JP3569463B2 - モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両のステアリングの操舵力をアシストする電動パワーステアリング装置に用いられるモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の電動パワーステアリング装置用のモータ1が用いられている様子を示す斜視図である。このモータ1は、コラム2の端部に取り付けられたギヤボックス3に連結されている。
【0003】
図8は図7のモータ1の側断面図であり、このモータ1は、円筒状のヨーク4と、このヨーク4内に対向して固定された4極の界磁永久磁石5と、ヨーク4の軸受収納部6に収納された第1の軸受7により一端が回転自在に支持された出力軸8と、この出力軸8に固定されたアマチュア9と、出力軸8の他端部に固定された整流子10と、この整流子10の表面にスプリング11の弾性力により当接したブラシ12と、このブラシ12を保持したブラシホルダ13と、ねじ14によりヨーク4と一体化されたハウジング15と、ハウジング15の中心部に固定され出力軸8の他端を回転自在に支持した第2の軸受16と、出力軸8の端部に、圧入、固定されたサポート17と、このサポート17にしまりばめで圧着されたボス18と、リード線19が貫通したグロメット20とを備えている。
アマチュア9は、軸線方向に延びた複数のスロットを有するコア21と、スロットに導線が重巻方式で巻回されて構成された巻線22とを備えている。
【0004】
図9は図8のサポート17及びボス18の側断面図であり、サポート17の内径部26に出力軸8の先端部24が圧入され、またボス18の内径部27にサポート17が圧入される。
サポート17は例えばHRB80の硬度を有しており、ボス18のスプライン穴28にステアリング側入力軸23のスプライン部がスプライン結合されるため、ボス18はその硬度よりも高い例えばHRC30の硬度を有している。出力軸8の先端部24の全周には軸線方向に延びた凹凸部25が形成されており、この凹凸部25がサポート17の内径部26に、圧入、圧着されるため、出力軸8の硬度は、サポート17の硬度よりも高い。
【0005】
上記構成のモータ1では、リード線19から整流子10に当接するブラシ12を介して電流を巻線22に供給することにより、アマチュア9は電磁作用により、出力軸8とともに回転する。この出力軸8の回転力は、ボス18のスプライン穴28にスプライン結合された入力軸23に伝達され、ステアリング29の操舵力のアシストに供される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成のモータ1では、サポート17の内径部26に出力軸8の先端部24が圧入され、また入力軸23とボス18とはスプライン結合されているため、サポート17とボス18とは硬度を変える必要性があり、ボス18はサポート17よりも硬度が高く、焼入れ処理が施されている。このように、サポート17とボス18とは硬度が異なるため、硬度が異なる2つの部品を用意しなければならず、部品点数が多くなるという問題点があった。
また、サポート17とボス18とを結合するに、圧入工程が必要であり、また両者を結合するためにそれだけ高い加工精度が要求されるという問題点もあった。
【0007】
一方、上記問題点を解決するために、サポート17とボス18とを例えば燒結一体成形の連結部材にすることが考えられる。
しかしながら、この場合には、連結部材の入力軸23側のスプライン結合部と出力軸8側の圧入部とは同一硬度になり、スプライン穴の破損を防止するために連結部材の硬度を高く設定すると、出力軸8の先端部24を圧入部に圧入する時に凹凸部25が破損してしまい、逆にこの凹凸部25の破損を防止するために連結部材の硬度を低く設定したときには、スプライン穴の破損が生じてしまうという問題点があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、出力軸と入力軸とを連結する連結部材を一体化して、部品点数及び作業工程を削減でき、また構造が簡単な連結部材を有するモータを得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るモータは、筒状のヨークと、このヨーク内の中心軸線上に回転自在に設けられた出力軸と、この出力軸に固定されたアマチュアと、前記出力軸に接続されているとともに出力軸の回転トルクが伝達される入力軸にも接続される連結部材とを備え、前記連結部材は、一端部に前記出力軸の先端部であって凹凸部が形成されていない該先端部が圧入、圧着された圧入孔を有するとともに、他端部に前記入力軸と係合する係合部を有しており、また主成分の鉄系金属にモリブデン、ニッケルが含有し焼入れ後の硬度が前記出力軸及び前記入力軸よりも高い燒結金属材料で構成され、前記圧入孔の内周面には軸線方向に延びた凹凸部が形成されている。
