JPH091160A - 酸化性物質の除去方法及び湿式排煙脱硫装置 - Google Patents

酸化性物質の除去方法及び湿式排煙脱硫装置

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JPH091160A
JPH091160A JP7170339A JP17033995A JPH091160A JP H091160 A JPH091160 A JP H091160A JP 7170339 A JP7170339 A JP 7170339A JP 17033995 A JP17033995 A JP 17033995A JP H091160 A JPH091160 A JP H091160A
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flue gas
liquid
tank
exhaust gas
metal
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JP7170339A
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Kazushige Kawamura
和茂 川村
Akito Ishige
明人 石毛
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Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
Original Assignee
Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸化性物質の新規な除去方法を提供すること
であり、またその方法を適用した湿式排煙脱硫方法及び
その実施装置を提供する。 【構成】 本発明に係る酸化性物質の除去方法は、F
e、Mn、Ni及びCuの金属並びにそれらの金属の低
価数の化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類
の金属又は1種類の金属化合物と、酸化性物質を含む液
体とを接触させ、金属又は金属化合物と酸化性物質との
酸化還元反応により液体中の酸化性物質を除去する。ま
た、本発明方法は、酸化性物質を含む液体に、Fe、M
n、Ni及びCuの低価数の金属化合物のうちの少なく
ともいずれか1種類の金属化合物を含む溶液又はスラリ
ーを注入し、または前記液体に前記いずれか1種類の金
属化合物を溶解して、金属イオンと酸化性物質との酸化
還元反応により酸化性物質を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化性物質の除去方法
に関し、特に湿式排煙脱硫装置において排ガス中に含ま
れる硫黄酸化物を除去する際に、硫黄酸化物から転化し
て発生する硫黄過酸化物等の酸化性物質を排煙脱硫排水
から除去する方法及びそれを利用した湿式排煙脱硫方
法、更にはその実施装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化性物質の問題は、湿式排煙脱硫装置
から排出される排煙脱硫排水に関連して最近注目され出
した問題である。そこで、先ず、湿式排煙脱硫方法及び
その装置について説明する。湿式排煙脱硫法は、排ガス
と吸収液とを気液接触させ、排ガスから亜硫酸ガス等の
硫黄酸化物を除去する方法であって、環境保護のために
各地の排ガス発生装置において多用されている。使用さ
れる吸収液は、硫黄酸化物を固定化する吸収剤を水に溶
解及び/又は懸濁させた液で、一般にはカルシウム化合
物系の吸収剤、例えば石灰石を水に溶解及び/又は懸濁
させたスラリ状水溶液を使用する。その他に吸収剤とし
てMg(OH)2 などのマグネシウム化合物系、NaO
Hなどのナトリウム化合物系を使用する湿式排煙脱硫法
がある。本発明は、これらの湿式排煙脱硫法に共通した
技術的課題を解決する手段を提供する。
【0003】湿式排煙脱硫装置のなかでも、排ガス中の
硫黄酸化物を除去する排煙脱硫槽としてジェットバブリ
ング反応槽を使用した湿式排煙処理装置は、硫黄酸化物
の除去率が高くかつ経済的にも優れた装置として広く採
用されている。ジェットバブリング反応槽は、亜硫酸ガ
ス等の硫黄酸化物を固定する吸収液を槽内下部に収容
し、亜硫酸ガスを含む排ガスを吸収液中に分散導入して
ジェットバブリング層(又はフロス層)を形成しつつ吸
収剤と反応させて主として亜硫酸ガスを硫酸塩として固
定する液連続型の気液接触式の反応槽である。また、従
来では、ジェットバブリング反応槽の排ガス上流に除塵
塔を設け、ジェットバブリング反応槽に導入する前に除
塵塔で排ガスと冷却液とを接触させて予め排ガスの冷却
及び除塵を行う2塔式が採用されていたが、近年のジェ
ットバブリング反応槽の性能の向上の結果、除塵塔を省
略した、一塔式のいわゆるスート混合型排煙脱硫装置が
多用されている(特公平3−70532号公報参照)。
【0004】従来のジェットバブリング反応槽の構成 図7を参照して、ジェットバブリング反応槽を備えた従
来の湿式排煙脱硫装置10の構成を説明する。湿式排煙
脱硫装置10は、吸収剤として例えば石灰石を使用して
排ガス中の硫黄酸化物を除去する装置であって、ジェッ
トバブリング反応槽11(以下、反応槽11と言う)は
その主要部である。反応槽11は、上から順に槽を横断
するように設けられた、排ガス出口室12と、排ガス入
口室14と、石灰石を含む吸収液を収容する下部空間と
に区画されている。排ガス出口室12と排ガス入口室1
4とは、槽を横断して水平に伸びる第1隔板16によっ
て仕切られ、排ガス入口室14と下部空間とは、第1隔
板16と同様に槽を横断する方向に伸びる第2隔板18
によって仕切られている。第2隔板18は、吸収液層2
0の液面より上方に位置し、その間に排ガス流出用の空
間部22を形成している。
【0005】排ガス出口室12は出口ダクト24に接続
し、その下の排ガス入口室14は入口ダクト26に接続
している。また、吸収液と気液接触した処理排ガスを空
間部22から排ガス出口室12に流出させるガスライザ
として、複数本のパイプ状の連通管28(図7では、簡
単に1本のみ図示。但し、1本でも良い)が排ガス入口
室14を貫通して、空間部22と排ガス出口室12とを
連通させている。
【0006】排ガス分散管30は、上端部で排ガス入口
室14に連通し、下端部で吸収液20に浸漬するように
排ガス入口室14の第2隔板18から下方に下降してい
る。その下端部には開口部、例えば多数の小さな開口が
設けてあり、排ガスはそれら開口から吸収液層20中に
分散して、ジェットバブリング層(フロス層)Aを形成
する。ジェットバブリング層Aは、排ガスの気泡と石灰
石を含む吸収液とからなる液連続相の気液接触層であ
る。反応槽11の下部は、吸収液層20を収容するよう
になっており、槽下部には吸収液を攪拌するための攪拌
機32と、亜硫酸ガスの石膏固定化に必要な酸素を供給
するための酸素含有ガス、例えば空気を噴出する空気ノ
ズルを備えた空気供給管34とが設けられている。
【0007】主として排ガスの冷却・除塵を行うため
に、入口ダクト26と排ガス入口室14とにそれぞれ冷
却液ノズル36、38が設けられていて、そこに、冷却
液として吸収液が、吸収液ポンプ40により反応槽11
の下部より送給されている。更に、入口ダクト26に
は、排ガスを予備冷却するために工業用水を排ガス中に
噴霧する工業用水ノズル42が、冷却液ノズル36の上
流に設けてある。反応槽11の下部及び反応槽11の外
部に、石膏を含む吸収液を反応槽底部から抜き出すため
の排出管44、排出ポンプ46、吸収液から石膏を分離
する固液分離装置48、石膏を分離した母液の一部に石
灰石粉末を添加した後、吸収剤スラリとして反応槽11
に供給する吸収剤供給管50、及び母液の残りを排水処
理装置に送る排水管52が設けてある。
【0008】従来のジェットバブリング反応槽の運転 以下に、反応槽11の運転を説明する。図7において、
反応槽11の下部には、石灰石粉末を水に溶解及び/又
は懸濁させたスラリが、亜硫酸ガスと反応して酸化後に
石膏に固定化する吸収液として収容されている。尚、吸
収液は、生成した石膏を含んでいる。排ガスは、入口ダ
クト26において工業用水ノズル42から噴霧された工
業用水及び冷却液ノズル36から噴霧された吸収液と接
触し、次いで排ガス入口室14に入り、そこで冷却液ノ
ズル38から噴霧された吸収液と接触する。冷却液ノズ
ル38による吸収液の噴霧は、間欠的な噴霧でも良く、
また排ガス流れの一部を対象に部分的に行うこともでき
る。排ガスと吸収液とが気液接触することにより、主と
して排ガスの冷却が行われるのと同時に除塵と排ガスの
