JP3494466B2 - 透析用中空糸の製造方法 - Google Patents

透析用中空糸の製造方法

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JP3494466B2
JP3494466B2 JP06767694A JP6767694A JP3494466B2 JP 3494466 B2 JP3494466 B2 JP 3494466B2 JP 06767694 A JP06767694 A JP 06767694A JP 6767694 A JP6767694 A JP 6767694A JP 3494466 B2 JP3494466 B2 JP 3494466B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透析用中空糸の製造方
法に関する。特に人工透析器の透析膜として使用される
透析用中空糸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、透析用中空糸の製造方法で
は、紡糸原液およびその内部に充填された非凝固性液を
同時に押し出す紡糸原液押し出し工程、凝固工程、再生
工程、水洗工程、巻取工程を有しており、連続的に製造
されている。そして、巻取られた中空糸は、所定長に切
断された後、内部の非凝固性液を除去するための非凝固
性液除去工程が行われる。
【0003】そして、この非凝固性液の除去工程では、
中空糸内にコア状に導入された有機溶媒である非凝固性
液を残留させることなく、除去することが必要である。
この目的より、洗浄剤を用いて洗浄することにより非凝
固性液を除去していた。そして、洗浄剤としては、非凝
固性液に対して溶解性があり、また、中空糸の性能を劣
化させるこがなく、乾燥が容易で残留しにくく、生物学
的にも安全性が高いといったことが要求され、この要求
を満足し、かつ不燃性で取り扱いが容易であることなど
より、塩化フッ化炭素(例えば、フロン113)および
その混合物が使用されていた(特公昭56−22541
号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年では、フ
ロンのオゾン層破壊が指摘されており、地球環境保護の
ため、フロンを用いないことが要求されている。そこ
で、フロンに変わる洗浄剤について鋭意研究したが、妥
当なもの発見することができなかった。しかし、本発
明者らは、逆に上記のようなフロンを用いた洗浄工程を
行うことなく、非凝固性液の除去が行えれば、結果的に
は塩化フッ化炭素(フロン)を使用することなく、非凝
固性液の除去工程を含む中空糸を製造方法が達成できる
ことを知見した。
【0005】そこで、本発明の目的は、紡糸工程におい
て、中空糸内部に充填された非凝固性液の除去工程を含
む透析用中空糸の製造方法において、フロンを用いるこ
となく、かつ透析用中空糸として十分な性能を有する中
空糸を製造することができる透析用中空糸の製造方法を
提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、セルロース紡糸原液を管状に押し出し、同時に内部
に紡糸原液に対する非凝固性を示し、かつ、引火点が3
0℃〜95℃、沸点が105℃〜240℃、60℃にお
ける蒸気圧が0.8〜60トールである炭化水素である
非凝固性液を導入充填して押し出し、押し出された紡糸
原液を凝固・再生し、該凝固・再生された中空糸を切断
した後、温度50〜120℃かつ相対湿度20〜100
%の調湿空気の送風により該中空糸内部の前記非凝固性
液を除去する透析用中空糸の製造方法である。
【0007】 また、上記目的を達成するものは、セル
