JPH09153219A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH09153219A
JPH09153219A JP31333595A JP31333595A JPH09153219A JP H09153219 A JPH09153219 A JP H09153219A JP 31333595 A JP31333595 A JP 31333595A JP 31333595 A JP31333595 A JP 31333595A JP H09153219 A JPH09153219 A JP H09153219A
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metal magnetic
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Kazunobu Chiba
一信 千葉
Jota Ito
条太 伊藤
Tsutomu Takeda
勉 武田
Riichi Sasaki
利一 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空蒸着により非磁性支持体上に金属磁性薄
膜を蒸着するに際し、磁気特性、電磁変換特性に優れ、
かつ安価な磁気記録媒体を製造する方法を提供する。 【解決手段】 真空室1内で金属磁性材料9を溶融さ
せ、この蒸気を非磁性支持体2に被着させることによ
り、金属磁性薄膜を蒸着するに際して、蒸着開始時に予
め溶融させておく金属磁性材料9として、不純物濃度が
相対的に高いものを使用し、蒸着中に供給される金属磁
性材料9として、不純物濃度が相対的に低いものを使用
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空蒸着により磁
性層となる磁性薄膜を非磁性支持体上に形成する磁気記
録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末、或いは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、
ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等
の有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾
燥することにより作製される塗布型の磁気記録媒体が広
く使用されている。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、
ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着し
た、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され
注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れる
ばかりでなく、磁性層の厚みをきわめて薄くできるた
め、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、
磁性層中に非磁性材であるバインダーを混入する必要が
無いため、磁性材料の充填密度を高めることができるこ
となど、数々の利点を有している。
【0005】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることが出来るよ
うにするために、該磁気記録媒体の磁性層を形成する場
合、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着法が提案
され実用化されている。この斜方蒸着法においては、蒸
着蒸気をシャッターやマスクで遮って斜め入射の蒸着成
分のみを使用することで優れた磁気特性及び電磁変換特
性を実現している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この斜
方蒸着法では、非磁性支持体に対して所定の角度範囲内
でシャターやマスクで遮って斜めに蒸着するため、蒸着
時における金属磁性材料の蒸気が10〜20%程度しか
非磁性支持体上に飛着せず、金属磁性材料の利用効率は
かなり悪い状態である。
【0007】また、特開昭63−195234号公報、
特開平7−54069号公報に示されるように、一般的
に金属磁性材料に含まれるカーボン、アルミニウム、マ
ンガン、又は酸素等の不純物の量により薄膜蒸着後の磁
気特性、電磁変換特性等に影響が出るため、その純度は
かなり厳しい要求がなされている。そのため、材料コス
トがかかっていた。
【0008】そこで、本発明は、かかる従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、非磁性支持体上に真空蒸着
により磁性薄膜を形成し、金属薄膜磁気記録媒体を得る
