JPH09122663A - 酢酸含有排水からの酢酸回収方法 - Google Patents
酢酸含有排水からの酢酸回収方法Info
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Abstract
率よく酢酸を回収すること。 【解決手段】 白金族金属を触媒とし、酸素ガスの存在
下または不存在下に、排水が液相を保持する圧力下にお
いて、酢酸含有排水の加熱(120〜220℃)の分解
処理を施し、排水中の酢酸を回収するもの。
Description
酸を回収する方法に関する。更に詳しくは、本発明は酢
酸含有排水を貴金属族触媒存在下で加熱分解処理するこ
とにより、酢酸以外のCOD成分を選択的に分解し、残
存する酢酸を効率良く回収する方法に関するものであ
る。
の処理方法には活性汚泥法、直接燃焼法が広く知られて
いる。しかし、これらの方法はいずれも他のCOD成分
と共に酢酸も処分されてしまう方法であり、有効資源の
リサイクルの観点からすれば、決して好ましい方法では
ない。また、余剰汚泥あるいは炭酸ガスと言った地球環
境に悪影響を及ぼす物質を発生するため、地球環境保全
上も好ましくない。
して湿式触媒酸化法がある。これは排水中の有機物、無
機物を酸化剤の存在下に触媒的に完全酸化して分解する
方法である。酢酸含有排水についても検討がなされてお
り、これまでに特開平3-224692号、特開平7-232182号が
提案されているが、これらの方法ではいずれも酢酸は大
部分が炭酸ガスに分解されるため、活性汚泥法や直接燃
焼法と同様に、酢酸を回収することはできない。また、
特開平7-232178号には酸素含有ガス非存在下に、触媒を
用いて酢酸含有排水を処理する方法が提案されている
が、同様に酢酸を回収することはできない。すなわち、
これまでに実用化あるいは提案されている酢酸含有排水
の処理法は排水の浄化を目的としたものであり、酢酸回
収を目的としたものはほとんどない。
つの例は蒸留回収法である。蒸留回収方法としてはオラ
ンダ国特許第73-16510号、ドイツ連邦特許第3408239
号、ソビエト連邦特許第1268564 号、特開平6-65139 号
が提案されているが、酢酸濃度が数%以下の低濃度の場
合、蒸留操作のみで効率的に排水から酢酸を回収するの
は困難である。
ンガリー国特許第40969 号、特開昭59-29633号が提案さ
れている。しかし、これらの方法はエステル化と加水分
解の2工程の反応を必要とし、それに伴ってアルコール
の除去、水の除去などの分離操作も必要となるため、プ
ロセス全体が長くなって設備コストが増大する。
がある。酢酸抽出方法として、ホスファンオキシド(特
開昭63-44539号)、アミン及び燐酸エステル(特開昭55
-154935 号)、燐酸エステル(特開昭57-56002号)など
の有機溶媒を抽剤とする方法が提案されている。しか
し、酢酸含有排水には一般に酢酸以外に含有される不純
物が多く、これらの中から酢酸のみを選択的に抽出する
のは困難である。そのため、酢酸抽出後に抽剤層から酢
酸を精製する操作が必要となる。
おいても同様に、排水が酢酸以外の不純物を含む場合に
は、酢酸の精製操作が必要となり、このことが酢酸含有
排水からの酢酸回収を更に困難なものとしている。従っ
て、例えばテレフタル酸ジメチル製造プロセスの場合、
排水中には酢酸以外にギ酸、ホルムアルデヒド、メタノ
ール等が含まれており、しかも酢酸濃度も1%〜4%と
低いため、従来技術では効率的な酢酸回収は困難で、活
性汚泥法、直接燃焼法等により分解処理されているのが
実状である。
酸含有排水を処理する方法について鋭意検討を重ねた結
果、酢酸含有排水を貴金属触媒存在下で加熱分解処理す
ると、酢酸以外の有機物をほとんど含まない酢酸含有排
水が容易に得られ、酢酸回収の前処理として極めて有効
であることを見い出し、本発明に至ったものである。
応プロセスから排出される排水に適用できる。具体的に
はアクリル酸、メタクリル酸を始めとする脂肪族カルボ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸を始めとする芳香族
カルボン酸、これらカルボン酸のエステル製造プロセス
等から排出される排水に対して適用できる。排水組成で
規定すると、まず酢酸を含有し、それ以外にアルデヒド
類、ギ酸、アルコール類のうちの少なくとも1種類を含
有する排水となる。アルデヒド類は例えば、ホルムアル
デヒド及びアセトアルデヒドが挙げられ、アルコール類
はメタノール、エタノールが挙げられる。成分濃度は特
に限定されるものではないが、酢酸濃度は排水に対して
は1%以上、全有機物に対しては30%以上が望まし
い。
れ、具体的にはルテニウム、パラジウム、ロジウム、及
び白金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を
無機酸化物あるいは活性炭に担持した固体触媒が用いら
れる。貴金属の担持量は触媒重量全体に対して1〜5重
量%が望ましい。