硫黄酸化物の除去も行われる。排ガスの冷却及び加湿に
より、ジェットバブリング層での気液接触において生じ
る乾燥現象が抑制されてスケーリングの発生が軽減さ
れ、また安価な装置材、たとえば塩化ビニルなどの樹脂
を使用することができるようになる。
【0009】排ガスは、排ガス入口室14を経由して排
ガス分散管30の開口より吸収液の液面下に導入され、
ジェット状に噴出してバブリングしながら吸収液と気液
接触しつつ上昇する。これにより、所謂ジェットバブリ
ング層Aが吸収液の液面上に生成される。ジェットバブ
リング層では、主として、酸素含有ガスによる同時酸化
吸収による化学的及び/又は物理的吸収による排ガス中
の硫黄酸化物の除去を目的としているが、合わせて排ガ
スの除塵も行う。亜硫酸ガスは、水、酸素、石灰石と反
応して石膏となって除去され、生じた石膏は粒子となっ
て吸収液中に浮遊する。
【0010】亜硫酸ガスを除去された排ガスは、連通管
28及び排ガス出口室12を経て出口ダクト24により
系外に排出される。一方、晶析した石膏を濃厚に含有す
る吸収液下層は、排出管44及び排出ポンプ46により
反応槽11から排出され、固液分離装置48にて石膏が
分離される。固液分離装置48で固液分離して得た母液
の一部には、石灰石粉末が添加された後、吸収剤スラリ
として吸収剤供給管50から反応槽11に供給される。
母液の残りは、排煙脱硫排水として排水管52により排
水処理装置(図示せず)へ送られる。尚、母液の一部は
装置内の洗浄等に使用されている(図示せず)。尚、上
述の反応槽11の運転において、反応槽11に収容され
ている吸収液層20の下層では、pHが3.0以上、通
常4.5〜6.5になっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近、湿式
排煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排水を処理する排
水処理設備において、その性能の劣化、低下が予想以上
に進行することが問題になっており、その原因が湿式排
煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排水の水質にあるこ
とが判った。その問題とは、例えば排煙脱硫排水の脱窒
素工程で利用されている脱窒素菌の成長が阻害され、そ
のために排水処理装置から放流される処理水の窒素量が
増大していることであり、また被処理排水中のCODを
吸着させる吸着剤、更にはフッ素、ホウ素を除去する吸
着剤、イオン交換剤として使用されている有機物吸着樹
脂の劣化が予想外に速いことである。
【0012】従来のスプレー式吸収塔 上述の例では、ジェットバブリング反応槽を備えた従来
の湿式排煙脱硫装置を例にして説明したが、図8に示し
たようなスプレー式吸収塔112を備えた湿式排煙脱硫
装置110の排煙脱硫排水についても、同様の問題があ
った。
【0013】スプレー式吸収塔112は、竪型の塔で形
成され、塔の下部には石灰石を吸収剤とする吸収液を収
容し、入口ダクト26に接続された塔上部には工業用水
ノズル114と吸収液ノズル116とを備え、排ガス中
に工業用水及び吸収液を噴霧し、排ガスと気液接触させ
て、主として排ガスの冷却・除塵を行い、合わせて亜硫
酸ガスの除去も行う。さらに、吸収液ノズル118を備
えて、排ガス中に吸収液を噴霧し、排ガスと気液接触さ
せて主として排ガス中の亜硫酸ガスを除去する。吸収液
ノズル116、118には吸収液が塔下部から吸収液ポ
ンプ120によって供給される。吸収塔112の下部に
は、吸収液が吸収剤供給管50により供給され、排出管
44により排出される。排出管44から吸収液を排出
し、吸収液から石膏を固液分離する系統のフローは、図
7に示した装置10と同じである。
【0014】排ガスは、入口ダクト26から吸収塔11
2上部に流入する。排ガスは、工業用水ノズル114か
ら噴霧された工業用水及び吸収液ノズル116、118
から噴霧された吸収液によって冷却されつつ除塵及び亜
硫酸ガスの除去も行われる。浄化された排ガスは、出口
ダクト24から流出する。また、酸素含有ガスによる同
時酸化吸収を行うために、吸収液内に空気等の酸素含有
ガスが空気ノズル122を介して供給されている。
【0015】本発明者らは、前述した排水処理装置の性
能低下について研究した結果、湿式排煙脱硫装置から流
出する排煙脱硫排水に含まれている酸化性物質の濃度が
高いことに主としてその原因があることを突き止めた。
ここで、酸化性物質とは、排煙脱硫排水に含まれている
酸化能を有する物質を意味し、その中には硫黄過酸化
物、例えばS2 8 2-も含まれている。酸化性物質は、
JIS K0102 工業排水試験方法のジエチル−P
−フェニレンジアミン比色法において発色時間を長くし
たこと以外それに準じて操作し、安定した発色状態にな
った時の比色による塩素換算値で定量できる成分であ
る。以下、この方法をDPD法と言う。また、例えばイ
オンクロマトグラフィを使用することにより、酸化性物
質のうち硫黄過酸化物のみを定量することもできる。と
ころで、従来かかる酸化性物質を除去する方法は、種々
研究されているが、一層、簡易で経済的に除去できる実
用的な方法が求められている。
【0016】以上の状況に照らして、本発明の目的は、
酸化性物質の新規な除去方法を提供することであり、ま
たその方法を適用した湿式排煙脱硫方法及びその実施装
置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、硫黄過酸
化物、例えばS2 8 2-をSO4 2- に還元し、合わせて
その他の酸化性物質を還元して、排煙脱硫排水中の酸化
性物質濃度を低下させることにより、排水処理装置の性
能低下を防止できることを実験により実証した。尚、本
明細書では、排煙脱硫排水とは、湿式又は乾式、スート
混合式又はスート分離式にかかわらず、排煙脱硫装置よ
り排出されて排水処理装置(排水処理装置は、湿式排煙
脱硫装置の一部として設けられている装置でも良く、ま
た湿式排煙脱硫装置とは独立して設けられている装置で
も良い。)に送水され、そこで処理される排水を言う。
また、定期的に排水される定期点検時の排水や各種洗浄
水も対象となる。更に、還元剤としてFe、Mn、Ni
及びCuの金属並びにそれらの金属の低価数の化合物か
らなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属又は1種
類の金属化合物が酸化性物質との酸化還元反応に有効で
あることを次の実験により見い出した。
【0018】以下に、本発明方法の開発の過程で実施し
た実験例を説明する。実験例 2〜3mm径の球状の純度99%の鉄を重量440g用意
し、嵩容積100ccの固定床の形態で充填して実験用接
触槽を作製した。石灰石を吸収剤として使用したスート
混合型湿式排煙脱硫装置でもって石炭焚排ガスを処理し
て得た排煙脱硫排水を原水として実験用接触槽に通水す
ることにした。原水の酸化性物質濃度は、原水採取時期
の湿式排煙脱硫装置の運転条件によって異なり、15〜
18mg-cl/L −原水(塩素換算値)であった。また、原
水のpH及び温度は、それぞれ3及び50°C であっ
た。次いで、原水を所定の空塔速度(SV(1/hr)
で接触槽に通水した。
【0019】定常状態になったところで、接触槽出口の
処理水中の酸化性物質濃度を測定して酸化性物質の除去
率を算出した。続いて、種々の空塔速度で実験用接触槽
に通水し、同じように酸化性物質の除去率を算出し、そ
の結果を図1に示した。以上の実験から、60/hr以
下の空塔速度で除去率が約100%になり、反応速度が
速く、従って固定床の接触槽でも効果的に酸化性物質を
除去できることが判った。更に、pHが低いところで
は、もとよりpH6〜10でも水素ガスの発生が認めら
れた。その結果、水素は、単に酸と鉄との反応により発
生するだけではなく、酸化性物質の分解により発生する
ことが判った。水素ガスの発生量を把握するべく、更に
実験を行ったところ、水素ガス発生量は、酸性、特にp
H3未満では多かった。これは酸化性物質の分解による
発生と酸と鉄との反応による発生が重なったためと考え
られる。
【0020】ペルオキソニ硫酸(S2 8 2- )を例にし
て、鉄(Fe)による酸化性物質の酸化還元反応を説明
すると、酸化還元反応が以下の反応式により並列で同時
的に進行すると思われる。 Fe+S2 8 2- →Fe2++2SO4 2- (1) 2Fe2++S2 8 2- →2Fe3++2SO4 2- (2) 2Fe3++Fe →3Fe2+ (3) 更に、上記(1)〜(3)の反応式による反応以外にも
水素ガスが発生する反応が進行すると思われる。
