JPH09143818A - 高塩水吸収性繊維及びその製造法 - Google Patents

高塩水吸収性繊維及びその製造法

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JPH09143818A
JPH09143818A JP30452595A JP30452595A JPH09143818A JP H09143818 A JPH09143818 A JP H09143818A JP 30452595 A JP30452595 A JP 30452595A JP 30452595 A JP30452595 A JP 30452595A JP H09143818 A JPH09143818 A JP H09143818A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電解質水溶液に対して高度に吸収性である繊
維及びその製造法を提供する。 【構成】 N−ビニルカルボン酸アミド型単量体(A)
を含有する共重合体(I)の架橋性組成物からなる電解
質水溶液に対して高度に吸収性である繊維。 【効果】 海水、血液、汗、尿、多価金属塩水溶液等の
電解質水溶液に対して高吸収性であるため、紙おむつ、
生理用品等の日常生活用品だけではなく一般土木、各種
資材用途にも有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカルボン酸アミド基
を有するビニル系単量体の架橋重合体からなる高吸水性
繊維に関する。この繊維は特に海水等の電解質を高濃度
で含有する水溶液を吸収するのに有用であり、また、そ
の加工性を利用して種々の用途への応用が容易に行え
る。
【0002】
【従来の技術】自重の数百倍もの水分を吸収する吸水性
樹脂は紙おむつや生理用品等の吸収剤、農園芸用の保水
材、土壌改良剤、止水剤等に使用されている。この様な
吸水性樹脂としては例えば、デンプン−アクリロニトリ
ルグラフト共重合体の加水分解物、デンプン−アクリル
酸グラフト共重合体、カルボキシメチルセルロース架橋
物、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体加水分解
物、ポリアクリル酸塩架橋物等が一般的に使用されてい
る。
【0003】また、吸水性樹脂は主に粉体で供給される
が、一部で繊維状のものが上市されており、その加工性
の良さを生かして不織布、成形体(棒状、円盤状)、エ
レメント等に加工して農園芸用保水剤(材)、吸水シー
ト、生鮮食品用ドリップ吸収シート、油水分離フィルタ
ー、止血パッド、血液用フローストッパー、結露防止シ
ート、消火・防災用資材、地中及び海底ケーブル用止水
剤(材)、鋼管矢板工法用止水剤(材)、涼感材料等の
種々の用途に展開されている。この様な吸水性繊維とし
ては、特開昭54−138693号公報にアクリロニト
リル系繊維を内層、ポリアクリル酸塩架橋体を外層とし
た芯−鞘2層構造の繊維が、良好な繊維物性を維持しな
がら高吸水性を発現したものとして開示されている。ま
た、特開平6−65810号公報にカルボキシル基を有
するビニルモノマーとヒドロキシル基及び/またはアミ
ノ基を有するビニルモノマーとの共重合体からなる高吸
水性繊維が開示されている。
【0004】しかし、これらの吸水性樹脂や吸水性繊維
は純水やイオン交換水あるいは低濃度の電解質水溶液に
対しては非常に優れた吸収性を示すが、海水や血液、
汗、尿等の電解質を含んだ水溶液に対してはその吸収能
力が低下するという欠点を有している。特に海水等の高
濃度の電解質水溶液あるいは多価金属塩水溶液に対して
は極端に吸収性能が低下するため、その用途が制限され
る。
【0005】電解質水溶液に対する吸収能力を高めるた
めには例えば、特開昭61−36309号公報にはスル
ホアルキル(メタ)アクリレートを含む架橋重合体が、
また、特開昭62−266140号公報にはポリエーテ
ルを側鎖に有する(メタ)アクリレートとスルホン酸基
を有する単量体との架橋共重合体等が耐塩性吸水剤とし
て提案されている。しかし、これらの吸水樹脂でも高濃
度の電解質水溶液、あるいは多価金属塩水溶液に対して
は吸収能力が低下してしまう。
【0006】特開平4−230250号公報には、N−
ビニルカルボン酸アミド型単量体の架橋重合体が電解質
水溶液吸収性樹脂として提案されているが、その形態は
粉末状であるため不織布や種々の成形体に直接加工成形
することはできない。従って、何らかのバインダーを用
いて間接的に混合、あるいは接着して使用しなければな
らず、そのためゲルの脱離によって吸収性能が低下する
という欠点を有している。
【0007】この様な高吸水性樹脂は一般には粉体状で
供給されることが多く、樹脂を直接繊維状に成形できれ
ば、その加工性の高さを生かして不織布、各種成形体、
エレメント等に加工して種々の用途への展開が容易にな
る。吸水樹脂に高吸収性を維持したまま、繊維成形能及
び良好な繊維物性を付与することは非常に困難であり、
繊維物性の向上を図れば吸水性能の低下は免れない。ま
た、この様な高吸水性繊維は非常に吸湿性が強く、吸湿
した場合に繊維が粘着性を帯びて合着しやすくなるた
め、製造工程及び加工時の取扱いが非常に困難になると
いう欠点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記の様な
問題点を克服するために、電解質水溶液に対して高度に
吸収性である繊維状の吸水性樹脂について鋭意検討した
