JP3068424B2 - 血液透析器の作製方法 - Google Patents
血液透析器の作製方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血液透析器の作製方法に
関するものである。さらに、詳しくは、芯液として非水
溶性液体を用いて紡糸した血液透析用中空糸を内蔵する
血液透析器を作製するに当たり、紡糸した中空糸から芯
液を物理的に除去した後に、透析容器内に収納・接着し
てモジュールを組立てた後、該中空糸に付着・残存して
いる芯液を加圧空気と水で洗浄・除去することにより、
有機溶剤や界面活性剤等を使用することなく、効率的に
安全性の高い血液透析器を作製する方法に関するもので
ある。
関するものである。さらに、詳しくは、芯液として非水
溶性液体を用いて紡糸した血液透析用中空糸を内蔵する
血液透析器を作製するに当たり、紡糸した中空糸から芯
液を物理的に除去した後に、透析容器内に収納・接着し
てモジュールを組立てた後、該中空糸に付着・残存して
いる芯液を加圧空気と水で洗浄・除去することにより、
有機溶剤や界面活性剤等を使用することなく、効率的に
安全性の高い血液透析器を作製する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】血液透析膜は腎臓機能の悪化した患者の
腎機能を代行するものとして、初期は尿素やクレアチニ
ンなどの低分子を除くために用いられていたが、近年で
はβ2ミクログロブリンなどの中分子量のタンパク質も
効率的に除去できるいわゆる高性能中空糸透析膜が開発
され、ますますその重要性が増している。
腎機能を代行するものとして、初期は尿素やクレアチニ
ンなどの低分子を除くために用いられていたが、近年で
はβ2ミクログロブリンなどの中分子量のタンパク質も
効率的に除去できるいわゆる高性能中空糸透析膜が開発
され、ますますその重要性が増している。
【0003】高性能中空糸透析膜は、その製造方法(紡
糸方法)から乾式法および半乾半湿式(乾湿式)法に分
類され、特に後者の半乾半湿式法によるものが良好な性
能を示すために、好適に使用されている。
糸方法)から乾式法および半乾半湿式(乾湿式)法に分
類され、特に後者の半乾半湿式法によるものが良好な性
能を示すために、好適に使用されている。
【0004】かかる半乾半湿式法による中空糸の製造に
際して使用する芯液としては、流動パラフィンやイソプ
ロピルミリステートなどの非水溶性液体や凝固浴と同じ
組成の有機溶剤の水溶液や水が広く用いられてきた。こ
れらのうちで、得られる中空糸の内表面の平滑性および
紡糸工程での安定性の点から、流動パラフィンやイソプ
ロピルミリステートなどの非水溶性液体が好ましいとさ
れている。
際して使用する芯液としては、流動パラフィンやイソプ
ロピルミリステートなどの非水溶性液体や凝固浴と同じ
組成の有機溶剤の水溶液や水が広く用いられてきた。こ
れらのうちで、得られる中空糸の内表面の平滑性および
紡糸工程での安定性の点から、流動パラフィンやイソプ
ロピルミリステートなどの非水溶性液体が好ましいとさ
れている。
【0005】これらの非水溶性芯液は、中空糸の紡糸後
に遠心分離や圧空押し出しなどの物理的手段により、そ
の大半が中空糸内部から除去できる。さらに、中空糸に
残存する非水溶性芯液の十分な除去方法として、フロン
等のハロゲン化炭化水素系の洗浄剤を通液することによ
り洗浄可能なことが知られているが(例えば、米国特許
4240796号参照)、フロン等はオゾン層破壊や低
沸点で回収が困難という問題を抱えている。
に遠心分離や圧空押し出しなどの物理的手段により、そ
の大半が中空糸内部から除去できる。さらに、中空糸に
残存する非水溶性芯液の十分な除去方法として、フロン
等のハロゲン化炭化水素系の洗浄剤を通液することによ
り洗浄可能なことが知られているが(例えば、米国特許
4240796号参照)、フロン等はオゾン層破壊や低
沸点で回収が困難という問題を抱えている。
【0006】また、本発明者らが先に提案したように、
イソプロパノール(イソプロピルアルコール)などによ
り芯液の流動パラフィンやイソプロピルミリステートな
どの非水溶性芯液を洗浄することもできるが(特願平5
−149249号参照)、イソプロパノールを洗浄剤に
