JPH09125143A - 高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法 - Google Patents

高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法

Info

Publication number
JPH09125143A
JPH09125143A JP8671296A JP8671296A JPH09125143A JP H09125143 A JPH09125143 A JP H09125143A JP 8671296 A JP8671296 A JP 8671296A JP 8671296 A JP8671296 A JP 8671296A JP H09125143 A JPH09125143 A JP H09125143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
steel material
steel
yield
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8671296A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3772382B2 (ja
Inventor
Yoshihiko Kamata
芳彦 鎌田
Norihito Kunitani
法仁 訓谷
Fukukazu Nakazato
福和 中里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP08671296A priority Critical patent/JP3772382B2/ja
Publication of JPH09125143A publication Critical patent/JPH09125143A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3772382B2 publication Critical patent/JP3772382B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】超高層ビルの鉄筋コンクリート用に利用できる
耐震性能と曲げ性能に優れた鉄筋用鋼材を高い生産性の
下に製造する方法を提供する。 【解決手段】特定の化学組成を有する鋼材を、1050
〜1250℃の温度域に加熱して粗圧延を行い、次いで
中間圧延及び/又は仕上げ圧延のパス間で水冷して鋼材
の表面を500〜700℃の温度域に急冷することを1
〜5回繰り返しながら圧延し、更に、圧延仕上げ温度を
750〜1050℃の範囲に、仕上げ圧延速度を6.4
−0.0014・d2 m/s以上に制御して圧延を終了
し、その後600〜400℃の温度域の温度まで3℃/
sを超え10℃/sまでの冷却速度で加速冷却する。但
し、dは鉄筋用鋼材のmm単位の公称直径である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度低降伏比鉄
筋用鋼材の製造方法に関し、より詳しくは、明瞭な降伏
棚を有して耐震性に優れるとともに曲げ性能にも優れた
高強度低降伏比鉄筋用鋼材を生産性高く製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】建築物の高層化が進む今日、建築資材と
して従来よりも高い強度を有する高強度鉄筋に対する要
望が大きい。しかし、鉄筋を高強度化すると降伏比(降
伏強度/引張強度)が高くなり、耐震性能を含めた鉄筋
の性能が低下することが知られている。
【0003】巨大地震により大きな揺れが生じ、建物に
かかる強度が降伏強度を超えた場合でも降伏比が低く降
伏伸びの大きい鉄筋を用いておれば、塑性変形を起こし
て地震のエネルギーを吸収できるので、建物全体の倒壊
を防ぐことが可能である。そのため、地震活動期に入っ
たといわれる現今、特に降伏強度が685MPa以上、
降伏比が0.8以下、降伏伸びが1.4%以上で、且つ
優れた曲げ性能を有して耐震性能に優れる高強度低降伏
比鉄筋が求められている。なお「降伏伸び」とは、引張
試験の経過中、試験片平行部が降伏し始めた時から、ほ
ぼ一定の応力状態で歪が増加し、次に滑らかに応力が増
加し始めるまでの標点間の長さの変化の標点距離に対す
る百分率である。又、上記のほぼ一定の応力状態で歪が
増加する領域を「降伏棚」という。
【0004】こうした高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造
方法として、例えば特開平4−56727号公報には、
VとTiを多量に添加した鋼を用いて圧延終了温度を9
