JPH09131592A - 湿式排煙脱硫排水の処理方法およびその装置 - Google Patents

湿式排煙脱硫排水の処理方法およびその装置

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JPH09131592A
JPH09131592A JP7290940A JP29094095A JPH09131592A JP H09131592 A JPH09131592 A JP H09131592A JP 7290940 A JP7290940 A JP 7290940A JP 29094095 A JP29094095 A JP 29094095A JP H09131592 A JPH09131592 A JP H09131592A
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desulfurization
iron
compound
fluorine
flue gas
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JP7290940A
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English (en)
Inventor
Takanori Kuwabara
隆範 桑原
Tadaaki Mizoguchi
忠昭 溝口
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】脱硫排水処理系でフッ素処理を困難とするフッ
化ホウ素(BF4~)のようなホウフッ化物を、効率的、
かつ経済的に分解除去できる湿式排煙脱硫排水の処理方
法を提供する 【解決手段】排ガス中に含まれる煤塵やガス状化合物を
水性吸収液を用いて除去する除塵塔と、除塵塔の後流側
に、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム
等の酸化物、炭酸塩等の化合物を含むスラリ吸収液によ
る吸収塔を備えた湿式排煙脱硫方法において、除塵塔の
吸収液循環タンクから抜き出した脱硫排水中に、水溶性
の鉄化合物を添加して脱硫排水中に含まれるフッ素化合
物を分解処理する工程を含む脱硫排水の処理方法および
それを実施する装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は湿式排煙脱硫排水の
処理方法に係り、特に、除去処理が困難とされる脱硫排
水中のフッ素化合物〔BF4イオン(−)等〕を分解除
去するのに好適な湿式排煙脱硫排水の処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】湿式排煙脱硫排水中に含まれる規制の対
象となる物質としては、フッ素、重金属およびCOD
(化学的酸素要求量)がある。このうち、フッ素と重金
属は、基本的には排水を中和処理することにより除去さ
れる。従来のフッ素と重金属の除去を目的とする脱硫排
水の処理方法の一例を、図4に示す。除塵塔の吸収液循
環タンクから抜き出された脱硫排水11は、必要に応じ
て第1の沈澱槽1でフライアッシュを分離除去した後、
第1の反応槽3に導入される。第1の反応槽3では、消
石灰〔Ca(OH)2〕を添加することによってpHを9
〜11に調整される。第1の反応槽3で生成したフッ化
カルシウム(CaF2)、石膏(CaSO4)等の沈澱物
は、第1の凝集槽4で凝集処理された後、第2の沈澱槽
5で汚泥として分離除去される。第2の沈澱槽5からの
流出排水を軟化槽9に導き、水酸化ナトリウム(NaO
H)および炭酸ナトリウム(Na2CO3)を添加して、
pHを10〜11に調整すれば、Caイオン(2+)を
炭酸カルシウム(CaCO3)として析出させることがで
きる。生成したCaCO3は、第2の凝集槽7で凝集処理
され、第3の沈澱槽8から汚泥として排出される。この
操作で、同時にフッ素の2次処理が行われ、脱硫排水中
のフッ素濃度は排出基準値である15ppm以下にまで
低減される。図5は、消石灰を使用しない脱硫排水の処
理方法の一例である。脱硫排水11は、第1の沈澱槽1
でフライアッシュを分離、除去した除塵塔の吸収液循環
タンクから抜き出された脱硫排水に対し、第1の反応槽
3で、水酸化ナトリウムおよび硫酸バン土を添加してp
Hを7付近に調整することにより、水酸化アルミニウム