する必要がある。酸素含有ガス存在下で加熱分解処理を
行う場合は、耐酸化性のある担体を使用しなければなら
ない。したがって、一般的にはチタニア、ジルコニアが
使用され、活性炭の使用はかなり制限される。一方、酸
素含有ガスが存在しない場合は活性炭も使用できる。ま
た、酢酸含有排水は一般に酸性を示すため、耐酸性のな
い担体、例えばアルミナの使用は控えた方がよい。
ニカム状、リング状などいずれの形態も使用できる。
00〜250℃が望ましい。中でも特に120〜240
℃が好ましい。100℃未満の低温ではギ酸、アルデヒ
ド類、アルコール類の分解は不十分となり、処理水中に
未分解の成分が残留し、高純度酢酸の効率的な回収が困
難となる。また、250℃を越える高温では酢酸の分解
反応が促進されて酢酸回収率が低下する。
分解処理を行う場合は、飽和蒸気圧以上であれば良い
が、酸素含有ガス存在下で加熱分解処理を行う場合は、
高い程好ましい。これは圧力を上げることによって排水
中への酸素溶存量が多くなり、反応が促進されるためで
ある。
気のいずれを用いても問題はない。
も実施することができる。
いずれの条件でも行うことが出来る。
存在下において加熱することにより、酸化、非酸化、い
ずれの反応でも分解されるが、後者の場合はコンプレッ
サーが不要となり設備コストを削減することが可能であ
る。また酸素含有ガスを排水中に溶解させる必要がない
ため、前者に比べると反応圧力を低く設定できる。しか
し、酸化反応に比べると分解速度が全体的に遅く、より
高い反応温度を必要とする。テレフタル酸ジメチル製造
プロセスの場合、排水中のメタノールは蒸留分離が容易
であり、リサイクル使用も可能なので、通常メタノール
を大部分除去した後の排水が処理工程に供される。但
し、酸素不存在下で加熱分解を行う場合には、メタノー
ルの分解速度が遅く、しかもホルムアルデヒドからのメ
タノールの生成も期待できるため、分解処理後にメタノ
ールを蒸留回収する方が好ましい。
加熱分解処理したのち、続いて酢酸回収が行われる。回
収操作には抽出及び/又は蒸留が適用できる。抽出、蒸
留をそれぞれ単独で行っても構わないし、2つの操作を
組み合わせて行ってもよく、酢酸濃度に合わせて回収操
作を選択するとよい。
う必要がある。酢酸抽出を行う抽剤は酢酸に対して分配
係数が大きな溶剤が使用される。具体的にはメチルエチ
ルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メ
チルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン及び
メチルブチルケトンなどのケトン類、ブタノール、イソ
ブタノール、tert−アミルアルコール及び3−ペンタノ
ールなどのアルコール類、ギ酸ブチル、ギ酸イソプロピ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソ
プロピル、酢酸ブチル、酢酸sec −ブチル、酢酸tert−
ブチル、酢酸ビニル、プロピオン酸メチル、プロピオン
酸エチル及びブタン酸メチルなどのエステル類などが例
示される。上記溶剤は少なくとも1種類以上が使用され
る。
く行うためには、酢酸と溶剤の沸点差が少なくとも20
℃の溶剤を使用するのが好ましい。
えば、ミキサーセトラ型抽出塔、多孔板型、充填塔型、
バッフル塔型、振動多孔板型、撹拌混合型、脈動充填型
などが使用できる。
である。酢酸と抽剤との沸点差が十分あれば、通常の蒸
留操作で容易に高純度酢酸を回収できる。
合は、蒸留も効率的な方法である。
説明する。図1は本発明における排水処理を行う装置の
概略の例である。
ントからライン1により送液された排水は、排水供給ポ
ンプ2により熱交換器3に送られて予熱されたのち、反
応器4に供給される。ライン5から供給される酸素含有
ガスはコンプレッサー6で昇圧されたのち、排水と合流
して反応器4へ供給される。
取り出され、熱交換器3で冷却されたのち、気液分離器
8で気液分離された後、ライン9を経て抽出塔11に導
かれる。一方、抽剤は溶剤供給ポンプ12によりライン
14を経て抽出塔11に導かれる。抽出塔内部で両者が
向流接触して、酢酸は抽剤層に抽出される。
抽剤層は、熱交換器10に送られて予熱されたのち、抽
剤層供給ポンプ15によりライン16を経て脱水塔17
に送られる。また、抽出塔11下部から抜き出された水
相は水層供給ポンプ18によりライン19を経て溶剤回
収塔20に送られる。
と水を含む抽剤成分に蒸留分離される。酢酸成分は塔底
より抜き出され、酢酸成分供給ポンプ21によりライン
22を経て酢酸塔23に送られる。ここで酢酸は塔底か
ら抜き出されて回収酢酸タンク25へ回収される。一
方、抽剤成分は塔頂から抜き出され、熱交換器26で冷
却されたのち、液液分離器13から抜き出された抽剤成
分と共に抽出塔11に送られる。
塔20で水を含む抽剤成分と処理水に分離される。処理
水は抽剤回収塔塔底から抜き出され、ポンプ27によっ
てパージされる。
出される水を含む抽剤成分はそれぞれ熱交換器28、2