【0010】
また、この発明の請求項2に係るモータは、筒状のヨークと、このヨーク内の中心軸線上に回転自在に設けられた出力軸と、この出力軸に固定されたアマチュアと、前記出力軸に接続されているとともに出力軸の回転トルクが伝達される入力軸にも接続される連結部材とを備え、前記連結部材は、一端部に前記出力軸と係合した係合部を有しているとともに、他端部に前記入力軸の先端部であって凹凸部が形成されていない該先端部が圧入、圧着される圧入孔を有しており、また主成分の鉄系金属にモリブデン、ニッケルが含有し焼入れ後の硬度が前記出力軸及び前記入力軸よりも高い燒結金属部材で構成され、前記圧入孔の内周面には軸線方向に延びた凹凸部が形成されている。
【0012】
この発明の請求項3に係るモータでは、係合部はスプライン部と係合するスプライン穴である。
【0013】
この発明の請求項4に係るモータでは、係合部はスプライン穴と係合するスプライン部である。
【0014】
この発明の請求項5に係るモータでは、係合部は溝部と係合する凸部である。
【0015】
この発明の請求項6に係るモータでは、係合部は凸部と係合する溝である。
【0017】
この発明の請求項7に係るモータでは、モータはステアリングに回転力を伝達するステアリング装置用のモータである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の電動パワーステアリング装置用のモータについて説明するが、従来と同一または相当部材は同一符号を付して説明する。
図1はこの発明の実施の形態1のモータの側断面図である。
このモータ30は、円筒状のヨーク4と、このヨーク4内に対向して固定された4極の界磁永久磁石5と、ヨーク4の軸受収納部6に収納された第1の軸受7により一端が回転自在に支持された出力軸32と、この出力軸32に固定されたアマチュア9と、出力軸32の他端部に固定された整流子10と、この整流子10の表面にスプリング11の弾性力により当接したブラシ12と、このブラシ12を保持したブラシホルダ13と、ねじ14によりヨーク4と一体化されたハウジング15と、ハウジング15の中心部に固定され出力軸8の他端を回転自在に支持した第2の軸受16と、出力軸8の先端部に、圧入、固定され、また先端面が第2の軸受16に当接した連結部材31と、リード線19が貫通したグロメット20とを備えている。
アマチュア9は、軸線方向に延びた複数のスロットを有するコア21と、スロットに導線が重巻方式で巻回されて構成された巻線22とを備えている。
【0019】
図2は図1の連結部材31の側断面図であり、この連結部材31は、一端部に出力軸32の先端部33が圧入、圧着される圧入孔34を有しているとともに、他端部に圧入孔34よりも内径が大きく入力軸23とスプライン係合される係合部であるスプライン穴36を有している。
圧入孔34の内周全面には軸線方向に延びた凹凸部37が形成されている。
連結部材31は、主成分の鉄系金属にモリブデン、ニッケルが含有し焼入れ後の硬度が例えばHRC30の高い硬度の焼結金属材料で構成され、金型内で、加圧、高温下で燒結、形成される。
【0020】
上記構成のモータ30では、リード線19から整流子10に当接するブラシ12を介して電流を巻線22に供給することにより、アマチュア9は電磁作用により、出力軸32とともに回転する。この出力軸32の先端部は連結部材31の圧入孔34に圧入し、また連結部材31のスプライン穴36に入力軸23がスプライン結合されているので、出力軸32の回転トルクは入力軸23に伝達され、ステアリング29の操舵力のアシストに供される。
【0021】
この実施の形態では、連結部材31は燒結により一体に形成されており、従来のサポート17及びボス18の2部材から1部材に部品点数が削減される。また、サポート17とボス18とを圧入で結合させる必要性がなくなり、作業工程が削減できる。
また、出力軸32の先端部については、従来の出力軸8に必要とした凹凸部25の切削加工の作業工程が無くなるとともに、連結部材31の凹凸部37は連結部材31の燒結成形時に同時に成形され、わざわざ凹凸部37の切削加工の作業工程を設ける必要はない。
また、連結部材31の先端面は第2の軸受17に当接しており、第2の軸受17を介して出力軸32の軸線方向の移動は防止される。
【0022】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2の連結部材41の断面図であり、この連結部材41は、一端部に出力軸32の先端部33が圧入、圧着される圧入孔43を有するとともに、他端部に圧入孔43の内径よりも外径が大きく入力軸のスプライン穴とスプライン係合される係合部であるスプライン部42を有している。
圧入孔43の内周全面には軸線方向に延びた凹凸部44が形成されている。
この連結部材41は、実施の形態1の連結部材31と同一の材料で構成され、また同様の製造方法で製造される。
【0023】
実施の形態3.
