JP3180659B2 - 除湿剤用非流動化剤および除湿剤組成物 - Google Patents

除湿剤用非流動化剤および除湿剤組成物

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JP3180659B2
JP3180659B2 JP08262596A JP8262596A JP3180659B2 JP 3180659 B2 JP3180659 B2 JP 3180659B2 JP 08262596 A JP08262596 A JP 08262596A JP 8262596 A JP8262596 A JP 8262596A JP 3180659 B2 JP3180659 B2 JP 3180659B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潮解性無機塩系除
湿剤用非流動化剤およびそれを用いる除湿剤組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、家庭の室内、納戸、タンス、
ふとん、下駄箱、靴の中などの除湿を目的として、塩化
カルシウムを主体とし、防かび剤、消臭剤等をこれに添
加した除湿剤組成物が広く使用されている。この除湿剤
組成物は、乾燥状態の潮解性無機塩、特に塩化カルシウ
ム、防かび剤、消臭剤等の混合物を各種の容器(プラス
チック容器、片面が透湿性のシートで構成された袋等)
に入れておき、塩化カルシウムの潮解性を利用して湿度
を低減するというものである。
【0003】この除湿剤組成物を構成する塩化カルシウ
ムは、使用前は粒(粉末)状であるが、使用後は湿気を
吸収して濃度10〜20重量%程度の塩化カルシウム水
溶液となる。従って、この水溶液が容器外に流出して衣
類、ふとん、靴、床や壁等を汚染することがないよう
に、何らかの措置を取る必要がある。従来古くから使用
されてきたプラスチック容器に塩化カルシウム等を入れ
たタイプの製品は、容器が転倒したときに液漏れを起こ
す可能性があり、実際一般家庭において衣類等の汚染の
被害が生じているというのが現状である。このタイプの
製品の改良品として、近年潮解液を非流動化する添加剤
(非流動化剤)をあらかじめ塩化カルシウムに混合して
おき、潮解液の流出を防止したタイプの製品が市販され
ている。この非流動化剤を使用した製品の場合には、潮
解液は非流動化されゲル状となるため、従来のようにプ
ラスチック容器を使用する必要もなく、片面が透湿性を
有するシートで構成された袋の中に塩化カルシウムと非
流動化剤等の混合物が封入されており、ふとんの間や靴
の中など従来使用されてこなかった様々な場所でも使用
されている。
【0004】非流動化剤としては、潮解液に溶解して増
粘する化合物、あるいは潮解液を吸液して膨潤する化合
物が用いられる。塩化カルシウムの潮解液は通常室温に
おいて約50重量%と非常に高濃度であるため、これに
溶解あるいはこれを吸液する化合物は極めて限られてお
り、従来より使用されている加工でんぷん(α化でんぷ
ん、架橋でんぷん等)や変性セルロース(ヒドロキシエ
チルセルロース等)が知られているに過ぎない。しかる
にこれらの従来公知の化合物は、潮解液を非流動化する
ために多量に添加する必要があって経済的に不利であ
り、また、加工でんぷんの場合には使用後の透明性も悪
く、商品イメージが今一つであるという問題がある。
【0005】また、従来よりN−ビニルカルボン酸アミ
ド重合体架橋物(特開平4−346833号公報)、変
性ポリエチレンオキサイド樹脂(特開昭61−2008
35号公報)、変性ポリビニルアルコール系吸水剤等
(特開昭62−286519号公報等)を塩化カルシウ
ム潮解液の非流動化剤として用いることが考案されてい
る。しかし、これらの化合物は30重量%程度の塩化カ
ルシウム水溶液を非流動化することはできても、潮解開
始時の飽和(約50重量%)塩化カルシウム水溶液では
塩析現象が起こってしまうため、潮解液を全く吸液でき
なかったり、できたとしてもその吸液能力(倍率)が小
さく、かつ吸液速度も非常に遅いため、飽和塩化カルシ
ウム水溶液の非流動化は実質的にできないという問題が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、少
量の使用で潮解開始時から使用後まで潮解性無機塩潮解
液を非流動化することのできる非流動化剤の開発および
