JPH09275012A - 磁性材料とこれを用いた金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体 - Google Patents

磁性材料とこれを用いた金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体

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JPH09275012A
JPH09275012A JP8148996A JP8148996A JPH09275012A JP H09275012 A JPH09275012 A JP H09275012A JP 8148996 A JP8148996 A JP 8148996A JP 8148996 A JP8148996 A JP 8148996A JP H09275012 A JPH09275012 A JP H09275012A
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Kazunobu Chiba
一信 千葉
Susumu Sato
晋 佐藤
Tsutomu Takeda
勉 武田
Hiroyuki Yamada
博之 山田
Hiroshi Osumi
廣 大隅
Hideo Katagiri
英雄 片桐
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Sony Corp
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体用の磁性材料
を非磁性支持体上に真空蒸着により被着する際の磁性材
料のスプラッシュを防止し、磁性層の欠落を防止する。 【解決手段】 金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体用の磁性
材料の表面に存在する有機化学物質の総量が、20mg
/kg以下、または3.8×10-6mg/m2 以下とな
るようにし、この磁性材料を用いて金属蒸着磁性薄膜磁
気記録媒体を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
真空蒸着により金属磁性薄膜を形成する金属磁性材料と
これを用いた金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の
有機バインダー中に分散せしめた磁性材料を塗布、乾燥
せしめることにより作製される塗布型の磁気記録媒体が
広く使用されている。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法等による真空薄膜
形成手段によってポリエステルフィルムやポリアミド、
ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着して
磁性層を形成した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録
媒体が提案され、注目を集めている。この金属磁性薄膜
型の磁気記録媒体は抗磁力や角形比に優れ、短波長での
電磁変換特性に優れているばかりでなく、磁性層の厚み
をきわめて薄くできるため、記録減磁や再生時の厚み損
失が著しく小さいこと、磁性層中に非磁性材であるバイ
ンダーを混入する必要がないため、磁性材料の充填密度
を高めることができるなど、数々の利点を有している。
【0004】更に、この種の磁気記録媒体の電磁変換特
性を向上させより大きな出力を得ることができるように
するため、磁気記録媒体の磁性層を形成する場合、磁性
層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案され、実用
化されている。
【0005】この斜方蒸着により製造された金属蒸着磁
性薄膜磁気記録媒体は、蒸着蒸気をシャッターやマスク
で遮って斜め入射の蒸着蒸気のみを使用することで優れ
た磁気特性、電磁変換特性を実現している。
【0006】この斜方蒸着では、蒸着時の磁性金属材料
蒸気の10%〜20%程度しか非磁性支持体上に被着せ
ず、磁性金属材料蒸気の利用率はかなり悪い状態であ
る。しかしながら、一般的に蒸着磁性金属は、その中に
含まれるカーボン、Al、Mn、酸素等の不純物の量に
より磁性層成膜後の磁気特性、電磁変換特性等に影響が
でるためにその純度はかなり厳しい要求がなされてい
る。
【0007】例えばCo系合金を使用した場合には、C
o系合金自体に含まれる酸素の含有量が大きいため、蒸
