JPH09132880A - パイル布帛の染色方法 - Google Patents

パイル布帛の染色方法

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JPH09132880A
JPH09132880A JP7287562A JP28756295A JPH09132880A JP H09132880 A JPH09132880 A JP H09132880A JP 7287562 A JP7287562 A JP 7287562A JP 28756295 A JP28756295 A JP 28756295A JP H09132880 A JPH09132880 A JP H09132880A
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JP
Japan
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pile
dyeing
surfactant
aqueous solution
pile fabric
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JP7287562A
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English (en)
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Taiji Endo
泰司 遠藤
Yoshimasa Takagaki
義政 高垣
Tomoaki Kuramoto
知明 倉本
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Suminoe Textile Co Ltd
Original Assignee
Suminoe Textile Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パイル布帛にスクリーン捺染やインクジェッ
ト方式によってプリント染色を行うに当たり、パイルの
根元まで均一に着色できる手段を提供する。 【解決手段】 パイル布帛の少なくともパイル部分に界
面活性剤を含む水溶液を付与し、パイル部分の含水率が
パイル素材の公定水分率基準値よりも10重量%以上高
い状態においてプリント染色を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パイル布帛のパ
イル部分にスクリーン捺染やインクジェット方式による
プリント染色を行って所要の模様付けを行う染色方法に
関する。
【0002】
【従来技術とその課題】スクリーン捺染は、複雑な染色
織り技術によらず、プリント手法によって自由な絵柄を
比較的簡単に表現できることから、染色の一手段として
従来より広く行われている。また、近年においては、紙
用インクジェットプリンターによるテキスタイルプリン
トの検討も進んでいる。このインクジェット方式による
と、上記スクリーン捺染に必要であったトレース製版工
程や転写紙製作工程を省略できる上、更に多種多様な色
柄デザインの創出が可能になるという利点がある。
【0003】しかるに、上記のスクリーン捺染やインク
ジェット方式によるプリント染色をパイル布帛に適用し
た場合、色糊や染色インクがパイルの下部まで行き渡ら
ず、パイルの根元が着色されずに白場として残り易く、
このために製品の品位が著しく低下するという現象が認
められ、特にインクジェット方式では付与されるインク
量が少なく乾燥し易いために上記現象は顕著であった。
【0004】その対策として、スクリーン捺染において
は、従来より、色糊に浸透剤を加える、色糊の粘度を低
くする、スクリーンメッシュを粗くして開口率を上げ
る、スキージ径を大きくする、スキージングを繰り返し
行う等、色糊の付与量を多くする種々の試みがなされて
いるが、これらの方法では色糊をパイル全体に均一に付
着させることは困難である上、却ってむらや滲みによる
柄崩れを生じ易くなるという難点があった。