ロース紡糸原液を管状に押し出し、同時に内部に紡糸原
液に対する非凝固性を示し、かつ、引火点が30℃〜9
5℃、沸点が105℃〜240℃、60℃における蒸気
圧が0.8〜60トールである炭化水素である非凝固性
液を導入充填して押し出す紡糸原液吐出工程と、押し出
された紡糸原液を凝固性液中を通過させる凝固・再生工
程と、アルカリ水溶液でアルカリ処理する再凝固工程
と、水洗を行う水洗工程と、酸水溶液で処理する酸処理
工程と、再水洗工程と、可塑化処理工程と、乾燥工程
と、乾燥された中空糸を巻きとる巻き取り工程と、巻き
取られた中空糸を所定長に切断する切断工程と、切断さ
れた中空糸をバンドルに束ねるバンドル形成工程と、バ
ンドルに形成された中空糸の内部に温度50〜120℃
かつ相対湿度20〜100%の調湿空気を送風して中空
糸内部の非凝固性液を除去する非凝固性液除去工程とを
有する透析用中空糸の製造方法である。
【0008】そして、前記非凝固性液は、炭素数9以上
の炭化水素であることが好ましい。前記非凝固性液は、
炭素数9〜14の炭化水素であることが好ましい。前記
非凝固性液は、炭素数9以上の炭化水素の2種以上の混
合物であってもよい。前記非凝固性液は、炭素数9〜1
4の炭化水素の2種以上の混合物であってもよい。前記
非凝固性液は、引火点が、70℃以上であることが好ま
しい。また、前記非凝固性液は、第3石油類であること
が好ましい。
【0009】そして、前記の送風による中空糸内部の非
凝固性液の除去工程は、加温した空気を中空糸内部に送
風することにより行われるものであることが好ましい。
そして、送風による中空糸内部の非凝固性液の除去工程
は、湿度調整した空気(調湿空気)を中空糸内部に送風
することにより行われるものであることが好ましい。ま
た、送風による中空糸内部の非凝固性液の除去工程は、
加温および湿度調整した空気(加温調湿空気)を中空糸
内部に送風することにより行われるものであることが好
ましい。そして、加温した空気の温度は、50〜120
℃が好適である。また、加湿した空気の湿度は、20〜
100%(相対湿度)であることが好ましい。
【実施例】
【0010】そこで、本発明の透析用中空糸の製造方法
を図1に示す製造装置を用いて説明する。本発明の製造
方法の実施例を概略すると、紡糸原液を管状に押し出
し、同時に内部に紡糸原液に対する非凝固性を示し、か
つ、引火点が30℃〜95℃、沸点が105℃〜240
℃、60℃における蒸気圧が0.8〜60トールである
非凝固性液を導入充填して押し出す紡糸原液吐出工程
と、押し出された紡糸原液を凝固性液中を通過させる凝
固・再生工程と、アルカリ水溶液でアルカリ処理する再
凝固工程と、水洗を行う水洗工程と、酸水溶液で処理す
る酸処理工程(脱銅処理工程)と、再水洗工程と、可塑
化処理工程と、乾燥工程と、乾燥された中空糸を巻き取
る巻取工程とを有している。ここまでの工程は、連続し
て行うことができる。さらに、本発明の中空糸の製造方
法は、ボビンなどに巻き取られた中空糸を所定長に切断
する切断工程と、切断された中空糸をバンドル状に束ね
るバンドル形工程と、バンドル状に束ねられた中空糸
の内部に送風(気体を送る)して中空糸内部の非凝固性
液を除去する非凝固性液除去工程を有している。
【0011】そこで、各工程について説明する。本発明
により製造される中空糸としては、銅アンモニアセルロ
ース、酢酸セルロース等のセルロース繊維があり、特
に、銅アンモニアセルロースが好適である。セルロース
としては、種々のものが使用できるが、例えば、平均重
合度が500〜2500程度のものが好適である。そし
て、紡糸原液におけるセルロース濃度は、5.5〜8.
