JPH09132662A - 水架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体及びその製法 - Google Patents

水架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体及びその製法

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JPH09132662A
JPH09132662A JP13770896A JP13770896A JPH09132662A JP H09132662 A JPH09132662 A JP H09132662A JP 13770896 A JP13770896 A JP 13770896A JP 13770896 A JP13770896 A JP 13770896A JP H09132662 A JPH09132662 A JP H09132662A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高温耐熱性を有し、平均気泡径の小さく、外
観が優れるポリプロピレン系樹脂発泡体、高温耐熱性及
び柔軟性を有し、平均気泡径が小さく、外観が優れるポ
リプロピレン系樹脂ゴム成分含有発泡体及びそれら製造
方法を提供する。 【解決手段】 水と接触して架橋するシリル基を有する
シリル変性ポリプロピレン系樹脂を基材とする発泡体に
おいて、その平均気泡径が50μm以上150μm未
満、及びゲル分率を40%以上とした水架橋ポリプロピ
レン系樹脂発泡体及び、前記水架橋ポリプロピレン系樹
脂発泡体のシリル変性ポリプロピレン系樹脂に、ゴム成
分を5〜60重量%混合した混合物を基材とする発泡体
において、その平均気泡が50μm以上150μm未
満、ゲル分率を40%以上、25℃における補正引張弾
性率を100kg/cm2未満とした水架橋ポリプロピ
レン系樹脂発泡体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水架橋ポリプロピレ
ン系樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂発泡体は耐熱性、
剛性、引張強度、耐薬品性などの点でポリスチレン系樹
脂発泡体より優れているため、自動車内装用、家庭用
品、建材などの各種の用途に広く使用されている。ポリ
プロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂は溶融粘
度の温度依存性が大きく、融点以上に加熱した場合に溶
融粘弾性が小さいために、発泡剤を発泡させたときに発
生する発泡剤の分解ガスを溶融樹脂中に均一で微細な気
泡として分散した状態で包含させることができない。こ
のため、発泡に先立って溶融粘度の温度依存性を小さく
するとともに、溶融粘弾性を大きくする必要があるが、
このための方法として、発泡に先立って樹脂を架橋する
方法が知られている。ポリプロピレン系樹脂の架橋の方
法としては、化学架橋剤を用いる方法、電離放射線等を
用いる電子線架橋法及び水と接触して架橋するシリル基
を有するシリル変性ポリプロピレン系樹脂をシラノール
結合触媒と水の存在下で架橋を行なういわゆる水架橋法
が知られている。このようなポリプロピレン系樹脂の架
橋方法については、次のような問題点が指摘されてい
る。化学架橋剤による架橋法は成形時に架橋が進行して
成形を阻害する可能性があり、そして、発泡時には架橋
が遅れ、発泡ガスが逃散して十分な発泡が期待できな
い。電子線架橋法は使用する電子線照射装置が高価であ
り、また、均一な架橋度のものを得ることが難しい。従
来の水架橋法により製造された架橋発泡体は、高温耐熱
性、特に高圧条件下に使用したときの高温耐熱の点で十
分でなく、しかも、この水架橋の場合、得られる発泡体
は平均気泡径が150μm以上と大きいために、外観及
び感触の点及び高圧条件下での高温耐熱性(例えばスタ
ンピングモールド法のような180℃を越える溶融樹脂
を30〜70kg/m2の圧力で常温の架橋発泡体に押
し付けて加圧成形する際に該発泡体が破れない耐熱性)
等の点で劣るという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高温
耐熱性を有し、平均気泡径が小さく、外観が優れたポリ
プロピレン系樹脂発泡体、高温耐熱性及び柔軟性を有
し、平均気泡径が小さく、外観が優れたポリプロピレン
系樹脂ゴム成分含有発泡体及びそれらの製造方法を提供
することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために種々研究を重ねた結果、本発明を完成
するに至った。即ち、本発明によれば、水と接触して架
橋するシリル基を有するシリル変性ポリプロピレン系樹
脂を基材とする発泡体において、その平均気泡径が50
μm以上150μm未満、及びゲル分率が40%以上で
あることを特徴とする水架橋ポリプロピレン系樹脂発泡
体が提供される。又、本発明によれば、前記水架橋ポリ
プロピレン系樹脂発泡体のシリル変性ポリプロピレン系
樹脂に、ゴム成分を5〜60重量%混合した混合物を基
材とする発泡体において、その平均気泡径が50μm以
上150μm未満、ゲル分率が40%以上、25℃にお
ける補正引張弾性率が100kg/cm2未満であるこ
とを特徴とする水架橋ポリプロピ レン系樹脂発泡体
(但し、補正引張弾性率(E)は下記式(1)により E=ε(0.045/ρ)1.961 (1) ρ:発泡体密度(g/cm3) ε:密度ρの発泡体の25℃50%RHにおける引張弾
