JP3727086B2 - 湿式排煙脱硫方法及び装置 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、湿式排煙脱硫方法及び排煙脱硫装置に関し、更に詳細には排ガス中に含まれる硫黄酸化物から転化した硫黄過酸化物等の酸化性物質の排水中の濃度を低下させた湿式排煙脱硫方法及びそれを実施する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
排ガスから亜硫酸ガス等の硫黄酸化物を除去するために、湿式排煙脱硫法が多用されている。湿式排煙脱硫法とは、排ガスと吸収液とを気液接触させ、硫黄酸化物を除去する方法である。使用される吸収液は、硫黄酸化物を固定化する吸収剤を水に溶解及び/又は懸濁させた液で、一般にはカルシウム化合物系の吸収剤、例えば石灰石を水に溶解及び/又は懸濁させたスラリ状水溶液を使用する。その他に吸収剤としてMg(OH)2 などのマグネシウム化合物系、NaOHなどのナトリウム化合物系を使用する湿式排煙脱硫法がある。本発明はこれらの湿式排煙脱硫法の共通の技術課題を解決する方法を提供する。
【0003】
なかでも、排ガス中の硫黄酸化物を除去する排煙脱硫槽として、ジェットバブリング反応槽を使用した湿式排煙処理装置は、硫黄酸化物の除去率が高くかつ経済的にも優れた装置として広く採用されている。
ジェットバブリング反応槽は、亜硫酸ガス等の硫黄酸化物を固定する吸収液を槽内下部に収容し、亜硫酸ガスを含む排ガスを吸収液中に分散導入してジェットバブリング層(又はフロス層)を形成しつつ吸収剤と反応させて主として亜硫酸ガスを硫酸塩として固定する液連続型の気液接触式の反応槽である。
また、従来では、ジェットバブリング反応槽の排ガス上流に除塵塔を設け、ジェットバブリング反応槽に導入する前に除塵塔で排ガスと冷却液とを接触させて予め排ガスの冷却及び除塵を行う2塔式が採用されていたが、近年のジェットバブリング反応槽の性能の向上の結果、除塵塔を省略した、一塔式のいわゆるスート混合型排煙脱硫装置が多用されている(特公平3−70532号公報参照)。
【0004】
従来のジェットバブリング反応槽の構成
図12を参照して、スート混合型排煙脱硫装置に使用されているジェットバブリング反応槽、即ち排ガスの冷却を主として行う第1次気液接触を入口ダクト及び排ガス入口室で実施する従来のジェットバブリング反応槽及び入口ダクトの構成を説明する。
ジェットバブリング反応槽10(以下、反応槽10と言う)は、吸収剤として石灰石を使用して排ガス中の硫黄酸化物を除去する排煙脱硫装置の主要部である。反応槽10は、上から順に槽を横断するように設けられた、排ガス出口室12と、排ガス入口室14と、石灰石を含む吸収液を収容する下部空間とに区画されている。排ガス出口室12と排ガス入口室14とは、槽を横断して水平に伸びる第1隔板16によって仕切られ、排ガス入口室14と下部空間とは、第1隔板16と同様に槽を横断する方向に伸びる第2隔板18によって仕切られている。第2隔板18は、吸収液層20の液面より上方に位置し、その間に排ガス流出用の空間部22を形成している。
【0005】
排ガス出口室12は出口ダクト24に接続し、その下の排ガス入口室14は入口ダクト26に接続している。また、吸収液と気液接触した処理排ガスを空間部22から排ガス出口室12に流出させるガスライザとして、複数本のパイプ状の連通管28(図12では、簡単に1本のみ図示)が排ガス入口室14を貫通して、空間部22と排ガス出口室12とを連通させている。
【0006】
排ガス分散管30は、上端部で排ガス入口室14に連通し、下端部で吸収液20に浸漬するように排ガス入口室14の第2隔板18から下方に下降している。その下端部には開口部、例えば多数の小さな開口が設けてあり、排ガスはそれら開口から吸収液層20中に分散して、ジェットバブリング層(フロス層)Aを形成する。ジェットバブリング層Aは、排ガスの気泡と石灰石を含む吸収液とからなる液連続相の気液接触層である。