【0021】その他の金属、例えばMn、Cu、Ni等
の金属でも、Feと同様な反応により、酸化性物質の酸
化還元反応が進行する。例えば、Mnを例に取ると、 Mn+S2 8 2- →Mn2++2SO4 2- (4) Mn2++S2 8 2- →Mn4++2SO4 2- (5) Cuでは、Cu+ →Cu2+→Cu3+ (6) となって、Cu3+は不安定であるが、Cu、Cu+ 及び
Cu2+が還元剤として使用でき、 また、Niでは、Ni+ →Ni2+→Ni3+→Ni4+ (7) となって、Ni、Ni+ 、Ni2+及びNi3+が還元剤と
して使用できる。そして、以上の実験を通して本発明を
完成するに到った。
【0022】ところで、従来提案されている排煙脱硫装
置では、脱硫率の向上、吸収剤の利用率の向上、スケー
リングの抑制、ジチオン酸等のCOD成分の生成の抑制
に効果を上げるために、亜硫酸ガスの同時酸化吸収方法
で亜硫酸ガスを除去しており、そのため吸収液層(液溜
め)中の吸収液中の亜硫酸濃度を極めて小さくするよう
な条件で運転されていた。吸収液中の酸化性物質の濃度
を低下させるためには、同時酸化用の酸素含有ガスの導
入量、もしくは導入方法を変更することが考えられる
が、そのためには吸収液層の吸収液中の亜硫酸を残存さ
せることになる。これでは、同時酸化吸収の利点を無く
し、結果的には技術的、経済的に不利な逆効果となる。
これに対して、本発明は、同時酸化吸収の利点を維持し
つつ、上述の問題を効率的に解決するものである。
【0023】以上の知見に基づいて、本発明に係る酸化
性物質の除去方法は、Fe、Mn、Ni及びCuの金属
並びにそれらの金属の低価数の化合物からなる群から選
ばれた少なくとも1種類の金属又は1種類の金属化合物
と、酸化性物質を含む液体とを接触させ、金属又は金属
化合物と酸化性物質との酸化還元反応により液体中の酸
化性物質を除去することを特徴としている。
【0024】実際的には、酸化性物質の主成分は、ペル
オキソニ硫酸などの硫黄過酸化物である。
【0025】ここで、Fe、Mn、Ni及びCuの金属
並びにそれらの金属の低価数の化合物からなる群から選
ばれた少なくとも1種類の金属又は1種類の金属化合物
と特定したのは、各種の金属を吸収液に加えながら、燃
焼模擬排ガスを用いたSO2酸化吸収実験を行った結
果、酸化性物質の分解除去、生成抑制に効果のある金属
を特定することができたからである。列挙した金属のう
ちで、実用的には金属鉄が好ましい。それは、コストが
低く、安全で、しかも液体中からのFe及びFe化合物
の除去が容易であるからである。また、溶液中に含まれ
るセレン(Se)の除去に効果的であり、好ましい。使
用する金属鉄の種類は、特に限定は無く、メッキ等の表
面処理されていない金属鉄であれば良く、例えば、純度
の高い還元鉄でも、また鉄屑のような廃鉄材でも良い。
尚、表面が酸化されている場合には、酸化皮膜を除去す
る。金属鉄の形状は、固定床式の接触槽の場合には、粒
状でも、粉状でも、塊状でも良く、流動床式の接触槽の
場合には、流動層を形成できる限り、粒状でも、粉状で
も良い。また、Fe、Mn、Ni及びCuの金属の低価
数の化合物の例は、Fe2+、Mn2+、Ni+ 、Ni2+
Ni3+、Cu+ 、Cu2+のそれぞれの酸化物、水酸化
物、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、硫酸塩などの難溶解性の
ものである。
【0026】この酸化還元反応は、次の二つの特長を有
している。例えば、Feを例に取ると、第1には、式
(1)の反応は、固体の鉄と硫黄過酸化物イオンとの反
応のように見えるが、生成したFe2+が、式(2)の反
応により、S2 8 2- の酸化還元反応に参加し、参加し
たFe2+は硫黄過酸化物等を還元してFe3+になって活
性を失うが、式(3)の反応によりFeと反応して、F
2+として自動再生され、再び式(2)の反応に供され
る。よって、固体の鉄と酸化性物質の反応は実質的に
は、イオン同士の反応に相当し、反応速度が速く、酸化
性物質を効果的に除去できる。また、第2には、1個の
鉄原子当たり3個の電子が反応に寄与するので、鉄の消
費量が少なく、酸化性物質の除去コストが低い。
【0027】Fe3+が溶解するpH、即ちpH≦4.0
の酸性溶液では、上記(1)、(2)及び(3)の反応
式の反応が同時進行するので、反応速度論的には好まし
い。ただし、pHが小さい、例えばpH<3.0以下の
強酸性液では、Feと溶液中の酸とが更に激しく反応し
た分だけ多量に、水素ガスが発生して危険であると共
に、還元剤であるFeの消費が増大して、還元剤の費用
が嵩む。3.0〜10の比較的高いpH範囲では、上記
(1)及び( 2)の反応式の反応が進行し、酸化性物
質を除去する。それは、Fe2+は、Fe3+に比べて、p
Hの高い領域でも溶解度が高く、例えばpHが10で
は、10mg−Fe2+/Lの高い溶解度で溶解するからで
ある。一方、水素ガスを発生する鉄(イオンも含む)と
酸化性物質の反応における酸化性物質の除去率に対する
pHの影響はあまり大きくない。
【0028】以上のことから、Feを還元剤として使用
する最適なpHは、水素ガスの発生が比較的少なく、反
応式(1)、(2)及び(3)の反応が同時に進行す
る、3〜4のpH範囲である。次いで好ましいpHの範
囲は、水素ガスの発生が更に少なく、しかも反応式
(1)及び(2)の反応が同時に進行する、4〜10の
範囲である。pH10以上でも酸化性物質の除去は進行
するが、その速度はあまり早くなく、したがって反応時
間が多く必要とし、さらにpH10以上にするNaOH
等のアルカリを多量に必要とするため好ましくない。し
かしながら、酸化性物質の除去は可能であることから、
本発明はこのpH領域に限定されるものではない。よっ
て、本発明の好ましい実施態様は、金属として鉄を使用
し、かつ液体のpHを3.0から10の範囲に調整する
ことを特徴としている。
【0029】よって、本発明の更に好ましい実施態様
は、酸化性物質の除去工程において発生する水素ガスを
水素ガス除去手段により除去することを特徴としてい
る。金属として鉄を使用し、かつ液体のpHを3.0か
ら10の範囲に調整することを特徴としている。水素ガ
ス除去手段としては、水素ガスを大気中に吸引して爆発
限界以下に希釈する手段でも良く、また空気、処理排ガ
ス等のガスを水素ガス発生領域に送って水素を爆発限界
以下に希釈する手段でも良い。
【0030】本発明に係る別の酸化性物質の除去方法
は、酸化性物質を含む液体に、Fe、Mn、Ni及びC
uの低価数の金属化合物のうちの少なくともいずれか1
種類の金属化合物を含む溶液又はスラリーを注入し、ま
たは前記液体に前記いずれか1種類の金属化合物を溶解
して、金属イオンと酸化性物質との酸化還元反応により
酸化性物質を除去することを特徴としている。本発明方
法で使用する金属化合物は、水又は酸化性物質を含む液
体に溶解する金属化合物、例えばFe2+、Mn2+、Ni
+ 、Ni2+、Ni3+、Cu+ 、Cu2+のそれぞれの酸化
物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、硫酸塩などの
うちの水溶性のものである。注入する溶液又はスラリー
のうち、スラリーとは溶解度以上に水溶性の金属化合物
を含むものを意味する。
【0031】本発明の更に好ましい実施態様は、酸化性
物質の酸化還元反応工程を経た液体に酸素含有気体によ
る曝気及びpH調整の少なくともいずれかを施して、液
体に溶解している金属を固形化して沈殿、除去する工程
を備えていることを特徴としている。固形化とは、例え
ば酸化物、水酸化物等の固形物にすることである。酸素
含有気体とは、例えば空気であり、曝気、沈殿、除去の
方法は、既知の技術を使用でき、これにより、排煙脱硫
排水中の金属汚染の問題を容易にかつ経済的に解消する
ことができる。沈殿・除去された固形物は亜硫酸、ヒド
ラジンなどの還元剤を用い、より低価数の金属もしくは
金属化合物に再生することにより再使用が可能である。
これにより金属もしくは金属化合物の消費量が削減で
き、かつスラッジ発生量が低減できるので好ましい。ま
た、固形物中により低価数の金属もしくは金属化合物が
含まれている場合には還元剤を使用することなく、循環
再使用することにより同様の効果が得られる。
【0032】Feを例にして説明したが、Fe以外のM
n、Cu及びNiの金属も、pHの範囲は異なるが、酸
化還元反応に関しFeと同様な傾向を示す。また、Fe
Cl2 等の低価数の金属化合物に関しても金属と同様な
傾向を示す。還元剤として金属化合物を使用した場合に
は、金属化合物は酸成分と反応して水素ガスを生成する
反応が進行せず、さらに金属単体とは反応が異なり、水
