JPH09128750A - 磁気記録媒体の製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造装置

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JPH09128750A
JPH09128750A JP28417995A JP28417995A JPH09128750A JP H09128750 A JPH09128750 A JP H09128750A JP 28417995 A JP28417995 A JP 28417995A JP 28417995 A JP28417995 A JP 28417995A JP H09128750 A JPH09128750 A JP H09128750A
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crucible
magnetic
alloy
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wire
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JP28417995A
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Kazunobu Chiba
一信 千葉
Jota Ito
条太 伊藤
Tsutomu Takeda
勉 武田
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易かつ安価な構造で、蒸着に際してベース
フィルムの熱負けやスプラッシュによる影響を防止す
る。 【解決手段】 補充のための磁性材料20をルツボ19
の長手方向の一端側に吊すワイヤー1と、このワイヤー
1の昇降を制御する制御部2が設けられ、上記ルツボ1
9内に磁性材料20が連続的に供給される。そして、ワ
イヤー1に吊り下げられた磁性材料20を加熱する加熱
手段3が設けられてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体の製
造装置の技術分野に属するもので、特に、蒸着に際して
ベースフィルムの熱負けやスプラッシュによる影響を防
止する磁気記録媒体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、酸化
物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩
化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、
ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機結合剤中に分
散せしめた磁性塗料を非磁性支持体上に塗布、乾燥する
ことにより作成される塗布型の磁気記録媒体が広く使用
されている。
【0003】これに対して、ビデオテープレコーダー
(VTR)等の分野においては、高画質化を図るため
に、高密度磁気記録化が一層強く要求されており、これ
に対応する磁気記録媒体として、Co−Ni系合金、C
o−Cr系合金、Co−O系等の金属磁性材料を、メッ
キや真空薄膜形成技術(真空蒸着法やスパッタリング
法、イオンプレーティング法等)によってポリエステル
フィルムやポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性
支持体上に磁性層として直接被着した、いわゆる強磁性
金属薄膜塗布型の磁気記録媒体が提案され注目を集めて
いる。
【0004】そして、この強磁性金属薄膜塗布型の磁気
記録媒体においては、電磁変換特性を向上させ、より大
きな出力を得ることが出来るようにするために、該磁気
記録媒体の磁性層を形成する場合、磁性層を斜めに蒸着
する斜め蒸着が提案され実用化されている。したがっ
て、このような金属薄膜媒体は、磁気特性的な優位さ故
に今後の高密度磁気記録媒体の主流となると考えられ
る。
【0005】この真空蒸着法においては、例えば、図4
に示すように、非磁性支持体であるベースフィルム10
2を外周表面に走行させながら支持する円筒状の冷却キ
ャン101と、ルツボ103に収容された蒸着源たるC
o−Ni系の強金属磁性材料104と、ベースフィルム
102の所定範囲を被う入射角制限マスク105と、蒸
着源を蒸発させる電子ビーム銃(図示せず)とが、真空
層内に配置されて構成される真空蒸着装置を用いて行わ
れる。
【0006】この真空蒸着装置では、電子ビーム銃から