使用した場合は、これを除去するためにさらに水ですす
ぎ洗浄を行う必要があり、操作が煩雑になる。また、本
発明者らが別に提案したように、界面活性剤水溶液によ
り非水溶性芯液を洗浄することもできるが(特願平5−
153576号参照)、洗浄後の中空糸中に残存する界
面活性剤の除去および泡立ち防止に30分から1時間の
熱水リンスが必要であり、効率が良くないという問題が
ある。
イソプロパノール(イソプロピルアルコール)などによ
り芯液の流動パラフィンやイソプロピルミリステートな
どの非水溶性芯液を洗浄することもできるが(特願平5
−149249号参照)、イソプロパノールを洗浄剤に
使用した場合は、これを除去するためにさらに水ですす
ぎ洗浄を行う必要があり、操作が煩雑になる。また、本
発明者らが別に提案したように、界面活性剤水溶液によ
り非水溶性芯液を洗浄することもできるが(特願平5−
153576号参照)、洗浄後の中空糸中に残存する界
面活性剤の除去および泡立ち防止に30分から1時間の
熱水リンスが必要であり、効率が良くないという問題が
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のごとき諸問題を伴うことなく、有機溶剤や界面活性剤
などの有機洗浄剤を用いない安全な方法で中空糸に残存
する芯液を除去でき、かつ膜性能の良好な血液透析器を
効率的に作製し得る方法を提供することにある。
のごとき諸問題を伴うことなく、有機溶剤や界面活性剤
などの有機洗浄剤を用いない安全な方法で中空糸に残存
する芯液を除去でき、かつ膜性能の良好な血液透析器を
効率的に作製し得る方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、芯液として非
水溶性液体を用いて紡糸した血液透析用中空糸を内蔵す
る血液透析器を作製するに当たり、(a)紡糸した中空
糸から芯液の大半を遠心分離、圧空押し出しまたは自然
落下などの物理的手段により除去する工程、(b)該中
空糸を透析器内に収納・接着する工程、そして(c)透
析器内に収納・接着した中空糸に付着・残存している芯
液を加圧気体および水で物理的に除去する工程、を順次
実施することによって有機溶剤や界面活性剤を用いるこ
となく芯液を除去し、良好な血液透析器を効率的に作製
する方法である。
水溶性液体を用いて紡糸した血液透析用中空糸を内蔵す
る血液透析器を作製するに当たり、(a)紡糸した中空
糸から芯液の大半を遠心分離、圧空押し出しまたは自然
落下などの物理的手段により除去する工程、(b)該中
空糸を透析器内に収納・接着する工程、そして(c)透
析器内に収納・接着した中空糸に付着・残存している芯
液を加圧気体および水で物理的に除去する工程、を順次
実施することによって有機溶剤や界面活性剤を用いるこ
となく芯液を除去し、良好な血液透析器を効率的に作製
する方法である。
【0009】本発明方法により洗浄および透析器の作製
が行われる血液透析中空糸膜の材質としては、非水溶性
液体を芯液として用いて紡糸し中空糸に形成できるもの
であれば特に制限はないが、好適な具体例としては、セ
ルロースエステル類、再生セルロース、ポリスルホン、
ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアミド
などが挙げられ、これらのうちでも、非水溶性芯液を用
いた場合に特に好ましい中空糸が得られるものとして
は、セルロースジアセテート、セルローストリアセテー
トなどのセルロースエステル類が挙げられる。
が行われる血液透析中空糸膜の材質としては、非水溶性
液体を芯液として用いて紡糸し中空糸に形成できるもの
であれば特に制限はないが、好適な具体例としては、セ
ルロースエステル類、再生セルロース、ポリスルホン、
ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアミド
などが挙げられ、これらのうちでも、非水溶性芯液を用
いた場合に特に好ましい中空糸が得られるものとして
は、セルロースジアセテート、セルローストリアセテー
トなどのセルロースエステル類が挙げられる。
【0010】上記のポリマーは、溶剤および開孔剤とと
もに均一溶解してドープ(紡糸原液)を調製後、二重管