反応槽10の下部は、吸収液層20を収容するようになっており、槽下部には吸収液を攪拌するための攪拌機32と、亜硫酸ガスの石膏固定化に必要な酸素を供給するための酸素含有ガス、例えば空気を噴出する空気ノズルを備えた空気供給管34とが設けられている。
【0007】
主として排ガスの冷却を目的とする第1次気液接触を行うために、入口ダクト26と排ガス入口室14とにそれぞれ冷却液ノズル36、38が設けられていて、そこに、冷却液として吸収液が、吸収液ポンプ40により反応槽10の下部より送給されている。冷却液として吸収液の排ガス中への噴霧では、第1次気液接触において吸収液と排ガスとを気液接触させることにより、排ガスの冷却を行うと同時に除塵に加えて排ガス中の硫黄酸化物の一部の除去が起こる。更に、入口ダクト26には、排ガスを予備冷却するために工業用水を排ガス中に噴霧する工業用水ノズル42が、冷却液ノズル36の上流に設けてある。
反応槽10に吸収剤を供給するために、石膏を含む吸収液を反応槽底部から抜き出すための排出管44、排出ポンプ46、吸収液から石膏を分離する固液分離装置48、石膏を分離した母液の一部に石灰石粉末を添加した後、吸収剤スラリとして反応槽10に供給する吸収剤供給管50と、さらに母液の一部を排水処理装置に送る排水管52とが設けてある。その他の母液は装置内の洗浄等に使用されている(図示せず)。
【0008】
従来のジェットバブリング反応槽の運転
以下に、反応槽10の運転を説明する。図12において、反応槽10の下部には、亜硫酸ガスと反応して、石膏に固定化する石灰石粉末を水に溶解及び/又は懸濁させたスラリが石膏を含む吸収液として収容されている。
排ガスは、入口ダクト26において工業用水ノズル42から噴霧された工業用水及び冷却液ノズル36から噴霧された吸収液と接触し、次いで排ガス入口室14に入り、そこで冷却液ノズル38から噴霧された吸収液と接触し、第1次気液接触を行う。冷却液ノズル38による吸収液の噴霧は、間欠的な噴霧でも良く、また排ガス流れの一部を対象に部分的に行うこともできる。第1次気液接触では、排ガスと吸収液とが気液接触することにより、主として排ガスの冷却が行われるのと同時に除塵と排ガスの硫黄酸化物の除去も行われる。第1次気液接触での排ガスの冷却及び加湿により、第2次気液接触で生じる乾燥現象が抑制されてスケーリングの発生が軽減され、また安価な装置材、たとえば塩化ビニルなどの樹脂を使用することができるようになる。
排ガスは、排ガス入口室14を経由して排ガス分散管30の開口より吸収液の液面下に導入され、ジェット状に噴出して吸収液と気液接触しながらバブリングしながら上昇する。これにより、所謂ジェットバブリング層A(第2次気液接触)が吸収液の液面上に生成される。第1次気液接触後に吸収液と気液接触する第2次気液接触では、主として、酸素含有ガスによる同時酸化吸収による化学的及び/又は物理的吸収による排ガス中の硫黄酸化物の除去を目的としているが、合わせて排ガスの除塵も行う。
亜硫酸ガスは、水、酸素、石灰石と反応して石膏となって除去され、生じた石膏は粒子となって吸収液中に浮遊する。
【0009】
亜硫酸ガスを除去された排ガスは、連通管28及び排ガス出口室12を経て出口ダクト24により系外に排出される。
一方、晶析した石膏を濃厚に含有する吸収液下層は、排出管44及び排出ポンプ46により反応槽10から排出され、固液分離装置48にて石膏が分離される。次いで、母液の一部は、排煙脱硫排水として排水管52により排水処理装置(図示せず)へ送られ、母液の残り一部は石灰石粉末が添加された後、吸収剤スラリとして吸収液供給管50から反応槽10に供給される。。
