JPH09129226A - 電池用水素吸蔵合金の処理方法 - Google Patents

電池用水素吸蔵合金の処理方法

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JPH09129226A
JPH09129226A JP7262885A JP26288595A JPH09129226A JP H09129226 A JPH09129226 A JP H09129226A JP 7262885 A JP7262885 A JP 7262885A JP 26288595 A JP26288595 A JP 26288595A JP H09129226 A JPH09129226 A JP H09129226A
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JP
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hydrogen storage
alloy
acid
storage alloy
battery
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JP7262885A
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Inventor
Noriyuki Negi
教之 禰宜
Hideya Kaminaka
秀哉 上仲
Tatsuo Nagata
辰夫 永田
Yukiteru Takeshita
幸輝 竹下
Koichi Kamishiro
光一 神代
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期活性度が高く、かつ自己放電が少ない長
期保存性に優れたNi−水素電池を構成できる水素吸蔵合
金を得る。 【解決手段】 Niを含有する水素吸蔵合金を、作動領域
がpH<6のpH緩衝液と非酸化性の酸 (例、塩酸、フ
ッ酸、またはこれらの混酸) との混合水溶液に浸漬処理
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Niを含有する電池
用水素吸蔵合金の処理方法に関し、より詳しくは初期活
性度が高く、自己放電の少ないNi−水素電池用の水素吸
蔵合金を得るための処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、携帯用AV機器の電源やコンピュ
ーターのメモリ・バックアップ用に用いる二次電池は、
Ni−Cd電池が主流である。しかし、Cdの公害問題、Cdが
亜鉛精錬の副産物という資源量制約の問題、そしてより
高容量の二次電池開発といった観点から、Cdの代わりに
水素吸蔵合金を負極材料 (厳密には負極の活物質) に用
いたNi−水素電池と呼ばれる二次電池が開発された。
【0003】Ni−水素電池は、Ni−Cd電池やNi−Zn電池
に比べて容量が高く、しかも電極に有害元素を含まない
という特長がある。そのため、Ni−水素電池は、携帯用
AV機器やコンピューターに使われ始め、また地球環境
問題から無公害車、省エネルギー車として利用が拡大し
つつある電気自動車用の二次電池としての利用も検討さ
れていることから、既に量産体制に入っている。
【0004】Ni−水素電池用の水素吸蔵合金として検討
されてきた主な合金系は、LaNi5 系やMmNi5 系 (Mmは希
土類金属混合物であるミッシュメタル) で代表されるA
5型の結晶構造をとる金属間化合物と、ZnV0.4Ni1.6
で代表されるAB2 型のラーベス相構造をとる金属間化
合物である。即ち、いずれもNiを主成分として含有す
る。実用化に関してはAB5 型水素吸蔵合金の方が進ん
でいるが、AB2 型水素吸蔵合金も高容量を示すので有
望である。
【0005】しかし、これらのNi−水素電池用の水素吸
蔵合金の量産が始まると、新たな問題点がいくつか浮上
してきた。その1つは、Ni−水素電池を構成した後の初
期活性化処理 (電池の放電容量を所定の定常値まで増大
させる処理) に非常に時間がかかり、生産性が著しく阻
