JPH0912696A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステルの製造方法

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JPH0912696A
JPH0912696A JP16754995A JP16754995A JPH0912696A JP H0912696 A JPH0912696 A JP H0912696A JP 16754995 A JP16754995 A JP 16754995A JP 16754995 A JP16754995 A JP 16754995A JP H0912696 A JPH0912696 A JP H0912696A
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JP
Japan
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polyester
group
naphthalenedicarboxylic acid
compound
producing
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JP16754995A
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English (en)
Inventor
Koji Yamamoto
山本  幸司
Takeo Hayashi
武夫 林
Hiroe Takahashi
洋江 高橋
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐熱性、ガスバリヤー性等に優れ
たナフタレンジカルボン酸系ポリエステルを容易に製造
することができる新規なポリエステルの製造方法の提供
を目的とする。 【解決手段】 ナフタレンジカルボン酸と脂肪族ジオー
ルもしくは脂環族ジオールからなる繰り返し単位が全繰
り返し単位中の0.1モル%以上100モル%以下であ
るポリエステルを製造するにあたり、主たるナフタレン
ジカルボン酸成分の原料がナフタレンジカルボン酸ジア
ンモニウム塩であり、該ナフタレンジカルボン酸ジアン
モニウム塩をアルコール性水酸基を有する化合物の存在
下に220℃以上、350℃以下に加熱する工程を含む
ポリエステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はナフタレンジカルボ
ン酸成分としてナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム
塩を用いる新規なポリエステルの製造方法に関する。本
発明により得られるポリエステルは耐熱性、ガスバリヤ
ー性、紫外線吸収等に優れ、成形材料、フィルム、ボト
ル等の材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート(PEN)、ポリブチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート(PBN)をはじめとする
ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレート系ポリエ
ステルは、従来より広く使われてきたポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート
(PBN)に比べて、耐熱性、機械的性能、ガスバリヤ
ー性、耐加水分解性等に優れ、今後の需要の伸びが期待
されている。
【0003】これらのポリアルキレンナフタレンジカル
ボキシレート系ポリエステルのナフタレンジカルボン酸
成分としては、PEN、PBNを例にとると一般に2,
6−ナフタレンジカルボン酸の低級ジアルキルエステ
ル、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエス
テルが使用されている。その理由の一つには、いまだに
高純度テレフタル酸に匹敵するような高純度の2,6−
ナフタレンジカルボン酸が簡便な工程では得られないた
め、ジメチルエステルとして蒸留、再結晶等の精製手段
をとらざるを得ないためである。
【0004】しかるに、現在のPET等の飽和ポリエス
テルの製造方法は、出発原料としてテレフタル酸を使用
してジオール成分と脱水エステル化反応せしめてオリゴ
マーとした後、重縮合せしめる、いわゆる直接重合法が
一般的である。
【0005】このようなPET等の製造装置をナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルを原料とするポリアル
キレンナフタレンジカルボキシレート系ポリエステルの
製造装置に転用しようとすると、装置の一部を改造する
必要があるうえに、危険物のメチルアルコールを副生す
る等、工業的に実施するには好ましくない。
【0006】また、PEN、PBNのようなホモポリマ
ーだけではなく、用途によってはテレフタル酸等との共
重合ポリエステルとする必要もあるが、このような場合
には、出発原料としてジカルボン酸の形の方が、一般的
なPETの直接重合法用の製造装置をそのまま使用でき
て好都合である。
【0007】このようにポリアルキレンナフタレンジカ
ルボキシレート系ポリエステルを現在のPET等の製造
装置を転用して製造するためには、出発原料としてジカ
ルボン酸の方が望ましいため、高純度のナフタレンジカ
ルボン酸を得る方法が種々、提案されている。
【0008】たとえば、特公昭52−20994、特開
昭48−68555、特開昭48−96572、特開昭
48−96573等には、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸をアルカリ金属塩水溶液として、酸化もしくは還元
等の精製処理を施したり、活性炭等の固体吸着剤による
脱色処理を施す精製方法が提案されている。
【0009】また、特公昭56−48498、特公昭5
7−14331、特開昭62−212341等には、
2,6−ナフタレンジカルボン酸をアミン化合物との塩
