JPH09152500A - 多層膜x線反射鏡の製造方法及び製造装置 - Google Patents
多層膜x線反射鏡の製造方法及び製造装置Info
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- JPH09152500A JPH09152500A JP7312276A JP31227695A JPH09152500A JP H09152500 A JPH09152500 A JP H09152500A JP 7312276 A JP7312276 A JP 7312276A JP 31227695 A JP31227695 A JP 31227695A JP H09152500 A JPH09152500 A JP H09152500A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 無収差に近い結像光学系を構成することがで
きる多層膜X線反射鏡を製造する方法及び製造装置を提
供すること。 【解決手段】 基板3上に少なくとも、X線波長領域の
光の屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質と大きい
物質とを交互に積層して多層膜を形成することにより多
層膜X線反射鏡3’を製造する装置であり、少なくと
も、前記多層膜の材料を蒸発させる蒸着源1と、前記多
層膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布制御機構2と、
形成中または形成後の多層膜の反射面形状の計測を行う
計測機構4と、前記膜厚制御機構2及び計測機構4の動
作を制御する機構制御部5と、を備えた多層膜X線反射
鏡の製造装置。
きる多層膜X線反射鏡を製造する方法及び製造装置を提
供すること。 【解決手段】 基板3上に少なくとも、X線波長領域の
光の屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質と大きい
物質とを交互に積層して多層膜を形成することにより多
層膜X線反射鏡3’を製造する装置であり、少なくと
も、前記多層膜の材料を蒸発させる蒸着源1と、前記多
層膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布制御機構2と、
形成中または形成後の多層膜の反射面形状の計測を行う
計測機構4と、前記膜厚制御機構2及び計測機構4の動
作を制御する機構制御部5と、を備えた多層膜X線反射
鏡の製造装置。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線用の反射鏡と
して好適な多層膜反射鏡、例えば、フォトマスク(マス
クまたはレチクル)上の回路パターンをX線光学系を用
いたミラープロジェクション方式により投影結像装置を
介してウエハ等の基板上に転写する際に好適な装置であ
るX線投影露光装置に用いられる多層膜X線反射鏡の製
造方法及び製造装置に関するものである。
して好適な多層膜反射鏡、例えば、フォトマスク(マス
クまたはレチクル)上の回路パターンをX線光学系を用
いたミラープロジェクション方式により投影結像装置を
介してウエハ等の基板上に転写する際に好適な装置であ
るX線投影露光装置に用いられる多層膜X線反射鏡の製
造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の可視光領域の光学素子としては、
主にレンズが用いられてきた。しかし、X線領域では、
物質の屈折率が1に近いため、従来のレンズは使用でき
ない。そこで、X線領域では光学素子として反射鏡が用
いられる。さらに、反射鏡を直入射に近い状態で用いる
際の反射鏡の反射率を向上させるために、反射鏡の反射
面に多層膜を設けることが好ましい。
主にレンズが用いられてきた。しかし、X線領域では、
物質の屈折率が1に近いため、従来のレンズは使用でき
ない。そこで、X線領域では光学素子として反射鏡が用
いられる。さらに、反射鏡を直入射に近い状態で用いる
際の反射鏡の反射率を向上させるために、反射鏡の反射
面に多層膜を設けることが好ましい。
【0003】一般に、X線反射鏡用の多層膜は、屈折率
の大きい物質と小さい物質とを薄膜状に交互に積層した
ものであり、例えば、波長13nmにおいては、モリブデ
ンと珪素からなる多層膜が、高い反射率を有する。ま
た、多層膜は、次式の条件を満たすときに高い反射率を
示す。 d=λ/(2・sin θ) d は周期長であり、屈折率の大きい物質からなる層と小
さい物質からなる層一対の膜厚を示す。λはX線の波長
をθは入射角をそれぞれ示す。この式より、多層膜は、
X線の波長とその入射角によって、反射率が高くなるよ
うな周期長に設定することが好ましいことがわかる。
の大きい物質と小さい物質とを薄膜状に交互に積層した
ものであり、例えば、波長13nmにおいては、モリブデ
ンと珪素からなる多層膜が、高い反射率を有する。ま
た、多層膜は、次式の条件を満たすときに高い反射率を
示す。 d=λ/(2・sin θ) d は周期長であり、屈折率の大きい物質からなる層と小
さい物質からなる層一対の膜厚を示す。λはX線の波長
をθは入射角をそれぞれ示す。この式より、多層膜は、
X線の波長とその入射角によって、反射率が高くなるよ
うな周期長に設定することが好ましいことがわかる。
【0004】例えば、モリブデンと珪素からなる多層膜
の反射率を図9に示す。本図には、周期長が6.63nm、6.
70nm、6.77nmの三種類の多層膜の反射率を示したが、周
期長が異なると、反射率が変化することがわかる。従っ
て、反射率の高い多層膜X線反射鏡を作製するために
は、周期長分布を所望の分布にすればよいが、従来の多
層X線膜反射鏡は反射率が十分得られる程度の周期長分
布が得られていれば良いと考えられてきた。例えば、モ
リブデンと珪素からなる多層膜の場合、周期長分布の誤
差が1%以内であれば、70%以上の反射率が得られるの
で、十分であると考えられてきた。
の反射率を図9に示す。本図には、周期長が6.63nm、6.