着時の磁気特性の安定性やドロップアウト等、磁気記録
媒体の特性に影響を与えることが知られており、Co系
合金中の酸素、または酸化物の含有量を極力低く抑える
ことが磁気記録媒体の特性を良好にするために必要であ
る。
【0008】このため、Co系合金の溶融時に酸素を強
制的に取り除く手法として、真空溶解や、溶解時の脱酸
剤の添加等、数々の手法がとられてきている。しかし、
脱酸剤の残存量が大きいことで磁気記録媒体の特性に悪
影響を及ぼすこともあるという欠点を有する。
【0009】また、優れた磁気特性を有する磁気記録媒
体を得るためには、上述した磁性層の酸素含有量の検討
だけでは充分とは言えず、鍛造工程等の2次加工工程以
降で発生する合金表面の偏析不純物除去とともに、2次
加工工程以降で使用する切削油や、これらを除去するた
めの脱脂剤に着目した清浄化の検討も併せて行う必要が
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように磁性材
料中に不純物を含んだまま、真空蒸着を行うと、磁性材
料を溶融し、その蒸着蒸気を非磁性支持体上に蒸着する
際にその磁性材料の溶融蒸着源で、突沸、いわゆるスプ
ラッシュを起こし、これにより磁性層の欠落や、成膜の
不均一化をを生じるという問題がある。
【0011】この問題は、上述したようなカーボン、A
l、Mn、酸素等の不純物を極力蒸着磁性金属から排除
して純度の向上を図っても発生する。本発明者らは、種
々の実験、考察を行った結果、その原因が蒸着源となる
磁性材料の存在する油、洗剤、脱脂溶剤等の有機化学物
質にあることを究明した。
【0012】そこで、本発明はかかる従来の実情に鑑み
て、非磁性支持体上に真空蒸着により磁性層を形成する
金属薄膜型磁気記録媒体用の磁性材料について、磁性材
料表面に存在する油、洗剤、脱脂用溶剤等の有機化学物
質の総量を調整することにより、磁性材料を、非磁性支
持体上に蒸着する際にスプラッシュが起きることを防止
し、これにより磁性層の欠落を防止し、ドロップアウト
等を抑え、電磁変換特性等の磁気特性に優れ、エラーレ
ートの小さい磁気記録媒体を実現しようとする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による金属蒸着磁
性薄膜磁気記録媒体用の磁性材料は、その表面に存在す
る有機化学物質の総量が、20mg/kg以下、また
は、3.8×10-6mg/m2 以下とする。
【0014】また本発明による金属蒸着磁性薄膜磁気記
録媒体は、磁性材料であって、その表面に存在する有機
化学物質の総量が、20mg/kg以下、または、3.
8×10-6mg/m2 以下のものを用いて製造したもの
である。
【0015】本発明によれば、磁性材料の表面に存在す
る有機化学物質の総量を20mg/kg以下または3.
8×10-6mg/m2 以下としたことにより、非磁性支
持体上に磁性材料を真空蒸着により被着する場合におい
て、磁性材料のスプラッシュ等を効果的に防止すること
ができた。また、これにより、非磁性支持体上に形成す
る磁性層の欠落を防止することができ、ドロップアウト
等を抑え、電磁変換特性等の磁気特性に優れ、またエラ
ーレートの小さい磁気記録媒体を得ることができた。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、磁性材料表面に存在す
る有機化学物質の総量を、20mg/kg以下、または
3.8×10-6mg/m2 以下とする。また、本発明
は、磁性材料表面に存在する有機化学物質の総量が、2
0mg/kg以下、または3.8×10-6mg/m2
下とした磁性材料を真空蒸着して形成した金属蒸着磁性
薄膜を有する金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体を得る。以
下、本発明の実施の形態について説明する。本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0017】例えばポリエチレンテレフタレート等の非
磁性支持体上に蒸着する磁性材料は、例えば一度蒸着し
たCo等をリサイクルしたものと、精錬されたものとを
適宜混合して用いることができる。この場合、0.1P
aの真空中に設置された高周波誘導加熱により溶解精錬
することができる。この時、磁性材料中に含ませる脱酸
剤の量を、投入量、磁性材料の溶解時間により調整する
ことができる。また、磁性材料の溶解法としては、真空
中での高周波誘導加熱に限られるものではなく、アーク
溶解やEB(電子ビーム衝撃)溶解等の方法も使用する