7%が好ましく、特に好ましくは7.0〜8.5%であ
り、紡糸原液の粘度は、250〜1,300ポイズ(2
0℃)が好ましく、特に好ましくは800〜1,200
ポイズである。
【0012】ここで紡糸原液のセルロース濃度として
5.5%よりも低いと得られる中空糸はピンホールが多
くなり、また、機械的強度が小さくなることがある。ま
た、セルロース濃度が8.7%よりも高くなると中空糸
の強度は増加するが、その反面粘度が上昇して取り扱い
が困難となるばかりでなく、紡糸時に脈動が生じたり、
切糸したりして紡糸が困難となり所望の孔径、開孔率お
よび透析能のものが得にくいことがある。
【0013】そして、紡糸原液は、例えば、銅アンモニ
アセルロース紡糸原液であれば、アンモニア水溶液に塩
基性硫酸銅を懸濁させて銅アンモニア水溶液を調整し、
これに亜硫酸ナトリウム水溶液を添加し、この溶液に重
合度約1,000(±100)のコットンリンターパル
プを湿式粉砕し、脱水した含水リンターを投入して濃度
調製用水を添加して撹拌溶解を行い、ついで水酸化ナト
リウム水溶液を添加して銅アンモニアセルロース水溶液
を調整することにより作成される。そして、紡糸原液吐
出工程において紡糸原液とともに、かつその内部にコア
状に充填された状態で吐出される非凝固性液としては、
紡糸原液に対する非凝固性を示し、かつ、引火点が30
℃〜95℃、沸点が105℃〜240℃、60℃におけ
る蒸気圧が0.8〜60トールであるものが使用され
る。このような非凝固性液を用いることにより、後述す
る非凝固性液の除去工程を送風により行うことができ、
フロンを用いることなく除去できる。
【0014】非凝固性液について具体に述べると、例
えば、炭素数9以上の炭化水素が好適である。また、さ
らに、好ましくは、炭化水素が9〜14であることが好
ましい。炭化水素が9以上の炭化水素であれば、引火点
および沸点があまり低くなく、かつ、炭素数が、14以
下であれば、十分な揮発性を有するため除去が容易であ
る。炭化水素としては、安定性の点より、飽和炭化水素
が好ましい。なお、炭化水素は、直鎖のものが好適であ
るが、側鎖を有するもの、また環式ものであってもよ
い。また、引火点は70℃以上であることが、使用時の
安全性の点より好適である。同様に、沸点が130℃以
上であることも使用時の安全性の点より好適である。さ
らに、蒸気圧が、5〜20トールであることが、除去が
確実に行える点および除去時間が短くなるなどの点より
好適である。
【0015】非凝固性液の具体例としては、C9
20[ノナン(好ましくは、n−ノナン,引火点31℃、
沸点149.5℃、蒸気圧20トール、密度0.71
8)]、C1022[デカン(好ましくは、n−デカン,
引火点53℃、沸点169〜173℃、蒸気圧10トー
ル、密度0.734(15℃)]、C1124[ウンデカ
ン(好ましくは、n−ウンデカン,引火点68℃、沸点
189〜194℃、蒸気圧7トール、密度0.744
(15℃)]、C1226[ドデカン(好ましくは、n−
ドデカン,引火点87℃、沸点214.5℃、蒸気圧4
トール、密度0.751)]、C1328[トリデカン
(好ましくは、n−トリデカン,引火点99℃、沸点2
27℃、蒸気圧2トール、密度0.760)]、C14
30[テトラデカン(好ましくは、n−テトラデカン,沸
点253℃、蒸気圧0.7トール、密度0.765)]
である。特に、好ましくは、上記の炭化水素のうち、ノ
ナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどである。
【0016】また、非凝固性液は、上述したような炭化
水素の単体であってもよいが、上述したような炭化水素
の2種以上の混合物であってもよい。例えば、上述し
た、ウンデカンとドデカンの混合物でもよい。混合物と
しては、ウンデカン:ドデカン=4〜1:3〜2程度の
ものが好適であり、具体的には、ウンデカン:ドデカン
=4:1[引火点70℃、沸点189〜211℃、蒸気
圧6.6トール、密度0.745(15℃)、第3石油
類]が好適である。さらに、非凝固性液は、第3石油類
であることが好ましい。第3石油類であれば、取り扱い
も容易である。また非凝固性液は、炭化水素のみでも、
必要により、界面活性剤、安定剤などの添加剤を加えて
