JPH09126071A - 内燃機関の吸気系防振ガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた防振性能とシール性能とを兼備する内燃
機関の吸気系防振ガスケットを提供する。 【解決手段】中央部に吸気通路となる開口１ａをもち、
内燃機関側及び吸気系部品側の一方の部材に締結される
第１取付部材１と、第１取付部材１と間隔を隔てて配置
されるとともに中央部に吸気通路となる開口２ａをも
ち、前記内燃機関側及び前記吸気系部品側の他方の部材
に締結される第２取付部材２と、第１及び第２取付部材
１、２の各開口１ａ、２ａの周縁部に軸端部が固着され
たリング状の防振ゴム部材３と、防振ゴム部材３の内側
に装着保持され、防振ゴム部材３の内周面を覆う筒状部
４ａと筒状部４ａの両端から径方向外方に延出し第１及
び第２取付部材１、２の外側面を覆う一対のフランジ部
４ｂとからなるシールゴム部材４とで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車に搭
載される内燃機関の吸気系通路上に配設され、内燃機関
側から吸気系部品側へ伝達される振動を低減する防振ガ
スケットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の防振ガスケットとして、図５及び
図６に示すように、リング板状に形成され複数の取付孔
１１ａを有する第１取付部材１１と、複数の取付孔１２
ａを有して第１取付部材１１と略同形状のリング板状に
形成され第１取付部材１１と間隔を隔てて略平行に配置
された第２取付部材１２と、第１取付部材１１と第２取
付部材１２との間に介装され、両側面に環状に突設され
たシールリップ１３ａを有するリング状の防振ゴム部材
１３とからなるものが知られている。

【０００３】この防振ガスケットは、例えば取付孔１１
ａに挿通した取付ねじ等により第１取付部材１１を内燃
機関側の部材の吸気通路開口部に締結し、取付孔１２ａ
に挿通した取付ねじ等により第２取付部材１２を吸気系
部品側の部材の吸気通路開口部に締結することにより両
部材間に配設され、これにより両部材の吸気通路が防振
ガスケットの内孔により連通される。また、防振ゴム部
材１３のシールリップ１３ａを含む両側部が締結面に圧
着し、吸気通路内を流動する混合気の締結面からの漏洩
が防止される。

【０００４】そして、内燃機関の作動により内燃機関に
振動が発生すると、防振ゴム部材１３によりその振動が
吸収され、吸気系部品側へ伝達される振動が低減される
ことにより、車内のこもり音やアクセルペダルのびびり
等の発生が抑制される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記防振ガ
スケットの防振ゴム部材１３は、ゴム材料を第１取付部
材１１及び第２取付部材１２と共に一体加硫成形するこ
とにより作製されるため、防振ゴム部材１３全体が一体
に形成される。したがって、防振ゴム部材１３を形成す
るゴム材料は、主として第１取付部材１１と第２取付部
材１２との間の部分に要求される防振性能と、主として
第１取付部材１１及び第２取付部材１２の外側部分に要
求されるシール性能（耐へたり性、耐ガソリン性等）と
の二つの性能を満足するものを選定する必要がある。

【０００６】しかし、防振性能に優れる例えば天然ゴム
等はシール性能については充分に満足できるものではな
く、また、シール性能に優れる例えばスチレン・ブタジ
エンゴム等は防振性能については充分に満足できるもの
ではない。したがって、防振ゴム部材１３に主として要
求される防振性能及びシール性能の二つの性能を充分に
満足できる程度に兼備することは困難となる。

