JP2008132441A - 逆浸透膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】空中走行部を簡易な方法で冷却させることで高い透水性能を有する中空糸型逆浸透膜を製膜する乾湿式紡糸製膜方法を提供することを目的とする。
【解決手段】湿式紡糸製膜方法において、空中走行部に通気性を有する伝熱冷却部材を設置して囲い、左記伝熱冷却部材の一部を凝固液に浸漬して空中走行部を冷却する。さらに、空中走行部は非通気性の区画部材によって区画され、該区画された空中走行部が外部と連通されていてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子材料からなる透水性に優れた中空糸状の逆浸透膜を製膜するための乾湿式紡糸法に関するものである。
従来から中空糸膜の形成方法として、乾湿式紡糸法が汎用されている。乾湿式紡糸法とは、高分子原料と溶媒さらに必要に応じて非溶媒その他添加剤を加えて溶解して製膜原液(ドープ)を調製し、左記製膜原液をノズルから吐出し、空中走行部を通過させた後、凝固浴を通過させる製膜法である。左記ノズルには、C型ノズルやアーク型ノズル、二重管型ノズル等が用いられ、製膜原液の内部に気体または液体を送入しあるいは自吸引により随伴させることにより、中空部を形成させる。得られた中空糸膜には、必要に応じてさらに洗浄、熱処理等が施される。
乾湿式紡糸法では、ノズル温度を高く設定することによって、吐出される製膜原液の温度を高くし、空中走行部での製膜原液の表面からの溶媒蒸発を促進させ、外表面に緻密な分離活性層を形成させることができるが、反面、透水性能は低下してしまう傾向にある。一方、透水性能を向上させるためには非対称構造を形成させることが重要である。吐出された製膜原液を冷却して温度を低下させ外表面から相分離を生じさせて中空糸内層部に多孔構造を形成させ、あるいは、空中走行部での溶媒の蒸発を抑制して緻密層の厚みを低下させることで、透水性能の向上が図られている。
セルロースエステルを溶媒に溶解した熱ドープを蒸発帯域(紡糸口金を囲む煙突状の区画)に押し出し、ついで水からなる氷水温度の凝固浴を通し、さらに熱水浴で焼きなましすることによって、セルロースエステルからなる中空糸型逆浸透膜を得る技術が開示されている(特許文献1参照)。紡糸ドープをセルロースエステルの溶媒に富んだ雰囲気中に押し出すことにより、熱ドープからの溶媒の蒸発を抑制し、冷却により押し出されたドープを急速にゲル化させ、外表面より中空の領域に面している表面に向かって漸次より少なく濃密になって密度勾配を有している非対称構造(外皮−芯構造)を得るものである。特許文献1には熱ドープが蒸発相中で急激に冷却される旨の記載があるが、蒸発帯域の温度を積極的に調整することについては記載も示唆も含まれていない。また、特許文献1に開示されているのは、中圧逆浸透膜の事例のみであり、海水淡水化に使用できる高耐圧高塩除去率の逆浸透膜については開示されていない。
特開昭47−4010号公報
また、紡糸口金と凝固浴との間の紡糸空間を非密閉状態が保たれるように囲み、その紡糸空間に製膜原液を吐出する熱誘起相分離法による中空糸膜の製造方法が開示されている(特許文献2参照)。紡糸ノズルと凝固浴との間の空間(紡糸空間)の温度や溶媒蒸気圧の変動の影響を抑制しながら、なおかつ、紡糸空間が飽和した溶媒蒸気で満たされること、および、熱が蓄積されることを防ぐ方策として、非密閉状態が保たれるように囲むのが適切である、とされている。この囲いは、周囲の外乱による温度や気流の変動による紡糸空間の溶媒蒸気圧や温度の変化を抑制することが主目的であり、発明の効果としては特性のばらつきの小さい中空糸膜を安定して製造できること、紡糸時の糸切れを抑制すること、が挙げられている。紡糸空間を積極的に冷却し、それによって中空糸膜の構造の改良および透水性能の向上を図ることについては、記載も示唆もされていない。
特開2004−174408号公報
また、乾湿式紡糸方法において空中走行部を断熱構造を有する部材で覆い外気を遮断することで安定して高性能な中空糸分離膜を製造できる技術が開示されている。(特許文献3参照)。この場合も空中走行部が周囲の外乱からの影響を受けないようにし中空糸膜特性の安定化を図る技術思想であり、空中走行部を積極的に冷却するなどして中空糸膜の性能向上、透水性能の向上を図るものではない。
特開平7−194950号公報
