JPH09138932A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH09138932A
JPH09138932A JP29695995A JP29695995A JPH09138932A JP H09138932 A JPH09138932 A JP H09138932A JP 29695995 A JP29695995 A JP 29695995A JP 29695995 A JP29695995 A JP 29695995A JP H09138932 A JPH09138932 A JP H09138932A
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JP
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magnetic
thin film
ion
back coat
recording medium
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JP29695995A
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Koji Naruse
宏治 成瀬
Taketoshi Sato
武俊 佐藤
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属磁性薄膜型の磁気記録媒体において、バ
ックコート層による金属磁性薄膜の磁気特性の劣化、ド
ロップアウトの増大及び走行耐久性の劣化を抑え、高温
多湿条件下保存後であっても、高密度記録領域で良好な
記録再生特性が得られるようにする。 【解決手段】 バックコート層の含有塩素イオン量及び
含有硫酸イオン量を、それぞれ5ppm以下に規制す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、特にバックコート層の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体としては、強磁性粉末、結
合剤及び有機溶剤よりなる磁性塗料を非磁性支持体上に
塗布することで磁性層が形成される、いわゆる塗布型の
磁気記録媒体や、金属磁性材料を真空薄膜形成技術(真
空蒸着法、スパッタリング法等)によって非磁性支持体
上に直接被着させることで磁性層が形成される、いわゆ
る金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が知られている。
【0003】このうち金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
は、塗布型の磁気記録媒体に比べて保磁力、飽和磁束密
度等の磁気特性に優れ、高密度記録領域で良好な電磁変
換特性が得られる。このため、ビデオテープレコーダー
用の磁気記録媒体として既に実用化され、今後、ハイバ
ンド8ミリビデオテープレコーダー、デジタルビデオテ
ープレコーダー(VTR)等、更に高品位なシステムへ
の対応が期待されている。
【0004】ところで、このような金属磁性薄膜型の磁
気記録媒体では、磁性層表面が鏡面状態に近く、巻回し
たときに接触する非磁性支持体に対する実質的な摩擦係
数が増大する傾向にあることから、非磁性支持体の磁性
層を設けた側とは反対側の面に、表面粗さを適当な値に
設定したバックコート層を形成することが行われてい
る。このバックコート層は、非磁性支持体バック面の表
面性を制御するとともに、帯電を抑え、ダスト等の影響
を排除し、さらには走行を安定化させる目的から不可欠
である。
【0005】このバックコート層は、通常、適度な粒径
を持ったカーボン等の非磁性顔料を結合剤、有機溶媒等
と共に分散混合してバックコート塗料を調製し、この塗
料を非磁性支持体上に塗布することで形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようにバックコー
ト層は媒体の走行性を改善するという点で大きなメリッ
トを有するものの、本発明者等が種々の検討を行ったと
ころ、使用するバックコート塗料によっては、磁性層と
なる金属磁性薄膜の磁気特性、ドロップアウトの増大、
走行耐久性の劣化を誘発する場合があり、バックコート
層の形成にはこの点に留意する必要があることが判明し
た。
【0007】すなわち、バックコート層を形成した蒸着
テープを、高温多湿条件下で長期間保存すると、バック
コート層を形成していない蒸着テープでは見られない大
幅なテープ特性の劣化が発生する。これは、巻回した状
態で磁性層と接触するバックコート層が、この磁性層に
何らかの悪影響を及ぼしていることによるものと推定さ
れる。
【0008】ここで、ディジタル画像信号を扱うディジ
タルVTR等では、高密度な磁気記録を行う必要性から
記録トラックピッチがl0ミクロンと極めて狭くなされ
る。このため、これまで見逃されていたような極めて小
さな欠陥であっても、記録再生に大きく影響する傾向が
あり、上述のようなバックコート層による悪影響につい