それを用いた使用後には透明性の良好な除湿剤組成物の
開発を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、1)実質的に
(メタ)アクリロニトリルと非イオン系親水性単量体と
の共重合体またはその架橋物である潮解性無機塩系除湿
用非流動化剤、潮解性無機塩及び別の高分子系非流動化
剤からなることを特徴とする非流動化剤に関し、2)非
イオン系親水性単量体が下記一般式〔1〕
【化2】 [式中R1 、R2 は互いに独立して水素またはメチル基
を表すか、あるいは結合し炭素数3〜5のアルキレン基
を表す。]で表されるN−ビニルカルボン酸アミドであ
る上記1)記載の非流動化剤に関し、3)N−ビニルカ
ルボン酸アミドがN−ビニルアセトアミドである上記
2)記載の非流動化剤に関し、4)潮解性無機塩系除湿
剤用非流動化剤において、(メタ)アクリロニトリルと
非イオン系親水性単量体が重量比で10:90〜70:
30の範囲にある共重合体またはその架橋物である上記
1)ないし3)のいずれかに記載の非流動化剤に関し、
5)潮解性無機塩が塩化カルシウムである上記1)ない
し4)のいずれかに記載の非流動化剤に関し、6)潮解
性無機塩系除湿用非流動化剤を潮解性無機塩15gに対
して0.1〜10g、別の高分子系非流動化剤を潮解性
無機塩15gに対して0.1〜10g含有してなる上記
1)ないし5)のいずれかに記載の非流動化剤に関す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。本発明においては、潮解性無機塩は、潮解性
を示す無機塩であれば特に制限はされないが、非常に優
れた吸湿性能を示す塩化カルシウム、塩化マグネシウム
が好ましく、特に塩化カルシウムが好ましい。(以下、
説明は塩化カルシウムの場合を例に行う。)
【0009】本発明で使用される塩化カルシウム系除湿
剤用非流動化剤は、実質的に(メタ)アクリロニトリル
と非イオン系親水性単量体との共重合体またはその架橋
物である。前記非イオン系親水性単量体としては、(メ
タ)アクリルアミドおよびその非イオン系の誘導体(例
えばN,N−ジメチルアクリルアミド等のN−置換(メ
タ)アクリルアミド)、非イオン系親水性の(メタ)ア
クリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シエチルや(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル
等)、ビニルエーテル(例えばメチルビニルエーテ
ル)、アリルアルコールおよびその非イオン系の誘導
体、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の窒素原子
がビニル基に結合した単量体、N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニル
ホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、
N−ビニルピロリドン等のN−ビニルカルボン酸アミド
など様々な単量体が例示できる。また、これらは1種ま
たは2種以上を同時に用いることができることは言うま
でもない。これらの中で、水との親和性が高く、また、
重合方法として経済的に有利な水を重合溶媒とする方法
を採用する場合には、(メタ)アクリロニトリルの重合
系への溶解性を向上させる役割を果す、N−ビニルカル
ボン酸アミド、(メタ)アクリルアミドおよびその非イ
オン系の誘導体、親水性の(メタ)アクリル酸エステル
が好ましく、非流動化剤の性能も考慮すればN−ビニル
アセトアミドが特に好ましい。これら(メタ)アクリロ
ニトリルと共重合する単量体が非イオン系でなければな
らない理由は、イオン系であると得られる非流動化剤が
カルシウムイオンとイオン架橋を起こしてしまったり、
塩化カルシウムにより塩析されてしまって、実質的に飽
和塩化カルシウム水溶液の非流動化剤として使用できな
くなるからである。
【0010】さらに、上記非イオン系親水性単量体、
(メタ)アクリロニトリルに加えて他の共重合可能な単
量体も共重合することができる。この単量体は必ずしも
非イオン系である必要はなく、また、親水性である必要
もないが、得られる非流動化剤が少ない添加量で飽和塩
化カルシウム水溶液を非流動化できることが重要である