として精製する方法を提案している。
【0010】これらの方法で得られる2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸のアルカリ金属塩あるいはアミン塩より
高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸を得るには、
これらのアルカリ金属塩あるいはアミン塩の溶液を鉱
酸、有機酸等により中和することにより析出した2,6
−ナフタレンジカルボン酸を遠心分離、濾過等の固液分
離手段により単離する必要がある。
【0011】一般に、このような酸による中和で析出し
た芳香族ジカルボン酸は、粒子径が非常に小さく、遠心
分離、濾過等が困難である。そのため芳香族ジカルボン
酸のケーキ中に含有されるアルカリ金属あるいはアミン
を取り除くのに多くの時間と労力を必要とする。そのう
え、洗浄に多くの水などの溶剤を必要とし、その廃液処
理に要する費用も無視はできない。
【0012】上述した理由から、高純度のナフタレンジ
カルボン酸を得るために、アルカリ金属塩あるいはアミ
ン塩を経由して精製する方法は、工程が複雑でしかも副
生物が多く、必ずしも工業的に有利な方法とは言い難
い。
【0013】その他に、特開昭62−230747に
は、2,6−ナフタレンジカルボン酸をN,N−ジメチ
ルアセトアミドのような非プロトン性極性溶媒を用いて
再結晶する方法が提案されている。アルカリ金属塩の混
入がない点では優れた方法であるが、毒性の強い溶媒を
必要とする等、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ポリアルキレンナフタ
レンジカルボキシレート系ポリエステル用のナフタレン
ジカルボン酸成分の出発原料としては、低級アルキルエ
ステルよりジカルボン酸の形態が望ましいが、従来より
提案されている高純度のナフタレンジカルボン酸の製造
方法は、いずれも工業的に有利な方法とは言い難い現状
に鑑み、本発明の目的は、簡便な方法で得られるナフタ
レンジカルボン酸ジアンモニウム塩をポリアルキレンナ
フタレンジカルボキシレート系ポリエステルを製造する
際の、出発原料としてそのまま使用する新規なポリエス
テルの製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の目的
を達成するために鋭意検討し、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、一般式(1)で示される繰り返し単位
が全繰り返し単位中で0.1モル%以上100モル%以
下であるポリエステル又は共重合ポリエステルを製造す
るにあたり、主たるナフタレンジカルボン酸成分の原料
がナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩であり、該
ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩を一般式
(2)で示されるアルコール性水酸基を有する化合物の
存在下に220℃以上、350℃以下に加熱する工程を
含むことを特徴とするポリエステルの製造方法に関する
発明である。
【0016】
【化5】
【0017】(一般式(1)中、R1 は炭素数2〜20
の脂肪族基もしくは脂環族基から選ばれる1種以上であ
る)
【0018】
【化6】
【0019】(一般式(2)中、R2 はその構造中に芳
香族基を含んでいても良い炭素数2〜20の脂肪族基も
しくは脂環族基から選ばれる1種以上である。R2 は一
般式(1)中のR1 と同じでも良いし、異なっていての
良い。Zは炭素数2〜20の脂肪族基、脂環族基、芳香
族基及びそれらの複合基から選ばれる1種以上である。
mは0もしくは1以上の整数、nは0もしくは1以上の
整数である。m=0のとき、nは0でなく、n=0のと
き、mは0でない。)以下に本発明をさらに詳細に説明
する。
【0020】本発明に供するナフタレンジカルボン酸ジ
アンモニウム塩の製造方法は特には限定されない。たと
えば特開昭51−52163に開示されている方法によ
り製造できる。なお、特開昭51−52163は、2,
6−ナフタレンジカルボン酸の精製法に関わるものであ
り、中間体として得られる2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジアンモニウム塩をポリエステル製造の出発原料と
することには何ら、言及していない。
【0021】ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩
の一般的な製造方法を以下に示す。大気圧下、もしくは
加圧下で加熱したアンモニア水溶液に粗製ナフタレンジ
カルボン酸を溶解し、不溶物を取り除くとともに必要で
あれば活性炭等の固体吸着剤で脱色処理を施した後、冷
却して析出する結晶を単離することにより、容易に不純
物の少ないナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩を
得ることができる。
【0022】本発明は、一般式(1)式で示される繰り
返し単位が全繰り返し単位中の0.1モル%以上、10
0モル%以下であるポリエステル又は共重合ポリエステ
ルの製造方法に関するものである。
【0023】
【化7】
【0024】(一般式(1)中、R1 は炭素数2〜20
の脂肪族基もしくは脂環族基から選ばれる1種以上であ
る。) すなわち、ジカルボン酸成分の0.1モル以上、100
モル%以下がナフタレンジカルボン酸成分であるポリエ
ステル又は共重合ポリエステルの製造方法に関する。1
00モル%の場合は、言うまでもなくポリアルキレンナ
フタレンジカルボキシレートであり、100モル%未満
の場合は、他のカルボン酸との共重合ポリエステルであ
る。
【0025】本発明の要件の一つは、主たるナフタレン
ジカルボン酸成分の原料がナフタレンジカルボン酸ジア
ンモニウム塩であることにある。ナフタレンジカルボン
酸成分として、ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム
塩以外に、対応するナフタレンジカルボン酸あるいはそ