もよい。
【0017】また、非凝固性液としては、上述のような
条件を満たし、かつ、後述する凝固性液より比重が低い
ものが好適である。製造時に切糸したときに、非凝固性
液が凝固性液の下部に沈降することがなく、凝固性液の
表面に浮上するので、その除去が容易である。上記のよ
うな炭化水素であれば、凝固性液より比重が低いので好
適に使用できる。なお、凝固性液としては、通常水酸化
ナトリウム水溶液が使用されるので、実質的に比重(密
度)は1である。よって、非凝固性液としては、比重
(密度)が1未満のものを用いることが好ましい。な
お、上述した炭化水素類は、通常1未満(0.8程度)
の比重(密度)を有している。そして、このようにして
調整された紡糸原液および非凝固性液は、吐出装置より
押し出される。紡糸方法としては、種々の方法があり、
例えば、特公昭53−30808号公報に示されるよう
な空中落下法、特開昭57−199808号公報に示さ
れるような浮上紡糸法などがあり、いずれでもよい。
【0018】空中落下法による実施例を用いて、図1を
参照して説明する。吐出装置2は、環状ノズルを内蔵し
ており、紡糸原液流入口7より流入した紡糸原液を管状
に、また、非凝固性液流入口5より流入した非凝固性液
を線状に押し出し紡糸原液の内部中央にコア状に充填さ
れた状態とする。そして、このように、内部に非凝固性
液が充填された線状の紡糸原液は、空中を自由落下する
ことにより伸張し、その真下に設置された浴槽4内に導
入される。この浴槽4内には、凝固性液が充填されてい
る。
【0019】そして、吐出装置の紡糸原液吐出口の口径
は、1.5〜5mmが好適であり、紡糸原液の吐出量
は、4〜12ml/分が好適である。また、非凝固性液
の吐出口の口径は、0.3〜2mmが好適であり、非凝
固性液の吐出量は、1.0〜4.0ml/分が好適であ
る。紡糸原液と非凝固性液の吐出時の線速度比は、0.
1〜1.5程度が好適である。また、吐出装置2と浴槽
4との距離は、150〜450mmが好適である。凝固
性液としては、アルカリ水溶液が使用される。具体的に
は、非凝固性液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等が好適であ
るが、特に、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ濃
度は1.5〜3.5規定が好ましい。
【0020】そして、凝固性液浴槽4内に突入した紡糸
原液は、変向棒9により水平方向に変更され浴槽中を走
行する。なお、この浴槽4中における紡糸原液の速度
(言い換えれば、紡糸速度は、40〜180m/分が好
適である。そして、中空糸は、浴槽4からローラ10,
11により引上げられた後、搬送装置12上に振り落さ
れ、搬送装置12上で水酸化ナトリウム水溶液散布装置
13(アルカリ水溶液散布装置)により水酸化ナトリウ
ム水溶液(アルカリ水溶液)がシャワー状に振りかけら
れ充分凝固し、続いて、水散布装置14により水がシャ
ワー状に振りかけられて水洗処理され、さらに、酸水溶
液散布装置15により硫酸(5%)がシャワー状に振り
かけて再生処理(脱銅処理)され、再び、第2の水散布
装置16により水がシャワー状に振りかけられて水洗処
理される。そして、このようにして凝固・再生された中
空糸22は、ローラ20によって、搬送装置12から引
き上げられ、可塑化処理槽17内を走行する。可塑化液
としてはグリセリン溶液が好適に使用される。その後、
中空糸は、複数個のローラを千鳥状に配設した乾燥器1
8内を通過し、乾燥後、ボビン19に巻き取られる。
【0021】次に、送風による中空糸内部の非凝固性液
の除去工程が行われる。上記のようにしてボビン19に
巻き取られた中空糸は、所定長に切断された後、所定本
数束ねられて中空糸バンドルを作成される。なお、中空
糸バンドルは、フィルムなどのバンドル形成部材により
束ねられることにより形成される。そして、この中空糸
バンドルを立てた状態にて、送風乾燥機内に入れ、上方
より風を送ることにより、中空糸内部に充填されている
非凝固性液が排出されるとともに、中空糸の内面に付着
した非凝固性液は揮発し、非凝固性液の除去が行われ
る。なお、上記の送風は、中空糸バンドルを立てた状態