00℃以下とする技術が提案されている。しかしなが
ら、このような高価な元素を多量に添加する場合のコス
トアップは膨大である。更に、降伏比はその実施例から
も明らかなように0.8を超えており、所望の高強度低
降伏比鉄筋用鋼材を確実に製造できるものではない。
【0005】特開昭62−86125号公報には、熱間
仕上げ圧延に際して表層部のみに制御冷却を行い、次い
で自己焼戻しさせて表層部が焼戻しマルテンサイト、内
部がフェライト・パーライト組織又はベイナイト、ある
いはこれらの混合組織からなる鋼材を製造する方法が提
案されている。しかし、この強制冷却−自己焼戻しを用
いた技術には、曲げ試験時に表層の焼戻しマルテンサイ
ト層から割れが生じるという問題があった。
【0006】特開平2−213415号公報には、特定
の化学組成を有する鋼片を用いて圧延終了後に鋼材の表
面を冷却し、次いで復熱させて、表層部に微細なフェラ
イトと粒状炭化物(又は)層状炭化物を生成させるか、
更にその後再度急冷して、表層部を内部より軟質とする
高強度・高靭性棒鋼の製造方法が開示されている。しか
し、この技術を用いた場合に得られる降伏強度は、その
実施例からも明らかなように高々63kgf/mm2
(618MPa)である。したがって、前記公報に提案
された技術を用いても、所望の高強度低降伏比鉄筋用鋼
材が確実に得られるものではない。
【0007】一方、本発明者らも特開平6−13644
1号公報及び特開平6−228635号公報で「高強度
低降伏比鉄筋用棒鋼の製造方法」及び「高強度低降伏比
鉄筋用鋼の製造方法」を提案した。このうち特開平6−
136441号公報で提案した方法によれば高強度低降
伏比鉄筋用棒鋼は得られるものの、表層部が焼戻しマル
テンサイト組織であるためマルテンサイトへの変態時に
変態歪に基づく曲がりが発生し、これを矯正しなければ
ならないという問題があった。又、特開平6−2286
35号公報で提案した方法は、細径の高強度低降伏比鉄
筋用棒鋼に対して有効ではあるが、太径、特に呼び名D
51のような超太径の鉄筋用棒鋼に対しては、必ずしも
所望の特性が得られるというものではなかった。更に、
前記の提案による方法では、圧延仕上げ温度を低く管理
するために圧延速度を下げなければならず、生産性が低
くなってコストの上昇をきたすという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記現状に鑑
みなされたもので、その目的は明瞭な降伏棚を発現して
1.4%以上の降伏伸びを有し、降伏強度が685MP
a以上であって、且つ降伏比が0.8以下である曲げ性
能に優れた高強度低降伏比鉄筋用鋼材を、高い生産性の
下に製造する方法を提供することにある。特に、上記特
性を満足させることで耐震性能を大幅にアップし、先の
兵庫県南部地震のような巨大地震が起こっても鉄筋自体
が塑性変形を起こして地震のエネルギーを吸収し、建物
全体の倒壊を防ぐことに寄与できるような、曲げ性能に
優れた高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法を提供する
ことを最大の目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために種々検討を重ねた結果、下記の知見を
得た。
【0010】降伏棚を有し、且つ降伏伸びが1.4%
以上ある鋼材を用いた鉄筋の耐震性は極めて優れる。
【0011】大きな降伏棚を発現して降伏伸びを大き
くし、曲げ特性も良好とするには鉄筋用鋼材の組織、な
かでも表面近傍の組織を制御すれば良い。
【0012】上記の表面近傍の組織制御のためには中
間圧延及び/又は仕上げ圧延のパス間で水冷して鋼材の
表面を500〜700℃の温度域に急冷すれば良い。
【0013】上記の処理に続いて圧延仕上げ温度を
750〜1050℃の範囲に制御し、その後600〜4
00℃の温度域の温度まで3℃/sを超え10℃/sま
での冷却速度で冷却すれば効果が大きい。
【0014】上記のの処理を行えば、容易に圧延仕
上げ温度を制御できるので圧延速度を下げる必要がな
い。このため高い生産性が得られる。
【0015】兵庫県南部地震クラスの巨大地震の発生
時にも鉄筋自体が塑性変形を起こして地震のエネルギー
を吸収し、建物全体の倒壊を防ぐためには、少なくとも
鉄筋には降伏強度が685MPa以上、降伏比が0.8
以下、降伏伸びが1.4%以上の特性が必要である。
【0016】鋼の化学組成を調整し、熱間圧延と冷却
の条件を制御すれば、呼び名D19以上の太径、なかで
もD51のような超太径の鉄筋用鋼材に対しても、降伏
強度685MPa以上、降伏比0.8以下、降伏伸び
1.4%以上を付与できる。
【0017】上記知見に基づく本発明は、下記に示した