【0005】一方、インクジェット方式においては、プ
リント染色を行うパイル布帛に対する種々の前処理が検
討されている。例えば、特開平7−119046号公報
では、パイル布帛のパイル部をHLB(親水性−疎水性
バランス)11〜19の界面活性剤で処理することが提
案されている。また特開平7−119047号公報で
は、水溶性金属塩及びカチオン系化合物の少なくとも一
種と、非イオン性水溶性高分子と、非イオン界面活性剤
又は両性界面活性剤とを含有する処理液を布帛に含有さ
せることが提案されている。
【0006】しかしながら、上記前者の提案に係る界面
活性剤のみの前処理では、インク量の多くなる濃色領域
ではある程度の効果があるものの、インク量の少ない淡
色領域ではインクがパイルの根元まで行き渡らず、不満
足な結果となっていた。また後者の提案に係る前処理
は、布帛に対するインキの滲み防止には効果があるが、
パイル布帛に適用した場合にはパイルの根元までインキ
を充分に浸透させることができず、やはり満足な結果は
得られない。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明者らは、上述の
事情に鑑みて、パイル布帛にスクリーン捺染やインクジ
ェット方式によってプリント染色を行うに当たり、パイ
ルの根元まで均一に着色できる手段を究明すべく、鋭意
検討を重ねた。その結果、界面活性剤あるいはこれと糊
剤を含む水溶液にてパイル布帛の前処理を行い、この前
処理によるパイル布帛の水含有率が特定範囲にある状態
でプリント染色を行った場合に、色糊や染料インキが根
元部まで浸透し、滲みを生じることなくパイル全体か均
一に着色され、高品位のプリント製品が得られることを
見出し、この発明をなすに至った。
【0008】すなわち、この発明の請求項1に係るパイ
ル布帛の染色方法は、パイル布帛の少なくともパイル部
分に界面活性剤を含む水溶液を付与し、該パイル部分の
含水率がパイル素材の公定水分率基準値よりも10重量
%以上高い状態においてプリント染色を行うことを特徴
とするものである。このような方法によれば、プリント
染色の際にパイルの上部に付着した捺染色糊あるいは染
料インクが、該パイル部分に存在する界面活性剤と多め
の水分によってパイル下部へ効率よく浸透し、もってパ
イル全体が均一に着色し、更にパイル根元の基布面まで
着色され易くなる。
【0009】しかして、上記請求項1のパイル布帛の染
色方法において、請求項2の発明ではパイル布帛のパイ
ル部分に対する界面活性剤の付与量が0.1〜10重量
%の範囲にある構成、請求項3の発明では界面活性剤と
して非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤を併用す
ると共にHLB値を10以上に設定する構成、請求項4
の発明ではパイル部分の含水率がパイル素材の公定水分
率基準値よりも30重量%以上高い状態においてプリン
ト染色を行う構成をそれぞれ採用するため、いずれにお
いてもプリント染色の際の捺染色糊あるいは染料インク
の浸透がより良好となり、パイル全体がより均一に着色
することになる。
【0010】請求項5の発明は、上記請求項1〜4のい
ずれかのパイル布帛の染色方法において、パイル繊維が
ポリエステルよりなる構成を採用している。しかして、
ポリエステルは疎水性が高いことから、他の繊維材料か
らなるパイルに比較して元来プリント染色性に劣るが、
この発明では記述の前処理を行うためにパイル全体の均
一な着色が可能となる。
【0011】請求項6の発明では、上記請求項1〜5の
いずれかのパイル布帛の染色方法において、プリント染
色をスクリーン捺染によって行うが、記述の前処理によ
って少なくともパイル部分に界面活性剤と多めの水分を
有することから、従来のように色糊の被着量を多くする
措置を講ずることなくパイル全体の均一な着色を行える
と共に、色糊の被着量が多い場合に生じ易い滲みを回避
できる。
【0012】請求項7の発明では、上記請求項1〜5の
いずれかのパイル布帛の染色方法において、プリント染
色をインクジェットプリンターによって行うため、スク