にて、上方より下方に向けて行うことが、非凝固性液の
排出効率が高く好ましいが、これにかぎらず、中空糸バ
ンドルを横にした状態で行ってもよい。いずれにしろ、
中空糸内部に空気が送風されるように行えばよい。そし
て、この送風は、非凝固性液の揮発を促進している。
【0022】また、送風量としては、60〜250ml
/min程度が好適である。60ml/min以上であ
れば、排出効率と揮発促進という点より好適であり、2
50ml/min以下であれば、送風圧力と中空糸の変
形という問題も生じないので好ましい。また、送風時間
としては、20〜180分が好適である。また、送風さ
れる気体は、中空糸に不活性な気体であればどのような
ものでもよいが、空気、窒素などが使用できるが、取り
扱いが容易である空気が好適である。
【0023】さらに、送風による中空糸内部の非凝固性
液を除去する工程は、加温した空気を中空糸内部に送風
することにより行われるものであることが好ましい。こ
のようにすることにより、非凝固性液も加温されること
になるので、非凝固性液の除去率が高く、除去時間(揮
発速度)も短いものとできる。そして、加温した空気の
温度は、50〜120℃が好適である。50℃以上であ
れば、非凝固性液の揮発を促進でき、120℃以下であ
れば、中空糸の劣化も生じない。
【0024】また、送風による中空糸内部の非凝固性液
の除去工程は、湿度調整した空気(以下、調湿空気)を
中空糸内部に送風することにより行われるものであるこ
とが好ましい。このようにすることにより、送風時にお
いて中空糸が急激に乾燥状態となり、劣化することを避
けることができる。そして、調湿空気の湿度は、20〜
100%(相対湿度)であることが好ましい。20%以
上であれば、送風後の中空糸が過乾燥となり、劣化する
ことがなく好ましく、また、100%以下であれば、中
空糸の表面に着水することがなく好ましい。好適には、
40〜95%であり、40%以上であれば、過乾燥によ
る中空糸の劣化を生じさせることがなく、また、95%
以下であれば、昇温、降温かていにおいて中空糸バンド
ルに結露が生じることもなく好適である。
【0025】さらに、送風による中空糸内部の非凝固性
液の除去工程は、加温および加湿した空気を中空糸内部
に送風することにより行われるものであることが好まし
い。このようにすることにより、非凝固性液も加温され
ることになるので、非凝固性液の除去率が高く、除去時
間(揮発速度)も短いものとできるとともに、送風時に
おいて中空糸が急激に乾燥状態となり、劣化することも
避けることができる。この加温および加湿の両者を行う
場合の好ましい温度および湿度条件は、上述のとおりで
ある。
【0026】そして、このようにして製造される透析用
中空糸は、内径が150〜300μm、好ましくは、1
80〜250μm、肉厚が、8〜30μm、好ましく
は、10〜25μm、限外濾過速度が、2.5〜60m
l/mmHg・hr・m2である。 そして、このように
して非凝固性液が除去された中空糸バンドルは、ポリカ
ーボネート樹脂製ハウジングに収納され、両端部が高分
子ポッティング剤により固定され、ハウジングの両端に
血液ポートが固定されることにより人工透析器となる。
そして、このようにして作成された人工透析器は、高圧
蒸気、エキレンオキサイドガスなどにより滅菌される。
【0027】また、上記説明では、空中落下法による実
施例を用いて説明したが、浮上紡糸法によって行っても
よい。浮上紡糸法の場合には、例えば、図2に示すよう
な装置を用いて行うことができる。浴槽2内には、非凝
固性液槽に非凝固性液を供給して非凝固性液層3(下層
3)が、さらに、非凝固性液層3の上に凝固性液層4
(上層4)を設けることにより、浴槽2内には、下層が
非凝固性液層、上層が凝固性液層となった液体2層構造
が形成されている。凝固性液としては、上述したものが
使用でき、非凝固性液としては、ハロゲン化炭化水素
は、比重が1.3以上、好ましくは1.4〜1.7のも
のであり、また水に対する溶解度は0.15g/100
ml以下、好ましくは0.05g/100ml以下であ
る。一例を挙げると、例えば四塩化炭素、1,1,1−
トリクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、ト
