JPH09135554A - 整流子電動機のブラシ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ブラシと与圧用スプリングの間に、絶縁材でて
きた遮断片を介在させることにより安価な遮断構造のブ
ラシ装置を提供することを目的としている。 【構成】ブラシの反整流子側に凹部９を設け、絶縁材で
できた遮断片８の一面に凹部９の深さよりも長い突出部
８を形成し、ブラシ２をブラシホルダ３内に摺動自在に
保持し、かつ、ブラシ２の凹部９に遮断片４の突出部８
を遊嵌させ、さらに、ブラシホルダ３の内面と遮断片４
の間に設けた与圧用スプリング５のバネ力により遮断片
４を介しブラシ２を整流子６に押圧した構造にするここ
とにより安価な遮断構造のブラシ装置１である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】整流子電動機の整流子に摺接する
ブラシ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】整流子電動機のブラシ装置はブラシ部と
このブラシ部を保持するブラシホルダ部とからなってい
る。そして、このブラシ部はブラシと与圧用スプリング
とで構成され、また、ブラシホルダ部は保持筒（以下、
ブラシホルダという）だけの単体のものと、樹脂などの
絶縁物と一体に成形されたものとの２種類が多く使用さ
れている。

【０００３】図３は一般的なブラシ装置１ｂであり、ブ
ラシホルダ３にブラシ２ｂが挿入され、与圧用スプリン
グ５によりこのブラシ２ｂが整流子６にバネ付勢されて
いる。

【０００４】そして、整流子６の回転によりこの整流子
６と摺接しているブラシ２ｂが次第に摩耗して寿命がき
たときに、与圧用スプリング５が整流子６に接触する。

【０００５】このスプリング５は材質がピアノ線で、か
つ、焼入が施されており硬いので、このスプリング５の
接触により整流子６を傷付けることが多い。

【０００６】この対策として、図４のような与圧用スプ
リング５と整流子６が直接接触しない遮断構造のブラシ
２ｃを用いたブラシ装置１ｃを使用している電動機もみ
うけられる。このブラシ装置１ｃは図のようにブラシ２
ｃ内に凹部９を設け、その凹部９に絶縁物１３と小スプ
リング１２を挿入し、蓋１４でこのスプリング１２を保
持した構造である。

【０００７】このような構成にすることにより、ブラシ
２ｃが摩耗して小スプリング１２が飛び出してきても、
小スプリング１２が絶縁物１３でコートされており、整
流子６に接触することがないので整流子６を傷付ける恐
れがなく、また、小スプリング１２のバネ力によりブラ
シ２ｃと整流子６間の電気が遮断される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】整流子に傷を付けず、
さらに電気を遮断するブラシ装置として図４のような構
造のものがある。しかし、このブラシ装置は、構造が複
雑であるので部品点数が多く部品コストが高い、また、
作業性が悪い、さらに、ブラシの凹部にスプリング、絶
縁材及び蓋を挿入するためのスペースが必要なのでブラ
シを廃棄する部分が多い、などの問題があった。

【０００９】本発明は、この様な事情を鑑みてなされた
ものであり、ブラシと与圧用スプリングの間に、絶縁材
でてきた遮断片を介在させることにより、安価な遮断構
造のブラシ装置を提供することを課題としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】ブラシの反整流子側に凹
部を設け、絶縁材でできた遮断片の一面に凹部の深さよ
りも長い突出部を形成し、ブラシをブラシホルダ内に摺
動自在に保持し、かつ、ブラシの凹部に遮断片の突出部
を遊嵌させ、さらに、ブラシホルダの内面と遮断片の間
に設けたスプリングのバネ力により遮断片を介しブラシ
を整流子に押圧した構造にするこことにより安価な遮断
構造のブラシ装置になり課題を解決している。

【００１１】

【作用】ブラシ装置の遮断片は与圧用スプリングのバネ
圧でバネ付勢され、さらに、この遮断片がブラシを押圧
し、この押圧力によりブラシは整流子に摺接する。ま
た、アーマチュア及び整流子は軸受に回転自在に保持さ
れている。

【００１２】この状態で通電することにより、リード線
よりブラシホルダ、ブラシ、整流子、そして、アーマチ
ュア巻線へと電気が流れアーマチュア及び整流子が高速
で回転する。この回転により整流子と摺接しているブラ
シは次第に摩耗し、この摩耗がブラシに形成された凹部
にまで達すると、このブラシの凹部は貫通孔となり、こ
の凹部に遊嵌している遮断片の突出部の先端が整流子と
接触する。

【００１３】これにより、ブラシは与圧用スプリングの
押圧力を受けなくなり、整流子より離れ、かつ、遮断片
は絶縁物でできているのでブラシより整流子への電気の
流れが止まりアーマチュアの回転が停止する。また、整
流子は与圧用スプリングと接触することなく停止するの
で外周部に傷が付くことがない。

【００１４】

【実施例】本発明を図面に示された一実施例に基づいて
説明すると、図１は本発明の一実施例による整流子電動
機のブラシ装置の縦断面図（ブラシ摩耗前）であり、図
２は本発明の一実施例による整流子電動機のブラシ装置
の縦断面図（ブラシ摩耗後）である。