ても、徹底した改善が必要である。
【0009】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、バックコート層による金
属磁性薄膜の磁気特性の劣化、ドロップアウトの増大、
走行耐久性の劣化が抑えられ、高密度記録領域において
良好な記録再生特性が得られる磁気記録媒体を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、バックコー
ト層を形成した場合に発生する金属磁性薄膜の磁気特性
の劣化やドロップアウトの増大は、バックコート層中に
含まれる塩素イオン及び硫酸イオンに起因しており、こ
の量を規制することでこのような特性劣化が抑えられる
との知見を得るに至った。
【0011】本発明は、このような知見に基づいて完成
されたものである。すなわち、本発明の磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に、金属磁性薄膜が形成され、前記
非磁性支持体の金属磁性薄膜が形成された側とは反対側
の面に非磁性顔料を結合剤中に分散せしめてなるバック
コート層が形成されてなる磁気記録媒体において、上記
バックコート層の純水抽出法によるイオンクロマトグラ
フィー検査方法で測定される含有塩素イオン量と含有硫
酸イオン量が、それぞれ5ppm以下であることを特徴
とするものである。
【0012】このようにバックコート層の含有塩素イオ
ン量と含有硫酸イオン量を規制すると、バックコート層
による金属磁性薄膜の磁気特性の劣化、ドロップアウト
の増大、走行耐久性の劣化が抑えられるようになり、高
温多湿環境下保存後であっても、良好な記録再生特性を
発揮するものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施の形態につ
いて説明する。
【0014】金属磁性材料を真空薄膜形成技術によって
非磁性支持体上に直接被着させることで磁性層が形成さ
れる、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体では、媒体の走行
性を改善する目的で、非磁性支持体の磁性層が形成され
た側と反対側の面にバックコート層が形成される。この
バックコート層は、非磁性顔料、結合剤、分散剤等の添
加剤を有機溶剤とともに分散混合して調整されたバック
コート塗料を、非磁性支持体上に塗布、乾燥することで
形成されるものである。
【0015】ここで、通常、バックコート層の形成に用
いられるバックコート塗料には、塩素イオンや硫酸イオ
ンが混在している場合があり、この量が多いと、特に磁
性層とバックコート層が接触した状態、すなわち媒体を
巻回した状態で、高温多湿環境下に保管すると、磁気特
性の劣化、ドロップアウトの増大、さらには走行耐久性
の劣化が誘発される。
【0016】そこで、本発明では、バックコート層の含
有塩素イオン量と含有硫酸イオン量を5ppm(5×1
-6g/バックコート層1g)以下に規制する。なお、
この含有塩素イオン量と含有硫酸イオン量は、純水抽出
法によるイオンクロマトグラフィー検査方法によって測
定されるものである。この測定は具体的には以下のよう
にして行われる。
【0017】すなわち、バックコート塗料を、温度60
℃で蒸発乾固して溶媒を除去する。得られた固体物を粉
砕し、このうち5gを計量する。この粉体試料に、純水
l00mlを加え、温度l00℃で加熱抽出を行う。抽
出が飽和したところで加熱を終了し、抽出溶液にさらに
純水を加えて50mlに調整し、抽出測定試料とする。
この抽出測定試料について、イオンクロマトグラフィー
(陰イオン吸着タイプ)により陰イオンの分離を行い、
塩素イオン量及び硫酸イオン量を測定する。なお、加熱
抽出時間は3時間程度が適当である。3時間の加熱抽出
を行えば、抽出は十分飽和に達する。
【0018】このようにして測定されるバックコート層
の含有塩素イオン量及び含有硫酸イオン量をそれぞれ5
ppm以下に抑えると、上述のような金属磁性薄膜の磁
気特性の劣化やドロップアウトの増大が抑えられ、保存
特性に優れた磁気記録媒体が得られることになる。な
お、バックコート層におけるこれらイオン量のより好ま
しい範囲は、3ppm以下である。
【0019】バックコート層の含有塩素イオン量及び含
有硫酸イオン量を上記範囲に抑えるには、バックコート
層の源流管理が必要である。すなわちバックコート層を
形成するためのバックコート塗料の各組成物や塗料化方
法として、塩素イオンや硫酸イオンの混入する可能性の
少ないものを選択するのが望ましい。
【0020】なお、バックコート塗料の組成物として
は、具体的には以下のものが用いられる。
【0021】まず、非磁性顔料としては、具体的にはカ
ーボン粉末の他、ヘマタイト、雲母、シリカゲル、酸化
マグネシウム、硫化亜鉛、炭化タングステン、窒化ホウ
素、デンプン、酸化亜鉛、カオリン、タルク、粘土、炭
酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベー
ム石(γ一Al23・H2O)、アルミナ、硫化タング