70nm、6.77nmの三種類の多層膜の反射率を示したが、周
期長が異なると、反射率が変化することがわかる。従っ
て、反射率の高い多層膜X線反射鏡を作製するために
は、周期長分布を所望の分布にすればよいが、従来の多
層X線膜反射鏡は反射率が十分得られる程度の周期長分
布が得られていれば良いと考えられてきた。例えば、モ
リブデンと珪素からなる多層膜の場合、周期長分布の誤
差が1%以内であれば、70%以上の反射率が得られるの
で、十分であると考えられてきた。
【0005】多層膜は、スパッタ装置や蒸着装置等の成
膜装置により作製されるが、従来の多層膜成膜装置の一
例を図7に示す。図7の装置は、多層膜の材料を蒸発さ
せる蒸着源21と該多層膜形成の膜厚分布を補正する膜
厚分布補正機構22により構成される。蒸着源21から
は蒸着粒子25aがある空間分布をもって蒸発し、その
一部は膜厚分布補正機構22を通過する。この際、蒸着
粒子25aの一部が捕捉されて或いはその軌道を変える
こと等により、通過後の蒸着粒子25bが所望の空間分
布をもつことになる。そして、蒸着粒子25bは所望の
空間分布をもって反射鏡の基板23に到達する。なお、
膜厚制御のために必要に応じて、水晶振動子等の膜厚モ
ニタ24を設ける場合もある。
膜装置により作製されるが、従来の多層膜成膜装置の一
例を図7に示す。図7の装置は、多層膜の材料を蒸発さ
せる蒸着源21と該多層膜形成の膜厚分布を補正する膜
厚分布補正機構22により構成される。蒸着源21から
は蒸着粒子25aがある空間分布をもって蒸発し、その
一部は膜厚分布補正機構22を通過する。この際、蒸着
粒子25aの一部が捕捉されて或いはその軌道を変える
こと等により、通過後の蒸着粒子25bが所望の空間分
布をもつことになる。そして、蒸着粒子25bは所望の
空間分布をもって反射鏡の基板23に到達する。なお、
膜厚制御のために必要に応じて、水晶振動子等の膜厚モ
ニタ24を設ける場合もある。
【0006】このように従来の成膜装置では、所望の膜
厚分布が得られるように膜厚分布補正機構を設け、所望
の膜厚分布を膜厚誤差1%程度にて得ることができた。
さて、多層膜X線反射鏡の用途の一つに、半導体製造用
の露光装置がある。半導体製造用の露光装置は、物体面
としてのフォトマスク(以下、マスクと称する)面上に
形成された回路パターンを結像装置を介してウエハ等の
基板上に投影転写する。基板にはレジストが塗布されて
おり、露光することによってレジストが感光し、レジス
トパターンが得られる。
厚分布が得られるように膜厚分布補正機構を設け、所望
の膜厚分布を膜厚誤差1%程度にて得ることができた。
さて、多層膜X線反射鏡の用途の一つに、半導体製造用
の露光装置がある。半導体製造用の露光装置は、物体面
としてのフォトマスク(以下、マスクと称する)面上に
形成された回路パターンを結像装置を介してウエハ等の
基板上に投影転写する。基板にはレジストが塗布されて
おり、露光することによってレジストが感光し、レジス
トパターンが得られる。
【0007】投影露光装置(一例)の構成(一例)を概
念的に図6に示す。露光装置は、主に光源、照明光学系
(不図示)とマスク32、結像光学系30、ウエハ31
により構成される。マスク32には、描画するパターン
の等倍あるいは拡大パターンが形成されている。結像光
学系30は、複数のレンズまたは反射鏡により構成さ
れ、マスク32上のパターンをウエハ31上に結像する
ようになっている。
念的に図6に示す。露光装置は、主に光源、照明光学系
(不図示)とマスク32、結像光学系30、ウエハ31
により構成される。マスク32には、描画するパターン
の等倍あるいは拡大パターンが形成されている。結像光
学系30は、複数のレンズまたは反射鏡により構成さ
れ、マスク32上のパターンをウエハ31上に結像する
ようになっている。
【0008】露光装置の解像力w は、主に露光波長λと
結像光学系の開口数NAで決まり、次式で表される。 w=k λ/NA k:定数 従って、解像力を向上させるためには、波長を短くする
か、或いは開口数を大きくすることが必要となる。現
在、半導体の製造に用いられている露光装置は主に波長
365nm のi線を使用しており、開口数約0.5 で0.5 μm
の解像力が得られている。
結像光学系の開口数NAで決まり、次式で表される。 w=k λ/NA k:定数 従って、解像力を向上させるためには、波長を短くする
か、或いは開口数を大きくすることが必要となる。現
在、半導体の製造に用いられている露光装置は主に波長
365nm のi線を使用しており、開口数約0.5 で0.5 μm
の解像力が得られている。
【0009】開口数を大きくすることは、光学設計上困
難であることから、解像力を向上させるために、今後は
露光光の短波長化が必要となる。i線より短波長の露光
光としては、例えばエキシマレーザーが挙げられ、その
波長はKrF で248nm 、ArF で193nm であるため、KrF で
は0.25μm、ArF では0.18μmの解像力がそれぞれ得ら
れる。
難であることから、解像力を向上させるために、今後は
露光光の短波長化が必要となる。i線より短波長の露光
光としては、例えばエキシマレーザーが挙げられ、その
波長はKrF で248nm 、ArF で193nm であるため、KrF で
は0.25μm、ArF では0.18μmの解像力がそれぞれ得ら
れる。
【0010】そして、露光光としてさらに波長の短いX
線を用いると、例えば波長13nmで0.1 μm以下の解像力
が得られる。露光装置が所望の解像力を有するために
は、少なくとも結像光学系30が無収差あるいは無収差
に近い光学系である必要がある。仮に、結像光学系30
に収差があると、レジストパターンが形成されない、或
いはレジストパターンの断面形状が劣化し、露光後のプ
ロセスに悪影響を及ぼす他、像が歪んでしまうという問
題点が発生する。
線を用いると、例えば波長13nmで0.1 μm以下の解像力
が得られる。露光装置が所望の解像力を有するために
は、少なくとも結像光学系30が無収差あるいは無収差
に近い光学系である必要がある。仮に、結像光学系30
に収差があると、レジストパターンが形成されない、或
いはレジストパターンの断面形状が劣化し、露光後のプ
ロセスに悪影響を及ぼす他、像が歪んでしまうという問
題点が発生する。
【0011】無収差と同等の性能を得るための、収差の