尚、上述の反応槽10の運転において、反応槽10に収容されている吸収液層20の下層では、pHが3.5以上、通常4.5〜5.5になっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近、湿式排煙脱硫装置から送液される排煙脱硫排水を処理する排水処理設備において、その性能の劣化、低下が予想以上に進行することが問題にされており、その原因が湿式排煙脱硫装置から送液される排煙脱硫排水の水質にあることが判った。
その問題とは、例えば排煙脱硫排水の脱窒素工程で利用されている脱窒素菌の成長が阻害され、そのために排水処理装置から放流される処理水の窒素量が増大していることであり、また被処理排水中のCODを吸着させる吸着剤、更にはフッ素、ホウ素を除去する吸着剤、イオン交換剤として使用されている有機物吸着樹脂の劣化が予想外に速いことである。
【0011】
従来のスプレー式吸収塔
上述の例では、ジェットバブリング反応槽を例にして従来の湿式排煙脱硫装置を説明したが、図13に示したようなスプレー式吸収塔101を備えた湿式排煙脱硫装置100についても、同様の問題があった。図13のスプレー式吸収塔101は、竪型の塔で形成され、塔の下部には石灰石を吸収剤とする吸収液を収容し、入口ダクト102に接続された塔上部には工業用水ノズル104と吸収液ノズル106とを備えて、排ガス中に工業用水及び吸収液を噴霧し、排ガスと第1次気液接触させ主として排ガスの冷却・除塵を行い、その後、脱硫を連続的に行う。
また、吸収液と第1次気液接触との間には、吸収液ノズル108を備えて、排ガス中に吸収液を噴霧し、排ガスと第2次気液接触させて主として排ガス中の亜硫酸ガスを除去する。
【0012】
吸収液ノズル106、108には吸収液が塔下部から吸収液ポンプ110によって供給される。吸収塔101の下部には、吸収剤が吸収剤供給管112により供給され、吸収液排出管114により排出される。
排ガスは、入口ダクト102から吸収塔101上部に流入する。排ガスは、第1次気液接触にて工業用水ノズル104から噴霧された工業用水及び吸収液ノズル106から噴霧された吸収液によって冷却されつつ除塵その後脱硫がなされる。更に、第2次気液接触で吸収液ノズル108から噴霧される吸収液と気液接触して主として排ガス中の亜硫酸ガスが除去され、浄化された排ガスは、出口ダクト116から流出する。また、酸素含有ガスによる同時酸化吸収を行うために、吸収液内に空気等の酸素含有ガスが空気ノズル118を介して供給されている。
【0013】
本発明の目的
以上の状況に照らして、本発明の目的は、第1には排水処理装置の性能を低下させないような水質の排煙脱硫排水を排出できる湿式排煙脱硫方法を提供することであり、第2にはその湿式排煙脱硫方法を実施する排煙脱硫装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、排水処理装置の性能低下について研究した結果、スート混合型湿式排煙脱硫装置から流出する排煙脱硫排水に含まれている酸化性物質の濃度が高いことに主として原因があることを突き止めた。ここで、酸化性物質とは、排煙脱硫排水に含まれている酸化能を有する物質を意味し、その中には硫黄過酸化物、例えばS2 8 2-も含まれている。酸化性物質は、後述するように、例えばDPD法等による塩素換算値により定量できる。
そこで、本発明者らは、硫黄過酸化物、例えばS2 8 2-をSO4 2- に還元し、合わせてその他の酸化性物質を還元して、排煙脱硫排水中の酸化性物質濃度を低下させることにより、排水処理装置の性能低下を防止できることを実験により実証した。
更に、還元剤として排ガス中の亜硫酸ガスを利用して酸化還元反応を行うことにより硫黄過酸化物をSO4 2- に容易に還元でき、さらに排煙脱硫排水中に含まれる硫黄過酸化物以外の酸化性物質も同様に分解除去されることを見い出し、しかも鉄、ニッケル等の金属及びその金属化合物、或いは排ガス中の飛灰がこの亜硫酸との酸化還元反応にとって有効な触媒になることも発見した。