〔Al(OH)3〕が析出する。Al(OH)3は、フッ素
(フッ化物)を吸着する特性を有するため、第2の沈澱
槽5で汚泥としてAl(OH)3を分離除去することによ
り、排水中のフッ素濃度は15ppm以下に低減され
る。第2の沈澱槽5からの流出排水に対して、さらに第
2の反応槽6で、NaOHおよび塩化第二鉄(FeCl3
6H2O)を添加して、pH9〜10に調整することに
より、溶解している重金属類を水酸化物として沈澱させ
ることができる。水酸化物は、第2の凝集槽7で凝集処
理した後、第3の沈澱槽8で汚泥として分離、除去され
る。しかし、排水中にホウフッ化物〔BF4イオン
(−)等〕が存在すると、この形態のフッ素化合物は、
上記のような中和処理だけでは除去することができない
という問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の湿式排煙脱硫排水の処理方法では、脱硫排水中にホウ
フッ化物〔BF4イオン(−)等〕が存在すると単なる
中和処理では除去できないという問題があった。
【0004】本発明の目的は、上記従来の湿式排煙脱硫
排水の処理方法における問題点を解消し、脱硫排水処理
系でフッ素処理を困難にするフッ化ホウ素〔BF4イオ
ン(−)〕のようなホウフッ化物を、効率的、かつ経済
的に処理することができる湿式排煙脱硫排水の処理方法
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、本発明は特許請求の範囲に記載のような構
成とするものである。すなわち、本発明は請求項1に記
載のように、排ガス中に含まれる煤塵やガス状化合物を
水性吸収液を用いて除去する除塵塔と、該除塵塔の後流
側に、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウ
ム、マグネシウムの酸化物、水酸化物および炭酸塩のう
ちから選ばれる少なくとも1種の化合物を含むスラリ吸
収液によって、排ガス中の硫黄酸化物を除去する吸収塔
を備えた湿式排煙脱硫方法において、上記除塵塔の吸収
液循環タンク内の脱硫排水中、もしくは上記循環タンク
から抜き出した脱硫排水中に、水溶性の鉄化合物を添加
して脱硫排水中に含まれるフッ素化合物を分解処理する
工程を含む湿式排煙脱硫排水の処理方法とするものであ
る。このように、水溶性の鉄化合物、例えば塩化鉄〔無
水物FeCl3、水和物FeCl3・6H2O等〕、硝酸鉄
〔無水物Fe(NO33、水和物Fe(NO33・6ま
たは9H2O等〕、硫酸鉄〔無水物Fe2(SO43、水
和物Fe2(SO43・nH2O、n=3〜12等〕など
の水溶性の鉄化合物を加えると、脱硫排水中に含まれる
フッ化ホウ素〔BF4イオン(−)〕等の化学的に安定
なフッ素化物を容易に分解し、鉄のフルオロ錯体〔Fe
Fイオン(2+)〕に変換することができ、このフルオ
ロ錯体は中和処理により沈澱除去することが可能であ
り、容易にフッ素化物を除去できる効果がある。また、
本発明は請求項2に記載のように、請求項1において、
鉄化合物を添加した脱硫排水をpH3以下、30℃以上
の温度に保持する工程を含む湿式排煙脱硫排水の処理方
法とするものである。このようにpHを3以下(高酸濃
度)とすると脱硫排水中のフッ化ホウ素〔BF4イオン
(−)〕は分解しやすくなるので、上記請求項1の共通
の効果に加え、フッ素化物の分解を一段と速くすること
ができ、フッ素化物の除去を促進できる効果がある。ま
た、本発明は請求項3に記載のように、請求項1または
請求項2において、鉄化合物を添加してフッ素化合物を
分解処理した脱硫排水に、アルカリを加えてpHを3〜
5に調整して、鉄分を水酸化鉄として沈澱、凝縮させ、
生じた水酸化鉄含有スラリを、除塵塔の吸収液循環タン
クの脱硫排水中、もしくは上記循環タンクから抜き出し
た脱硫排水中に添加してフッ素化合物を分解処理する工
程に循環使用する脱硫排水の処理方法とするものであ
る。このように、フッ素化合物を分解する鉄化合物を循
環使用することにより、フッ素化合物の分解槽の鉄イオ
ン濃度を高レベルに維持でき、補充する鉄化合物の量を
最小限に抑えることが可能となり、しかもフッ素化合物
の分解をいっそう促進できる効果がある。また、本発明
は請求項4に記載のように、請求項1ないし請求項3の
いずれか1項において、鉄化合物による処理後の脱硫排
水に、水酸化ナトリウムもしくは消石灰を添加して中和
処理を行い、脱硫排水に含まれるフッ素化合物の沈澱除