結果、本発明に到達したものである。電解質水溶液、特
に高濃度の電解質水溶液、及び多価金属塩水溶液に対し
て優れた吸収性を有する吸水繊維を開発することは、こ
れまで吸水繊維を使用することができなかった分野への
応用、特に海水等の高濃度の電解質を含有する媒体を吸
収させる様な用途への適応が可能となり、また、吸収能
力の増大は電解質水溶液を吸収するのに必要な繊維量を
大幅に少なくすることができるため、省資源化と共に使
用者にとって経費の節約となる。さらに、繊維状である
ため直接不織布や各種成形体等に加工することができ、
容易に各種用途に展開することができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、共重合
成分として化2に示すN−ビニルカルボン酸アミド型単
量体(A)好ましくはN−ビニルアセトアミドを30重
量%〜99重量%の範囲内で含有する架橋構造を有する
共重合体(I)からなり、100デニール以下の繊度を
有することを特徴とする、高塩水吸収性繊維によって達
成することができ、電解質水溶液に対して優れた吸収性
を有する繊維を提供することができる。ここで、電解質
とは水その他の溶媒に溶解してその溶液がイオン電導を
行うような物質を言い、電解質水溶液とはそのような物
質が1種類以上溶解した水溶液を言う。更に、本発明の
繊維は塩水の様な水性媒体だけでなく、アルコールやそ
の他の有機溶剤に対しても親和性を有しており、この様
な有機溶剤を吸収させるような用途にも優れた効果を発
揮する。また、かかる繊維は、共重合成分としての化2
で示されるN−ビニルカルボン酸アミド型単量体(A)
を30重量%〜99重量%の範囲内と後架橋性を有する
架橋性単量体(D)を共重合せしめて共重合体(I)と
し、これを100デニール以下の繊維状に形成し、同時
または次いで架橋性単量体(D)に架橋化処理を施すこ
とを特徴とする高塩水吸収性繊維の製造法により有利に
製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。まず、
N−ビニルカルボン酸アミド型単量体(A)は、カルボ
ン酸アミド基を有するものであって、化2(但し、R1
及びR2 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示
す。)に示す構造を有する。
【0011】
【化2】
【0012】単量体(A)は、具体的にはN−ビニルホ
ルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N
−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセト
アミドの中から選択され、これらの単量体を1種類また
は2種類以上を複合して使用することができる。特に、
N−ビニルアセトアミドを用いることにより、優れた電
解質水溶液吸収性及び有機溶剤吸収性を発揮する。
【0013】共重合体(I)中にN−ビニルカルボン酸
アミド型単量体(A)を30重量%〜99重量%の範囲
内で共重合成分として含有することによって、本発明の
課題である電解質水溶液に対して高度に吸収性である繊
維が得られる。単量体(A)が30重量%未満では十分
な電解質水溶液吸収性が得られないため、単量体(A)
は30重量%以上、好ましくは50重量%以上であるこ
とが望ましい。
【0014】本発明において、共重合体(I)中にN−
ビニルカルボン酸アミド型単量体(A)以外の単量体を
繊維物性を向上させる等の理由により使用することがで
き、繊維の液体吸収性能を妨げない範囲内ではその種類
に制限はない。すなわち、使用目的に合わせて重合体の
強度等の物性を改良する等の理由でラジカル重合性のビ
ニル系単量体の中から1種以上を適宜選択し使用するこ
とができる。特に繊維に可塑性、柔軟性、強靱性を付与
するために可塑化単量体(B)を使用することが望まし
い。
【0015】かかる可塑化単量体(B)としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、メチルアクリレート、メチル
メタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリ
レート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレー
ト、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、スチ
レン等のラジカル重合性単量体が好適に使用することが
できる。
【0016】特に可塑化単量体(B)の少なくとも1成
分としてアクリロニトリルを使用することにより、本発
明の繊維に良好な物性を付与することができる。すなわ
ち、アクリロニトリルを共重合することにより、共重合
体(I)に柔軟性と物理的強度及び低吸湿性を付与する
ことができ、さらに吸水後のゲル強度も向上させること
ができる。
【0017】共重合体(I)中に10重量%〜40重量
%の範囲内で少なくとも1種類以上の可塑化単量体
(B)を共重合成分として含有させることにより、繊維
物性が向上する。ただし、可塑化単量体(B)の共重合
体(I)中の組成が高いほど繊維物性の向上が図れる
が、繊維の吸水性能を大きく低下させないために40重
量%以下、好ましくは35重量%以下であることが望ま
しい。また、可塑化単量体(B)の組成が低いと十分な
繊維物性が得られ難いため、10重量%以上、好ましく
は20重量%以上であることが望ましい。