素ガスは発生しない。
【0033】湿式排煙脱硫方法への適用 本発明に係る酸化性物質の除去方法を湿式排煙脱硫方法
に適用す場合には、その湿式排煙脱硫方法は、吸収剤を
含む吸収液と排ガスとを主として排ガス処理槽内で気液
接触させて排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱
硫装置から流出する排煙脱硫排水中の酸化性物質を除去
する方法であって、排ガス処理槽内に収容されている吸
収液、排ガス処理槽から流出した吸収液、流出した吸収
液を固液分離した得た母液、及び湿式排煙脱硫装置から
排出された排煙脱硫排水のいずれかと、Fe、Mn、N
i及びCuの金属並びにそれらの金属の低価数の化合物
からなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属又は1
種類の金属化合物とを接触させ、金属又は金属化合物と
酸化性物質との酸化還元反応により、吸収液、母液又は
排煙脱硫排水中の酸化性物質を除去することを特徴とし
ている。
【0034】溶解性の金属化合物を使用する場合には、
本発明に係る別の湿式排煙脱硫方法は、吸収剤を含む吸
収液と排ガスとを主として排ガス処理槽内で気液接触さ
せて排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱硫装置
から流出する排煙脱硫排水中の酸化性物質を除去する方
法であって、排ガス処理槽内に収容されている吸収液、
排ガス処理槽から流出した吸収液、流出した吸収液を固
液分離した得た母液、及び湿式排煙脱硫装置から排出さ
れた排煙脱硫排水のいずれかに、Fe、Mn、Ni及び
Cuの低価数の金属化合物のうちの少なくともいずれか
1種類の金属化合物を含む溶液又はスラリーを注入し、
または前記いずれか1種類の金属化合物を溶解して、金
属イオンと酸化性物質との酸化還元反応により、吸収
液、母液又は排煙脱硫排水中の酸化性物質を除去するこ
とを特徴としている。
【0035】本発明の湿式排煙脱硫方法への適用に際
し、上述した酸化性物質の除去方法の実施態様を好適に
採用できる。
【0036】吸収塔式湿式排煙脱硫装置への適用 本発明に係る吸収塔式湿式排煙脱硫装置は、吸収剤を含
む吸収液と排ガスとを気液接触させ排ガス中の硫黄酸化
物を除去する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装置におい
て、Fe、Mn、Ni及びCuの金属並びにそれらの金
属の低価数の化合物からなる群から選ばれた少なくとも
1種類の金属又は1種類の金属化合物を吸収塔に収容さ
れている吸収液中に浸漬させ、金属又は金属化合物と吸
収液中の酸化性物質との酸化還元反応により、吸収液中
の酸化性物質を除去するようにしたことを特徴としてい
る。
【0037】溶解性の金属化合物を使用する場合には、
吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液接触させ排ガス中
の硫黄酸化物を除去する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装
置において、吸収塔に収容されている吸収液に、Fe、
Mn、Ni及びCuの低価数の金属化合物のうちの少な
くともいずれか1種類の金属化合物を含む溶液又はスラ
リーを注入し、または前記いずれか1種類の金属化合物
を溶解して、金属イオンと吸収液中の酸化性物質との酸
化還元反応により、吸収液中の酸化性物質を除去するよ
うにしたことを特徴としている。
【0038】本発明に係る別の吸収塔式湿式排煙脱硫装
置は、吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液接触させ排
ガス中の硫黄酸化物を除去する吸収塔を備えた湿式排煙
脱硫装置において、Fe、Mn、Ni及びCuの金属並
びにそれらの金属の低価数の化合物からなる群から選ば
れた少なくとも1種類の金属又は1種類の金属化合物を
収容する接触槽を吸収塔とは別に備えて、接触槽に収容
されている金属又は金属化合物と、吸収塔から流出した
吸収液、流出した吸収液を固液分離した得た母液及び湿
式排煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排水のうちのい
ずれかとを接触させ、金属又は金属化合物と酸化性物質
との酸化還元反応により、吸収液、母液又は排煙脱硫排
水中の酸化性物質を除去するようにしたことを特徴とし
ている。
【0039】本発明の好適な実施態様は、前記接触槽
が、前記金属又は金属化合物を充填してなる充填層を有
し、吸収塔から流出した吸収液、流出した吸収液を固液
分離した得た母液及び湿式排煙脱硫装置から排出された
排煙脱硫排水のうちのいずれかを充填層に通液するよう
にした固定床接触槽、又は前記金属又は金属化合物の粒
粉体を収容し、吸収塔から流出した吸収液、流出した吸
収液を固液分離した得た母液及び湿式排煙脱硫装置から
排出された排煙脱硫排水のうちのいずれかを流入させ、
かつ機械的又は流体力学的に流動させて金属又は金属化
合物の流動床を形成し、流動状態で相互に接触させるよ
うにした流動床接触槽のいずれかであることを特徴とし
ている。
【0040】溶解性の金属化合物を使用する場合には、
吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液接触させ排ガス中
の硫黄酸化物を除去する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装
置において、混合槽を吸収塔とは別に備えて、吸収塔か
ら流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離した得た
母液及び湿式排煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排水
のうちのいずれかを混合槽に導き、Fe、Mn、Ni及
びCuの低価数の金属化合物のうちの少なくともいずれ
か1種類の金属化合物を含む溶液又はスラリーを混合槽
に注入し、または混合槽内で前記いずれか1種類の金属
化合物を溶解して、金属イオンと酸化性物質との酸化還
元反応により、吸収液、母液又は排煙脱硫排水中の酸化
性物質を除去するようにしたことを特徴としている。
【0041】ジェットバブリング反応槽式湿式排煙脱硫
装置への適用 本発明に係るジェットバブリング反応槽式湿式排煙脱硫
装置は、槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内
に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通す
る排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端
が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように上下方向
に延在する排ガス分散管とを有するジェットバブリング
反応槽を備え、吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液接
触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱硫装
置において、Fe、Mn、Ni及びCuの金属並びにそ
れらの金属の低価数の化合物からなる群から選ばれた少
なくとも1種類の金属又は1種類の金属化合物をジェッ
トバブリング反応槽に収容されている吸収液中に浸漬さ
せ、金属又は金属化合物と吸収液中の酸化性物質との酸
化還元反応により、吸収液中の酸化性物質を除去するよ
うにしたことを特徴としている。
【0042】溶解性の金属化合物を使用する場合には、
槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内に区画さ
れ、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通する排ガス
入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端が槽下部
に収容される吸収液に浸漬するように上下方向に延在す
る排ガス分散管とを有するジェットバブリング反応槽を
備え、吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液接触させ排
ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱硫装置におい
て、ジェットバブリング反応槽に収容されている吸収液
に、Fe、Mn、Ni及びCuの低価数の金属化合物の
