JPH09130889A - 動電型スピーカ - Google Patents

動電型スピーカ

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JPH09130889A
JPH09130889A JP28545695A JP28545695A JPH09130889A JP H09130889 A JPH09130889 A JP H09130889A JP 28545695 A JP28545695 A JP 28545695A JP 28545695 A JP28545695 A JP 28545695A JP H09130889 A JPH09130889 A JP H09130889A
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Koichi Kuze
光一 久世
Shuji Saeki
周二 佐伯
Hiroyuki Takewa
弘行 武輪
Sawako Usuki
佐和子 薄木
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボイスコイルを効果的に冷却し、振動系の歪
の発生を抑えた動電型スピーカを提供することを目的と
する。 【解決手段】 センターポール2に外部と空室14とを
連通する貫通孔3を穿設し、下ヨーク1との間に隙間を
形成する板15を設け、駆動に伴って空室14の空気の
一部を、矢印aで示すように磁気ギャップを通過させて
外部に排除する。空室14の空気の残りを、貫通孔3
と、下ヨーク1と板15との間に形成された隙間を介し
て矢印aで示すように外部に排除して、空室14内の空
気圧の高まりを排除し、振動系の動きを歪のないものに
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高耐入力の動電型ス
ピーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高耐入力の動電型スピーカでは、
ボイスコイルを冷却する手段として空冷効果を利用した
ものがある。具体的には、実開昭62-89899号公報に構成
されている。
【0003】図7はこの従来技術を示している。1は下
ヨーク、1aは下ヨーク1の上面に設けられた溝、2は
下ヨーク1と一体のセンターポール、4は下ヨーク1の
上面に取り付けられた環状マグネット、5は環状マグネ
ット4の上面に取り付けられた上ヨーク、6はセンター
ポール2の外周部と上ヨーク5の内周部とで構成される
磁気ギャップ中に挿入されたボイスコイル、7はボイス
コイル6を巻き付け固定するためのボイスコイルボビ
ン、8は上ヨーク5に固着したフレーム、9は内周部を
ボイスコイルボビン7に固着し、外周部をフレーム8に
固着したダンパー、10はボイスコイルボビン7の先端
部に固着された振動板、11は内周部を振動板10に固
着し、外周部をフレーム8に固着したエッジ、12はフ
レーム8の外周部に固着されたガスケット、13は防塵
キャップ、14は防塵キャップ13の裏側と、センター
ポール2と、ボイスコイルボビン7の内周部とで構成さ
れる空室である。
【0004】上記構成において、ボイスコイル6に電気
信号が加えられると、ボイスコイル6に発生した駆動力
はボイスコイルボビン7に伝わり、防塵キャップ13と
振動板10を振動させる。その際、溝3を通して外部の
空気が出入りし、その空気が磁気ギャップを通り抜ける
ときにボイスコイル6が冷却される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の動電
型スピーカでは、空室14で発生する空気は、全て磁気
ギャップを通って流出、流入して、細隙である磁気キャ
ップの音響インピーダンスは大きなものとなり、その空
気流は振動系の動きを非直線性のものにし、スピーカの
再生音圧に大量の歪を発生させる原因となる。
【0006】また、磁気ギャップを通り抜けた空気流の
一部は、下ヨーク1に設けられた溝13を通して外部に
排除されるため、発生した空気流はボイスコイルボビン
7の内側のみ通過し、ボイスコイル6の線輪部の冷却に
寄与せず、冷却効果が低下する原因となる。
【0007】本発明はより効果的な冷却によりボイスコ
イルの温度上昇を抑え、かつ振動系の歪の発生を抑え、