のエステル形成性誘導体を用いても良い。本発明の目的
を達成するためには、ナフタレンジカルボン酸成分中の
ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩の割合は、5
0モル%以上が好ましく、さらに好ましくは70モル%
以上である。
【0026】本発明のもう一つの主な要件は、ポリアル
キレンナフタレンジカルボキシレート系ポリエステルの
製造工程において、ナフタレンジカルボン酸ジアンモニ
ウム塩を一般式(2)式で示されるアルコール性水酸基
を有する化合物の存在下に220℃以上、350℃以下
に加熱する工程を含むことにある。
【0027】
【化8】
【0028】(一般式(2)中、R2 はその構造中に芳
香族基を含んでいても良い炭素数2〜20の脂肪族基も
しくは脂環族基から選ばれる1種以上である。R2 は一
般式(1)中のR1 と同じでも良いし、異なっていても
良い。
【0029】Zは下記(3)に示される基である炭素数
2〜20の脂肪族基、脂環族基、芳香族基及びそれらの
複合基から選ばれる1種以上である。mは0もしくは1
以上の整数、nは0もしくは1以上の整数である。m=
0のとき、nは0でなく、n=0のとき、mは0でな
い。
【0030】
【化9】
【0031】ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩
をアルコール性水酸基を有する化合物の存在下に220
℃以上に加熱することにより、該ナフタレンジカルボン
酸ジアンモニウム塩は容易にナフタレンジカルボン酸と
アンモニアとに分解する。アルコール性水酸基を有する
化合物を存在させないでナフタレンジカルボン酸ジアン
モニウム塩のみを加熱しても分解を起こすが、粉末状の
固体を加熱する場合は熱伝導の面で不利であるだけでは
なく、局所加熱により好ましからざる物質の副生をもた
らしやすい。本発明では、アルコール性水酸基を有する
化合物の存在下に加熱するため、熱伝導の点で有利であ
るばかりではなく、均一に加熱できるため局所加熱を起
こしにくい。
【0032】ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩
をアルコール性水酸基を有する化合物の存在下に加熱す
る際の温度は、220℃以上、350℃以下である。好
ましくは220℃以上、300℃以下である。220℃
以下では、分解に長時間を要し、効率的でない。350
℃以上では、生成するナフタレンジカルボン酸が脱炭酸
等の副反応を起こし易くなり好ましくない。ナフタレン
ジカルボン酸ジアンモニウム塩をアルコール性水酸基を
有する化合物の存在下に加熱する際には、アルコール性
水酸基を有する化合物が実質的に液体状態であることが
望ましい。すなわちアルコール性水酸基を有する化合物
の融点もしくは流動温度が加熱温度より低いことが望ま
しい。ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩をアル
コール性水酸基を有する化合物の存在下に加熱する際に
は、撹拌は必ずしも必要としないが、撹拌を施すこと
は、熱伝導が良好となるうえに、分解により生成するナ
フタレンジカルボン酸とアルコール性水酸基を有する化
合物とのエステル化反応が促進されるため、より好まし
い本発明の実施態様である。
【0033】本発明に供せられるアルコール性水酸基を
有する化合物を具体的に例示すると、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブ
チレングリコール等のポリエーテル化合物類、1,3−
シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール等の脂環族ジオール類、4,4'-(1−メ
チルエチリデン)ビスフェノール(ビスフェノール
A)、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、
4,4'-シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェ
ノールZ)、4,4'-スルホニルビフェノール(ビスフ
ェノールS)等のビスフェノール類のアルキレンオキシ
ド付加物、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4'-ジヒド
ロキシビフェニル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルエ
ーテル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノ
ン等の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド
付加物等がある。
【0034】これらの中で特に本発明に好ましく用いら
れるのは、エチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサ
ンジメタノール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールである。
【0035】さらに、本発明に供せられるアルコール性
水酸基を有する化合物として、脂肪族、脂環族、あるい
は芳香族ジカルボン酸と脂肪族あるいは脂環族ジヒドロ
キシ化合物とから得られる、末端にアルコール性水酸基
を有するエステル化合物類を用いることもできる。該エ
ステル化合物は、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物と
の脱水エステル化反応、ジカルボン酸の低級アルキルエ
ステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応、あ
るいはジカルボン酸とアルキレンオキシドとの付加反応
等の従来公知の方法により製造することができる。
【0036】末端にアルコール性水酸基を有するように
するためには、ジカルボン酸成分に対してジヒドロキシ
化合物を当量以上用いることにより達成できる。ジカル
ボン酸成分に対するジヒドロキシ化合物のモル比は1.