図4(a)はこの発明の実施の形態3の連結部材51の側断面図、図4(b)は連結部材51に連結される入力軸55の正面図である。
連結部材51は、一端部に出力軸32の先端部33が圧入、圧着される圧入孔53を有するとともに、他端部に入力軸55の端面に形成された被係合部である溝部56に係合する係合部である凸部52とを有している。
圧入孔53の内周全面には軸線方向に延びた凹凸部54が形成されている。
この連結部材51も、実施の形態1の連結部材31と同一の材料で構成され、また同様の製造方法で製造される。
【0024】
実施の形態4.
図5(a)はこの発明の実施の形態4の連結部材61の側断面図、図5(b)は連結部材61に連結される入力軸65の正面図である。
連結部材61は、一端部に出力軸32の先端部33が圧入、圧着される圧入孔63を有するとともに、他端部に入力軸65の端面に形成された突起66に係合される係合部である溝部62を有している。
圧入孔63の内周全面には軸線方向に延びた凹凸部64が形成されている。
この連結部材61も、実施の形態1の連結部材31と同一の材料で構成され、また同様の製造方法で製造される。
【0025】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5の連結部材71の側断面図であり、この連結部材71は、一端部に入力軸72の先端部73が圧入、圧着される圧入孔74を有するとともに、他端部に圧入孔74よりも内径が大きく出力軸75がスプライン係合される係合部であるスプライン穴76を有している。
圧入孔74の内周全面には軸線方向に延びた凹凸部77が形成されている。
この連結部材71も、実施の形態1の連結部材31と同一の材料で構成され、また同様の製造方法で製造される。
なお、スプライン穴76の代わりに、出力軸の先端面の凸部と係合する係合溝であってもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の請求項1に係るモータによれば、筒状のヨークと、このヨーク内の中心軸線上に回転自在に設けられた出力軸と、この出力軸に固定されたアマチュアと、前記出力軸に接続されているとともに出力軸の回転トルクが伝達される入力軸にも接続される連結部材とを備え、前記連結部材は、一端部に前記出力軸の先端部であって凹凸部が形成されていない該先端部が圧入、圧着された圧入孔を有するとともに、他端部に前記入力軸と係合する係合部を有しており、また焼入れ後の硬度が前記出力軸及び前記入力軸よりも高い燒結金属材料で構成されているので、連結部材は燒結により一体に形成された簡単な構造であり、従来のサポート及びボスの2部材から1部材に部品点数が削減される。また、サポートとボスとを圧入で結合させる必要性がなくなり、作業工程が削減できる。
また、出力軸の先端部については、凹凸部が形成されていないので、従来の出力軸に必要とした凹凸部の切削加工の作業工程が無くなるとともに、連結部材の凹凸部は連結部材の燒結成形時に同時に成形され、わざわざ凹凸部の切削加工の作業工程を設ける必要はない。
また、圧入孔の内周面には軸線方向に延びた凹凸部が形成されているので、連結部材は出力軸、入力軸と確実、強固に結合される。
燒結金属材料は、主成分の鉄系金属にモリブデン、ニッケルが含有しているので、簡単に硬度の高い連結部材を得ることができる。
【0027】
また、この発明の請求項2に係るモータによれば、筒状のヨークと、このヨーク内の中心軸線上に回転自在に設けられた出力軸と、この出力軸に固定されたアマチュアと、前記出力軸に接続されているとともに出力軸の回転トルクが伝達される入力軸にも接続される連結部材とを備え、前記連結部材は、一端部に前記出力軸と係合した係合部を有しているとともに、他端部に前記入力軸の先端部であって凹凸部が形成されていない該先端部が圧入、圧着される圧入孔を有しており、また焼入れ後の硬度が前記出力軸及び前記入力軸よりも高い燒結金属部材で構成されており、さらに圧入孔の内周面には軸線方向に延びた凹凸部が形成されているので、請求項1と同様の効果を得ることができる。
また、燒結金属材料は、主成分の鉄系金属にモリブデン、ニッケルが含有しているので、簡単に硬度の高い連結部材を得ることができる。
【0029】