ノズルを用い、その中心部には非水溶性液体を芯液とし
て供給し外側には上記ドープを供給して紡糸し、紡糸後
に凝固浴中へ導入して糸条を形成する半乾半湿式紡糸法
等により、安定に紡糸され、透析機能を有する中空糸と
なる。
もに均一溶解してドープ(紡糸原液)を調製後、二重管
ノズルを用い、その中心部には非水溶性液体を芯液とし
て供給し外側には上記ドープを供給して紡糸し、紡糸後
に凝固浴中へ導入して糸条を形成する半乾半湿式紡糸法
等により、安定に紡糸され、透析機能を有する中空糸と
なる。
【0011】この際、芯液として用いられる非水溶性液
体としては、炭素数10〜30の脂肪族パラフィン、高
級脂肪酸エステルおよび炭素数7〜10の芳香族炭化水
素がある。これらは単独でも混合物でも構わない。これ
らのうちで、炭素数16以上のパラフィンおよび炭素数
20以上の高級脂肪酸エステルは常温で固体であること
が多いので、紡糸時には加熱融解する必要がある。
体としては、炭素数10〜30の脂肪族パラフィン、高
級脂肪酸エステルおよび炭素数7〜10の芳香族炭化水
素がある。これらは単独でも混合物でも構わない。これ
らのうちで、炭素数16以上のパラフィンおよび炭素数
20以上の高級脂肪酸エステルは常温で固体であること
が多いので、紡糸時には加熱融解する必要がある。
【0012】本発明方法において芯液として好適に用い
られる非水溶性液体は、常温で液体の炭素数10〜15
の流動パラフィン、イソプロピルミリステート、トルエ
ン、キシレンなどである。これらの芯液の中でも、紡糸
過程での中空糸の形状維持や中空糸内面の平滑性および
中空糸強度などの点から、凝固浴水溶液に非溶解性であ
ると同時に紡糸原液とも全く非混和性の流動パラフィン
が最も好適に用いられる。
られる非水溶性液体は、常温で液体の炭素数10〜15
の流動パラフィン、イソプロピルミリステート、トルエ
ン、キシレンなどである。これらの芯液の中でも、紡糸
過程での中空糸の形状維持や中空糸内面の平滑性および
中空糸強度などの点から、凝固浴水溶液に非溶解性であ
ると同時に紡糸原液とも全く非混和性の流動パラフィン
が最も好適に用いられる。
【0013】本発明方法では、このように紡糸された中
空糸を用いて血液透析器を作製するが、該中空糸の中空
部には芯液の非水溶性液体(流動パラフィン等)を含有
しており、実用に際しては中空糸から該非水溶性液体を
除去しなければならない。そのためには、まず紡糸した
中空糸から芯液を除去する工程(a)において、非水溶
性液体を含む中空糸束から、まず、遠心分離、自然落
下、圧空押し出しなどの物理的手段により、可能な限り
多くの非水溶性液体、具体的には中空糸の芯部に含まれ
る該液体の約80重量%以上、好ましくは90重量%以
上、さらに好ましくは95重量%以上を除去する。これ
らの手段は2種以上組み合わせて用いることも可能であ
り、多くの場合その方が効果的である。例えば、集束し
た中空糸内に充填されている非水溶性芯液は、自然落下
あるいは圧空により大半を押し出したのち、さらに遠心
分離により除去される。遠心分離機への中空糸束のセッ
ティングは、(1)糸束中心を回転軸にする方法、
(2)糸束の片端面を回転軸にし片手振りする方法、
(3)円周上に糸束をセットする方法、などが採用でき
る。遠心分離の条件は、中空糸や芯液の種類にもよる
が、糸束中心を回転軸にセットし15G(300rpm)から
17000G(10000rpm)の遠心力(糸束長30cmの場合
の平均遠心力)、特に好適には1500G(3000rpm )
以上の遠心力がかかるような条件が好ましく採用され
る。
空糸を用いて血液透析器を作製するが、該中空糸の中空
部には芯液の非水溶性液体(流動パラフィン等)を含有
しており、実用に際しては中空糸から該非水溶性液体を
除去しなければならない。そのためには、まず紡糸した
中空糸から芯液を除去する工程(a)において、非水溶
性液体を含む中空糸束から、まず、遠心分離、自然落
下、圧空押し出しなどの物理的手段により、可能な限り
多くの非水溶性液体、具体的には中空糸の芯部に含まれ
る該液体の約80重量%以上、好ましくは90重量%以
上、さらに好ましくは95重量%以上を除去する。これ
らの手段は2種以上組み合わせて用いることも可能であ