害されることである。
【0006】現在行われている初期活性化処理は、低電
流で長時間の充電後に放電する処理(15〜20時間の充電
と数時間の放電) を所定の放電容量が得られるようにな
るまで数回繰り返すことからなる。このため、電池を組
み立ててから出荷するまでに初期活性化処理として工場
内で充電・放電を数日間にわたって繰り返す必要があっ
た。
【0007】この問題点を解決する手段として、水素吸
蔵合金の粒界制御により初期活性の向上を図ることが試
みられた。例えば、特開平3−219036号公報には、水素
吸蔵合金にホウ素を添加して粉化し易いホウ素リッチ相
を生成させ、粉化による比表面積増大により初期活性化
効率を向上させることが提案されている。しかし、これ
は合金の粉化を伴うため、Ni−水素電池の電池寿命(充
電・放電繰り返しサイクル寿命)が著しく低下する。従
って、このような手段で初期活性と電池寿命を両立させ
ることは困難である。
【0008】別の活性化手段として、電極を作製する前
に水素吸蔵合金を酸水溶液および/またはアルカリ水溶
液で処理する方法が知られている。例えば、特開平4−
179055号公報には、水素吸蔵合金を所定濃度範囲の酸性
水溶液中に所定時間浸漬すると、粉末表面の酸化物層が
除去され活性な合金が得られることが示されている。特
開平6−223827号公報には、急冷凝固法で作製した水素
吸蔵合金粉末を特定の酸水溶液中で浸漬処理することが
記載されている。特公平4−79474 号公報には、水素吸
蔵合金をアルカリ水溶液で処理すると、合金表面にNiリ
ッチな層が生成して合金活性が向上し、電池の過充電時
に発生する酸素ガスの吸収を円滑に行うことから電池寿
命も向上することが示されている。特開平3−152868号
公報および4−98760 号公報には、水素吸蔵合金をまず
酸性水溶液で処理して表面の酸化物を除去し、次にアル
カリ水溶液で処理して表面をポーラスな或いは粒界の多
い水酸化物皮膜で被覆すると、初期活性化効率が向上す
ることが示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
酸水溶液および/またはアルカリ水溶液で処理した水素
吸蔵合金粉末をNi−水素電池の負極に使用すると、自己
放電特性が悪影響を受け、充電後に長期保存をした時の
容量低下が大きくなるという問題があることが判明し
た。Ni−水素電池の使用状況下では、充電後に使用され
ずに放置されることは珍しいことではないので、この問
題はNi−水素電池の実用性を著しく低下させる。
【0010】本発明の目的は、Ni−水素電池に使用した
時に初期活性度が高く、かつ自己放電が少ない長期保存
性に優れた電池を作製することができる、水素吸蔵合金
の処理方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明は、Niを
含有する水素吸蔵合金を、作動領域がpH<6のpH緩
衝剤を含有する非酸化性酸水溶液に浸漬することを特徴
とする、水素吸蔵合金の処理方法である。
【0012】本発明者らは、Niを含有する水素吸蔵合金
(以下、単に水素吸蔵合金という)をNi−水素電池の負
極に使用した場合、電池の初期活性度は合金粉末表面の
酸化物量に依存し、自己放電量は合金粉末表面の水酸化
物量に依存することを確認した。即ち、酸化物が少ない
ほど初期活性度が高く、水酸化物が少ないほど自己放電
量が少なくなる。
【0013】このうち酸化物は、水素吸蔵合金粉末の製
造において行われる溶解、熱処理、粉砕の各工程で、合
金表面の金属が大気中の酸素や処理雰囲気中の酸素と反
応して形成されたものである。酸化物は導電性が悪いた
め、電池の初期活性度を低下させる。しかし、従来技術
で知られているように、酸化物は酸水溶液により除去で
きるので、酸水溶液で処理すると初期活性度は著しく向
上する。
【0014】一方、水酸化物は水素吸蔵合金をアルカリ
水溶液で処理した場合に合金表面に生成し、特にNi(OH)
2 が多く生成する。酸水溶液による処理では水酸化物は
生成しないと考えられてきたが、本発明者らは、酸処理
した水素吸蔵合金の表面にもNi(OH)2 が存在することを
突き止めた。