05以上にすることが望ましい。本発明に供せられる末
端にアルコール性水酸基を有するエステル化合物の数平
均分子量は3000以下、好ましくは1500以下、さ
らに好ましくは1000以下である。
【0037】末端にアルコール性水酸基を有するエステ
ル化合物を構成するジカルボン酸を例示すると、テレフ
タル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタ
レンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、
4,4'-ビフェニルジカルボン酸、3,4'-ビフェニル
ジカルボン酸、4,4'-ジフェニルエーテルジカルボン
酸、4,4'-ベンゾフェノンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジ
カルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメ
リン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等があ
る。末端にアルコール性水酸基を有するエステル化合物
を構成する脂肪族あるいは脂環族ジヒドロキシ化合物と
しては、エチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等
の脂肪族ジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリ
エーテル化合物類、1,3−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジ
オール類、4,4'-(1−メチルエチリデン)ビスフェ
ノール(ビスフェノールA)、メチレンビスフェノール
(ビスフェノールF)、4,4'-シクロヘキシリデンビ
スフェノール(ビスフェノールZ)、4,4'-スルホニ
ルビフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノー
ル類のアルキレンオキシド付加物、ヒドロキノン、レゾ
ルシン、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、4,4'-ジ
ヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ
ジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合
物のアルキレンオキシド付加物等がある。
【0038】本発明に供せられる末端にアルコール性水
酸基を有するエステル化合物は、あらかじめエステル化
合物としたものを用いても良いが、ジカルボン酸あるい
はそのエステル形成性誘導体、ジヒドロキシ化合物、お
よびナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩とを出発
原料として加熱することにより、ジカルボン酸あるいは
そのエステル形成性誘導体とジヒドロキシ化合物との末
端にアルコール性水酸基を有するエステル化合物を生成
させつつ、ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩を
分解し、分解により生成したナフタレンジカルボン酸と
末端にアルコール性水酸基を有するエステル化合物およ
び/または出発原料に用いたジヒドロキシ化合物とを反
応させることもできる。
【0039】ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性
誘導体とジヒドロキシ化合物との反応、およびナフタレ
ンジカルボン酸ジアンモニウム塩が分解して生成するナ
フタレンジカルボン酸と末端にアルコール性水酸基を有
するエステル化合物および/または出発原料に用いたジ
ヒドロキシ化合物との反応には必要であれば従来公知の
エステル化触媒、エステル交換触媒等を用いても良い。
また、酸化防止剤、熱安定剤等の添加剤を用いても良
い。
【0040】本発明においてはポリエステルを構成する
全ジカルボン酸成分と全ジヒドロキシ化合物成分とのモ
ル比を必ずしも合わせる必要はないが、高分子量のポリ
エステルが必要な場合には、ジヒドロキシ化合物成分を
ジカルボン酸成分に対して過剰に用いて低分子量の縮合
物とした後、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、