特許文献4によると、紡糸ノズルと凝固浴間の気体雰囲気を筒状物で区画して外気から遮蔽し、凝固浴温度よりも低く制御して、非溶媒蒸気に加え、液滴状の非溶媒からなるミストを発生させることにより、該糸条の外表面から吸収される非溶媒の量が格段に増加するため、中空糸膜の外表面の孔口径が大きく、かつ開口率が高い、高度に多孔化された透水性能に優れた中空糸膜を容易に得ることができる。この技術は、外表面孔径0.02〜2μの微孔形成に適する旨の記載があり、また、開示されている実施例も限外ろ過膜に関するもののみであることからも解かるように、逆浸透膜、特に海水淡水化用に適用できる高度に緻密な緻密層を有する逆浸透膜を作製するには適当ではない。また、筒状物で区画した部分の温度制御方法として冷却ジャケットに恒温冷媒を流すことが例示されているが、ジャケットに冷媒を流して筒状物を冷却するのは大掛かりであり、空中走行部の長さが短い場合は作業性を含めて問題がある。
特開平3−202131号公報
特許文献5には、紡糸口金−凝固浴間に設置され、その内側に温度制御されたエアーが送入されているガイドパイプ内に紡糸された中空糸を通過させた後に凝固浴と接触させることにより、多孔質中空糸の構造を制御する技術が開示されている。この方法では、エアー送入によりノズルから吐出された製膜原液が揺らされて中空糸膜の延伸状態および凝固状態に斑が発生し膜性能に斑が発生する、揺らされた製膜原液同士が融着し中空糸膜に欠陥が生じる、などの問題がある。また、エアーを送入しているので空中走行部の溶媒濃度が非常に低くなり、吐出された製膜原液からの溶媒の揮散が大きくなりすぎる傾向にあり、このため膜外表面の緻密層の密度と厚さが増して、透水性能の低下を招く傾向にある、との問題点がある。
特開平01−192811号公報
空中走行部を簡易な方法で冷却させることで高い透水性能と高い除去性能を併せ持つ中空糸型逆浸透膜を製膜する乾湿式紡糸製膜方法を提供することを目的とする。
本発明者らは解決すべき課題に対して中空糸膜の乾湿式紡糸法について鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は下記の構成を含む。
(1)少なくとも高分子原料、溶媒、非溶媒を含む製膜原液をノズルから吐出し、空中走行部を走行後、凝固液に浸漬させることにより中空糸型の逆浸透膜を得る乾湿式紡糸製膜方法であって、空中走行部が通気性を有する伝熱冷却部材で囲われ、該伝熱冷却部材の一部が凝固液に浸漬されていることを特徴とする逆浸透膜の製造方法。
(2) 空中走行部が非通気性の区画部材によって区画され、該区画された空中走行部が外部と連通されていることを特徴とする(1)に記載の逆浸透膜の製造方法。
(3) 伝熱冷却部材の熱伝導率が10kcal/(m・h・℃)以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の逆浸透膜の製造方法。
(4) 伝熱冷却部材の材質が鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、銀、チタンから選ばれる少なくとも1種を主成分とする材質からなることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
(5) 伝熱冷却部材とノズルから吐出した製膜原液との距離が5mm以上50mm以下であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
(6) 空中走行部の長さが5mm以上50mm以下であることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
(7) 製膜原液を吐出するノズルの温度を凝固液温度より100℃以上高くすることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
(8) 高分子原料が酢酸セルロース系高分子であることを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
空中走行部を簡易な方法で冷却させ、製膜原液の溶媒蒸発を抑制させることで、高い透水性能を有する中空糸型逆浸透膜を製膜することができる乾湿式紡糸法を提供することができる。また、空中走行部の温湿度および溶媒濃度が安定するため、本発明によって得られた中空糸型逆浸透膜は、膜性能の変動が小さい点でも優れている。
本発明における高分子原料とは、溶媒に溶解できる高分子材料で逆浸透膜性能を発現できる高分子であれば特に限定されない。例えば、酢酸セルロース系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、ポリアミド系高分子、ポリアクリロニトリル系高分子、およびこれら高分子を化学的に変性したもの、これらの高分子を主成分とする高分子混合物およびポリマーアロイなどがあげられる。なかでも逆浸透膜に求められる高い透水性能と塩除去性能の発現が比較的容易な酢酸セルロース系、ポリスルホン系、ポリアミド系高分子を用いるのが好ましい。耐薬品性、耐バクテリア性の面より、特に三酢酸セルロース高分子が好適である。