リクロルエチレン、テトラクロルエタン、テトラクロル
エチレン等がある。また、凝固性液としては、アルカリ
水溶液が使用され、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等がある
が、好ましくは水酸化ナトリウムである。アルカリ濃度
は1.5〜3.5規定である。
【0028】そして、浴槽2の非凝固性液槽の下部(非
凝固性液層3の下部)には、吐出装置6(紡糸口金装置
6)が、環状紡糸口が上向きとなるように装着されてい
る。この吐出装置6には、紡糸原液導入管7および非凝
固性液導入管5が接続されている。そして、紡糸口金装
置6の紡糸口より、紡糸原液およびその内部に充填され
た非凝固性液が、下層の非凝固性液層3中に直接吐出さ
れる。吐出された紡糸原液(非凝固性液を内包)は非凝
固性液層3中を上昇し、さらに上層4の凝固性液層4中
を上昇した後、変向棒9により水平方向に変向させられ
た後、上述した図1に示した実施例と同様に、浴槽4か
らローラ10,11により引上げられる。なお、その他
の点については、上述した実施例と同様のものおよび方
法が好適に利用できる。
【0029】次に、本発明の具体的実施例について説明
する。 (実施例1)25%アンモニア水溶液1,160gに塩
基性硫酸銅250gを懸濁させて銅アンモニア水溶液を
調整し、これに10%亜硫酸ナトリウム水溶液830g
を添加した。この混合溶液にコットンリンターパルプを
湿式粉砕し、脱水した含水リンター(含水率60%)8
00gを投入して濃度調製用RO水300gを添加して
撹拌溶解を行い、ついで10%水酸化ナトリウム水溶液
540gを添加して銅アンモニアセルロース水溶液(比
重1.09)を調整して紡糸原液とした。この紡糸原液
のセルロース濃度は8.0%、粘度は1,100ポイズ
(20℃)であった。
【0030】一方、図1に示すような装置を用いて、浴
槽2内に3.5規定の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を
供給した。前記の紡糸原液を紡糸原液導入口7により吐
出装置6に導き、7kg/cm2の窒素圧で紡糸孔より
吐出した。吐出装置の吐出口の口径は4mmであり、紡
糸原液の吐出量は8.2ml/分とした。一方、吐出装
置の非凝固性液導入口5より非凝固性液(NSクリーン
200、日鉱石油化学株式会社製、ウンデカン:ドデカ
ン=4:1の混合物[引火点70℃、沸点189〜21
1℃、蒸気圧6.6トール、密度0.745(15℃)
第3石油類]を導入し、前記の線状吐出紡糸原液に内包
させて吐出させた。非凝固性液吐出口の口径は、0.8
mmであり、非凝固性液の吐出量は2.1ml/分とし
た。紡糸原液と非凝固性液の吐出時の線速度比は0.2
であった。
【0031】ついで吐出紡糸原液(非凝固性液を内包、
比重1.035)を空中に自然落下させて、浴槽4(凝
固性液槽)内に突入させた。紡糸原液吐出口から非凝固
性液液面までの高さは、300mmとした。そして、突
入した紡糸原液を変向棒9により水平方向に変向させ
て、凝固性液[水酸化ナトリウム水溶液(20±2
℃)]内を走行させて凝固させた。なお、紡糸速度は、
80m/分、平行走行距離4.0mであった。浴槽4か
らローラ10により引上げた後、搬送装置上に振り落と
して搬送装置上で10%水酸化ナトリウム水溶液をシャ
ワー状に振りかけ充分凝固させ、次いで、水洗処理し、
さらに、1.0%硫酸により再生処理(脱銅処理)を
し、さらに、水洗処理した後、ローラによって中空糸を
搬送装置から引き上げ可塑化槽内を走行させた。可塑化
液としては4%グリセリン溶液を用いた。その後、複数
個のローラを千鳥状に配設した乾燥器18内を走行させ
て乾燥させた後、ボビンに巻き取った。なお、乾燥器1
8における加熱体32の中空糸との接触部の温度は、1
15℃とした。
【0032】そして、このようにして形成した中空糸
を、長さ約600mmに切断するとともに、約9,30
0本をフィルムにより束ねて中空糸バンドルを作成し
た。そして、この中空糸バンドルを、送風機能付きの非
凝固性液除去装置内に立てた状態にて収納し、温度70
℃、相対湿度40%(加温調湿空気)、送風量150m
l/minにて40分間、中空糸バンドルの上方より下