リーン捺染で必要となるトレース製版工程や転写紙製作
工程を省略できると共に、極めて多種多様な色柄デザイ
ンの創出が可能になる。
【0013】請求項8の発明では、上記請求項7のイン
クジェットプリンターを利用するパイル布帛の染色装置
において、パイル布帛の少なくともパイル部分に付与す
る水溶液が、界面活性剤と共に糊剤を含むものであるこ
とから、プリント染色に際し、パイルの先端に付着した
染料インキが界面活性剤−水の存在によってパイルの根
元まで浸透すると共に、糊剤によって染料インキの滲み
が抑えられ、もってパイル全体に均一に着色して且つ滲
みのない鮮明なプリント画像が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明に係るパイル布帛の染色
方法は、既述のようにパイル布帛の少なくともパイル部
分に界面活性剤を含む水溶液を付与し、該パイル部分の
含水率がパイル素材の公定水分率基準値よりも10重量
%以上高い状態においてプリント染色を行うものであ
り、そのプリント手段としてスクリーン捺染やインクジ
ェット方式等を採用できる。
【0015】そして、この方法によれば、プリント染色
に際し、パイルの上部に付着した捺染色糊(スクリーン
捺染)あるいは染料インク(インクジェット方式)が、
該パイル部分に存在する界面活性剤と多めの水分によっ
てパイル下部へ効率よく浸透するため、パイル全体が均
一に着色し、更に基布面まで着色され易い上、滲みを生
じにくいという利点がある。従って、得られたプリント
染色物は、パイル根元に白場がなく、且つ平面状態と折
り状態との色濃度差が小さく、しかも絵柄の鮮明さに優
れた商品価値の高いものとなる。しかるに、例えば上記
水溶液の付与後の乾燥処理等によりプリント染色時のパ
イル部分に界面活性剤のみが存在する状態ないし含水率
が低過ぎる状態としたり、界面活性剤を付与せずに含水
率のみが上記の規定を満足するように設定した場合は、
色糊又は染料インクの浸透が不充分になり、パイルの根
元が白場として残ることが避けられない。
【0016】ここで、上記の公定水分率基準値は、周知
のように自然状態で繊維材料中に含まれる水分量の指標
として定められたものであり、例えば、ポリエステル繊
維ではポリエチレンテレフタレート繊維が0.4重量
%、ポリアミド繊維では6・6−ナイロンが4.5重量
%、レーヨン繊維では11.0重量%と、繊維材料の種
類によって異なっている。
【0017】この発明においては、パイル布帛に界面活
性剤を含む水溶液を付与する際、パイル部分の含水率が
そのパイル素材の公定水分率基準値よりも10重量%以
上、より好適には30重量%以上高くなるように設定す
るが、この含水率が規定値を下回る場合は色糊又は染料
インクの浸透が不充分になり、パイルの根元が白場とし
て残り易く、特にパイルの根元の基布面まで着色させる
ことは不可能になる。なお、この含水率の上限は、パイ
ル素材の種類に関わらず100重量%以下、好ましくは
80重量%以下、最適には60重量%以下とするのがよ
く、余りに高過ぎては滲みを生じ易くなる。
【0018】一方、界面活性剤は、上記含水率とした場
合の多めの水分が存在する状態において、プリント染色
時の色糊又は染料インクの浸透を著しく促進させるもの
である。従って、この界面活性剤を含む水溶液をパイル
布帛に付与しても、既述のように付与後に乾燥処理して
水分を除去ないし過度に揮散させてしまうと、プリント
染色時に界面活性剤の作用が充分に発揮されず、パイル
の根元まで均一に着色できなくなる。
【0019】上記の界面活性剤としては、特に制約はな
く、例えば、脂肪アルコール・エチレンオキサイド付加
物やアルキルフェノール・エチレンオキサイド付加物の
如き非イオン系界面活性剤、アルキルベンゼン酸ナトリ
ウムやアルキルスルフォサクシネートの如き陰イオン系
界面活性剤、アルキルアミン塩や第4級アンモニウム塩
の如き陽イオン系界面活性剤、アルキルベタインやアミ
ンオキシドの如き両性界面活性剤等、従来より繊維加工
に用いられている各種の界面活性剤をいずれも使用可能
であり、2種以上を併用してもよい。しかして、特にポ