高耐入力で大音量の再生が可能な動電型スピーカを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の動電型ス
ピーカは、センターポールと、磁気ギャップと、この磁
気ギャップ中に挿入されたボイスコイルと、前記ボイス
コイルを巻き付けたボビン先端部に固着した振動板と、
前記振動板の上面に固着した防塵キャップとによって構
成される空室とを備え、前記センターポールに外部と前
記空室とを連通する貫通孔を穿設し、下ヨークとの間に
隙間を形成する板を設け、駆動に伴って前記空室の空気
の一部を、前記貫通孔と、下ヨークと前記板との間に形
成された隙間を介して外部に排除し、駆動に伴って前記
空室の空気の残りを、前記磁気ギャップを通過させて外
部に排除することを特徴とする。
【0009】請求項1記載の動電型スピーカは、請求項
1において、管を介して容器を空室に連通させ、空室の
空気の一部を、前記管と前記容器により構成される共鳴
器で吸収することを特徴とする。
【0010】請求項3記載の動電型スピーカは、センタ
ーポールと、磁気ギャップと、この磁気ギャップ中に挿
入されたボイスコイルと、前記ボイスコイルを巻き付け
たボビン先端部に固着した振動板と、前記振動板の上面
に固着した防塵キャップとによって構成される空室とを
備え、前記センターポールに外部と前記空室とを連通す
る貫通孔を穿設し、下ヨークに対向して配設され下ヨー
クとの間に隙間を形成する容器を設け、前記空室と前記
容器を連通する管を設け、駆動に伴って前記空室の空気
の一部を、前記貫通孔と、下ヨークと前記容器との間に
形成された隙間を介して外部に排除し、駆動に伴って前
記空室の空気の一部を、前記磁気ギャップを通過させて
外部に排除し、駆動に伴って前記空室の空気の残りを、
前記管と前記容器により構成される共鳴器で吸収するこ
とを特徴とする。
【0011】請求項4記載の動電型スピーカは、請求項
2,請求項3において、管の外壁とセンターポールに設
けられた貫通孔との間に形成された隙間を介して空室の
空気の一部を外部に排除することを特徴とする。
【0012】請求項5記載の動電型スピーカは、請求項
4において、管とセンターポールに設けられた貫通孔と
のうちの少なくとも一方が、その出入口にむかって拡大
させてなる構造を持つことを特徴とする。
【0013】請求項6記載の動電型スピーカは、センタ
ーポールと、磁気ギャップと、この磁気ギャップ中に挿
入されたボイスコイルと、前記ボイスコイルを巻き付け
たボビン先端部に固着した振動板と、前記振動板の上面
に固着した防塵キャップとによって構成される空室とを
備え、前記センターポールに外部と前記空室とを連通す
る貫通孔を穿設し、下ヨークに対向して配設され下ヨー
クとの間に隙間を形成する容器を設けるとともに、前記
容器には、前記貫通孔と対向する位置に開口を穿設し、
駆動に伴って前記空室の空気の一部を、前記貫通孔と、
下ヨークと前記容器との間に形成された隙間を介して外
部に排除し、駆動に伴って前記空室の空気の一部を、前
記磁気ギャップを通過させて外部に排除し、駆動に伴っ
て前記空室の空気の残りを、前記容器により構成される
共鳴器で吸収することを特徴とする。
【0014】請求項7記載の動電型スピーカは、センタ
ーポールと、磁気ギャップと、前記磁気ギャップ中に挿
入されたボイスコイルと、前記ボイスコイルを巻き付け
たボビン先端部に固着した振動板と、前記振動板の上面
に固着した第1の防塵キャップによって構成される第1
の空室とを備え、前記センターポールに外部と前記空室
とを連通する貫通孔を穿設し、下ヨークとの間に隙間を
形成する板を設け、第1の防塵キャップの上面に間隔を
もって前記振動板に外周部分が固着されて第1の防塵キ
ャップとの間に第2の空室を形成する第2の防塵キャッ
プを設け、第1防塵キャップに取り付けられ第1の空室
と第2の空室を連通する管を設け、駆動に伴って第1の
空室の空気の一部を、前記貫通孔と、下ヨークと前記板
との間に形成された隙間を介して外部に排除し、駆動に
伴って第1の空室の空気の一部を、前記磁気ギャップを
通過させて外部に排除し、駆動に伴って第1の空室の空
気の残りを、第2の空室と前記管とで構成される共鳴器
で吸収することを特徴とする。
【0015】請求項1記載の動電型スピーカは、請求項
7において、第1の空室と第2の空室を連通する開口を
第1の防塵キャップに穿設して、管をなくしたことを特
徴とする。
【0016】したがって、本発明では、防塵キャップ背