【0015】Ni(OH)2 はNi−水素電池の正極に用いられ
る物質であり、これが負極活物質である水素吸蔵合金に
付着すると、その部分で自己放電反応 (負極の蓄えた電
気が正極との放電反応以外の化学反応で消費されてしま
う反応) が起こる。そのため、水酸化物量が多いと、充
電後に長期保存する間に自己放電を起こして電池の放電
容量が低下するため、電池の長期保存性が悪化する。
【0016】以上より、本発明の目的を達成するには、
水素吸蔵合金を酸水溶液で処理して合金表面の酸化物を
除去し、その際に水酸化物の生成を抑制することが必要
であることが判明した。酸処理により酸化物を除去する
と電池の初期活性度が向上し、その際に水酸化物の生成
量が少ないと、自己放電による電池の長期保存性の低下
が防止できるからである。アルカリ水溶液による処理
は、多量の水酸化物を合金表面に生成させるため、Ni−
水素電池の長期保存性には不利である。
【0017】この知見に基づき、本発明者らは酸水溶液
による処理で合金表面に水酸化物、特にNi(OH)2 が生成
する理由について探究した。その結果、合金を酸水溶液
に浸漬している間、合金の最近傍では酸化物を溶解する
ために水素イオンが消費されてpHが高くなり、酸化物
の溶解により液中に溶出した金属イオンのうち特にNi
イオンは、pHが6以上になると水酸化物[Ni(O
H)] として再析出してくることを見出した。従っ
て、Ni−水素電池の長期保存性の低下を防ぐには、水素
吸蔵合金の酸処理中に酸水溶液のpHを6未満に制御し
てNi(OH)2 の再析出を防止すればよいことに気付き、前
述した本発明を完成したのである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてより詳しく
説明する。本発明の方法で処理対象となる水素吸蔵合金
は、Ni−水素二次電池用に用いられるAB5 型またはA
2 型等の合金であり、特にNiを構成元素として含有す
るものである。本発明の効果は合金組成には影響され
ず、Niを含有していればAB5 型、AB2 型等のいずれ
にも本発明方法を適用することができる。
【0019】AB5 型合金の例は、LaNix またはMmNix
(xは 4.7〜5.2)を基本組成とし、場合によりNiの一部を
Co、Mn、Al、Fe、Cr、Cu、V、Be、Zr、Ti、Moなどの1
種もしくは2種以上の元素で置換したものである。LaNi
x は高価である上、寿命低下も速いので、実用的にはMm
Nix の方が好ましい。Mmとは希土類元素の混合物であ
る。
【0020】AB2 型合金の例は、ZrNiy (yは 1.9〜2.
25) を基本組成とし、場合によりNiの一部をV、Mn、C
r、Co、Fe、Al、Mo、Cu、Beなどの1種もしくは2種以
上の元素で置換したものである。なお、これらは例示に
すぎず、他の組成のものも使用できる。
【0021】水素吸蔵合金の製造方法としては、通常の
インゴット法 (合金溶湯を鋳造して得たインゴットを粉
砕したもの) の他に、回転電極法、ロール急冷法、アト
マイズ法などの急冷凝固を利用した各種の方法が知られ
ている。本発明方法は、これらのいずれの方法で製造さ
れた水素吸蔵合金についても適用できる。このうち、ア
トマイズ法以外の方法で製造された水素吸蔵合金につい
ては、最終粒度まで粉砕してから本発明方法を適用して
酸水溶液に浸漬する方が、この粉砕過程で生成した酸化
物も除去できるため効果的である。また、急冷凝固法で
製造された水素吸蔵合金は、急冷中に生じた歪を除去す
るため、本発明の処理前に非酸化性雰囲気中で熱処理を
施すことが好ましい。
【0022】本発明による水素吸蔵合金の処理には、非
酸化性の酸の水溶液を用いる。水素吸蔵合金の製造およ
び粉砕過程で合金表面に生成する酸化物は、主にNi酸化
物と希土類酸化物 (AB5 型の場合) またはZr酸化物
(AB2 型の場合) である。酸水溶液で処理してこれら
の酸化物を合金表面から除去すると、電池の初期活性度
が著しく改善される。
【0023】本発明で使用するのに適した非酸化性の酸
の例は塩酸およびフッ酸である。非酸化性であれば、そ
の他の酸も使用でき、また2種以上の非酸化性の酸の混