うちの少なくともいずれか1種類の金属化合物を含む溶
液又はスラリーを注入し、または前記いずれか1種類の
金属化合物を溶解して、金属イオンと吸収液中の酸化性
物質との酸化還元反応により、吸収液中の酸化性物質を
除去するようにしたことを特徴としている。
【0043】ジェットバブリング反応槽に収容されてい
る吸収液の下層では、pHが3.0以上、通常4.5〜
6.5になっているので、前述した(1)、(2)及び
(3)の反応式に示す同時進行的反応が速い反応速度で
進行し、金属又は金属化合物を吸収塔に収容されている
吸収液中に浸漬させることにより、酸化還元反応を進行
させることができる。
【0044】本発明に係る別のジェットバブリング反応
槽式湿式排煙脱硫装置は、槽を横断する方向に延在する
隔板によって槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入
口ダクトに連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口
室に連通し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬す
るように上下方向に延在する排ガス分散管とを有するジ
ェットバブリング反応槽を備え、吸収剤を含む吸収液と
排ガスとを気液接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去す
る湿式排煙脱硫装置において、Fe、Mn、Ni及びC
uの金属並びにそれらの金属の低価数の化合物からなる
群から選ばれた少なくとも1種類の金属又は1種類の金
属化合物を収容する接触槽をジェットバブリング反応槽
とは別に備えて、接触槽に収容されている金属又は金属
化合物と、ジェットバブリング反応槽から流出した吸収
液、流出した吸収液を固液分離して得た母液及び湿式排
煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排水のうちのいずれ
かとを接触させ、金属又は金属化合物と酸化性物質との
酸化還元反応により、吸収液、母液又は排煙脱硫排水中
の酸化性物質を除去するようにしたことを特徴としてい
る。
【0045】本発明の好適な実施態様は、前記接触槽
が、前記金属又は金属化合物を充填してなる充填層を有
し、ジェットバブリング反応槽から流出した吸収液、流
出した吸収液を固液分離した得た母液及び湿式排煙脱硫
装置から排出された排煙脱硫排水のうちのいずれかを充
填層に通液するようにした固定床接触槽、又は前記金属
又は金属化合物の粒粉体を収容し、ジェットバブリング
反応槽から流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離
した得た母液及び湿式排煙脱硫装置から排出された排煙
脱硫排水のうちのいずれかを流入させ、かつ機械的又は
流体力学的に流動させて金属又は金属化合物の流動床を
形成し、流動状態で相互に接触させるようにした流動床
接触槽のいずれかであることを特徴としている。
【0046】溶解性の金属化合物を使用する場合には、
槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内に区画さ
れ、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通する排ガス
入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端が槽下部
に収容される吸収液に浸漬するように上下方向に延在す
る排ガス分散管とを有するジェットバブリング反応槽を
備え、吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液接触させ排
ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱硫装置におい
て、ジェットバブリング反応槽とは別に混合槽を備え
て、ジェットバブリング反応槽から流出した吸収液、流
出した吸収液を固液分離した得た母液及び湿式排煙脱硫
装置から排出された排煙脱硫排水のうちのいずれかを混
合槽に導き、Fe、Mn、Ni及びCuの低価数の金属
化合物のうちの少なくともいずれか1種類の金属化合物
を含む溶液又はスラリーを混合槽に注入し、または混合
槽内で前記いずれか1種類の金属化合物を溶解して、金
属イオンと酸化性物質との酸化還元反応により、吸収
液、母液又は排煙脱硫排水中の酸化性物質を除去するよ
うにしたことを特徴としている。
【0047】本発明の更に好適な実施態様は、前記接触
槽に流入する吸収液、母液又は排水のpHを調整するp
H調整手段と、pH調整した吸収液、母液又は排煙脱硫
排水の酸成分と金属又は金属化合物とが反応して発生す
る水素ガスを除去する水素ガス除去手段とを備えること
を特徴としている。
【0048】
【作用】請求項11から21に記載の湿式排煙脱硫装置
では、Fe、Mn、Ni及びCuの金属並びにそれらの
金属の低価数の化合物からなる群から選ばれた少なくと
も1種類の金属又は1種類の金属化合物を還元剤として
使用し、酸化性物質を含む吸収液、母液又は排煙脱硫排
水と接触させることにより、酸化還元反応により酸化性
物質を除去する。いずれの発明においても、還元剤とし
て使用される金属又は金属化合物の量は、処理後の吸収
液、母液、又は排煙脱硫排水中の酸化性物質濃度によっ
て制御される。例えば、図3、、図4(a)及び(b)
に示す各装置では充填量と流量比を、図4(c)に示す
装置では循環ポンプ81を用いた循環液量を、図5の各
装置では投入量を処理後の各液中の酸化性物質濃度によ
って制御することができる。
【0049】
【実施例】以下、添付図面を参照し、実施例に基づいて
本発明をより詳細に説明する。湿式排煙脱硫装置の実施例1 図2は本発明に係る湿式排煙脱硫装置の実施例の構成を
示すフローシート、図3(a)は横型固定床接触槽及び
図3(b)は竪型固定床接触槽の構成を示す模式図であ
る。本実施例の湿式排煙脱硫装置60(以下、簡単に装
置60と言う)は、図7に示した反応槽11又は図8に
示す吸収塔110の構成に加えて、図2に示すように、
固液分離装置48で石膏を分離して得た母液の一部を排
水する排水管52a、bの間にpH調整槽62と、還元
剤として金属鉄を使用して排水中の酸化性物質の酸化還
元反応を行う接触槽64とを備えている。接触槽64
は、図3及び図4に示すような固定床式接触槽でも良
く、図5(a)、(b)及び(c)に示すように流動床
式接触槽でも良い。pH調整槽62は、通常の攪拌槽で
あって、希塩酸を注入してpHを所定値に調整してい
る。尚、pHを所定値に制御するような既知の制御装置
を設けてもよい。
【0050】固定床式接触槽の形式は、2種類に大別さ
れ、図3に示すような横型固定床式接触槽66と、図4
(a)から(c)に示すような縦型固定床式接触槽68
とがある。横型固定床式接触槽66は、上部が大気に開
放された箱型の槽70と、槽70内に設置され、還元剤
として金属鉄を充填した固定床(充填層)72と、槽7
0内の排水の液面を一定にするために下流側排水管52
bに設けられた堰板73とから構成されている。金属鉄
として、大きな粒状又は塊状の鉄材が使用されている。
これにより、排水は上流側の排水管52aから接触槽6
4に流入して固定床72を浸漬するように流れ、排水管
52bから排出される。固定床72では、Feによる酸
化還元反応が進行して排水中の酸化性物質が除去され
る。また、接触槽66では、酸化還元反応に合わせて、
排水中の溶解鉄が空気により曝気され、接触槽66内で
又は別の沈殿槽で沈殿、除去される。また、発生する水
素ガスは、槽70の開放された上部から大気に放出さ
れ、爆発限界以下に希釈される。
【0051】縦型固定床式接触槽68は、基本的には、
図4(a)に示すように、縦型槽74と、槽74内に設
置され、還元剤として金属鉄を充填した固定床(充填
層)76と、排水管52aに接続して固定床76の上方
に設けられ、排水を噴霧する排水ノズル78とから構成
されている。金属鉄として、大きな粒状又は塊状の鉄材
が使用されている。これにより、排水は、上流側の排水
管52aから接触槽68に流入し、排水ノズル78から
下方に向かって噴霧され、固定床76でFeによる酸化
還元反応が進行して排水中の酸化性物質が除去され、槽
下部の排水管52bから排出される。
【0052】また、図4(b)に示すように、気体を槽
74内に送入する気体ノズル80を固定床76に下方に
設けることもできる。これにより、気体ノズル80から
空気、脱硫された処理排ガス等の気体が送入され、固定
床76で発生する少量の水素ガスを爆発限界以下に希釈
して槽上部の排気管82から大気中に放出される。更