に際して、材料コストを低く抑え、かつ磁気特性、電磁
変換特性に優れた磁気記録媒体を製造する方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気記録媒
体の製造方法は、上述の目的を達成するために提案され
たものであり、真空室内で金属磁性材料を溶融させ、こ
の蒸気を非磁性支持体に被着させることにより、金属磁
性薄膜を蒸着するに際し、蒸着開始時に予め溶融させて
おく金属磁性材料として、不純物濃度が相対的に高いも
のを使用する。上記の金属磁性材料は、完全に溶解させ
不純物を蒸発させてから蒸着を行うため、不純物濃度が
高くても実用上問題のないレベルとなる。また、蒸着中
に断続的に、又は連続的に供給される金属磁性材料とし
ては、不純物濃度が相対的に低いものを使用する。
【0010】金属磁性材料は、Co、或いはCo−Ni
系合金からなり、不純物元素として酸素、炭素、硫黄、
鉄より選ばれる少なくとも1種を含むものが好適であ
る。また、これら金属磁性材料には、一度蒸着原料とし
て使用したものを回収し、再度溶解して蒸着時に供給す
る形状に加工し直したものが使用できる。
【0011】本発明を適用すると、蒸着開始時に不純物
濃度が相対的に高い金属磁性材料を用いることが出来る
ため、材料コストを低く抑えられつつ、磁気特性、電磁
変換特性に優れた磁気記録媒体を製造することが出来
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明を適用した実施の形態につ
いて説明する。
【0013】先ず、この実施の形態において金属磁性薄
膜を蒸着するために使用した真空蒸着装置について説明
する。
【0014】図1に示すように、この製造装置において
は、頭部と底部にそれぞれ設けられた排気口15から排
気されて内部が真空状態とされた真空室1内に、図中の
時計回り方向に定速回転する送りロール3と、図中の時
計回りに定速回転する巻取りロール4とが設けられ、こ
れら送りロール3から巻取りロール4にテープ状の非磁
性支持体2が順次走行するようになされている。
【0015】これら送りロール3から巻取りロール4に
上記非磁性支持体2が走行する中途部には、上記各ロー
ル3、4の径よりも大径となされた冷却キャン5が設け
られている。この冷却キャン5は、非磁性支持体2を図
中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回り方向
に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロール3、
巻取りロール4、及び冷却キャン5は、それぞれ非磁性
支持体2の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすもので
ある。また上記冷却キャン5には、内部に図示しない冷
却装置が設けられ、非磁性支持体2の温度上昇による変
形などを抑制し得るようになされている。
【0016】従って、非磁性支持体2は、送りロール3
から順次送り出され、さらに冷却キャン5の周面を通過
し、巻取りロール4に巻取られていくようになされてい
る。尚、送りロール3と冷却キャン5との間、及び冷却
キャン5と巻取りロール4との間にはそれぞれガイドロ
ール6、7が配設され、送りロール3から冷却キャン5
及び冷却キャン5から巻取りロール4にわたって走行す
る非磁性支持体2に所定のテンションをかけ、該非磁性
支持体2が円滑に走行するようになされている。また上
記真空室1内には、ルツボ8が冷却キャン5の下方に設
けられ、このルツボ8内に金属磁性材料9のインゴット
が充填されている。そして、この蒸着時には、ルツボ8
内の金属磁性材料9が消費されるため、順次、ルツボ8
内に金属磁性材料9を供給する必要がある。ここでは、
ルツボ8に、ペレット供給機構21から順次金属磁性材
料9のペレットが供給されている。ペレットの形状は、
例えば直径が10mmで長さが10mmの円筒状をして
いる。なお、供給される金属磁性材料9の形状やサイズ
は任意であり、ワイヤ状、丸棒状であっても良い。
【0017】また、この時、ルツボ容積は、熱容量が大
きくなることで後から供給されるペレットとの間で発生
される熱変化を出来るだけ小さくした方が良いといった
観点から、大きくした方が好ましい。
【0018】一方、上記真空室1の側壁部には、ルツボ
8内に充填された金属磁性材料9を加熱蒸発させるため
の電子銃10が取り付けられる。電子銃10は、この電
子銃10より放出される電子線Xがルツボ8内の金属磁
性材料9に照射出来るような位置に配設される。そし
て、この電子銃10によって蒸発した金属磁性材料9
が、上記冷却キャン5の周面を定速走行する非磁性支持
体2上に磁性層として被着形成されるようになってい
る。また、シャッター13は、冷却キャン5とルツボ8
との間にあって、冷却キャン5の周面を定速走行する非
磁性支持体2の所定領域を覆う形で形成される。このシ
ャッター13により蒸発せしめられた金属磁性材料9