許容上限値(rms 値)としては波長の14分の1程度の値
が要求される。従って、波長が短くなるほど収差の値も
小さくしなければならない。例えば、露光光がi線の場
合、収差の許容上限値は約26nmrms である。無収差の光
学系を作製するためには、まず各光学素子の形状を設計
値どうりに加工しなければならない。要求される形状精
度、即ち形状誤差の許容上限値は、収差の許容上限値と
比較して少なくとも小さく、また、光学素子の数が多く
なるほど、小さくなる。
許容上限値(rms 値)としては波長の14分の1程度の値
が要求される。従って、波長が短くなるほど収差の値も
小さくしなければならない。例えば、露光光がi線の場
合、収差の許容上限値は約26nmrms である。無収差の光
学系を作製するためには、まず各光学素子の形状を設計
値どうりに加工しなければならない。要求される形状精
度、即ち形状誤差の許容上限値は、収差の許容上限値と
比較して少なくとも小さく、また、光学素子の数が多く
なるほど、小さくなる。
【0012】そして、光学素子が全てレンズの場合は、
屈折面の数をN とすると、形状誤差の許容上限値は収差
のそれの1/N1/2程度の値が要求される。例えば露光光が
i線の場合、屈折面の数を30とすると、形状誤差の許容
上限値は約5nmrmsとなる。以上のように、無収差の光学
系を作製するためには、形状精度の高い光学素子が必要
であるが、これまでは高精度な加工を行うことにより、
無収差光学系を作製することができた。
屈折面の数をN とすると、形状誤差の許容上限値は収差
のそれの1/N1/2程度の値が要求される。例えば露光光が
i線の場合、屈折面の数を30とすると、形状誤差の許容
上限値は約5nmrmsとなる。以上のように、無収差の光学
系を作製するためには、形状精度の高い光学素子が必要
であるが、これまでは高精度な加工を行うことにより、
無収差光学系を作製することができた。
【0013】さて、露光装置の解像度向上のために、露
光光の波長を短くすると、それに従って、収差の許容上
限値も小さくなる。露光光としてX線を考え、例えば波
長を13nmとすると、収差の許容上限値は約1nmrmsとな
る。この値は、i線における収差の許容上限値約26nmrm
s に比べて非常に小さい。従って、光学素子はさらに形
状精度の高いものが要求される。
光光の波長を短くすると、それに従って、収差の許容上
限値も小さくなる。露光光としてX線を考え、例えば波
長を13nmとすると、収差の許容上限値は約1nmrmsとな
る。この値は、i線における収差の許容上限値約26nmrm
s に比べて非常に小さい。従って、光学素子はさらに形
状精度の高いものが要求される。
【0014】X線投影露光装置の場合、光学系は全て反
射鏡であることが好ましい。無収差に近い光学系を得る
ためには、光学設計の観点から反射鏡は少なくとも4 枚
必要であり、従って、結像光学系は4 枚以上の反射鏡で
構成されるのが好ましい。反射面の形状誤差は、屈折の
場合の半分の値が必要であるため、反射面の数をN とす
ると、形状誤差の許容上限値は収差のそれの1/(2
N1/2 )となる。例えば反射面の数を4 とすると、波長1
3nmにおける形状誤差の許容上限値は0.23nmrmsとなる。
射鏡であることが好ましい。無収差に近い光学系を得る
ためには、光学設計の観点から反射鏡は少なくとも4 枚
必要であり、従って、結像光学系は4 枚以上の反射鏡で
構成されるのが好ましい。反射面の形状誤差は、屈折の
場合の半分の値が必要であるため、反射面の数をN とす
ると、形状誤差の許容上限値は収差のそれの1/(2
N1/2 )となる。例えば反射面の数を4 とすると、波長1
3nmにおける形状誤差の許容上限値は0.23nmrmsとなる。
【0015】X線露光装置は、光学素子として多層膜反
射鏡を用いるため、多層膜反射鏡を高精度に作製しなけ
ればならない。多層膜反射鏡の作製では、まず基板を作
製し、その反射面に多層膜をコーティングする。多層膜
の膜厚分布は、X線の入射角に合わせて反射率が高くな
るような分布とし、また基板の形状は多層膜を形成した
後、所望の反射面形状が得られるような形状に加工して
やればよい。
射鏡を用いるため、多層膜反射鏡を高精度に作製しなけ
ればならない。多層膜反射鏡の作製では、まず基板を作
製し、その反射面に多層膜をコーティングする。多層膜
の膜厚分布は、X線の入射角に合わせて反射率が高くな
るような分布とし、また基板の形状は多層膜を形成した
後、所望の反射面形状が得られるような形状に加工して
やればよい。
【0016】基板は従来の研磨等の加工を高精度に施す
ことにより、目標とする形状を得ることが可能である。
さらに具体的には、加工と形状測定を繰り返すことによ
り、形状を徐々に所望の形状に近づけていき、最終的に
所望の形状を得ることができる。多層膜は、膜厚を高精
度に制御して形成する必要がある。即ち、所望の多層膜
反射鏡を作製するためには、多層膜形成後の反射鏡の反
射面形状が所望形状である必要があり、そのために、多
層膜を高い膜厚精度にて成膜する必要がある。
ことにより、目標とする形状を得ることが可能である。
さらに具体的には、加工と形状測定を繰り返すことによ
り、形状を徐々に所望の形状に近づけていき、最終的に
所望の形状を得ることができる。多層膜は、膜厚を高精
度に制御して形成する必要がある。即ち、所望の多層膜
反射鏡を作製するためには、多層膜形成後の反射鏡の反
射面形状が所望形状である必要があり、そのために、多
層膜を高い膜厚精度にて成膜する必要がある。
【0017】例えば、図8に示すように、平面鏡におい
て基板11が高精度な平面に加工されて且つ多層膜12
も膜厚分布誤差が所望の値より小さければ、所望の反射
波面14が得られる(図a)。一方、基板11が高精度
な平面に加工されている場合でも、多層膜12の膜厚分
布誤差が所望の値より大きければ、所望の反射波面を得
ることができない。
て基板11が高精度な平面に加工されて且つ多層膜12
も膜厚分布誤差が所望の値より小さければ、所望の反射
波面14が得られる(図a)。一方、基板11が高精度
な平面に加工されている場合でも、多層膜12の膜厚分
布誤差が所望の値より大きければ、所望の反射波面を得
ることができない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
の多層膜成膜装置では、多層膜の周期長の精度が1 %程