リエステルパイルに対する濡れ性、均一付着性と分散染
料インクへの親和性、及び染着疎外を生じないという利
点より、非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤とを
HLB値が10以上になるように併用配合することが推
奨される。
【0020】パイル布帛のパイル部分に対する界面活性
剤の付与量は、パイル部分の重量に対して0.1〜10
重量%、特に好適には0.5〜5重量%の範囲とするの
がよく、少な過ぎては充分な効果が得られず、逆に多過
ぎてはプリント染色時の色糊や染料インクの浸透過度に
よる滲みを生じ易くなる。
【0021】なお、インクジェット方式によるプリント
染色では、ヘッドから噴射される染料インクの粘度が低
いため、プリント染色前に付与する水溶液が界面活性剤
のみを含むものである場合にやや滲み易くなる傾向があ
る。そこで、上記水溶液として界面活性剤と糊剤を含む
ものを使用することが推奨される。すなわち、この界面
活性剤と糊剤を含む水溶液をパイル布帛の少なくともパ
イル部分に付与すれば、界面活性剤と水分による染料イ
ンキの浸透作用が阻害されることなく、糊剤による滲み
防止作用が発揮され、パイル全体が均一に着色して且つ
非常に鮮明な染色画像(絵柄)のプリント染色物を得る
ことが可能となる。
【0022】このような糊剤としては、天然及び合成糊
剤の中から自由に選択できるが、特にアルギン酸ナトリ
ウム系糊剤とCMC(カルボキシメチルセルロース)系
糊剤が好適である。また、パイル布帛のパイル部分に対
する糊剤の付与量は、パイル部分の重量に対して0.1
〜5重量%、特に好適には0.5〜3重量%の範囲とす
るのがよく、少な過ぎては充分な滲み防止効果が得られ
ず、逆に多過ぎてはプリント染色時の染料インクの浸透
性が不充分になる。
【0023】パイル布帛のパイル素材としては、特に限
定されず、種々の合成繊維及び天然繊維を使用できる
が、特にポリエステル繊維を用いた場合にこの発明の適
用効果が大きい。すなわち、ポリエステル繊維は疎水性
が高いため、他の繊維材料からなるパイルに比較し、元
来色糊や染料インキの浸透性が悪くプリント染色性に劣
るが、この発明方法を採用すれば記述の前処理によって
パイル全体を確実に均一着色できる。
【0024】この発明において、プリント染色前のパイ
ル布帛に対して、予め既述の界面活性剤を含む水溶液、
又は特にインクジェット方式による染色を行う場合の界
面活性剤及び糊剤を含む水溶液を付与する手段として
は、特に限定されないが、例えばパッド法、浸漬法、ス
プレー法、コーティング法等を採用できる。また特にイ
ンクジェット方式による染色を採用する場合は、インク
ジェットブリンターのヘッドを利用して、染料インキに
よる表画の前に該ヘッドから前記水溶液をパイル布帛の
表面に噴霧して付与させることも可能である。しかし
て、これら水溶液は、必ずしもパイル布帛全体に付与し
なくてもよく、少なくともパイル部分に付与すればよい
が、パイル根元の基布表面まで着色して平面状態と折り
状態との色濃度差を極力少なくするにはパイル布帛全体
への付与が望ましい。
【0025】パイル部分の含水率を所要の値にするに
は、上記水溶液の付与手段に応じて適当な調整手段を採
用すればよく、例えばパッド法や浸漬法では付与後の絞
り度合(絞り回数、絞り率)等、スプレー法やコーティ
ング法では該水溶液の付与量等を、それぞれ調整するこ
とによって容易に目的とする含水率に設定できる。ま
た、必要とあれば、上記水溶液の付与後に適度の遠心脱
水、加熱乾燥、風乾等を行ってもよい。
【0026】
【実施例】次に、この発明の実施例を比較例と対比して
具体的に説明する。以下において部、%とあるのは、そ
れぞれ重量部、重量%を意味する。なお、実施例及び比
較例で用いたポリエステルパイルモケットのパイル素材
は公定水分率基準値0.4%のポリエチレンテレフタレ
ート繊維、ポリアミドパイルモケットのパイル素材は同
基準値4.5%の6・6−ナイロン繊維である。
【0027】実施例1 ポリエステルパイルモケット(おさ羽23羽/インチ、
打込み46本、目付0.6kg/インチ、パイル長2.
