JPH09125143A - 高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法 - Google Patents
高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法Info
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- JPH09125143A JPH09125143A JP8671296A JP8671296A JPH09125143A JP H09125143 A JPH09125143 A JP H09125143A JP 8671296 A JP8671296 A JP 8671296A JP 8671296 A JP8671296 A JP 8671296A JP H09125143 A JPH09125143 A JP H09125143A
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Abstract
耐震性能と曲げ性能に優れた鉄筋用鋼材を高い生産性の
下に製造する方法を提供する。 【解決手段】特定の化学組成を有する鋼材を、1050
〜1250℃の温度域に加熱して粗圧延を行い、次いで
中間圧延及び/又は仕上げ圧延のパス間で水冷して鋼材
の表面を500〜700℃の温度域に急冷することを1
〜5回繰り返しながら圧延し、更に、圧延仕上げ温度を
750〜1050℃の範囲に、仕上げ圧延速度を6.4
−0.0014・d2 m/s以上に制御して圧延を終了
し、その後600〜400℃の温度域の温度まで3℃/
sを超え10℃/sまでの冷却速度で加速冷却する。但
し、dは鉄筋用鋼材のmm単位の公称直径である。
Description
筋用鋼材の製造方法に関し、より詳しくは、明瞭な降伏
棚を有して耐震性に優れるとともに曲げ性能にも優れた
高強度低降伏比鉄筋用鋼材を生産性高く製造する方法に
関する。
して従来よりも高い強度を有する高強度鉄筋に対する要
望が大きい。しかし、鉄筋を高強度化すると降伏比(降
伏強度/引張強度)が高くなり、耐震性能を含めた鉄筋
の性能が低下することが知られている。
かかる強度が降伏強度を超えた場合でも降伏比が低く降
伏伸びの大きい鉄筋を用いておれば、塑性変形を起こし
て地震のエネルギーを吸収できるので、建物全体の倒壊
を防ぐことが可能である。そのため、地震活動期に入っ
たといわれる現今、特に降伏強度が685MPa以上、
降伏比が0.8以下、降伏伸びが1.4%以上で、且つ
優れた曲げ性能を有して耐震性能に優れる高強度低降伏
比鉄筋が求められている。なお「降伏伸び」とは、引張
試験の経過中、試験片平行部が降伏し始めた時から、ほ
ぼ一定の応力状態で歪が増加し、次に滑らかに応力が増
加し始めるまでの標点間の長さの変化の標点距離に対す
る百分率である。又、上記のほぼ一定の応力状態で歪が
増加する領域を「降伏棚」という。
方法として、例えば特開平4−56727号公報には、
VとTiを多量に添加した鋼を用いて圧延終了温度を9
00℃以下とする技術が提案されている。しかしなが
ら、このような高価な元素を多量に添加する場合のコス
トアップは膨大である。更に、降伏比はその実施例から
も明らかなように0.8を超えており、所望の高強度低
降伏比鉄筋用鋼材を確実に製造できるものではない。
仕上げ圧延に際して表層部のみに制御冷却を行い、次い
で自己焼戻しさせて表層部が焼戻しマルテンサイト、内
部がフェライト・パーライト組織又はベイナイト、ある
いはこれらの混合組織からなる鋼材を製造する方法が提
案されている。しかし、この強制冷却−自己焼戻しを用
いた技術には、曲げ試験時に表層の焼戻しマルテンサイ
ト層から割れが生じるという問題があった。
の化学組成を有する鋼片を用いて圧延終了後に鋼材の表
面を冷却し、次いで復熱させて、表層部に微細なフェラ
イトと粒状炭化物(又は)層状炭化物を生成させるか、
更にその後再度急冷して、表層部を内部より軟質とする
高強度・高靭性棒鋼の製造方法が開示されている。しか
し、この技術を用いた場合に得られる降伏強度は、その
実施例からも明らかなように高々63kgf/mm2
(618MPa)である。したがって、前記公報に提案
された技術を用いても、所望の高強度低降伏比鉄筋用鋼
材が確実に得られるものではない。
1号公報及び特開平6−228635号公報で「高強度