ことができる。
【0018】上述のように溶解した磁性材料を、熱間圧
延により例えば直径10.5mmの円筒状に整形する。
この後、さらに磁性材料の表面にできた酸化物の層を除
去するために切削加工を施し、シャーリングにより例え
ば直径10mm、長さ12mmの円筒状、あるいは直径
10mm、長さ26mmの円筒状のペレットに加工す
る。この加工の際、切削油を使用したため、これを除去
する手段として、ペレットに加工した後、中性洗剤によ
り洗浄し、さらに純水により洗浄する。その後乾燥した
ものを蒸着用磁性材料とする。ここで、上記洗浄の際に
使用する中性洗剤の種類、量、洗浄時間、洗浄方法によ
り磁性材料表面に残る切削油の量が変化し、純水による
洗浄により磁性材料表面に残る中性洗剤の量が変化する
ことがわかっている。
【0019】非磁性支持体上に金属薄膜を成膜する蒸着
装置の一例を説明する。図1に示すように、この装置に
おいては、頭部および底部にそれぞれ設けられた排気口
15および16から排気されて内部が真空状態となされ
た真空室1内に、図1においては反時計回り方向に回転
する送りロール3と、時計回り方向に回転する巻き取り
ロール4とが設けられ、これら送りロール3から巻き取
りロール4にテープ状の非磁性支持体2が順次走行する
ようになされている。
【0020】これら送りロール3から巻き取りロール4
に非磁性支持体2が走行する途中には、冷却キャン5が
設けられている。この冷却キャン5は、上記非磁性支持
体2を図1において下方に引き出すように設けられ、時
計回りに回転する構成とされる。なお、送りロール3、
巻き取りロール4、および冷却キャン5は、それぞれ非
磁性支持体2の幅とほぼ同じ幅からなる円筒状をなすも
のであり、また、この冷却キャン5には冷却装置(図示
せず)が設けられていて、非磁性支持体2の温度上昇に
よる変形等を抑制している。
【0021】非磁性支持体2は、送りロール3から順次
送り出され、冷却キャン5周面を通過し、巻き取りロー
ル4に巻き取られていくようになされている。なお、送
りロール3と冷却キャン5との間、および冷却キャン5
と巻き出しロール4との間には、それぞれガイドロール
6および7が配置され、送りロール3から冷却キャン5
および冷却キャン5から巻き取りロール4にわたって走
行する非磁性支持体2に所定のテンションをかけ、非磁
性支持体2が円滑に走行するようになされている。
【0022】また、真空室1内には、冷却キャン5の下
方にルツボ8が設けられ、このルツボ8内には金属磁性
薄膜を形成する金属磁性材料9が充填された蒸着源が配
置されている。このルツボ8には、蒸着に伴う金属磁性
材料9の減少を補給する磁性材料供給機構21から、ペ
レット状磁性材料が供給されている。このペレット状磁
性材料の形状は、例えば直径10mm、長さ12mmの
円筒形とする。
【0023】一方、真空室1の側壁部には、蒸着源、す
なわちルツボ8内に充填された金属磁性材料9を加熱蒸
発させるための電子銃10が取り付けられている。電子
銃10は、これにより放出される電子線Bがルツボ8内
の金属磁性材料9に照射されるような位置に配置され
る。そして、電子線Bを照射されたことによって蒸発し
た金属磁性材料9が冷却キャン5の周面を定速で走行す
る非磁性支持体2上に蒸着し、磁性層として被着形成さ
れる。
【0024】また、冷却キャン5の近傍には、シャッタ
ー13が配置されている。このシャッター13は、冷却
キャン5の周面を定速で走行する非磁性支持体2の所定
領域を覆う形で形成され、このシャッター13により金
属磁性材料9の蒸気が、非磁性支持体2に対して所定の
角度範囲で斜めに蒸着されるようになっている。
【0025】さらにこのような蒸着に際し、真空室1に
側壁部を貫通して設けられている酸素ガス導入口14を
介して非磁性支持体2の表面に酸素ガスが供給され、磁
気特性、耐久性および耐候性の向上が図られている。
【0026】次に、〔実施例1〜3〕と、〔比較例1お
よび2〕を挙げて説明する。これらは、上述したような
構成を有する蒸着装置を用いて、(表1)に示す条件で
非磁性支持体2上に酸素雰囲気中で斜め蒸着を行う。
【0027】磁性層は、第1層とこれの上に第2層との
2層構造よりなり、膜厚100nmの第1層を被着形成
した後、非磁性支持体2の巻き直しを行い、第1層と同
様の条件により第2層を形成し、全体の厚さが200n
mの磁性層を形成する。この後、通常の金属蒸着磁性薄
膜磁気記録媒体と同様に、バックコート層、トップコー
ト層を形成して(表1)に示す所定のテープ幅に裁断し
てサンプルテープを作製した。
【0028】