高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法を要旨とする。
【0018】「圧延工程が粗圧延、中間圧延及び仕上げ
圧延の各工程からなる高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造
方法であって、重量%で、C:0.15〜0.50%、
Si:0.15〜1.50%、Mn:0.30〜2.5
0%、Cr:0.02〜2.00%、V:0.01〜
0.40%、Nb:0.005〜0.40%、N:0.
003〜0.02%、Cu:0〜0.50%、Ni:0
〜0.50%、Mo:0〜0.50%、Al:0.08
%以下、残部はFe及び不可避不純物からなる組成の鋼
材を、1050〜1250℃の温度域に加熱して粗圧延
を行い、次いで中間圧延及び/又は仕上げ圧延のパス間
で水冷して鋼材の表面を500〜700℃の温度域に急
冷することを1〜5回繰り返しながら圧延し、更に、圧
延仕上げ温度を750〜1050℃の範囲に、仕上げ圧
延速度を6.4−0.0014・d2 m/s以上に制御
して圧延を終了し、その後600〜400℃の温度域の
温度まで3℃/sを超え10℃/sまでの冷却速度で加
速冷却することを特徴とする高強度低降伏比鉄筋用鋼材
の製造方法。但し、dは鉄筋用鋼材のmm単位の公称直
径である。」
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の各要件について詳
しく説明する。なお、成分含有量の「%」は「重量%」
を意味する。
【0020】(A)鋼材の化学組成 C:Cは、強度を高めるのに有効な元素である。しか
し、その含有量が0.15%未満では所望の高強度が得
られない。一方、0.50%を超えるとパーライト分率
(面積率)の増加が起こり、そのため逆にフェライトの
面積率が低くなって靭性と曲げ特性の劣化をきたすこと
となる。したがって、Cの含有量を0.15〜0.50
%とした。なお、Cの好ましい含有量は0.20〜0.
50%である。
【0021】Si:Siは、鋼の脱酸の安定化及び強度
の向上を図る作用がある。しかし、その含有量が、0.
15%未満では所望の効果が得られず、1.50%を超
えると靭性の低下を招くようになる。したがって、Si
の含有量を0.15〜1.50%とした。
【0022】Mn:Mnは強度を向上させる作用を有す
る。しかし、その含有量が0.30%未満では所望の効
果が得られず、2.50%を超えると焼入れ性が著しく
高くなって所望の組織と機械的性質が得られなくなる。
したがって、Mnの含有量を0.30〜2.50%とし
た。
【0023】Cr:Crは、Mn同様に強度を高める作
用がある。更に、パーライトコロニーを細かくして延性
を向上させる効果も有する。しかし、その含有量が0.
02%未満では所望の効果が得られない。一方、2.0
0%を超えて含有させると、焼入れ性が著しく上昇して
所望の組織と機械的性質が得られなくなる。したがっ
て、Crの含有量を0.02〜2.00%とした。
【0024】V:Vは、オーステナイト相からフェライ
ト相への変態の際に、その窒化物や炭窒化物がフェライ
ト相に分散析出してフェライトを強化する。又、結晶粒
の微細化を促進して降伏棚を発現させ、低い降伏比を維
持しつつ強度を向上させる作用を有する。しかし、その
含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、
0.40%を超えて含有させても強度向上効果は飽和
し、製造コストを上昇させるだけである。したがって、
Vの含有量を0.01〜0.40%とした。
【0025】Nb:Nbは、その窒化物や炭窒化物が、
オーステナイト結晶粒の粗大化を抑えるとともに析出強
化に寄与する極めて重要な元素である。しかし、その含
有量が0.005%未満では添加効果に乏しく、一方、
0.40%を超えて含有させても強度向上効果は飽和
し、製造コストを上昇させるだけである。このため、N
bの含有量を0.005〜0.40%とした。なお、N
bの好ましい含有量は、0.01〜0.10%である。
【0026】N:Nは、Nb及びVとフェライト中で窒
化物や炭窒化物を形成し、強度を高めるとともに結晶粒
を微細化して鋼を強靭化する作用がある。しかし、その
含有量が0.003%未満では所望の効果が得られず、
0.02%を超えると却って靭性の低下をもたらすよう
になる。したがって、Nの含有量を0.003〜0.0
2%とした。なお、Nの好ましい含有量は、0.005
〜0.02%である。
【0027】Cu:Cuは添加しなくても良い。添加す
れば強度を高める作用がある。この効果を確実に得るに
は、Cuは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和する。更に熱間加工性の劣化をも招くし、コス