低降伏比鉄筋用棒鋼の製造方法」及び「高強度低降伏比
鉄筋用鋼の製造方法」を提案した。このうち特開平6−
136441号公報で提案した方法によれば高強度低降
伏比鉄筋用棒鋼は得られるものの、表層部が焼戻しマル
テンサイト組織であるためマルテンサイトへの変態時に
変態歪に基づく曲がりが発生し、これを矯正しなければ
ならないという問題があった。又、特開平6−2286
35号公報で提案した方法は、細径の高強度低降伏比鉄
筋用棒鋼に対して有効ではあるが、太径、特に呼び名D
51のような超太径の鉄筋用棒鋼に対しては、必ずしも
所望の特性が得られるというものではなかった。更に、
前記の提案による方法では、圧延仕上げ温度を低く管理
するために圧延速度を下げなければならず、生産性が低
くなってコストの上昇をきたすという問題があった。
みなされたもので、その目的は明瞭な降伏棚を発現して
1.4%以上の降伏伸びを有し、降伏強度が685MP
a以上であって、且つ降伏比が0.8以下である曲げ性
能に優れた高強度低降伏比鉄筋用鋼材を、高い生産性の
下に製造する方法を提供することにある。特に、上記特
性を満足させることで耐震性能を大幅にアップし、先の
兵庫県南部地震のような巨大地震が起こっても鉄筋自体
が塑性変形を起こして地震のエネルギーを吸収し、建物
全体の倒壊を防ぐことに寄与できるような、曲げ性能に
優れた高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法を提供する
ことを最大の目的とするものである。
を達成するために種々検討を重ねた結果、下記の知見を
得た。
以上ある鋼材を用いた鉄筋の耐震性は極めて優れる。
くし、曲げ特性も良好とするには鉄筋用鋼材の組織、な
かでも表面近傍の組織を制御すれば良い。
間圧延及び/又は仕上げ圧延のパス間で水冷して鋼材の
表面を500〜700℃の温度域に急冷すれば良い。
750〜1050℃の範囲に制御し、その後600〜4
00℃の温度域の温度まで3℃/sを超え10℃/sま
での冷却速度で冷却すれば効果が大きい。
上げ温度を制御できるので圧延速度を下げる必要がな
い。このため高い生産性が得られる。
時にも鉄筋自体が塑性変形を起こして地震のエネルギー
を吸収し、建物全体の倒壊を防ぐためには、少なくとも
鉄筋には降伏強度が685MPa以上、降伏比が0.8
以下、降伏伸びが1.4%以上の特性が必要である。
の条件を制御すれば、呼び名D19以上の太径、なかで
もD51のような超太径の鉄筋用鋼材に対しても、降伏
強度685MPa以上、降伏比0.8以下、降伏伸び
1.4%以上を付与できる。
高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法を要旨とする。
圧延の各工程からなる高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造
方法であって、重量%で、C:0.15〜0.50%、
Si:0.15〜1.50%、Mn:0.30〜2.5
0%、Cr:0.02〜2.00%、V:0.01〜
0.40%、Nb:0.005〜0.40%、N:0.
003〜0.02%、Cu:0〜0.50%、Ni:0
〜0.50%、Mo:0〜0.50%、Al:0.08
%以下、残部はFe及び不可避不純物からなる組成の鋼
材を、1050〜1250℃の温度域に加熱して粗圧延
を行い、次いで中間圧延及び/又は仕上げ圧延のパス間
で水冷して鋼材の表面を500〜700℃の温度域に急
冷することを1〜5回繰り返しながら圧延し、更に、圧
延仕上げ温度を750〜1050℃の範囲に、仕上げ圧
延速度を6.4−0.0014・d2 m/s以上に制御
して圧延を終了し、その後600〜400℃の温度域の
温度まで3℃/sを超え10℃/sまでの冷却速度で加
速冷却することを特徴とする高強度低降伏比鉄筋用鋼材
の製造方法。但し、dは鉄筋用鋼材のmm単位の公称直
径である。」
しく説明する。なお、成分含有量の「%」は「重量%」
を意味する。
し、その含有量が0.15%未満では所望の高強度が得
られない。一方、0.50%を超えるとパーライト分率
(面積率)の増加が起こり、そのため逆にフェライトの
面積率が低くなって靭性と曲げ特性の劣化をきたすこと
となる。したがって、Cの含有量を0.15〜0.50
%とした。なお、Cの好ましい含有量は0.20〜0.
50%である。
の向上を図る作用がある。しかし、その含有量が、0.