6mm)に対し、スルフォサクシネート/アルキルエー
テル配合界面活性剤(HLB値13)の5%水溶液をパ
ッド法により、1ディップ、1ニップ(絞り率50%)
で付与した。この付与後のパイル部分における含水率は
50%であり、界面活性剤の付与量は2.5%となって
いた。
【0028】次に、上記水溶液付与後のパイルモケット
に対し、分散染料(C.I.Dispers Blue
60)1部とCMC系糊剤(第一工業製薬社製のファ
インガムSAH…4.5%元糊)50部の配合に水を加
えて粘度4000cpsに調整した色糊を、80メッシ
ュのフラットスクリーンによってスクリーン捺染したの
ち、150℃で5分間乾燥し、次いで190℃で3分間
の発色を行い、更に常法にて還元洗浄し、プリント染色
物を得た。
【0029】比較例1 実施例1と同様のポリエステルパイルモケットに対し、
界面活性剤水溶液の付与を行うことなく、実施例1と同
様配合で粘度2000cpsに調整した色糊を、実施例
1と同様にしてスクリーン捺染し、乾燥、発色、還元洗
浄を行ってプリント染色物を得た。
【0030】比較例2 実施例1と同様にして界面活性剤水溶液の付与を行った
ポリエステルパイルモケットを120℃にて5分間乾燥
し、パイル部分における含水率を5%とした。そして、
この乾燥後のパイルモケットに対し、実施例1と同様に
してスクリーン捺染、乾燥、発色、還元洗浄を施し、プ
リント染色物を得た。
【0031】比較例3 実施例1と同様のポリエステルパイルモケットに対し、
水のみをパッド法によって1ディップ、1ニップで付与
し、パイル部分における含水率を50%に設定した。こ
の水付与後のパイルモケットに対し、実施例1と同様に
してスクリーン捺染、乾燥、発色、還元洗浄を施し、プ
リント染色物を得た。
【0032】実施例2 ポリアミドパイルモケット(おさ羽21羽/インチ、打
込み36本、目付0.6kg/インチ、パイル長2.8
mm)に対し、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ/
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル配合界面活
性剤(HLB値15)の5%水溶液をパッド法により、
1ディップ1ニップ(絞り率50%)で付与した。この
付与後のパイル部分における含水率は50%であり、界
面活性剤の付与量は2.5%となっていた。次に、この
水溶液付与後のパイルモケットに対し、酸性染料(C.
I.Acid Blue 80)1部、CMC系糊剤
(実施例1と同じ)50部、硫酸アンモニウム3部、尿
素2部の配合に水を加えて粘度4000cpsに調整し
た色糊を、80メッシュのフラットスクリーンによって
スクリーン捺染したのち、100℃で5分間乾燥し、次
いで120℃で10分間スチーミング発色を行い、更に
常法にて洗浄し、プリント染色物を得た。
【0033】比較例4 実施例2と同様のポリアミドパイルモケットに対し、界
面活性剤水溶液の付与を行うことなく、実施例2と同様
にしてスクリーン捺染し、乾燥、発色、洗浄を行ってプ
リント染色物を得た。
【0034】実施例3 実施例1と同様のポリエステルパイルモケットに対し、
スルフォサクシネート/アルキルエーテル配合界面活性
剤(HLB値13)5%とCMC系糊剤(実施例1と同
じ)0.1%を含む水溶液をパッド法により、1ディッ
プ1ニップで付与した。この付与後のパイル部分におけ
る含水率は60%であり、界面活性剤の付与量は3%、
糊剤の付与量は0.06%となっていた。次に、この水
溶液付与後のパイルモケットに対し、オンデマンド型サ
ーマルジェットプリンターを用い、分散染料インク(石
坂商事製のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の
プリントを行ったのち、190℃で5分間の固着、発色
を行い、更に常法にて還元洗浄し、プリント染色物を得
た。
【0035】実施例4 実施例1と同様のポリエステルパイルモケットに対し、
ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ/ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル配合界面活性剤(HLB値
15)5%とアルギン酸ナトリウム系糊剤(富士化学工
業社製スノーアルギンSSL)0.1%とを含む水溶液
をパッド法により、1ディップ1ニップで付与した。こ
の付与後のパイル部分における含水率は60%であり、
界面活性剤の付与量は3%、糊剤の付与量は0.06%
となっていた。次に、この水溶液付与後のパイルモケッ
トに対し、実施例3と同様にしてジェットプリンターに
よるプリントを行ったのち、固着、発色、還元洗浄を行
ってプリント染色物を得た。
【0036】実施例5 実施例1と同様のポリエステルパイルモケットに対し、
スルフォサクシネート/アルキルエーテル配合界面活性
剤(HLB値12)の5%水溶液をパッド法により、1
ディップ1ニップで付与した。この付与後のパイルモケ
ットのパイル部分における含水率は60%であり、界面
活性剤の付与量は3%となっていた。次に、この水溶液
付与後のパイルモケットに対し、実施例3と同様にして
ジェットプリンターによるプリントを行ったのち、固
着、発色、還元洗浄を行ってプリント染色物を得た。
【0037】比較例5 実施例1と同様のポリエステルパイルモケットに対し、
界面活性剤及び糊剤を含む水溶液の付与を行うことな
く、実施例3と同様にしてジェットプリンターによるプ
リントを行ったのち、固着、発色、還元洗浄を行ってプ
リント染色物を得た。
【0038】比較例6 実施例3と同様にして界面活性剤及び糊剤を含む水溶液
を付与したポリエステルパイルモケットを110℃にて
10分間乾燥し、パイル部分における含水率を5%とし
た。そして、この乾燥後のパイルモケットに対し、実施
例3と同様にしてジェットプリンターによるプリントを
行ったのち、固着、発色、還元洗浄を行ってプリント染
色物を得た。
【0039】比較例7 実施例1と同様のポリエステルパイルモケットに対し、
アルギン酸ナトリウム系糊剤(実施例4と同じ)の0.
1%水溶液をパッド法により、1ディップ1ニップで付
与した。この付与後のパイルモケットのパイル部分にお
ける含水率は40%であり、糊剤の付与量は0.04%
となっていた。次に、この水溶液付与後のパイルモケッ
トに対し、実施例3と同様にしてジェットプリンターに
よるプリントを行ったのち、固着、発色、還元洗浄を行
ってプリント染色物を得た。
【0040】比較例8 実施例1と同様のポリエステルパイルモケットに対し、
水のみをパッド法によって1ディップ1ニップで付与
し、パイル部分における含水率を50%に設定した。こ
の水付与後のパイルモケットに対し、実施例3と同様に
してジェットプリンターによるプリントを行ったのち、
固着、発色、還元洗浄を行ってプリント染色物を得た。
【0041】実施例6 実施例2と同様のポリアミドパイルモケットに対し、ド
デシルベンゼンスルフォン酸ソーダ/ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル配合界面活性剤(HLB値1
5)5%、アルギン酸ナトリウム系糊剤(実施例4と同
じ)0.1%、硫酸アンモニウム3%、尿素2%を含む
水溶液をパッド法により、1ディップ1ニップで付与し
た。この付与後のパイルモケットのパイル部分における
含水率は40%であり、界面活性剤の付与量は2%、糊
剤の付与量は0.04%となっていた。次に、この水溶
液付与後のパイルモケットに対し、実施例3と同様のジ
ェットプリンターを用いて、酸性染料インク(日本化薬
社製のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のプリ
ントを行ったのち、120℃で10分間スチーミング発
色を行い、更に常法にて洗浄してプリント染色物を得
た。
【0042】比較例9 実施例2と同様のポリアミドパイルモケットに対し、硫
酸アンモニウム3%と尿素2%のみで界面活性剤及び糊
剤を含まない水溶液をパッド法により、1ディップ1ニ
ップで付与したのち、実施例6と同様にしてジェットプ
リンターによるプリントを行ったのち、固着、発色、洗
浄を行ってプリント染色物を得た。