放出される電子ビームが蒸着源となる強金属磁性材料1
04に照射され当該強金属磁性材料104を蒸発させる
ことにより、蒸発させられた蒸気粒子はベースフィルム
102上に被着された蒸着膜として形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この斜方蒸
着テープは、蒸着蒸気を上記入射角制限マスク105
(「シャッター」とも呼ばれる。)で遮断して斜め入射
の蒸着成分のみを使用することで優れた磁気特性及び電
磁変換特性を実現している。このため、その他の余分な
金属蒸気成分は水冷された入射角制限マスク105に付
着させ、蒸着終了後清掃破棄してしまう。この入射角制
限マスク105に付着した磁性材料は蒸着時間が長くな
り付着物の量が多くなると自重で下に落下してしまい粉
塵が発生する。また、一部は蒸着源たる強金属磁性材料
104に落下する。この場合には高温で液状になってい
る磁性金属中に、冷却固化した金属が落下するため溶融
合金の飛びはねが発生し、飛沫がベースに被着し、ベー
スフィルム102が熱負けしてしまう問題を発生する。
【0008】また、連続蒸着では、長時間の連続蒸着を
行う場合、ルツボ103に磁性材料である合金の供給を
行うことが一般的である。この蒸着時に供給される合金
に含まれる酸化物やカーボンなどの不純物が起因して、
溶融時に発生するスプラッシュによって微少な熱負けが
磁気記録層の部分的な特性劣化を生じ、ベースフィルム
102に対する磁気ヘッドの当たり不良やドロップアウ
ト(記録抜け)の原因となっていた。
【0009】他方、かかる問題を解決する方法として、
この熱負けやスプラッシュを防止する手段が大きいもの
であったり、汎用性に欠けるものであったりすると、既
存の真空蒸着装置に適さず、コストが高くなるおそれが
ある。
【0010】すなわち、ルツボ103への磁性材料の合
金の供給方法は、一般には、(1)この合金を直径10
mm以下の細線状に形成して、ルツボ103上から連続
的に供給する、いわゆるワイヤー方法や、(2)合金を
直径10mm程度で長さ数十mm程度のペレット状の合
金を一定間隔でルツボ103に供給する、いわゆるペレ
ット供給方式、さらに、(3)直径60〜80mmの棒
状に加工した合金をルツボ103下部又は横方向からか
ら連続的に供給させる、いわゆるロッドフィード方式等
がある。
【0011】しかしながら、これら(1)〜(3)のい
ずれのものも一長一短がある。
【0012】まず、(1)のワイヤー方法は、磁性材料
である合金を細線状に加工するための加工費が高く合金
の製造コストが高い。次に、(2)のペレット供給方式
は、ペレット状に加工する加工費が高く、また、ルツボ
103の液面にこのペレット状の合金を供給するときに
液面の暴れや、スプラッシュが発生する問題がある。さ
らに、(3)のロッドフィード方式は、合金を棒状に加
工する点では、前記(1)(2)の方式に勝るものの、
直径の大きな合金をルツボ103下部又は横方向から供
給する構造をとる必要があるために、蒸着装置の大型化
が避けられず、又、液漏れ対策が必要である等である。
【0013】そこで、本発明は、このような実情に鑑み
て提案されたものであって、簡易かつ安価な構造で、蒸
着に際してベースフィルムの熱負けやスプラッシュによ
る影響を防止することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、磁性層が形成される非磁性支持体を搬
送しながら冷却する冷却キャンと、磁性層を形成する磁
性材料が充填されるルツボと、ルツボ内の磁性材料に電
子ビームを照射する電子ビーム照射手段を少なくとも有
して、真空蒸着法により非磁性支持体上に強磁性金属薄
膜を磁性層として蒸着させる磁気記録媒体の製造装置に
おいて、補充のための磁性材料をルツボの長手方向の一
端側に吊すワイヤーと、このワイヤーの昇降を制御する
制御部が設けられ、上記ルツボ内に磁性材料が連続的に
供給されることことを特徴とする。
【0015】また、磁性材料が棒状又は角形形状である
ことを特徴とする。
【0016】また、ルツボの一端側に傾斜部が設けられ
てなることを特徴とする。
【0017】また、ルツボの長さが冷却キャンの幅より
も長く形成され、このルツボの冷却キャンから外れた側
の端部に傾斜部が設けられてなることを特徴とする。
【0018】また、ワイヤーに吊り下げられた磁性材料
を加熱する加熱手段が設けられてなることを特徴とす
る。
【0019】本発明によれば、制御部により磁性材料が
吊下げられたワイヤーを降下させることにより、ルツボ