【0018】また、繊維の吸収性能を向上させる、繊維
物性を改良する、架橋成分として使用する、製造原価を
低下させる等の理由により、親水性単量体(C)を共重
合体(I)中に共重合成分として含有させることは、塩
水に対する吸収性能を極端に低下させない範囲内におい
て推奨される。この様な親水性単量体(C)としては、
カルボキシル基、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リ
ン酸基、アミノ基、4級アンモニウム基、ポリエチレン
グリコール基等の親水性の官能基を有するビニル系単量
体が挙げられる。また、加水分解等により容易に親水性
官能基を導入し得る単量体も同様に使用することができ
る。
【0019】この様な親水性官能基を有する、及び導入
可能な単量体としては例えば、アクリル酸及びそのアル
カリ塩、メタクリル酸及びそのアルカリ塩、イタコン
酸、アクリロニトリル、アクリル酸アルキルエステル、
メタクリル酸アルキルエステル、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、N−置換アルキルアクリルアミド、ヒド
ロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリ
レート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルア
ミド、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸及びそのアルカリ
塩、メタアリルスルホン酸及びそのアルカリ塩、スチレ
ンスルホン酸及びそのアルカリ塩、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのアルカリ塩、
2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸及びそのア
ルカリ塩、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシ
ッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエ
チル)アシッドホスフェート、3−メタクリルアミドプ
ロピルジメチルアミン及びその塩、2−メタクリロイル
オキシエチルジメチルアミン及びその塩、2−メタクリ
ロイルオキシエチルジエチルアミン及びその塩、3−メ
タクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、N−ビニル−2−ピロリドン、ポリエチレングリ
コールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリ
レート等があり、これらの単量体を1種または2種以上
組み合わせて使用することができる。
【0020】親水性単量体(C)の共重合体(I)中の
組成は、電解質水溶液に対する高吸収性を発現させるた
めに70重量%以下、好ましくは10重量%〜40重量
%の範囲内であることが望ましい。
【0021】吸水樹脂あるいは吸水繊維が水性媒体を吸
収し、媒体に溶解する事無く膨潤状態を維持するために
は、共有結合、静電結合、あるいは水素結合等によって
重合体に架橋構造を導入することが必要である。本発明
において共重合体(I)に架橋構造を導入するために、
架橋性単量体(D)としてジビニル化合物の様な多官能
ラジカル重合性単量体を用いることができるが、その場
合、重合後に繊維状に成形することは事実上不可能であ
り、重合と同時に成形が行われる必要がある。例えば、
単量体組成物を毛細管に注型した後、その状態で重合し
繊維化する様な注型重合法が採用される。
【0022】多官能ラジカル重合性単量体としては、ビ
スアクリルアミド類、ジ(メタ)アクリル酸エステル
類、ジアリル化合物類等が挙げられ、具体的には、N,
N−ジアリルメタクリルアミド、ジアリルアミン、N,
N−ビスアクリルアミド酢酸、N,N’−ビスアクリル
アミド酢酸メチルエステル、N,N’−メチレンビスア
クリルアミド、N,N−ベンジリデンビスアクリルアミ
ド、N,N’−1,4−ブチレンビス−(N−ビニルア
セトアミド)、N,N’−1,6−ヘキシレンビス−
(N−ビニルアセトアミド)、N,N’−1,10−デ
シレンビス−(N−ビニルアセトアミド)、N,N’−
3−オキサ−1,5−ペンチレンビス−(N−ビニルア
セトアミド)、N,N’−3,6−ジオキサ−1,8−
オクチレンビス−(N−ビニルアセトアミド)、N,
N’−p−キシリレンビス−(N−ビニルアセトアミ
ド)、N,N’−ジアセチル−N,N’−ジビニル−
1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジアリルス
クシネート、エチレングリコールジアクリレート、ジエ
チレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、
トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタ
クリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−
ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリ
レート、グリセリンジメタクリレート、ネオペンチルグ
リコールジメタクリレート、ジアリルアクリルアミド等