【0043】比較例10 実施例6と同様にして界面活性剤及び糊剤を含む水溶液
を付与したポリアミドパイルモケットを120℃にて5
分間乾燥し、パイル部分における含水率を5%とした。
そして、この乾燥後のパイルモケットに対し、実施例6
と同様にしてジェットプリンターによるプリントを行っ
たのち、固着、発色、洗浄を行ってプリント染色物を得
た。
【0044】比較例11 実施例2と同様のポリアミドパイルモケットに対し、ア
ルギン酸ナトリウム系糊剤(実施例4と同じ)0.1
%、硫酸アンモニウム3%、尿素2%を含む水溶液をパ
ッド法により、1ディップ1ニップで付与した。この付
与後のパイルモケットのパイル部分における含水率は4
0%であり、糊剤の付与量は0.04%となっていた。
次に、この水溶液付与後のパイルモケットに対し、実施
例6と同様にしてジェットプリンターによるプリントを
行ったのち、固着、発色、還元洗浄を行ってプリント染
色物を得た。
【0045】比較例12 実施例2と同様のポリアミドパイルモケットに対し、硫
酸アンモニウム3%と尿素2%のみを含む水溶液をパッ
ド法により、1ディップ1ニップで付与し、パイル部分
における含水率を40%に設定した。この水付与後のパ
イルモケットに対し、実施例6と同様にしてジェットプ
リンターによるプリントを行ったのち、固着、発色、還
元洗浄を行ってプリント染色物を得た。
【0046】以上の実施例及び比較例で得られた各プリ
ント染色物に付き、パイルの着色状態、平面状態と折り
状態の色濃度差、絵柄の鮮明度をそれぞれ調べた。その
結果を表1に示す。なお、上記の色濃度差は、上記実施
例及び比較例で得られた同一図柄のプリント染色物にお
ける図柄の同じベタ領域(設定図柄における無模様で色
変化のないベタ一色の領域)について、平面状態でのパ
イルモケット表面の光反射率を測定すると共に、パイル
側を表として同じ位置で2つ折りにした複数枚のパイル
モケットを折り縁部が一致するように密に重ね、この重
なった折り縁部にて構成される面の反射率を測定し、前
者の光反射率と後者の光反射率との差(ΔL)にて表し
た。また絵柄の鮮明度は、設定図柄中の細線のシャープ
さで判定した。
【0047】
【表1】
【0048】上表の結果から、この発明の染色方法によ
れば、プリント染色をスクリーン捺染とインクジェット
方式のいずれで行う場合でも、パイルの根元まで均一に
着色でき、特に平面状態と折り状態との色濃度の差が少
なく、且つ鮮明なプリント絵柄が得られることが明らか
である。これに対し、界面活性剤を含む水溶液による前
処理を行わなかったり(比較例4,5,9)、該前処理
を行ってもプリント染色前に乾燥処理してパイル部分の
含水率を過少としたり(比較例2,6,10)、糊剤の
みを含む水溶液にて前処理した(比較例7,11)場合
は、色糊ないし染料インクがパイルの根元まで行き渡ら
ず、根元に白場を生じ、平面状態と折り状態との色濃度
差が非常に大きくなるため、商品価値が著しく低下する
ことが判る。また、前処理なしでスクリーン捺染時の色
糊を低粘度にしたり(比較例1)、前処理で水のみを付
与して含水率を高めた(比較例3,8,12)場合は、
滲みを生じ易く鮮明な絵柄が得られないことが判る。な
お実施例3,4の対比より、インクジェット方式による
プリント染色では、滲みを確実に防止する上で前処理の
水溶液に糊剤を含むものを用いることが好ましいことが
示唆される。
【0049】
【発明の効果】請求項1の発明に係るパイル布帛の染色
方法によれば、プリント染色においてパイルの上部に付
着した捺染色糊あるいは染料インクが、該パイル部分に
存在する界面活性剤と多めの水分によってパイル下部ま
で効率よく浸透し、もってパイル全体が均一に着色し、
しかも滲みを生じにくいことから、パイル根元に白場が
なく、且つ平面状態と折り状態との色濃度差が小さい上
に、絵柄の鮮明さに優れた商品価値の高いプリント染色
物が得られる。
【0050】請求項2の発明によれば、上記の染色方法
において、パイル布帛のパイル部分に対する界面活性剤
の付与量を特定範囲に設定することから、プリント染色
時にパイル全体がより均一に着色して且つ滲みを生じ
