JPH09157291A - 新規なペプチドおよび活性化酸素阻害剤 - Google Patents

新規なペプチドおよび活性化酸素阻害剤

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JPH09157291A JP7349938A JP34993895A JPH09157291A JP H09157291 A JPH09157291 A JP H09157291A JP 7349938 A JP7349938 A JP 7349938A JP 34993895 A JP34993895 A JP 34993895A JP H09157291 A JPH09157291 A JP H09157291A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小麦グルテンのタンパク質分解酵素の分解液
から、活性化酸素阻害作用を有する新規なヘクサペプチ
ド及びノナペプチドを提供する。 【構成】 小麦グルテンをタンパク質分解酵素等で処理
し、新規な活性化酸素阻害作用を有するヘクサペプチド
及びノナペプチドであり、活性化酸素フリーラジカル消
去作用並びに抗酸化作用を有し、毒性も極めて低い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬として有用性を有
する下記のアミノ酸の配列のペプチド構造を有するペプ
チドならびにそれらペプチドを有効成分とする活性化酸
素阻害剤に関する。 Gln−Gln−Pro−Ile−Gln−Ala Gly−Gln−Gln−Gly−Gln−Gly−P
ro−Gln−Leu (式中、アミノ酸残基を表わす各記号は、アミノ酸化学
において慣用の表示法によるものである。)
【0002】
【従来の技術】活性化酸素が関与する疾病は、火傷、関
節炎などの炎症、再還流障害、抗癌剤の副作用、放射線
障害、消化性潰瘍、細菌性ショック、悪液質、自己免疫
疾患など幅広く存在する。好中球やマクロファージなど
の活性化によって、発生する大量の活性化酸素が引き起
こす疾患は、すべて対象となる。一般に、酸素には動物
に必須の酸素(三重項酸素分子:)と、特定の条
件あるいは体の不調時に生じるラジカル(活性化酸素)
とが存在する。ラジカルは直接又は間接的(過酸化反応
という形で)に細胞膜、細胞内顆粒膜、あるいはDNA
をはじめ種々の細胞成分を変質、損傷させたりする。こ
のラジカルは体内で生産され、その種類はスーパーオキ
シドアニオン(・)、一重項酸素(・)、
水酸化ラジカル(・OH)等が存在する。このうちスー
パーオキシドアニオン(・)は細胞膜の不飽和脂
肪酸等に作用して過酸化反応を引き起こし、脂質に対す
る酸化力は動物に必須な酸素の数千倍も高いといわれて
いる。活性化酸素阻害剤としてのスーパーオキシドジム
スターゼ(SOD;酵素番号EC1.15.1.1)
は、1969年にマクコルドら[McCord,J.
M.&Fridovich,I.:J.Biol.Ch
em.,244,6049(1969)]によってその
作用が発見された酵素であり、酸素分子が一電子還元さ
れて生じるスーパーオキシドアニオン(・)を不
均化する 2・+2H→H+O を触媒する。人体が正常な時にはSODが働いてスーパ
ーオキシドアニオンの発生を抑えている。このSOD活
性は加齢と共に低下し、すなわち壮年期から老年期にな
ると活性が低下し、SOD活性の増減は生体の老化、癌
化のバロメーターとも言われている。このようなSOD
活性が低下するとラジカルの発生は抑えにくくなりSO
Dを摂取補強するか、又はラジカルを捕捉除去する活性
化酸素阻害剤の摂取が必要となってくる。一方、水溶性
の抗酸化剤としてのアミノ酸から蛋白質にいたるポリペ
プチドの活性化酸素阻害作用は、油脂をペプチド類が包
み込むことにより酸素分子と不飽和脂肪酸の接触を阻害
し、脂質ペルオキシラジカル(LOO・)の発生を抑制
すると考えられており、BHA(ブリルヒドロキシルア
ニソール)及びBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
の抗酸化作用のように、油脂(L)の酸化の際に生じる
ラジカル(LOO・)に作用して、酸化の連鎖反応を停
止させるラジカル捕捉作用とは区別している。 LOO・+AH→LOOH+AH・2AH・→2AH
+A 又は LOO・+AH・→LOOH+A (AH;抗酸化剤) このような背景のもとに、抗癌、老化防止に対する特効
薬がない今日、環境中からDNA損傷因子、突然変異因