15%未満では所望の効果が得られず、1.50%を超
えると靭性の低下を招くようになる。したがって、Si
の含有量を0.15〜1.50%とした。
る。しかし、その含有量が0.30%未満では所望の効
果が得られず、2.50%を超えると焼入れ性が著しく
高くなって所望の組織と機械的性質が得られなくなる。
したがって、Mnの含有量を0.30〜2.50%とし
た。
用がある。更に、パーライトコロニーを細かくして延性
を向上させる効果も有する。しかし、その含有量が0.
02%未満では所望の効果が得られない。一方、2.0
0%を超えて含有させると、焼入れ性が著しく上昇して
所望の組織と機械的性質が得られなくなる。したがっ
て、Crの含有量を0.02〜2.00%とした。
ト相への変態の際に、その窒化物や炭窒化物がフェライ
ト相に分散析出してフェライトを強化する。又、結晶粒
の微細化を促進して降伏棚を発現させ、低い降伏比を維
持しつつ強度を向上させる作用を有する。しかし、その
含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、
0.40%を超えて含有させても強度向上効果は飽和
し、製造コストを上昇させるだけである。したがって、
Vの含有量を0.01〜0.40%とした。
オーステナイト結晶粒の粗大化を抑えるとともに析出強
化に寄与する極めて重要な元素である。しかし、その含
有量が0.005%未満では添加効果に乏しく、一方、
0.40%を超えて含有させても強度向上効果は飽和
し、製造コストを上昇させるだけである。このため、N
bの含有量を0.005〜0.40%とした。なお、N
bの好ましい含有量は、0.01〜0.10%である。
化物や炭窒化物を形成し、強度を高めるとともに結晶粒
を微細化して鋼を強靭化する作用がある。しかし、その
含有量が0.003%未満では所望の効果が得られず、
0.02%を超えると却って靭性の低下をもたらすよう
になる。したがって、Nの含有量を0.003〜0.0
2%とした。なお、Nの好ましい含有量は、0.005
〜0.02%である。
れば強度を高める作用がある。この効果を確実に得るに
は、Cuは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和する。更に熱間加工性の劣化をも招くし、コス
トアップにもつながる。したがって、Cu含有量を0〜
0.50%とした。
れば強度を高める作用がある。前記効果を確実に得るに
は、Niは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和し、コストアップにつながるばかりである。し
たがって、Ni含有量を0〜0.50%とした。
れば強度を高める作用がある。この効果を確実に得るに
は、Moは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和し、コストアップにつながるばかりである。し
たがって、Mo含有量を0〜0.50%とした。
化物や炭窒化物の形成を阻害して強度の低下をもたら
し、特にその含有量が0.08%を超えると、強度の低
下が著しくなる。したがって、Alの含有量の上限を
0.08%とした。
度化を達成する。このためには、VとNbを圧延前の加
熱時にオーステナイト中へ充分に固溶させておかなけれ
ばならない。そこで、前記の化学組成を有する鋼を10
50℃以上に加熱する。一方、1250℃を超えて加熱
すると、オーステナイト粒の粗大化が著しく所望の機械
的性質が得られない。更に、圧延素材の表面酸化が著し
くなって圧延時に表面割れを生ずることがある。したが
って、本発明においては、加熱を1050〜1250℃
の温度域に限定した。
のパス間水冷 熱間連続圧延工程は、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延
の3工程からなるが、このうち中間圧延及び/又は仕上
げ圧延のパス間において水冷を行い、鋼材の表面を50
0〜700℃の温度域に急冷することを1〜5回繰り返
しながら圧延することが重要である。
的に下げることにあり、これによって仕上げ圧延温度の
制御が容易になるため、圧延速度を下げることなく未再
結晶域圧延を行うことができ、組織の微細化が可能とな