酸を使用することもできる。硝酸や硫酸などの酸化性の
酸を使用すると、その酸化力により酸化皮膜が新たに生
成しやすく、合金の初期活性度を十分に改善することが
できない。
【0024】使用する酸水溶液には、作動領域がpH<
6のpH緩衝剤を含有させ、水溶液中のpHを常に6未
満に保持する。それにより、前述したように、酸水溶液
での処理中に水溶液中の合金の最近傍において、酸化物
の溶解に伴って水素イオンが消費されても、液のpHが
6以上に上昇する前にpH緩衝剤から水素イオンが供給
され、pHのそれ以上の上昇が阻止される。その結果、
pHが6以上に上昇するために起こるNi(OH)2 の再析出
が防止され、電池を構成した場合の自己放電が抑えら
れ、電池の長期保存性が向上するのである。
【0025】pH緩衝剤とはpH緩衝液の調製に用いら
れる試薬のことであり、pH緩衝液とは、周知のよう
に、ある程度の酸や塩基の添加 (或いは水素イオンまた
は水酸イオンの消費) があってもpHをほぼ一定に保持
できる溶液のことである。一般に、pH緩衝液は塩基ま
たは酸 (特に弱塩基または弱酸) とその塩の混合物を含
有する溶液からなり、従って、pH緩衝剤は塩基または
酸とその塩との混合物である。よく知られたpH緩衝液
として、クラーク・ルーブズ(Clark-Lubs)、ミカエリス
(Michaels)、セーレンセン(Soerensen) 、コルトフ(Kol
thoff)、ブリトン・ロビンソン(Britton-Robinson)など
の緩衝液がある。緩衝剤中の塩基または酸とその塩との
混合比は、モル比で1:1の時に液の緩衝作用が極大に
なるため、その周辺の混合比のものが望ましい。
【0026】本発明で使用する緩衝剤としては、pHが
6以上で起こりうるNi(OH)2 の生成を防止するため、p
H<6の領域で作動する (緩衝効果を持つ) ものを使用
する。このような緩衝剤の例としては、 KCl-HCl、フタ
ル酸水素カリウム-HCl、酒石酸ナトリウム-酒石酸、乳
酸ナトリウム-乳酸、クエン酸ナトリウム-HCl、クエン
酸カリウム-クエン酸、クエン酸二水素カリウム-HCl、
グリシン+NaCl-HCl等が挙げられる。作動領域がpH<
6であればその他の緩衝液も使用できる。また、作動領
域がpH<6の部分からpH≧6の部分までに及んでい
るpH緩衝剤も使用可能である。好ましいpH緩衝剤
は、pH<5以下の領域で作動するものである。
【0027】酸水溶液に含有させるpH緩衝剤は、その
作動領域内に使用する酸水溶液のpHが含まれている
か、またはその作動領域が使用する酸水溶液のpHより
高くなることが、pH緩衝作用を効果的に利用できるこ
とから好ましい。緩衝剤の作動領域が酸水溶液のpHよ
り高い場合、一時的に緩衝作用は弱くなるが、前述のよ
うに水素吸蔵合金を酸処理すると合金表面の近傍ではp
Hが上昇して、液のpHが緩衝剤の作動範囲に入ってく
ることにより緩衝作用を効果的に発揮し、目的とする6
以上へのpH上昇を防止することができる。
【0028】本発明の処理に用いる酸水溶液は、市販の
試薬特級もしくは1級またはそれと同程度の濃度の非酸
化性の酸の原液 (通常、塩酸で35〜36%、フッ酸では44
〜46%) を水 (脱イオン水が好ましい) で希釈し、次い
で緩衝剤成分 (または高濃度の緩衝液) を添加するか、
或いは酸の原液を緩衝剤を含有する水溶液 (即ち、緩衝
液) と必要により水とで希釈することにより調製でき
る。酸水溶液中の酸濃度は、この原液の含有量 (重量
%) として、塩酸で 0.1〜15%、フッ酸で0.01〜10%、
塩酸とフッ酸との混酸で0.01〜15%の範囲が望ましい。
酸濃度が下限より低くなると、酸化物と酸水溶液との反
応性が低く、浸漬処理を行っても十分な初期活性度の改
善が得られにくい。一方、酸濃度が上限を超えると、溶
解反応が急激に起こり、合金表面の酸化膜を除去するだ
けでなく、合金そのものが溶解し、消失してしまうこと
がある。
【0029】酸水溶液へのpH緩衝剤の添加量は、緩衝
作用を発揮できる量であればよく、非酸化性酸:pH緩
衝剤のモル比が20:1よりpH緩衝剤が多い方が好まし
い。酸水溶液によるその他の処理条件は特に制限されな