子、発癌因子、老化因子等を取り除いたり不活性化し、
活性化酸素フリーラジカル消去作用並びに抗酸化作用を
示す活性化酸素阻害剤に関する研究や検討が進められて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術で、活性
化酸素阻害剤としてのSODはその製造が困難であり又
原料の入手に制限があり、ビタミンE、ビタミンC、カ
テキン類等は生体を用いた実験では活性化酸素阻害作用
が十分でない等の難点があり、更に強力な作用を有する
活性化酸素阻害剤が要望されている。又、活性化酸素フ
リーラジカル消去作用並びに抗酸化作用を示す活性化酸
素阻害剤の多くは、その殆んどが化学合成で製造された
ものであり、又たとえ植物や動物からの材料を用いた天
然物由来のものであっても、その製造過程で人体に害を
及ぼす化学物質を用いたり、生成物の一部を化学物質と
反応させて作られた物が多い。水溶性の抗酸化剤とし
て、アミノ酸から蛋白質に至るポリペプチドのアミノ酸
配列と抗酸化力に関する知見は極めて少なく、山口ら
[ニューフードインダストリー,31巻,18〜22頁
(1989年)]は、ジペプチドがアミノ酸や蛋白質よ
りも抗酸化力が強いことを示しており、又、最近、拓植
ら[日本農芸学会誌,65巻,1635〜1641頁
(1991年)]が、ヒスチジンを含む3種の抗酸化ペ
プチドを報告しているのみである。これら活性化酸素フ
リーラジカル消去作用並びに抗酸化作用を有する活性化
酸素阻害剤が、未だ医薬品としての開発が進んでいると
の報告はない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、小麦グルテ
ンのタンパク質分解酵素の分解液から薬理作用を有する
物質を検索し、新規なヘクサペプチド及びノナペプチド
が強い活性化酸素阻害作用を有することを見出した。そ
して、これらペプチドを医薬として実用化するための研
究を鋭意行った。その結果、これらペプチドが活性化酸
素フリーラジカル消去作用並びに抗酸化作用を有し、天
然物由来の活性化酸素阻害剤としての有用性を見い出し
た。本発明は係る知見に基づくものである。以下に、本
発明を詳細に説明する。本発明に係る新規なペプチド
は、次式 Gln−Gln−Pro−Ile−Gln−Ala Gly−Gln−Gln−Gly−Gln−Gly−P
ro−Gln−Leu で示されるL体のアミノ酸の配列を有する新規なヘクサ
ペプチド及びノナペプチドであり、常温における性状は
白色の粉末である。
【0005】前記のヘクサペプチド及びノナペプチド
は、化学的に合成する方法または小麦グルテンのタンパ
ク質分解酵素の分解液から分離精製する方法を挙げるこ
とができる。本発明に係る新規なこれらペプチドを化学
的に合成する場合には、液相法または固相法等の通常の
ペプチド合成方法によって行うことができるが、好まし
くは、固相法によってポリマー性の固相支持体へペプチ
ドのC末端(カルボキシル末端側)からそのアミノ酸残
基に対応したL体のアミノ酸を順次ペプチド結合によっ
て結合して行くのがよい。そして、そのようにして得ら
れた合成ペプチドは、トリフルオロメタンスルホン酸、
フツ化水素等を用いてポリマー性の固相支持体から切断
した後、アミノ酸側鎖の保護基を除去し、逆相系のカラ
ムを用いた高速液体クロマトグラフィー(以下、HPL
Cと略記する。)等を用いた通常の方法で精製すること
ができる。
【0006】上記したように、本発明に係る新規なヘク
サペプチド及びノナペプチドは小麦グルテンのタンパク
質分解酵素の分解液から分離精製することができるが、
その場合には、例えば、以下のようにして行うことがで
きる。上記の新規なペプチドを含有している小麦グルテ
ン部分を取り出し加水分解する。加水分解は常法に従っ
て行う。例えば、ペプシン等のタンパク質分解酵素で加
水分解する場合は、小麦グルテンを必要とあれば更に加
水分解した後、酵素の至適値に調整し、酵素を加えてイ
ンキュベートする。次いで必要に応じ中和した後、酵素
を失活させて加水分解液を得る。その加水分解液を濾紙
および/またはセライト等を用いて濾過することによっ
て不溶性成分を除去し、得られた濾液をセロファン等の
半透膜を用いて適当な溶媒(例えば、トリス−塩酸緩衝
液、リン酸緩衝液の中性の緩衝液等)中で十分に透析
し、その濾液中の成分で半透膜を通過した成分を含む溶
液を強酸性陽イオン交換樹脂(例えば、ダウケミカル社
製のDowex 50W等)にかけ、その吸着溶出画分
から活性化酸素阻害活性を有する成分を含有する画分を
得、得られた活性化酸素阻害活性画分をゲル濾過(例え
