JPH09172941A - 電子レンジによる再加熱用パン - Google Patents

電子レンジによる再加熱用パン

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JPH09172941A
JPH09172941A JP34344695A JP34344695A JPH09172941A JP H09172941 A JPH09172941 A JP H09172941A JP 34344695 A JP34344695 A JP 34344695A JP 34344695 A JP34344695 A JP 34344695A JP H09172941 A JPH09172941 A JP H09172941A
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Japan
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bread
fatty acid
diglycerin
microwave oven
bulk
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JP34344695A
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English (en)
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Naohito Kudo
尚人 工藤
Hisao Omura
久雄 大村
Tomoko Fukunaga
朋子 福永
Naoki Hosoya
直樹 細谷
Yukitaka Tanaka
幸隆 田中
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子レンジ加熱に適し、特にムレ臭が低減さ
れ、嵩の復元性にも優れたレンジパンを提供する。 【解決手段】 原料小麦粉100 重量部に対して0.01〜5
重量部のポリオール脂肪酸の部分エステル化物を含有す
る電子レンジによる再加熱用パン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子レンジ加熱に適
するパンに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】現在、
製パン業界では、中種製パン法やストレート製パン法が
主流となっている。そのいずれの製パン法においても、
製造したパン類は、発酵工程により生じるアルコール臭
や発酵臭、また焼成後の経時変化による老化臭や酸臭、
さらにトーストによるクラム内部のムレ臭などパンのお
いしさの妨げになる風味が問題となっている。上記の風
味は、パンを製造する際に原料由来、工程由来によって
生じる風味であって、現在使用されている種々の品質改
良剤たとえば乳化剤や、天然物品質改良剤などの添加の
有無にかかわらず生じるものである。一方、近年、電子
レンジの普及や流通過程の変化により、予め焼成後のパ
ンを常温で保存、あるいは冷蔵もしくは冷凍しておき、
食べる直前に電子レンジにより加熱するタイプのパンの
需要も増えている。ここで、このようなレンジパン、特
に冷凍パンは一般のパンに比し、食感、その他の各種物
性が劣ることが多く、添加剤、小麦粉組成等の面から、
改良が図られているが、未だ不十分な点も多い。また、
通常の焼成パンの嵩を減少させた場合、嵩が元の大きさ
まで戻ることはできにくく、これは電子レンジによる再
加熱を行っても同様である。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは電子レンジ
による再加熱用パンにおける食感改善、及び電子レンジ
加熱による嵩復元性について有効な剤を見い出す為に鋭
意研究した結果、本発明を完成した。即ち本発明は、原
料小麦粉100 重量部に対して0.01〜5重量部、さらに好
ましくは0.1 〜3重量部のポリオール脂肪酸の部分エス
テル化物を含有することを特徴とする電子レンジによる
再加熱用パンを提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。先ず、本発明において特徴成分となるポリオール脂
肪酸の部分エステル化物とは、具体的にはグリセリン、
ジグリセリン及びトリグリセリンの何れか1種以上と脂
肪酸とのジエステルであるが、これに限定されない。本
発明で言うポリオールとは、化合物中に活性水素を有す
る水酸基を複数個有するものであり、具体的にはグリセ
リン骨格を有するグリセリン、ジグリセリン、ポリグリ
セリン(トリグリセリン等)が用いられる。これらは単
独で用いても混合物として用いてもかまわない。好まし
くはジグリセリンである。本発明で用いる脂肪酸は、特
に限定されないが炭素数12〜24の飽和又は不飽和のもの