方に向けて空気を送風し、非凝固性液を除去した。この
ようにして作成した中空糸における非凝固性液の残存量
は、0.1mg以下であった。また、目視による観察で
は、中空糸の表面に割れ、ひびなどは見られなかった。
【0033】そして、非凝固性液が除去された中空糸バ
ンドルをポリカーボネート樹脂製ハウジング内に挿入
し、両端部を高分子ポッティング剤を充填して固定し、
ハウジングの両端に血液ポートを取付け、膜面積1.2
2の人工腎臓を製作した。
【0034】(参考例1) 中空糸バンドルを、送風機能付きの非凝固性液除去装置
内に立てた状態にて収納し、温度60℃(加温空気)、
相対湿度15%、送風量150ml/minにて60分
間、中空糸バンドルの上方より下方に流れるように空気
を送風して、非凝固性液を除去した以外は、実施例1と
同様に行った。このようにして作成した中空糸における
非凝固性液の残存量は、0.1mg以下であった。ま
た、目視による観察では、中空糸の表面に割れ、ひびな
どは見られなかった。
【0035】(参考例2) 中空糸バンドルを、送風機能付きの非凝固性液除去装置
内に立てた状態にて収納し、温度27℃、相対湿度70
%(調湿空気)、送風量150ml/minにて240
分間、中空糸バンドルの上方より下方に流れるように空
気を送風し、非凝固性液を除去した以外は、実施例1と
同様に行った。このようにして作成した中空糸における
非凝固性液の残存量は、0.1mg以下であった。ま
た、目視による観察では、中空糸の表面に割れ、ひびな
どは見られなかった。
【0036】(実施例) 紡糸原液の内部に充填する非凝固性液として、NSクリ
ーン110(日鉱石油化学株式会社製、n−ウンデカン
99%、引火点68℃、沸点189〜194℃、蒸気圧
7.1トール、密度0.744(15℃)]を用いた以
外は、実施例1と同様に行った。このようにして作成し
た中空糸における非凝固性液の残存量は、0.1mg以
下であった。また、目視による観察では、中空糸の表面
に割れ、ひびなどは見られなかった。上記の実施例およ
び参考例において、加温調湿空気(加温および湿度を調
整した空気)を用いて乾燥を行った実施例の方が、非凝
固性液の残存量が0.1mg以下となるまでの除去作業
時間が短く、除去効率が高いものであった。
【0037】(実験1) 実施例1、2および参考例1、2の中空糸について、限
外濾過速度測定したところ表1に示すとおりであった。
【0038】
【表1】
【0039】なお、限外濾過速度(UFR)は、次のよ
うにして測定した。まず、上述したように各実施例の中
空糸を用いて、人工透析器を作成し、ピンホールおよび
リークのないことを確認した後、人工透析器を37±1
℃の温水にて湿潤させ、次いで、3分以上経過した後、
人工透析器の血液ポートの片方を閉じ、圧力(0.75
kg/cm2=551mmHg)かけ、30秒間に水が
抜ける量をリークテスターにより測定し、次式により算
出した。
【0040】限外濾過速度(ml/mmHg・hr・m2
=測定値(ml)/圧力(mmHg)・時間(hr)・
面積(m2
【0041】(実験2) 実施例1、2および参考例1、2の中空糸について、透
析能を測定したところ表2に示すとおりであった。
【0042】
【表2】
【0043】なお、透析能は、次のようにして測定し
た。まず、上述したように各実施例の中空糸を用いて、
人工透析器を作成し、ピンホールおよびリークのないこ
とを確認した後、代用血液として種々の分子量物質を溶
かした溶液(標準溶液)を流し、一方代用透析液とし
て、市販のクリアランス洗浄用水を流し、血液側流量を
200ml/min、透析液側流量を500ml/mi
nに制御し、10分間循環する。この後、クリアランス
洗浄用水(濾液)の濃度を比色定量して濾液(検体)の
吸光度に相当する含量を検量線より求め、次式により、
クリアランスを算出した。
【0044】クリアランス(ml/min)=[標準溶
液濃度(mg/dl)−検体の吸光度に相当する含量
(mg/dl)]×200/標準溶液濃度(mg/d
l)
【0045】
【発明の効果】本発明の透析用中空糸の製造方法は、紡
糸原液を管状に押し出し、同時に内部に紡糸原液に対す
る非凝固性を示し、かつ、引火点が30℃〜95℃、沸
点が105℃〜240℃、60℃における蒸気圧が0.