り、多くの場合その方が効果的である。例えば、集束し
た中空糸内に充填されている非水溶性芯液は、自然落下
あるいは圧空により大半を押し出したのち、さらに遠心
分離により除去される。遠心分離機への中空糸束のセッ
ティングは、(1)糸束中心を回転軸にする方法、
(2)糸束の片端面を回転軸にし片手振りする方法、
(3)円周上に糸束をセットする方法、などが採用でき
る。遠心分離の条件は、中空糸や芯液の種類にもよる
が、糸束中心を回転軸にセットし15G(300rpm)から
17000G(10000rpm)の遠心力(糸束長30cmの場合
の平均遠心力)、特に好適には1500G(3000rpm )
以上の遠心力がかかるような条件が好ましく採用され
る。
【0014】かかる処理によって、芯液量を中空糸重量
の2重量%以下に低下させることが好ましい。
の2重量%以下に低下させることが好ましい。
【0015】この工程(a)において、芯液の粘度を下
げるために中空糸を加温すれば、より効果的である。温
度は30℃以上が適当で、温度の上限は中空糸素材に依
存する。セルローストリアセテート中空糸の場合は30
〜80℃の処理温度が好適である。
げるために中空糸を加温すれば、より効果的である。温
度は30℃以上が適当で、温度の上限は中空糸素材に依
存する。セルローストリアセテート中空糸の場合は30
〜80℃の処理温度が好適である。
【0016】しかる後に、中空糸束を透析容器に収納・
接着固定して透析器(モジュール)を組立てる、いわゆ
る成型工程(b)、引き続き、透析器内の中空糸に付着
・残存している非水溶性液体を加圧気体および水を組合
せた洗浄媒体により物理的に除去する工程(c)が実施
される。
接着固定して透析器(モジュール)を組立てる、いわゆ
る成型工程(b)、引き続き、透析器内の中空糸に付着
・残存している非水溶性液体を加圧気体および水を組合
せた洗浄媒体により物理的に除去する工程(c)が実施
される。
【0017】本発明方法では、上記成型工程(b)にお
いて、中空糸束を透析容器に収納し接着固定して透析器
(モジュール)とする方法としては、それ自体従来公知
の方法が採用できる。例えば、非水溶性芯液の大半を除
去した所定長の中空糸束を、必要に応じて乾燥したの
ち、透析容器に収納し、ウレタン樹脂を用いて両端を接
着封止して透析器(モジュール)を成型する。
いて、中空糸束を透析容器に収納し接着固定して透析器
(モジュール)とする方法としては、それ自体従来公知
の方法が採用できる。例えば、非水溶性芯液の大半を除
去した所定長の中空糸束を、必要に応じて乾燥したの
ち、透析容器に収納し、ウレタン樹脂を用いて両端を接
着封止して透析器(モジュール)を成型する。
【0018】次に、透析器中の中空糸に付着・残存して
いる芯液を加圧気体および水を組合せた洗浄媒体で物理
的に除去する工程(c)が引き続き実施される。この工
程(c)では、透析器内の中空糸内部にあらかじめ水を
通液して中空糸を湿潤させたのち、該中空糸に付着・残
存している非水溶性の芯液を加圧空気−水混合液で物理
的に洗い出すのが、中空糸に損傷を与えず、芯液洗浄効
果もすぐれているので好ましい。
いる芯液を加圧気体および水を組合せた洗浄媒体で物理
的に除去する工程(c)が引き続き実施される。この工
程(c)では、透析器内の中空糸内部にあらかじめ水を
通液して中空糸を湿潤させたのち、該中空糸に付着・残
存している非水溶性の芯液を加圧空気−水混合液で物理
的に洗い出すのが、中空糸に損傷を与えず、芯液洗浄効
果もすぐれているので好ましい。
【0019】この加圧空気−水混合液の通液による物理
的洗浄は、具体的には、水滴を含む圧空を透析器血液側
から通すことにより実施する。この方法は、水の膜への
浸透性が良好なことおよび粘性の低い加圧空気により流
速を上げられることなどから、高い洗浄力性を示す。水
滴は細かい程、さらに好ましくは霧状にすると、水を均
一に分散できるので有利である。このような物理的洗浄
は通水液表面に油膜の形成が認められなくなるまで行う
のが好ましい。また、上記工程(c)は、中空糸内面側
に通水、湿潤した後、水滴を含む圧空の注入を行うこと
により好適に実施される。
的洗浄は、具体的には、水滴を含む圧空を透析器血液側
から通すことにより実施する。この方法は、水の膜への