度である。従って、膜厚精度も1 %程度となるため、軟
X線投影露光用反射鏡の多層膜としては、所望の膜厚精
度を得ることが困難になる。例えば、波長13nmのX線用
の反射鏡として、モリブデンと珪素からなる多層膜を基
板上に成膜し、その周期長を6.7nm 、周期数を50周期と
すると、多層膜の膜厚は335nm となる。この場合、膜厚
の1%は3.4nm であるため、必要な膜厚精度0.23nmrms
を達成することは非常に困難である。
の多層膜成膜装置では、多層膜の周期長の精度が1 %程
度である。従って、膜厚精度も1 %程度となるため、軟
X線投影露光用反射鏡の多層膜としては、所望の膜厚精
度を得ることが困難になる。例えば、波長13nmのX線用
の反射鏡として、モリブデンと珪素からなる多層膜を基
板上に成膜し、その周期長を6.7nm 、周期数を50周期と
すると、多層膜の膜厚は335nm となる。この場合、膜厚
の1%は3.4nm であるため、必要な膜厚精度0.23nmrms
を達成することは非常に困難である。
【0019】つまり、従来の多層膜成膜装置により、必
要な周期数の多層膜を成膜すると、高精度に膜厚が制御
できないという問題点があった。さらに、従来の多層膜
成膜装置では、膜厚分布をモニターしていないため、多
層膜を成膜する従来の方法では所望の形状精度を得るこ
とが困難であり、そのため、無収差に近い結像光学系を
構築することができないという問題点があった。
要な周期数の多層膜を成膜すると、高精度に膜厚が制御
できないという問題点があった。さらに、従来の多層膜
成膜装置では、膜厚分布をモニターしていないため、多
層膜を成膜する従来の方法では所望の形状精度を得るこ
とが困難であり、そのため、無収差に近い結像光学系を
構築することができないという問題点があった。
【0020】本発明は、上記の問題点を解決し、無収差
に近い結像光学系を構成することができる多層膜X線反
射鏡を製造する方法及び製造装置を提供することを目的
としている。
に近い結像光学系を構成することができる多層膜X線反
射鏡を製造する方法及び製造装置を提供することを目的
としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「基板上に少なくとも、X線波長領域の光の屈折率と
真空の屈折率との差が小さい物質と大きい物質とを交互
に積層して多層膜を形成することにより多層膜X線反射
鏡を製造する方法において、前記多層膜を形成しながら
形成途中の多層膜の反射面形状を計測し、該計測の結果
に基づいて、該多層膜形成の膜厚分布制御を行うことに
より、前記基板上に所望の反射面形状を有する多層膜を
形成することを特徴とする多層膜X線反射鏡の製造方法
(請求項1)」を提供する。
に「基板上に少なくとも、X線波長領域の光の屈折率と
真空の屈折率との差が小さい物質と大きい物質とを交互
に積層して多層膜を形成することにより多層膜X線反射
鏡を製造する方法において、前記多層膜を形成しながら
形成途中の多層膜の反射面形状を計測し、該計測の結果
に基づいて、該多層膜形成の膜厚分布制御を行うことに
より、前記基板上に所望の反射面形状を有する多層膜を
形成することを特徴とする多層膜X線反射鏡の製造方法
(請求項1)」を提供する。
【0022】また、本発明は第二に「基板上に少なくと
も、X線波長領域の光の屈折率と真空の屈折率との差が
小さい物質と大きい物質とを交互に積層して多層膜を形
成することにより多層膜X線反射鏡を製造する方法にお
いて、前記多層膜の形成を複数の工程に分けて行い、該
工程の間に、前工程にて形成した多層膜の反射面形状を
計測し、該計測の結果に基づいて、後工程の多層膜形成
の膜厚分布制御を行うことにより、前記基板上に所望の
反射面形状を有する多層膜を形成することを特徴とする
多層膜X線反射鏡の製造方法(請求項2)」を提供す
る。
も、X線波長領域の光の屈折率と真空の屈折率との差が
小さい物質と大きい物質とを交互に積層して多層膜を形
成することにより多層膜X線反射鏡を製造する方法にお
いて、前記多層膜の形成を複数の工程に分けて行い、該
工程の間に、前工程にて形成した多層膜の反射面形状を
計測し、該計測の結果に基づいて、後工程の多層膜形成
の膜厚分布制御を行うことにより、前記基板上に所望の
反射面形状を有する多層膜を形成することを特徴とする
多層膜X線反射鏡の製造方法(請求項2)」を提供す
る。
【0023】また、本発明は第三に「基板上に少なくと
も、X線波長領域の光の屈折率と真空の屈折率との差が
小さい物質と大きい物質とを交互に積層して多層膜を形
成することにより多層膜X線反射鏡を製造する装置であ
り、少なくとも、前記多層膜の材料を蒸発させる蒸着源
と、前記多層膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布制御
機構と、形成中または形成後の多層膜の反射面形状の計
測を行う計測機構と、前記膜厚制御機構及び計測機構の
動作を制御する機構制御部と、を備えた多層膜X線反射
鏡の製造装置(請求項3)」を提供する。
も、X線波長領域の光の屈折率と真空の屈折率との差が
小さい物質と大きい物質とを交互に積層して多層膜を形
成することにより多層膜X線反射鏡を製造する装置であ
り、少なくとも、前記多層膜の材料を蒸発させる蒸着源
と、前記多層膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布制御
機構と、形成中または形成後の多層膜の反射面形状の計
測を行う計測機構と、前記膜厚制御機構及び計測機構の
動作を制御する機構制御部と、を備えた多層膜X線反射
鏡の製造装置(請求項3)」を提供する。
【0024】また、本発明は第四に「前記機構制御部
は、前記計測機構による計測結果に基づいて前記膜厚分
布制御機構に膜厚分布を制御させることにより、前記基
板上に所望の反射面形状を有する多層膜が形成されるよ
うに制御を行うことを特徴とする請求項3記載の多層膜
X線反射鏡の製造装置(請求項4)」を提供する。ま
た、本発明は第五に「前記計測機構は、干渉計を用いた
機構であることを特徴とする請求項3または4記載の多
層膜X線反射鏡の製造装置(請求項5)」を提供する。
は、前記計測機構による計測結果に基づいて前記膜厚分
布制御機構に膜厚分布を制御させることにより、前記基
板上に所望の反射面形状を有する多層膜が形成されるよ
うに制御を行うことを特徴とする請求項3記載の多層膜