ため、非流動化効果が損なわれない範囲に共重合比率を
低く抑えることが必要である。例えば、イオン系単量体
であるアクリル酸ナトリウムや疎水性であるアクリル酸
メチル等を共重合する場合には、その含量は通常全単量
体の10重量%以内、好ましくは5重量%以内にしない
と非流動化効果が損なわれてしまい、その結果として塩
化カルシウムに対する添加量が多量となるため経済的に
好ましくない。
【0011】本発明による非流動化剤は、実質的に(メ
タ)アクリロニトリルと非イオン系親水性単量体との共
重合体またはその架橋物であることが特徴である。この
様な構造の重合体が飽和塩化カルシウム水溶液を非流動
化できるということは驚くべきことであり、必ずしもそ
の理由は定かではないが、疎水性であるポリアクリロニ
トリルが非常に高濃度の塩化リチウム、塩化亜鉛等の水
溶液に溶解することから考えて、(メタ)アクリロニト
リル単位の塩化カルシウムに対する親和性と、親水性単
量体単位の水に対する親和性がバランスし、この様な極
めて興味深い現象が見られるものと思われる。当然のこ
とながら前記非流動化剤を構成する(メタ)アクリロニ
トリル単位と親水性単量体単位との比率は飽和塩化カル
シウム水溶液の非流動化能力に大きな影響を与え、(メ
タ)アクリロニトリル単位の比率が大きすぎても小さす
ぎても非流動化効果は充分に発現しない。従って、非イ
オン系親水性単量体の種類(親水性の度合い)によって
非流動化能力が充分に出る様に(メタ)アクリロニトリ
ル単位の比率を調節することが必要である。例えば非流
動化剤として(メタ)アクリロニトリルとN−ビニルア
セトアミドの共重合体またはその架橋物を非流動化剤と
して用いる場合、(メタ)アクリロニトリルとN−ビニ
ルアセトアミドの比率は重量比で10:90〜70:3
0、好ましくは20:80〜60:40の範囲にあるこ
とが重要であり、この範囲を超えてしまうと非流動化効
果が低下してしまうため好ましくない。例えば、(メ
タ)アクリロニトリル単独重合体、N−ビニルアセトア
ミド単独重合体、アクリルアミド単独重合体、またはこ
れらの架橋物を飽和塩化カルシウム水溶液に添加して
も、これらの重合体粉末が水面に浮くだけで水溶液を非
流動化することはできない。また、実質的に(メタ)ア
クリロニトリルと非イオン系親水性単量体との共重合体
またはその架橋物である非流動化剤は、ランダム共重合
体(架橋物)、ブロック共重合体(架橋物)、交互共重
合体(架橋物)、いずれの共重合体(架橋物)でもよい
が、グラフト共重合体(架橋物)は好ましくなく、例え
ばα化でんぷんに硝酸アンモニウムセリウム等の触媒を
用いてアクリロニトリルをグラフト重合した共重合体
は、ただ単にα化でんぷんに疎水性のみが付与されるだ
けであって、塩化カルシウムに対する親和性は全く発現
しないため、非流動化剤として利用することはできな
い。
【0012】本発明の非流動化剤の使用量は特に制限さ
れないが、通常は塩化カルシウム15gに対して0.1
〜10g、好ましくは0.5〜5g、特に好ましくは1
〜3gの範囲から選択するのが好適である。使用量が
0.1gよりも少ないと非流動化効果が充分にでない場
合があり、塩化カルシウム水溶液が液状となって流動す
る場合がある。また、10gよりも多いと非流動化効果
は充分であってもコストが高くなり、経済的に不利であ
る。本発明の非流動化剤は、場合により2種以上を組み
合わせて使用することもできる。例えば、(メタ)アク
リロニトリル含量の異なる共重合体またはその架橋物を
組み合わせて使用すること、非イオン系親水性単量体の
種類が異なる共重合体またはその架橋物を組み合わせて
使用すること、さらに、共重合体と架橋物を組み合わせ
て使用すること、架橋密度の異なる架橋物を組み合わせ
て使用することなど様々な使用方法が可能である。本発
明の非流動化剤は、飽和塩化カルシウム水溶液に溶解し
て該液を高度に増粘し非流動化するタイプと、該液を吸
液して膨潤し非流動化するタイプ(このタイプは共重合
体を何らかの方法(共有結合、結晶化等)で架橋物とし
たものである)がある。どちらも非流動化剤として使用
することができるが、一般的に言って増粘するタイプの
共重合体を用いる場合には増粘してもなお塩化カルシウ
ム水溶液が流動する傾向があり、比較的多くの添加量が
必要となる。それに対して膨潤するタイプの共重合体架
橋物を用いる場合には、塩化カルシウム水溶液が流動し
にくく少ない添加量ですむため、経済的に有利であり特