が用いられる。又、分岐鎖のものが一部含まれていても
使用可能である。これらは単独または混合物として用い
られる。具体的には、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレ
イン酸、リノール酸、リノレイン酸が上げられるが、中
でも飽和脂肪酸が好ましい。本発明で言うポリオール脂
肪酸の部分エステル化物とは、ポリオールの活性水素の
1つ以上が上記脂肪酸でエステル化されており、且つし
かもエステル化されない部分が化合物中に存在している
ものである。現実的には種々の混合物となり、その割合
は特定できにくいが、ジグリセリド、ジグリセリンジエ
ステル、ジグリセリントリエステル、トリグリセリンジ
エステル、トリグリセリントリエステル等の混合物であ
る。
【0005】本発明で好ましく用いられる特定の構造を
有するジグリセリンジ飽和脂肪酸エステルとは、ジグリ
セリンの一方のグリセリンの二つの水酸基が脂肪酸によ
りエステル化されてなる構造のジグリセリンジ脂肪酸エ
ステルに比べ、ジグリセリンの一つの末端の水酸基もし
くはそれに隣接する水酸基のいずれか一方、及び他の一
つの末端の水酸基もしくはそれに隣接する水酸基のいず
れか一方が飽和脂肪酸によりエステル化された構造を有
するジグリセリンジ飽和脂肪酸エステルを80重量%以
上含有するような、特定の構造を有するジグリセリンジ
飽和脂肪酸エステルを高濃度で含有するジグリセリンジ
脂肪酸エステル組成物のことであり、この特定のジグリ
セリンジ飽和脂肪酸エステルを高濃度で含有するジグリ
セリンジ脂肪酸エステル組成物、特に下記式(I)〜
(III)で示されるような構造のジグリセリンジ飽和脂肪
酸エステルを含有するジグリセリン脂肪酸エステル組成
物を添加することにより、電子レンジによる再加熱を行
っても、良好な食感と腰感の向上効果が認められ、さら
に焼成パンの嵩を減少させた際、電子レンジによる再加
熱において良好な復元性が認められた。
【0006】
【化1】
【0007】(式中、R1〜R6はそれぞれ独立に炭素数1
0〜24のアシル基を表す。)上記ポリオール脂肪酸の
部分エステル化物の有効添加量は、後記する原料小麦粉
100 重量部に対して0.01〜5重量部、さらに好ましくは
0.1 〜3重量部である。ここに挙げたジグリセリンジ飽
和脂肪酸エステルは、ジグリセリンジ脂肪酸エステル組
成物やジグリセリン脂肪酸エステル組成物として使用で
きる。また、食用油脂に溶解もしくは分散させてなる組
成物として使用でき、水中油型等の乳化油脂組成物とし
ても使用できる。
【0008】上記形態の組成物の調製に用いる食用油脂
としては、通常食用に供する油脂でよく、例えば、菜種
油、大豆油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、綿
実油、ゴマ油、ハイエルシンナタネ油、パーム油、パー
ム核油、椰子油、乳脂、ラード、牛脂、魚油、鯨油及び
これらの硬化油、分別油、ランダム化油などから選ばれ
た一種以上の油脂を挙げることができる。またジグリセ
リドは、上記のような食用油脂を原料としてエステル交
換反応などの公知の方法で得られたジグリセリドを用い
ることができる。上記水中油型等の乳化油脂組成物には
糖を配合してもかまわず、この場合に用いる糖として
は、例えば、砂糖、麦芽糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、ガ
ラクトース、水飴、異性化糖、転化糖、プルランなどの
糖類;ソルビトール、マルチトール、キシリトールなど
の糖アルコール類;澱粉加水分解物などの還元糖類;及
び澱粉、デキストラン、グリコーゲン、セルロース、デ
キストリン、イヌリン、ガラクタン、キチン、アルギン
酸、ペクチンなどの多糖類を挙げることができる。これ
らは、一種または二種以上を組み合わせて使用すること
ができる。上記の中では、二糖類以上の糖類及び糖アル
コール類が好ましい。乳化油脂組成物は、常法に従い調
製することができる。その際必要により、乳化剤を使用
することができる。乳化剤としては、例えば、モノグリ
セリン脂肪酸エステル、レシチン、ショ糖脂肪酸エステ
ル、有機酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル
などを挙げることができる。例えば、乳化油脂組成物の
場合は、油相部には親油性の乳化剤が、また水相部には
親水性の乳化剤が一種または二種以上を使用できる。親
油性の乳化剤は、通常食用油脂100重量部に対して、
0.1〜50重量部(好ましくは、0.5〜10重量
部)、親水性の乳化剤は、水100重量部に対して、
0.1〜20重量部(好ましくは、1〜10重量部)使
用される。また、公知の改質剤と組み合わせて使用する
こともできる。公知の改質剤としては、例えば、モノグ
リセリド、有機酸モノグリセリド、グリセリン脂肪酸エ
ステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビ
タン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、リン脂質
類、アスコルビン酸、及びその誘導体、有機酸類、アミ
ノ酸類、塩類、酵素製剤(アミラーゼ、プロテアーゼな
ど)を挙げることができる。
【0009】本発明のジグリセリンジ飽和脂肪酸エステ
ルおよびジグリセリンジ脂肪酸エステル組成物は、化学
的合成法、酵素反応による合成法を利用して製造するこ
とができるが、酵素反応による合成法は、前記特定の構
造のジグリセリンジ飽和脂肪酸エステルが高濃度で効率
よく得られると言う利点がある。化学的合成法を利用す
る場合には、本発明のジグリセリンジ脂肪酸エステル組
成物は、ジグリセリンと飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸の低
級アルキルエステルとを、生成する水又は低級アルコー
ルを系外に除去しながら反応させ、次いで得られた反応
生成物から未反応物質を蒸留除去することにより、得る
ことができる。また更に、得られたジグリセリンジ脂肪
酸エステルをクロマトグラフィーなどの分離、分画方法
を利用して精製することで、特定の構造を有するジグリ
セリンジ飽和脂肪酸エステルを高濃度で含有したジグリ
セリンジ飽和脂肪酸エステルを得ることができる。また
酵素反応による合成法を利用する場合には、本発明のジ
グリセリンジ脂肪酸エステル組成物は、ジグリセリンと
飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸の低級アルキルエステルと
を、グリセリンのα位を選択的にエステル化する酵素
(固定化リパーゼ、あるいは菌体内リパーゼ)の存在下
で生成する水又は低級アルコールを系外に除去しながら
反応させ、得られた反応生成物から酵素を除いた後、次
いで未反応物質を蒸留除去することにより、得ることが
できる。また更に、得られたジグリセリンジ脂肪酸エス
テルをクロマトグラフィーなどの分離、分画方法を利用
して精製することで、特定の構造を有するジグリセリン
ジ飽和脂肪酸エステルを高濃度で含有したジグリセリン
ジ飽和脂肪酸エステルを得ることができる。又、本発明
では、グリセリンジ脂肪酸エステルやトリグリセリンジ
脂肪酸エステルも好ましく使用することができ、これら
の構成脂肪酸や調製法は上記したジグリセリンジ飽和脂
肪酸エステルの場合と同様である。
【0010】本発明でいうパンとは、パンを製造するた
めの材料、例えば主原料としての小麦粉にイースト、イ
ーストフード、油脂類(ショートニング、ラード、マー
ガリン、バター、液状油、油中水型乳化組成物、水中油
型乳化組成物等)、水(捏水)、乳製品、食塩、糖類な
どを添加し、更に必要に応じ親水性乳化剤、調味料(グ
ルタミン酸類、核酸類)、保存料、ビタミン、カルシウ
ム等の強化剤、蛋白質、化学膨張剤、フレーバー等の1
種又は2種以上を添加混捏し、発酵工程を経て焼成した
ものを言う。勿論、フィリングなどの詰め物をしたパン
も本発明でいうパンに含まれる。即ち、本発明でいうパ
ンは、食パン、特殊パン、調理パン、菓子パン、蒸しパ
ンなどを意味する。例えば、食パンとしては白パン、黒
パン、フランスパン、バラエティブレッド、ロール(テ
ーブルロール、バンズ、バターロールなど)が挙げられ
る。特殊パンとしてはグリッシーニ、マフィン、ラスク
など、調理パンとしてはホットドック、ハンバーガー、
ピザパイなど、菓子パンとしてはジャムパン、あんパ
ン、クリームパン、レーズンパン、メロンパン、スイー
トロール、リッチグッズ(クロワッサン、ブリオッシ
ュ、デニッシュペストリー)などが挙げられ、蒸しパン
としては肉まん、あんまんなどが挙げられる。
【0011】又、本発明においては、焼成後にパンの嵩
を減少させ、電子レンジ加熱により嵩が復元するような
特徴を有する圧縮パンの形態をとってもよい。尚、この
ような圧縮パンの形態をとることができるものは、上記
パン類の内、比較的含水率が高く、且つ比較的内部空間
容積の大きな食品である。ここで、比較的含水率が高い
とは、一般的には含水率10%以上、また、比較的内部空
間容積が大きいとは、一般的には空間容積10%以上のも
のを指す。以下、より具体的に圧縮パンの形態を説明す
る。圧縮パンの場合、先ず第1工程として、加熱処理、
即ち焼成または半焼成したパン類の嵩を減少させる工程
を行う。ここで、嵩の減少率は、上記パン類の種類、即
ち内部空間容積と復元力との兼ね合いにより一律には規
定できないが、一般的には加熱処理後の半製品又は製品
の1に対して0.01〜0.9 、好ましくは0.1 〜0.9 (体積
比)の範囲であり、本発明の目的(流通、保管における
経費削減)からすれば、減少率が大きいほど好まく、0.