ず、商品価値の高いプリント染色物がより確実に得られ
るという利点がある。
【0051】請求項3の発明によれば、上記の染色方法
において、界面活性剤として非イオン界面活性剤と陰イ
オン界面活性剤をHLB値が特定値以上になるように併
用するため、プリント染色時にパイル全体がより均一に
着色して且つ滲みを生じず、より商品価値の高いプリン
ト染色物が得られるという利点がある。
【0052】請求項4の発明によれば、上記の染色方法
において、パイル部分の含水率をパイル素材の公定水分
率基準値よりも30重量%以上高くするため、プリント
染色時にパイル全体がより均一に着色し、商品価値の高
いプリント染色物がより確実に得られるという利点があ
る。
【0053】請求項5の発明によれば、上記の染色方法
において、パイル繊維が疎水性の高いポリエステルより
なるにも関わらず、プリント染色時にパイル全体が均一
に着色し、パイル根元に白場がなく、且つ平面状態と折
り状態との色濃度差が小さい上に、絵柄の鮮明さに優れ
たプリント染色物が得られるという利点がある。
【0054】請求項6の発明によれば、プリント染色を
スクリーン捺染によって行う上記の染色方法において、
従来のように色糊の被着量を多くする措置を講ずること
なくパイル全体の均一な着色を行えると共に、色糊の被
着量が多い場合に生じ易い滲みを回避でき、もって高品
位のプリント染色物が得られるという利点がある。
【0055】請求項7の発明によれば、上記の染色方法
におけるプリント染色をインクジェト方式によって行う
ため、プリント染色時にパイル全体を均一に着色できる
ことに加え、スクリーン捺染で必要となるトレース製版
工程や転写紙製作工程を省略できると共に、極めて多種
多様な色柄デザインの創出が可能になるという利点があ
る。
【0056】請求項8の発明によれば、上記のプリント
染色をインクジェト方式によって行う染色方法におい
て、特に染色インクの滲みを確実に防止でき、とりわけ
画像の鮮明さに優れたプリント染色物が確実に得られる
という利点がある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パイル布帛の少なくともパイル部分に界
    面活性剤を含む水溶液を付与し、該パイル部分の含水率
    がパイル素材の公定水分率基準値よりも10重量%以上
    高い状態においてプリント染色を行うことを特徴とする
    パイル布帛の染色方法。
  2. 【請求項2】 パイル布帛のパイル部分に対する界面活
    性剤の付与量が0.1〜10重量%の範囲にある請求項
    1記載のパイル布帛の染色方法。
  3. 【請求項3】 界面活性剤として非イオン界面活性剤と
    陰イオン界面活性剤を併用すると共に、HLB値を10
    以上に設定する請求項1又は2に記載のパイル布帛の染
    色方法。
  4. 【請求項4】 パイル部分の含水率がパイル素材の公定
    水分率基準値よりも30重量%以上高い状態においてプ
    リント染色を行う請求項1〜3のいずれかに記載のパイ
    ル布帛の染色方法。
  5. 【請求項5】 パイル繊維がポリエステルよりなる請求
    項1〜4のいずれかに記載のパイル布帛の染色方法。
  6. 【請求項6】 プリント染色をスクリーン捺染によって
    行う請求項1〜5のいずれかに記載のパイル布帛の染色
    方法。
  7. 【請求項7】 プリント染色をインクジェットプリンタ
    ーによって行う請求項1〜5のいずれかに記載のパイル
    布帛の染色方法。
  8. 【請求項8】 パイル布帛の少なくともパイル部分に付
    与する水溶液が、界面活性剤と共に糊剤を含むものであ
    る請求項7記載のパイル布帛の染色方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007217806A (ja) * 2006-02-15 2007-08-30 Kawashima Selkon Textiles Co Ltd インクジェットパイル捺染法

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