剤によ
り、ポリカーボネートケース(ウレタンポッティング固
定)に実施例1の製法で作製した三酢酸セルロース膜を
組込み洗浄を行った。結果を表2に示す。フロン洗浄に
よる従来法(比較例5)と比べて同等の流動パラフィン
除去能力を示し、膜性能にも変化を与えず且つポリカー
ボネートに対する浸食性も観察されない。従って、実施
例1、2同様フロンの代替として有効である。
【0028】(実施例4)構造式C23 Cl2 Fの塩
化フッ素系炭化水素に構造式C512のフッ化炭素系化
合物を溶剤全量に対し15重量%で混合した溶剤によ
り、ポリカーボネートケース(ウレタンポッティング固
定)に実施例1の製法で作製した三酢酸セルロース膜を
組込み洗浄を行った。結果を表2に示す。フロン洗浄に
よる従来法(比較例5)と比べて同等の流動パラフィン
除去能力を示し、膜性能にも変化を与えず且つポリカー
ボネートに対する浸食性も観察されない。従って、実施
例1、2、3同様にフロンの代替として有効である。
【0029】(比較例3)構造式C23 Cl2 Fの塩
化フッ素系炭化水素のみを溶剤として、ポリカーボネー
トケース(ウレタンポッティング固定)に実施例1の製
法で作製した三酢酸セルロース膜を組込み洗浄を行っ
た。結果を表2に示す。流動パラフィンの除去には有効
であるが、ポリカーボネイトに対する浸食性が観察され
るため、比較例1同様フロンの代替として有効ではな
い。
【0030】(比較例4)構造式C512のフッ化炭素
系化合物のみを溶剤として、ポリカーボネートケース
(ウレタンポッティング固定)に実施例1の製法で作製
した三酢酸セルロース膜を組込み洗浄を行った。結果を
表2に示す。比較例2同様、フロン洗浄による従来法
(比較例5)と比べて同じ溶剤量での洗浄をする限り流
動パラフィンの除去能力が劣り、中空糸内に残る流動パ
ラフィン量が多い。また、残量が多いことから膜性能も
十分引出すことができていない。ポリカーボネートに対
する浸食性は観察されないが、総合的にみてフロンの代
替としては有効でない。
【0031】(比較例5)構造式C2 Cl33 のフロ
ンにより、ポリカーボネートケース(ウレタンポッティ
ング固定)に実施例1の製法で作製した三酢酸セルロー
ス膜を組込み洗浄を行った。結果を表1および表2に従
来法の例として示す。
【0032】(実施例5)ジメチルホルムアミド1重量
%溶液の還元粘度が0.7であるポリエーテルスルホン
25重量部とポリビニルピロリドン3重量部に対し溶媒
であるN−メチル−2−ピロリドン50重量部と膨潤剤
であるポリエチレングリコール#200の15重量部及
びグルセリン7重量部と混合した後、熱的に溶解し紡糸
原液(ドープ)とする。この紡糸原液を145℃の温度
にしたノズルに組込んだチューブインオリフィスから中
空糸状に押出す際に、チューブから中空糸の内側に流動
パラフィンを同時に吐出して、流動パラフィンを充填し
た状態の中空糸を紡糸する。その後、4cmの空中走行
を経てN−メチル−2−ピロリドン21重量%、ポリエ
チレングリコール#200の6重量%、グリセリン3重
量%および水70重量%からなる30℃の凝固浴に導き
温度差・濃度差を駆動として中空糸状ドープにミクロ相
分離を起させ膜を形成させる。最終的には45℃の水洗
槽で溶剤・膨潤剤を除去した後に、孔径保持剤としてグ
リセリンを充填し、80℃で乾燥する。以上の操作によ
り内径200μm、膜厚30μm、空孔率63%の中空
糸膜が得られる。このようにして紡糸された中空糸膜を
8800本の繊維束にしてポリカーボネイト樹脂の円筒
ケース内に装填し、中空糸繊維束の両端部をウレタン接
着剤で固着して内径基準で1.1平米の膜面積とした
後、接着部を切断して中空糸端部を開孔する。ケースの
両端にチューブを接続できるポートを有するキャップを
はめ込む。チューブを接続して片方から構造式C3 HC
25 の塩化フッ素系炭化水素に構造式C614のフ
ッ化炭素系化合物を溶剤全量に対し45重量%で混合し
た溶剤を25℃で500ml/分の流量で20分流して
流動パラフィンを除去した。結果を表3に示す。フロン
洗浄による従来法(比較例6)と比べて同等の流動パラ
フィン除去能力を示し、膜性能にも変化を与えず且つポ
リカーボネートに対する浸食性も観察されない。従っ
て、フロンの代替として有効である。
【0033】(比較例6)構造式C2 Cl33 のフロ
ンにより、ポリカーボネートケース(ウレタンポッティ
ング固定)に実施例6の製法で作製したポリエーテルス
ルホン膜を組込み洗浄を行った。結果を表3に従来法の
例として示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明の中空糸の洗浄方法は、上記で説
明した通りの構成であり、従来のフロン代替の洗浄剤の
欠点を著しく低減しつつ、中空糸に存在する油状物質を
選択的に除去し得るものである。つまり、本発明の中空
糸の洗浄方法によれば、中空糸の構造に変化を与えず、
孔径保持剤であるグリセリンを残存させつつ、血液浄化
器の部材である接着剤・ケースプラスチックへの浸食を
抑えることが可能であり、且つ、中空糸に存在する油状
物質を選択的、効率的に除去することができる。また、
本発明の中空糸の洗浄方法は、各種の中空糸、各種の油
状物質に適用可能であり、中空糸の紡糸直後でもモジュ
ール化後でも適用することが可能である。よって、本発
明の効果は大である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オゾン破壊係数が0.2以下の塩化フッ
    素系炭化水素と塩素を含まないフッ化炭素系化合物とを
    含む溶剤を用いることを特徴とする中空糸の洗浄方法。
  2. 【請求項2】 前記溶剤(塩化フッ素系炭化水素+フッ
    化炭素系化合物)中の前記フッ化炭素系化合物の重量比
    が5〜60重量%であることを特徴とする請求項1に記
    載の中空糸の洗浄方法。
  3. 【請求項3】 前記塩化フッ素系炭化水素の構造式がC
    3 HCl25 及び/又はC23 Cl2 Fであること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空糸の洗
    浄方法。
  4. 【請求項4】 前記フッ化炭素系化合物の構造式がCn
    2n+2(n=5〜8)であることを特徴とする請求項1
    乃至請求項3に記載の中空糸の洗浄方法
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の中空糸の洗浄方
    法により洗浄された中空糸が装填されたモジュールであ
    って、油状物質の残存量が中空糸内径基準で1m2 あた
    り150mg以下であることを特徴とするモジュール。
  6. 【請求項6】 前記中空糸の素材がセルロース系ポリマ
    ー又はポリスルホン系ポリマーであることを特徴とする
    請求項5に記載のモジュール。
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