性率(kg/cm2) 求められる値である。)が提供される。又、本発明によ
れば、前記シリル変性ポリプロピレン系樹脂に、ゴム成
分を混合した混合物を基材とする発泡体において、ゴム
成分がシリル基を有するシリル変性ポリエチレン系重合
体であることを特徴とする水架橋ポリプロピレン系樹脂
発泡体が提供される。又、本発明によれば、シリル基を
有するシリル変性ポリプロピレン系樹脂を基材とし、こ
れとシラノール縮合触媒及び加熱分解型発泡剤からなる
混合物を発泡剤の分解温度より低い温度で加熱溶融混練
するとともに、溶融混練物中に存在するガスを除去して
実質上ガスを含有しない溶融混練物を生成させ、この溶
融混練物を成形し、得られた成形体を水架橋させ、次い
で前記発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させる水架
橋ポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法が提供され
る。尚、上記成形体のゲル分率は、加熱発泡によって低
下しないといえる。よって発泡体のゲル分率は、該発泡
体を得る成形体のゲル分率で40%以上とすることによ
り調整されるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の発泡体原料の基材である
シリル変成ポリプロピレン系樹脂(以下、SiPP樹脂
とを略記する)は、プロピレンホモポリマー又はプロピ
レン/α−オレフィン共重合体に水と接触して架橋する
シリル基を導入したものである。プロピレン/α−オレ
フィンランダム共重合体にシリル基を導入したものは、
得られる発泡体が耐熱性の点で多少劣り、得られる発泡
体の気泡径も小さくするのが難しいので原料樹脂として
はあまり好ましくない。上記ポリプロピレン系樹脂とし
ては、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンブロック
共重合体、エチレン/プロピレンランダム共重合体、ブ
テン/プロピレンランダム共重合体、ブテン/プロピレ
ンブロック共重合体、エチレン/プロピレン/ブテンラ
ンダム共重合体等が挙げられ、耐熱性等の理由により、
ポリプロピレン、プロピレン/α−オレフィンブロック
共重合体が特に好ましい。プロピレン/α−オレフィン
共重合体のα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン
−1の他、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−
ペンテン−1等の炭素数が2〜10のものが挙げられ
る。これらα−オレフィンのコポリマー中の含有量は、
重量%で、1〜30重量%、好ましくは4〜20重量%
である。SiPP樹脂には、シリル変性していないポリ
プロピレン系樹脂を含有させることができる。シリル変
性したポリプロピレン系樹脂とシリル変性していないポ
リプロピレン系樹脂の混合比は、重量比で60:40〜
100:0である。
【0006】本発明においては前記SiPP樹脂にゴム
成分を混合することが柔軟性良好な発泡体を得る上で好
ましい。上記ゴム成分としては、エチレン/プロピレン
ゴム、エチレン/ブテンゴム、エチレン/ペンテンゴ
ム、エチレン/ヘキセンゴム、エチレン/オクテンゴ
ム、エチレン/プロピレン/ジエンゴム、エチレン/ブ
タジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン
ゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、
エチレン/酢酸ビニル共重合体等が挙げられるが、この
中でもエチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレ
ン/ジエンゴム、エチレン/オクテンゴム、エチレン/
酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量4〜20重量
%)等のポリエチレン系重合体からなるゴム成分が好ま
しい。また、上記ゴム成分のSiPP樹脂中の含有量は
5〜60重量%、好ましくは15〜50重量%であり、
SiPP樹脂への混合方法は従来周知の方法が採用され
る。
【0007】更に、本発明の目的の一つである外観良好
な発泡体を得る上で、ゴム成分にシリル基を導入し、シ
リル変性したものを用いた場合は特に有効である。シリ
ル変性していないゴム成分をSiPP樹脂に混合したも
のと、シリル変性したゴム成分をSiPP樹脂に混合し
たものとを比較すると、得られる水架橋ポリプロピレン
系樹脂発泡体の気泡径において、シリル変性したゴム成
分を混合したものの方が数十%小さいものとなり、シリ
ル変性したゴム成分を用いる場合は特に好ましい。シリ
ル変性したゴム成分としては、ポリエチレン系重合体か
らなるゴム成分(以下、SiPEと略記する)が好まし
い。
【0008】SiPP樹脂のメルトインデックスは1〜
30g/10分、更に5〜20g/10分のものが好ま
しい。又、ゴム成分のメルトインデックスは1〜30g
/10分、更には5〜20g/10分のものが好まし
い。メルトインデックスが低すぎると発泡剤の分解を抑
制することが難しく、一方、メルトインデックスが高す
ぎると成形性が悪くなってしまう恐れがある。本発明に
て使用されるSiPP樹脂としては、SiPP樹脂単独
で使用する外に、SiPP樹脂とSiPEとの混合物、
SiPP樹脂とゴム成分との混合物を使用することもで
きる。これらの混合物として使用する場合は、両者のメ
ルトインデックスの差を5以下とすることが好ましい。
また、SiPP樹脂を、シリル変性していないポリプロ