に、図4(c)に示すように、循環ポンプ81を排水管
52に、排水ノズル78とは別にノズル83を固定床7
6上にそれぞれ設け、槽下部の排水管52bから排出さ
れた排水を循環して固定床76に再び通すこともでき
る。これにより、酸化性物質の除去率を高めることがで
き、その循環量は除去率に見合うよう制御できる。ま
た、図5(c)に示す接触槽68において図4(c)と
同様に気体ノズル80を設けることもできる。酸化性物
質が除去された排水は、曝気池(図示せず)で曝気さ
れ、排水中の溶解鉄が沈殿地(図示せず)で沈殿、除去
される。
【0053】流動床式接触槽は、上部開放型の接触槽で
あって、図5(a)に示すように、攪拌機84を備えた
機械攪拌式接触槽86と、図5(b)及び(c)にそれ
ぞれ示すような流体攪拌式接触槽88、90がある。機
械攪拌式接触槽86は、還元剤として使用する小さな粒
状又は粉状の金属鉄を収容し、流入する排水と共に攪拌
機84で攪拌して流動床を形成する。流体攪拌式接触槽
88は、接触槽86の攪拌機84に代えて、排水を噴流
状で接触槽88に流入させるノズル孔を多数有し、かつ
排出管52aに接続されている噴出管92を接触槽88
の底部に備え、還元剤として使用する小さな粒状又は粉
状の金属鉄を収容している。排水は、噴出管92のノズ
ル孔より噴流状で接触槽88内に流入して激しく流動
し、接触槽88内に金属鉄の流動床を形成する。流体攪
拌式接触槽90は、接触槽86の攪拌機84に代えて、
排水を噴流状で接触槽90に流入させる細孔94を多数
備えた多孔板96を接触槽90の底部に備え、排水管5
2aは、多孔板96より下方の接触槽90下部に接続さ
れている。還元剤として使用する小さな粒状又は粉状の
金属鉄を収容し、排水は、細孔94より噴流状で接触槽
90内に流入して激しく流動し、接触槽90内に金属鉄
の流動床を形成する。
【0054】以上の構成により、流動床式接触槽86、
88又は90では、排水は、金属鉄の流動床を形成して
効率良く固液接触することにより、酸化性物質が金属鉄
により還元されて除去される。発生した水素ガスは、大
気中に放散して爆発限界以下に希釈される。酸素を含ま
ないガス、空気、酸素含有率が小さい処理排ガスを強制
的に液表面に吹きつけ水素ガス濃度を希釈してもよい
(図示せず)。更に、酸化性物質が除去された排水は、
曝気池(図示せず)で曝気され、排水中の溶解鉄が沈殿
地(図示せず)で沈殿、除去される。
【0055】接触槽64に代えて、混合槽(図示せず)
を設け、混合槽内で排水に塩化鉄(FeCl2 の水溶液
を注入し、それにより鉄イオンと排水中の酸化性物質と
の酸化還元反応により酸化性物質を除去するようにして
も良い。また、混合槽(図示せず)内にFeCl2 の粉
流体を投入して排水中に直接溶解させても良い。
【0056】実施例1の改変例 実施例1の改変例として、図2のフローシートにおい
て、pH調整槽62と接触槽64とを排出ポンプ46と
固液分離装置48との間に設けてもよく、また固液分離
装置48の下流で石灰石粉末の投入位置の上流の吸収剤
供給管50に設けても良い。
【0057】実施例2 図6はジェットバブリング反応槽を備えた本発明に係る
湿式排煙脱硫装置の別の実施例の構成を示すフローシー
トである。本実施例のジェットバブリング反応槽を備え
た湿式排煙脱硫装置100(以下、簡単に装置100と
言う)は、図7に示した反応槽11の構成に加えて、図
6に示すように、金属鉄を還元剤に使用して排水中の酸
化性物質の酸化還元反応を行う接触部102を反応槽1
1に備えている。接触部102は、自在に吸収液が出入
りするように多孔板で作った容器又は金網で作った袋に
金属鉄を入れても良く、また鉄材、鉄の粉体、粒子を直
接反応槽11内に投入しても良い。以上の構成により、
吸収液は、接触部102の金属鉄と自在に接触して、吸
収液中の酸化性物質が接触部102の金属鉄により還元
されて除去される。本実施例は、図8に示す吸収塔11
2の塔下部の吸収液内に接触部102と同じような接触
部を設けることにより、吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装
置にも適用できる。
【0058】また、図6の接触部102に代えて、塩化
鉄(FeCl2 の水溶液を反応槽11内の吸収液に注入
し、それにより鉄イオンと吸収液中の酸化性物質との酸
化還元反応により酸化性物質を除去するようにしても良
い。
【0059】実施例1及び2で使用した反応槽11及び
吸収塔112は、必ずしも図7及び図8に示すものに限
らず、本発明の要旨を変更しない限り、自由に改変した
反応槽及び吸収塔を使用できる。例えば、図7に示す反
応槽11において、排ガス出口室12を省略し、出口ダ
クト24を空間部22部分の反応槽11の壁に設けて、
処理排ガスが空間部22から出口ダクト24を経由して
排出されるようにしても良い。また、反応槽11におい
て、図7に示す貫通管28を大きくして縦型の排ガス出
口室として構成し、その排ガス出口室の周囲に排ガス入
口室14を環状に巡らし、攪拌機32を排ガス入口室1
4の天板(図示せず)から垂下するようにしても良い。
【0060】
【発明の効果】本発明に係る酸化性物質の除去方法によ
れば、安価で入手容易な特定の金属又は金属化合物と、
酸化性物質を含む液体とを接触させ、又は金属化合物を
水溶液にして酸化性物質を含む液体に注入し、金属又は
金属化合物と酸化性物質との酸化還元反応により酸化性
物質を除去することができる。よって、簡単なプロセス
でしかも低い除去コストで酸化性物質を容易にかつ確実
に除去できる。本発明に係る酸化性物質の除去方法を湿
式排煙脱硫装置の排煙脱硫排水中の酸化性物質の除去に
適用することにより、排煙脱硫排水の排水処理装置の性
能低下及び劣化の問題を簡単なプロセスでしかも低いコ
ストで解決できる。本発明に係る湿式排煙脱硫装置は、
排水処理装置の性能低下及び劣化の問題を引き起こさな
い程度に排煙脱硫排水中の酸化性物質を除去できる装置
を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】還元剤として金属鉄を使用した実験例で得た空
塔速度と酸化性物質除去率との関係を示すグラフであ
る。
【図2】本発明に係る湿式排煙脱硫装置の実施例の構成
を示すフローシートである。
【図3】それぞれ横型固定床接触槽の構成を示す模式図
である。
【図4】図4(a)、(b)及び(c)は、それぞれ竪
型固定床接触槽の構成を示す模式図である。
【図5】図5(a)、(b)及び(c)は、それぞれ流
動床式接触槽の構成を示す模式図である。
【図6】本発明に係る湿式排煙脱硫装置の別の実施例の
構成を示すフローシートである。
【図7】ジェットバブリング反応槽を備えた従来の湿式
排煙脱硫装置の構成を示すフローシートである。
【図8】スプレー式吸収塔を備えた従来の湿式排煙脱硫
装置の構成を示すフローシートである。
【符号の説明】
10 ジェットバブリング反応槽を備えた従来の排煙脱
硫装置 11 ジェットバブリング反応槽 12 排ガス出口室 14 排ガス入口室 16 第1隔板 18 第2隔板 20 吸収液層 22 空間部 24 出口ダクト 26 入口ダクト 28 連通管 30 排ガス分散管 32 攪拌機 34 空気供給管 36、38 冷却液ノズル 40 吸収液ポンプ 42 工業用水ノズル 44 排出管 46 排出ポンプ 48 固液分離装置 50 吸収剤供給管 52 排水管 60 本発明に係る湿式排煙脱硫装置 62 pH調整槽 64 接触槽 66 横型固定床式接触槽 68 縦型固定床式接触槽 70 箱型の槽 72 固定床(充填層) 73 堰板 74 縦型槽 76 固定床(充填層) 78 排水ノズル 80 気体ノズル 81 循環ポンプ 82 排気管 83 ノズル 84 攪拌機 86 機械攪拌式接触槽 88、90 流体攪拌式接触槽 92 噴出管 94 細孔 96 多孔板 100 ジェットバブリング反応槽を備えた本発明に係
る湿式排煙脱硫装置の別の実施例 102 接触部 110 スプレー式吸収塔を備えた従来の湿式排煙脱硫
装置 112 吸収塔 114 工業用水ノズル 116、118 吸収液ノズル 120 吸収液ポンプ 122 空気ノズル

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe、Mn、Ni及びCuの金属並びに
    それらの金属の低価数の化合物からなる群から選ばれた
    少なくとも1種類の金属又は1種類の金属化合物と、酸
    化性物質を含む液体とを接触させ、金属又は金属化合物
    と酸化性物質との酸化還元反応により液体中の酸化性物
    質を除去することを特徴とする酸化性物質の除去方法。