内にその一端側から磁性材料の合金を供給させると、連
続的に供給されることとなって、スプラッシュ等の飛散
現象が抑制されることとなる。
【0020】そして、ルツボの一端側に傾斜部が設けら
れてなることにより、磁性材料がルツボ内に安定して供
給されることとなる。
【0021】また、ワイヤーに吊り下げられた磁性材料
を加熱する加熱手段が設けられてなることで、供給され
る磁性材料を伝わるようにして熱が伝導し、ルツボの液
面の温度が下がることが防止される。したがって、磁性
材料の加熱効率が図られるとともに、スプラッシュ等の
飛散現象が抑制される。
【0022】本発明が適用される磁気記録媒体の製造装
置により製造される磁気記録媒体としては、非磁性材料
よりなる性非磁性支持体上に強磁性金属薄膜が磁性層と
して形成される、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒
体が挙げられる。
【0023】上記非磁性支持体上には、強磁性金属材料
を直接被着することにより金属磁性薄膜が磁性層として
形成されているが、この金属磁性材料としては、通常の
蒸着テープに使用されるものであれば、如何なるもので
あっても良い。例示すれば、Fe,Co,Ni等の強磁
性金属、Fe−Co,Co−Ni,Fe−Co−Ni,
Fe−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−Pt,F
e−Cr,Co−Cr,Ni−Cr,Fe−Co−C
r,Co−Ni−Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni
−Cr,Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げ
られる。これらの単層膜であってもよいし多層膜であっ
てよい。さらには、非磁性支持体と金属磁性薄膜間、或
いは、多層膜の場合には、各層間の付着力向上、並びに
抗磁力の制御等のために、下地層、又は、中間層を設け
ても良い、金属磁性薄膜形成の手段としては、真空下で
強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着させる
真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイ
オンプレーティング法、いわゆるPVD技術によれば良
い。
【0024】また、上記非磁性支持体上に形成された強
磁性金属材料上には保護膜層が形成されていても良い
が、この材料としては、通常の金属磁性薄膜用保護膜と
して一般に使用されるものであれば如何なるものであっ
ても良い。例示すれば、カーボン、CrO2,Al
23,BN,Co酸化物、MgO,SiO2,Si
34,SiNx,SiC、SiNx−SiO2,Zr
2,TiO2、TiC等が挙げられる。これらの単層膜
であっても良いし、多層膜や金属との複合膜であっても
良い。
【0025】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例を実験結果に
基づいて説明する。
【0026】(実施例1)図1に示すように、本磁気記
録媒体の製造装置は、頭部と低部にそれぞれ設けられた
排気口11から排気されて内部が真空状態となされた真
空室12内に、図中の反時計回り方向に定速回転する送
りロール13と、図中の時計回り方向に定速回転する巻
取りロール14とが設けられ、これら送りロール13か
ら巻取りロール14にテープ状の非磁性支持体であるベ
ースフィルム15が順次走行するようになされている。
【0027】これら送りロール13から巻取りロール1
4側に上記ベースフィルム15が走行する中途部には、
各ロール13,14の径よりも大径となされた冷却キャ
ン16が設けられている。この冷却キャン16は、ベー
スフィルム15を図中下方に引き出すように設けられ、
図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。
【0028】また、上記送りロール13、巻取りロール
14、及び、冷却キャン16は、それぞれベースフィル
ム15の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものであ
り、また、冷却キャン16には、内部に図示しない冷却
装置が設けられ、上記ベースフィルム15の温度上昇に
よる変形等を抑制し得るようになされている。
【0029】したがって、ベースフィルム15は、送り
ロール13から順次送り出され、さらに上記冷却キャン
16の周面を通過し、巻取りロール14に巻取られてい