いが、温度は0〜80℃の範囲が好ましい。温度が低すぎ
ると合金表面の酸化膜の除去に時間がかかり、高すぎる
と合金内部まで溶解してしまうことがある。
【0030】酸処理時間 (酸水溶液への浸漬時間) は、
温度や酸水溶液の種類や濃度に応じて異なるが、一般に
は数分ないし数時間であり、ほとんどの場合には1時間
以内で十分である。塩酸に比べてフッ酸の方が処理時間
が短くてすむ。
【0031】pH緩衝剤を含有する非酸化性の酸水溶液
に浸漬処理した水素吸蔵合金は、次いで十分に水洗して
付着した酸やpH緩衝剤を除去し、乾燥すればよい。乾
燥は、真空中または不活性ガス中で行うことが好まし
い。
【0032】こうして処理した水素吸蔵合金から当業者
に周知の方法で電極を作製し、Ni−水素電池の負極とし
て使用する。電極は、水素吸蔵合金粉末を適当な結着剤
(ポリビニルアルコールなどの樹脂) および水 (または
他の液体) と混合してペースト状とし、ニッケル多孔体
に充填して乾燥した後、所望の電極形状に加圧成形する
ことにより作製できる。
【0033】
【実施例】次の実施例は本発明の構成と効果を例示する
ものである。実施例中、%は特に指定しない限り重量%
である。
【0034】実施例に用いた水素吸蔵合金粉末は、表1
に示す組成を持つAB5 型またはAB2 型合金であっ
た。これらの合金の鋳造に用いた原料は、純度99.9%の
フレーク状Ni、純度99.8%の電解Co、純度99.9%のショ
ット状Al、純度99.8%の板状Mn、Ni−56.9%V母合金、
純度99.5%以上のスポンジ状Zr、希土類金属純度が99.8
%以上のミッシュメタル(Mm) (La=28%、Ce=48%、Nd
=18%、Pr=6%) であった。
【0035】これらの原料から真空中の高周波誘導加熱
により溶製した合金溶湯を用いて、75 kg/chのArガスア
トマイズ法 (融液状からの冷却速度=1×103 〜1×10
4 ℃/sec) または100 kg/ch のインゴット法 (融液状か
らの冷却速度=1.0 ℃/sec)により、所定組成の水素吸
蔵合金粉末を作製した。インゴット法で得た水素吸蔵合
金は、Ar雰囲気中でステンレス鋼製ボールミルにより粉
砕して平均粒径50μmの粉末状にした。このインゴット
法の水素吸蔵合金粉末と、アトマイズ法で得た水素吸蔵
合金粉末 (平均粒径50μm) は、いずれもAr雰囲気中で
1000℃×10hrの熱処理を行った。
【0036】これらの水素吸蔵合金粉末 500gを、緩衝
剤を含有する塩酸(HCl) および/またはフッ酸 (HF) の
水溶液2kg中で浸漬処理した。処理条件は、温度30℃、
浸漬時間30分間であった。浸漬処理した水素吸蔵合金粉
末は、次いで25℃の脱イオン水により水洗前後のpH変
化が0.1 以内になるまで水洗し、真空乾燥した。
【0037】浸漬処理に用いた酸水溶液は、酸の原液(H
Cl=和光純薬製試薬1級、濃度36%;HF=和光純薬製試
薬1級、濃度46%) を脱イオン水で希釈してから、表1
に示す組成比を持ついずれかの緩衝液 (No.6は作動領域
がpH6以上の比較用の緩衝液) と混合することにより
調製した。いずれの酸水溶液も、酸成分:pH緩衝剤の
モル比が1:1になるように混合比を調整した。
【0038】表1に示す濃度の緩衝液は濃度が比較的低
いため、酸濃度が低い場合を除いて、表1に示す濃度の
緩衝液では酸成分:pH緩衝剤のモル比を1:1とする
ことができないため、組成比を同じにしたまま濃度を高
くしたpH緩衝液を使用した。表1には、酸水溶液中の
pH緩衝剤の濃度を、表1に示した濃度に対する倍率と
して示す。
【0039】使用した酸水溶液中の酸濃度は、モル濃度
(M)と、次式 (かっこ内は各原液、希釈水、または緩
衝液の量) により算出される原液の含有量(wt%)の両
方で表示した。
【0040】
【数1】
【0041】
【表1】
【0042】上記の浸漬処理を施した水素吸蔵合金粉末
を、74μm以下、32μm以上に分級し、結着剤 (ポリビ
ニルアルコール5%水溶液) を添加して混練した。得ら
れた合金粉末のペーストを、ニッケル製発泡状金属多孔
体 (住友電工製セルメット)に充填し、乾燥した後に1.5