ステン、酸化チタンの粉末、ポリテトラフルオロエチレ
ン粉末、ポリエチレン粉末、金属粉等が使用される。
【0022】結合剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール
共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル
−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−ア
クリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビ
ニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共
重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、
ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共
重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタ
ジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、ポ
リビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブ
タジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデ
ヒド樹脂等が単独あるいは混合物して使用される。これ
ら結合剤は、イソシアネート化合物を架橋剤として併用
することで耐久性を向上させたり、適当な極性基を導入
して粉末成分の分散性を改善するようにしてもよい。
【0023】有機溶剤としては、アセトン,メチルエチ
ルケトン,メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン系溶剤、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチ
ル,乳酸エチル,酢酸グリコールモノエチルエステル等
のエステル系溶剤、グリコールジメチルエーテル,グリ
コールモノエチルエーテル,ジオキサン等のグリコール
エーテル系溶剤、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳
香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド,エチレンク
ロライド,四塩化炭素,クロロホルム,エチレンクロル
ヒドリン,ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤
が用いられる。
【0024】一方、非磁性支持体の上記バックコート層
が形成される側とは反対側の面には金属磁性薄膜が磁性
層として形成される。
【0025】この金属磁性薄膜の材料としては、Fe、
Co、Ni等の強磁性金属、Fe−Co、Co−Ni、
Co−Fe−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−A
u、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−Al,Fe−C
r、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co
−Ni−Cr、Fe−Co−Cr−Ni等の強磁性合金
が挙げられる。金属磁性薄膜としては、これらの単層膜
であってもよいし多層膜であってもよい。さらには、非
磁性支持体と金属磁性薄膜間、あるいは多層膜の場合に
は各層間に、付着力向上、並びに抗磁力の制御等の目的
で、下地層あるいは中間層を設けてもよい。また、例え
ば金属磁性薄膜の表面近傍が耐蝕性改善等のために酸化
物となっていてもよい。
【0026】これら材料を薄膜として成膜する方法とし
ては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体
上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を
放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成
分とする雰囲気中でグロー放電を起こし生じたアルゴン
イオンでターゲット表面の原子をたたき出すスパッタリ
ング法等、いわゆるPVD技術が用いられる。このう
ち、真空蒸着法では、成膜雰囲気に酸素を導入したり、
蒸着方向を制御することで金属磁性薄膜の特性を制御す
るようにしても良い。
【0027】また、この磁性層上には保護膜が形成され
ていても良い。
【0028】この保護膜は、金属磁性薄膜型の磁気記録
媒体で通常形成されているもの、例えばカーボン、Cr
2,Al23,BN,Co酸化物、MgO,SiO2
Si34,SiNx,SiC,SiNx−SiO2,Zr
2,TiO2,TiC等を真空薄膜形成技術によって被
着形成したものが用いられる。なお、保護膜としては、