くようになされている。尚、上記送りロール13と記冷
却キャン16との間及び該冷却キャン16と上記巻取り
ロール14との問にはそれぞれガイドロール17、18
が配設され、上記送りロール13から冷却キャン16及
び該冷却キャン16から券取りロール14にわたって走
行するベースフィルム15に所定のテンションをかけ、
該ベースフィルム15が円滑に走行するようになされて
いる。
【0030】また、上記真空室12内には、上記冷却キ
ャン16の下方に筺体状のルツボ19が設けられてい
る。
【0031】このルツボ19は、蒸着源たるCo−Ni
系等の金属磁性材料20を供給して溶融させるものであ
るが、本実施の形態では、ルツボ19の長手方向の長さ
H1が冷却キャン16の外周表面16aの幅方向の間隔
H2よりも長くなるように突出形成されている(図3に
おいて、H1>H2)。そして、このルツボ19の冷却
キャン16から外れた側の端部に傾斜部19aが設けら
れている。
【0032】この傾斜部20aは、後述する金属磁性材
料20を安定して供給されるようにするためのもので、
ルツボ19の底部まで徐々に傾斜している。
【0033】また、図2及び図3に示すように、上記金
属磁性材料20は、長尺状の合金で形成されている。具
体的には、直径60mmという比較的直径の大きな棒状
の合金である。したがって、細線状のもの等よりもが加
工が容易である。なお、棒状のものに限らず、インゴッ
ト形状に近い角形形状であっても良いが、かかる角形形
状の場合には、更に加工が容易である。
【0034】そして特に、ルツボ19の一方の側の上方
には、図1乃至図3に示すように、長尺状の合金20を
その手方向の一端側から吊すワイヤー1と、このワイヤ
ー1の昇降を制御する制御部2が設けられてなる。
【0035】さらに、ワイヤー1に吊り下げられた長尺
状の合金20を加熱する加熱手段3が設けられている。
この加熱手段3は、上記長尺状の合金20よりも若干大
きめの筒状に形成されてなり、ルツボ19上に配置され
るヒータである。
【0036】なお、このような吊り下げ機構は、ルツボ
19の一方の側の上方に簡単に設けられるもので、既存
の装置を何等変更することなく取り付けることができ
る。
【0037】一方、上記真空室12の側壁部には、図4
に示すように、上記ルツボ19内に充填された金属磁性
材料20を加熱蒸発させるための電子銃21が取り付け
られる。この電子銃21は、当該電子銃21より放出さ
れる電子ビームXが上記ルツボ19内の金属磁性材料2
0に照射されるような位置に配設される。そして、この
電子銃21によって蒸発した金属磁性材料20が上記冷
却キャン16の周面を定速走行するベースフィルム15
上に磁性層として被着形成されるようになっている。
【0038】また、上記冷却キャン16とルツボ19と
の間であって該冷却キャン16の近傍には、入射角制限
マスク22a,22bが配設されている。
【0039】この入射角制限マスク22a,22bは、
蒸発源から飛来する金属上気流の入射角度を規制するた
めのもので、通常、低入射角制限マスク22aと高入射
角制限マスク22bと2つからなる。これら入射角制限
マスク22a,22bは、上記冷却キャン16の外周表
面を定速走行するベースフィルム15の所定領域を覆う
形で形成され、これら入射角制限マスク22a,22b
により上記蒸発せしめられた金属磁性材料20が上記ベ
ースフィルム15に対して所定の角度範囲で斜めに蒸着
されるようになっている。そして、成膜の際の最高入射
角及び最低入射角は、これら入射角制限マスク22a,
22bの開口位置によって決まる。
【0040】このように、CoNi合金の蒸着入射ビー
ムは、入射角制限マスク22を設置することにより任意
に蒸着入射角の範囲を設定でき、ここではこの入射角を
45°とした。
【0041】さらに、このような蒸着に際し、上記真空
室12の側壁部を貫通して設けられる酸素ガス導入口2
4を介してベースフィルム15の表面に酸素ガスが供給
され、磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られてい
る。
【0042】したがって、本発明の磁気記録媒体の製造
装置を実際に使用する場合には、図3に示すように、制
御部2により磁性材料が吊下げられたワイヤー1を降下
させると、金属磁性材料である長尺状の合金20は、加
熱手段3を通過して、予め加熱された状態でルツボ19
内に供給される。したがって、ルツボの液面の温度が下
がることが防止され、磁性材料の加熱効率が図られると
ともに、スプラッシュ等の飛散現象にも効果ある。