X線反射鏡の製造装置(請求項4)」を提供する。ま
た、本発明は第五に「前記計測機構は、干渉計を用いた
機構であることを特徴とする請求項3または4記載の多
層膜X線反射鏡の製造装置(請求項5)」を提供する。
【0025】また、本発明は第六に「前記干渉計は、X
線干渉計であることを特徴とする請求項5記載の多層膜
X線反射鏡の製造装置(請求項6)」を提供する。
線干渉計であることを特徴とする請求項5記載の多層膜
X線反射鏡の製造装置(請求項6)」を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は、本発明にかかる多層膜X
線反射鏡の製造装置(一例)の構成(一部)を示すブロ
ック図である。本装置は少なくとも、多層膜材料を蒸発
させるための蒸着源1と、多層膜形成の膜厚分布を制御
する膜厚分布制御機構2と、形成中または形成後の多層
膜の反射面形状の計測を行う計測機構4と、前記膜厚制
御機構2及び計測機構4の動作を制御する機構制御部5
を有する。
線反射鏡の製造装置(一例)の構成(一部)を示すブロ
ック図である。本装置は少なくとも、多層膜材料を蒸発
させるための蒸着源1と、多層膜形成の膜厚分布を制御
する膜厚分布制御機構2と、形成中または形成後の多層
膜の反射面形状の計測を行う計測機構4と、前記膜厚制
御機構2及び計測機構4の動作を制御する機構制御部5
を有する。
【0027】蒸着源1からは蒸着粒子6が射出し、該蒸
着粒子6は膜厚分布制御機構2を経て反射鏡の基板3に
到達して基板上に積層する。膜厚分布制御機構2は、蒸
着源1から基板3に移動する蒸着粒子6の空間分布を制
御するものであり、例えば、図3に示す様に、膜厚分布
制御機構2に入射した蒸着粒子6の一部を捕獲して、膜
厚分布制御機構2を透過した後の、蒸着粒子6の分布を
所望の分布に変換するマスク機構である。
着粒子6は膜厚分布制御機構2を経て反射鏡の基板3に
到達して基板上に積層する。膜厚分布制御機構2は、蒸
着源1から基板3に移動する蒸着粒子6の空間分布を制
御するものであり、例えば、図3に示す様に、膜厚分布
制御機構2に入射した蒸着粒子6の一部を捕獲して、膜
厚分布制御機構2を透過した後の、蒸着粒子6の分布を
所望の分布に変換するマスク機構である。
【0028】この場合、蒸着粒子6の一部は、回転する
マスク8に捕獲されて、基板3には到達しない。そし
て、基板3に到達する蒸着粒子の分布は、図4(a)に
示すようなマスクのエッジ9の形状およびマスクの回転
速度により制御することができる。さらに、例えば膜厚
分布制御機構2の例であるマスク機構を図4(b)に示
すように複数の板10と、該板を図4(b)に示した矢
印の方向に平行移動させる駆動装置(不図示)により構
成すれば、マスクのエッジの形状を変えることが可能で
あり、透過した蒸着粒子の空間分布を該機構2により時
間的に逐次変化させることができる。
マスク8に捕獲されて、基板3には到達しない。そし
て、基板3に到達する蒸着粒子の分布は、図4(a)に
示すようなマスクのエッジ9の形状およびマスクの回転
速度により制御することができる。さらに、例えば膜厚
分布制御機構2の例であるマスク機構を図4(b)に示
すように複数の板10と、該板を図4(b)に示した矢
印の方向に平行移動させる駆動装置(不図示)により構
成すれば、マスクのエッジの形状を変えることが可能で
あり、透過した蒸着粒子の空間分布を該機構2により時
間的に逐次変化させることができる。
【0029】また、計測機構4は、多層膜が積層した基
板3’(即ち、反射鏡)の反射面形状を計測する機構で
ある。該計測は、蒸着と同時に行うと多層膜の形成途中
における反射鏡の反射面形状をモニタすることができ
る。多層膜の形成途中で、計測した多層膜反射鏡の反射
面形状が所望の形状と異なり、その形状誤差が所望の形
状誤差より大きいことが判明した場合は、残りの多層膜
形成時に形状誤差を補正するように膜を形成すると良
い。つまり、計測値から、形状誤差を補正するような膜
厚分布を計算し、この膜厚分布が得られるように膜厚分
布制御機構2を動作させればよい。この動作の制御は、
機構制御部5により行う。
板3’(即ち、反射鏡)の反射面形状を計測する機構で
ある。該計測は、蒸着と同時に行うと多層膜の形成途中
における反射鏡の反射面形状をモニタすることができ
る。多層膜の形成途中で、計測した多層膜反射鏡の反射
面形状が所望の形状と異なり、その形状誤差が所望の形
状誤差より大きいことが判明した場合は、残りの多層膜
形成時に形状誤差を補正するように膜を形成すると良
い。つまり、計測値から、形状誤差を補正するような膜
厚分布を計算し、この膜厚分布が得られるように膜厚分
布制御機構2を動作させればよい。この動作の制御は、
機構制御部5により行う。
【0030】例えば、図5に示すように、多層膜の形成
途中でその反射面形状が所望の形状である平面と異なる
曲面になっている場合は(図a−1)、膜厚分布をこれ
までと変えることによって、平面に近づけることができ
る(図a−2)。また、基板の形状誤差により、多層膜
の形成途中でその反射面形状が所望の形状と異なってい
る場合でも(図b−1)、同様にして所望の反射面形状
を得ることが可能である(図b−2)。
途中でその反射面形状が所望の形状である平面と異なる
曲面になっている場合は(図a−1)、膜厚分布をこれ
までと変えることによって、平面に近づけることができ
る(図a−2)。また、基板の形状誤差により、多層膜
の形成途中でその反射面形状が所望の形状と異なってい
る場合でも(図b−1)、同様にして所望の反射面形状
を得ることが可能である(図b−2)。
【0031】このように、成膜誤差等による反射面形状
の誤差が所望の値より大きくならないように、膜厚分布
を成膜中に変えながら制御することによって、所望の反
射面形状を有する反射鏡を作製することができる。ま
た、反射面形状の誤差が所望の値よりも大きくなってい
る場合でも、反射面形状が所望の形状となるように、膜
厚分布を更に行う成膜の間に変えながら制御することに
よって、所望の反射面形状を有する反射鏡を作製するこ
とができる。
の誤差が所望の値より大きくならないように、膜厚分布
を成膜中に変えながら制御することによって、所望の反
射面形状を有する反射鏡を作製することができる。ま
た、反射面形状の誤差が所望の値よりも大きくなってい
る場合でも、反射面形状が所望の形状となるように、膜