【表1】
【0029】一方、〔実施例1〜3〕および〔比較例1
および2〕に使用した金属磁性材料中に含まれる不純物
の含有量を(表2)に示す。ここで、(表2)中のCo
の組成比率は全体から不純物の組成を除いた残量とす
る。なお、これらの値は島津製作所製のIPC発光分光
式測定器、および燃焼赤外線吸収法等を用いて測定し
た。
【0030】
【表2】
【0031】また、〔実施例1〜3〕および〔比較例1
および2〕においては、金属磁性材料の脱酸剤としてカ
ーボンを使用した。カーボンを使用した場合、金属磁性
材料中の酸素や、他の酸化物から酸素を取り除くことが
できるが、金属磁性材料中の炭素の含有量が多い場合
は、蒸着時のスプラッシュの原因となるため、磁性層に
欠陥が生じやすく、ドロップアウトの増加やエラーレー
トの劣化を生じる。このため、金属磁性材料中に残存す
る炭素の量を少なくするため、炭素の投入量、および金
属磁性材料の溶解時間を調整した。この金属磁性材料を
溶解したものを(表3)に示す形状のペレットに加工し
た。(表3)に各〔実施例1〜3〕および〔比較例1お
よび2〕のそれぞれのペレットの形状、重量、表面積を
示す。
【0032】
【表3】
【0033】次に、各〔実施例1〜3〕および〔比較例
1および2〕におけるペレットの洗浄条件について説明
する。
【0034】〔実施例1〕(表3)中に示す断面の直径
10mm、長さ26mmの形状のペレットに切削した金
属磁性材料を1分間に10〜20回の割合で、回転攪拌
しながら中性洗剤により洗浄した後、超音波洗浄機を用
いて純水洗浄を行った。
【0035】〔実施例2〕(表3)中に示す断面の直径
10mm、長さ12mmの形状のペレットに切削後、ば
れる研磨を行い、金属磁性材料表面を滑らかにし、有機
化学物質の吸着可能面積を小さくした後、〔実施例1〕
と同様の方法により中性洗剤により洗浄した後、超音波
洗浄機を用いて純水洗浄を行った。
【0036】〔実施例3〕(表3)中に示す断面の直径
10mm、長さ26mmの形状のペレットに切削後、ば
れる研磨を〔実施例2〕の2倍の回数行い、金属磁性材
料表面を充分滑らかにし、有機化学物質の吸着可能面積
を小さくした後、〔実施例1〕と同様の方法により中性
洗剤により洗浄した後、超音波洗浄機を用いて純水洗浄
を行った。
【0037】〔比較例1〕(表3)中に示す断面の直径
10mm、長さ12mmの形状のペレットに切削後、金
属磁性材料を1分間に10〜20回の割合で、回転攪拌
しながら中性洗剤により洗浄した後、同様に1分間に2
0〜30回の割合で、回転攪拌しながら、純水洗浄を行
った。この場合、中性洗剤による洗浄時間は、〔実施例
1〕の1/2とした。また、この場合超音波洗浄機を用
いた純水洗浄は行わなかった。
【0038】〔比較例2〕(表3)中に示す断面の直径
10mm、長さ26mmの形状のペレットに切削後、金
属磁性材料を1分間に10〜20回の割合で、回転攪拌
しながら中性洗剤により洗浄した後、同様に1分間に2
0〜30回の割合で、回転攪拌しながら、純水洗浄を行
った。このとき、中性洗剤による洗浄時間は、〔比較例
1〕の2倍、すなわち〔実施例1〕と同様とした。ま
た、この場合超音波洗浄機を用いた純水洗浄は行わなか
った。
【0039】次に、上述した条件により洗浄した金属磁
性材料について、表面に残存している切削油、および切
削油を除去するための中性洗剤等の有機化学物質の量を
抽出測定する。この抽出溶媒は、四塩化炭素溶媒を使用
した。この溶媒を加熱蒸発させた後、金属磁性材料1k
g当たりの有機化学物質の量およびペレット形状の金属
磁性材料1m2 当たりの有機化学物質の量を測定した。
これらの測定値を(表3)に示す。
【0040】上述した〔実施例1〜3〕および〔比較例
1および2〕に示したように洗浄したペレット状の金属
磁性材料を用いて、非磁性支持体に蒸着して、サンプル
テープを作製し、それぞれについてのドロップアウト、
磁気特性劣化、エラーレート、および電磁変換特性を測
定した。
【0041】なお、ドロップアウトはソニー製DCR−
VX1000改造機を用い、再生出力レベルから−16
dB20μsec以上の出力落ちをドロップアウトとし
て、30分間測定を行い、1分間当たりのドロップアウ
ト数を求めた。
【0042】エラーレートについても、ソニー製DCR
−VX1000改造機を用いて測定した。エラーレート
は一般的に電磁変換特性の大小等に依存するランダムエ
ラーと呼ばれる1バイト(1バイト=8ビット)以下の
信号の欠落で発生するものがある。上記の〔実施例1〜
3〕および〔比較例1、2〕では、金属磁性材料の組