【0043】そして、さらに降下させると、このルツボ
19の冷却キャン16から外れた側の端部に傾斜部19
aが設けられているために、この傾斜部19aを伝わっ
て連続的に安定して供給される。したがって、ベースフ
ィルム15の熱負けやスプラッシュ等の飛散現象が抑制
されることとなる。
【0044】次に、本発明の磁気記録媒体の製造装置を
使用して、磁気記録媒体を製造した。
【0045】本磁気記録媒体の製造装置により製造され
る磁気記録媒体は、非磁性支持体であるベースフィルム
15上に強磁性金属或いはその合金の薄膜からなる磁性
層が形成されるとともに、この磁性層の形成面とは反対
側の面にバックコート層が形成される磁気記録媒体であ
る。このバックコート層の塗布に際しては、潤滑剤とし
てパーフルオロポリエーテルを塗布して、8ミリ幅に裁
断していわゆる8ミリカセットに組み込んだ。
【0046】本実施例では、ポリエンエチレンテレフタ
レート(PET)フィルムからなるベースフィルム15
上にCo80Ni20を蒸着させた。
【0047】
【表1】
【0048】(実施例2)加熱手段3を使用しない以外
は、実施例1と同様にサンプルテープを製造した。
【0049】(比較例l)直径10mmで、長さ12m
mの所定の長さに裁断されたペレット状合金を実施例1
のサンプルテープと同様の蒸着条件で作製した。このと
きの合金の供給方法は、上記ペレット状合金をルツボ1
9の液面19bの高さが一定となる時間間隔で断続的に
供給した。
【0050】(比較例2)比較例2として、直径6mm
という細線状の合金をルツボ19の液面19bより連続
的に押し出すように供給することができるものを作製し
た。このときの供給速度はルツボ19の液面19b高さ
が一定となるように設定した。この比較例2は、実施例
1,2と異なり、ワイヤー1で降下させるようなもので
なく、細線状に加工された合金をそのまま巻き取るため
のリール機構や、湾曲した線状合金を直線状に矯正する
ための機構などを真空室内に設けられてなるものであ
る。
【0051】ここでは、合金の形状及び供給形態の違い
を確認するためのテストとするために同一ロットの溶解
合金を各々の形状に加工した。このときの使用した合金
の不純物含有量を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】ドロップアウトの測定には、ソニー社製
(商品名;ハイバンド8ミリビデオデッキEV−S90
0)を改造したものを使用した。そして、再生出力レベ
ルから−16dBより低下した時間が10μsec以上
続いた回数を測定した。測定は10分間行い、1分間当
たりの平均値をドロップアウトの個数とした。また、合
金コストは加工プロセスが多くり、加工形状が小さくな
ると一般的に高くなるが、今回作製した合金形状による
加工コストは、表3に示す通りである。
【0054】
【表3】
【0055】比較例1では、ペレット状合金をルツボ1
9に供給する時にルツボ19の液面19bからスプラッ
シュが発生し、その飛沫が冷却キャン16に搬送される
非磁性支持体15まで到達して、熱負けが発生している
ものもある。
【0056】これは磁性層の完全な欠落となり製品品質
上問題となるレベルである。また、目視状態では良く確
認できないものの顕微鏡観察で確認できる程度の微少な
熱負けが多数発生し、ドロップアウトの原因となってい
る。また、所定の長さに裁断されたペレット状の合金
は、製造時に加熱溶解の後、一度線合金を引き延ばし、
更に、所定の長さに裁断するため、加工プロセスも多く
かかり、このペレット状合金を製造するコストが高い。
【0057】比較例2では、線状の合金をルツボ19に
供給する時に比較例1のようなスプラッシュは発生しな
い。しかしながら、線状の合金を作製するためには、こ
の線状に加工するための費用が高い。なお、この費用は
比較例1程は高くない。
【0058】また、比較例2では、液面19bから細線
状で、長時間の蒸着に対応するためには相当量の長さが
必要となり、これを巻き取るためのリール機構及び湾曲
した線状合金を直線状に矯正するための機構などを真空
室内に設置する必要があり、全体の装置構成が大きくな
る。このような理由から、比較例2は、既存の設備への
設置は容易ではなく、製造費用が高くなる。
【0059】これに対し、実施例1では、長尺状の合金
の供給が連続的でつねにルツボ19内に溶けている合金
と供給合金が接続状態であるために、蒸着時のスプラッ
シュ等の飛沫が発生する問題がない。また、供給される
合金の形状も、ルツボ19の形状や真空室の設置スペー
スや他の機構との干渉などの諸条件に合わせ、角形、棒