本発明における溶媒とは、該高分子原料を溶解できる溶媒であれば特に限定されない。また、非溶媒は、該高分子原料を溶解できないが該溶媒には溶解する材料であれば、特に限定されない。ここで、高分子原料を溶解できる溶媒とは、60℃以上ポリマーの融点以下の温度において、高分子原料を5重量%以上溶解させることが可能な溶媒である。例えば、高分子原料が三酢酸セルロースの場合、溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、非溶媒の例としては、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどの多価アルコール類等があげられる。
本発明における逆浸透膜とは、数十ダルトンの分子量の分離特性を有する領域の分離膜である。具体的には、逆浸透膜とは膜分離技術振興協会規格AMST−002には水道用逆浸透膜モジュールとして、試験液の塩化ナトリウム濃度が500〜2,000mg/Lで操作圧力が0.5〜3.0MPaの評価条件の下で塩化ナトリウム除去率93%以上の膜と定義され、また、海水淡水化に使用される海水淡水化逆浸透膜は水道用海水淡水化逆浸透膜モジュールとして膜分離技術振興協会規格AMST−003の5.2の通水能力及び塩化ナトリウム除去性能又はTDS除去性能試験によって得られた塩化ナトリウム除去率が、試験液の塩化ナトリウム濃度またはTDS濃度が3.0×10〜6.0×10mg/Lの範囲で操作圧力5.0〜10.0MPaの評価条件の下で、平均濃度基準除去率が99.0%以上、入口濃度基準除去率が98.8%以上の膜と定義されている。
本発明において、伝熱冷却部材とは空中走行部周辺に空中走行部より低温の部材を設置し、空中走行部の熱を伝熱により凝固浴や空中走行部の外部へ移動・放散させ、空中走行部の温度を簡便に低下させる効果のあるものである。また、空中走行部に流入してくる外気は、通気性のある伝熱冷却部材を突き抜けて空中走行部に到達するため、伝熱冷却部材の内部を通過する際に熱交換により冷却される。伝熱冷却部材は凝固浴の低温を活用し、凝固浴と接触して熱を凝固浴へ移動させる。当然のことながら、製膜原液の温度より凝固浴の温度が低いことが前提であり、また、空中走行部の温度は凝固液の温度より低くなることはない。なお、空中走行部の長さが短くて空中走行部の温度制御をジャケットや装置を用いて実施するのが困難な場合であっても、本発明は適用可能である。
伝熱冷却部材は、熱を効率的に移動させるため、熱伝導率の高い材質で形成することが好ましく、その熱伝導率は10kcal/(m・h・℃)以上が好ましく、より好ましくは、50kcal/(m・h・℃)以上、さらに好ましくは100kcal/(m・h・℃)以上である。伝熱冷却部材を熱伝導率が10kcal/(m・h・℃)未満の素材で形成した場合、熱を移動させる効果が小さく、効果的に空中走行部の温度を低下させることができないので好ましくない。
熱伝導率の高い材質として金属系の材質が挙げられ、チタン、鉄、アルミニウム、銅、銀およびこれらを主成分とする合金などが好ましい材質の例として挙げられる。ステンレス(SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L等)も好ましい材質の典型的な例である。但し、該伝熱冷却部材は凝固浴の凝固液およびドープから揮散する溶媒と接するためこれらに対する非溶解性、耐腐食性等を考慮する必要がある。また、材料のコストおよび加工性も実用上重要な要因である。これらを総合的に考慮して、ステンレス、アルミニウム、銅が特に好ましい。
本発明における伝熱冷却部材の形状は、上記の熱移動の目的を満たし、通気性を有するものであれば特に限定されない。また、空中走行部周辺の熱移動を効率的に実施するためには、接触効率の高い網状、格子状、すのこ状、多孔板などの形状が好ましい。ここで、伝熱冷却部材の作用機構について、空中走行部近傍における空気の収支および流動の観点から説明する。
まず、空中走行部近傍における空気の収支について考えると、吐出された製膜溶液への空気の溶解が生じ、これが空中走行部付近から持ち去られるため、これを補充するために外部からの空気の流入が生じる。さらに、ノズルがC型ノズルやアーク型ノズルの場合、ノズル周囲の空気が中空部に連続的に吸い込まれ、中空糸膜の内部に閉じ込められた状態で送り出されていくため、吐出部付近の空気は空中走行部の外部に連続的に排出されていき、これを補充するために空中走行部近傍には常時外部からの空気の流入を生じる。これらの作用により外部から流入してくる空気は、伝熱冷却部材の内部を通過する際に冷却され、その結果、空中走行部の空気は冷却される。伝熱冷却部材に通気性がないと、このような作用は生じず、空中走行部の冷却効率は低下し、好ましくない。