5 以下が効果的である。要は、後記する再加熱により嵩
が復元する程度まで、圧縮することが肝要である。この
パン類の嵩を減少させる工程の具体的手段としては、機
械的圧縮等が挙げられ、具体的には、プレス機による加
圧圧縮や、可撓性包材中に密封しておき中を減圧するこ
とによる圧縮(真空パック方式)が挙げられ、特に真空
パック方式は保存や運搬の面では便利で好ましい。本発
明においては、加熱処理したパン類の嵩を減少させる工
程の前または後に該食品を包装する工程を含むことがで
きる。この包装の工程は、常法の技術により行われる
が、前記の如き真空圧縮包装によれば、圧縮と同時に包
装も可能であり、特に好ましい。尚、当然のことなが
ら、これに限らず包装は圧縮の後でも可能である。本発
明では、加熱処理したパン類の嵩を減少させる工程の前
または後あるいは同時にパン類を冷凍または冷蔵処理す
る工程を設けるのが好ましい。これにより、嵩を減少さ
せたパン類をそのままの形態で保存することが可能であ
ると共に保存性も優れたものとなる。但し、パン類の流
通保存は常温で行っても構わない。最近、常温での流通
技術が各種開発されており、それらを利用することがで
きる。常温での流通保存は、保存性の点で冷凍や冷蔵に
劣るが、冷却装置が不要であるので、流通コストの低減
が可能である。次いで、嵩を減少させたパン類を、必要
により保存、運搬等の流通過程におき、販売店、外食産
業店または家庭にて、再加熱し、嵩を復元させる。この
再加熱の手段としては、乾式手段である電子レンジやオ
ーブンレンジによるものが好ましいが、蒸し器等を使っ
た湿式手段が考えられる。本発明においては、電子レン
ジによることで、風味と復元性の優れた物性が得られ
る。本発明の圧縮パン類の製造方法の実施においては、
具体的に以下のような態様が考えられるが、これらは全
て本発明の実施要項に含まれる。例えば、第1工程の
加熱処理したパン類の嵩を減少させる工程(以下、本願
第1工程と言う)をパン等の製造業者が行い、第1工程
後のパン類の嵩を再加熱により復元させる工程(以下、
本願第2工程と言う)をコンビニエンスストアー等の販
売店が行う場合、本願第1工程をパン等の製造業者が
行い、本願第2工程もパン等の製造業者が行う場合、
本願第1工程をパン等の製造業者が行い、本願第2工程
を消費者が家庭や職場で個人的に行う場合。ここで、再
加熱処理による嵩の復元率は、加熱処理後の1に対して
0.2 〜2.0、好ましくは0.5 〜2.0 (体積比)程度であ
る。
【0012】本発明におけるポリオール脂肪酸の部分エ
ステル化物の作用は以下のように推測される。即ち、本
発明で用いられるポリオール脂肪酸の部分エステル化物
は、水との親和性の高い油脂成分であり、保水力を高め
る作用があり、その結果、レンジアップ、冷凍保存にお
ける水分蒸散を防止し、レンジパンの食感低下が抑制さ
れる。更に、圧縮パンの場合は、その復元性が問題とな
るが、これもポリオール脂肪酸の部分エステル化物の添
加により水分蒸散が抑制されているため、復元力が向上
する。
【0013】
【実施例】次に実施例(参考例、比較例も含む)を示
し、本発明を更に詳細に説明する。尚、実施例中の部
は、すべて重量部である。 参考例パン生地及びパンの製造条件、製法及びパンの評価方法 表1に示す配合に基づき、70%中種法で食パンを製造
し、パンの評価を行う。縦型ミキサー(関東ミキサー10
コート)、フックを用い、中種配合材料〔(強力小麦粉
70部、イースト2部、イーストフード0.1部、水40
部)、ここまでを基本配合とし、添加物を入れる場合
は、この中種で添加する〕をボールに入れ、低速2分、
中高速1分で混捏し、捏上温度を24℃とし、中種生地を
調製する。次にこれを発酵(中種発酵)させる。この時
の条件は、 中種発酵温度 27℃ 中種発酵相対湿度 75% 中種発酵時間 4時間30分 中種発酵終点品温 29.5℃ である。次に、この中種発酵生地に本捏配合材料〔強力
小麦粉30部、食塩2部、砂糖5部、脱脂粉乳1部、水を
25部、油脂5部(油脂だけは混捏の途中で添加する)、
ここまでを基本配合とし、前述したように添加物はこの
本捏で添加しても差し支えない。この参考例では、中種