チタン化合物等の重縮合触媒の存在下に系内を減圧にし
て過剰のジヒドロキシ化合物成分を系外に留去するとい
う従来公知の方法により高分子量のポリエステルとする
ことができる。
【0041】本発明におけるポリエステルにはその目的
に応じて、モノカルボン酸、モノヒドロキシ化合物、3
官能以上の多価カルボン酸あるいは多価ヒドロキシ化合
物、不飽和カルボン酸等を用いることもできる。
【0042】
【実施例】以下に実施例を示すが本発明は以下の実施例
に限定されるものではない。以下の実施例等における各
種測定は以下の方法によった。 (1)極限粘度 1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール(6
/4重量比)混合溶媒を用いて25℃にて測定した。 (2)融点、ガラス転移温度 示差走査熱量計(DSC)(セイコー電子(株)製、S
SC−560S型)を使用し、試料約10mgをアルミ
ニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流中(30ミリ
リットル/分)にて30℃より昇温速度20℃/分の割
合で昇温して測定した。 (3)金属含有量 試料を灰化し、原子吸光分析(使用装置:セイコー電子
工業(株)製 SAS760型)によりCo、Mnにつ
いて測定した。
【0043】参考例 2,6−ナフタレンジカルボン酸
ジアンモニウム塩の製造 2,6−ナフタレンジカルボン酸を97重量%含有し、
かつコバルトを660ppm、マンガンを2600pp
m含有する粗製ナフタレンジカルボン酸217gを濃度
1.85%のアンモニア水3700gに加えて撹拌し、
室温にて1時間保った後、80℃まで昇温した。次いで
紛末状活性炭75gを加えて10分間、撹拌してから熱
時濾過して不溶物および活性炭を濾別した。得られた濾
液を10℃まで冷却し、析出した結晶を濾別し、乾燥し
て無色透明な結晶140gを得た。この結晶を分析した
結果、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム
塩の含有量は99.9%以上であり、コバルト、マンガ
ンの含有量は両者とも10ppm以下、融点は222℃
であった。
【0044】実施例1 撹拌機、蒸留ヘッド、温度計、窒素導入管を備えた50
0ミリリットル反応器に2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジアンモニウム塩50g、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレート203g、酸化アンチモン50m
g、トリフェニルホスファイト100mgを仕込んだ
(テレフタル酸成分/2,6−ナフタレンジカルボン酸
成分モル比=80/20)。窒素ガス100ミリリット
ル/分を流通させつつ昇温を始め、内容物の温度が11
0℃に達した時点より撹拌を開始して240℃まで昇温
した。240℃に保持しつつ生成する水を系外へ留出さ
せた。3時間後、留出した水の量は5.1gであった。
留出水はアンモニア臭を発し、アルカリ性を示した。2
80℃まで昇温を開始すると同時に系内を減圧とし、3
0分後に、内容物の温度が280℃、系内の真空度が
0.1Torrに達した。そのままの状態で2時間、反
応を継続した後、系内を加圧し、反応器底部よりポリエ
ステルを溶融状態で取り出した。得られた共重合ポリエ
ステルの極限粘度は0.62デシリットル/g、融点は
216℃、ガラス転移温度は89℃であった。
【0045】実施例2 (1)ポリエチレンテレフタレートオリゴマーの製造 撹拌機、蒸留ヘッド、温度計、窒素導入管を備えた5リ
ットルオートクレーブに、テレフタル酸831g、エチ
レングリコール460g、酸化アンチモン220mg,
トリフェニルホスファイト450mgを仕込んだ。窒素
ガスでゲージ圧3kg/cm2 に加圧した。この圧力に
保ちつつ240℃まで昇温し、生成する水を蒸留ヘッド
より系外へ導いた。水が生成し始めてから3時間後、留
出した水の量は155gであった。系内を微加圧にし、
反応器底部よりオリゴマーを取り出した。
【0046】(2)共重合ポリエステルの製造 撹拌機、蒸留ヘッド、温度計、窒素導入管を備えた50
0ミリリットル反応器に2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジアンモニウム塩100g、上記のポリエチレンテレ
フタレートオリゴマー136g(テレフタル酸換算0.