ton/cm2 の圧力で加圧して、合金粉末をNi多孔体内に
担持させ、電池の負極を作製した。このときの水素吸蔵
合金粉末の担持量は12gであった。正極には市販の公称
2000 mA のNi電極を用い、正極と負極の間に6N-KOHのア
ルカリ電解液を含浸させたナイロン不織布をセパレータ
ーとして挟み込み、公称2000 mA のNi−水素電池を作製
した。この電池を単2型のケース内に密閉し、試験に供
する電池を得た。この電池は負極の容量が大きい正極規
制型の電池である。
【0043】この電池を用いて下記の電池性能を調査し
た。初期活性度 作製した正極容量規制型Ni−水素電池について、25℃に
おいて1000 mA で3時間充電した後、2000 mA で端子電
圧0.9 Vまで放電する、繰り返し充電・放電試験を10回
行い、1回目の放電容量と10回目の放電容量を測定し、
その比 (1回目の放電容量/10回目の放電容量×100
%) によって、初期活性度を評価した。
【0044】自己放電特性 (保存後容量) 作製したNi−水素電池を用いて上記と同じ条件下で繰り
返し充電・放電を10回行った後、1000 mA で3時間充電
し、次いで50℃で10日間放置した後、2000 mAで端子電
圧0.9 Vまで放電した時の容量を測定し、最初に繰り返
し充電・放電を10回行った後の放電容量との比 (保存後
放電容量/10回目の放電容量×100 %)によって評価し
た。
【0045】表2 (合金粉末はすべてアトマイズ法によ
り製造したもの) および表3 (アトマイズ法とインゴッ
ト法の合金粉末を使用、酸は塩酸のみ) に試験結果を併
せて示す。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】上の表より、作動範囲がpH<6である緩
衝剤を含有する非酸化性の酸水溶液に浸漬すると、Ni−
水素電池を作製した時に初期活性度と長期保存性のいず
れにも優れた水素吸蔵合金が得られることが確認でき
た。また、本発明の処理方法は、合金の種類 (AB
5 型、AB2 型) や製造方法 (インゴット法、急冷凝固
法)によらず、Niを含有する水素吸蔵合金であれば有効
であることも確認できた。
【0049】また、酸に対するpH緩衝剤の混合モル比
を変化させた場合の結果を表4に示す(酸は塩酸のみを
使用)。表4より、酸:pH緩衝剤のモル比で20:1よ
り多い量のpH緩衝剤を使用すると、初期活性と長期保
存性に優れた水素吸蔵合金が得られることがわかる。
【0050】
【表4】
【0051】
【発明の効果】本発明により、pH<6の範囲で作動す
るpH緩衝剤を含有する非酸化性の酸水溶液で水素吸蔵
合金を処理することにより、Ni−水素電池を作製した時
に初期活性度と長期保存性のいずれにも優れた性能を示
す水素吸蔵合金を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 幸輝 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 神代 光一 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niを含有する水素吸蔵合金を、作動領域
    がpH<6のpH緩衝剤を含有する非酸化性酸水溶液に
    浸漬することを特徴とする、電池用水素吸蔵合金の処理
    方法。
JP7262885A 1995-09-01 1995-10-11 電池用水素吸蔵合金の処理方法 Pending JPH09129226A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7262885A JPH09129226A (ja) 1995-09-01 1995-10-11 電池用水素吸蔵合金の処理方法

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Application Number Priority Date Filing Date Title
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