また、空中走行部付近の空気の流動について考えると、吐出された製膜原液が凝固浴に向かって走行するのに伴って、その周囲の空気に随伴流を生じるので、空中走行部付近の空気は常に流動している。空中走行部が区画されその内側に伝熱冷却部材が設置されている場合には、流動してきた空気が伝熱冷却部材と接触し冷却され、再びこれが製膜原液吐出部に循環する循環流が生じる。伝熱冷却部材の接触効率が高いと、この際の熱交換が効率よく行われ、空中走行部の温度が低下させることができるので好ましい。
本発明において、空中走行部を非通気性の区画部材で区画する実施態様は好ましいものである。気象状況や季節変動、室内空調状況等空中走行部の周囲の環境変化による空中走行部の温湿度変化や気流の変動の影響を低減し、生産される中空糸膜の性能を安定させることができるからである。空中走行部を非通気性の区画部材で区画しない場合でも、通気性の伝熱冷却部材によってある程度同様の効果が得られるが、非通気性の区画部材で区画することによって外部環境の変化に対し、さらに高い安定性を得ることができる。また、空中走行部を非通気性の区画部材で区画すると、吐出された製膜原液からの溶媒の揮散により区画内の溶媒濃度が上昇し、吐出された製膜原液からの溶媒の更なる揮散を抑制することができ、高い透水性能の中空糸膜を得ることができる傾向にある。
本発明のうち、空中走行部を区画する実施態様においては、区画部材としては非通気性の区画部材を用いる。区画部材としては主としてガラスからなる部材とすることが好ましい。ガラスは0.5〜1kcal/(m・h・℃)程度の低い熱伝導性を示し、このため、凝固浴への放熱による過度の空中走行部の冷却を生じない点で好ましい。また、耐食性・化学的安定性に優れ、凝固浴及び吐出された製膜溶液およびそこから揮散する溶媒に対して十分な耐久性を有し、さらに高温にも耐える点でも優れている。また、透明であるため中空糸膜の走行状態を外部から観察でき、さらには安価で入手容易である点、加工性にも優れる点でも好ましい部材である。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の高分子材料から主としてなる部材も、低熱伝導性かつ化学的にも安定なので、製膜原液および凝固浴に用いられる成分に対して耐久性を有する組み合わせでありかつ耐熱性が問題とならなければ、区画部材として使用できる。なお、区画部材の位置固定手段等として枠状金属部材と複合する、強度を保持等のため金網入りとする、あるいはその他の目的のために、金属部材と組み合わせて使用することも可能である。
本発明のうち、空中走行部を区画する実施態様においては、区画が外部と連通されている必要がある。すでに記載したように、空中走行部の空気は中空糸膜に随伴して空中走行部付近から排出されていくので、外部から空中走行部への空気の流入は必須である。仮に区画の凝固浴側以外の開口部をすべて気密状態にしようものなら、長時間連続で製膜を継続すると区画内が負圧となって凝固浴を吸い上げてしまい、製膜不能となる。区画された空中走行部と外部を連通する方法は特に限定されないが、区画に隙間を設ける、穴を設ける、等の方法をとることができる。伝熱冷却部材が区画の外側にある場合は、伝熱冷却部材で冷却された空気が区画の連通部分から空中走行部に流入し、空中走行部が冷却される。伝熱冷却部材が区画の内側にある場合は、区画の連通部分から流入した空気が伝熱冷却部材で冷却されたのちに空中走行部に流入し、空中走行部が冷却される。なお、連通部からの空気の流入が不均等であると、中空糸膜の性能にもばらつきを生じる場合がある。連通部の構造は、均等な空気の流入および冷却状態を確保できるような構造とすることが好ましい。
本発明における空中走行部の長さとは、製膜原液が吐出されるノズル面から凝固浴液面までの最短距離である。空中走行部の長さは50mm以下が好ましく、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下である。空中走行部における溶媒蒸発および相分離の進行を生じさせるため、空中走行部の長さは5mm以上とすることが好ましい。空中走行部の長さが長すぎると、伝熱冷却部材による空中走行部の冷却が不十分となり、本発明の効果が十分に発揮されないので、好ましくない。空中走行部の冷却手段としては、本願の方法のほか、例えばジャケット等を用いた冷却方法が知られているが、ジャケット等の温度調整を行う設備が必要となり、生産設備の設備コストおよび運転コストの上昇要因となる。本発明では、伝熱冷却部材を設置するだけで特に制御機構は必要がないため、ジャケット等冷却方式に比べて生産設備の設備コスト及び運転コストの低減効果をも有する。