ピレン系樹脂との混合物として使用することにより架橋
度すなわちゲル分率の調整が比較的容易に行なうことが
できる。
【0009】シリル変性ポリプロピレン系樹脂を基材と
した本発明の発泡体はセルサイズが小さく(150μm
未満)、そのためスタンピング成形時の耐熱性等が高
く、表面外観も良い。しかし、用途によっては、発泡体
の柔軟性、金型再現性やプッシュバック性に欠けるとこ
ろがあり、その対策として前記ゴム成分を添加する。こ
れらのうちシリル変性されていないゴム成分では、添加
量が多い程得られる発泡体のセルサイズが大きくなる傾
向にある。発泡体のセルサイズが大きくなりすぎると、
発泡体の耐熱性(特にスタンピングモールドの高温高圧
下)や外観が損なわれるために、十分な柔軟性が得られ
る程度に、ゴム成分を添加することができない場合があ
る。シリル変性されていないゴム成分の添加は大体20
重量%が限度である。多量(20重量%以上)にゴム成
分を添加する場合にはゴム成分がシリル変性されたもの
であれば、発泡体のセルサイズはほとんど変化無く、従
って耐熱性や外観を損なうことなく柔軟性のある発泡体
を得ることができる。また、本発明の目的、効果を阻害
しない範囲において、SiPP樹脂に低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等
のポリエチレン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン等
のスチレン系樹脂を35重量%以下混合することもでき
る。
【0010】前記SiPP樹脂及びSiPEは以下の方
法により得られる。SiPP樹脂はポリプロピレン系樹
脂とエチレン性不飽和シラン化合物を、又SiPEはポ
リエチレン系重合体とエチレン性不飽和シラン化合物
を、各々ラジカル発生剤及び酸化防止剤の存在下で反応
させることにより得ることができる。SiPP樹脂又は
SiPEにおけるシリル基の含有量は、通常、0.1〜
40重量%である。SiPP樹脂又はSiPEを得るた
めに用いるエチレン性不飽和シラン化合物としては、一
般式RSi(R’)nY3−n(ここで、Rはエチレン
性不飽和炭化水素基又はエチレン性炭化水素を含有する
基、R’は炭化水素基、Yは加水分解可能な有機基を表
わし、nは0、1又は2を表わす)で表わされるシラン
化合物が用いられる。具体的には、例えば、Rがビニ
ル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセ
ニル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル、R’
がメチル、エチル、プロピル、デシル、フェニル、Yが
メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プ
ロピオニルオキシである。特に好ましくは、CH2=C
HSi(OA)3 (ここで、Aは炭素数1〜8の炭化
水素基である)で表わされる化合物、具体的には、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランであ
る。
【0011】前記ラジカル発生剤としては、反応条件下
で前記ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系重合体
に遊離ラジカル部位を発生させることができるものであ
れば、任意の化合物を使用することができる。代表的な
ラジカル発生剤としては、ジクミルパーオキサイド、t
−ブチルパーオキシオクテート、ベンゾイルパーオキサ
イド等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、メチ
ルアゾイソブチレート等のアゾ化合物などが挙げられ
る。
【0012】前記ポリプロピレン系樹脂又はポリエチレ
ン系重合体に前記エチレン性不飽和シラン化合物を反応
させる際に前記ラジカル発生剤と共存させて用いられる
酸化防止剤としては、一般にプラスチックの酸化防止剤
として使用されているものが使用可能である。代表例と
しては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’
−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス
−〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、6−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)
−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジ
ン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)イソシアヌレート等のラジカル連鎖禁止
剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチ
オジプロピオネート、トリスノニルフェニルホスファイ
ト等の過酸化物分散剤等が挙げられる。
【0013】SiPP樹脂は、前記ポリプロピレン系樹
脂100重量部に対して前記シラン化合物を0.01〜
15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、前記ラジ
カル発生剤を0.01〜5重量部、好ましくは0.01
〜2重量部、および前記酸化防止剤を加え、反応させる
ことにより得られる。なお、その際の酸化防止剤の使用
量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して