状等自由に設定することが出来ることから加工費も安
く、比較例1,2に比べ大幅に安価である。
【0060】さらに、実施例2では、ワイヤー1に吊り
下げられた長尺状の合金を加熱する加熱手段3が設けら
れてなることで、供給される長尺状の合金を伝わるよう
にして熱が伝導しルツボ19の液面19bの温度が下が
ることが防止される。したがって、長尺状の合金を加熱
することで、電子銃の照射条件の変更の必要もなく、非
磁性支持体に対する幅方向の蒸気分布も均一になり安定
した製造が可能となる。
【0061】なお、実施例1及び実施例2では、ルツボ
19の端部への長尺状の合金の供給がルツボ19の液面
19bに対して垂直方向から実施したが、もちろん常に
垂直である必要はなく、斜め上方から供給するものでも
良い。
【0062】以上、上記実施例においては、製造される
磁気記録媒体がCo、Co−Ni系の金属磁性材料を真
空蒸着法によって成膜した場合について説明したが、金
属磁性材料はこれらに限定されるものではなく、また、
バックコート層、潤滑剤を塗布したもので説明したが、
本発明の磁気記録媒体の製造装置は、これらの磁気記録
媒体を製造するものに限定されないことは言うまでもな
い。
【0063】
【発明の効果】本発明にかかる磁気記録媒体の製造装置
によれば、補充のための磁性材料をルツボの長手方向の
一端側に吊すワイヤーと、このワイヤーの昇降を制御す
る制御部が設けられ、上記ルツボ内に磁性材料が連続的
に供給されることから、ベースフィルムの熱負けスプラ
ッシュを発生させずに供給することができる。
【0064】したがって、本発明にかかる製造装置を使
用して磁気記録媒体を製造した場合、ドロップアウトの
発生が少ない磁気記録媒体が提供されることとなる。
【0065】また、本発明にかかる装置は、長尺状の合
金をワイヤーで降下させるもので、構造が比較的簡単で
あるために、既存の設備にも容易に導入することがで
き、又、小型でスペースをとらない構造上の利点を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造装置を示す図であ
る。
【図2】上記磁気記録媒体の製造装置の冷却キャンとル
ツボを拡大して示す模式図である。
【図3】上記磁気記録媒体の製造装置の冷却キャンとル
ツボを拡大して示す模式図である。
【図4】従来の磁気記録媒体の製造装置を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ワイヤー 2 制御部 3 加熱手段(ヒータ) 15 非磁性支持体(ベースフィルム) 16 冷却キャン 19 ルツボ 19a ルツボの傾斜部 19b ルツボの液面 20 金属磁性材料(長尺状の合金) H1 ルツボの幅方向の間隔 H2 冷却キャンの幅方向の間隔

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性層が形成される非磁性支持体を搬送
    しながら冷却する冷却キャンと、磁性層を形成する磁性
    材料が充填されるルツボと、ルツボ内の磁性材料に電子
    ビームを照射する電子ビーム照射手段を少なくとも有し
    て、真空蒸着法により非磁性支持体上に強磁性金属薄膜
    を磁性層として蒸着させる磁気記録媒体の製造装置にお
    いて、 補充のための磁性材料をルツボの長手方向の一端側に吊
    すワイヤーと、 このワイヤーの昇降を制御する制御部が設けられ、 上記ルツボ内に磁性材料が連続的に供給されることを特
    徴とする磁気記録媒体の製造装置。
  2. 【請求項2】 磁性材料が棒状又は角形形状であること
    を特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造装置。
  3. 【請求項3】 ルツボの一端側に傾斜部が設けられてな
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造
    装置。
  4. 【請求項4】 ルツボの長さが冷却キャンの幅よりも長
    く形成され、このルツボの冷却キャンから外れた側の端
    部に傾斜部が設けられてなることを特徴とする請求項3
    記載の磁気記録媒体の製造装置
  5. 【請求項5】 ワイヤーに吊り下げられた磁性材料を加
    熱する加熱手段が設けられてなることを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録媒体の製造装置。
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