  2. 【請求項2】 酸化性物質の除去工程において発生する
    水素ガスを水素ガス除去手段により除去することを特徴
    とする請求項1に記載の酸化性物質の除去方法。
  3. 【請求項3】 金属として鉄を使用し、かつ液体のpH
    を3.0から10の範囲に調整することを特徴とする請
    求項2又は3に記載の酸化性物質の除去方法。
  4. 【請求項4】 酸化性物質を含む液体に、Fe、Mn、
    Ni及びCuの低価数の金属化合物のうちの少なくとも
    いずれか1種類の金属化合物を含む溶液又はスラリーを
    注入し、または前記液体に前記いずれか1種類の金属化
    合物を溶解して、金属イオンと酸化性物質との酸化還元
    反応により酸化性物質を除去することを特徴とする酸化
    性物質の除去方法。
  5. 【請求項5】 酸化性物質の酸化還元反応工程を経た液
    体に酸素含有気体による曝気及びpH調整の少なくとも
    いずれかを施して、液体に溶解している金属を固形化し
    て沈殿、除去する工程を備えていることを特徴とする請
    求項1から4のうちのいずれか1項に記載の酸化性物質
    の除去方法。
  6. 【請求項6】 吸収剤を含む吸収液と排ガスとを主とし
    て排ガス処理槽内で気液接触させて排ガス中の硫黄酸化
    物を除去する湿式排煙脱硫装置から流出する排煙脱硫排
    水中の酸化性物質を除去する方法であって、 排ガス処理槽内に収容されている吸収液、排ガス処理槽
    から流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離した得
    た母液、及び湿式排煙脱硫装置から排出された排煙脱硫
    排水のいずれかと、Fe、Mn、Ni及びCuの金属並
    びにそれらの金属の低価数の化合物からなる群から選ば
    れた少なくとも1種類の金属又は1種類の金属化合物と
    を接触させ、金属又は金属化合物と酸化性物質との酸化
    還元反応により、吸収液、母液又は排煙脱硫排水中の酸
    化性物質を除去することを特徴とする排煙脱硫排水中の
    酸化性物質の除去方法。
  7. 【請求項7】 吸収剤を含む吸収液と排ガスとを主とし
    て排ガス処理槽内で気液接触させて排ガス中の硫黄酸化
    物を除去する湿式排煙脱硫装置から流出する排煙脱硫排
    水中の酸化性物質を除去する方法であって、 排ガス処理槽内に収容されている吸収液、排ガス処理槽
    から流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離した得
    た母液、及び湿式排煙脱硫装置から排出された排煙脱硫
    排水のいずれかに、Fe、Mn、Ni及びCuの低価数
    の金属化合物のうちの少なくともいずれか1種類の金属
    化合物を含む溶液又はスラリーを注入し、または前記い
    ずれか1種類の金属化合物を溶解して、金属イオンと酸
    化性物質との酸化還元反応により、吸収液、母液又は排
    煙脱硫排水中の酸化性物質を除去することを特徴とする
    排煙脱硫排水中の酸化性物質の除去方法。
  8. 【請求項8】 酸化性物質の除去工程において発生する
    水素ガスを水素ガス除去手段により除去することを特徴
    とする請求項6又は7に記載の酸化性物質の除去方法。
  9. 【請求項9】 金属として鉄を使用し、かつ鉄と接触さ
    せる排ガス処理槽内に収容されている吸収液、排ガス処
    理槽から流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離し
    た得た母液、又は湿式排煙脱硫装置から排出された排煙
    脱硫排水のpHを3.0から10の範囲に調整すること
    を特徴とする請求項6から8のうちのいずれか1項に記
    載の排煙脱硫排水の酸化性物質の除去方法。
  10. 【請求項10】 酸化性物質の酸化還元反応工程を経た
    吸収液、母液又は排煙脱硫排水に酸素含有気体による曝
    気及びpH調整の少なくともいずれかを施して、液体に
    溶解している金属を固形化して沈殿、除去する工程を備
    えていることを特徴とする請求項6から9のうちのいず
    れか1項に記載の排煙脱硫排水の酸化性物質の除去方
    法。
  11. 【請求項11】 吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液
    接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する吸収塔を備え
    た湿式排煙脱硫装置において、 Fe、Mn、Ni及びCuの金属並びにそれらの金属の
    低価数の化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種
    類の金属又は1種類の金属化合物を吸収塔に収容されて
    いる吸収液中に浸漬させ、金属又は金属化合物と吸収液
    中の酸化性物質との酸化還元反応により、吸収液中の酸
    化性物質を除去するようにしたことを特徴とする湿式排
    煙脱硫装置。
  12. 【請求項12】 吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液
    接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する吸収塔を備え
    た湿式排煙脱硫装置において、 吸収塔に収容されている吸収液に、Fe、Mn、Ni及
    びCuの低価数の金属化合物のうちの少なくともいずれ
    か1種類の金属化合物を含む溶液又はスラリーを注入
    し、または前記いずれか1種類の金属化合物を溶解し
    て、金属イオンと吸収液中の酸化性物質との酸化還元反
    応により、吸収液中の酸化性物質を除去するようにした
    ことを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  13. 【請求項13】 吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液
    接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する吸収塔を備え
    た湿式排煙脱硫装置において、 Fe、Mn、Ni及びCuの金属並びにそれらの金属の
    低価数の化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種
    類の金属又は1種類の金属化合物を収容する接触槽を吸
    収塔とは別に備えて、 接触槽に収容されている金属又は金属化合物と、吸収塔
    から流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離した得
    た母液及び湿式排煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排
    水のうちのいずれかとを接触させ、金属又は金属化合物
    と酸化性物質との酸化還元反応により、吸収液、母液又
    は排煙脱硫排水中の酸化性物質を除去するようにしたこ
    とを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  14. 【請求項14】 前記接触槽が、前記金属又は金属化合
    物を充填してなる充填層を有し、吸収塔から流出した吸
    収液、流出した吸収液を固液分離した得た母液及び湿式
    排煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排水のうちのいず
    れかを充填層に通液するようにした固定床接触槽、又は
    前記金属又は金属化合物の粒粉体を収容し、吸収塔から
    流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離した得た母
    液及び湿式排煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排水の
    うちのいずれかを流入させ、かつ機械的又は流体力学的
    に流動させて金属又は金属化合物の流動床を形成し、流
    動状態で相互に接触させるようにした流動床接触槽のい
    ずれかであることを特徴とする請求項13に記載の湿式
    排煙脱硫装置。
  15. 【請求項15】 吸収剤を含む吸収液と排ガスとを気液
    接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する吸収塔を備え