0.01〜5重量部とするのが望ましい。SiPEは、
前記ポリエチレン系重合体100重量部に対して前記シ
ラン化合物を0.01〜15重量部、好ましくは0.1
〜10重量部、前記ラジカル発生剤を0.01〜5重量
部、好ましくは0.01〜2重量部、および前記酸化防
止剤を加え反応させることにより得られる。なお、その
際の酸化防止剤の使用量は、前記ポリエチレン系重合体
100重量部に対して0.01〜5重量部とするのが望
ましい。
【0014】SiPP樹脂のみを基材として得られる発
泡体はセルサイズが小さく(150μm未満)、その結
果スタンピング成形時の耐熱性を高くすることができる
ばかりでなく、表面の外観も良い。更に、発泡体として
の柔軟性、金型再現性及びプッシュバック性を十分向上
させようとするときには、SiPP樹脂にゴム成分、特
にSiPEを加えたものを基材として発泡化するとよ
い。特にゴム成分としてSiPEを選択することによ
り、得られる発泡体のセルサイズは殆ど変化させること
なく、又発泡体の耐熱性や外観を損うことなく、柔軟性
やプッシュバック性の改善を行うことができる。尚、S
iPP樹脂にシリル基によって変性されていないゴム成
分を加えたものを基材として発泡化する場合において
は、この添加量を多くすると発泡体の柔軟性、金型再現
性及びプッシュバック性は改善されるものの、発泡体の
セルサイズが大きくなる恐れがあり、セルサイズが大き
くなりすぎると発泡体の耐熱性(特にスタンピングモー
ルド時の高温高圧下での耐熱性)及び外観が損われるな
どの問題が生ずる可能性がある。よって、シリル基によ
って変性されていないゴム成分の添加量は20重量%を
越えないようにすることが好ましい。
【0015】一方、SiPEを用いる場合の添加量は基
材の5〜60重量%である。ゴム成分をSiPP樹脂に
添加することにより得られる柔軟性、金型再現性及びプ
ッシュバック性の指標としては補正引張弾性率E(kg
/cm2)を採用することができる。補正引張弾性率E
とは (力学的性質)=A(みかけ密度)B の関係から導き出される値である。具体的手法として
は、発泡体密度(みかけ密度)ρ(g/cm3)を横
軸、25℃、50%RH条件下での引張弾性率ε(kg
/cm2)を縦軸として、両対数グラフにプロットする
ことにより、得られるρとεとの直線関係の傾きが定数
Bとして与えられ、以下の式の関係が成り立つ。 E=ε(1/ρ)B そこで、本発明者らは架橋ポリプロピレン系樹脂の場
合、Bの値は1.961となることを上記両対数グラフ
より得られる直線関係から導き、更に密度0.045
(g/cm3)の発泡体に換算した引張弾性率として E=ε(0.045/ρ)1.961 なる経験式を得た。つまり、発泡体密度が異なる発泡体
同士の引張弾性率を比較する為に、発泡体密度0.04
5g/cm3に換算して比較するものである。尚、本発
明においては、εの値は押出方向(MD)と幅方向(T
D)の25℃、50%RH条件下で測定される引張弾性
率の平均値を採用する。本出願における第二発明におい
ては補正弾性率Eは100kg/cm2未満のポリプロ
ピレン系樹脂水架橋発泡体が採用される。Eの値が10
0kg/cm2以上のものは柔軟性が低く、金型再現性
及びプッシュバック性においても不十分なものでありE
の値を100kg/cm2未満のものとすることにより
柔軟性、金型再現性、プッシュバック性においても良好
なものが得られる。
【0016】本発明で使用するシラノール縮合触媒は、
シリル変性されたポリプロピレン系樹脂の間の脱水縮合
を促進するために触媒として使用しうるものであれば任
意のものが使用できる。例えば、ジブチル錫ジアセテー
ト、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレー
ト、酢酸第一錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、カ
プリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等のカルボン酸塩、
エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリ
ジン等の有機塩基、酢酸、オレイン酸、フタル酸、トル
エンスルホン酸等の有機酸、硫酸、塩酸等の無機酸を挙
げることができる。本発明における前記シラノール縮合
触媒の使用量は、前記SiPP樹脂又はSiPP樹脂と
ゴム成分との混合物からなる基材樹脂100重量部に対
して0.001〜10重量部、好ましくは0.1〜5重
量部である。
【0017】プロピレンのホモポリマー、プロピレン/
α−オレフィンの共重合体またはこれらの混合物からな
る分散媒にシラノール縮合触媒を高濃度に溶解させ、架
橋促進マスターバッチとし、前記基材樹脂とドライブレ
ンドして用いる。この際、基材樹脂に対する触媒量が所
定濃度となるようにする。基材樹脂と架橋促進マスター
バッチの混合割合は基材樹脂100重量部に対して、1
0から1重量部、好ましくは7から3重量部程度であ
る。
【0018】本発明で使用する発泡剤としては、プロピ
レン系樹脂又はエチレン系樹脂の発泡に適しているもの
として知られているいずれの化学発泡剤も使用すること
ができる。例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスホ
ルムアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテト
ラミン、ジアゾアミノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒ
ドラジド、P,P’−オキシビスベンゼンスルホニルヒ