また、この発明の請求項3に係るモータによれば、係合部はスプライン部と係合するスプライン穴であるので、連結部材の係合部は簡単な構造で出力軸、入力軸と確実、強固に結合される。
【0030】
また、この発明の請求項4に係るモータによれば、係合部はスプライン穴と係合するスプライン部であるので、連結部材の係合部は簡単な構造で出力軸、入力軸と確実、強固に結合される。
【0031】
また、この発明の請求項5に係るモータによれば、係合部は溝部と係合する凸部であるので、連結部材の係合部は簡単な構造で出力軸、入力軸と確実、強固に結合される。
【0032】
また、この発明の請求項6に係るモータによれば、係合部は凸部と係合する溝であるので、連結部材の係合部は簡単な構造で出力軸、入力軸と確実、強固に結合される。
【0034】
また、この発明の請求項7に係るモータによれば、部品点数及び作業工程が削減され、また構造が簡単な連結部材を有する電動パワーステアリング装置用モータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の電動パワーステアリング装置用のモータの側断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態2の電動パワーステアリング装置用のモータの連結部材の側断面図である。
【図4】図4(a)はこの発明の実施の形態3の電動パワーステアリング装置用モータの連結部材の側断面図、図4(b)は入力軸の正面図である。
【図5】図5(a)はこの発明の実施の形態4の電動パワーステアリング装置用モータの連結部材の側断面図、図5(b)は入力軸の正面図である。
【図6】この発明の実施の形態5の電動パワーステアリング装置用モータの連結部材の側断面図である。
【図7】従来の電動パワーステアリング装置用のモータが用いられている様子を示す斜視図である。
【図8】図7の電動パワーステアリング装置用のモータの側断面図である。
【図9】図8の要部分解図である。
【符号の説明】
4 ヨーク、9 アマチュア、31,41,51,61,71 連結部材、32,75 出力軸、30 モータ、34,43,53,63,74 圧入孔、36,76 スプライン穴、37,44,54,64,77 凹凸部、42 スプライン部、52,66 凸部、55,65,72 入力軸、56,62 溝部。
Claims (7)
- 筒状のヨークと、このヨーク内の中心軸線上に回転自在に設けられた出力軸と、この出力軸に固定されたアマチュアと、前記出力軸に接続されているとともに出力軸の回転トルクが伝達される入力軸にも接続される連結部材とを備え、
前記連結部材は、一端部に前記出力軸の先端部であって凹凸部が形成されていない該先端部が圧入、圧着された圧入孔を有するとともに、他端部に前記入力軸と係合する係合部を有しており、また主成分の鉄系金属にモリブデン、ニッケルが含有し焼入れ後の硬度が前記出力軸及び前記入力軸よりも高い燒結金属材料で構成され、
前記圧入孔の内周面には軸線方向に延びた凹凸部が形成されているモータ。 - 筒状のヨークと、このヨーク内の中心軸線上に回転自在に設けられた出力軸と、この出力軸に固定されたアマチュアと、前記出力軸に接続されているとともに出力軸の回転トルクが伝達される入力軸にも接続される連結部材とを備え、
前記連結部材は、一端部に前記出力軸と係合した係合部を有しているとともに、他端部に前記入力軸の先端部であって凹凸部が形成されていない該先端部が圧入、圧着される圧入孔を有しており、また主成分の鉄系金属にモリブデン、ニッケルが含有し焼入れ後の硬度が前記出力軸及び前記入力軸よりも高い燒結金属部材で構成され、
前記圧入孔の内周面には軸線方向に延びた凹凸部が形成されているモータ。 - 係合部はスプライン部と係合するスプライン穴である請求項1または請求項2に記載のモータ。
- 係合部はスプライン穴と係合するスプライン部である請求項1または請求項2に記載のモータ。
- 係合部は溝部と係合する凸部である請求項1または請求項2に記載のモータ。
- 係合部は凸部と係合する溝である請求項1または請求項2に記載のモータ。
- モータはステアリングに回転力を伝達するステアリング装置用のモータである請求項1ないし請求項6の何れかに記載のモータ。
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