【０００７】本発明は上記問題に鑑み案出されたもので
あり、優れた防振性能とシール性能とを兼備する内燃機
関の吸気系防振ガスケットを提供することを解決すべき
課題とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項１の発明は、内燃機関の吸気系通路上に配設され、前
記内燃機関側から吸気系部品側へ伝達される振動を低減
する防振ガスケットであって、中央部に吸気通路となる
開口をもち、前記内燃機関側及び前記吸気系部品側の一
方の部材に締結される第１取付部材と、該第１取付部材
と間隔を隔てて配置されるとともに中央部に吸気通路と
なる開口をもち、前記内燃機関側及び前記吸気系部品側
の他方の部材に締結される第２取付部材と、前記第１及
び第２取付部材の各前記開口の周縁部に軸端部が固着さ
れたリング状の防振ゴム部材と、該防振ゴム部材の内側
に装着保持され、該防振ゴム部材の内周面を覆う筒状部
と該筒状部の両端から径方向外方に延出し前記第１及び
第２取付部材の外側面を覆う一対のフランジ部とからな
るシールゴム部材と、で構成されていることを特徴とす
るものである。

【０００９】請求項２の発明は、請求項１の発明におい
て、前記シールゴム部材は、一対の前記フランジ部の外
側面に環状に突設されたシールリップを有するものであ
る。請求項３の発明は、請求項１又は請求項２の発明に
おいて、前記シールゴム部材は、一対の前記フランジ部
の外側面に前記内燃機関側及び前記吸気系側の部材の締
結面と係合する係合部を有するものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づき説明する。図１は本実施形態の防振ガスケットに
係り、図２のＩ−Ｉ線断面図であり、図２はその防振ガ
スケットの正面図である。本実施形態の防振ガスケット
は、図１及び図２に示すように、第１取付部材１と、第
２取付部材２と、第１取付部材１と第２取付部材２との
間に介装されたリング状の防振ゴム部材３と、防振ゴム
部材３の内側に装着保持されたシールゴム部材４とで構
成されている。

【００１１】第１取付部材１は、吸気系通路上に配設さ
れる内燃機関側及び吸気系部品側の一方の部材の吸気通
路開口部に締結されるものであって、金属板により中央
部に開口１ａをもつリング状に形成されている。この第
１取付部材１の所定の３箇所には、外側へ平面状に膨出
した取付座１ｂが形成されており、各取付座１ｂには取
付ねじ（図示せず）が挿通される取付孔１ｃが設けられ
ている。

【００１２】第２取付部材２は、吸気系通路上に配設さ
れる内燃機関側及び吸気系部品側の他方の部材の吸気通
路開口部に締結されるものであって、第１取付部材１と
同様に金属板により中央部に開口２ａをもつリング状に
形成されている。この第２取付部材２は、第２取付部材
２と間隔を隔てて略平行に配置され、第１取付部材１の
取付座１ｂと対応する３箇所には外側へ平面状に膨出し
た取付座２ｂが形成されているとともに、各取付座２ｂ
には取付ねじ（図示せず）が挿通される取付孔２ｃが設
けられている。

【００１３】防振ゴム部材３は、天然ゴムを主成分とす
るゴム材料を第１取付部材１及び第２取付部材２と共に
一体加硫成形することによりリング状に形成され、その
両軸端部が第１取付部材１の内側面と第２取付部材２の
内側面とに加硫接着されている。シールゴム部材４は、
スチレン・ブタジエンゴムを主成分とするゴム材料を加
硫成形することにより単独で形成され、防振ゴム部材３
の内側に装着保持されている。このシールゴム部材４
は、防振ゴム部材３の内周面を覆う筒状部４ａと、筒状
部４ａの両端から径方向外方に延出し第１及び第２取付
部材１、２の外側面を覆う一対のフランジ部４ｂとから
なる。各フランジ部４ｂの外側面は、第１及び第２取付
部材１、２の各取付座１ａ、２ａの外側面と略同一面上
に位置している。そして、各フランジ部４ｂの外側面の
中央やや外側寄り位置には、環状に突設されたシールリ
ップ４ｃが形成されている。

【００１４】以上のように構成された本実施形態の防振
ガスケットは、例えば取付孔１ｃに挿通した取付ねじ等
により第１取付部材１を内燃機関側の部材の吸気通路開
口部に締結し、取付孔２ｃに挿通した取付ねじ等により
第２取付部材２を吸気系部品側の部材の吸気通路開口部
に締結することにより両部材間に配設され、両部材の吸
気通路がシールゴム部材４の筒状部４ａの内孔により連
通される。