ば,フアルマシア社製のSephadex G−25
等)によって分画し、得られた活性化酸素阻害活性画分
を陽イオン交換ゲル濾過(例えば、ファルマシア社製の
SP−Sephadex C−25等)によって分画
し、得られた活性化酸素阻害活性画分を更に逆相HPL
Cによって分画する。
【0007】この新規なヘクサペプチド及びノナペプチ
ドは、静脈内への繰返し投与を行った場合、抗体産生を
惹起せず、アナフイラキシーショックを起こさない。ま
た、これらペプシドはL−アミノ酸のみの配列構造から
なり、投与後、生体内のプロテアーゼにより徐々に分解
される為,毒性は極めて低く安全性は極めて高い(LD
50>5000mg/Kg:ラット径口投与)。本発
明に係る新規なヘクサペプチド及びノナペプチドは、通
常用いられる賦形剤等の添加物を用いて注射剤、錠剤、
カプセル剤、顆粒剤、散剤等に調整することができる。
投与法としては、通常は、SODが欠乏している哺乳類
(例えば、ヒト、イヌ、ラット等)に注射すること、あ
るいは経口投与することがあげられる。投与量は、例え
ば、動物体重1kg当りヘクサペプチド及びノナペプチ
ドを各々0.01〜10mgの量である。投与回数は、
通常、1日〜4回程度であるが、投与経路によって、適
宜、調整することができる。上記の各種製剤において用
いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤の種類は、特に限定さ
れず、通常の注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプ
セル剤に用いられるものを使用することができる。
【0008】錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤に用いる
添加剤としては、下記のものをあげることができる。賦
形剤としては、結晶セルロース等の糖類、マンニトール
等の糖アルコール類、でんぷん類、無水リン酸カルシウ
ム等;結合剤としてはでんぷん類、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース等;崩壊剤としてはカルボキシメチル
セルロースおよびそのカリウム塩類;滑沢剤としてはス
テアリン酸およびその塩類、タルク、ワツクス類を挙げ
ることができる。また、製剤の調整にあたっては、必要
に応じメントール、クエン酸およびその塩類、香料等の
矯臭剤を用いることができる。注射用の無菌組成物は、
常法により、本発明に係る新規なヘクサペプチド及びノ
ナペプチドを、注射用水、生理食塩液およびキシリトー
ルやマンニトールなどの糖アルコール注射液、プロピレ
ングリコールやポリエチレングリコール等のグリコール
に溶解または懸濁させて注射剤とすることができる。こ
の際、緩衝液、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて添
加することができる。本発明の新規なヘクサペプチド及
びノナペプチドを含有する製剤は凍結乾燥品または乾燥
粉末の形とし、用時、通常の溶解剤、例えば水または生
理食塩液にて溶解して用いることもできる。
【0009】活性化酸素はマクロファージ等の食細胞内
に生じ、食細胞が補食した異物を分解する役割を有して
いるが、活性化酸素が過剰に生産されると細胞の外に分
泌され、他の組織に障害を起こす。本発明に係る新規な
ヘクサペプチド及びノナペプチドは、優れた活性化酸素
阻害作用を有し、活性化酸素フリーラジカル消去作用並
びに抗酸化作用を示すことから、組織障害を引き起こす
過剰な活性酸素を分解して組織を守る作用を持つことか
ら、例えば抗炎症剤として、関節炎やリュウマチなどに
有効であるほか、ベーチュット病、心筋梗塞等に対して
も有用である。
【0010】
【実施例】以下に実施例として、製造例及び試験例を記
載し、本発明を更に詳細に説明する。 製造例1 小麦グルテン330gに脱イオン水1.65lを加えて
ホモジナイズした。得られた小麦グルテンホモジネイト
にペプシン9.9gを加え、pH2.0に調整して37
℃で20時間インキュベイトした。このようにして調製
した小麦グルテンホモジネイトのペプシン分解液をDi
aflow膜(アミコン社製、YH10型膜、分画分子
量1万)を用いて限外濾過した。得られた濾過液をDo
wex50WX4(H)を充填したカラムを用いてク
ロマトグラフィー処理した。脱イオン水で水洗し、溶出
は2N−NHOHで行い溶出液を濃縮した。この濃縮
液をSephadex G−25カラムによりカラムク