ドラジド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ
テレフタルアミドなどがあり、これらの中では、安定性
及び分解温度の点からみて、アゾジカルボンアミドがも
っとも好ましい。これらの発泡剤は、一種のもののみを
単独で用いる他に、複数種のものを混合して用いること
も可能である。本発明における前記発泡剤の使用量は、
目的とする発泡体の密度により適宜選択され、具体的に
は前記SiPP樹脂又はSiPP樹脂とSiPE(さら
に他の樹脂、ゴム等を加えて発泡基材とする場合は、そ
れら発泡基材の合計量)100重量部に対して0.2〜
30重量部、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0019】SiPP樹脂、SiPP樹脂とSiPE、
又はSiPP樹脂とその他のゴム成分とシラノール縮合
触媒含有マスターバッチをドライブレンドし発泡剤と共
に加熱溶融混練を行うには押出機が用いられる。この操
作は水分や湿気ができるだけ混入介在しないようにしな
ければならない。これはポリプロピレン系樹脂に架橋を
生じさせないようにするためである。この加熱溶融混練
操作では空気のまき込みを防止すること、又は、微少量
にとどめること、発泡剤の分解を防止すること又は微少
量にとどめることが重要である。発泡剤の分解を抑える
にあたって、例えば、高温分解型発泡剤のアゾジカルボ
ンアミドを用いる場合にはアゾジカルボンアミドの分解
温度は205℃とされているが、プラスチックとの共存
下での分解は180℃から205℃の範囲でも生起す
る。そのためにはシリンダー内の温度は130〜180
℃、好ましくは140〜160℃程度の範囲に設定され
る。実験によると、発泡剤にアゾジカルボンアミドを用
いると、190℃を越すと分解気体の発生がはっきりと
観察され、200℃を超えると分解気体の発生量は急激
に上昇することが確認されており、加熱溶融混練操作に
おいて、発泡剤の分解温度よりも低い温度で操作し、発
泡剤の分解をできるだけ低く抑えることが必要である。
尚、本発明における加熱分解型発泡剤の分解温度とは、
分解開始温度ではなく図1のA点で示されるように分解
発生気体の急速な増加の終了温度とする。図1はアゾジ
カルボンアミド0.5gを液体パラフィン10mlとと
もに、毎秒2℃の割合で加熱したときの温度に対する発
生ガス量を調べ、その結果を示したものである。加熱溶
融混練操作の全体の温度制御は以下のように行われる。
SiPP樹脂、SiPP樹脂とSiPE、又はSiPP
樹脂とその他のゴム成分とシラノール縮合触媒含有マス
ターバッチをドライブレンドしたものの原料フィーダー
部分は比較的高温の170〜190℃程度、シリンダー
部分は140〜160℃程度、アダプター部分は170
〜190℃程度、Tダイス部分は160〜180℃程度
である。
【0020】一方、加熱溶融混練操作時の空気のまき込
みや予期せぬ事態により発泡剤の一部が分解することに
より存在せしめられた溶融混練物中のガスは、押出機途
中に設けられたベント口より真空ポンプにより十分に吸
引排出することができるようにすることが重要である。
この際の真空ポンプの真空度は350mmHg以下、好
ましくは250mmHg以下である。上記の通り、加熱
溶融混練操作時にまき込み空気を除去することや発泡剤
の分解を抑えることにより、結局、溶融混練物中にまき
込んだ空気及び/又は発泡剤の分解発生気体からなるガ
スが実質上存在しないものを生成することが必要であ
る。このことは加熱溶融混練操作では得られる成形体の
発泡度をできるだけ低く抑えるように操作することと同
様であり、加熱溶融混練工程で巻き取られたシート等の
成形体の発泡度(発泡剤及びその他の添加剤を含む原料
の密度/成形物の密度)は、好ましくは1.05未満、
さらに好ましくは1.02未満とする。
【0021】前記加熱溶融混練操作で得られるポリプロ
ピレン系樹脂成形体又はポリプロピレン系樹脂とゴム成
分との混合物成形体を、温水、熱水または水蒸気に曝露
することにより、ポリプロピレン系樹脂又はポリプロピ
レン系樹脂とゴム成分との混合物の水架橋が行われる。
60〜160℃、好ましくは100〜140℃程度の温
度での温水、熱水または水蒸気による曝露は5時間〜1
5分の時間の条件下に行なう。又、20〜60℃程度の
温度、相対湿度25〜80%の条件下でも5時間〜90
日で水架橋を行うことができる。架橋度の指標としては
ゲル分率が採用される。本発明の場合、発泡体のゲル分
率は40%以上、好ましくは50%以上、更に好ましく
は70〜85%とすることが望ましい。成形体のゲル分
率は、加熱発泡によって低下しないといえる。よって、
発泡体のゲル分率は、該発泡体を得る成形体のゲル分率
で40%以上とすることにより調整される。ゲル分率を
40%以下のものとすると発泡体の気泡径が大きくなる
ので、外観、感触及び耐熱性において劣ったものとな
る。一方、ゲル分率を生産性や伸び等の物性の悪化の理
由から、あえて100%に近いような高い値とする必要
はない。又、ゲル分率が50%以上ならば、発泡体気泡
径の調整が容易となり、更にゲル分率が70〜85%の
場合は、従来の架橋プロピレン系樹脂発泡体では得られ
ない耐熱性が得られ、発泡作用も阻害されることはな
い。ゲル分率の測定はキシレンを用いて発泡体サンプル
を沸騰キシレンの中で15時間抽出操作を行い、発泡体
サンプルの抽出残重量の抽出前重量に対する100分率
として求められるものである。架橋速度は成形体の厚み
及び温水、熱水または水蒸気の温度によって異なる。厚
みが薄いほど又温度が高いほど、架橋速度は速くなる。
100℃の熱水に浸漬する場合に、成形体の厚さが1m