は、非磁性支持体2に対して所定の角度範囲で斜めに蒸
着されるようになっている。更に、このような蒸着に際
し、上記真空室1内の側壁部を貫通して設けられる酸素
ガス導入口14を介して非磁性支持体2の表面に酸素ガ
スが供給され、磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図
られている。
【0019】本実施の形態においては、予めルツボ8内
に充填された金属磁性材料9のインゴットとして、相対
的に不純物濃度の高いものを用い、蒸着中に供給される
ペレットとして、該インゴットよりも不純物濃度の低い
ものを用いる。
【0020】一般に初期の溶融時は、スプラッシュ等の
問題からシャッター13を閉めルツボ8内の金属磁性材
料9が完全に溶融しきってからシャッターを開けて蒸着
を行う。この初期溶融により不純物は蒸発してしまうた
め、予めルツボ8内に充填されるインゴットは、不純物
濃度が高くても実用上問題のないレベルとなる。上記イ
ンゴットと連続的に供給されるペレットの不純物濃度の
比率は、2倍以上異なることがコストの点から好まし
い。
【0021】また、これら金属磁性材料9は、一度蒸着
材料として使用したものを回収し、再度溶融して蒸着時
に供給する形状に加工し直したものが使用できる。一度
蒸着したものを回収して再利用する場合、特に斜方蒸着
テープ用原料では、蒸着中に酸素ガスを導入しながら連
続蒸着を行うため、再利用する回収品は酸化した状態と
なっており、この酸素濃度を実用上問題とならないレベ
ルまで低く抑える必要がある。この手法として、一般的
に真空中での溶融を行うとともに炭素やシリコン等の脱
酸剤を溶融中に投入し酸素を取り除く手法を取るが、今
回はこの材料として炭素とアルミニウムを用いた。金属
磁性材料9の純度を上げるために、溶融時間を長くする
が、これら脱酸剤を使用することで溶融時間を短くする
ことが出来る。しかし、これら脱酸剤の使用はそれ自体
が不純物となるため、これらを少なくするために最適添
加量が決定される。
【0022】また、ルツボ周辺の蒸着機内壁や構造物に
付いた付着物をかき落とす際、蒸着機構造物からの若干
の脱落や剥離等により付着物に鉄や銅等が含まれる。こ
れが不純物の増加につながる。特に鉄は、再溶融時にC
oやNiとの分離が困難なため、再生金属磁性材料中に
不純物として存在することになる。また、銅やアルミニ
ウムは、再溶融時にCoやNiとの分離が比較的容易で
あり、不純物として存在する量は鉄に比べてかなり小さ
く抑えることが出来る。
【0023】ところで、上述のインゴット及びペレット
を構成する材料は、通常、磁気記録媒体の磁性層を形成
するために使用されるものであれば如何なるものであっ
てもよい。例示すれば、Fe,Co,Niなどの強磁性
金属材料、Fe−Co,Co−Ni,Fe−Co−N
i,Fe−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−P
t,Mn−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co−C
r,Ni−Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−C
r,Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金材料が挙げ
られる。なお、蒸着される金属磁性薄膜は、このような
金属磁性材料を用いて、単層膜を形成してもよいし、多
層膜を形成してもよい。
【0024】また、このような金属磁性薄膜が蒸着され
る非磁性支持体としては、ポリエステル類、ポリオレフ
ィン類、セルロース類、ビニル類、ポリイミド類、ポリ
カーボネート類に代表されるような高分子材料によって
形成される高分子基板や、アルミニウム合金、チタン合
金からなる金属基板、アルミガラス等のセラミックス基
板、ガラス基板等が挙げられ、その形状も何等限定され
ない。但し、本発明を適用して磁気テープを製造する場
合には、非磁性支持体として、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ア
ラミドフィルム等を用いて好適である。また、これらの
フィルムには、表面粗度を制御するためにフィラーが内
添されていてもよいし、表面に表面粗度を制御するため
の層が形成されていてもよい。
【0025】さらに、非磁性支持体と金属磁性薄膜間、
あるいは、金属磁性薄膜が多層膜よりなる場合には、各
層間の付着力向上、並びに抗磁力の制御等のため、下地
層または、中間層を設けてもよい。また、例えば、磁性
層表面近傍が耐蝕性改善等のために酸化物となっていて
もよい。
【0026】また、金属磁性薄膜上には保護膜層が形成
されてもよく、この材料としては、通常の金属磁性薄膜
用の保護膜として一般に使用されるものであれば如何な
るものであってもよい。例示すれば、カーボンの他、C
rO2 、Al23 、BN、Co酸化物、MgO、Si
2 、Si34 、SiNx 、SiC、SiNx −Si
2 、ZrO2 、TiO2 、TiC等があげられる。こ
れらの単層膜であってもよいし多層膜、あるいは複合膜
であってもよい。
【0027】もちろん、本発明を適用して製造される磁
気記録媒体の構成はこれに限定されるものではなく、必
要に応じて非磁性支持体上に下塗層が形成されたり、非
磁性支持体における金属磁性薄膜が蒸着された面とは反
対側の主面にバックコート層を設けたり、金属磁性薄膜
または保護膜表面に潤滑剤や防錆剤等よりなるトップコ
ート層を形成したりしてもよい。
【0028】
【実施例】以下、実際に上述した実施の形態を適用し
て、非磁性支持体上に、Co−Ni系合金よりなる金属
磁性薄膜を蒸着して磁気テープを作製した例について説
明する。
【0029】実施例1 まず、厚さ10μm、幅150mmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムを用意し、このフィルムの表面粗度
を調整するために、アクリル酸エステルを主成分とする
水溶性ラテックスを塗布して下塗り層を形成した。これ
によって、表面に1000万個/mm2なる突起密度が
形成された。これを非磁性支持体2とする。
【0030】そして、前述した真空蒸着室の真空室1を
真空度7×10-2Paに保ちながら、真空室1内にガス
導入口14により酸素ガスを250cc/minの割合
で導入し、上記の非磁性支持体2を25m/分なる速度
にて冷却キャン5の周面上を走行させた。
【0031】また、ルツボ8内では、表1に示されるよ
うな組成を有するCo−Ni系合金からなるインゴット
を十分に溶融させ、得られた金属磁性材料9を蒸発させ
た。
【0032】
【表1】
【0033】そして、この蒸気を入射角度が45〜90
°となるようにして非磁性支持体2に被着させ、金属磁
性薄膜を200nmなる厚さに蒸着した。
【0034】この蒸着に際しては、ルツボ8内の金属磁
性材料9が消費されるため、順次、ペレット供給手段2
1からペレットが補給されることとなる。ここでは、こ
のペレットとして、表1に示されるように、上述のイン
ゴットよりも不純物濃度の低いものを用いた。
【0035】このようにして、非磁性支持体上に金属磁
性薄膜の蒸着を行った後、非磁性支持体2の金属磁性薄
膜形成面とは反対側の面に、カーボンとウレタン系結合
剤を主体とするバックコート層を0.6μmなる厚さに
形成した。さらに、金属磁性薄膜上には、パーフルオロ
ポリエーテルよりなるトップコート層を形成した。そし
て、これを8mm幅に裁断して磁気テープとし、実施例
1のサンプルテープを得た。
【0036】実施例2〜実施例6 表1に示されるような組成を示す金属磁性材料9のイン
ゴットと、該インゴットよりも不純物濃度が低いペレッ
トを用いて蒸着を行い、実施例1と同様にサンプルテー
プを作製した。
【0037】比較例1〜比較例2 ここでは、比較のため、蒸着開始時にルツボ内に入れて
おくインゴットとして、表2に示されるような非常に不
純物濃度の低いものを用いて蒸着を行い、実施例1と同
様にサンプルテープを作製した。ここで用いた金属磁性
材料9のインゴットに含まれる鉄及びその他不純物濃度
が非常に低いのは、該金属磁性材料9を作製する際、原
料にCo、Niの純度が高いものを使用しているためで
ある。なお、純度を上げるためには、真空中での溶融を
何度も繰り返したり、溶融時間を非常に長くすることが
行われている。
【0038】
【表2】
【0039】比較例3 ここでは、表2に示すように、蒸着開始前にルツボ8内
に入れておくインゴットよりも不純物濃度が高いペレッ
トを用いて蒸着を行い、実施例1と同様にサンプルテー
プを作製した。
【0040】なお、金属磁性材料9の組成の測定は島津
製作所製 ICP発光分光式測定器、及び、燃焼赤外線
吸収法等を用いて行った。Coの成分は、Ni及び他の
微量な不純物成分を差し引いた値である。
【0041】特性の評価 以上のようにして作製された実施例1〜実施例6と比較
例1〜比較例3のサンプルテープについて、それぞれ電
磁変換特性、ドロップアウト、及び磁気特性劣化の測定
と、テープコストの評価を行った。その結果を表3と表
4に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】電磁変換特性及びドロップアウトの測定
は、ソニー製EVーS900改造機を用いた。電磁変換
特性は、一般的にCoの組成比率が増加するに従い向上
するが、その度合いはCo80−Ni20重量%をリフ
ァレンスレベル(0dB)とすると、Co90重量%で
約1dB、Co99.9重量%で約2dBの向上となる
ことが確認されており、この結果を踏まえて検討する必
要がある。今回は、各Co−Niの組成比が略等しい比
較例をリファレンス(0dB)として比較を行った。ま
た、テープコストの比較も同様にして行った。(例えば
Coの組成が約90重量%である実施例1のサンプルテ