があり、これらの単量体を1種類または2種類以上組み
合わせて使用することができる。
【0023】この様な多官能ラジカル重合性単量体の共
重合体(I)中の組成は、水性媒体あるいはアルコール
やその他の有機溶剤を吸収した重合体が媒体に溶解せ
ず、且つ流動性あるいは粘着性を持たないために、好ま
しくは0.01重量%以上であることが望ましい。ま
た、多官能ラジカル重合性単量体の組成が高くなると架
橋密度の増大により吸収能力が低下してしまうため、1
重量%以下、好ましくは0.1重量%以下の組成である
ことが望ましい。
【0024】重合体に架橋構造を導入する他の方法とし
て、重合後に架橋可能な官能基を有する単量体の架橋化
処理がある。すなわち、共重合体(I)を繊維状に成形
した後、架橋化処理を行い架橋構造を導入する方法であ
る。本発明において架橋化処理可能な、すなわち後処理
により架橋構造を導入することが可能な単量体を架橋性
単量体(D)として採用するときは、単量体(D)と化
学的に結合し架橋構造を形成するような化合物を用いる
場合があり、この化合物を架橋助剤と称する。また、熱
処理等によって自己架橋する様な単量体を用いる場合は
架橋助剤は必ずしも必要としない。
【0025】尚、架橋性単量体(D)は親水性単量体
(C)と同一の単量体であってもよく、その場合、架橋
性単量体(D)は親水性単量体(C)中の架橋化処理後
の架橋構造に寄与した単量体成分と見なす。すなわち、
親水性単量体(C)が後処理により架橋構造を導入する
ことが可能であり、架橋化処理によりその一部が架橋構
造を形成する場合、架橋構造を形成している単量体成分
を架橋性単量体(D)とする。
【0026】かかる架橋構造を導入可能な単量体として
は、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、メチロー
ル基、グリシジル基、水酸基、イミノ基を含有する単量
体、酸無水物系単量体が本発明において好適に使用する
ことができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリ
ロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキ
シエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、イミノールメタクリレート等の単量体が挙げられ
る。
【0027】架橋助剤としては例えば、架橋性単量体
(D)がカルボキシル基を有する場合には、水酸基、エ
ポキシ基、アミノ基、メチロール基等のカルボキシル基
と反応して化学結合を形成しうる官能基を2個以上有す
る多官能性化合物、例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリン、グリシジルアルコー
ル、ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジル
エーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、
エタノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジア
ミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコー
ル、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトール、
トリメチロールプロパン、ポリエチレンイミン、尿素等
が挙げられる。また、ホルムアルデヒドによる架橋化も
挙げられる。さらに、カルボキシル基と化学結合を形成
しうる官能基を有する単量体を架橋性単量体(D)とし
て、カルボキシル基を有する単量体と共に併用して架橋
化することもできる。
【0028】架橋性単量体(D)が水酸基を有する場合
には、カルボキシル基、酸無水物、アルデヒド基、イソ
シアネート基の様な水酸基と反応して化学結合を形成し
得る官能基を2個以上有する多官能性化合物、例えば、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、プロパン
−1,2,3−トリカルボン酸及びそれらの酸無水物、
グリオキザール、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等
が架橋助剤として挙げられる。さらに、水酸基と化学結
合を形成しうる官能基を有する単量体を架橋性単量体
(D)として、水酸基を有する単量体と共に併用して架
橋化することもできる。
【0029】また、水酸基が水酸基同志、あるいはカル
ボキシル基と水素結合により架橋構造を形成する様な場
合は架橋助剤を使用する必要はない。例えば、可塑化単
量体(B)として酢酸ビニルあるいは(メタ)アクリル
酸エステル等を用い、エステルの加水分解により水酸基
あるいはカルボキシル基を生成させれば、熱処理によっ
て水素結合性の微結晶構造を架橋点として、特に共有結
合による架橋構造を導入しなくとも水性媒体を吸収し膨
潤状態を維持することができ、この様な架橋構造の導入
方法も本発明において採用することができる。
【0030】また、カルボキシル基同志、カルボキシル
基と水酸基、あるいは水酸基同志を脱水触媒を用いて、
酸無水物を形成することによる架橋化、エステル結合に
よる架橋化、あるいはエーテル結合による架橋化を行う
ことによっても架橋構造を導入することができる。
【0031】架橋性単量体(D)がニトリル基を有する