厚分布を更に行う成膜の間に変えながら制御することに
よって、所望の反射面形状を有する反射鏡を作製するこ
とができる。
【0032】図2は本発明にかかる多層膜X線反射鏡の
製造装置(別の一例)の構成(一部)を示すブロック図
である。本装置は少なくとも、多層膜材料を蒸発させる
ための蒸着源1と、多層膜形成の膜厚分布を制御する膜
厚分布制御機構2と、形成中または形成後の多層膜の反
射面形状の計測を行う計測機構4と、前記膜厚分布制御
機構2及び計測機構4の動作を制御する機構制御部5を
有する。
製造装置(別の一例)の構成(一部)を示すブロック図
である。本装置は少なくとも、多層膜材料を蒸発させる
ための蒸着源1と、多層膜形成の膜厚分布を制御する膜
厚分布制御機構2と、形成中または形成後の多層膜の反
射面形状の計測を行う計測機構4と、前記膜厚分布制御
機構2及び計測機構4の動作を制御する機構制御部5を
有する。
【0033】本装置は、多層膜の蒸着と反射鏡の反射面
形状の計測を交互に行う。例えば、多層膜の周期数が5
0の場合、まず、基板3を位置Bに配置して25周期分
の多層膜を形成し、その後、基板を位置Aに移動させ
て、計測機構4によりその反射面形状を計測する。そし
て、再び基板を位置Bに移動させて、残り25周期の多
層膜を形成する。
形状の計測を交互に行う。例えば、多層膜の周期数が5
0の場合、まず、基板3を位置Bに配置して25周期分
の多層膜を形成し、その後、基板を位置Aに移動させ
て、計測機構4によりその反射面形状を計測する。そし
て、再び基板を位置Bに移動させて、残り25周期の多
層膜を形成する。
【0034】この時、反射面形状の計測結果から、反射
面が所望の形状になるように、膜厚分布制御機構2によ
り膜厚分布を制御する。この時の膜厚分布制御機構2に
は図4(b)に示したマスクを用いても良いし、図4
(a)に示したマスクを用いて、最初の25周期の多層
膜形成後にエッジ形状の異なるマスクに取り替えても良
い。
面が所望の形状になるように、膜厚分布制御機構2によ
り膜厚分布を制御する。この時の膜厚分布制御機構2に
は図4(b)に示したマスクを用いても良いし、図4
(a)に示したマスクを用いて、最初の25周期の多層
膜形成後にエッジ形状の異なるマスクに取り替えても良
い。
【0035】計測機構4としては、干渉計が短時間且つ
高精度に反射面の形状を測定できる点で好ましい(請求
項5)。さらには、干渉計の光の波長が、軟X線投影露
光装置で用いるX線の波長であると、反射鏡のX線反射
波面形状が分かるため、より好ましい(請求項6)。以
下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発
明はこれらの例に限定されるものではない。
高精度に反射面の形状を測定できる点で好ましい(請求
項5)。さらには、干渉計の光の波長が、軟X線投影露
光装置で用いるX線の波長であると、反射鏡のX線反射
波面形状が分かるため、より好ましい(請求項6)。以
下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発
明はこれらの例に限定されるものではない。
【0036】
<第1実施例>図1は、本実施例の多層膜X線反射鏡の
製造装置の構成(一部)を示すブロック図である。本装
置は、多層膜材料を蒸発させるための蒸着源1と、多層
膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布制御機構2と、形
成中または形成後の多層膜の反射面形状の計測を行う計
測機構4と、前記膜厚分布制御機構2及び計測機構4の
動作を制御する機構制御部5を備えている。
製造装置の構成(一部)を示すブロック図である。本装
置は、多層膜材料を蒸発させるための蒸着源1と、多層
膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布制御機構2と、形
成中または形成後の多層膜の反射面形状の計測を行う計
測機構4と、前記膜厚分布制御機構2及び計測機構4の
動作を制御する機構制御部5を備えている。
【0037】本装置を用いて、モリブデンと珪素を交互
に積層した多層膜を基板3上に形成して多層膜X線反射
鏡3’を製造した。周期長は6.7 nmとし、周期数は5
0とした。この多層膜は、波長13nmのX線をほぼ垂
直に反射する。成膜中は、反射鏡の反射面形状を計測機
構4により計測した。このとき、計測機構4には波長1
3nmのX線を使用したX線干渉計を用いた。つまり、
反射鏡にX線を入射してその反射波面の形状を計測し
た。
に積層した多層膜を基板3上に形成して多層膜X線反射
鏡3’を製造した。周期長は6.7 nmとし、周期数は5
0とした。この多層膜は、波長13nmのX線をほぼ垂
直に反射する。成膜中は、反射鏡の反射面形状を計測機
構4により計測した。このとき、計測機構4には波長1
3nmのX線を使用したX線干渉計を用いた。つまり、
反射鏡にX線を入射してその反射波面の形状を計測し
た。
【0038】多層膜を積層するにしたがって、反射波面
が所望の形状からずれてきたため、そのズレ量がrms
値で0.2 nmを越えたところで、膜厚分布制御機構2に
より膜厚分布を変化させた。膜厚分布制御機構には、図
4(b)に示すようなエッジ形状可変型のマスクを用い
た。そして、膜厚分布は反射波面の形状のズレを小さく
するように変化させた。
が所望の形状からずれてきたため、そのズレ量がrms
値で0.2 nmを越えたところで、膜厚分布制御機構2に
より膜厚分布を変化させた。膜厚分布制御機構には、図
4(b)に示すようなエッジ形状可変型のマスクを用い
た。そして、膜厚分布は反射波面の形状のズレを小さく
するように変化させた。
【0039】その結果、反射鏡の反射面形状は所望の形
状からの誤差が許容上限値である0.23nmrms以下に
保たれた。そして、膜厚分布を制御しながら積層を続け
ることにより、周期数50の多層膜を基板3上に成膜し
て多層膜X線反射鏡3’を製造した。この反射鏡4枚を
用いて軟X線光学系を構成したところ、その波面収差は
1nmrms以下であった。さらにこの光学系を用いて
軟X線投影露光装置を作製し、レジストを露光したとこ
ろ、パターンサイズ0.1 μm のレジストパターンを得る
ことができた。
状からの誤差が許容上限値である0.23nmrms以下に
保たれた。そして、膜厚分布を制御しながら積層を続け