mのときは30分〜1時間、成形体の厚さが2mmのと
きは2〜4時間である。120℃スチームのオートクレ
ーブ中では厚さ2mmの成形体では30〜50分であ
る。140℃スチームのオートクレーブ中では厚さ2m
mの成形体では10分〜30分である。
【0022】架橋したポリプロピレン系樹脂成形体を常
圧下で加熱し、未分解の発泡剤を完全に分解することに
より発泡操作を行うと、本発明で目的とする超微細気泡
の発泡体を得ることができる。加熱手段としては赤外
線、電熱器などの他、熱風炉、加熱液体浴を利用するこ
とができる。発泡は予熱及び発泡の2段階にて行うこと
が有効である。予熱は発泡剤の分解温度を超えない程度
に予備加熱を行う。具体的には加熱温度は200℃未満
好ましくは、135℃以上200℃未満に保たれる。次
の発泡では発泡剤の分解温度以上に加熱し、急激に発泡
させる。具体的には、200〜260℃、好ましくは2
20〜250℃の温度範囲で行われる。
【0023】上述の通り、本発明の水架橋ポリプロピレ
ン系樹脂発泡体は、SiPP樹脂、SiPP樹脂とSi
PE又はSiPP樹脂とその他のゴム成分を基材樹脂と
し、第一に分解型発泡剤及びシラノール縮合触媒と該基
材樹脂とを加熱溶融混練し、加熱発泡用の成形体を得る
際に分解型発泡剤の一部分解発生気体及び/又はまき込
み空気からなるガスを溶融混練物中から除去すること、
具体的には、例えば押出機を加熱溶融混練装置として使
用し、Tダイスから押出すことによりシート状の加熱発
泡用の成形体を得る際に押出機のベント口より該ガスを
吸引排出する前述の操作と、第二に加熱発泡用の成形体
のゲル分率を40%以上に調整すること、この二つの操
作の結合により平均気泡径が50μm以上150μm未
満の本発明の目的とする発泡体を得ることが可能とな
る。尚、発泡体を得る為の架橋工程や加熱発泡工程等は
従来の水架橋樹脂発泡体を得る工程と同様である。更に
詳述すると、溶融混練物中に存在するガスを除去して、
加熱発泡用の成形体を得ることにより、該成形体中に該
ガスにより発生する微細な気泡が極めて少ない、もしく
は、全く無いもの、発泡度で言えば好ましくは1.05
未満更に好ましくは1.02未満のものとすることがで
きる。このことにより、従来、加熱発泡用の成形体は微
細な気泡を多く含むもの、又は大きな気泡を含むもので
あったため、この成形体を含有される分解型発泡剤の分
解温度以上に加熱して発泡体を得ると、成形体中の気泡
が、気泡核として作用し、得られた発泡体の気泡径が大
きなものとなってしまったり、気泡径のばらつきが目立
つものとなり、外観、感触、高圧条件下での高温耐熱性
において十分なものではなかったが、本発明において
は、気泡核として作用する微細な気泡を数多く発生させ
ないように、又、大きな気泡を発生させないようにして
いる為、気泡径を小さくすることができるようになる。
加えて、本発明においては、加熱発泡用の成形体のゲル
分率を40%以上に調整することが必要であり、ゲル分
率を40%未満の場合は前述の通り、溶融粘弾性が小さ
くなることにより発泡時発泡体の気泡径が小さいものが
得られなくなる恐れがあり、結局本発明の目的を達成す
ることが難しくなる。
【0024】本発明における発泡体は平均気泡径が50
μm150μm未満、更に好ましくは50μm〜120
μmのものである。平均気泡径が50μm未満の場合は
気泡の強度が不十分なものとなり十分な伸びが期待でき
ず、熱成形性も不十分なものとなる可能性がある。一
方、平均気泡径が150μm以上の場合は、従来のもの
のように感触、外観、高圧条件下での高温耐熱性におい
て不十分なものとなる。また、本発明における発泡体の
密度は0.2〜0.02g/cm3のもの、厚み0.5
〜25mmのものが加熱成形性において優れている為好
ましい。
【0025】本発明の発泡体は特に発泡シートとして風
呂、シンク等の内張材や、自動車インパネ、自動車天井
材、自動車ドア等の自動車内装材等、熱成形性、耐熱
性、断熱性、柔軟性が求められる多くの用途に使用可能
である。特に、スタンピングモールド用の発泡シートと
して、好適なものであり、自動車内装材としての用途に
最適である。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を示す。
なお、実施例の発泡体の製造工程は次に示すとおりであ
る。SiPP樹脂、SiPP樹脂とSiPE、SiPP
樹脂とSiPE以外のゴム成分にシラノール縮合触媒含
有マスターバッチをドライブレンドし、発泡剤であるア
ゾジカルボンアミドと二軸押出機に供給し、加熱溶融混
練を行い、押出機先端に取付けた410mmのコートハ
ンガータイプTダイスより押出し、直後にピンチロール
によりシート成形体に成形した。得られたシートを水分
の存在下で架橋させ、この架橋されたシート成形体を加
熱炉内で発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡体を製造
した。又、比較例では比較対象として選定した基材を実
施例と同様に加熱溶融混練後、水架橋処理及び発泡化処
理を行った。得られた発泡体の平均気泡径、熱変形温
度、常温引張伸び、常温引張強度、常温引張弾性率の測
定法は以下のとおりである。 発泡体の平均気泡径の測定 発泡体の幅方向及び厚み方向の中心をセンターとして発
泡体の垂直断面中心部分を直方体形状に切り出し、該立
方体の正面、平面、右側面各々の切り出し断面を顕微鏡
にて観察し、1mm2内の気泡数を全て数え(但し1m
2の枠の上辺及び右辺にかかる気泡は数えない。)、
各断面の気泡数の総和を3で除して1mm2当りの平均
気泡数Xを求める。以下、下記式により平均気泡径を算