場合には、アミノ基の様なニトリル基と反応して化学結
合を形成しうる官能基を2個以上有する多官能性化合
物、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレ
ンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、両末端アミノ化ポリエチ
レングリコール等が架橋助剤として挙げられる。さら
に、ニトリル基と化学結合を形成しうる官能基を有する
単量体を架橋性単量体(D)としてニトリル基を有する
単量体と共に併用して架橋化することもできる。
【0032】これらの後架橋性を有する架橋性単量体
(D)を1種または2種以上用いて共重合体(I)を合
成し、重合後任意の方法により繊維状に成形した後、架
橋化処理を行い架橋構造を導入するという方法により容
易に本発明の高塩水吸収性繊維が作製できる。尚、本発
明における架橋化処理は用いた架橋性単量体(D)の種
類に応じて適宜選択すればよいが、乾熱処理による方法
が簡便であるため好適に採用される。
【0033】特に、カルボキシル基を有する単量体と水
酸基を有する単量体を架橋性単量体(D)として併用
し、共重合体(I)の組成物を繊維状に成形した後、架
橋構造を導入する方法は、架橋化処理の容易さ、処理条
件の設定範囲が広いことから本発明においてさらに好適
に採用される。
【0034】本発明の共重合体(I)は従来より行われ
ているラジカル重合法のいずれの方法を用いて調整して
もよい。すなわち、塊状重合、水系沈殿重合、懸濁重
合、逆相懸濁重合、乳化重合、溶液重合のいずれの方法
を用いてもよく、目的に応じて、得られる重合体の形態
を考慮して適宜選択すればよい。しかし、一般には水を
媒体とした重合系がコスト、環境面から望ましい。ラジ
カルの発生方法はラジカル重合触媒を用いる方法、放射
線、電子線、紫外線を照射する方法等が挙げられる。ラ
ジカル重合触媒としては例えば、過酸化水素、過酸化ベ
ンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化
物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草
酸等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム等の過硫酸塩等のラジカル発生剤、及びこれらのラジ
カル発生剤と亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン
酸等の還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始
剤が挙げられる。重合媒体としては例えば、水、電解質
水溶液、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド
等が挙げられるが、重合方法に応じて適宜選択すればよ
い。
【0035】また本発明は、重合体あるいは繊維に対し
てN−ビニルカルボン酸アミド型単量体(A)を含有す
る単量体または単量体組成物をグラフト重合することに
よって高塩水吸収性繊維を得る方法も包含する。すなわ
ち、重合体の粉末や溶液に対するグラフト重合によりN
−ビニルカルボン酸アミド型単量体(A)を導入し、そ
の後グラフト重合体を繊維状に成形する方法、あるいは
繊維状成形物に対するグラフト重合により高吸収性繊維
とする方法も本願発明の範囲である。
【0036】本発明において、繊維中に共重合体(I)
と共にポリビニルアルコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリエチレンオキサイドから選ばれる1種以上の可
塑化重合体(II)を含有させることにより、繊維強
度、吸湿時の低粘着性等の繊維物性を飛躍的に向上させ
ることができる。また、ポリビニルアルコールの様な水
酸基を多数有する重合体は、共重合体(I)中に水酸基
と反応して化学結合を形成するような官能基を有する単
量体を架橋性単量体(D)として採用していれば、架橋
化処理により架橋構造を形成することができるため、吸
水時に可塑化重合体(II)が溶出しないという利点も
併せ有する。尚、ポリビニルアルコールの重合度及びケ
ン化度、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキ
サイドの重合度は繊維物性、吸収性能、繊維への成形性
等を考慮して目的に応じて適宜選択すればよい。ポリビ
ニルアルコールのケン化度は、70%〜99.9%程度
のものが適している。本発明において、可塑化重合体
(II)として特にポリビニルアルコールを用いること
により繊維強度の向上、及び吸湿性の低下が大きいため
さらに好ましい。
【0037】これらの可塑化重合体(II)の繊維中の
組成は、良好な繊維物性を発現させるために5重量%以
上であることが望ましい。また、繊維の吸収性能を大き
く低下させないために20重量%以下、好ましくは15
重量%以下の組成であることが望ましい。
【0038】本発明における繊維の作製方法としては、
前述した注型重合法と通常の紡糸方法があるが、本発明
においては通常の紡糸法による繊維化がより好適に採用
される。紡糸法としては、共重合体(I)の溶液を原液
とした湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法のいずれ
の紡糸方法も採用できる。また、繊維の構造としては、