成、非磁性支持体等、電磁変換特性に影響を与えるもの
は同じものを使用しているため、ランダムエラーレート
は、〔実施例1〜3〕および〔比較例1および2〕では
同じレベルであると判断できる。しかし、磁性層の欠落
や、付着物によるような、比較的大きなものによる場合
には、バーストエラーと呼ばれるエラーが発生する。こ
のバーストエラーは、数バイト長以上のデータの欠落に
より発生するものと定義されるが、上記〔実施例1〜
3〕および〔比較例1および2〕では、ランダムエラー
レートとバーストエラーとのトータルのエラーレートを
測定した。
【0043】電磁変換特性についても、ソニー製DCR
−VX1000改造機を用いて測定した。電磁変換特性
の値は、〔比較例1〕での再生出力(λ(波長)=0.
5μm)を0dBとして比較した。
【0044】また、磁気特性の劣化の測定は、ガス腐食
試験機を用い、SO2 ガス0.6ppmを含む、35℃
90%RH雰囲気中で24時間保存後の飽和磁化(φ
s)を測定し、その劣化量(Δφs)を次式により求め
た。 Δφs=〔(φs1 −φs2 )/φs1 〕×100(%) 但し、φs1 は保存前の測定値を示し、φs2 は保存後
の測定値を示す。
【0045】(表4)に〔実施例1〜3〕および〔比較
例1、2〕のドロップアウト、磁気特性劣化、エラーレ
ート、および電磁変換特性のそれぞれの測定結果を示
す。
【0046】
【表4】
【0047】(表3)および(表4)において、〔実施
例1〜3〕と、〔比較例1および2〕とを比較すると、
金属磁性材料表面に存在する油、切削油洗浄用の中性洗
剤、脱脂用溶剤等の有機化学物質の総量が少ないほどド
ロップアウトが良好になり、エラーレートが少なくなる
ことがわかる。
【0048】なお、〔比較例1〕においては、〔実施例
1〜3〕に比べて中性洗剤による洗浄、純水による洗浄
ともに充分ではなかったため金属磁性材料表面に有機化
学物質が多く残っていることがわかり、また、〔比較例
2〕においては、中性洗剤による洗浄時間を、〔比較例
1〕の2倍、すなわち〔実施例1〕と同様としたため、
この洗浄による効果はあるものの、洗浄によってペレッ
トの形状が小さくなり、体積に対する表面積が増加した
ため、金属磁性材料表面には有機化学物質が多く残って
いることがわかる。これら〔比較例1〕および〔比較例
2〕は、非磁性支持体上に金属磁性材料を蒸着する際、
溶融した金属磁性材料のスプラッシュの発生原因とな
り、磁性層の欠落や不均一化が生じ、金属蒸着磁性薄膜
磁気記録媒体としては、その特性に問題がある。
【0049】これらにより、ペレット状の金属磁性材料
表面に存在する有機化学物質の総量が、20mg/kg
以下または3.8×10-6mg/m2 以下であれば、ド
ロップアウトが少なく、電磁変換特性等の磁気特性に優
れ、またエラーレートの小さい磁気記録媒体を得ること
ができることがわかる。
【0050】本発明に用いられる磁性材料としては、通
常の蒸着テープに使用されるものであればいかなるもの
であってもよい。例えば、Fe、Co、Ni等の強磁性
金属、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、F
e−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Fe
−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、
Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性
合金があげられる。これらの単層膜であってもよいし、
多層膜であってもよい。さらには、非磁性支持体と金属
磁性薄膜間、あるいは多層膜の場合には、各層間の付着
力向上、並びに抗磁力の制御等のため、下地層または中
間層を設けてもよい。また、例えば磁性層表面近傍を耐
蝕性改善等のため、酸化物となるようにしてもよい。金
属磁性薄膜の形成手段としては、真空下での強磁性材料
を加熱蒸発させ、非磁性支持体上に被着させる真空蒸着
法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレ
ーティング法、物理的気相成長法いわゆるPVD法が考
えられる。
【0051】また、強磁性金属薄膜上には保護膜を形成
することができる。この保護膜の材料としては、通常用
いられている例えばカーボン、CrO2 、Al2 3
BN、Co酸化物、MgO、SiO2 、Si3 4 、S
iNX 、SiC、SiNX −SiO2 、ZrO2 、Ti