トアップにもつながる。したがって、Cu含有量を0〜
0.50%とした。
【0028】Ni:Niは添加しなくても良い。添加す
れば強度を高める作用がある。前記効果を確実に得るに
は、Niは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和し、コストアップにつながるばかりである。し
たがって、Ni含有量を0〜0.50%とした。
【0029】Mo:Moは添加しなくても良い。添加す
れば強度を高める作用がある。この効果を確実に得るに
は、Moは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和し、コストアップにつながるばかりである。し
たがって、Mo含有量を0〜0.50%とした。
【0030】Al:Alは、強化に有効なNbとVの窒
化物や炭窒化物の形成を阻害して強度の低下をもたら
し、特にその含有量が0.08%を超えると、強度の低
下が著しくなる。したがって、Alの含有量の上限を
0.08%とした。
【0031】(B)熱間圧延 (B−1)加熱 本発明においては、VとNbの析出硬化を利用して高強
度化を達成する。このためには、VとNbを圧延前の加
熱時にオーステナイト中へ充分に固溶させておかなけれ
ばならない。そこで、前記の化学組成を有する鋼を10
50℃以上に加熱する。一方、1250℃を超えて加熱
すると、オーステナイト粒の粗大化が著しく所望の機械
的性質が得られない。更に、圧延素材の表面酸化が著し
くなって圧延時に表面割れを生ずることがある。したが
って、本発明においては、加熱を1050〜1250℃
の温度域に限定した。
【0032】(B−2)中間圧延及び/又は仕上げ圧延
のパス間水冷 熱間連続圧延工程は、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延
の3工程からなるが、このうち中間圧延及び/又は仕上
げ圧延のパス間において水冷を行い、鋼材の表面を50
0〜700℃の温度域に急冷することを1〜5回繰り返
しながら圧延することが重要である。
【0033】パス間水冷の1つの目的は圧延温度を強制
的に下げることにあり、これによって仕上げ圧延温度の
制御が容易になるため、圧延速度を下げることなく未再
結晶域圧延を行うことができ、組織の微細化が可能とな
る。更に、圧延速度を下げる必要がないことは、高い生
産性の下での製品製造につながる。
【0034】パス間水冷のもう1つの目的は、中間圧延
及び/又は仕上げ圧延のパス間で水冷して鋼材の表面を
Ar1点を下回る700℃以下に急冷してオーステナイト
からフェライトとパーライトに変態させる処理と、鋼材
内部の保有熱により復熱させてフェライト・パーライト
からオーステナイトへ逆変態させる処理を繰り返すこと
により、最終的な鋼材の組織を微細なフェライト・パー
ライト組織にすることである。前記の処理によって鋼材
の表面を微細なフェライト・パーライト組織にすること
で、鋼材の降伏伸びを大きくし、曲げ特性も良好とする
ことが可能となる。
【0035】パス間水冷した場合の鋼材表面温度が70
0℃を上回る場合には、オーステナイトからフェライト
とパーライトへの変態が充分起こらないので所望の組織
が得られない。鋼材表面温度が500℃を下回る場合に
は、鋼材内部の保有熱による復熱による再加熱が充分で
ないためフェライト・パーライトからオーステナイトへ
の逆変態が不十分となって、やはり所望の組織が得られ
ない。更にこの場合は圧延機にかかる負荷が大きなもの
となってしまう。したがって、前記のパス間水冷を行う
場合に鋼材の表面を急冷する温度は、500〜700℃
の温度域としなければならない。
【0036】前記したパス間水冷を1回以上行うことに
より、鋼材表面を微細なフェライト・パーライト組織に
することが可能であるが、6回以上繰り返してもフェラ
イト・パーライト組織を微細化する効果が飽和する。し
たがって、パス間水冷は1〜5回繰り返すこととした。
【0037】ところで、パス間水冷する「鋼材表面」
は、単に鋼材の表面に留まらず、鋼材表面から半径比で
0.1の深さの部位までであっても良い。パス間水冷に
よって500〜700℃の温度域に急冷される部位が前
記深さまでの場合には、所謂「表面部」の組織が微細と
なって、降伏強度685MPa以上、降伏比0.8以
下、降伏伸び1.4%以上という所望の特性を付与する
ことができるためである。これに対して、前記深さが鋼
材表面から半径比で0.1の深さを超えると、内部保有
熱量が小さくなるため復熱による再加熱が充分起こらな
くなって所望の組織が得られなくなるとともに、急冷後
の圧延時に変形抵抗が大きくなって圧延機に過度の負荷
がかかってしまう。
【0038】(B−3)圧延仕上げ温度 結晶粒微細化のためには圧延仕上げ温度を低くするほど