芯鞘構造、海島構造、サイドバイサイド構造等の複合構
造も好適に採用することができ、目的に応じて適宜選択
すればよい。例えば、芯部にポリビニルアルコール、鞘
部に本発明の共重合体(I)の架橋物を用いた芯鞘構造
の繊維とすれば、高吸収性と共に乾燥時はもちろん媒体
を吸収した時でも非常に優れた繊維物性を有する極めて
優秀な繊維が得られる。
【0039】湿式紡糸法及び乾湿式紡糸法では、共重合
体(I)と必要に応じて可塑化重合体(II)及び必要
に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解し適当な粘度に
調整して原液とし、貧溶媒中に多孔ノズルから紡出し、
必要に応じて延伸した後、架橋化処理することにより本
発明の高塩水吸収性繊維が製造できる。この時、溶媒と
しては共重合体(I)の溶解性が問題となるため共重合
組成に依存するが、例えば水、メタノール、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シド等が挙げられ、これらを単独、あるいは複合して使
用することができる。貧溶媒としては、使用する溶媒と
混合でき、共重合体(I)が溶解しないものを選択すれ
ばよい。
【0040】乾式紡糸法では、共重合体(I)と必要に
応じて可塑化重合体(II)及び必要に応じて各種添加
剤を適当な溶媒に溶解し適当な粘度に調整して原液と
し、加熱雰囲気中に紡出して溶媒を蒸発させ、必要に応
じて延伸操作を行い、その後架橋化処理することにより
本発明の高塩水吸収性繊維を製造することができる。溶
媒としては共重合体(I)が溶解すればよいが、例えば
水、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これら
を単独、あるいは複合して使用することができる。本発
明においては、特に水を溶媒とした乾式紡糸法による繊
維化がコスト、安全性、作業環境等の利点から特に好ま
しい。
【0041】以下、乾式紡糸法を用いた本発明の高塩水
吸収性繊維の作製法について説明する。紡糸原液として
は、水を溶媒とした重合系で、重合した後の溶液がその
まま原液となるものが好ましい。共重合体(I)及び必
要に応じて添加される可塑化重合体(II)の原液中で
の濃度は、紡糸に適した粘度になるように調整する必要
があり、一般的には15重量%〜50重量%、好ましく
は20重量%〜35重量%である。原液の粘度は、加熱
雰囲気中での伸長粘度が十分にあり、糸切れせずに安定
した紡糸が可能であれば特に制限はないが、一般的には
25℃におけるB型粘度計での粘度が100ポイズ〜4
000ポイズの範囲内である。
【0042】原液の紡出温度は一般的には30℃〜80
℃の範囲内である。加熱雰囲気の温度は使用する溶媒に
応じて適宜選択すればよいが、一般的には100℃〜3
00℃、好ましくは150℃〜250℃に設定するのが
よい。尚、乾燥工程の後に繊維を延伸する場合、加熱雰
囲気から出た時の繊維の溶媒分率を10重量%〜20重
量%程度に設定することにより延伸工程が円滑に行え
る。繊維の延伸倍率は良好な繊維物性を付与する様に適
宜設定すればよいが、一般的には1.5倍〜10倍程度
である。
【0043】繊維に架橋構造を付与するための架橋化処
理は、本発明において乾熱処理による方法が好適に採用
される。すなわち、共重合体(I)中の架橋性単量体
(D)として熱処理によって架橋構造を形成する様な単
量体を1種以上採用する。この時、可塑化重合体(I
I)も同時に架橋構造を形成することが望ましい。乾熱
処理の温度は、所望の時間で架橋化ができる様に設定す
ればよいが、一般的には150℃〜300℃の範囲内で
ある。尚、架橋化処理の条件(温度、時間)を変更する
事により繊維の吸収性能を制御することができ、所望の
性能に応じて、条件を適宜設定すればよい。但し、架橋
構造が少なすぎる場合、吸水した繊維からの重合体の溶
出が多くなるため注意する必要がある。
【0044】最終繊維の繊度は、柔軟性や加工性等の繊
維であることの利点を発揮するためには100デニール
以下であることが必要であり、好ましくは50デニール
以下である。繊維直径としては繊維を構成する共重合体
(I)の比重により異なるが5μm〜100μm程度が
適当であり、好ましくは15〜50μm程度である。繊
維原綿は連続したフィラメント状、あるいは適当な長さ
に切断したステープル状の形態で供され、そこから必要
に応じて、ヤーン、不織布、各種成形体、エレメント等
に加工され、使用される。
【0045】
【作用】本発明の高塩水吸収性繊維が電解質水溶液に対
して高度に吸収性である理由は十分に解明するに至って
いないが、以下のことが推測される。すなわち、一般的
に吸水性樹脂として用いられているポリアクリル酸塩の
架橋体は、純水中ではポリマー分子中のカルボキシル基
が解離してカルボン酸アニオンとなりポリマー分子中に
固定されたマイナス電荷間の反発によりポリマー鎖が伸
長しようとするため、架橋構造を持たない場合には高粘
度溶液となり、架橋構造を有する場合には高膨潤度を示
す。しかし、電解質水溶液に対しては、高濃度の対イオ
ン種の存在によりポリマー中のカルボン酸アニオンの近
傍に対イオンが凝集して、いわゆる静電遮蔽効果によっ
てポリマー鎖の収縮が引き起こされる。その結果、架橋
構造を持たない場合には低粘度溶液となり、架橋構造を
有する場合には低膨潤度を示す。一方、解離基を持たな
いポリ−N−ビニルカルボン酸アミドでは、この様な静
電遮蔽による膨潤度の低下は起こらず、電解質濃度の変