ロマトグラフィー処理して低分子ペプチド画分(分画番
号24〜41番)を分離した。そのカラムクロマトグラ
フを図1に示した。この低分子ペプチド画分を濃縮して
カゼインペプチド液を得た。更にこのペプチド液をSP
−Sephadex C−25(H)カラムによりカ
ラムクロマトグラフィー処理して各ペプチド画分として
SP−1画分(分画番号17〜37番)、SP−2画分
(分画番号38〜59番)およびSP−3画分(分画番
号60〜80番)を分離した。そのカラムクロマトグラ
フを図2に示した。これら各ペプチド画分を凍結乾燥し
てペプチドパウダー(以下、小麦グルテンペプチドと称
す。)として、SP−1画分18.6g、SP−2画分
19.9gおよびSP−3画分23.3gを得た。この
ようにして分画した小麦グルテンペプチドの中で、活性
化酸素阻害活性の高いSP−3画分のペプチドパウダー
を脱イオン水5mg/25μlに溶解した後HPLCを
行った。条件はカラムとして野村化学(株)製Deve
losilODS−5(φ4.6mm IDX25cm
L)を使用し、移動相として0.05%トリフルオロ酢
酸(以下、TFAと略記する。)から25%アセトニリ
ル/0.05%TFAの濃度勾配法により、流速1.0
ml/min、検出波長220nmでクロマトグラフィ
ー処理し、溶出時間48.5分と56.1分に強い活性
化酸素阻害作用を有するペプチドフラグメントを得た。
その結果は図3に示すとおりである。このようにして得
られた活性化酸素阻害作用を有するこれらペプチドのア
ミノ酸配列は、アプライドバイオシステム(ABI)社
製のプロテインシーケンサー477 A型を用いて決定
された。その結果、次式 Gln−Gln−Pro−Ile−Gln−Ala Gly−Gln−Gln−Gly−Gln−Gly−P
ro−Gln−Leu で示されるL体のアミノ酸残基からなる配列を有するヘ
クサペプチド及びノナペプチドであることが確認され
た。本発明に係わる小麦グルテンペプチドを活性化酸素
阻害剤として例えば錠剤に製剤する場合には、常法にし
たがって例えば次のように処理すればよい:(1)ペプ
チド13g、(2)乳糖87g、(3)コーンスターチ
29g、(4)ステアリン酸マグネシウム1gを原料と
し、先ず(1)、(2)及び17gコーンスターチを混
和し、7gのコーンスターチから作ったペーストととも
に顆粒化し、この顆粒に5gのコーンスターチと(4)
とを加え、得られた混合物を圧縮錠剤機で打錠し、錠剤
1000個を製造する。
【00011】製造例2 本例は、合成法による製造例である。 Gln−Gln−Pro−Ile−Gln−A1aの合
成法 アプライドバイオシステム社製のペプチド自動合成装置
430A型を用いた固相法によって当該ヘクサペプチド
を合成した。固相担体としては、スチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化
した樹脂を使用した。まず、当該ヘクサペプチドのアミ
ノ酸配列に従って、常法どおり、そのC末端側のGln
からクロロメチル樹脂に反応させ、ペプチド結合樹脂を
得た。このときのアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル
(以下t−Bocと略記す。)基で保護されたt−Bo
cアミノ酸を使用した。次にこのペプチド結合樹脂をエ
タンジチオールとチオアニソールからなる混合液に懸濁
し、室温で10分間攪拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸
を加え、さらに10分間攪拌した。この混合液にトリフ
ルオロメタンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌
した後、無水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて
分離し、その沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、
減圧下で乾燥した。このようにして得られた末精製の合
成ペプチドは蒸留水に溶解した後、逆相系のカラムC
18(5μ)を用いたHPLCにより精製した。移動相
として(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)0.1
%TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、(A)液が
20分間で93%→71%の濃度勾配法により流速1.