【００１５】このとき、シールゴム部材４の各フランジ
部４ｂの外側面に設けられたシールリップ４ｃが、内燃
機関側の部材及び吸気系部品側の部材の締結面と第１取
付部材１及び第２取付部材２とにより挟持されて圧縮さ
れた状態となり、これにより各フランジ部４ｂが両締結
面に圧着して確実にシールされる。そして、内燃機関の
作動により内燃機関に振動が発生すると、第１取付部材
１と第２取付部材２との間に介装された防振ゴム部材３
によりその振動が吸収され、吸気系部品側へ伝達される
振動が低減することから、車内のこもり音やアクセルペ
ダルのびびり等の発生が抑制される。この場合、防振ゴ
ム部材３は、防振性能に優れたゴム材料を選択して形成
されているので良好な振動吸収機能を発揮する。

【００１６】また、シールゴム部材４は、シール性能に
優れたゴム材料を選択して形成されているため、吸気通
路内を流動する混合気に含まれるガソリンに対する耐ガ
ソリン性やフランジ部４ｂの耐へたり性に優れ、長期に
わたって良好なシール性能を発揮する。以上のように、
本実施形態の防振ガスケットは、第１及び第２取付部材
１、２の内側面に両端部が固着されたリング状の防振ゴ
ム部材３と、防振ゴム部材３の内側に装着保持され、防
振ゴム部材３の内周面を覆う筒状部４ａと筒状部４ａの
両端から径方向外方に延出し第１及び第２取付部材１、
２の外側面を覆う一対のフランジ部４ｂとからなるシー
ルゴム部材４とを有する構成であるため、防振ゴム部材
３には防振性能に優れたゴム材料を選択して用い、かつ
シールゴム部材４にはシール性能に優れたゴム材料を選
択して用いることができるので、これにより防振ガスケ
ットに主として要求される二つの性能を高レベルで充分
に満足させることができる。

【００１７】また、本実施形態におけるシールゴム部材
４は、各フランジ部４ｂの外側面に環状に突設されたシ
ールリップ４ｃを有するため、内燃機関側の部材及び吸
気系部品側の部材の締結面におけるシールを、構造的
に、より一層確実にすることができる。なお、上記実施
形態では、防振ゴム部材３を構成するゴム材料として天
然ゴムが用いられているが、その他防振性に優れたゴム
材料として、例えば天然ゴムとスチレン・ブタジエンゴ
ムとをブレンドしたもの等を適宜選択して用いることが
できる。

【００１８】また、シールゴム部材４を構成するゴム材
料としては、スチレン・ブタジエンゴムの他、例えば水
素添加ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリ
コンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム等を用いる
ことができる。なお、本発明の他の実施形態として、図
３に示す防振ガスケットのように、シールゴム部材４の
各フランジ部４ｂの外側面に、内燃機関側及び吸気系部
品側の部材の締結面と係合する環状の係合溝（係合部）
４ｄを設けることができる。この係合溝４ｄは、図４に
示すように、防振ガスケットが両締結部材５、６に締結
されたときに、両締結部材５、６の締結面に設けられた
係合突条５ａ、６ａと係合する。これにより、吸気通路
内が負圧状態となった場合に、シールゴム部材４のフラ
ンジ部４ｂの移動が規制されるのでシールゴム部材４の
離脱を防止することができる。

【００１９】なお、シールゴム部材４の各フランジ部４
ｂに設けられた係合溝４ｄと、両締結部材５、６の締結
面に設けられた係合突条５ａ、６ａは、凹凸の関係で係
合するように構成されるものであり、これら係合部は、
例えば凹凸を逆にしたり、係合突起と係合穴とで構成し
たりするなど種々の形態に変更することができる。な
お、シールゴム部材４を防振ゴム部材３と接着剤等で接
着固定することによりシールゴム部材４の離脱を防止す
ることも可能であるが、この場合には、被熱作用による
接着剤層の硬化に伴い、防振ゴム部材３の防振性能が損
なわれるため好ましくない。