る。更に、圧延速度を下げる必要がないことは、高い生
産性の下での製品製造につながる。
及び/又は仕上げ圧延のパス間で水冷して鋼材の表面を
Ar1点を下回る700℃以下に急冷してオーステナイト
からフェライトとパーライトに変態させる処理と、鋼材
内部の保有熱により復熱させてフェライト・パーライト
からオーステナイトへ逆変態させる処理を繰り返すこと
により、最終的な鋼材の組織を微細なフェライト・パー
ライト組織にすることである。前記の処理によって鋼材
の表面を微細なフェライト・パーライト組織にすること
で、鋼材の降伏伸びを大きくし、曲げ特性も良好とする
ことが可能となる。
0℃を上回る場合には、オーステナイトからフェライト
とパーライトへの変態が充分起こらないので所望の組織
が得られない。鋼材表面温度が500℃を下回る場合に
は、鋼材内部の保有熱による復熱による再加熱が充分で
ないためフェライト・パーライトからオーステナイトへ
の逆変態が不十分となって、やはり所望の組織が得られ
ない。更にこの場合は圧延機にかかる負荷が大きなもの
となってしまう。したがって、前記のパス間水冷を行う
場合に鋼材の表面を急冷する温度は、500〜700℃
の温度域としなければならない。
より、鋼材表面を微細なフェライト・パーライト組織に
することが可能であるが、6回以上繰り返してもフェラ
イト・パーライト組織を微細化する効果が飽和する。し
たがって、パス間水冷は1〜5回繰り返すこととした。
は、単に鋼材の表面に留まらず、鋼材表面から半径比で
0.1の深さの部位までであっても良い。パス間水冷に
よって500〜700℃の温度域に急冷される部位が前
記深さまでの場合には、所謂「表面部」の組織が微細と
なって、降伏強度685MPa以上、降伏比0.8以
下、降伏伸び1.4%以上という所望の特性を付与する
ことができるためである。これに対して、前記深さが鋼
材表面から半径比で0.1の深さを超えると、内部保有
熱量が小さくなるため復熱による再加熱が充分起こらな
くなって所望の組織が得られなくなるとともに、急冷後
の圧延時に変形抵抗が大きくなって圧延機に過度の負荷
がかかってしまう。
効果があるが、750℃を下回ると圧延機に対する負荷
が過大となることに加えて鋼材に表面割れが生じるよう
になる。一方、1050℃を超えると結晶粒が粗大化し
て所望の微細な組織が得られなくなる。このため、圧延
仕上げ温度を750〜1050℃の範囲とした。なお、
この圧延仕上げ温度は、被圧延鋼材自身の復熱及び圧延
時の加工発熱によって確保できる。
び異形棒鋼を圧延した場合の仕上げ圧延速度の下限値
(v)は、dを鋼材のmm単位の公称直径とした時、v
=6.4−0.0014d2 m/sとなる。本発明にお
いては、パス間水冷するので仕上げ圧延温度の制御は容
易である。そこで、通常の圧延の場合の仕上げ圧延速度
の下限値を少なくとも維持して、高い生産性を確保する
ため、本発明では仕上げ圧延速度を前記vの値以上に規
定する。
放冷した場合よりも一層微細なフェライト・パーライト
組織とするために、直ちに冷却速度を制御して400〜
600℃の温度域の温度まで加速冷却することが必要で
ある。この加速冷却の冷却速度が3℃/s以下の場合に
は、所望の微細なフェライト・パーライト組織が得られ
ない。一方、10℃/sを超える場合にはベイナイトや
マルテンサイトといった所謂「低温変態組織」となって
しまって、所望の機械的性質を得ることができない。し
たがって、加速冷却の冷却速度は3℃/sを超え10℃
/sまでとしなければならない。
る場合には、たとえ3℃/sを超え10℃/sまでの冷
却速度で加速冷却しても所望の組織とならない。そのた
め、所望の機械的性質が得られない。一方、加速冷却す
る温度が400℃を下回れば、鋼材の内部まで焼きの入
った組織となって、やはり所望の機械的性質が得られな
くなる場合がある。したがって、3℃/sを超え10℃
/sまでの冷却速度で加速冷却する温度を、600〜4
00℃の温度域の温度とした。この加速冷却の後は放冷
すれば良い。なお、ここでいう冷却速度とは鋼材表面に
おける冷却速度のことである。
材に、上記の(B)及び(C)に示した条件によって制
御圧延・加速冷却を行うことにより、降伏強度685M
Pa以上、降伏比0.8以下で、降伏棚を発現して1.
4%以上の降伏伸びを有する高強度低降伏比鉄筋用鋼材
を製造することができる。
望の機械的性質を安定して付与するためには、鋼材の組
織(フェライト・パーライト組織)におけるフェライト
の粒径と面積率を制御することが好ましい。すなわち、
鋼材に所望の強度、伸び及び曲げ特性を安定して付与す
るためには、鋼材の組織をフェライト・パーライト組
織、それもフェライトの最大粒径が30μm以下で、且
つ平均粒径が20μm以下で、更に前記サイズのフェラ
イトの面積率が35〜65%であるフェライト・パーラ
イト組織とすれば良い。
の組織が最大粒径30μm以下で平均粒径が20μm以
下のフェライトを面積率で35〜65%有するフェライ
ト・パーライト組織である場合に、鋼材は大きな降伏棚
を発現して1.4%以上の降伏伸びが極めて安定して得
られるようになり、高強度で曲げ特性も良好となるから
である。
って、その破断伸びは低下する傾向にある。一般に、破
断伸びは前記した降伏伸びや曲げ特性と相関を有する。
更に、破断伸びが小さいと歪エネルギーの吸収が小さい
ため、地震などによって過大な歪エネルギーが加わると
破断を生じ易くなる。このため、耐震性の観点からは、
破断伸びも大きければ大きいほど良い。したがって、鉄
筋としての用途を考えた場合、破断伸びとして、従来の
JISSD345〜SD490と同等の破断伸びを確保
することが好ましい。
よって溶製した。表1〜4において、鋼A〜Sは本発明
の対象鋼(以下、「本発明鋼」という)、鋼a〜lは成
分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れ
た比較鋼である。
鋼片となし、表5〜10に示す条件で圧延と冷却を行
い、JIS G 3112に規定される呼び名D32とD51の鉄
筋用棒鋼を製造した。なお、表5〜10におけるパス間
水冷において、回数が1回の場合は仕上げ圧延列で、2
〜5回の場合は中間圧延列と仕上げ圧延列でパス間水冷
を行った。又、圧延終了後の加速冷却は500℃まで行
い、以後は放冷した。
験と実体曲げ試験を行った。又、組織観察用試験片を切
り出して組織観察を行った。
D32の場合は表面から8mmの部位を、又、D51の
場合は表面から12mmの部位を、それぞれ光学顕微鏡
で観察して判定したものである。上記の表におけるF は
フェライト、P はパーライト、B はベイナイトをそれぞ
れ意味する。引張試験における降伏伸びは応力−歪曲線
から求めた。曲げ特性は、D32の場合は曲げ半径30
mmで、D51の場合は曲げ半径50mmで、それぞれ
90度曲げた後の割れ発生の有無で評価した。表におい
て○は割れ発生無し、×は割れ発生有りを意味する。
る化学組成を有し、且つ本発明で規定する条件で「熱間
圧延−冷却」の処理を施された鋼材にあっては、仕上げ
圧延速度を大きくしても、又、呼び名D51のような超
太径であっても、所定の降伏強度、降伏伸び及び降伏比
が得られ、更に曲げ特性も優れていることが明らかであ
る。
造方法によれば、比較的容易に低コストで、降伏強度6
85MPa以上、降伏比0.8以下、降伏伸び1.4%
以上の機械的性質を有する高強度低降伏比鉄筋用鋼材を
製造することが可能で、超高層ビルの鉄筋コンクリート
用として使用される場合にも安全性の高い耐震性能に優
れた構造用鉄筋を提供することができる。
Claims (1)
- 【請求項1】圧延工程が粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧
延の各工程からなる高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方
法であって、重量%で、C:0.15〜0.50%、S
i:0.15〜1.50%、Mn:0.30〜2.50
%、Cr:0.02〜2.00%、V:0.01〜0.
40%、Nb:0.005〜0.40%、N:0.00
3〜0.02%、Cu:0〜0.50%、Ni:0〜
0.50%、Mo:0〜0.50%、Al:0.08%
以下、残部はFe及び不可避不純物からなる組成の鋼材
を、1050〜1250℃の温度域に加熱して粗圧延を
行い、次いで中間圧延及び/又は仕上げ圧延のパス間で
水冷して鋼材の表面を500〜700℃の温度域に急冷
することを1〜5回繰り返しながら圧延し、更に、圧延
仕上げ温度を750〜1050℃の範囲に、仕上げ圧延
速度を6.4−0.0014・d2m/s以上に制御し
て圧延を終了し、その後600〜400℃の温度域の温
度まで3℃/sを超え10℃/sまでの冷却速度で加速
冷却することを特徴とする高強度低降伏比鉄筋用鋼材の
製造方法。但し、dは鉄筋用鋼材のmm単位の公称直径
である。
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