化に対して安定した吸収性を示す。尚、他種類の電荷を
持たない中性の水溶性ポリマー、例えば、ポリアクリル
アミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコー
ル、デンプン等との相違は、ポリマー中の極性基の親水
性の程度、あるいはポリマー主鎖の屈曲性、またはポリ
マー分子間の相互作用の程度の相違等が考えられる。
【0046】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲がこれら実施例にのみ限定される
ものではない。
【0047】実施例1 本実施例においてN−ビニルカルボン酸アミド型単量体
(A)として、N−ビニルアセトアミド(以下、NVA
と略す)を昭和電工株式会社から入手した。また、可塑
化単量体(B)としてはアクリロニトリル(AN)、メ
チルアクリレート(MA)を用いた。親水性単量体
(C)としてはアクリル酸(AA)、ヒドロキシエチル
アクリレート(HEA)を用いた。また、後架橋性を有
する架橋性単量体(D)として、親水性単量体(C)で
あるAAとHEAとを併せて使用した。また、N−メチ
ロールアクリルアミド(NMAM)も親水性単量体
(C)であるが、架橋性単量体(D)としても使用し
た。尚、AAは全てNaOH水溶液を用いて添加量の約
70モル%を中和してから重合に使用した。可塑化重合
体(II)としては、ポリビニルアルコール(PVA−
217(平均重合度:1700、鹸化度:88%)及び
PVA−205(重合度:500、鹸化度:88%)、
クラレ(株)製)及びポリエチレングリコール(PEG
−6000及びPEG−20000、和光純薬工業
(株)製)を用いた。
【0048】共重合体(I)は、所定量の各種単量体を
蒸留水に溶解あるいは懸濁させ、開始剤として総単量体
重量に対し0.6重量%の過硫酸カリウム(KPS)を
添加し、70℃で6時間攪拌下に重合した。また、開始
剤としてKPSと亜硫酸水素ナトリウム(SHS)から
なるレドックス系を用いた場合は、60℃で5時間攪拌
下に重合した。この時、KPSは総単量体重量に対し
0.6重量%使用し、SHSはKPSに対し1.2モル
等量を数回に分割して添加した。また、可塑化重合体
(II)を添加した系も同様に、所定量の可塑化重合体
(II)を添加して重合を行った。重合した溶液を減圧
下に脱泡し、そのまま原液として使用した。原液の粘度
はビスメトロン粘度計(芝浦システム(株)製)を用い
25℃で測定した。尚、比較のために単量体(A)を含
まない共重合体も同様に重合し、原液とした。表1に各
種組成で重合した原液の単量体仕込み組成と可塑化重合
体(II)の添加量及び得られた原液の粘度を示す。
【0049】
【表1】
【0050】乾式紡糸は定法に従って行った。原液を多
孔ノズルから約200℃の加熱雰囲気中に紡出し、約2
倍に延伸して巻き取った。その後、200℃で1〜5分
緊張下に乾熱処理を行い、乾燥繊維を得た。乾熱処理の
時間は、繊維が水性媒体を吸収した後に溶解せず良好な
ゲル状物となるように設定した。尚、各紡糸条件は最終
繊維径が約10デニールになるように設定した。得られ
た繊維を約100mm長に切断し、以下の各種評価に供
した。
【0051】繊維の引張強度、伸度はJIS L 10
15に記載の方法に準じて測定した。繊維のデニールは
繊維重量と繊維長から計算により求めた。繊維の吸収性
能は、以下の方法によって純水及び各種電解質水溶液に
対する吸収倍率を測定し評価した。乾燥した繊維1gを
純水及び各種電解質水溶液500ml中に2時間浸漬し
た後、200メッシュ金網で濾過し、10分間水切りし
た後、金網上の水性媒体を吸収した膨潤繊維の重量を測
定し、繊維1g当たりの吸収した水性媒体のグラム数を
吸収倍率とした。電解質水溶液としては、0.9重量%
のNaCl水溶液及び人工海水(アクアマリンS、八州
薬品(株)製)を用いた。また、比較のために市販品で
ある高吸水性繊維(ランシールF、東洋紡績(株)製)
も同様に評価した。さらに、いくつかの繊維について有
機溶剤としてエタノールを用い、その吸収性能を評価し
た。表2に各繊維の強伸度及び各種水性媒体及びエタノ
ールに対する吸収倍率を示す。
【0052】
【表2】
【0053】繊維1はN−ビニルカルボン酸アミド型単
量体(A)であるNVAと架橋性単量体(D)であるN
MAMとの共重合体からなる繊維であり、繊維物性は低
いがその吸収倍率は各種電解質水溶液ともに高く非常に
優れたものであった。特に、高濃度の電解質水溶液及び
多価イオンを高濃度に含有する水溶液に対しても吸収倍
率が低下せずに高い値を維持しており、単量体(A)を
用いることの有効性が認められる。繊維2〜4は親水性
単量体(C)及び架橋性単量体(D)としてAAとHE
Aを併用し、可塑化単量体(B)として用いたANとN
VAの組成を変化させた系である。この場合、ANの組
成が高くなるほど繊維物性は向上するが、吸収性能は低
下する傾向にある。繊維5はNVAの組成が本願発明の
範囲を充たさないものであり、電解質水溶液に対する吸
収倍率が低いものであった。繊維6〜8は親水性単量体
(C)及び架橋性単量体(D)の組成を変化させた系で
あり、繊維物性はそれほど高くないが、純水及び電解質
水溶液共に高い吸収性能を発揮している。繊維9〜16
は可塑化重合体(II)を添加した系であり、条件によ
り異なるがいずれも高い繊維物性と良好な吸収性能を両
立している。一方、比較例ではいずれも純水に対しては
高い吸収性能を発揮するが、高濃度及び多価イオンを含