に好ましい。
【0013】尚、ここで言う「非流動化」とは、飽和塩
化カルシウム水溶液の入った容器を傾けても容易には流
れない状態のことを言い、例えば増粘するタイプの非流
動化剤を用いる場合には、飽和塩化カルシウム水溶液
に、水溶液の重量の0.1重量倍以下の非流動化剤を添
加、溶解した状態で、B型粘度計にて30rpm、25
℃で測定した該液の粘度が、20000cps以上、好
ましくは50000cps以上である状態を言う。ま
た、膨潤するタイプの非流動化剤を用いる場合には、室
温において、飽和塩化カルシウム水溶液に、水溶液の重
量の0.1重量倍以下の非流動化剤を添加、充分に吸液
させた状態で、200メッシュ等の金網でゲル化した塩
化カルシウム水溶液を自然濾過しても、ロ液がほとんど
あるいは全く得られない状態を言う(この際飽和塩化カ
ルシウム水溶液は半固体状態(ゲル状)である)。参考
までに、膨潤するタイプの非流動化剤が自重の何重量倍
の塩化カルシウム水溶液を吸液できるか(以下吸液倍率
という)は、例えば室温において100gの飽和塩化カ
ルシウム水溶液を用意し、この中に1.0gの非流動化
剤を添加して充分に吸液させ、200メッシュの金網で
膨潤した非流動化剤をろ過して重量を測定し、次式によ
り算出することができる。 非流動化剤の吸液倍率=(膨潤した非流動化剤の重量/
1.0g)−1
【0014】本発明の非流動化剤は、(メタ)アクリロ
ニトリルと非イオン系親水性の単量体、必要に応じて他
の共重合可能な単量体を共重合(必要に応じて架橋)す
ることにより製造できる。またこれ以外の製造方法とし
て、疎水性である酢酸ビニルと(メタ)アクリロニトリ
ルとを共重合し、その後に酢酸ビニル単位を主にケン化
して親水性であるビニルアルコールと(メタ)アクリロ
ニトリルとの共重合体またはその架橋物とする方法など
も採用できる。この場合には、(メタ)アクリロニトリ
ル単位は非流動化効果が損なわれない範囲で(メタ)ア
クリルアミド単位までケン化されても大きな問題は生じ
ないが、(メタ)アクリル酸塩まで大きな割合でケン化
されてしまうと前述したイオン架橋等の問題が生じるた
め好ましくなく、ケン化反応時には反応制御が必要であ
る。また、(メタ)アクリロニトリルの単独重合体をは
じめに製造し、これを穏和な条件で部分的にケン化して
(メタ)アクリロニトリルと(メタ)アクリルアミドの
共重合体またはその架橋物とすることも可能であるが、
当然この場合にも(メタ)アクリル酸塩単位まで過度に
ケン化反応が進行しないように反応制御が必要である。
以上のようにケン化反応により非流動化剤を製造する方
法は、ケン化反応工程が必要というだけでなく高度な反
応制御も必要となってくるため、工業的かつ安価に非流
動化剤を製造するためには、前記の非イオン系親水性単
量体を用いる方法が好適である。
【0015】本発明の非流動化剤は前述した各種の単量
体を共重合することにより製造できるが、その重合方法
としてはあらゆる公知の方法が採用できる。例えば単量
体混合物を水に溶解して重合する水溶液重合法、単量体
水溶液をシクロヘキサン等の水と混ざらないオイルに懸
濁または乳化して重合する逆相懸濁または逆相乳化重合
法等を採用すると特に有利である。全単量体の濃度は重
合方法により異なるため一概に言えないが、水溶液重
合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合における水溶液の濃度
は、通常5〜80重量%、好ましくは10〜70重量
%、特に好ましくは20〜60重量%である。重合反応
に際しては、窒素ガス等で系内の溶存酸素を一定レベル
以下になるように脱気することが望ましく、その後に水
溶性アゾ系重合開始剤、過酸化物、レドックス系開始
剤、光重合開始剤など公知の重合開始剤を用いて重合反
応を行えばよい。重合開始温度および重合反応時の温度
は特に制限されないが、通常−20〜150℃、好まし
くは−10〜120℃、特に好ましくは−5〜100℃
である。また、重合時に発生する重合熱は、冷媒や空気
等により除熱することもできるし、系を断熱系として重
合を実施することもできる。重合時間については特に制
限は無いが、通常0.1〜20時間、好ましくは0.5
〜10時間、特に好ましくは1〜5時間である。重合終
了後、必要に応じて例えばアセトンやメタノール等の親
水性有機溶媒を用いて脱水(残留単量体の除去)を行っ