効果があるが、750℃を下回ると圧延機に対する負荷
が過大となることに加えて鋼材に表面割れが生じるよう
になる。一方、1050℃を超えると結晶粒が粗大化し
て所望の微細な組織が得られなくなる。このため、圧延
仕上げ温度を750〜1050℃の範囲とした。なお、
この圧延仕上げ温度は、被圧延鋼材自身の復熱及び圧延
時の加工発熱によって確保できる。
【0039】(B−4)仕上げ圧延速度 本発明者らの詳細な調査によると、通常の方法で丸鋼及
び異形棒鋼を圧延した場合の仕上げ圧延速度の下限値
(v)は、dを鋼材のmm単位の公称直径とした時、v
=6.4−0.0014d2 m/sとなる。本発明にお
いては、パス間水冷するので仕上げ圧延温度の制御は容
易である。そこで、通常の圧延の場合の仕上げ圧延速度
の下限値を少なくとも維持して、高い生産性を確保する
ため、本発明では仕上げ圧延速度を前記vの値以上に規
定する。
【0040】(C)圧延後の加速冷却 熱間圧延終了後は、フェライト変態を抑制して圧延後に
放冷した場合よりも一層微細なフェライト・パーライト
組織とするために、直ちに冷却速度を制御して400〜
600℃の温度域の温度まで加速冷却することが必要で
ある。この加速冷却の冷却速度が3℃/s以下の場合に
は、所望の微細なフェライト・パーライト組織が得られ
ない。一方、10℃/sを超える場合にはベイナイトや
マルテンサイトといった所謂「低温変態組織」となって
しまって、所望の機械的性質を得ることができない。し
たがって、加速冷却の冷却速度は3℃/sを超え10℃
/sまでとしなければならない。
【0041】加速冷却を終了する温度が600℃を超え
る場合には、たとえ3℃/sを超え10℃/sまでの冷
却速度で加速冷却しても所望の組織とならない。そのた
め、所望の機械的性質が得られない。一方、加速冷却す
る温度が400℃を下回れば、鋼材の内部まで焼きの入
った組織となって、やはり所望の機械的性質が得られな
くなる場合がある。したがって、3℃/sを超え10℃
/sまでの冷却速度で加速冷却する温度を、600〜4
00℃の温度域の温度とした。この加速冷却の後は放冷
すれば良い。なお、ここでいう冷却速度とは鋼材表面に
おける冷却速度のことである。
【0042】上記の(A)に示した化学組成を有する鋼
材に、上記の(B)及び(C)に示した条件によって制
御圧延・加速冷却を行うことにより、降伏強度685M
Pa以上、降伏比0.8以下で、降伏棚を発現して1.
4%以上の降伏伸びを有する高強度低降伏比鉄筋用鋼材
を製造することができる。
【0043】ところで、高強度低降伏比鉄筋用鋼材に所
望の機械的性質を安定して付与するためには、鋼材の組
織(フェライト・パーライト組織)におけるフェライト
の粒径と面積率を制御することが好ましい。すなわち、
鋼材に所望の強度、伸び及び曲げ特性を安定して付与す
るためには、鋼材の組織をフェライト・パーライト組
織、それもフェライトの最大粒径が30μm以下で、且
つ平均粒径が20μm以下で、更に前記サイズのフェラ
イトの面積率が35〜65%であるフェライト・パーラ
イト組織とすれば良い。
【0044】鋼材が前記した所定の化学組成を有し、そ
の組織が最大粒径30μm以下で平均粒径が20μm以
下のフェライトを面積率で35〜65%有するフェライ
ト・パーライト組織である場合に、鋼材は大きな降伏棚
を発現して1.4%以上の降伏伸びが極めて安定して得
られるようになり、高強度で曲げ特性も良好となるから
である。
【0045】又、鉄筋用鋼材の強度上昇及び太径化によ
って、その破断伸びは低下する傾向にある。一般に、破
断伸びは前記した降伏伸びや曲げ特性と相関を有する。
更に、破断伸びが小さいと歪エネルギーの吸収が小さい
ため、地震などによって過大な歪エネルギーが加わると
破断を生じ易くなる。このため、耐震性の観点からは、
破断伸びも大きければ大きいほど良い。したがって、鉄
筋としての用途を考えた場合、破断伸びとして、従来の
JISSD345〜SD490と同等の破断伸びを確保
することが好ましい。
【0046】
【実施例】表1〜4に示す化学組成の鋼を通常の方法に
よって溶製した。表1〜4において、鋼A〜Sは本発明
の対象鋼(以下、「本発明鋼」という)、鋼a〜lは成
分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れ
た比較鋼である。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】次いで、これらの鋼を通常の方法によって
鋼片となし、表5〜10に示す条件で圧延と冷却を行
い、JIS G 3112に規定される呼び名D32とD51の鉄
筋用棒鋼を製造した。なお、表5〜10におけるパス間
水冷において、回数が1回の場合は仕上げ圧延列で、2