出する。
【数1】 発泡体の熱変形温度の測定 JIS K7206に準拠する。但し、おもり皿におも
りは乗せないものとする。 発泡体の常温引張強度、常温引張伸び及び常温引張弾性
率の測定 JIS K6767に準拠する。但し、25℃、50%
RHの条件下で引張速度は50mm/minとする。常
温引張強度及び常温引張伸びは押出方向(MD)と幅方
向(TD)との平均値として求めた。また、常温引張弾
性率においてMDとTDの平均値ε(kg/cm2)と
発泡体密度ρ(g/cm3)とを基に、E=ε(0.0
45/ρ)1.961の式に代入して密度0.045(g/
cm3)に換算した補正弾性率E(kg/cm2)を求め
た。
【0027】実施例1〜6 基材としてシリル変性プロピレンホモポリマー、シリル
変性エチレン/プロピレンブロックコポリマー、シリル
変性プロピレンホモポリマーと未変性のポリプロピレン
ホモポリマー混合物、又は、シリル変性エチレン/プロ
ピレンランダムコポリマーを用いた。加熱溶融混練工程
の加熱温度を190℃に設定し、溶融混練物中に存在し
たガスを250mmHgの減圧下に真空ポンプにより押
出機のベント口からできるかぎり排出し、2mm厚さの
シート成形体として巻取を行った。シートの発泡度は
1.010〜1.019であった。次に120℃のスチ
ーム中で2mmの厚さのシートを40分間恒湿恒温処理
をほどこして水架橋を行った。シートを24kwパネル
ヒーターを有する予熱ゾーンで190℃に加熱し、次に
36kwのヒーターを有する発泡工程で230℃の乾風
の存在下に発泡処理を行った。前記原料に対して得られ
たシート状発泡体の特性は表1に示すとおりである。又
原料に対して得られた発泡体の評価は表2に示すとおり
である。実施例において加熱溶融混練工程での発泡剤の
分解により発生したガス除去を行ったときにはいずれも
良好な結果を得ていることがわかる。尚、表2中の発泡
体の耐熱性、外観、成形性の評価は以下の基準に従っ
た。 〔耐熱性〕 スタンピングモールドを行ない成型体表面
の発泡体を観察する。 ◎:発泡体に破れ、しわが見られない ○:発泡体に多少しわが見られる △:発泡体に破れが見られる ×:発泡体が溶融しており大きな破れが見られる 〔外観〕 発泡体表面を目視により観察する ◎:表面にスキン層が形成され、気泡がほとんど確認さ
れない ○:表面から小さな気泡が確認される △:表面から大きな気泡が確認される ×:表面に大きな気泡による凹凸がある 〔成形性〕 シンクの内張材の成形を行ない可否につい
て評価した ○:良好な成形体が得られる △:一部厚みの薄い部分がみられるが成形可能である ×:成形不能である。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】比較例1、2 原料としてシリル変性ポリプロピレン系樹脂としてプロ
ピレンホモポリマーを用い、加熱溶融混練工程で溶融混
練物中に存在したガスを除去せず、架橋法として水架橋
法を行った場合(比較例1)、原料としてシリル変性ポ
リプロピレン系樹脂を使用せず、未変性のポリプロピレ
ンホモポリマーのみを用いて、水架橋を行わず、揮発性
発泡剤(ブタン)を使用し押出発泡法により無架橋ポリ
プロピレン発泡体シートを得た場合(比較例2)の結果
を比較例として表1及び2に併せて示した。これらの結
果から、シリル変性ポリプロピレン系樹脂及び発泡剤を
発泡剤の分解温度以下で加熱溶融混練し、溶融混練物中
に存在したガスの除去を行い、更にゲル分率を40%以
上とすることは、目的物質である発泡体の平均気泡径が
50〜150μmのポリプロピレン系樹脂発泡体を得る
ことに重要な役割をはたしてることがわかる。
【0031】比較例3 電子線架橋法を採用し、未変性のエチレン/プロピレン
ランダムコポリマー(エチレン含有量4.0重量%)及
び未変性の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)の混
合物を用いた場合の結果を比較例3として前記実施例の
結果を示す表1及び2に併せて示した。シリル変性ポリ
プロピレン系樹脂及び発泡剤を発泡剤の分解温度以下で
加熱溶融混練し、溶融混練物中に存在したガスの除去を
行い架橋法として水架橋法を用いた場合は電子線架橋に
よる方法に比較して耐熱性及び外観において良好である
ことがわかる。
【0032】実施例7 SiPP樹脂〔シリル変性エチレン/プロピレンブロッ
クコポリマー(エチレン含有量12重量%)とSiPE
〔シリル変性エチレン/酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニ
ル含有量15重量%)〕を、重量比8対2の割合で混合
した基材に、シラノール縮合媒体及び発泡剤を添加し
て、加熱温度を180℃に設定し、実施例1〜6と同様
に加熱溶融混練処理を行った。この処理において、溶融
混練物中に存在したガスを250mmHgの減圧下に真
空ポンプにより押出機ベント口からできるかぎり排出
し、2mm厚さのシート成形体として巻取を行った。シ
ートの発泡度は1.012であった。次に120℃のス
チーム中で2mmの厚さのシートを40分間恒湿恒温処
理をほどこして水架橋を行った。シートを24kwパネ
ルヒーターを有する予熱ゾーンで190℃に加熱し、次
に36kwのヒーターを有する発泡工程で230℃の乾
風の存在下に発泡処理を行った。前記基材に対して得ら
れたシート状発泡体の特性は表3に示すとおりである。
又、基材に対して得られた発泡体の評価は表3に示すと
おりである。実施例において加熱溶融混練工程でのガス
除去を行ったときにはいずれも良好な結果を得ているこ
とがわかる。尚、表3中の発泡体の柔軟性の評価はスタ