本発明における空中走行部で伝熱冷却部材で囲われるとは、吐出された製膜原液の周囲に伝熱冷却部材が配置されていることであり、密閉状態で外部と遮断することを意味しない。むしろ、通気性があり対流伝熱をも活用したほうが好ましい。吐出される製膜原液が複数ある場合は、それら個々について囲ってもかまわないし、複数の製膜原液全体を一つの伝熱冷却部材で囲ってもかまわない。伝熱冷却部材の形状は、上記の熱移動の目的を満たすものであれば特に限定されない。
本発明における空中走行部におけるノズルから吐出された製膜原液と伝熱冷却部材との距離は、空中走行部におけるノズルから吐出した製膜原液と伝熱冷却部材との最短距離を言い、ノズルから吐出した製膜原液が複数存在する場合には、各々の製膜原液に関する値の平均距離である。この距離が短い方が伝熱冷却部材の冷却効果が大きく、50mm以下が好ましく、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下である。ノズルから吐出された製膜原液は空中走行部で若干の揺れ幅を持ちながら走行する。この揺れ幅範囲内で伝熱冷却部材と接触することなく、また空中走行部の温度むらを生じさせないため、製膜原液と伝熱冷却部材の間隔は5mm以上とすることが好ましい。
本発明の伝熱冷却部材を用いることにより、簡便に空中走行部を冷却することができるので、ノズル温度が高くかつ空中走行部長が短い場合においても、空中走行部での溶媒の蒸発を抑制でき緻密層の厚みを低下させることで、透水抵抗の低減、透水性能の増加が可能となる。さらに、温度の低い高分子溶媒に富んだ雰囲気中に製膜原液を吐出することにより、急速にゲル化させることができ、外表面から相分離を生じさせて中空糸内層部に内層部ほど多孔度が高い多孔構造を形成させることができ、高い透水性能を発現する逆浸透膜を実現することが可能となる。なお、製膜原液が吐出されるノズルの形状がC型ノズルやアーク型ノズルのように中空部に周囲の空気が吸引される製膜方法では、空中走行部の空気の温湿度や溶媒濃度が中空糸膜の内層部の構造形成に影響する。吸引される空気の温度が低い方が、また溶媒濃度が低い方が、内層部の相分離が加速されるため、多孔度が高い構造を形成させやすく、このため透水性の高い逆浸透膜を得やすくなり、この点でも空中走行部に伝熱冷却部材を用いることの利点がある。またノズル吐出後の製膜原液の冷却を促進させることで、製膜原液の高分子溶媒の拡散を低下させ、外表面から中空の領域に面している表面に向かっての密度勾配を高くすることができる。密度勾配を高くすることで、緻密層の薄く透過抵抗の少ない高い透水性の中空糸膜を得ることができる。
製膜の際の具体的な温度条件としては、例えば、膜素材が三酢酸セルロースの場合、ノズル温度は180〜100℃で凝固液温度50〜0℃が好ましく、より好ましくはノズル温度が160〜120℃で凝固液温度20〜5℃である。この凝固液温度が高いと伝熱冷却部材を通じての伝熱量が小さく冷却効果が得られにくく、凝固液温度が低いと伝熱量が大きくなり冷却効果が大きくなり好ましい。ノズル温度は凝固浴温度よりも100℃以上高いことが好ましい。
以下本発明の実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
(海水淡水化用の中空糸型逆浸透膜の製膜)
市販の三酢酸セルロース(ダイセル化学工業株式会社製、酢化度61.5%)40重量部をエチレングリコール(三井東圧化学株式会社製)18重量部およびN−メチル−2−ピロリドン(三菱化学株式会社製)42重量部よりなる溶液を混合後昇温し製膜原液とした。この溶液を減圧下で脱泡した後、約145〜155℃の三分割アーク型ノズルより製膜原液を吐出させた。外部と連通状態でガラス製の管によって区画された空中走行部距離L3=25mmの空中走行部を通過させたのち、水60重量部、エチレングリコール12重量部およびN−メチル−2−ピロリドン28重量部からなる13〜15℃に冷却した凝固液中に導き、中空糸膜を得た。ノズル温度と凝固液の温度差は約131〜141℃であった。ついで中空糸膜を十分水洗した後95℃〜98℃で20分間熱水処理し、外径137μm、内径53μmの海水淡水化対応の高圧仕様の中空糸型逆浸透膜を得た。中空糸膜の逆浸透性能は海水対応条件として操作圧力5.4MPa、供給水中の塩化ナトリウム濃度35000mg/L、回収率5%以下、供給水温度25℃の条件で測定した。
(参考例2)
(カン水脱塩用の中空糸型逆浸透膜の製膜)
市販の三酢酸セルロース(ダイセル化学工業株式会社製、酢化度61.5%)38重量部をエチレングリコール(三井東圧化学株式会社製)19重量部およびN−メチル−2−ピロリドン(三菱化学株式会社製)43重量部よりなる溶液を混合後昇温し製膜原液とした。この溶液を減圧下で脱泡した後、約145〜155℃の三分割アーク型ノズルより製膜原液を吐出させた。外部と連通状態でガラス製の管によって区画された空中走行部距離L3=20mmの空中走行部を通過させたのち、水60重量部、エチレングリコール12重量部およびN−メチル−2−ピロリドン28重量部からなる12〜14℃に冷却した凝固液中に導き、中空糸膜を得た。ノズル温度と凝固液の温度差は約132〜142℃であった。ついで中空糸膜を十分水洗した後80℃〜83℃の条件で20分間熱水処理し、外径175μm、内径85μmのかん水脱塩対応用の中低圧仕様の中空糸型逆浸透膜を得た。中空糸膜の逆浸透性能は、かん水対応条件として供給水圧力2.9MPa、供給水の塩化ナトリウム濃度1500mg/L、回収率5%以下、供給水温度25℃の条件で測定した。