に添加物を入れる〕を添加し、低速3分、中高速4分で
混捏した後に、油脂を添加し、更に低速2分、中高速3
分で混捏し、本捏生地とした。この時の生地温度は約2
7.5℃である。
【0014】
【表1】
【0015】次に、混捏でダメージを受けた生地を回復
させるためにフロアータイムを20分とり、この後に450
gの生地に分割する。分割でダメージを受けた生地を回
復させる為に、ベンチタイムを室温で20分とり、モルダ
ーで整形する。次に、整形物をワンローフのパン型に入
れ、発酵(ホイロ)を行う。ホイロの条件を以下に示
す。 ホイロ温度 37℃ ホイロ相対湿度 80% ホイロ時間 40分 このようにして調製したパン生地を210 ℃のオーブンで
30分間焼成する。
【0016】以下、実施例、比較例とも叙上の条件と同
一条件でパン生地及びパンを製造し、評価した。 (ジグリセリンジステアレートの調製)ステアリン酸1
00重量部を70℃で溶解し、これにムコール・ミーハ
イ由来のリパーゼを陰イオン交換樹脂に固定した固定化
リパーゼ製剤(商品名:Lipozyme,IM20,NOVO
社製)10重量部と直鎖型ジグリセリン29重量部を加
え、減圧(2Torr)下、70℃で4時間反応させ
た。反応生成物から濾過によって固定化酵素を除いた
後、薄膜式連続蒸留装置によって未反応の脂肪酸、ジグ
リセリンとモノエステルを除去した。更にシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーによってトリエステルを除去
し、ジグリセリン−1,6−ジステアレート(約50
%)、ジグリセリン−1,5−ジステアレート(約45
%)、及びジグリセリン−2,5−ジステアレート(約
5%)の混合物を得た。
【0017】実施例1、比較例1 参考例において示した製造条件を用いて製造した食パン
を電子レンジで加熱し温めたものについて、専門パネル
20名により風味の評価を3段階法で行った。即ち、ムレ
臭がかなり認められるものを1、ムレ臭が認められるも
のを3、ムレ臭が殆ど認められないものを5とした。評
価の方法はモナディック評価(単品評価)及びペアテス
ト評価(比較評価)である。ここで、添加物(ジグリセ
リンジステアレート)は中種に配合し、ジグリセリンジ
ステアレートを小麦粉 100部に対して0.5 部添加した。
対照として、ジグリセリンジステアレート無添加の食パ
ンを製造し、評価を行った結果を表2に示す。ジグリセ
リンジステアレートを添加した場合、モナディック評
価、及び無添加と比べたペアテスト評価の何れにおいて
も風味が優れていることが示された。
【0018】
【表2】
【0019】実施例2、比較例2 参考例において示した製造条件を用いて実施例1、比較
例1と全く同様にして比容積 5.0(cm3/g)の食パンを製
造し、これを圧縮プレス板にはさんで比容積 2.0(cm3/
g)となるまで15秒で圧縮成型し、その状態で−30℃まで
急速冷凍した。3ヵ月後、この冷凍パンを電子レンジで
加熱解凍し温めたものについて、嵩の復元性とあわせ、
同様に評価した。結果を表3に示す。ジグリセリンジス
テアレートを添加した場合、モナディック評価、及び無
添加と比べたペアテスト評価の何れにおいても風味、及
び嵩の復元性が優れていることが示された。
【0020】
【表3】
【0021】実施例3、比較例3 下記するように各成分を配合し、混ねつ後、28℃で40分
醗酵、40gに分割、ベンチタイムを15分とった後、成型
し、37℃、湿度85%で30分ホイロ後焼成し、比容積5.10
(cm3/g)のロールパンを製造した。また、ジグリセリン
ジステアレートを添加しない以外は同様にしてロールパ
ンを製造した。 ロールパンの配合 強力粉 100.0 重量部 イースト 2.0 〃 ジグリセリンジ 2.0 〃 ステアレート イーストフード 0.1 〃 砂糖 8.0 〃 食塩 1.8 〃 脱脂粉乳 3.0 〃 ショートニング 5.0 〃 モノグリセリド 0.3 〃 水 60.0 〃 得られたロールパンを圧縮プレス板にはさんで、比容積
が2.00(cm3/g)となるまで15秒で圧縮成型し、その状態
で−30℃まで急速冷凍した。次に、圧縮成型されたロー
ルパンをプレス板から開放し、包装フィルムに導入し、