去を行う工程を含む湿式排煙脱硫排水の処理方法とする
ものである。このように、脱硫排水に鉄化合物を添加
し、フッ化ホウ素〔BF4イオン(−)〕を分解して鉄
のフルオロ錯体にした後の脱硫排水は、中和処理により
フッ素分を容易に沈澱させることができ、フッ素化合物
の除去を促進できる効果がある。また、本発明は請求項
5に記載のように、請求項1ないし請求項3のいずれか
1項において、鉄化合物による処理後の脱硫排水に、ア
ルミニウム化合物(硫酸アルミニウム等)と共に、水酸
化ナトリウムを添加して中和処理を行い、脱硫排水に含
まれるフッ素化合物の沈澱除去を行う工程を含む湿式排
煙脱硫排水の処理方法とするものである。このようにす
ると、脱硫排水中で沈澱し水酸化アルミニウムにフッ素
分が吸着されるので、フッ素化合物の除去を促進できる
効果がある。また、本発明は請求項6に記載のように、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の湿式排
煙脱硫排水の処理方法を実施する装置であって、除塵塔
の吸収液循環タンク内の脱硫排水中、もしくは上記循環
タンクから抜き出した脱硫排水中に、水溶性の鉄化合物
を添加する手段と、上記脱硫排水のpHを調整して鉄分
を水酸化鉄として沈澱、凝縮する手段と、、生じた水酸
化鉄含有スラリを、上記除塵塔の吸収液循環タンク内の
脱硫排水中、もしくは上記循環タンクから抜き出した脱
硫排水中に循環供給するパイプラインを少なくとも配設
した湿式排煙脱硫排水の処理装置とするものである。こ
のような構造の脱硫排水の処理装置とすることにより、
フッ素化合物を分解させる鉄化合物の循環使用が可能と
なり、補充する鉄化合物の量が少なくて済むので維持費
が安価となり、かつフッ素化合物の分解槽の鉄イオン濃
度を高レベルに維持でき、フッ素化合物の分解をいっそ
う促進できる効果がある。
【0006】本発明者らは、BF4イオン(−)のよう
なホウフッ化物イオンの生成および分解条件について鋭
意研究を進めた結果、ホウフッ化物イオンは、基本的に
はホウ素(B)およびフッ素(F)が排水中に共存する
と、低pH条件下(<3.0)で生成するが、Feイオ
ン(3+)が所定濃度以上に含まれるとホウフッ化物イ
オンは分解することを見出した。ダスト分離型の脱硫装
置において、除塵塔の吸収液は排ガス中の汚染物質を溶
解して強酸性(pH 1程度)となり、また、塩素、フ
ッ素、ホウ素、鉄、アルミニウム等が含まれている。そ
の含有量は、ボイラ燃料の種類によって異なるが、ホウ
素やフッ素に比較して、鉄、アルミニウム等の金属塩が
少ないとBF4イオン(−)のようなホウフッ化物を生
成する。本発明の湿式排煙脱硫排水の処理方法におい
て、除塵塔の吸収液循環タンクからの抜き出した排水
に、鉄化合物を添加すれば、次の(化1)式に示される
ような反応が進み、
【0007】
【化1】
【0008】BF4イオン(−)は分解される。なお、
FeFイオン(2+)のような鉄のフルオロ錯体として
存在するフッ素は、中和処理によって容易に沈澱除去さ
れる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の湿式排煙脱硫排水の処理
フローを、図1に示す。図に示すように、除塵塔の吸収
液循環タンクから抜き出した脱硫排水11は、第1の沈
澱槽1でフライアッシュ20が分離除去され、分解槽2
に導かれる。分解槽2では、必要に応じて硫酸、および
鉄化合物、例えば、塩化鉄(無水物FeCl3、水和物Fe
Cl3・6H2O等)、硝酸鉄(無水物Fe(NO33
水和物Fe(NO33・6または9H2O等)、硫酸鉄
(無水物Fe2(SO43、水和物Fe2(SO43・n
2O、n=3〜12等)などの水溶性の鉄化合物を添
加してフッ化ホウ素〔BF4イオン(−)〕を分解す
る。BF4イオンの分解処理後の脱硫排水11を、第1
の反応槽3に導き、ここで水酸化ナトリウム(NaO
H)などのアルカリを加えて、pHを3〜5に調整する
と、脱硫排水11中のFeイオン(3+)の大部分は水
酸化第二鉄(Fe(OH)3)となって沈澱する。反応槽
3からの流出排水を第1の凝集槽4に導き、必要に応じ
て高分子凝縮剤17を加えて、粗大ブロック化した後、
第2の沈澱槽5で水酸化第二鉄〔Fe(OH)3〕含有ス
ラリとして分離回収する。Fe(OH)3含有スラリは、
Fe(OH3)スラリ回収ライン12を通して分解槽2に