面の空気の一部を、センターポールとプレートで構成さ
れる磁気ギャップを通過させ、他の残りの空気は磁気ギ
ャップを通過させることなく外に排除する、あるいは、
管と容器とで構成される共鳴器によって吸収することに
より、防塵キャップの背面の空気圧の上昇を防いで、振
動系の動きを歪ませることなく、かつ、ボイスコイルボ
ビンの内周部やボイスコイル線輪部の近傍を通過する空
気流により、スピーカに大入力を加えたときの、ボイス
コイルの発熱を空気流により冷却する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施の形態を図
1〜図6に基づいて説明する。なお、従来例を示す図7
と同様の作用をなすものには同一の符号を付けて説明す
る。
【0018】〔第1の実施の形態〕図1は〔第1の実施
の形態〕の動電型スピーカを示し、次の点が図7に示し
た従来の動電型スピーカと異なっている。
【0019】この〔第1の実施の形態〕の動電型スピー
カでは、センターポール2の中央に貫通孔3が穿設され
ている。また、下ヨーク1の下面にスペーサ16を介し
て下ヨーク1とは隙間を開けて板15が取り付けられて
いる。
【0020】下ヨーク1、センターポール2、環状マグ
ネット4、上ヨーク5、ボイスコイル6、ボイスコイル
ボビン7、フレーム8、ダンパー9、振動板10、エッ
ジ11、ガスケット12、防塵キャップ13、空室14
との相互の関係は図7で説明した従来例と同様である。
【0021】前記構成においてその動作を説明する。ボ
イスコイル6に電気信号を加えると、ボイスコイル6に
発生した駆動力はボイスコイルボビン7に伝達され、ボ
イスコイルボビン7の先端部に取り付けられた振動板1
0を上下に振動させる。振動板10の上に防塵キャップ
13が取り付けられているので、同時に防塵キャップ1
3も上下に振動する。
【0022】この防塵キャップ13の振動により、空室
14の空気の一部は矢印aのようにボイスコイルボビン
7の内周部と、センターポール2の外周部の間に構成さ
れる隙間を通り、ボイスコイル6の外周部を通過して、
ダンパー9を通してフレーム8の開口8aから外部に排
除される。かつ、空室14の空気の残りは矢印bで示す
ように、貫通孔3から下ヨーク1と板15との間の隙間
を通って外に排除される。
【0023】上記動作によって、矢印aの空気流はボイ
スコイル6の近傍を急速に流れて空冷効果によりボイス
コイル6の発熱を抑えることができる。また、ボイスコ
イルボビン7の内周部とセンターポール2との間に構成
される隙間の幅は、磁気ギャップの磁束密度を高くする
ためにかなり狭く設計されており、矢印aの空気流に対
する音響インピーダンスが高くなり、矢印aの空気流が
流れにくくなることによって、空室14の内部は空気圧
が高まるが、矢印bの空気流によって空室14の空気の
残りを外に排除できる。
【0024】したがって、防塵キャップ13と振動板1
0の動きが非線形となって、歪が発生するまでには空室
14の空気圧が高まることがなく、歪の発生を抑制でき
る。なお、貫通孔3と空室14の容積とでヘルムホルツ
の共鳴器が構成されて、その共振周波数においてスピー
カの再生音圧に乱れが発生する原因となるので、前記共
振周波数をスピーカの再生帯域外に設定する必要があ
る。
【0025】しかし、この貫通孔3の大きさは自由に変
更することができない。そこでこの実施の形態では、下
ヨーク1と下ヨーク1の下に設けられた板15との隙間
をスペーサ16によって調節して矢印bの空気流の量を
調整し、センターポール2の中央部に設けられた貫通孔
3の大きさを変更する必要がないので、スピーカの再生
音圧が乱れない。
【0026】〔第2の実施の形態〕図2は〔第2の実施
の形態〕を示す。この実施の形態では、図1に示した
〔第1の実施の形態〕の構成に管17と容器18および
吸音材19を付加したものである。この他は〔第1の実
施の形態〕と同様である。
【0027】管17は、一端が空室14で開口し、他端
は板15を貫通して開口している。管17の中間部は貫
通孔3を貫通している。容器18は板15の下面に連接
され管17の前記他端の開口に連通している。この容器
18の内部に吸音材19が入れられている。
【0028】上記構成において動作を説明する。ボイス
コイル6に電気信号を加えることにより防塵キャップ1
3と振動板10が上下に振動し、空室14の空気は、