た後、該重合体を必要に応じて熱風乾燥、真空乾燥等公
知の方法により乾燥することができる。また、逆相懸濁
重合法や逆相乳化重合法を採用する場合には、オイル相
に用いた水と混ざらない有機溶媒(例えばシクロヘキサ
ンなど)と水との共沸を利用して、蒸留により脱水を行
うことも可能である。
【0016】前述した膨潤するタイプの非流動化剤を製
造する方法としては、非流動化剤の製造時に各種単量体
と共に重合性の不飽和基を1分子内に2個以上有する化
合物を共重合させ架橋物とする方法、単量体中の官能基
と反応して共有結合を形成する部位を1分子内に2個以
上有する化合物(例えば水酸基と反応するポリグリシジ
ル化合物等)を各種単量体と共に仕込み共重合体生成と
共に架橋物とする方法、あるいは(未架橋の)共重合体
と共重合体中の官能基と反応して共有結合を形成する部
位を1分子内に2個以上有する化合物を反応させて架橋
物とする方法、共重合体に放射線等を照射して架橋する
方法、結晶化を生ずる部位(ビニルアルコール単位等)
を共重合体に導入する方法など様々な方法がある。これ
らの重合性の不飽和基を1分子内に2個以上有する化合
物の添加量、単量体中、共重合体中の官能基と反応して
共有結合を形成する部位を1分子内に2個以上有する化
合物の添加量、結晶化を生ずる部位の導入量、放射線等
による架橋点の導入量は、多すぎても少なすぎても非流
動化効果は低下するため、適度な量とすることが必要で
ある。例えば(メタ)アクリロニトリルとN−ビニルア
セトアミドを共重合させて共重合体架橋物を製造する場
合には、重合性の不飽和基を1分子内に2個以上有する
化合物の添加量は、その種類にもよるが全単量体に対し
て0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量
%の範囲であり、この範囲を超えると非流動化効果が低
下してしまうので好ましくない。
【0017】また、本発明の除湿剤組成物には塩化カル
シウム、前記の実質的に(メタ)アクリロニトリルと非
イオン系親水性単量体との共重合体またはその架橋物に
加えて、さらに別の高分子系非流動化剤を併用すること
ができる。この別の高分子系非流動化剤としては、従来
より公知のヒドロキシエチルセルロース等のセルロース
誘導体、でんぷんおよびその誘導体、多糖類およびその
誘導体、N−ビニルピロリドンを含むN−ビニルカルボ
ン酸アミド(共)重合体、(変性)ポリアルキレンオキ
サイド、ビニルアルコール(共)重合体、(メタ)アク
リルアミド(共)重合体、水溶性の(メタ)アクリル酸
エステル(共)重合体、ビニルピリジン(共)重合体、
ビニルエーテル(共)重合体等が例示できる。これらの
併用される高分子系非流動化剤は、30重量%の塩化カ
ルシウム水溶液に溶解して増粘するものであってもよい
し、何らかの方法(例えば架橋)で重合体を不溶化し
て、該液を吸液し、膨潤するものでもよい。但し、30
重量%の塩化カルシウム水溶液に対して0.1重量倍以
下の添加量で該液を非流動化できる増粘するタイプの
(共)重合体か、あるいは、30重量%の塩化カルシウ
ム水溶液を自重の10重量倍以上吸液できる膨潤するタ
イプの(共)重合体架橋物である必要があり、この性能
を有しない物を併用しようとすると、塩化カルシウムに
対する添加量が多量となるため経済的に好ましくない。
この併用される別の高分子系非流動化剤の使用量は特に
制限されないが、通常は塩化カルシウム15gに対して
0.1〜10g、好ましくは0.5〜8g、特に好まし
くは1〜5gの範囲から選択するのが好適である。使用
量が0.1gよりも少ないと非流動化効果が充分にでな
い場合があり、塩化カルシウム水溶液が液状となって流
動する場合がある。また、10gよりも多いと非流動化
効果は充分であってもコストが高くなり、経済的に不利
である。
【0018】本発明における実質的に(メタ)アクリロ
ニトリルと非イオン系親水性単量体との共重合体または
その架橋物である非流動化剤、および併用される別の高
分子系非流動化剤は、いかなる粒径でも使用することが
できるが、これらが吸水・膨潤あるいは溶解・増粘する
速度を速くしたいときには、これらの非流動化剤の粒径
を細かくすると有利である。また、一般に粒径を細かく
すると除湿剤製品製造時に作業性の悪化(塩化カルシウ
ムとの混合性の悪化や粉塵の発生)、除湿剤製品使用時
のままこの発生(非流動化効果の低下)などの問題が生