循環供給される。このように鉄分を分解槽2に循環させ
ることにより、分解槽2のFeイオン(3+)濃度は高
レベルに維持され、外部から補充する鉄化合物の量を最
小限に抑制することができる。フッ化ホウ素〔BF4
オン(−)〕状態のフッ素は、通常の方法では沈澱処理
ができないこと、また、これをアルミニウム化合物によ
ってpH2〜4において分解処理できることは既に知ら
れている(特公平5−10993号公報)。しかし、鉄化合物
によってBF4イオンを分解する方法はいまだ知られて
いない。また、添加する鉄化合物を循環使用する方法も
知られていない。BF4イオンは、アルミニウムイオン
によって分解されるが、アルミニウムを水酸化物として
沈澱させた場合、これにフッ素分も吸着されるため、B
4イオンの分解剤としてのアルミニウム化合物を循環
使用することはできない。これに対し、鉄化合物の添加
により生成するFe(OH)3は、フッ素分を吸着するこ
となしに沈澱するため、鉄化合物はBF4イオンの分解
剤として有効に循環使用することができるという優れた
特性を有するものである。鉄分を分離した脱硫排水は、
第2の反応槽6に導かれ、硫酸アルミニウム〔硫酸バン
土:(Al2(SO43〕と共に、NaOHを添加して、
7付近のpHに調整する。この操作により、析出した水
酸化アルミニウム〔Al(OH)3〕にフッ素分は吸着さ
れる。そして、第3の沈澱槽8で生じたフッ素分を吸着
したAl(OH)3は汚泥21として処理される。このよ
うに、BF4イオン(−)を含む脱硫排水であっても、
硫酸アルミニウムなどの使用量を低減した状態で、フッ
素分を有効に除去することができる。 なお、本発明の
脱硫排水の処理方法は、BF4イオンの分解に特徴を有
するのであり、その後段に位置するフッ素分の除去操作
によって制限を受けるものではない。また、上記のよう
にAl(OH)3と共に、フッ化カルシウム(CaF2)を
生じさせる様式として実施することもできるが、単に消
石灰〔Ca(OH)2〕を用いて中和処理する方法や、水
酸化マグネシウム〔Mg(OH)2〕を沈澱させ、これに
CaF2を吸着させる方法、さらにはCaF2を吸着したM
g(OH)2を原液に循環させるマグネシウム循環法など
を採用することも可能である〔白倉ほか、火力原子力発
電、vol.33,No.12,p.1319(1982)〕。なお、図
1では、除塵塔の吸収液循環タンクから抜き出した脱硫
排水11を、BF4イオン(−)専用の分解槽2に導
き、ここで鉄化合物を供給する方法のフローを示してい
るが、鉄化合物を除塵塔の吸収液循環タンク内に直接添
加して本発明の脱硫排水の処理方法とすることも可能で
ある。次に、脱硫プラントから採取した排水を試料溶液
として行った実験結果をもとに、本発明の脱硫排水の処
理方法をさらに詳しく説明する。
【0010】
【実施例】
〈実施例1〉表1は、実機脱硫プラントの排水の分析結
果を示したものであり、ダスト分離型の除塵塔の脱硫排
水についての性状を比較したものである。フッ素処理の
問題を経験した時のAプラントの排水はフッ化ホウ素イ
オン〔BF4イオン(−)〕を多量に含有しているが、
Bプラントの排水ではBF4イオンが全く検出されな
い。また、Bプラントの排水は、Aプラントの排水に比
較して全アルミニウム〔T−Alイオン(3+)〕濃度
(mg/L)が著しく高いのが特徴である。
【0011】
【表1】
【0012】〈実施例2〉図2は、Aプラントの排水に
塩化第二鉄をFeイオン(3+)として1000ppm
添加して、反応温度50℃で2時間保持した後における
BF4イオン(−)の残存濃度に及ぼすpHの影響を調
べたものである。BF4イオンは、本来pHが高いほど
生成し難いにもかかわらず、いったん生成したBF4
オンは高pH(低酸濃度)ほど高濃度で残存する。すな
わち、高pH条件ではBF4イオンは分解し難いことが
明らかである。これに対し、Feイオン(3+)を含有
させると共に、pHを1付近にすると、残存するBF4
イオン濃度は著しく低下する。この結果より、BF4
オンの分解に対する鉄化合物の添加効果は明らかであ
る。
【0013】〈実施例3〉図3は、pHが約1のAプラ
ントの排水にFeイオン(3+)を1000ppmを加
え、BF4イオン(−)の分解に及ぼす反応温度および
時間の影響を示したものである。反応温度50℃で2時
間反応させると、BF4イオンは消失する。これに対
し、30℃(室温)では6時間反応させてもBF4イオ