    た湿式排煙脱硫装置において、 混合槽を吸収塔とは別に備えて、 吸収塔から流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離
    した得た母液及び湿式排煙脱硫装置から排出された排煙
    脱硫排水のうちのいずれかを混合槽に導き、Fe、M
    n、Ni及びCuの低価数の金属化合物のうちの少なく
    ともいずれか1種類の金属化合物を含む溶液又はスラリ
    ーを混合槽に注入し、または混合槽内で前記いずれか1
    種類の金属化合物を溶解して、金属イオンと酸化性物質
    との酸化還元反応により、吸収液、母液又は排煙脱硫排
    水中の酸化性物質を除去するようにしたことを特徴とす
    る湿式排煙脱硫装置。
  16. 【請求項16】 槽を横断する方向に延在する隔板によ
    って槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクト
    に連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通
    し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように
    上下方向に延在する排ガス分散管とを有するジェットバ
    ブリング反応槽を備え、吸収剤を含む吸収液と排ガスと
    を気液接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排
    煙脱硫装置において、 Fe、Mn、Ni及びCuの金属並びにそれらの金属の
    低価数の化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種
    類の金属又は1種類の金属化合物をジェットバブリング
    反応槽に収容されている吸収液中に浸漬させ、金属又は
    金属化合物と吸収液中の酸化性物質との酸化還元反応に
    より、吸収液中の酸化性物質を除去するようにしたこと
    を特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  17. 【請求項17】 槽を横断する方向に延在する隔板によ
    って槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクト
    に連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通
    し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように
    上下方向に延在する排ガス分散管とを有するジェットバ
    ブリング反応槽を備え、吸収剤を含む吸収液と排ガスと
    を気液接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排
    煙脱硫装置において、 ジェットバブリング反応槽に収容されている吸収液に、
    Fe、Mn、Ni及びCuの低価数の金属化合物のうち
    の少なくともいずれか1種類の金属化合物を含む溶液又
    はスラリーを注入し、または前記いずれか1種類の金属
    化合物を溶解して、金属イオンと吸収液中の酸化性物質
    との酸化還元反応により、吸収液中の酸化性物質を除去
    するようにしたことを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  18. 【請求項18】 槽を横断する方向に延在する隔板によ
    って槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクト
    に連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通
    し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように
    上下方向に延在する排ガス分散管とを有するジェットバ
    ブリング反応槽を備え、吸収剤を含む吸収液と排ガスと
    を気液接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排
    煙脱硫装置において、 Fe、Mn、Ni及びCuの金属並びにそれらの金属の
    低価数の化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種
    類の金属又は1種類の金属化合物を収容する接触槽をジ
    ェットバブリング反応槽とは別に備えて、 接触槽に収容されている金属又は金属化合物と、ジェッ
    トバブリング反応槽から流出した吸収液、流出した吸収
    液を固液分離して得た母液及び湿式排煙脱硫装置から排
    出された排煙脱硫排水のうちのいずれかとを接触させ、
    金属又は金属化合物と酸化性物質との酸化還元反応によ
    り、吸収液、母液又は排煙脱硫排水中の酸化性物質を除
    去するようにしたことを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  19. 【請求項19】 前記接触槽が、前記金属又は金属化合
    物を充填してなる充填層を有し、ジェットバブリング反
    応槽から流出した吸収液、流出した吸収液を固液分離し
    た得た母液及び湿式排煙脱硫装置から排出された排煙脱
    硫排水のうちのいずれかを充填層に通液するようにした
    固定床接触槽、又は前記金属又は金属化合物の粒粉体を
    収容し、ジェットバブリング反応槽から流出した吸収
    液、流出した吸収液を固液分離した得た母液及び湿式排
    煙脱硫装置から排出された排煙脱硫排水のうちのいずれ
    かを流入させ、かつ機械的又は流体力学的に流動させて
    金属又は金属化合物の流動床を形成し、流動状態で相互
    に接触させるようにした流動床接触槽のいずれかである
    ことを特徴とする請求項18に記載の湿式排煙脱硫装
    置。
  20. 【請求項20】 槽を横断する方向に延在する隔板によ
    って槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクト
    に連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通
    し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように
    上下方向に延在する排ガス分散管とを有するジェットバ
    ブリング反応槽を備え、吸収剤を含む吸収液と排ガスと
    を気液接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排
    煙脱硫装置において、 ジェットバブリング反応槽とは別に混合槽を備えて、 ジェットバブリング反応槽から流出した吸収液、流出し
    た吸収液を固液分離した得た母液及び湿式排煙脱硫装置
    から排出された排煙脱硫排水のうちのいずれかを混合槽
    に導き、Fe、Mn、Ni及びCuの低価数の金属化合
    物のうちの少なくともいずれか1種類の金属化合物を含
    む溶液又はスラリーを混合槽に注入し、または混合槽内
    で前記いずれか1種類の金属化合物を溶解して、金属イ
    オンと酸化性物質との酸化還元反応により、吸収液、母
    液又は排煙脱硫排水中の酸化性物質を除去するようにし
    たことを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  21. 【請求項21】 前記接触槽に流入する吸収液、母液又
    は排煙脱硫排水のpHを調整するpH調整手段と、pH
    調整した吸収液、母液又は排煙脱硫排水中の酸化性物質
    の除去中に発生する水素ガスを除去する水素ガス除去手
    段とを備えることを特徴とする請求項13、14、1
    5、18、19及び20のうちのいずれかに記載の湿式
    排煙脱硫装置。
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JP2006218343A (ja) * 2005-02-08 2006-08-24 Kurita Water Ind Ltd セレン含有排水の処理方法および処理装置
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