(流体分離装置の作製)
得られた中空糸型逆浸透膜を束ねてプラスチック製スリーブへ挿入した後、熱硬化性樹脂をスリーブへ注入し、硬化させて封止した。熱硬化性樹脂で硬化させた中空糸型逆浸透膜の端部を切断することで中空糸膜の開口面を得て、試験用モジュールを作成した。この試験用モジュールを供給水タンク、低圧ポンプ、高圧ポンプからなる膜性能試験設備に接続し流体分離装置とした。
(逆浸透性能の測定)
流体分離装置を供給圧力5.4MPa、供給液温25℃、供給濃度35000mg/Lの食塩水で2時間以上運転した後に中空糸膜の開口面より所定時間の透過液を採取し、透過液量と透過液塩濃度を測定した。水透過性能と塩除去率を下式に従い計算し求めた。
水透過性能[L/m/日]=採取透過液量[L]/膜面積[m]/(採取時間[分]/1440)
塩除去率[%]=(1−透過液塩濃度[mg/L]/供給液食塩濃度[mg/L])×100
(実施例1)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲に伝熱冷却部材として20メッシュのSUS304ステンレス製金網からなる円筒物を製膜原液との平均距離L2=30mm、凝固液浸漬深さL4=20mmとなるように設置した以外は参考例1と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。SUS304ステンレスの熱伝導率14kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、62L/m/日、99.9%であった。
(実施例2)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲に伝熱冷却部材として20メッシュのSUS304ステンレス製金網からなる円筒物を製膜原液との平均距離L2=30mm、凝固液浸漬深さL4=20mmとなるように設置した以外は参考例2と同様にして、カン水脱塩用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約133℃であった。SUS304ステンレスの熱伝導率は14kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、240L/m/日、99.0%であった。
(実施例3)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲の金網に替えて、製膜原液からの平均距離L1=25mm、凝固液浸漬深さL4=20mmとなるように、ガラス管の内周囲に18メッシュのSUS304ステンレス製金網を設置したこと以外は実施例1と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。SUS304ステンレスの熱伝導率は14kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、63L/m/日、99.9%であった。
(実施例4)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲の金網に替えて、製膜原液からの平均距離L1=25mm、、凝固液浸漬深さL4=20mmとなるように、ガラス管の内周囲に18メッシュのSUS304ステンレス製金網を設置したこと以外は実施例2と同様にして、カン水脱塩用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約133℃であった。SUS304ステンレスの熱伝導率は14kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、245L/m/日、99.0%であった。
(実施例5)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲および内周囲に、18メッシュのSUS304ステンレス製金網を、製膜原液からの平均距離がL2=30mm、L1=25mm、凝固液浸漬深さL4はともに20mmとなるように設置したこと以外は実施例1と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約135℃であった。SUS304ステンレスの熱伝導率は14kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、64L/m/日、99.9%であった。