2 、TiC等があげられる。また、この保護膜は、単
層膜とすることも多層膜や金属との複合膜とすることも
できる。
【0052】また、非磁性支持体としては、従来公知の
ものがいずれも使用できるが、例えばポリエチレンテレ
フタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテ
ート、セルロースジアセテート、セルロースアセテート
ブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネー
ト、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプ
ラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニ
ウム合金、チタン合金等の軽金属、セラミックス単結晶
シリコン等によって構成することができる。
【0053】有機化学物質の量を抽出測定する溶剤は、
アルコール、トルエン、メチルエチルケトン等、従来公
知のものを使用することができる。
【0054】なお、非磁性支持体の形態としては、フィ
ルム、テープ、シート、ディスク、カード、ドラム等と
することができる。
【0055】本発明にかかる上述した例の磁気テープの
構成は、これに限定されるものではなく、種々の変更が
可能である。例えば、バックコート層を形成したり、非
磁性支持体上に下塗層を形成したり、潤滑剤、防錆剤等
の層を形成するとができる。この場合、バックコート層
に含まれる非磁性顔料、樹脂結合剤、あるいは潤滑剤、
防錆剤に含まれる材料としては、従来公知のものをいず
れも使用することができる。
【0056】
【発明の効果】磁性材料の磁性材料表面に存在する油、
切削油洗浄用の中性洗剤、脱脂用溶剤等の有機化学物質
の総量を20mg/kg以下または3.8×10-6mg
/m2以下としたことにより、非磁性支持体上に磁性材
料を真空蒸着により被着する場合においても、磁性材料
のスプラッシュ等を効果的に防止することができた。こ
の手法は、特に磁性材料をペレット状にして供給した場
合に有効となる。また、これにより、非磁性支持体上に
形成した磁性層の欠落を防止することができ、ドロップ
アウト等を抑え、電磁変換特性等の磁気特性に優れ、ま
たエラーレートの小さい磁気記録媒体を得ることができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体を
作製する蒸着装置の概略図を示す。
【符号の説明】
1 真空室、2 非磁性支持体、3 送りロール、4
巻き取りロール、5 冷却キャン、 6,7 ガイドロ
ール、8 ルツボ、9 金属磁性材料、10 電子銃、
13 シャッター、14 酸素ガス導入管、15,16
排気口、21 磁性材料供給機構
フロントページの続き (72)発明者 武田 勉 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 山田 博之 愛知県江南市野白町西千丸131 (72)発明者 大隅 廣 愛知県東海市加木屋町南鹿持18番地A− 301 (72)発明者 片桐 英雄 愛知県名古屋市千種区春里町2丁目4番2 −102

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材料表面に存在する有機化学物質の
    総量が、20mg/kg以下としたことを特徴とする磁
    性材料。
  2. 【請求項2】 磁性材料表面に存在する有機化学物質の
    総量が、3.8×10-6mg/m2 以下としたことを特
    徴とする磁性材料。
  3. 【請求項3】 磁性材料表面に存在する有機化学物質の
    総量が、20mg/kg以下とした磁性材料が真空蒸着
    されてなる金属蒸着磁性薄膜を有してなることを特徴と
    する金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性材料表面に存在する有機化学物質の
    総量が、3.8×10-6mg/m2 以下とした磁性材料
    が真空蒸着されてなる金属蒸着磁性薄膜を有してなるこ
    とを特徴とする金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体。
JP8148996A 1996-04-03 1996-04-03 磁性材料とこれを用いた金属蒸着磁性薄膜磁気記録媒体 Pending JPH09275012A (ja)

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