4ml/minでクロマトグラフィーを行った。紫外部
波長214nmで検出し、最大の吸収を示した溶出画分
を分取し、これを凍結乾燥することによって目的とする
合成ヘクサペプチドを得た。
【0012】この合成ペプチドをマススペクトルにより
分析した結果、次式 Leu−Glu−Pro−Tyr−Phe−Tyr なるアミノ酸配列構造を有するヘクサペプチドであるこ
とが確認された。このマススペクトルの結果は図4に示
すとおりである。他のノナペプチドについても上記合成
方法に準じ固相法によりC末端側から反応させ合成し
た。未精製の合成ノナペプチドは以下に示すとおり精製
した。 Gly−Gln−Gln−Gly−Gln−Gly−P
ro−Gln−Leuの精製方法 逆相系のカラムC18(5μ)を用いたHPLCにより
精製した。移動相として(A)0.1%TFA含有蒸留
水、(B)0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使
用し、(A)液が20分間で90%→65%の濃度勾配
法により流速1.6ml/minでクロマトグラフィー
を行った。紫外部波長216nmで検出し、最大の吸収
を示した溶出画分を分取し、これを凍結乾燥することに
よって目的とする合成ノナペプチドを得た。
【0013】この合成ペプチドをマススペクトルにより
分析した結果、次式 Gly−Gln−Gln−Gly−Gln−Gly−P
ro−Gln−Leu なるアミノ酸配列構造を有するノナペプチドであること
が確認された。このマススペクトルの結果は図5に示す
とおりである。合成によって得られた本発明のヘクサペ
プチド及びノナペプチドは、以下に示すin vitr
o(試験管内)試験によって、活性化酸素フリーラジカ
ル消去作用並びに抗酸化作用を確認することにより、そ
の活性化酸素阻害効果が確認された。
【0014】試験例1 (活性化酸素フリーラジカル消去作用の測定)ウミホタ
ルルシフェリン誘導体(CLA)は一重項酸素(
・)、スーパーオキシドアニオン(・)を特異的
に検出する有効な化字発光試薬であり、発明者ら[Ag
ric.Biol.Chem.,55,157〜160
(1991)]の方法によりスーパーオキシドジムスタ
ーゼ(SOD)を消光剤に用いた消光実験によりCLA
・との反応速度がもとめられる。CLA(C
1311ON,東京化成製,最終濃度1.39×1
−7〜4.64×10−8)溶液10μl、アルブミ
ン(50mg/ml,シグマ社製)500μl、キサン
チンオキシダーゼ(1.45unit/ml,シグマ化
学製)50μlを順に円筒方石英セル(内径14mm,
高さ60mm)に入れ、ルミノメーターAloka B
LR−102B型(浜松ホトニクス製)の試料室内に移
し、3mMヒポキサンチン溶液200μlを注入して、
セル底面から化学発光を単一光量子計数により測定し
た。消光剤が存在する場合並びに存在しない場合の
・の発光強度の比率(I/I)はI/I=1+
[k/(k+k〔CLA〕)]×[Q]で表され
る。ここで[Q]は活性化酸素阻害剤を、k
・の消光速度定数、k・と[CLA]との反
応速度定数、k・と[Q]との反応速度定数
を示す。本発明に係わる小麦グルテン由来のペプチド画
分の、活性化酸素フリーラジカル消去作用を示す活性化
酸素阻害活性(消光速度)を表1に示す。
【表1】 本発明に係る新規なヘクサペプチドの活性化酸素フリー
ラジカル消去作用を示す活性化酸素阻害活性値(反応速
度定数k)は3.5×10−6−1sec−1であ
る。又、本発明に係る新規なノナペプチドの活性化酸素
フリーラジカル消去作用を示す活性化酸素阻害活性値
(反応速度定数k)は1.2×10−6−1sec
−1である。尚、標品SODの活性化酸素フリーラジカ
ル消去作用を示す活性化酸素阻害活性値(k)は3.