(実施例6)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲および内周囲に、18メッシュのSUS304製ステンレス製金網を、製膜原液からの平均距離がL2=30mm、L1=25mm、凝固液浸漬深さL4はともに20mmとなるように設置したこと以外は実施例2と同様にして、カン水脱塩用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。SUS304ステンレスの熱伝導率は14kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、247L/m/日、99.0%であった。
(実施例7)
空中走行部を区画するガラス管の内周囲の金網が20メッシュのアルミニウム製金網であること以外は実施例3と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約132℃であった。アルミニウムの熱伝導率は190kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、65L/m/日、99.9%であった。
(実施例8)
空中走行部を区画するガラス管の内周囲の金網が20メッシュのアルミニウム製金網であること以外は実施例4と同様にして、カン水脱塩用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約133℃であった。アルミニウムの熱伝導率は190kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、249L/m/日、99.0%であった。
(実施例9)
空中走行部を区画するガラス管の内周囲の金網が20メッシュの銅製金網であること以外は実施例3と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約131℃であった。銅の熱伝導率は340kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、65L/m/日、99.9%であった。
(実施例10)
空中走行部を区画するガラス管の内周囲の金網が20メッシュの銅製金網であること以外は実施例4と同様にして、カン水脱塩用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約132℃であった。銅の熱伝導率は340kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、249L/m/日、99.0%であった。
(比較例1)
参考例1と同様にして、伝熱冷却部材がない状態で海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約135℃であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、58L/m/日、99.9%であった。
(比較例2)
参考例2と同様にして、伝熱冷却部材がない状態でカン水脱塩用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、220L/m/日、99.0%であった。
(比較例3)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲の伝熱冷却部材と製膜原液の距離が60mmであること以外は実施例1と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約133℃であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、59L/m/日、99.9%であった。
(比較例4)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲の伝熱冷却部材と製膜原液の距離が60mmであること以外は実施例2と同様にして、カン水脱塩用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約133℃であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、230L/m/日、99.0%であった。
(比較例5)
空中走行部を区画するガラス管の外周囲の伝熱冷却部材と製膜原液の距離が100mmであること以外は実施例1と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、58L/m/日、99.9%であった。