〜5回の場合は中間圧延列と仕上げ圧延列でパス間水冷
を行った。又、圧延終了後の加速冷却は500℃まで行
い、以後は放冷した。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】こうして得られた棒鋼について実体引張試
験と実体曲げ試験を行った。又、組織観察用試験片を切
り出して組織観察を行った。
【0059】試験結果を表11〜16に示す。組織は、
D32の場合は表面から8mmの部位を、又、D51の
場合は表面から12mmの部位を、それぞれ光学顕微鏡
で観察して判定したものである。上記の表におけるF は
フェライト、P はパーライト、B はベイナイトをそれぞ
れ意味する。引張試験における降伏伸びは応力−歪曲線
から求めた。曲げ特性は、D32の場合は曲げ半径30
mmで、D51の場合は曲げ半径50mmで、それぞれ
90度曲げた後の割れ発生の有無で評価した。表におい
て○は割れ発生無し、×は割れ発生有りを意味する。
【0060】表11〜16の結果から、本発明で規定す
る化学組成を有し、且つ本発明で規定する条件で「熱間
圧延−冷却」の処理を施された鋼材にあっては、仕上げ
圧延速度を大きくしても、又、呼び名D51のような超
太径であっても、所定の降伏強度、降伏伸び及び降伏比
が得られ、更に曲げ特性も優れていることが明らかであ
る。
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】
【表13】
【0064】
【表14】
【0065】
【表15】
【0066】
【表16】
【0067】
【発明の効果】本発明の高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製
造方法によれば、比較的容易に低コストで、降伏強度6
85MPa以上、降伏比0.8以下、降伏伸び1.4%
以上の機械的性質を有する高強度低降伏比鉄筋用鋼材を
製造することが可能で、超高層ビルの鉄筋コンクリート
用として使用される場合にも安全性の高い耐震性能に優
れた構造用鉄筋を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧延工程が粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧
    延の各工程からなる高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方
    法であって、重量%で、C:0.15〜0.50%、S
    i:0.15〜1.50%、Mn:0.30〜2.50
    %、Cr:0.02〜2.00%、V:0.01〜0.
    40%、Nb:0.005〜0.40%、N:0.00
    3〜0.02%、Cu:0〜0.50%、Ni:0〜
    0.50%、Mo:0〜0.50%、Al:0.08%
    以下、残部はFe及び不可避不純物からなる組成の鋼材
    を、1050〜1250℃の温度域に加熱して粗圧延を
    行い、次いで中間圧延及び/又は仕上げ圧延のパス間で
    水冷して鋼材の表面を500〜700℃の温度域に急冷
    することを1〜5回繰り返しながら圧延し、更に、圧延
    仕上げ温度を750〜1050℃の範囲に、仕上げ圧延
    速度を6.4−0.0014・d2m/s以上に制御し
    て圧延を終了し、その後600〜400℃の温度域の温
    度まで3℃/sを超え10℃/sまでの冷却速度で加速
    冷却することを特徴とする高強度低降伏比鉄筋用鋼材の
    製造方法。但し、dは鉄筋用鋼材のmm単位の公称直径
    である。
JP08671296A 1995-09-01 1996-04-09 高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法 Expired - Fee Related JP3772382B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08671296A JP3772382B2 (ja) 1995-09-01 1996-04-09 高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22539995 1995-09-01
JP7-225399 1995-09-01
JP08671296A JP3772382B2 (ja) 1995-09-01 1996-04-09 高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09125143A true JPH09125143A (ja) 1997-05-13
JP3772382B2 JP3772382B2 (ja) 2006-05-10