ることにより、周期数50の多層膜を基板3上に成膜し
て多層膜X線反射鏡3’を製造した。この反射鏡4枚を
用いて軟X線光学系を構成したところ、その波面収差は
1nmrms以下であった。さらにこの光学系を用いて
軟X線投影露光装置を作製し、レジストを露光したとこ
ろ、パターンサイズ0.1 μm のレジストパターンを得る
ことができた。
【0040】一方、従来の反射鏡製造装置を用いて製造
した反射鏡により軟X線投影露光装置を作製し、レジス
トを露光したところ、パターンサイズ0.1 μm のレジス
トパターンを得ることはできなかった。 <実施例2>図2は、本実施例の多層膜X線反射鏡の製
造装置の構成(一部)を示すブロック図である。
した反射鏡により軟X線投影露光装置を作製し、レジス
トを露光したところ、パターンサイズ0.1 μm のレジス
トパターンを得ることはできなかった。 <実施例2>図2は、本実施例の多層膜X線反射鏡の製
造装置の構成(一部)を示すブロック図である。
【0041】本装置は、多層膜材料を蒸発させるための
蒸着源1と、多層膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布
制御機構2と、形成中または形成後の多層膜の反射面形
状の計測を行う計測機構4と、前記膜厚分布制御機構2
及び計測機構4の動作を制御する機構制御部5を備えて
いる。本装置を用いて、モリブデンと珪素を交互に積層
した多層膜を基板3上に形成して多層膜X線反射鏡3’
を製造した。周期長は6.7 nmとし、周期数は50とし
た。この多層膜は波長13nmのX線をほぼ垂直に反射
する。
蒸着源1と、多層膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布
制御機構2と、形成中または形成後の多層膜の反射面形
状の計測を行う計測機構4と、前記膜厚分布制御機構2
及び計測機構4の動作を制御する機構制御部5を備えて
いる。本装置を用いて、モリブデンと珪素を交互に積層
した多層膜を基板3上に形成して多層膜X線反射鏡3’
を製造した。周期長は6.7 nmとし、周期数は50とし
た。この多層膜は波長13nmのX線をほぼ垂直に反射
する。
【0042】反射鏡の基板3を、まず位置Bに配置して
10周期分の多層膜を積層した。膜厚分布制御機構2に
は図4(a)に示すマスクを用いた。次に、積層を一時
中断して、多層膜を形成した基板3(反射鏡)を位置A
に移動させた。そして、計測機構4を用いて反射鏡の反
射面形状を測定した。このとき、計測機構4には波長6
33nmの可視光を使用した可視光干渉計を用いた。
10周期分の多層膜を積層した。膜厚分布制御機構2に
は図4(a)に示すマスクを用いた。次に、積層を一時
中断して、多層膜を形成した基板3(反射鏡)を位置A
に移動させた。そして、計測機構4を用いて反射鏡の反
射面形状を測定した。このとき、計測機構4には波長6
33nmの可視光を使用した可視光干渉計を用いた。
【0043】測定の結果、反射波面が所望の形状からず
れていることが判り、そのズレ量はrms値で0.2 nm
を越えていた。次に、反射鏡を再び位置Bに移動させ
て、10周期分の多層膜を積層した。このとき膜厚分布
制御機構2のマスクには、先に使用したマスクとエッジ
形状の異なるものを用い、膜厚分布を反射面形状のズレ
を小さくするように変化させた。
れていることが判り、そのズレ量はrms値で0.2 nm
を越えていた。次に、反射鏡を再び位置Bに移動させ
て、10周期分の多層膜を積層した。このとき膜厚分布
制御機構2のマスクには、先に使用したマスクとエッジ
形状の異なるものを用い、膜厚分布を反射面形状のズレ
を小さくするように変化させた。
【0044】積層後、反射鏡を位置Aに移動させて反射
面形状を測定したところ、反射鏡3’の反射面形状は所
望の形状からの誤差が0.2 nmrms以下になってい
た。その後、同様に成膜と計測を交互に繰り返して、周
期数50の多層膜を基板3上に成膜して多層膜X線反射
鏡3’を製造した。この反射鏡4枚を用いて軟X線光学
系を構成したところ、その波面収差は1nmrms以下
であった。さらに、この光学系を用いて軟X線投影露光
装置を作製し、レジストを露光したところ、パターンサ
イズ0.1 μm のレジストパターンを得ることができた。
面形状を測定したところ、反射鏡3’の反射面形状は所
望の形状からの誤差が0.2 nmrms以下になってい
た。その後、同様に成膜と計測を交互に繰り返して、周
期数50の多層膜を基板3上に成膜して多層膜X線反射
鏡3’を製造した。この反射鏡4枚を用いて軟X線光学
系を構成したところ、その波面収差は1nmrms以下
であった。さらに、この光学系を用いて軟X線投影露光
装置を作製し、レジストを露光したところ、パターンサ
イズ0.1 μm のレジストパターンを得ることができた。
【0045】一方、従来の反射鏡製造装置を用いて製造
した反射鏡により軟X線投影露光装置を作製し、レジス
トを露光したところ、パターンサイズ0.1 μm のレジス
トパターンを得ることはできなかった。
した反射鏡により軟X線投影露光装置を作製し、レジス
トを露光したところ、パターンサイズ0.1 μm のレジス
トパターンを得ることはできなかった。
【0046】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、反射面の
形状誤差の小さな多層膜X線反射鏡を製造することがで
きる。さらに、この多層膜X線反射鏡を具備したX線投
影露光装置は高い解像力を有し、その結果、高いスルー
プットで、マスクのパターンを忠実に基板上に転写する
ことができる。
形状誤差の小さな多層膜X線反射鏡を製造することがで
きる。さらに、この多層膜X線反射鏡を具備したX線投
影露光装置は高い解像力を有し、その結果、高いスルー
プットで、マスクのパターンを忠実に基板上に転写する
ことができる。
【図1】は、実施例1の多層膜X線反射鏡の製造装置の
構成(一部)を示すブロック図である。
構成(一部)を示すブロック図である。
【図2】は、実施例2の多層膜X線反射鏡の製造装置の
構成(一部)を示すブロック図である。
構成(一部)を示すブロック図である。
【図3】は、膜厚分布制御機構の一例を示す概念図であ
る。
る。
【図4】は、膜厚分布制御機構を構成するマスクの例を
示す概略平面図であり、図(a)はエッジの形状を固定
したマスク、図(b)はエッジの形状が変えられるマス
クを示す図である。
示す概略平面図であり、図(a)はエッジの形状を固定
したマスク、図(b)はエッジの形状が変えられるマス
クを示す図である。
【図5】は、多層膜の膜厚誤差による反射面形状の誤差
の発生及びその補正方法を説明する概念図である。
の発生及びその補正方法を説明する概念図である。
【図6】は、従来の投影露光装置の概略構成図である。
【図7】は、従来の多層膜反射鏡の製造装置の構成(一
部)を示すブロック図である。
部)を示すブロック図である。
【図8】は、多層膜の膜厚誤差による反射X線の波面形
状の誤差の発生を示す概念図である。
状の誤差の発生を示す概念図である。
【図9】は、多層膜の周期長と反射率との関係を示すデ
ータ図である。
ータ図である。
1...蒸着源 2...膜厚分布制御機構 3...反射鏡の基板 3’..多層膜が形成された基板(反射鏡) 4...計測機構 5...機構制御部 6...蒸着粒子 7...計測光 8...マスク 9...マスクのエッジ 10...マスクを構成する複数の板 11...基板 12、12a、12b...多層膜 13...入射波面 14...反射波面 15...入射X線 16...反射X線 21...蒸着源 22...膜厚分布制御機構 23...基板 23’..多層膜が形成された基板(反射鏡) 24...膜厚モニタ 25a、25b...蒸着粒子 30...結像光学系 31...ウエハ 32...マスク 33...露光光 以上
Claims (6)
- 【請求項1】 基板上に少なくとも、X線波長領域の光
の屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質と大きい物
質とを交互に積層して多層膜を形成することにより多層
膜X線反射鏡を製造する方法において、 前記多層膜を形成しながら形成途中の多層膜の反射面形
状を計測し、該計測の結果に基づいて、該多層膜形成の
膜厚分布制御を行うことにより、前記基板上に所望の反
射面形状を有する多層膜を形成することを特徴とする多
層膜X線反射鏡の製造方法。 - 【請求項2】 基板上に少なくとも、X線波長領域の光
の屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質と大きい物
質とを交互に積層して多層膜を形成することにより多層
膜X線反射鏡を製造する方法において、 前記多層膜の形成を複数の工程に分けて行い、該工程の
間に、前工程にて形成した多層膜の反射面形状を計測
し、該計測の結果に基づいて、後工程の多層膜形成の膜
厚分布制御を行うことにより、前記基板上に所望の反射
面形状を有する多層膜を形成することを特徴とする多層
膜X線反射鏡の製造方法。 - 【請求項3】 基板上に少なくとも、X線波長領域の光
の屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質と大きい物
質とを交互に積層して多層膜を形成することにより多層
膜X線反射鏡を製造する装置であり、 少なくとも、前記多層膜の材料を蒸発させる蒸着源と、 前記多層膜形成の膜厚分布を制御する膜厚分布制御機構
と、 形成中または形成後の多層膜の反射面形状の計測を行う
計測機構と、 前記膜厚制御機構及び計測機構の動作を制御する機構制
御部と、を備えた多層膜X線反射鏡の製造装置。 - 【請求項4】 前記機構制御部は、前記計測機構による
計測結果に基づいて前記膜厚分布制御機構に膜厚分布を
制御させることにより、前記基板上に所望の反射面形状
を有する多層膜が形成されるように制御を行うことを特
徴とする請求項3記載の多層膜X線反射鏡の製造装置。 - 【請求項5】 前記計測機構は、干渉計を用いた機構で
あることを特徴とする請求項3または4記載の多層膜X
線反射鏡の製造装置。 - 【請求項6】 前記干渉計は、X線干渉計であることを
特徴とする請求項5記載の多層膜X線反射鏡の製造装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7312276A JPH09152500A (ja) | 1995-11-30 | 1995-11-30 | 多層膜x線反射鏡の製造方法及び製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7312276A JPH09152500A (ja) | 1995-11-30 | 1995-11-30 | 多層膜x線反射鏡の製造方法及び製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09152500A true JPH09152500A (ja) | 1997-06-10 |
Family
ID=18027297
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7312276A Pending JPH09152500A (ja) | 1995-11-30 | 1995-11-30 | 多層膜x線反射鏡の製造方法及び製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09152500A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108203808A (zh) * | 2017-10-25 | 2018-06-26 | 同济大学 | 提高x射线反射镜薄膜均匀性和生产效率的方法及装置 |
CN113272918A (zh) * | 2019-01-04 | 2021-08-17 | 威斯康星校友研究基金会 | 用于使用投射光控制粒子的系统和方法 |
-
1995
- 1995-11-30 JP JP7312276A patent/JPH09152500A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108203808A (zh) * | 2017-10-25 | 2018-06-26 | 同济大学 | 提高x射线反射镜薄膜均匀性和生产效率的方法及装置 |
CN113272918A (zh) * | 2019-01-04 | 2021-08-17 | 威斯康星校友研究基金会 | 用于使用投射光控制粒子的系统和方法 |
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