(比較例6)
製膜原液の空中走行部の距離が60mmであること以外は実施例1と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、53L/m/日、99.9%であった。
(比較例7)
製膜原液の空中走行部の距離が100mmであること以外は実施例1と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、45L/m/日、99.9%であった。
(比較例8)
ノズル温度が145℃、凝固液の温度が55℃であること以外は実施例1と同様にして、海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約90℃であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、35L/m/日、98.0%であった。
(比較例9)
伝熱冷却部材が通気性のないSUS304ステンレス板からなる円筒物であること以外は実施例と同様にして海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、50L/m/日、99.9%であった。
(比較例10)
伝熱冷却部材がポリエチレン製の網状体からなる円筒物であること以外は実施例1と同様にして海水淡水化用の中空糸膜、流体分離装置を作製し、逆浸透性能を測定した。ノズル温度と凝固液の温度差は約134℃であった。ポリエチレンの熱伝導率は0.26kcal/(m・h・℃)であった。中空糸膜の水透過性能、塩除去率はそれぞれ、58L/m/日、99.9%であった。
実施例1〜10および参考例から明らかなように、本発明の乾湿式紡糸製膜方法により透水性能、塩除去率ともに高い中空糸型逆浸透膜を提供することができる。
本発明の乾湿式紡糸製膜方法により得られる中空糸型逆浸透膜およびそれにより得られる中空糸型逆浸透膜モジュールは、高透水性を有するため、海水淡水化、水精製、医療、医薬用水、エンドトキシンフリー水製造等の用途に幅広く利用することができ、産業界に寄与することが大である。
本発明における空中走行部付近の実施態様の一例の断面の状態を示す模式図である。
符号の説明
1:ノズル
2:吐出された製膜原液
3:伝熱冷却部材(非通気性の区画部材の内側に設置されている場合)
3’:伝熱冷却部材(非通気性の区画部材の外側に設置されている場合)
4:凝固浴
4’:凝固浴表面
5:中空糸膜
6:空中走行部
7:非通気性の区画部材
L1:製膜原液と伝熱冷却部材との距離(非通気性の区画部材の内側に設置されている場合)
L2:製膜原液と伝熱冷却部材との距離(非通気性の区画部材の外側に設置されている場合)
L3:空中走行部距離
L4:伝熱冷却部材の凝固浴浸漬深さ

Claims (8)

  1. 少なくとも高分子原料、溶媒、非溶媒を含む製膜原液をノズルから吐出し、空中走行部を走行後、凝固液に浸漬させることにより中空糸型の逆浸透膜を得る乾湿式紡糸製膜方法であって、空中走行部が通気性を有する伝熱冷却部材で囲われ、該伝熱冷却部材の一部が凝固液に浸漬されていることを特徴とする逆浸透膜の製造方法。
  2. 空中走行部が非通気性の区画部材によって区画され、該区画された空中走行部が外部と連通されていることを特徴とする請求項1に記載の逆浸透膜の製造方法。
  3. 伝熱冷却部材の熱伝導率が10kcal/(m・h・℃)以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の逆浸透膜の製造方法。
  4. 伝熱冷却部材の材質が鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、銀、チタンから選ばれる少なくとも1種を主成分とする材質からなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
  5. 伝熱冷却部材とノズルから吐出した製膜原液との距離が5mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
  6. 空中走行部の長さが5mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
  7. 製膜原液を吐出するノズルの温度を凝固液温度より100℃以上高くすることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
  8. 高分子原料が酢酸セルロース系高分子であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の逆浸透膜の製造方法。
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