じる場合があるため、この場合にはあらゆる公知の方
法、例えば湿式造粒機や乾式造粒機を用いた方法等によ
り造粒することができる。また、造粒の際には水のみを
使用して造粒を行っても良いし、ぶどう糖などの糖類、
ソルビタン系、シュガー系などの各種の水溶性界面活性
剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、
α化でんぷん、ゼラチンなどの各種の水溶性重合体、表
面に粘着性を有する高分子吸水剤などあらゆる公知のバ
インダーを使用して造粒を行っても良い。また、実質的
に(メタ)アクリロニトリルと非イオン系親水性単量体
との共重合体またはその架橋物である非流動化剤と別の
高分子系非流動化剤の内どちらか一方だけ造粒して使用
してもよいし、両者の粉末を混合して造粒、例えば粒径
1〜2mmの併用される別の高分子系非流動化剤を核に
してその周囲に実質的に(メタ)アクリロニトリルと非
イオン系親水性単量体との共重合体またはその架橋物で
ある非流動化剤をコーティングしたものを使用すること
もできる。さらに、塩化カルシウム(必要に応じて防か
び剤、消臭剤等)と非流動化剤粉末を混合し、これらを
造粒して一体化することも可能である。
【0019】本発明の除湿剤組成物には、前述したよう
に必要に応じて消臭剤、防菌剤(防カビ剤)、防虫剤、
芳香剤等の各種添加剤を共存させることができる。ま
た、本発明の除湿剤組成物は従来より知られているあら
ゆる形態で使用することができ、例えばプラスチック容
器、片面が透湿性のシートで構成された袋等の中に入れ
て使用することができるし、特開昭58−199020
号公報や特開平7−174704号公報にある様な湿度
インジケーターを備えたものとすることもできる。ま
た、特開昭62−286519号公報に記載されている
様な紙または不織布と複合化したシート、さらに特開平
3−109915号公報にある様なインジケーター付き
シートとすることもできる。
【0020】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を更に詳しく説
明するが、本発明の技術的範囲をこれらの実施例に限定
するものでないことはいうまでもない。
【0021】<非流動化剤の製造例1>窒素の導入管と
温度計、排気管を備えた容積70Lのステンレス製容器
に、50重量%アクリルアミド水溶液17.5Kg、ア
クリロニトリル3.75Kg、N,N’−メチレンビス
アクリルアミド100g、脱イオン水28.8Kgを加
えて溶解し、5℃に水溶液の温度を調節した。5L/分
の流量で系内に窒素ガスを約1時間導入して脱気し、脱
気水100mLに溶解したチオ硫酸ナトリウム12.5
gをまず添加し、その後に脱気水50mLに溶解した過
硫酸アンモニウム1.25gを加え、断熱系で2時間静
置した。得られたゲル状物を挽肉機で裁断し、50℃で
24時間熱風乾燥した。得られた水分4重量%の乾燥共
重合体架橋物を粉砕して粒径を100μm以下にし、非
流動化剤1を得た。この非流動化剤1の脱イオン水およ
び飽和塩化カルシウム水溶液の吸液倍率を測定したとこ
ろ、それぞれ9重量倍、38重量倍であった。
【0022】<非流動化剤の製造例2>窒素の導入管と
温度計、排気管を備えた容積70Lのステンレス製容器
に、N−ビニルアセトアミド6.9Kg、アクリロニト
リル4.6Kg、テトラアリルオキシエタン100g、
脱イオン水38.2Kgを加えて溶解し、20℃に水溶
液の温度を調節した。5L/分の流量で系内に窒素ガス
を約1時間導入して脱気し、脱気水300mLに溶解し
た2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸
塩23.0gを加え、断熱系で3時間静置した。得られ
たゲル状物を挽肉機で裁断し、70℃で24時間熱風乾
燥した。得られた水分3重量%の乾燥共重合体架橋物を
粉砕して粒径を100μm以下にし、非流動化剤2を得
た。この非流動化剤2の脱イオン水および飽和塩化カル
シウム水溶液の吸液倍率を測定したところ、それぞれ1
0重量倍、40重量倍であった。次に10Kgの非流動
化剤2(粒径100μm以下)を回転ドラム式造粒機に
仕込み、2Kgの水にポリエチレングリコール#600
0を0.1Kg溶解した水溶液を噴霧しながら造粒し、
粒径0.5〜2.0mmの非流動化剤2を得た。
【0023】<使用例>水分測定用塩化カルシウム(粒