ンピングモールドを行ない、以下の基準に従った。 〔柔軟性〕 ○:金型再現性もよく、発泡体を指で押圧した際の跳ね
返りも良好である。 △:金型再現性は悪くないが、発泡体を指で押圧した際
の跳ね返りが不十分である。 ×:金型再現性が悪い。 なお、耐熱性は前記実施例1乃至6の場合の評価方法と
同じである。
【0033】実施例8〜10 SiPP樹脂と、SiPEとの混合比を、重量比で表3
に示す通りとする基材を使用した以外は実施例7と同じ
条件で処理をしてシート状発泡体を得た。この発泡体の
各試験結果を表3にまとめて示した。
【0034】実施例11 SiPP樹脂〔シリル変性エチレン/プロピレンブロッ
クコポリマー(エチレン含有量12重量%)〕とエチレ
ン/プロピレンゴム(プロピレン含有量27重量%)が
重量比で8対2の割合の混合物を基材として実施例7と
同じ条件により処理してシート状発泡体を得た。この発
泡体の評価結果を同じく表3にまとめて示した。
【0035】実施例12 SiPP樹脂〔シリル変性エチレン/プロピレンブロッ
クコポリマー(エチレン含有量12重量%)〕とエチレ
ン/酢酸ビニル共重量体(酢酸ビニル含有量15重量
%)が重量比で8対2の混合物を基材として、実施例7
と同じ条件により処理してシート状発泡体を得た。この
発泡体の評価結果を同じく表3にまとめて示した。
【0036】実施例13 SiPP樹脂とエチレン/酢酸ビニル共重量体が重量比
で7対3の混合物を基材とした以外は実施例12と同じ
条件により処理してシート状発泡体を得た。この発泡体
の評価結果を同じく表3にまとめて示した。
【0037】
【表3】
【0038】実施例7〜13の結果を比較すると以下の
ことがわかる。SiPP樹脂とSiPEの混合物を基材
とする発泡体(実施例7〜10)では、SiPP樹脂を
基材とする発泡体(実施例1〜6)及びSiPP樹脂と
シリル基によって変性されていないゴム成分との樹脂混
合物を基材とする発泡体(実施例11〜13)と比較す
ると、補正引張弾性率及び平均気泡径より発泡体のセル
サイズを格別変化させることなく、柔軟性を向上させる
ことができるものである。
【0039】
【発明の効果】本発明により得られるSiPP樹脂を基
材とする発泡体は、気泡が微細で、耐熱性、常温引張伸
び、成形性の点で優れており、外観の表面も滑かなスキ
ン層で光沢のあるものである。そして、前記SiPP樹
脂にゴム成分を加えた混合物を基材とする発泡体は、柔
軟性を向上できるものである。更に、前記SiPP樹脂
にSiPEを加えた混合物を基材とする発泡体は、セル
サイズが前記SiPP樹脂を基材とした発泡体の場合と
比較してほとんど変化無く、耐熱性や外観を損なうこと
なく、柔軟性を向上できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温分解型発泡剤(アゾジカルボンアミド)の
温度に対するガス発生量の関係を示す図である。
【符号の説明】
A 加熱分解型発泡剤の分解温度

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水と接触して架橋するシリル基を有する
    シリル変性ポリプロピレン系樹脂を基材とする発泡体に
    おいて、その平均気泡径が50μm以上150μm未
    満、及びゲル分率が40%以上であることを特徴とする
    水架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシリル変性ポリプロピレ
    ン系樹脂に、ゴム成分を5〜60重量%混合した混合物
    を基材とする発泡体において、その平均気泡径が50μ
    m以上150μm未満、ゲル分率が40%以上、25℃
    における補正引張弾性率が100kg/cm2未満であ
    ることを特徴とする水架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体
    (但し、補正引張弾性率(E)は下記式(1)により E=ε(0.045/ρ)1.961 (1) ρ:発泡体密度(g/cm3) ε:密度ρの発泡体の25℃50%RHにおける引張弾
    性率(kg/cm2) 求められる値である。)
  3. 【請求項3】 ゴム成分がシリル基を有するシリル変性
    ポリエチレン系重合体であることを特徴とする請求項2
    記載の水架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 シリル基を有するシリル変性ポリプロピ
    レン系樹脂を基材とし、これとシラノール縮合触媒及び
    加熱分解型発泡剤からなる混合物を発泡剤の分解温度よ
    り低い温度で加熱溶融混練するとともに、溶融混練物中
    に存在するガスを除去して実質上ガスを含有しない溶融
    混練物を生成させ、この溶融混練物を成形し、得られた
    成形体を水架橋させ、次いで前記発泡剤の分解温度以上
    に加熱して発泡させる水架橋ポリプロピレン系樹脂発泡
    体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9260577B2 (en) 2009-07-14 2016-02-16 Toray Plastics (America), Inc. Crosslinked polyolefin foam sheet with exceptional softness, haptics, moldability, thermal stability and shear strength
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