〔第1の実施の形態〕と同じように矢印a,bのように
流れて外に排除される。
【0029】さらに、この実施の形態では、空室14の
空気の一部は矢印cで示すように、管17を通り容器1
8に入れられた吸音材19に吸収される。したがって、
矢印aの空気流がボイスコイル6の近傍を急速に流れる
ため、空冷効果によりボイスコイル6の発熱を抑えるこ
とができる。また、ボイスコイルボビン7の内周部とセ
ンターポール2との間に構成される隙間の幅が狭くなる
ことにより、矢印aの空気流に対する音響インピーダン
スが高くなり、矢印aの空気流が流れにくくなり、空室
14の内部の空気圧が高まるが、矢印bに示す空気流で
空室14の空気の一部を外に排除するので、空室14内
の空気圧の高まりを少なくして、防塵キャップ13と振
動板10の動きに歪が生じることを抑制することができ
る。
【0030】さらに、この実施の形態では、〔第1の実
施の形態〕にはない次のような効果が得られる。空室1
4の容積と貫通孔3とによってヘルムホルツの共鳴器が
構成され、矢印bの空気流に対して、その共振周波数f
1の付近での音響インピーダンスが高くなって、矢印b
の空気流が流れにくくなり、空室14の空気圧が上記の
共振周波数f1の付近で高まるが、管17と容器18に
よって起こる共鳴現象の共振周波数f2を、前記の共振
周波数f1に一致させることで、空室14内の空気圧を
矢印cの空気流により吸音材19に吸収するので、前記
共振周波数f1の付近での空室14の空気圧の高まりに
よる防塵キャップ13と振動板10の動きに歪が発生す
ることを抑制することができ、かつ、空室14の容積
と、センターポールの中央部に設けられた貫通孔3とに
よって起こる共振周波数でのスピーカの再生音圧の乱れ
を排除することができる。
【0031】〔第3の実施の形態〕図3は〔第3の実施
の形態〕を示し、〔第2の実施の形態〕とは次の点だけ
が異なっている。
【0032】〔第2の実施の形態〕では下ヨーク1の下
に隙間を開けて板15が取り付けたが、この〔第3の実
施の形態〕では板15を省略して、管17の太さを大き
くし、貫通孔3の太さを小さくしている。
【0033】これによって、管17とセンターポールに
設けられた貫通孔3と管17の外周部とで構成される隙
間の断面積を小さくしても、〔第2の実施の形態〕と同
等の効果が期待できる。かつ、板15を省略できること
から製造行程を減らすと同時に材料費を抑えることがで
きる。
【0034】〔第4の実施の形態〕図4は〔第4の実施
の形態〕を示し、〔第3の実施の形態〕とは次の点だけ
が異なっている。
【0035】この実施の形態では、貫通孔3と管17は
入口と出口の断面積をその外部に向かって徐々に広げら
れており、管17の入口と出口での空気流の乱れによ
る、振動系の歪の発生と、風切り音の発生を低減するこ
とができる。
【0036】なお、貫通孔3または管17の一方の入口
と出口の断面積を、その外部に向かって徐々に広げるだ
けでも、振動系の歪の発生と風切り音の発生の改善が確
認できた。
【0037】〔第5の実施の形態〕図5は〔第5の実施
の形態〕を示し、〔第3の実施の形態〕とは次の点だけ
が異なっている。
【0038】この実施の形態では管17を設けずに、容
器18と容器18の開口18aの大きさを調整すること
によりヘルムホルツの共鳴器を構成して、同等の効果を
期待できる。管17が省略されることにより、製造面に
おいても有効であり、かつ管17の入り口付近の空気流
の乱れによる振動系の歪の発生と、風切り音の発生を憂
慮する必要がなくなる。
【0039】〔第6の実施の形態〕図6は〔第6の実施
の形態〕を示し、上記の各実施の形態と同様のものには
同一の符号が付けられている。
【0040】20は防塵キャップ13の上面に固着した
キャップ、21は防塵キャップ13とキャップ20との
間に構成される空室、22は防塵キャップ13に固着さ
れた管で、一端は空室14で開口し他端は空室21で開
口している。23は空室21に入れられた吸音材であ
る。
【0041】上記構成においてその動作を説明する。ボ
イスコイル6に電気信号を加えることにより、防塵キャ
ップ13と振動板10とキャップ20および管22と
が、一体になって上下に振動する。防塵キャップ13の
振動により、空室14の空気は、一部は矢印gで示すよ
うにボイスコイルボビン7の内周部とセンターポール2
の外周部との間に構成される隙間を通り、ボイスコイル