径1〜2mm、純正化学製)15gに対して、表1に示
すように非流動化剤1および2を添加混合し、除湿剤組
成物A、B、C、D、E、Fを得た。尚、ここで示す例
のうちC、D、E、Fには別の高分子系非流動化剤(化
合物1〜3)を併用した。尚、化合物1〜3は以下に示
すものを用いた。化合物1はN−ビニルアセトアミド単
独重合体架橋物であり、自重の60重量倍の30重量%
塩化カルシウム水溶液を吸液できるものであった(粒径
1.0〜2.5mm)。化合物2はヒドロキシエチルセ
ルロース(フジケミカル製、HEC AX−15F)で
あり、30重量%塩化カルシウム水溶液に対して0.0
5重量倍を添加、溶解した時にその水溶液粘度が140
000cps(B型粘度計、30rpm、25℃)であ
った。化合物3はN−ビニルアセトアミド単独重合体で
あり、30重量%塩化カルシウム水溶液に対して0.0
5重量倍を添加、溶解した時にその水溶液粘度が900
00cps(B型粘度計、30rpm、25℃)であっ
た。
【0024】
【表1】
【0025】上記調合で得られた除湿剤組成物A、B、
C、D、E、Fを直径10cmのシャーレに入れ、これ
を20℃、相対湿度80%、および40℃、相対湿度9
0%にそれぞれセットした恒温恒湿器内に放置し、潮解
初期から10日後までの外観を観察した。その結果を表
2および3に示した。尚、比較例として、15gの塩化
カルシウムに対して2.0gの化合物1のみを添加した
もの(組成物G)、5gのα化でんぷんのみを添加した
もの(組成物H)、5gのα化でんぷんと2gのポリア
クリルアミドを添加したもの(組成物I)、塩化カルシ
ウム単独(J)も併せて外観の観察を行った。
【0026】
【表2】 (参考)組成物A〜Jまで全ての塩化カルシウムは1日
後に完全に潮解した。10日後の塩化カルシウム水溶液
濃度は全て25〜30重量%となった。また、吸湿速度
は全て同等であった。
【0027】
【表3】 (参考)組成物A〜Jまで全ての塩化カルシウムは6時
間後に完全に潮解した。10日後の塩化カルシウム水溶
液濃度は全て13重量%となった。また、吸湿速度は全
て同等であった。
【0028】
【発明の効果】本発明による除湿剤組成物は、少量の非
流動化剤の使用にもかかわらず潮解初期から使用後まで
潮解液(塩化カルシウム水溶液)が非流動化されてお
り、潮解液が容器等の外に流出して衣類、靴、床や壁等
を汚染することがない。また、使用後には透明観があ
り、商品イメージが良い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 39/00 C08L 39/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に(メタ)アクリロニトリルと非イ
    オン系親水性単量体との共重合体またはその架橋物であ
    る潮解性無機塩系除湿用非流動化剤、潮解性無機塩及び
    別の高分子系非流動化剤からなることを特徴とする非流
    動化剤。
  2. 【請求項2】非イオン系親水性単量体が下記一般式
    〔1〕 【化1】 [式中R1 、R2 は互いに独立して水素またはメチル基
    を表すか、あるいは結合し炭素数3〜5のアルキレン基
    を表す。]で表されるN−ビニルカルボン酸アミドであ
    る請求項1記載の非流動化剤。
  3. 【請求項3】N−ビニルカルボン酸アミドがN−ビニル
    アセトアミドである請求項2記載の非流動化剤。
  4. 【請求項4】潮解性無機塩系除湿剤用非流動化剤におい
    て、(メタ)アクリロニトリルと非イオン系親水性単量
    体が重量比で10:90〜70:30の範囲にある共重
    合体またはその架橋物である請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の非流動化剤。
  5. 【請求項5】潮解性無機塩が塩化カルシウムである請求
    項1ないし4のいずれかに記載の非流動化剤。
  6. 【請求項6】潮解性無機塩系除湿用非流動化剤を潮解性
    無機塩15gに対して0.1〜10g、別の高分子系非
    流動化剤を潮解性無機塩15gに対して0.1〜10g
    含有してなる請求項1ないし5のいずれかに記載の非流
    動化剤。
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