浸透性が良好なことおよび粘性の低い加圧空気により流
速を上げられることなどから、高い洗浄力性を示す。水
滴は細かい程、さらに好ましくは霧状にすると、水を均
一に分散できるので有利である。このような物理的洗浄
は通水液表面に油膜の形成が認められなくなるまで行う
のが好ましい。また、上記工程(c)は、中空糸内面側
に通水、湿潤した後、水滴を含む圧空の注入を行うこと
により好適に実施される。
【0020】水滴を含む圧空の量は、中空糸の素材内
径、芯液の種類、透析器内に充填された本数などにより
最適条件を選択する必要がある。
径、芯液の種類、透析器内に充填された本数などにより
最適条件を選択する必要がある。
【0021】例えば、芯液に流動パラフィンを用い内径
が200μmのトリアセテート中空糸を12000本充
填したモジュールの場合、10〜1000L/分、好ま
しくは50〜1000L/分の流速で0.05〜4Kg
/cm2 、好ましくは0.2〜1.5Kg/cm2 の圧
力の圧空を血液側に水と混合して供給する。水は膜が乾
燥せず膜の劣化を起こさなければ少流量でよいが洗浄性
に応じて0.1mL/分以上、好ましくは10mL/分
以上にするのがよい。水の量の上限は排水処理の観点か
ら500mL/分に抑えておく方が好ましい。また処理
温度は、水が凝固しない0℃以上であれば洗浄が可能で
あるが、通常は常温で十分である。但し、膜素材、芯液
粘度に応じ加温してもよい。
が200μmのトリアセテート中空糸を12000本充
填したモジュールの場合、10〜1000L/分、好ま
しくは50〜1000L/分の流速で0.05〜4Kg
/cm2 、好ましくは0.2〜1.5Kg/cm2 の圧
力の圧空を血液側に水と混合して供給する。水は膜が乾
燥せず膜の劣化を起こさなければ少流量でよいが洗浄性
に応じて0.1mL/分以上、好ましくは10mL/分
以上にするのがよい。水の量の上限は排水処理の観点か
ら500mL/分に抑えておく方が好ましい。また処理
温度は、水が凝固しない0℃以上であれば洗浄が可能で
あるが、通常は常温で十分である。但し、膜素材、芯液
粘度に応じ加温してもよい。
【0022】本発明方法の好適な実施態様では、このよ
うに処理した透析器は、使用に先立ち、水を充填した状
態でガンマ線照射により滅菌処理される。この滅菌工程
において充填水に耐ガンマ線安定化剤などを添加して膜
の劣化を防ぐことも可能である。このような耐ガンマ線
安定化剤の具体例としては、溶存酸素、グリセリン、
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレレング
リコールなどが挙げられるが、特に(ポリ)プロピレン
グリコールが好ましい。
うに処理した透析器は、使用に先立ち、水を充填した状
態でガンマ線照射により滅菌処理される。この滅菌工程
において充填水に耐ガンマ線安定化剤などを添加して膜
の劣化を防ぐことも可能である。このような耐ガンマ線
安定化剤の具体例としては、溶存酸素、グリセリン、
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレレング
リコールなどが挙げられるが、特に(ポリ)プロピレン
グリコールが好ましい。
【0023】
【発明の効果】以上述べたように、本発明方法によれ
ば、中空糸の芯液として用いられる非水溶性液体を、フ
レオンなどの環境破壊性の溶剤やイソプロピルアルコー
ルなどの水洗除去を要する有機溶剤またはヘキサンのよ
うな爆発危険性のある有機溶剤を用いることなく、実質
的に完全に除去することができ、中空糸内に付着残存す
る紡糸溶媒も透析器に組み込んだ状態で徹底的に水洗浄
されるために、中空糸および透析器が極めて清浄であ
り、安全性にもすぐれたものが得られるという利点があ
る。
ば、中空糸の芯液として用いられる非水溶性液体を、フ
レオンなどの環境破壊性の溶剤やイソプロピルアルコー
ルなどの水洗除去を要する有機溶剤またはヘキサンのよ
うな爆発危険性のある有機溶剤を用いることなく、実質
的に完全に除去することができ、中空糸内に付着残存す
る紡糸溶媒も透析器に組み込んだ状態で徹底的に水洗浄
されるために、中空糸および透析器が極めて清浄であ
り、安全性にもすぐれたものが得られるという利点があ