9で冷却されたのち、合わせて液液分離器13に導かれ
て回収抽剤と水成分に分離される。水成分は抽剤回収塔
20へ送られ、処理水とともにパージされる。また、回
収抽剤はライン14を経て酢酸抽出塔11へ循環されて
再利用される。
る。
mLのチタン・ライニング製オートクレーブに、外径約
1mmφのチタニア球上に2重量%のルテニウム(R
u)を担持させた触媒、及びギ酸、ホルムアルデヒド、
酢酸を含有するTOC47,840ppmの排水100
gを仕込み、150℃に昇温した。この時、オートクレ
ーブ内圧は3kg/cm2 Gとなった。続いて、オート
クレーブ内圧が15kg/cm2 Gに到達するまで、空
気を導入し、撹拌速度1000rpmで撹拌しながら1
50℃で1時間、反応を行った。反応終了後、反応液を
室温まで冷却したのち、処理水を取り出し、ガスクロマ
トグラフィー、等速電気泳動法により排水中の各成分を
定量分析した。結果は表1に記載した通りであった。
触媒を用いた以外は実験例1と同じ方法で工業排水の湿
式分解テストを行った。結果は表1に記載した通りであ
った。
L製の管型流通式反応器に、外径約3mmφのチタニア
球上に2重量%のルテニウム(Ru)を担持させた触媒
5kgを充填し、190℃まで昇温されたギ酸、ホルム
アルデヒド、酢酸、メタノールを含有するTOC47,
840ppmの排水を重量空間速度(以後WHSVと略
称する):2hr-1で反応器に導入した。反応条件は温
度:178℃、圧力:25kg/cm2 Gとし、4Nリ
ットル/minの空気を反応器に導入した。処理水は連
続的に取り出し、ガスクロマトグラフィー、等速電気泳
動法により排水中の各成分について定量分析を行った。
結果は表2に記載した通りであった。
8℃、WHSVを1hr-1に変えた以外は、実施例3と
同じ方法で湿式分解テストを行った。結果は表2に記載
した通りであった。
実験例3とほぼ同じ方法で湿式分解テストを行った。結
果は表3に記載した通りであった。
長10フィートの住友重機製カールカラムを用いて、実
施例3で作られた処理水からの酢酸回収を行った。抽剤
は酢酸エチルを用い、酢酸含有排水に対して抽剤比1.
5相当の量を使用した。ストロークは25mm一定とな
るようにカラム内の多孔板を上下運動させることによ
り、溶剤と処理水を通過速度30m3/m2・Hで向流接触さ
せて抽出を行った。抽剤層はカラム上部、水層はカラム
下部から取り出し、ガスクロマトグラフィーにより抽剤
相及び水層中の各成分を定量分析して分配組成を求め
た。抽出による酢酸回収率は97%であった。結果は表
4に示した通りであった。
含有排水を貴金属担持触媒で加熱処理することによっ
て、酢酸以外の有機物をほとんど含まない酢酸含有排水
が容易に得られ、酢酸含有排水からの酢酸回収が容易に
行えるところとなった。
概略図である。
はポンプ、 3、10、26、28、29は熱交換器、 4は反応器、 6はコンプレッサー、 8、13は分離器、 11は抽出塔、 17は脱水塔、 20は抽剤回収塔、 23は酢酸塔および 25は回収酢酸タンクである。
Claims (4)
- 【請求項1】 貴金属触媒を用い、酸素含有ガス存在下
または不存在下に、排水が液相を保持する圧力下で酢酸
含有排水の加熱分解処理をした後、残存する酢酸を回収
することからなる酢酸含有排水からの酢酸回収方法。 - 【請求項2】 触媒がルテニウム、パラジウム、ロジウ
ム及び白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金
属を無機酸化物または活性炭に担持した固体触媒である
請求項1に記載の酢酸含有排水からの酢酸回収方法。 - 【請求項3】 酢酸含有排水が芳香族カルボン酸、脂肪
族カルボン酸またはそれらのエステル製造プロセスのい
ずれかから発生する排水である請求項1に記載の酢酸含
有排水からの酢酸回収方法。 - 【請求項4】 残存酢酸の回収操作が抽出および/また
は蒸留である請求項1に記載の酢酸含有排水からの酢酸
回収方法。
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JP28735395A JP3546210B2 (ja) | 1995-11-06 | 1995-11-06 | 酢酸含有排水からの酢酸回収方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100433826B1 (ko) * | 2001-08-29 | 2004-05-31 | 한모기술주식회사 | 추출법과 증류법을 병용한 용제회수 방법 |
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1995
- 1995-11-06 JP JP28735395A patent/JP3546210B2/ja not_active Expired - Fee Related
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