8〜60トールである非凝固性液を導入充填して押し出
し、押し出された紡糸原液を、凝固・再生し、該凝固・
再生された中空糸を切断した後、送風して該中空糸内部
の前記非凝固性液を除去するものである。特に、紡糸原
液の内部に充填注入される非凝固性液として、上記のも
のを用い、さらに、この非凝固性液の除去をフロンなど
の洗浄液を用いることなく、送風により除去している。
このため、中空糸の製造工程おいて、地球環境に問題の
あるフロンを用いることなく、かつ十分な透析能を有す
る中空糸を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の透析用中空糸の製造方法に用
いられる製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の透析用中空糸の製造方法に用
いられる製造装置の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 中空糸製造装置 2 吐出装置 5 非凝固性液流入口 7 紡糸原液流入口 4 浴槽(非凝固性液槽) 9 変向棒 10 ローラ 11 ローラ 12 搬送装置 13 アルカリ水溶液散布装置 14 水散布装置 15 酸水溶液散布装置 16 第2の水散布装置 17 可塑化処理槽 18 乾燥器 20 ローラ 19 ボビン 22 中空糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−71411(JP,A) 特開 昭56−43416(JP,A) 特開 平6−10208(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 2/00 - 2/30 D01D 5/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース紡糸原液を管状に押し出し、
    同時に内部に紡糸原液に対する非凝固性を示し、かつ、
    引火点が30℃〜95℃、沸点が105℃〜240℃、
    60℃における蒸気圧が0.8〜60トールである炭化
    水素である非凝固性液を導入充填して押し出し、押し出
    された紡糸原液を凝固・再生し、該凝固・再生された中
    空糸を切断した後、温度50〜120℃かつ相対湿度2
    0〜100%の調湿空気の送風により該中空糸内部の前
    記非凝固性液を除去することを特徴とする透析用中空糸
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 セルロース紡糸原液を管状に押し出し、
    同時に内部に紡糸原液に対する非凝固性を示し、かつ、
    引火点が30℃〜95℃、沸点が105℃〜240℃、
    60℃における蒸気圧が0.8〜60トールである炭化
    水素である非凝固性液を導入充填して押し出す紡糸原液
    吐出工程と、押し出された紡糸原液を凝固性液中を通過
    させる凝固・再生工程と、アルカリ水溶液でアルカリ処
    理する再凝固工程と、水洗を行う水洗工程と、酸水溶液
    で処理する酸処理工程と、再水洗工程と、可塑化処理工
    程と、乾燥工程と、乾燥された中空糸を巻きとる巻き取
    り工程と、巻き取られた中空糸を所定長に切断する切断
    工程と、切断された中空糸をバンドルに束ねるバンドル
    形成工程と、バンドルに形成された中空糸の内部に温度
    50〜120℃かつ相対湿度20〜100%の調湿空気
    を送風して中空糸内部の非凝固性液を除去する非凝固性
    液除去工程とを有することを特徴とする透析用中空糸の
    製造方法。
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