【００１５】図１、図２において、アーマチュア７及び
整流子６は軸受１５に回転自在に保持されている。そし
て、ブラシ２には凹部９が形成されており、また、遮断
片４の一つの面に突出部８が形成され、この突出部８の
長さはブラシ２に設けられた凹部９の深さより長く形成
されている。

【００１６】また、ブラシホルダ３にはブラシ２が摺動
自在に備えてあり、かつ、このブラシの凹部９には遮断
片４の突出部８が遊嵌されている。そして、この遮断片
４とブラシホルダ３の間には与圧用スプリング５が挿着
され、さらに、ブラシホルダ３には端子１０が設けら
れ、リード線１１と接続されている。

【００１７】図２はブラシ２の摩耗によりブラシ２の凹
部９が貫通孔になり、整流子６と遮断片４とが接触して
いる状態を示す。

【００１８】このような構成において、ブラシホルダ３
をフレームなどに取付け、そして、このブラシホルダ３
にブラシ２及び遮断片４を挿入する。その後にブラシホ
ルダ３と遮断片４との間に与圧用スプリング５を取付け
ることにより、与圧用スプリング５のバネ圧により遮断
片４はバネ付勢され、さらに、この遮断片４はブラシ２
を押圧する。この押圧力によりブラシ２は整流子６に摺
接する。

【００１９】この状態で通電することにより、リード線
１１からブラシホルダ３及びブラシ２を経由し整流子
６、アーマチュア巻線へと電気が流れアーマチュア７及
び整流子６が高速で回転する。この回転により整流子６
と摺接しているブラシ２は次第に摩耗し、この摩耗がブ
ラシ２に設けられた凹部９まで達すると、このブラシ２
の凹部９は貫通孔となり、この凹部９に遊嵌している遮
断片の突出部８の先端が整流子６と接触する。

【００２０】そして、ブラシ２は与圧用スプリング５の
押圧力を受けなくなるため、整流子６より離れ、さら
に、遮断片４は絶縁物でできているので、ブラシ２より
整流子６への電気の流れが止まりアーマチュア７の回転
が停止する。なお、整流子６が与圧用スプリング５と接
触しないで停止するので整流子６外周部に傷が付くこと
がない。

【００２１】この様に、本発明のブラシ装置は整流子６
とブラシ２及び整流子６と与圧用スプリング５とを遮断
できる構造であり、組立が容易で、かつ、安価である。
さらに、ブラシ２の凹部９及び遮断片４の突出部８を短
くすることにより、図４のブラシ２ｃよりも寿命が延び
る。

【００２２】なお、リード線１１のブラシ装置１への接
続方法はこのリード線１１をブラシ２に直接接続し、リ
ード線１１よりダイレクトにブラシ２に通電する方法も
考えられる。

【００２３】また、遮断片４の突出部８先端の形状は整
流子６と接触しても整流子６に傷がつかないようにＲ形
状にするか、または、面取りを施してあることは申すま
でもない。

【００２４】そしてまた、ブラシホルダは導体でできた
ブラシホルダの外部を樹脂などの絶縁体で成形した構造
のものを使用してもよい。

【００２５】さらに、ブラシホルダ３の取付は、このホ
ルダ３内にブラシ２、遮断片４及び与圧用スプリング５
を装着後にこのブラシホルダ３をフレーム等に取付けて
もよい。

【００２６】

【発明の効果】以上の通り、本願発明のブラシ装置は構
造が簡単で組立の作業性が良く、そして、安価な部品で
整流子とブラシ及び整流子と与圧用スプリングとを遮断
することができる。さらに、ブラシの廃棄する部分が少
なくなるのでブラシ寿命が延びるなど数多くの効果が得
られる。

【００２７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による整流子電動機のブラシ
装置の縦断面図（ブラシ摩耗前）

【図２】本発明の一実施例による整流子電動機のブラシ
装置の縦断面図（ブラシ摩耗後）

【図３】従来の一般的な整流子電動機のブラシ装置の断
面図

【図４】従来の整流子電動機の遮断構造付ブラシ装置の
断面図（ブラシ摩耗前）

【図５】従来の整流子電動機の遮断構造付ブラシ装置の
断面図（ブラシ摩耗後）

【符号の説明】

１．ブラシ装置 ２．ブラシ ３．ブラシホルダ（保持筒） ４．遮断片 ５．与圧用スプリング ６．整流子 ７．アーマチュア ８．突出部 ９．凹部 １２．小スプリング １３．絶縁物 １４．蓋

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】整流子にバネ付勢されたブラシを摺接させ
   るようにした整流子電動機のブラシ部構造において、 ブラシの反整流子側に凹部を設け、 絶縁材でできた遮断片の一面に前記凹部の深さよりも長
   い突出部を形成し、 前記ブラシを保持筒（ブラシホルダ）内に摺動自在に保
   持し、 前記ブラシの前記凹部に前記遮断片の前記突出部を遊嵌
   させ、 前記保持筒の内面と前記遮断片の間に設けたスプリング
   のバネ力により前記遮断片を介し前記ブラシを前記整流
   子に押圧したことを特徴とする整流子電動機のブラシ装
   置。