47×10−8−1−1である。
【0015】試験例2 (抗酸化作用の測定)抗酸化作用の測定方法として、反
応液はリノール酸51.5mg、エタノール4.052
ml、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)4.0m
l、脱イオン水1.948mlの混合液に、抗酸化作用
を有するペプチド1〜3mg添加し、全量が10mlと
なるように調整した。この溶液をネジ付き試験管で密封
し50℃の恒温器中に放置し、24時間毎にリノール酸
の過酸化物価をロダン鉄法で測定した。即ち反応液0.
1ml、75%エタノール液9.7ml、30%ロダン
アンモニウム液0.1ml、0.02M塩化第二鉄を含
む3.5%塩酸溶液0.1mlを添加し、3分間反応さ
せた後、吸光度500nmを測定した。その際、500
nmの吸光値が0.35に達するまでの日数を誘導期間
(日)とした。本発明に係わる小麦グルテン由来のペプ
チド画分の、抗酸化作用を示す活性化酸素阻害活性(誘
導日数)を図6に示す。本発明に係る新規なヘクサペプ
チド及びノナペプチドの抗酸化作用を示す活性化酸素阻
害活性値(誘導日数)は、トコフェロール2mgの6.
5日に対して、ヘクサペプチド0.1mgの14日、ノ
ナペプチド1mgの16日である。以上の試験の結果、
本発明に係る新規なヘクサペプチド及びノナペプチドは
活性化酸素フリーラジカルル消去作用並びに抗酸化作用
を有することから、invitro(試験管内)試験に
おいて有意な活性化酸素阻害作用を示すことが確認され
た。したがって、本発明に係るヘクサペプチド及びノナ
ペプチドは活性化酸素阻害剤の対象となる虚血性心疾患
者、慢性関節リュウマチおよび重症火傷患者の治療また
は予防薬として有用である。尚、本発明に係るヘクサペ
プチド及びノナペプチドは、構造的にそのアミノ酸配列
を部分構造とするペプチドにおいて、構造中に採用する
こともできる。
【0016】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる小麦グルテンのペプシン分解液
の、製造例1におけるSepadexG−25カラムク
ロマトグラフィーによる活性化酸素阻害ペプチドの分離
精製の結果を示す図である。尚、図中マーカーとして分
子量6千のインシュリン、分子量3500のインシュリ
ンB鎖、分子量2550のインシュリンA鎖、分子量1
450のバシトラシンおよび分子量75のグリシンを用
いた。
【図2】本発明に係る小麦グルテンペプチドの、製造例
1におけるSP−Sephadex C−25(H
カラムクロマトグラフィーによる活性化酸素阻害ペプチ
ドの分離精製の結果を示すである。
【図3】本発明に係わる小麦グルテンペプチドの、製造
例1における逆相HPLCにおける活性化酸素阻害ペプ
チドフラグメントの分離精製の結果を示す図である。
【図4】本発明に係わるヘクサペプチドの、製造例2で
得られた合成ヘクサペプチドのマススペクトルを示す図
である。
【図5】本発明に係わるノナペプチドの、製造例2で得
られた合成ノナペプチドのマススペクトルを示す図であ
る。
【図6】本発明に係わる小麦グルテンペプチドの、製造
例1におけるSP画分(1,2,3mg)の誘導日数
(日)を示し、抗酸化作用を表わす活性化酸素阻害作用
を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式;Gln−Gln−Pro−I
    le−Gln−Ala で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なヘクサペプチド。
  2. 【請求項2】 次式;Gln−Gln−Pro−I
    le−Gln−Ala で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なヘクサペプチドを有効成分として含有する
    ことを特徴とする活性化酸素阻害剤。
  3. 【請求項3】 次式;Gly−Gln−Gln−G
    ly−Gln−Gly−Pro−Gln−Leu で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なノナペプチド。
  4. 【請求項4】 次式;Gly−Gln−Gln−G
    ly−Gln−Gly−Pro−Gln−Leu で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なノナペプチドを有効成分として含有するこ
    とを特徴とする活性化酸素阻害剤。
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