これら材料の単層膜であっても良く、多層膜であっても
良い。また、材料の異なる薄膜を積層させた複合膜であ
っても良い。
【0029】非磁性支持体としては、やはりこの種の媒
体で使用される従来公知のものがいすれも使用可能であ
る。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエス
テル類、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン類、セルローストリアセテート,セルロースジアセ
テート,セルロースアセテートブチレート等のセルロー
ス誘導体、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等のビ
ニル系樹脂、ポリカーボネート,ポリイミド,ポリアミ
ド,ポリアミドイミド等のプラスチックの他、紙、ある
いはアルミニウム,銅等の金属、アルミニウム合金,チ
タン合金等の軽合金、セラミックス単結晶シリコン等が
挙げられる。これら非磁性支持体の形態は、フィルム
状、テープ状、シート状、ディスク状、カード状、ドラ
ム状等いずれでもよい。
【0030】
【実施例】本発明の好適な実施例について実験結果に基
づいて説明する。
【0031】実施例1 まず、下記の組成に基づいて、カーボン粒子を、結合剤
となるポリカーボネートポリウレタン樹脂、架橋剤とな
る2,4−トリレンジイソシアナート(TDI:商品名
コロネートL−50)及び有機溶剤とともに混合してバ
ックコート塗料を調製した。なお、バックコート塗料
は、固形分をl5%、P/B比(非磁性顔料と結合剤の
混合比率)をl.2とし、架橋剤の添加量を結合剤l0
0重量部に対してl0重量部として調製した。また、こ
のバックコート塗料について純水抽出法によるイオンク
ロマトグラフィー検査方法で含有塩素イオン量及び含有
硫酸イオン量を測定したところ、含有塩素イオン量が
5.0ppm、含有硫酸イオン量が4.7ppmであっ
た。
【0032】 バックコート塗料の組成 非磁性顔料:カーボン粒子 100重量部 結合剤: ポリカーボネートポリウレタン樹脂 100重量部 硬化剤: コロネートL50 10重量部 そして、このバックコート塗料を、厚さ6μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に、0.5μmの塗布
厚で塗布し、バックコート層を形成した。
【0033】次に、非磁性支持体のバックコート層を形
成した側とは反対側の面にCo80%−Ni20%(数
字は各元素の含有量を重量%で表す)なる組成の金属磁
性薄膜を、酸素雰囲気中での斜め蒸着法によって200
nmの膜厚で成膜した。この成膜に用いた真空蒸着装置
を図1に示す。
【0034】この真空蒸着装置は、図1に示すように、
頭部と底部にそれぞれ設けられた排気口15から排気さ
れて内部が真空状態となされた真空室l内に、図中の反
時計回り方向に定速回転する送りロール3と、図中の反
時計回り方向に定速回転する巻取りロール4とが設けら
れ、これら送りロール3から巻取りロール4にテープ状
の非磁性支持体2が順次走行するようになされている。
【0035】これら送りロール3から巻取りロール4側
に上記非磁性支持体2が走行する中途部には、上記各ロ
ール3,4の径よりも大径となされた冷却キャン5が設
けられている。この冷却キャン5は、上記非磁性支持体
2を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回
り方向に定速回転する構成とされる。なお、上記送りロ
ール3、巻取りロール4及び冷却キャン5は、それぞれ
非磁性支持体2の幅と略同じ長さからなる円筒状をなす
ものである。また上記冷却キャン5には、内部に図示し
ない冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体2の温度上
昇による変形等を抑制し得るようになされている。
【0036】したがって、上記非磁性支持体2は、送り
ロール3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン5
の周面を通過し、巻取りロール4に巻取られていくよう
になされている。なお、上記送りロール3と上記冷却キ
ャン5との間及び該冷却キャン5と上記巻取りロール4
との間にはそれぞれガイドロール6、7が配設され、上
記送りロール3から冷却キャン5及び該冷却キャン5か
ら巻取りロール4にわたって走行する非磁性支持体2に
所定のテンションをかけ、該非磁性支持体2が円滑に走
行するようになされている。また、上記真空室内には、
上記冷却キャン5の下方にルツボ8が設けられ、このル
ツボ8内に金属磁性材料9が充填されている。このルツ
ボ8は、上記冷却キャン5の長手方向の幅と略同一の幅
を有している。
【0037】一方、上記真空室lの側壁部には、上記ル
ツボ8内に充填された金属磁性材料9を加熱蒸発させる
ための電子銃10が取り付けられる。この電子銃10
は、当該電子銃10より放出される電子線Xが上記ルツ
ボ8内の金属磁性材料9に照射されるような位置に配設