6の外周部を通ってダンパー9より外に排除され、か
つ、一部は矢印hに示すように貫通孔3と、下ヨーク1
と下ヨーク1の下に設けられた板15との間の隙間を通
って外に排除され、かつ、残りは矢印iで示すように管
22を通り空室21に入れられた吸音材23に吸収され
る。
【0042】したがって、矢印gの空気流はボイスコイ
ル6の近傍を急速に流れるため、空冷効果によりボイス
コイル6の発熱を抑えることができる。また、ボイスコ
イルボビン7の内周部とセンターポール2とに間に構成
される隙間の幅が、急激に狭くなり、矢印gの空気流に
対する音響インピーダンスが高くなることによって、矢
印gの空気流が流れにくくなり、空室14内の空気圧が
高まるが、矢印hの空気流により、空室14内の空気圧
の高まりを外に排除するので、空室14内の空気圧の高
まりによって防塵キャップ13と振動板10の動きに歪
が生じることを抑制することができ、〔第1の実施の形
態〕と同様の効果が得られる。
【0043】また、空室14の容積と、センターポール
の中央部に設けられた貫通孔3とによって構成されるヘ
ルムホルツの共鳴器の共振により、矢印hの空気流に対
して、共振周波数付近における音響インピーダンスが高
くなり、前記共振周波数付近での空室14内の空気圧が
高まるのを、管22と空室21とによって起こる共鳴現
象の共振周波数を前記共振周波数に一致させて、矢印i
の空気流により空室21内の吸音材23に吸収し、前記
共振周波数付近での防塵キャップ13と振動板10の動
きの歪を排除することができ、かつ、スピーカの再生音
圧の乱れを取り除くことができる。
【0044】さらに、この実施の形態では、〔第2の実
施の形態〕のように下ヨーク1の下部に容器18がない
ので、実際にキャビネットに入れて使用する際に、キャ
ビネットの内容積の寸法に制約を与えることがない。
【0045】この実施の形態では、管22が防塵キャッ
プ13に取り付けられて空室21とで共鳴器を構成して
いたが、防塵キャップ13に空室14と空室21を連通
する開口を穿設して管22を無くしても、同様にして特
性の改善が期待できる。
【0046】
【発明の効果】以上のように本発明によると、防塵キャ
ップと、センターポールと、磁気ギャップに挿入された
ボイスコイルボビンとで構成される空室の空気を、一部
は磁気ギャップを通して外に排除し、かつ、一部は磁気
ギャップを通過させることなく外に排除するか、また
は、管と容器とで構成される共鳴器を用いて吸収するこ
とにより、ボイスコイルさらにはボイスコイルボビンの
近傍に空気を流し、ボイスコイルの発熱を効果的に抑制
し、ボイスコイルの温度上昇に伴う電気抵抗の上昇と焼
損とを防止するものである。
【0047】さらに、空気の外部へ排除量と、管と容器
とで構成される共鳴器による空気の吸収量を制御するこ
とにより、防塵キャップ裏の空室の空気圧の変化により
振動板と防塵キャップの動きを歪ませることがなく、高
耐入力で大音量でも音質劣化が少ないので、実用上きわ
めて有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の動電型スピーカの断面図で
ある。
【図2】第2の実施の形態の動電型スピーカの断面図で
ある。
【図3】第3の実施の形態の動電型スピーカの断面図で
ある。
【図4】第4の実施の形態の動電型スピーカの断面図で
ある。
【図5】第5の実施の形態の動電型スピーカの断面図で
ある。
【図6】第6の実施の形態の動電型スピーカの断面図で
ある。
【図7】従来の動電型スピーカの構造断面図である。
【符号の説明】
1 下ヨーク 2 センターポール 3 センターポールの中央部に設けられた貫通孔 4 環状マグネット 6 ボイスコイル 9 ダンパー 10 振動板 13,20 防塵キャップ 14,21 空室〔第1,第2の空室〕 15 板 16 スペーサ 17,22 管 18 容器 19,23 吸音材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 薄木 佐和子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センターポールと、磁気ギャップと、こ
    の磁気ギャップ中に挿入されたボイスコイルと、前記ボ
    イスコイルを巻き付けたボビン先端部に固着した振動板
    と、前記振動板の上面に固着した防塵キャップとによっ