以上の実験を通して本発明を完成するに到った。
【0015】
ところで、従来提案されている排煙脱硫装置では、脱硫率の向上、吸収剤の利用率の向上、スケーリングの抑制、ジチオン酸等のCOD成分の生成の抑制に効果を上げるために、亜硫酸ガスの同時酸化吸収方法で亜硫酸ガスを除去しており、そのため吸収液層(液溜め)中の吸収液に含まれる亜硫酸濃度を極めて小さくするような条件で運転されていた。
上述の目的を達成するため、同時酸化用の酸素含有ガスの導入量、もしくは導入方法を変更することが考えられるが、そのためには吸収液層の吸収液中の亜硫酸を残存させることになる。これでは、同時酸化吸収の利点を無くし、結果的には技術的、経済的に不利な逆効果となる。
これに対して、本発明の目的は、同時酸化吸収の利点を維持しつつ、上述の問題を効率的に解決するものである。
【0016】
第1発明方法
上述の目的を達成するために、以上の知見に基づき、本発明に係る湿式排煙脱硫方法(以下、簡単に第1発明方法と略称する)は、排ガス中の硫黄酸化物を除去するために、スート混合型湿式排煙脱硫装置を使用して、排ガス中に第1の吸収液を噴霧して気液接触させる第1次気液接触と、続いて第1次気液接触を経た排ガスと吸収剤を含む第2の吸収液とを気液接触させて硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスの存在下で主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域にて一連的に実施する湿式排煙脱硫方法において、
第1次気液接触では、前記第1の吸収液として第2次気液接触のための前記第2の吸収液を使用し、第2次気液接触の前に、第1次気液接触を経た排ガスから第1の吸収液を沈降分離により自然に分離させた後、第2の吸収液とは独立して抜き出し、
第2次気液接触では、前記酸化用酸素含有ガスを吹き込んだ第2の吸収液の吸収液層の上層部に第1次気液接触を経た排ガスを気泡状に分散して気液接触させ、次いで生成した固形物を含むスラリを抜き出し、
抜き出したスラリから固形物を分離して得た第1の母液に前記抜き出した第1の吸収液又は抜き出した後に固液分離して得た第1の吸収液を混合して得た第1の混合液、第1の混合液から固形物を分離して得た第2の母液、前記抜き出したスラリに前記抜き出した第1の吸収液又は抜き出した後に固液分離して得た第1の吸収液を混合して得た第2の混合液、第2の混合液から固形物を分離して得た第3の母液のいずれかをスート混合型湿式排煙脱硫装置に後続する排水処理装置に送液することを特徴としている。
また、第1の発明の別法では、排ガス中の硫黄酸化物を除去するために、スート混合型湿式排煙脱硫装置を使用して、排ガス中に第1の吸収液を噴霧して気液接触させる第1次気液接触と、続いて第1次気液接触を経た排ガスと吸収剤を含む第2の吸収液とを気液接触させて硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスの存在下で主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域にて一連的に実施する湿式排煙脱硫方法において、
第1次気液接触のための第1の吸収液として第2次気液接触のための第2の吸収液を使用し、
第1次気液接触を経た排ガスから第1の吸収液を沈降分離により自然に分離させた後、抜き出し、
一方、第2次気液接触により生成した固形物を含むスラリを抜き出し、
抜き出したスラリから固形物を分離して得た第1の母液に前記抜き出した第1の吸収液又は抜き出した後に固液分離して得た第1の吸収液を混合して得た第1の混合液、第1の混合液から固形物を分離して得た第2の母液、前記抜き出したスラリに前記抜き出した第1の吸収液又は抜き出した後に固液分離して得た第1の吸収液を混合して得た第2の混合液、第2の混合液から固形物を分離して得た第3の母液のいずれかをスート混合型湿式排煙脱硫装置に後続する排水処理装置に送液し、