【００２０】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、第１及び第２
取付部材の各開口の周縁部に軸端部が固着されたリング
状の防振ゴム部材と、該防振ゴム部材の内側に装着保持
され、該防振ゴム部材の内周面を覆う筒状部と該筒状部
の両端から径方向外方に延出し第１及び第２取付部材の
側面を覆う一対のフランジ部とからなるシールゴム部材
とを有する構成であるため、防振ゴム部材には防振性に
優れたゴム材料を選定し、かつシールゴム部材にはシー
ル性に優れたゴム材料を選定することができるので、優
れた防振性能とシール性能とを兼備することができる。

【００２１】また、請求項２の発明によれば、シールゴ
ム部材は、一対のフランジ部の外側面に環状に突設され
たシールリップを有することにより、内燃機関側の部材
及び吸気系部品側の部材の締結面におけるシールを、構
造的に、より一層確実にすることができる。また、請求
項３の発明によれば、シールゴム部材は、一対のフラン
ジ部の外側面に内燃機関側及び吸気系部品側の部材の締
結面と係合する係合部を有することにより、吸気通路内
が負圧状態となった場合に、フランジ部の移動を規制し
てシールゴム部材の離脱を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態における吸気系防振ガスケッ
トに係り、図２のＩ−Ｉ線断面図である。

【図２】本発明の実施形態に係る吸気系防振ガスケット
の正面図である。

【図３】本発明の他の実施形態に係る吸気系防振ガスケ
ットの要部の断面図である。

【図４】本発明の他の実施形態に係る吸気系防振ガスケ
ットを取付けた状態の要部の断面図である。

【図５】従来の内燃機関の吸気系防振ガスケットに係
り、図６のＶ−Ｖ線断面図である。

【図６】従来の内燃機関の吸気系防振ガスケットの正面
図である。

【符号の説明】

１…第１取付部材 １ａ…開口 ２…第２取付部材
２ａ…開口 ３…防振ゴム部材 ４…シールゴム部材 ４ａ…筒
状部 ４ｂ…フランジ部 ４ｃ…シールリップ ４ｄ…係
合溝（係合部） ５、６…締結部材 ５ａ、６ａ…係合突条

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関の吸気系通路上に配設され、前
   記内燃機関側から吸気系部品側へ伝達される振動を低減
   する防振ガスケットであって、 中央部に吸気通路となる開口をもち、前記内燃機関側及
   び前記吸気系部品側の一方の部材に締結される第１取付
   部材と、 該第１取付部材と間隔を隔てて配置されるとともに中央
   部に吸気通路となる開口をもち、前記内燃機関側及び前
   記吸気系部品側の他方の部材に締結される第２取付部材
   と、 前記第１及び第２取付部材の各前記開口の周縁部に軸端
   部が固着されたリング状の防振ゴム部材と、 該防振ゴム部材の内側に装着保持され、該防振ゴム部材
   の内周面を覆う筒状部と該筒状部の両端から径方向外方
   に延出し前記第１及び第２取付部材の外側面を覆う一対
   のフランジ部とからなるシールゴム部材と、 で構成されていることを特徴とする内燃機関の吸気系防
   振ガスケット。
2. 【請求項２】 前記シールゴム部材は、一対の前記フラ
   ンジ部の外側面に環状に突設されたシールリップを有す
   る請求項１記載の内燃機関の吸気系防振ガスケット。
3. 【請求項３】 前記シールゴム部材は、一対の前記フラ
   ンジ部の外側面に前記内燃機関側及び前記吸気系側の部
   材の締結面と係合する係合部を有する請求項１又は請求
   項２記載の内燃機関の吸気系防振ガスケット。