ンは残存する。したがって、実機脱硫プラントにおい
て、除塵塔の吸収液循環タンクから抜き出した脱硫排水
を処理した場合、鉄化合物をFeイオン(3+)として
1000ppm程度添加し、2時間程度の滞留時間を与
えればBF4イオンを定量的に分解することができるこ
とを示している。
【0014】
【発明の効果】本発明は請求項1に記載のように、ダス
ト分離型の脱硫装置の除塵塔の吸収液循環タンクにおい
て生成する脱硫排水中に、水溶性の鉄化合物を添加して
フッ素化合物を分解処理する工程を含む湿式排煙脱硫排
水の処理方法とするものである。このように、水溶性の
鉄化合物、例えば塩化鉄〔無水物FeCl3、水和物FeC
l3・6H2O等〕、硝酸鉄〔無水物Fe(NO33、水
和物Fe(NO33・6または9H2O等〕、硫酸鉄
〔無水物Fe2(SO43、水和物Fe2(SO43・n
2O、n=3〜12等〕などの水溶性の鉄化合物を加
えると、脱硫排水中に含まれるフッ化ホウ素〔BF4
オン(−)〕等のフッ素化物を容易に分解し、鉄のフル
オロ錯体〔FeFイオン(2+)〕に変換でき、これは
中和処理により沈澱除去が可能であり、容易にフッ素化
物を除去することができ、フッ素濃度を所期の値にまで
低減できる効果がある。また、本発明は請求項2に記載
のように、鉄化合物を添加した脱硫排水をpH3以下、
30℃以上の温度に保持する工程を含む脱硫排水の処理
方法とするものである。このようにpHを3以下(高酸
濃度)とすると脱硫排水中のフッ化ホウ素(BF4イオ
ン)は分解しやすくなるので、上記請求項1の共通の効
果に加え、フッ素化物の分解が一段と速くなり、フッ素
化物の除去が促進される効果がある。また、本発明は請
求項3に記載のように、鉄化合物を添加してフッ素化合
物を分解処理した脱硫排水に、アルカリを加えてpHを
3〜5に調整して、鉄分を水酸化鉄として沈澱、凝縮さ
せ、生じた水酸化鉄含有スラリを脱硫排水中に添加して
フッ素化合物を分解処理する工程に循環使用する脱硫排
水の処理方法とするものである。このように、フッ素化
合物を分解する鉄化合物を循環使用することにより、フ
ッ素化合物の分解槽の鉄イオン濃度を高レベルに維持す
ることができ、補充する鉄化合物の量を最小限に抑える
ことが可能となり、維持費が安価となると共に、フッ素
化合物の分解をいっそう促進できる効果がある。また、
本発明は請求項4に記載のように、鉄化合物による処理
後の脱硫排水に、水酸化ナトリウムもしくは消石灰を加
えて中和処理を行い、脱硫排水に含まれるフッ素化合物
の沈澱除去を行う工程を含む脱硫排水の処理方法とする
ものである。このように、脱硫排水に鉄化合物を添加
し、フッ化ホウ素〔BF4イオン(−)〕を分解して鉄
のフルオロ錯体にした後の脱硫排水は、中和処理により
フッ素分を容易に沈澱させることができ、フッ素化合物
の除去が促進できる効果がある。また、本発明は請求項
5に記載のように、鉄化合物による処理後の脱硫排水
に、アルミニウム化合物(硫酸アルミニウム等)と共
に、水酸化ナトリウムを添加して中和処理を行い、脱硫
排水に含まれるフッ素化合物の沈澱除去を行う工程を含
む脱硫排水の処理方法とするものである。このようにす
ると、脱硫排水中で沈澱し水酸化アルミニウムにフッ素
分が吸着されるので、フッ素化合物の除去を促進できる
効果がある。また、本発明は請求項6に記載のように、
除塵塔の吸収液循環タンク内の脱硫排水中、もしくは上
記循環タンクから抜き出した脱硫排水中に、水溶性の鉄
化合物を添加する手段と、上記脱硫排水のpHを調整し
て鉄分を水酸化鉄として沈澱、凝縮する手段と、、生じ
た水酸化鉄含有スラリを、脱硫排水中に循環供給するパ
イプラインを少なくとも配設した脱硫排水の処理装置と
するものである。このような構造の脱硫排水の処理装置
とすることにより、フッ素化合物を分解させる鉄化合物
の循環使用が可能となり、補充する鉄化合物の量が少な
くて済むので維持費が安価となり、かつフッ素化合物の
分解槽の鉄イオン濃度を高レベルに維持することがで
き、フッ素化合物の分解をいっそう促進できる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で例示した脱硫排水の処理
方法を示す系統図。
【図2】本発明の実施の形態で例示したBF4イオン
(−)濃度とpHの関係を示す図。
【図3】本発明の実施の形態で例示したBF4イオン
(−)濃度と反応時間の関係を示す図。
【図4】従来の脱硫排水の処理方法を示す系統図。