る。
【0024】さらに、中空糸束を透析器に接着固定した
後に非水溶性芯液の洗浄を行う本発明の方法によれば、
中空糸束を透析器に固定しない状態で洗浄する場合に比
べて、洗浄後の糸束緻密化が起り難く、そのために、透
析器内での透析液の偏流が起こりにくく、良好な透析性
能が保証されるという利点もある。
後に非水溶性芯液の洗浄を行う本発明の方法によれば、
中空糸束を透析器に固定しない状態で洗浄する場合に比
べて、洗浄後の糸束緻密化が起り難く、そのために、透
析器内での透析液の偏流が起こりにくく、良好な透析性
能が保証されるという利点もある。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により制限
を受けるものではない。
説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により制限
を受けるものではない。
【0026】[実施例1]芯液として流動パラフィンを
用いて紡糸したセルローストリアセテート中空糸束を5
0℃の乾燥機中に吊して静置し、中空糸の片側端面から
流動パラフィンを自然落下させた後、さらに遠心分離機
にセットし3000回転/分で遠心分離することによ
り、該中空糸束内部の流動パラフィンの約95重量%を
除去した。しかる後、該中空糸束を透析容器内に収納
し、糸束末端部をウレタンで封止後、50℃で15時間
ウレタン硬化反応を行った。かくして得られた中空糸収
納透析器(モジュール)の内面に1Lの水を通液して中
空糸を湿潤させた後、中空糸内に加圧空気−水混合液を
100 L/分−125 mL/分の流量で10分間通液し、流
動パラフィンを物理的に除去した。かくして得られた透
析器内の中空糸に含まれる流動パラフィンは、中空糸重
量に対して10000ppmであった。
用いて紡糸したセルローストリアセテート中空糸束を5
0℃の乾燥機中に吊して静置し、中空糸の片側端面から
流動パラフィンを自然落下させた後、さらに遠心分離機
にセットし3000回転/分で遠心分離することによ
り、該中空糸束内部の流動パラフィンの約95重量%を
除去した。しかる後、該中空糸束を透析容器内に収納
し、糸束末端部をウレタンで封止後、50℃で15時間
ウレタン硬化反応を行った。かくして得られた中空糸収
納透析器(モジュール)の内面に1Lの水を通液して中
空糸を湿潤させた後、中空糸内に加圧空気−水混合液を
100 L/分−125 mL/分の流量で10分間通液し、流
動パラフィンを物理的に除去した。かくして得られた透
析器内の中空糸に含まれる流動パラフィンは、中空糸重
量に対して10000ppmであった。
【0027】[比較例1]芯液として流動パラフィンを
用いて紡糸したセルローストリアセテート中空糸束を実
施例1と同様に50℃の乾燥機中に静置し、中空糸の片
側端面から流動パラフィンを自然落下させた後、さらに
遠心分離機にセットし3000回転/分で遠心分離する
ことにより、中空糸内部の流動パラフィンの約95重量
%を除去した。しかる後、該中空糸束を透析容器内に収
納し、糸束末端部をウレタンで封止後、50℃で15時
間ウレタン硬化反応を行った。かくして得られた中空糸
収納透析器の内外面に0.5 L/分の流速で界面活性剤水
溶液、具体的には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナト
リウムの0.5 %水溶液を通液して洗浄した後、50℃の温
水を0.5 L/分の流速で通液し界面活性剤の除去を試み
たが、洗浄水の泡立ちが無くなるまでに1時間もの時間
を要した。
用いて紡糸したセルローストリアセテート中空糸束を実
施例1と同様に50℃の乾燥機中に静置し、中空糸の片
側端面から流動パラフィンを自然落下させた後、さらに
遠心分離機にセットし3000回転/分で遠心分離する
ことにより、中空糸内部の流動パラフィンの約95重量
%を除去した。しかる後、該中空糸束を透析容器内に収
納し、糸束末端部をウレタンで封止後、50℃で15時
間ウレタン硬化反応を行った。かくして得られた中空糸
収納透析器の内外面に0.5 L/分の流速で界面活性剤水
溶液、具体的には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナト
リウムの0.5 %水溶液を通液して洗浄した後、50℃の温
水を0.5 L/分の流速で通液し界面活性剤の除去を試み
たが、洗浄水の泡立ちが無くなるまでに1時間もの時間
を要した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−365(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/14 - 1/18 B01D 63/02
Claims (5)
- 【請求項1】 芯液として非水溶性液体を用いて紡糸し
た血液透析用中空糸を内蔵する血液透析器を作製するに
当たり、(a)紡糸した中空糸から芯液の大半を遠心分
離、圧空押し出しまたは自然落下などの物理的手段によ
り除去する工程、(b)該中空糸を透析器内に収納・接
着する工程、そして(c)透析器内の中空糸に付着・残
存している芯液を加圧気体および水を組み合わせた洗浄
媒体を用いて下記条件で物理的に除去する工程、を含む
ことを特徴とする血液透析器の作製方法。条件:中空糸12,000本当りの流量 加圧気体=50〜1000L/分 水 =10〜500mL/分 - 【請求項2】 芯液としての非水溶性液体が、流動パラ
フィン、常温で液状の高級脂肪酸エステルまたは液状の
芳香族炭化水素のいずれかであることを特徴とする請求
項1記載の血液透析器の作製方法。 - 【請求項3】 血液透析用中空糸が、セルロースエステ
ルからなる中空糸であることを特徴とする請求項1また
は請求項2記載の血液透析器の作製方法。 - 【請求項4】 中空糸に付着・残存している芯液が、流
動パラフィンであることを特徴とする請求項1、請求項
2または請求項3記載の血液透析器の作製方法。 - 【請求項5】 透析器内の中空糸に付着・残存している
芯液を加圧空気および水で物理的に除去するに当たり、
予め該中空糸を水で湿潤させておくことを特徴とする請
求項1〜請求項4のいずれかに記載の血液透析器の作製
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6307605A JP3068424B2 (ja) | 1994-12-12 | 1994-12-12 | 血液透析器の作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6307605A JP3068424B2 (ja) | 1994-12-12 | 1994-12-12 | 血液透析器の作製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08164200A JPH08164200A (ja) | 1996-06-25 |
JP3068424B2 true JP3068424B2 (ja) | 2000-07-24 |
Family
ID=17971062
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6307605A Expired - Fee Related JP3068424B2 (ja) | 1994-12-12 | 1994-12-12 | 血液透析器の作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3068424B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008295868A (ja) * | 2007-06-01 | 2008-12-11 | Toyobo Co Ltd | 血液浄化器の製造方法および血液浄化器 |
JP6896328B2 (ja) * | 2016-04-08 | 2021-06-30 | 株式会社ダイセル | セルロースエステルからなる成形体 |
-
1994
- 1994-12-12 JP JP6307605A patent/JP3068424B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08164200A (ja) | 1996-06-25 |
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