    て構成される空室とを備え、 前記センターポールに外部と前記空室とを連通する貫通
    孔を穿設し、 下ヨークとの間に隙間を形成する板を設け、 駆動に伴って前記空室の空気の一部を、前記貫通孔と、
    下ヨークと前記板との間に形成された隙間を介して外部
    に排除し、駆動に伴って前記空室の空気の残りを、前記
    磁気ギャップを通過させて外部に排除する動電型スピー
    カ。
  2. 【請求項2】 管を介して容器を空室に連通させ、空室
    の空気の一部を、前記管と前記容器により構成される共
    鳴器で吸収してなる請求項1記載の動電型スピーカ。
  3. 【請求項3】 センターポールと、磁気ギャップと、こ
    の磁気ギャップ中に挿入されたボイスコイルと、前記ボ
    イスコイルを巻き付けたボビン先端部に固着した振動板
    と、前記振動板の上面に固着した防塵キャップとによっ
    て構成される空室とを備え、 前記センターポールに外部と前記空室とを連通する貫通
    孔を穿設し、 下ヨークに対向して配設され下ヨークとの間に隙間を形
    成する容器を設け、 前記空室と前記容器を連通する管を設け、 駆動に伴って前記空室の空気の一部を、前記貫通孔と、
    下ヨークと前記容器との間に形成された隙間を介して外
    部に排除し、駆動に伴って前記空室の空気の一部を、前
    記磁気ギャップを通過させて外部に排除し、駆動に伴っ
    て前記空室の空気の残りを、前記管と前記容器により構
    成される共鳴器で吸収する動電型スピーカ。
  4. 【請求項4】 管の外壁とセンターポールに設けられた
    貫通孔との間に形成された隙間を介して空室の空気の一
    部を外部に排出する請求項2,請求項3記載の動電型ス
    ピーカ。
  5. 【請求項5】 管とセンターポールに設けられた貫通孔
    とのうちの少なくとも一方が、その出入口にむかって拡
    大させてなる構造を持つ請求項4記載の動電型スピー
    カ。
  6. 【請求項6】 センターポールと、磁気ギャップと、こ
    の磁気ギャップ中に挿入されたボイスコイルと、前記ボ
    イスコイルを巻き付けたボビン先端部に固着した振動板
    と、前記振動板の上面に固着した防塵キャップとによっ
    て構成される空室とを備え、 前記センターポールに外部と前記空室とを連通する貫通
    孔を穿設し、 下ヨークに対向して配設され下ヨークとの間に隙間を形
    成する容器を設けるとともに、 前記容器には、前記貫通孔と対向する位置に開口を穿設
    し、 駆動に伴って前記空室の空気の一部を、前記貫通孔と、
    下ヨークと前記容器との間に形成された隙間を介して外
    部に排除し、駆動に伴って前記空室の空気の一部を、前
    記磁気ギャップを通過させて外部に排除し、駆動に伴っ
    て前記空室の空気の残りを、前記容器により構成される
    共鳴器で吸収する動電型スピーカ。
  7. 【請求項7】 センターポールと、磁気ギャップと、前
    記磁気ギャップ中に挿入されたボイスコイルと、前記ボ
    イスコイルを巻き付けたボビン先端部に固着した振動板
    と、前記振動板の上面に固着した第1の防塵キャップに
    よって構成される第1の空室とを備え、 前記センターポールに外部と前記空室とを連通する貫通
    孔を穿設し、 下ヨークとの間に隙間を形成する板を設け、 第1の防塵キャップの上面に間隔をもって前記振動板に
    外周部分が固着されて第1の防塵キャップとの間に第2
    の空室を形成する第2の防塵キャップを設け、第1防塵
    キャップに取り付けられ第1の空室と第2の空室を連通
    する管を設け、 駆動に伴って第1の空室の空気の一部を、前記貫通孔
    と、下ヨークと前記板との間に形成された隙間を介して
    外部に排除し、駆動に伴って第1の空室の空気の一部
    を、前記磁気ギャップを通過させて外部に排除し、駆動
    に伴って第1の空室の空気の残りを、第2の空室と前記
    管とで構成される共鳴器で吸収する動電型スピーカ。
  8. 【請求項8】 第1の空室と第2の空室を連通する開口
    を第1の防塵キャップに穿設して、管をなくした請求項
    7記載の動電型スピーカ。
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