【図5】従来の脱硫排水の他の処理方法を示す系統図。
【符号の説明】
1…第1の沈澱槽 2…分解槽 3…第1の反応槽 4…第1の凝集槽 5…第2の沈澱槽 6…第2の反応槽 7…第2の凝集槽 8…第3の沈澱槽 9…軟化槽 11…除塵塔の吸収液循環タンクから抜き出した脱硫排
水 12…水酸化第二鉄〔Fe(OH)3〕スラリ回収ライ
ン 13…後処理系へ供給ライン 14…鉄化合物〔例えば、塩化第二鉄6水和物:FeC
3・6H2O〕 15…水酸化ナトリウム〔NaOH〕 16…硫酸アルミニウム〔硫酸バン土:Al2(SO4
3〕 17…高分子凝縮剤 18…消石灰〔Ca(OH)2〕 19…炭酸ナトリウム〔Na2CO3〕 20…フライアッシュ 21…汚泥〔Al(OH)3・フッ素分吸着〕 22…汚泥〔CaF2、CaSO4等〕 23…汚泥〔CaCO3〕 24…汚泥〔Al(OH)3、F〕 25…汚泥〔Fe(OH)3

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排ガス中に含まれる煤塵やガス状化合物を
    水性吸収液を用いて除去する除塵塔と、該除塵塔の後流
    側に、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウ
    ム、マグネシウムの酸化物、水酸化物および炭酸塩のう
    ちから選ばれる少なくとも1種の化合物を含むスラリ吸
    収液によって、排ガス中の硫黄酸化物を除去する吸収塔
    を備えた湿式排煙脱硫方法において、上記除塵塔の吸収
    液循環タンク内の脱硫排水中、もしくは上記循環タンク
    から抜き出した脱硫排水中に、水溶性の鉄化合物を添加
    して脱硫排水中に含まれるフッ素化合物を分解処理する
    工程を含むことを特徴とする湿式排煙脱硫排水の処理方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1において、鉄化合物を添加した脱
    硫排水をpH3以下、30℃以上の温度に保持する工程
    を含むことを特徴とする湿式排煙脱硫排水の処理方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、鉄化合
    物を添加してフッ素化合物を分解処理した脱硫排水に、
    アルカリを加えてpHを3〜5に調整して、鉄分を水酸
    化鉄として沈澱、凝縮させ、生じた水酸化鉄含有スラリ
    を、除塵塔の吸収液循環タンクの脱硫排水中、もしくは
    上記循環タンクから抜き出した脱硫排水中に添加してフ
    ッ素化合物を分解処理する工程に循環使用することを特
    徴とする湿式排煙脱硫排水の処理方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    おいて、鉄化合物による処理後の脱硫排水に、水酸化ナ
    トリウムもしくは消石灰を添加して中和処理を行い、脱
    硫排水に含まれるフッ素化合物の沈澱除去を行う工程を
    含むことを特徴とする湿式排煙脱硫排水の処理方法。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    おいて、鉄化合物による処理後の脱硫排水に、アルミニ
    ウム化合物と共に、水酸化ナトリウムを添加して中和処
    理を行い、脱硫排水に含まれるフッ素化合物の沈澱除去
    を行う工程を含むことを特徴とする湿式排煙脱硫排水の
    処理方法。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれか1項に
    記載の湿式排煙脱硫排水の処理方法を実施する装置であ
    って、除塵塔の吸収液循環タンク内の脱硫排水中、もし
    くは上記循環タンクから抜き出した脱硫排水中に、水溶
    性の鉄化合物を添加する手段と、上記脱硫排水のpHを
    調整して鉄分を水酸化鉄として沈澱、凝縮する手段
    と、、生じた水酸化鉄含有スラリを、上記除塵塔の吸収
    液循環タンク内の脱硫排水中、もしくは上記循環タンク
    から抜き出した脱硫排水中に循環供給するパイプライン
    を少なくとも配設してなることを特徴とする湿式排煙脱
    硫排水の処理装置。
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