窒素ガス置換後、密封包装した。この比容積2.00(cm3/
g)に圧縮成型されたロールパンを1ヵ月冷凍庫に保存し
た後取り出し、電子レンジで40秒加熱した状態のものに
ついての評価結果を表4に示す。ジグリセリンジステア
レートを添加した場合、モナディック評価、及び無添加
と比べたペアテスト評価の何れにおいても風味、及び嵩
の復元性が優れていることが示された。
【0022】
【表4】
【0023】下記するように各成分を配合し、リングド
ーナツを製造した。また、ジグリセリンジステアレート
を添加しない以外は同様にしてリングドーナツを製造し
た。即ち、下記工程で示される中種法にて生地を混ねつ
・醗酵・分割・整形し、整形後、180 ℃のサラダ油で片
面1分30秒フライして比容積 5.5(cm3/g)のリングド
ーナツを製造した。 〔リングドーナツの配合〕 中種 小麦粉(強力粉) 70.0 重量部 イースト 3.0 〃 イーストフード 0.1 〃 全卵 10.0 〃 モノグリセリド 0.3 〃 水 35.0 〃 ジグリセリンジ 2.0 〃 ステアレート 本ごね 小麦粉(強力粉) 30.0 重量部 砂糖 12.0 〃 食塩 1.6 〃 脱脂粉乳 2.0 〃 ショートニング 10.0 〃 ベーキングパウダー 1.0 〃 水 20.0 〃 〔工程〕 中種 ミキシング 低速3分、中速3分 こね上げ温度 24.0℃ 醗酵条件 28℃、3時間 本ごね ミキシング 低速3分、中速3分 (ショートニング添加) 低速2分、中速3分、高速2分 こね上げ温度 27.5℃ フロアタイム 30分 分割 40g ベンチタイム 20分 ホイロ 38℃、湿度70%、40分 得られたリングドーナツを、包装フィルムに導入し、減
圧シール装置内にて窒素ガス置換後、45%減圧で減圧圧
縮・シールを同時に行い、比容積を1.80(cm3/g)とし
た。その状態で−30℃まで急速冷凍し、1ヵ月冷凍庫に
保存した後、取り出し、電子レンジで40秒加熱した状態
のものについての評価結果を表5に示す。ジグリセリン
ジステアレートを添加した場合、モナディック評価、及
び無添加と比べたペアテスト評価の何れにおいても風
味、及び嵩の復元性が優れていることが示された。
【0024】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細谷 直樹 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 田中 幸隆 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式会 社研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料小麦粉100 重量部に対して0.01〜5
    重量部のポリオール脂肪酸の部分エステル化物を含有す
    ることを特徴とする電子レンジによる再加熱用パン。
  2. 【請求項2】 ポリオール脂肪酸の部分エステル化物
    が、グリセリン、ジグリセリン及びトリグリセリンの何
    れか1種以上と脂肪酸とのジエステルである請求項1記
    載の電子レンジによる再加熱用パン。
  3. 【請求項3】 焼成後のパンの嵩を減少させてなるパン
    であって、電子レンジ加熱により嵩が復元する特徴を有
    する請求項1又は2記載の電子レンジによる再加熱用パ
    ン。
  4. 【請求項4】 焼成後のパンの嵩を減少させてなるパン
    であって、電子レンジ加熱により嵩が復元する特徴を有
    する請求項3記載の電子レンジによる再加熱用冷凍パ
    ン。
JP34344695A 1995-12-28 1995-12-28 電子レンジによる再加熱用パン Pending JPH09172941A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001346503A (ja) * 2000-06-05 2001-12-18 Nisshin Seifun Group Inc ホットケーキ用熱処理小麦粉

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