6モル)、酸化アンチモン50mg,トリフェニルホス
ファイト100mgを仕込んだ(テレフタル酸成分/
2,6−ナフタレンジカルボン酸成分モル比=60/4
0)。 窒素ガス100ミリリットル/分を流通させつ
つ昇温を始め、内容物の温度が120℃に達した時点よ
り撹拌を開始して240℃まで昇温した。240℃に保
持しつつ生成する水を系外へ留出させた。3時間後、留
出した水の量は10.5gであった。留出水はアンモニ
ア臭を発し、アルカリ性を示した。280℃まで昇温を
開始すると同時に系内を減圧とし、30分後に、内容物
の温度が280℃、系内の真空度が0.1Torrに達
した。そのままの状態で2時間、反応を継続した後、系
内を加圧し、反応器底部よりポリエステルを溶融状態で
取り出した。得られた共重合ポリエステルの極限粘度は
0.55デシリットル/g、ガラス転移温度は94℃で
あった。
【0047】実施例3 撹拌機、蒸留ヘッド、温度計、窒素導入管を備えた5リ
ットルオートクレーブに、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジアンモニウム塩250g、テレフタル酸664
g、エチレングリコール460g、酸化アンチモン22
0mg,トリフェニルホスファイト450mgをそれぞ
れ仕込んだ(テレフタル酸成分/2,6−ナフタレンジ
カルボン酸成分モル比=80/20)。窒素ガスでゲー
ジ圧3kg/cm2 に加圧した。この圧力に保ちつつ2
40℃まで昇温し、生成する水を蒸留ヘッドより系外へ
導いた。水が生成し始めてから3時間後、留出した水の
量は150gであった。留出水はアンモニア臭を発し、
アルカリ性を示した。280℃まで昇温を開始すると同
時に系内を減圧とし、45分後に、内容物の温度が28
0℃、系内の真空度が0.1Torrに達した。そのま
まの状態で1.5時間、反応を継続した後、系内を加圧
し、反応器底部よりポリエステルを溶融状態で取り出し
た。得られた共重合ポリエステルの極限粘度は0.58
デシリットル/g、融点は214℃、ガラス転移温度は
88℃であった。
【0048】比較例1 撹拌機、蒸留ヘッド、温度計、窒素導入管を備えた50
0ミリリットル反応器に2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジアンモニウム塩50g、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレート203g、酸化アンチモン50m
g,トリフェニルホスファイト100mgを仕込んだ
(テレフタル酸成分/2,6−ナフタレンジカルボン酸
成分モル比=80/20)。窒素ガス100ミリリット
ル/分を流通させつつ昇温を始め、内容物の温度が11
0℃に達した時点より撹拌を開始して210℃まで昇温
した。210℃に5時間保持したが水はほとんど生成せ
ず、反応が進行しなかった。
【0049】
【発明の効果】以上の詳細な説明および実施例等より明
らかなように、本発明により、ナフタレンジカルボン酸
ジアンモニウム塩を原料として、従来の直接エステル化
法ポリエステル製造装置になんら改造をを施すことな
く、耐熱性、ガスバリヤー性等に優れたナフタレンジカ
ルボン酸系ポリエステルを容易に製造することができ、
その工業的価値は極めて高い。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で示される繰り返し単位が
    全繰り返し単位中で0.1モル%以上100モル%以下
    であるポリエステル又は共重合ポリエステルを製造する
    にあたり、ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩を
    一般式(2)式で示されるアルコール性水酸基を有する
    化合物の存在下に220℃以上350℃以下に加熱する
    工程を含むことを特徴とするポリエステルの製造方法。 【化1】 (一般式(1)中、R1 は炭素数2〜20の脂肪族基も
    しくは脂環族基から選ばれる1種以上である。) 【化2】 (一般式(2)中、R2 はその構造中に芳香族基を含ん
    でいても良い炭素数2〜20の脂肪族基もしくは脂環族
    基から選ばれる1種以上である。R2 は一般式(1)中
    のR1 と同じでも良いし、異なっていても良い。Zは炭
    素数2〜20の脂肪族基、脂環族基、芳香族基及びそれ
    らの複合基から選ばれる1種以上である。mは0もしく
    は1以上の整数、nは0もしくは1以上の整数である。
    m=0のとき、nは0でなく、n=0のとき、mは0で
    ない。)
  2. 【請求項2】 ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム
    塩が2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム塩
    である請求項1記載のポリエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(2)において、Zが下記(3)
    式で示される基である請求項1記載のポリエステルの製
    造方法。 【化3】
  4. 【請求項4】 一般式(2)において、R2 が下記
    (4)式で示される基である請求項1記載のポリエステ
    ルの製造方法。 【化4】
  5. 【請求項5】 ナフタレンジカルボン酸ジアンモニウム
    塩をアルコール性水酸基を有する化合物の存在下に22
    0℃以上350℃以下に加熱する工程において、アルコ
    ール性水酸基を有する化合物が実質的に液体状態である
    請求項1記載のポリエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 末端にアルコール性水酸基を有するエス
    テル化合物が、エチレングリコール、1,4−ブタンジ
    オール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールか
    ら選ばれる1種以上とテレフタル酸とからなる数平均分
    子量1000未満の縮合物である請求項1記載のポリエ
    ステルの製造方法。
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