Family

ID=26427802

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08671296A Expired - Fee Related JP3772382B2 (ja) 1995-09-01 1996-04-09 高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3772382B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100959475B1 (ko) * 2007-10-29 2010-05-26 현대제철 주식회사 초고강도 철근의 제조방법
WO2012002638A3 (ko) * 2010-06-28 2012-02-23 현대제철 주식회사 초고강도 철근 및 그 제조방법
CN111850395A (zh) * 2020-06-30 2020-10-30 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 N强化高强抗震钢筋及其生产方法
CN114164372A (zh) * 2021-09-15 2022-03-11 盐城市联鑫钢铁有限公司 一种高强屈比的细晶粒高强抗震钢筋制作方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102719750A (zh) * 2012-04-24 2012-10-10 本钢板材股份有限公司 一种耐磨钢及其冶炼方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100959475B1 (ko) * 2007-10-29 2010-05-26 현대제철 주식회사 초고강도 철근의 제조방법
WO2012002638A3 (ko) * 2010-06-28 2012-02-23 현대제철 주식회사 초고강도 철근 및 그 제조방법
US9200353B2 (en) 2010-06-28 2015-12-01 Hyundai Steel Company Method for manufacturing an ultra-highstrength steel bar
CN111850395A (zh) * 2020-06-30 2020-10-30 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 N强化高强抗震钢筋及其生产方法
CN114164372A (zh) * 2021-09-15 2022-03-11 盐城市联鑫钢铁有限公司 一种高强屈比的细晶粒高强抗震钢筋制作方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3772382B2 (ja) 2006-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20030066580A1 (en) Method for making high-strength high-toughness martensitic stainless steel seamless pipe
CN1143393A (zh) 韧性和焊接性良好的双相钢板
CN110100027B (zh) 具有优异的低温韧性的低屈服比的钢板及其制造方法
JP3901994B2 (ja) 非調質高強度・高靭性鍛造品およびその製造方法
JPH08188847A (ja) 疲労特性にすぐれる複合組織鋼板及びその製造方法
JP3851147B2 (ja) 非調質高強度・高靭性鍛造品およびその製造方法
JPH10306316A (ja) 低温靭性に優れた低降伏比高張力鋼材の製造方法
JPH09111340A (ja) 高強度低降伏比鉄筋用鋼材及びその製造方法
JPH09137222A (ja) 高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法
JP3022280B2 (ja) 耐震性に優れる鉄筋用鋼材の製造方法
JP5266804B2 (ja) 圧延非調質鋼材の製造方法
CN113166883B (zh) 具有优异的低屈服比和低温韧性的结构钢及其制备方法
JP3772382B2 (ja) 高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法
JP2001073069A (ja) 高生産性・高強度圧延h形鋼およびその製造方法
JP3851146B2 (ja) 非調質高強度・高靭性鍛造用鋼およびその製造方法並びに鍛造品の製造方法
JP2842099B2 (ja) 高強度低降伏比鉄筋用棒鋼及びその製造方法
JP3750737B2 (ja) 非調質高強度・高靭性鍛造品の製造方法
JPH09111401A (ja) 被削性および耐焼割れ性に優れた機械構造用鋼材およびその製造方法
JP3022279B2 (ja) 耐震性に優れる鉄筋用鋼材の製造方法
JP4038361B2 (ja) 非調質高強度・高靭性鍛造品およびその製造方法
JP3544455B2 (ja) 継目無鋼管用高強度非調質鋼の製造方法
JP2692523B2 (ja) 溶接性と低温靱性に優れた780MPa級高張力鋼の製造方法
JP3077567B2 (ja) 低温鉄筋用鋼材の製造方法
JP3077568B2 (ja) 低温鉄筋用鋼材の製造方法
JPH06340922A (ja) 低降伏比高張力鋼管の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060206

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100224

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100224

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110224

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120224

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120224

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130224

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130224

Year of fee payment: 7

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130224

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140224

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees