JPH09123415A - 印刷機、および印刷しようとする基体と複数のインキ移し装置との間の圧着力を形成する方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転条件が変わった場合に、複数の印刷装置
を調整するための調節手間を減じる。 【解決手段】 圧着力Ｆｎ１〜Ｆｎ４を、搬送ベルト１
の予荷重力Ｆｖと、インキ移し装置４の湾曲した表面に
搬送ベルトにより基体を部分的に巻き掛けることとによ
って形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンドレスの搬送
ベルトで搬送される印刷しようとする基体と、搬送ベル
トに沿って所定の間隔を置いて互いに前後に配置されか
つ搬送ベルトと対向して位置する円筒形に湾曲したそれ
ぞれ１つの表面を有する複数のインキ移し装置との間の
圧着力を形成するための方法に関する。

【０００２】さらに本発明は、印刷機であって、印刷し
ようとする基体のためのエンドレスの搬送ベルトと、複
数のインキ移し装置とが設けられており、該インキ移し
装置が、搬送ベルトに沿って所定の間隔を置いて互いに
前後に配置されていて、該搬送ベルトと対向して位置す
る円筒形に湾曲したそれぞれ１つの表面を有している形
式のものに関する。

【０００３】

【従来の技術】株式会社リコーのパンフレット「RICOH
NC 8015」から公知のカラーコピー機の場合、印刷しよ
うとする基体、例えば枚葉紙が、エンドレスの搬送ベル
トで複数のインキ移し装置に沿って搬送される。これら
のインキ移し装置は搬送ベルトに沿って所定の間隔を置
いて互いに前後に配置されていて、それぞれ１つの円筒
形の表面を有している。これらの表面は搬送ベルトに対
向して位置している。

【０００４】このような枚葉紙搬送を印刷機において利
用する場合、正確に分配された圧着力が、版胴と紙との
間に形成されなければならない。このためには、従来の
印刷機におけるように、剛性的または弾性的な圧胴、ま
たは平らな剛性的な支持面を使用することができる。こ
の場合搬送ベルトは、この搬送ベルトで搬送された枚葉
紙と一緒に各印刷装置において、版胴と対圧手段との間
を通走する。しかしながら、他の厚さを有する枚葉紙を
印刷したい場合、または他の理由から圧着力を変えなけ
ればならない場合、各印刷装置は個別に調節されなけれ
ばならない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、運転
条件が変わった場合に、複数の印刷装置を調整するため
の調節手間を減じることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
本発明の方法では、圧着力を、搬送ベルトの予荷重力
と、インキ移し装置の湾曲した表面に搬送ベルトにより
基体を部分的に巻き掛けることとによって形成するよう
にした。

【０００７】さらに上記課題を解決するために本発明の
構成では、印刷機の運転中、搬送ベルトが予荷重力下に
あり、各インキ移し装置に、搬送ベルトの接近側の部分
の平面および遠ざかる側の部分の平面が所定の角度を成
して交差しており、基体が、インキ移し装置の湾曲した
表面に、搬送ベルトによって巻き掛けられるようにし
た。

【０００８】

【発明の効果】基体がインキ移し装置の湾曲した表面
に、予荷重力を与えられた搬送ベルトによって部分的に
巻き掛けられることによって、各インキ移し装置の表面
に対して直角に、搬送ベルトの予荷重力に関連した圧着
力が生じる。各インキ移し装置は、印刷装置の版胴であ
るか、またはベルトであってよく、このベルトは、印刷
装置の他の個所からインキを案内して胴の周りを循環
し、この胴においてインキが圧力によって基体に移され
る。

【０００９】従って、全ての印刷装置における圧着力を
共通に増減するためには、搬送ベルトの予荷重力だけを
変えればよい。このことは、異なる印刷装置において異
なる圧着力を得ることが印刷技術上の理由から必要な場
合にも当てはまる。この場合には、個々のインキ移し装
置を所望の圧着力に応じて搬送ベルトに向かって、かつ
搬送ベルトから離反する方向に移動調節し、例えば紙厚
が変わった場合には、次いで予荷重力を変えることによ
り、印刷装置に対する圧着力の分布が予め調整される。

【００１０】本発明は特にディジタル式の印刷機に適し
ている。このような印刷機の場合、申し分のない印刷の
ために必要な対圧および版胴の引き出し力は、従来の印
刷機の場合よりも極めて小さい。このような対圧の形成
のための予荷重力は、搬送ベルトがその弾性範囲内で緊
張させられて保持されることによって簡単に得られる。
圧着力の強さは、搬送ベルトの予荷重力を介しても弾性
係数を介しても制御することができる。

【００１１】ディジタル式の印刷機の場合に必要とされ
る小さな対圧は、小さな巻き掛け角において既に得るこ
とができる。従ってこのような印刷機においては、例え
ば長尺の構造が可能である。このような構造の場合、搬
送ベルトは、所定の間隔を置いて支承された２つのロー
ラの回りを循環する。複数の印刷装置が搬送ベルトの一
方のベルト区分に沿って互いに前後に配置されており、
この場合このベルト区分が過度に変位させられることは
ない。

【００１２】例えば９０°を著しく超える過度に大きな
巻き掛け角は、版胴の周面に印刷装置の別の重要な構成
エレメントを取り付けなければならないという、構造上
の理由から不都合であるばかりか、面圧、すなわち、紙
が搬送ベルトによって版胴に押し付けられる単位面積当
たりの力が、巻き掛け角が大きくなるほど小さくなるの
で意味があるとは云えない。このような場合には、イン
キが不均一な力で移され、版胴から枚葉紙が剥離されに
くくなる。

【００１３】これに対して、巻き掛け角が適正なものに
選択されると、印刷後、枚葉紙を版胴から剥離させるた
めに、枚葉紙の固有張力が直線的な枚葉紙案内の場合よ
りも良好に活用される。

【００１４】さらに、版胴に枚葉紙を巻き掛けることに
よって枚葉紙搬送が改善される。それというのは、付着
力が増大し、スリップ作用が減じられるからである。

【００１５】印刷ギャップへの枚葉紙の走入時には、搬
送ベルトは版胴から僅かに持ち上がる。しかしながらこ
のために必要なベルトの長さの変化は数マイクロメータ
に過ぎない。これに伴って生じる衝撃はフレキシブルな
搬送ベルトによって吸収されるので、僅かな振動しか生
ぜしめない。

【００１６】圧胴またはこれに類似のものは不要とな
り、その代わりに、予荷重力を形成するための装置、例
えば、搬送ベルトがその周りを循環するような複数のロ
ーラの内の１つのための調節装置だけが設けられればよ
いので、本発明による印刷機は、極めて簡単な構造を有
しており、これに相応して低廉に製造することができ
る。

【００１７】

【発明の実施の形態】次に本発明を図面に示した実施の
形態について説明する。

【００１８】先ず、圧着力を形成するための一般的な方
法を述べるために、図５に示された印刷機につき説明す
る。このような印刷機はエンドレスの搬送ベルト１を有
している。この搬送ベルト１は、互いに間隔を置いて支
承された２つのローラ２，３の周りを循環し、上に述べ
たカラーコピー機の場合と同様に、その上側区分におい
て、図示していない枚葉紙を搬送する。ローラ２，３の
間の搬送ベルト１の上側区分には、４つの印刷装置が同
一間隔を置いて互いに前後に配置されている。これらの
内、版胴４だけが図示されている。搬送ベルト１の上側
区分の下方には、４つの圧胴５が支承されている。各圧
胴５はそれぞれ１つの版胴４に対向して位置している。

【００１９】搬送ベルト１は、版胴４と圧胴５との間を
直線的に通走する。それぞれ１つの版胴４と圧胴５との
間には、圧着力Ｆｎが版胴４の表面に対して直角に作用
する。この圧着力によって、搬送ベルト１で搬送された
枚葉紙は、順次印刷インキを版胴４から枚葉紙に移すた
めに版胴４に圧着させられる。版胴４および／または圧
胴５は、異なる紙厚に合わせるために、個別に高さ直接
可能である。

【００２０】図１においては、図５のものと一致するエ
レメントには同一の符号を使用している。

【００２１】図１に示した印刷機と図５に示した印刷機
との違いは、図１に示した印刷機が圧胴を有していない
ことである。その代わりに、版胴４の周面の、搬送ベル
ト１に隣接する個所が、搬送ベルト１の上側区分の直線
的な輪郭に相当する平面よりもある程度下方に位置する
ように、版胴４が配置されている。さらに、図面から判
るように、搬送ベルト１の上側区分が全体的に見てほぼ
放物線状に下側区分に向かって撓むように、版胴４が配
置されている。しかしながら、それぞれ２つの版胴４の
間では、搬送ベルト１は直線的に延びている。各版胴４
においては、搬送ベルト１の接近側の部分の平面および
遠ざかる側の部分の平面が、小さな角度を成して交差し
ている。このような状態において、搬送ベルト１は予荷
重力Ｆｖ下にある。

【００２２】各版胴４は、その周面の小さな部分にわた
って搬送ベルト１によって巻き掛けられている。巻き掛
け角は、各版胴４に搬送ベルト１の接近側の部分の平面
および遠ざかる側の部分の平面が交差する角度に等し
い。各版胴４の表面に対して直角に、圧着力Ｆｎが作用
する。この圧着力は、図面において所属の版胴４の上に
４つの力の平行四辺形によって示したように、搬送ベル
ト１の予荷重力Ｆｖに関連している。同一の間隔を置い
て位置する版胴４が放物線状に配置されていることに基
づき、４つの圧着力Ｆｎ１〜Ｆｎ４の量は同一の大きさ
を有している。

【００２３】ローラ２，３のうちの一方は、図示してい
ない調節装置によって、他方のローラに接近しかつ該ロ
ーラから離反する方向に移動調節可能である。調節装置
を操作すると、搬送ベルト１の予荷重力Ｆｖが変化する
ので、こうして圧着力Ｆｎ１〜Ｆｎ４を共通に増減する
ことができる。これにより、すべての印刷装置における
圧着力Ｆｎ１〜Ｆｎ４を、印刷機の運転中に必要な場合
には同時に変更もしくは適合することができる。特に、
この印刷機は、新たな紙厚または紙質に極めて迅速かつ
簡単に合わせることができ、この場合、従来の印刷機の
場合のように、個々の印刷装置において何らかの調整を
行う必要はない。

【００２４】高い弾性係数を有する、引張り強さを備え
た搬送ベルト１、例えば鋼または鋼強化物を使用する
と、ローラ２，３を極めて小さい移動距離で大きな調節
範囲をカバーすることができるので、搬送ベルト１の有
効長さは予荷重力の調節時には僅かしか変わらない。予
荷重力は、固持されたローラ２，３における搬送ベルト
１の固有張力によってのみ付与することができる。しか
しながら場合によっては、例えば両ローラ２，３のうち
の一方が弾性的に懸吊されていてもよい。

【００２５】別の１実施例においては、ある程度の基本
調整を行うために、各版胴４は個別に、搬送ベルト１に
向かってかつ該搬送ベルト１から離反する方向に移動調
節可能である。このことについて、図１とは版胴４の位
置だけが異なる図２および図３に基づき説明する。

【００２６】図２においては、全ての版胴４が、図１に
おけるよりもローラ２，３に対して深い位置に調整され
ている。図１におけるものと同一の予荷重力Ｆｖは、例
えば両ローラ２，３の間隔を適宜に減じることにより得
られる。巻き掛け角がより大きいことに基づき、一層大
きな圧着力Ｆｎ１〜Ｆｎ４が形成される。これらの圧着
力は、図１に関連して説明したように、互いに等しい量
を有しており、予荷重力を変えることによって共通に増
減することができる。予荷重力Ｆｖおよび圧着力Ｆｎ１
〜Ｆｎ４を適宜に選択することにより、版胴４におけ
る、個々の場合に最適の巻き掛け角を調整することがで
きる。

【００２７】さらに、個々の版胴４の適宜の位置決めに
より、異なる圧着力Ｆｎ１〜Ｆｎ４を調整することがで
きる。このことは、既に印刷されたインキに重ねて次の
インキで印刷するために、より大きいかまたはより小さ
い圧着力が必要とされる場合に有利である。例えば、図
３に示したように、圧力特性線が小さくなるような圧着
力Ｆｎ１〜Ｆｎ４が形成されるように版胴４が調整され
る。これらの圧着力は、次いでやはり予荷重力Ｆｖを調
整することによって共通に増減することができる。

【００２８】本発明は、版胴がある程度直線的に配置さ
れたものに限定されるものではない。図４で原理を概略
的に示したように、例えば４つの版胴６が、１つの円弧
に添って所定の間隔を置いて互いに前後に配置されてい
る。この円弧は図示の実施例の場合、１８０°よりも僅
かに大きい。列を成す第１の版胴６の手前および最後の
版胴６の後方には、各１つの変向ローラ７，８が配置さ
れて、これらの変向ローラ７，８を巡るように案内され
たエンドレスの搬送ベルト９が、４つの全ての版胴６に
部分的に巻き掛かっている。搬送ベルト９の戻り側は、
２つの別の変向ローラ１０，１１によって、装置全体を
取り囲むように間隔を置いて案内される。

【００２９】変向ローラ７，８，１０，１１のうちの１
つ、この場合変向ローラ１０は、複矢印Ｐによって示し
たように、ベルト張力の調整のために移動調節可能であ
る。ベルト張力を調整することによって、前記実施例の
場合と同様に、版胴６と搬送ベルト９相互間の圧着力を
共通に変えることができる。

【００３０】図４に示した版胴６の円形の配置は、比較
的コンパクトな構造形式を可能にする。しかも、このよ
うな配置形式は、全ての印刷装置によって共同で使用可
能でかつ破線で示した円１２内部に配置可能であるよう
な１つまたは複数のエレメントを有する機械構造にとっ
ては有利である。この場合、版胴６の位置が不変である
必要がある。しかしながら別の場合には、図４に示した
実施例においても、版胴６は個別に搬送ベルト９に向か
って、かつ該搬送ベルト９から離反する方向に移動調節
可能であってよい。これにより、それぞれの圧着力を調
整することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】搬送ベルトと、搬送ベルトの予荷重力によって
対圧が形成される、互いに前後に配置された印刷装置と
を備えた印刷機の１実施例を示す概略図である。

【図２】図１の印刷機を、調整状態を変えて示す図であ
る。

【図３】図１の印刷機を、調整状態をさらに変えて示す
図である。

【図４】搬送ベルトと、搬送ベルトの予荷重力によって
対圧が形成される、複数の印刷装置とを備えた印刷機の
別の実施例を示す図である。

【図５】搬送ベルトと、圧胴によって対圧が形成され
る、互いに前後に配置された印刷装置とを備えた印刷機
を示す概略図である。

【符号の説明】

１ 搬送ベルト、 ２，３ ローラ、 ４ 版胴、 ５
圧胴、 ６ 版胴、７，８ 変向ローラ、 ９ 搬送
ベルト、 １０，１１ 変向ローラ、 １２円、 Ｆｎ
圧着力、 Ｆｖ 予荷重力

フロントページの続き (71)出願人 390009232 Ｋｕｒｆｕｅｒｓｔｅｎ−Ａｎｌａｇｅ 52−60，Ｈｅｉｄｅｌｂｅｒｇ，Ｆｅｄｅ ｒａｌ Ｒｅｐｕｂｌｉｃ ｏｆ Ｇｅｒ ｍａｎｙ

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンドレスの搬送ベルトで搬送される印
   刷しようとする基体と、搬送ベルトに沿って所定の間隔
   を置いて互いに前後に配置されかつ搬送ベルトと対向し
   て位置する円筒形に湾曲したそれぞれ１つの表面を有す
   る複数のインキ移し装置との間の圧着力を形成するため
   の方法において、 圧着力（Ｆｎ１〜Ｆｎ４）を、搬送ベルト（１；９）の
   予荷重力（Ｆｖ）と、インキ移し装置（４；６）の湾曲
   した表面に搬送ベルトにより基体を部分的に巻き掛ける
   こととによって形成することを特徴とする、印刷しよう
   とする基体と複数のインキ移し装置との間の圧着力を形
   成する方法。
2. 【請求項２】 搬送ベルト（１；９）の予荷重力（Ｆ
   ｖ）を調整することによって、圧着力（Ｆｎ１〜Ｆｎ
   ４）を共通に調整する、請求項１記載の方法。
3. 【請求項３】 インキ移し装置を搬送ベルト(１；９)に
   向かって、かつ該搬送ベルトから離反する方向に移動調
   節することにより、個々のインキ移し装置（４；６）に
   おける圧着力（Ｆｎ）を調整する、請求項１または２記
   載の方法。
4. 【請求項４】 印刷機であって、印刷しようとする基体
   のためのエンドレスの搬送ベルトと、複数のインキ移し
   装置とが設けられており、該インキ移し装置が、搬送ベ
   ルトに沿って所定の間隔を置いて互いに前後に配置され
   ていて、該搬送ベルトと対向して位置する円筒形に湾曲
   したそれぞれ１つの表面を有している形式のものにおい
   て、 印刷機の運転中、搬送ベルト（１；９）が予荷重力（Ｆ
   ｖ）下にあり、各インキ移し装置に、搬送ベルトの接近
   側の部分の平面および遠ざかる側の部分の平面が所定の
   角度を成して交差するように、インキ移し装置（４；
   ６）が配置されており、基体が、インキ移し装置（４；
   ６）の湾曲した表面に、搬送ベルト（１；９）によって
   巻き掛けられるようになっていることを特徴とする、印
   刷機。
5. 【請求項５】 各インキ移し装置が、版胴（４；６）で
   あるか、または印刷装置の対応する胴の周りを循環する
   ベルトである、請求項４記載の印刷機。
6. 【請求項６】 搬送ベルト（１；９）が、複数のローラ
   （２，３；７，８，１０，１１）の周りを循環するよう
   になっており、該ローラの内、少なくとも１つがベルト
   張力を調整するために移動調節可能である、請求項４ま
   たは５記載の印刷機。
7. 【請求項７】 搬送ベルト（１）が、所定の間隔を置い
   て支承された２つのローラ（２，３）の周りを循環する
   ようになっており、搬送ベルトの予荷重力と弾性とが、
   搬送ベルトの両ベルト区分が互いに接触することなく、
   圧着力（Ｆｎ１〜Ｆｎ４）が所望の領域において調整可
   能であるように、選択されている、請求項６記載の印刷
   機。
8. 【請求項８】 各インキ移し装置（４；６）が、それぞ
   れの圧着力（Ｆｎ１〜Ｆｎ４）の調整のために、搬送ベ
   ルト（１；９）に向かって、かつ該搬送ベルトから離反
   する方向に、個別に移動調節可能である、請求項４から
   ７までのいずれか１項記載の印刷機。
9. 【請求項９】 印刷機が、ディジタル式の印刷機であ
   る、請求項４から８までのいずれか１項記載の印刷機。