有する電解質水溶液に対しては著しく吸収倍率が低下し
ており、本願発明の繊維の優位性が明確に認められる。
また、エタノールに対する吸収性能は比較例と比べて本
願発明の繊維2と12は非常に優れており、有機溶剤に
対してもその優位性を示した。
【0054】次に、いくつかの繊維について平衡吸湿率
を測定した。乾燥した繊維を20℃、65%RHの恒温
恒湿器に入れ、48時間後の重量増加分から下式に従っ
て吸湿率を算出した。結果を表2に示す。 吸湿率(%)=(吸湿重合体重量−絶乾重合体重量)÷
絶乾重合体重量×100 また、吸湿した状態での繊維の粘着性を触感により評価
した。結果を表2に示す。尚、粘着性評価での各記号の
意味は次の通りである。 ○:粘着性小 △:粘着性中 ×:粘着性大 −:未評価
【0055】繊維1は38%と高い吸湿率を示すが、繊
維4ではANを共重合することにより吸湿率は19%に
低下し粘着性も低下した。さらに、繊維10ではPVA
−217を添加することにより、吸湿率は13%と大き
く低下すると共に粘着性も大きく減少し、非常に扱いや
すい繊維となる。一方、比較例では、ランシールFは低
吸湿率と低粘着性を示すが、繊維17では高吸湿率と高
粘着性を示し扱いにくいものであった。従って、これら
の可塑化単量体(B)及び可塑化重合体(II)を使用
することの有効性が認められる。
【0056】
【発明の効果】本発明の高塩水吸収性繊維は、高い塩水
吸収性能と共に繊維であるがゆえの加工性の高さを利用
して、これまで使用することができなかったような分
野、用途へ極めて有効に活用することができる。特に、
海水、尿、血液、塩類土壌地下水等の電解質を高濃度で
含有する水性媒体を吸収させる様な用途、あるいはアル
コール等の有機溶剤を吸収させる様な用途に絶大な効果
を発揮するため、日常生活用品だけでなく、一般土木、
各種資材用途にも有用である。さらに、本発明の高塩水
吸収性繊維は、繊維状であるために不織布、各種成形
体、エレメント等に容易に成形加工することができるた
め、任意の形態に加工して種々の用途に容易に応用展開
することができる。具体的な用途としては例えば、紙お
むつや生理用品等の吸収剤、油水分離フィルター、吸水
・保水シート、止血パッド、血液用フローストッパー、
農園芸用保水剤(材)、生鮮食品用ドリップ吸収シー
ト、結露防止シート、消火・防災用資材、塩類土壌改良
剤(材)、地中及び海中ケーブル用止水剤(材)、鋼管
矢板工法用止水剤(材)、湾岸土木用止水剤(材)、セ
ンサー部材、各種除放性材料、生体材料等が挙げられ
る。ただし、これらの用途は単なる例示であり、本発明
の繊維がこれら例示に限定されるものではない。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】共重合成分として、化1(但し、R1 及び
    2 はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示
    す。)で示されるN−ビニルカルボン酸アミド型単量体
    (A)を30重量%〜99重量%の範囲内で含有する架
    橋構造を有する共重合体(I)からなり、且つ100デ
    ニール以下の繊度を有することを特徴とする高塩水吸収
    性繊維。 【化1】
  2. 【請求項2】N−ビニルカルボン酸アミド型単量体
    (A)の少なくとも1種類が、N−ビニルアセトアミド
    であることを特徴とする請求項1記載の高塩水吸収性繊
    維。
  3. 【請求項3】共重合体(I)が、共重合成分として10
    重量%〜40重量%の範囲内で少なくとも1種類以上の
    可塑化単量体(B)を含有することを特徴とする請求項
    1または2に記載の高塩水吸収性繊維。
  4. 【請求項4】可塑化単量体(B)の少なくとも1種類が
    アクリロニトリルであることを特徴とする請求項1から
    3いずれかに記載の高塩水吸収性繊維。
  5. 【請求項5】架橋構造が、後架橋性を有する架橋性単量
    体(D)であるカルボキシル基を有するビニル系単量体
    及び水酸基を有するビニル系単量体の一部分が結合した
    構造であることを特徴とする請求項1から4いずれかに
    記載の高塩水吸収性繊維。
  6. 【請求項6】繊維が該繊維中に5重量%〜20重量%の
    範囲内で可塑化重合体(II)を含有することを特徴と
    する請求項1から5いずれかに記載の高塩水吸収性繊
    維。
  7. 【請求項7】可塑化重合体(II)がポリビニルアルコ
    ールであることを特徴とする請求項1から6いずれかに
    記載の高塩水吸収性繊維。
  8. 【請求項8】共重合成分としての化1(但し、R1 及び
    2 はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示
    す。)で示されるN−ビニルカルボン酸アミド型単量体
    (A)を30重量%〜99重量%の範囲内と後架橋性を
    有する架橋性単量体(D)を共重合せしめて共重合体
    (I)とし、これを100デニール以下の繊維状に形成
    し、同時または次いで架橋性単量体(D)に架橋化処理
    を施すことを特徴とする高塩水吸収性繊維の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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