ープについては、Coの組成が約90重量%である比較
例2の蒸着初期時のサンプルテープと比較した。) ま
た、ドロップアウトは、再生出力レベルからー16dB
10μsec以上の出力落ちをドロップアウトとして1
0分間測定を行い、1分間当たりのドロップアウト数を
求めた。
【0045】磁気特性の劣化の測定は、ガス腐食試験器
を用い、SO2ガス0.6ppmを含む、温度35℃、
相対湿度90%RH雰囲気中で24時間保存後の磁気特
性(φs)の劣化量(Δφs)を測定し、次式(1)よ
り求めた。
【0046】 Δφs=(φs−φs’)/φs×100 (%) ・・・(1) φs :保存テスト前測定値 φs’:保存テスト後測定値 表3、表4に示すように、比較例1と比較例2では、電
磁変換特性、及び磁気変換特性に優れ、ドロップアウト
も少ないが、純度の高いものを使用しているため、テー
プコストが高いものとなっている。比較例3では金属磁
性材料9のインゴット、ペレットに純度の悪いものを使
用しているため、テープコストは低いものの、電磁変換
特性、及び磁気特性の劣化やドロップアウトを見ると、
他に比べ問題となるレベルである。
【0047】実施例1〜実施例6では、それぞれのCo
−Ni組成比で比較すると電磁変換特性、及び電磁変換
特性の劣化もほとんどなく、ドロップアウトも問題ない
レベルと判断でき、テープコストも低い。
【0048】以上の結果より、蒸着開始時にあらかじめ
溶融されるインゴットとして不純物濃度の高い金属磁性
材料9を使用し、蒸着中に供給されるペレットとして蒸
着開始時のインゴットより不純物濃度の低いペレットを
使用することで、材料コストを低く抑え、磁気特性、電
磁変換特性に優れた磁気テープを得ることが出来た。
【0049】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、真空
蒸着により非磁性支持体上に金属磁性薄膜を形成し、金
属薄膜磁気記録媒体を得るに際して、蒸着開始時にあら
かじめ溶融される金属磁性材料として不純物濃度の高い
ものを使用し、その後蒸着中に供給される金属磁性材料
として蒸着開始時に溶融させておいたものより不純物濃
度の低いものを使用することで、材料コストが低く抑
え、かつ磁気特性、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体
を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁性薄膜を形成するための蒸着装置の構成を示
す模式図である。
【符号の説明】
1.真空室 2.非磁性支持体 3.送りロール 4.巻取りロール 5.冷却キャン 6.ガイドロール 7.ガイドロール 8.ルツボ 9.金属磁性材料 10.電子銃 13.シャッター 14.酸素ガス導入口 15.排気口 21.ペレット供給機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 利一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空室内で金属磁性材料を溶融させ、こ
    の蒸気を非磁性支持体に被着させることにより、金属磁
    性薄膜を蒸着するに際し、 蒸着開始時に予め溶融させておく金属磁性材料として、
    不純物濃度が相対的に高いものを使用し、蒸着中に供給
    される金属磁性材料として、不純物濃度が相対的に低い
    ものを使用することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 金属磁性材料がCo、或いはCo−Ni
    系合金よりなり、不純物元素として酸素、炭素、硫黄、
    鉄より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
JP31333595A 1995-11-30 1995-11-30 磁気記録媒体の製造方法 Withdrawn JPH09153219A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007023319A (ja) * 2005-07-13 2007-02-01 Sumitomo Electric Ind Ltd 真空蒸着装置および真空蒸着装置の運転方法

Cited By (2)

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JP2007023319A (ja) * 2005-07-13 2007-02-01 Sumitomo Electric Ind Ltd 真空蒸着装置および真空蒸着装置の運転方法
JP4697411B2 (ja) * 2005-07-13 2011-06-08 住友電気工業株式会社 真空蒸着装置および真空蒸着装置の運転方法

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