される。そして、この電子銃10によって蒸発した金属
磁性材料9が上記冷却キャン5の周面を定速走行する非
磁性支持体2上に磁性層として被着形成されるようにな
っている。また、上記冷却キャン5と上記ルツボ8との
間であって該冷却キャン5の近傍には、シャッタ13が
配設されている。このシャッタ13は、上記冷却キャン
5の周面を定速走行する非磁性支持体2の所定領域を覆
う形で形成され、このシャッタ13により上記蒸発せし
められた金属磁性材料9が上記非磁性支持体2に対して
所定の最低入射角θで斜めに蒸着されるようになってい
る。さらに、このような蒸着に際し、上記真空室1の側
壁部を貫通して設けられる酸素ガス導入口14を介して
非磁性支持体2の表面に酸素ガスが供給され、磁気特
性、耐久性及び耐候性の向上が図られている。
【0038】なお、本実施例で採用した蒸着条件を以下
に示す。
【0039】蒸着条件 インゴット: Co80%Ni20%(但し、数字は各
元素の含有量を重量%で表す) 入射角: 45〜90° 酸素導入量: 3.3×l0-63/秒 蒸着時真空度:7×l0-2Pa 以上のようにして金属磁性薄膜を成膜した後、この金属
磁性薄膜上に潤滑剤としてパーフルオロポリエーテルを
塗布してトップコート層を形成し、8mm幅に裁断する
ことで磁気テープを作製した。
【0040】実施例2〜実施例4 バックコート塗料として、含有塩素イオン量及び含有硫
酸イオン量が表1に示す値のものを用いること以外は実
施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0041】比較例1〜比較例3 バックコート塗料として、含有塩素イオン量及び含有硫
酸イオン量が表1に示すように5ppmを越えるものを
用いること以外は実施例1と同様にして磁気テープを作
製した。
【0042】以上のようにして作製した磁気テープにつ
いて、温度60℃相対湿度95%環境下で10日間保存
し、保存後、スチル耐久性、残留磁束低下率及びドロッ
プアウト数を測定した。その結果を、バックコート層の
含有塩素イオン量、含有硫酸イオン量と併せて表1に示
す。
【0043】なお、スチル耐久性は、ソニー社製 8m
mVTRにより、常温下、マルチモードで測定した。
【0044】残留磁束低下率Δφrは、次式に基づいて
求めた。
【0045】残留磁束低下率Δφr=〔(保存前残留磁
束密度)−(保存後残留磁束密度)〕/(保存前残留磁
束密度)×100(%) ドロップアウトの測定は、ソニー社製 商品名EVS−
900の装置をドロップアウト測定用に改造したものを
使用して測定した。
【0046】
【表1】
【0047】表1に示すように、高温多湿環境下で保存
した後のテープの特性は、バックコート層での含有塩素
イオン量、含有硫酸イオン量によって大きく異なる。す
なわち、バックコート層での含有塩素イオン量、含有硫
酸イオン量が5ppm以下のものを用いた実施例1〜実
施例4の磁気テープでは、高温多湿保存後においても十
分なスチル耐久性が得られ、また残留磁束低下率が小さ
く、ドロップアウト数も小さく抑えられている。
【0048】これに対して、バックコート層での含有塩
素イオン量、含有硫酸イオン量が5ppmを越えるもの
を用いた比較例1〜比較例3の磁気テープでは、高温多
湿環境下で保存するとスチル耐久性が大きく低下し、残
留磁束密度の低下も大きい。さらにドロップアウトも多
発するようになる。
【0049】このことから、バックコート層の含有塩素
イオン量及び含有硫酸イオン量を規制することは、磁気
テープの保存性を改善する上で有効であることがわかっ
た。
【0050】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体は、バックコート層の含有塩素イオン
量及び含有硫酸イオン量をそれぞれ5ppm以下に規制
するので、バックコート層による金属磁性薄膜の磁気特
性の劣化、ドロップアウトの増大、走行耐久性の劣化が
抑えられる。したがって、高温多湿環境下保存後であっ
ても、高密度記録領域において良好な記録再生特性を得
ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属磁性薄膜を成膜するための真空蒸着装置を
示す模式図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、金属磁性薄膜が形成
    され、前記非磁性支持体の金属磁性薄膜が形成された側
    とは反対側の面に非磁性顔料を結合剤中に分散せしめて
    なるバックコート層が形成されてなる磁気記録媒体にお
    いて、 上記バックコート層の純水抽出法によるイオンクロマト
    グラフィー検査方法で測定される含有塩素イオン量と含
    有硫酸イオン量が、それぞれ5ppm以下であることを
    特徴とする磁気記録媒体。
JP29695995A 1995-11-15 1995-11-15 磁気記録媒体 Withdrawn JPH09138932A (ja)

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