前記抜き出したスラリと前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た前記第1の母液のうちの少なくとも一方に前記抜き出した第1の吸収液を混合する際、混合して得た液のpHが0.5以上4.0以下になるように酸を添加することを特徴としている。
【0017】
第1発明方法では、第1次気液接触で排ガス中に噴霧される第1の吸収液は、排ガスと最初に接触するので、高濃度の亜硫酸ガスを含有する排ガスと接触でき、しかもその量がL/Gで0.1〜3.0と比較的少量である。それにより、第1の吸収液は、亜硫酸ガスを高濃度で溶解し、しかも亜硫酸イオンを溶解した第1の吸収液は、排ガスとの接触時間が短く、排ガス中の残存酸素を除いて酸素に触れることなく自然に沈降分離に分離した後、抜き出されるので、亜硫酸イオンが高い濃度で存在する。また、排ガス中の煤塵も第1の吸収液に捕集され、しかもL/Gが小さくても、第1の吸収液はその高除塵能によって煤塵を高捕集率で捕集するので、第1の吸収液中の煤塵濃度は高くなる。
フライアッシュなどの煤塵、亜硫酸イオンを高濃度で含有するスラリになった第1の吸収液(以下、簡単に亜硫酸含有スラリと言う)を抜き出し、固形物スラリ自体又は母液に注入する。これより、石炭系、石油系などの鉄分を含む燃焼煤塵を触媒として、溶解亜硫酸が石膏スラリ等の固形物スラリ中又は母液中の硫黄過酸化物と酸化還元反応して、硫黄過酸化物を主として排水処理装置に無害なSO4 2- に転化させることができる。さらに、硫黄過酸化物以外の酸化力を有するその他の物質も、煤塵を触媒として溶解亜硫酸との酸化還元反応による分解除去される。
よって、排水処理装置に送液される排煙脱硫排水中の酸化性物質濃度が、大幅に低下する。尚、必要に応じ、排水処理装置の前に固液分離装置を設ける。また、固形物は、吸収剤として石灰石を使用した場合、石膏である。
【0018】
抜き出した吸収液を固液分離して得た吸収液にも、亜硫酸が少なくとも含有されているので、本発明の効果を奏することができる。
抜き出した吸収液を固液分離する手段は、遠心分離機、フィルタ、シックナ、サイクロン等の一般的な方法を採用できる。望ましくは、固液分離手段として、フライアッシュは触媒となるので、吸収液から石膏のみを分離し、フライアッシュは吸収液分に含まれるような分離方法、例えばシックナ、サイクロンが良い。固液分離して得た固形分は、反応槽又は石膏スラリから石膏を分離する固液分離装置ん上流側のライン又は石膏供給槽に導入する。
【0019】
第2発明方法
また、本発明に係る別の湿式排煙脱硫方法(以下、簡単に第2発明方法と略称する)は、排ガス中の硫黄酸化物を除去するために、スート混合型湿式排煙脱硫装置を使用して、排ガス中に第1の吸収液を噴霧して気液接触させる第1次気液接触と、続いて第1次気液接触を経た排ガスと吸収剤を含む第2の吸収液とを気液接触させて硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスの存在下で主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域にて一連的に実施する湿式排煙脱硫方法において、
第2次気液接触では、前記酸化用酸素含有ガスを吹き込んだ第2の吸収液の吸収液層の上層部に第1次気液接触を経た排ガスを気泡状に分散して気液接触させ、次いで生成した固形物を含むスラリを抜き出し、
第1次気液接触では、前記抜き出したスラリの少なくとも一部を1の吸収液として使用し、第2次気液接触の前に、第1次気液接触を経た排ガスから第1の吸収液を沈降分離により自然に分離した後、第2の吸収液とは独立して抜き出し、
抜き出した第1の吸収液をスート混合型湿式排煙脱硫装置に後続する排水処理装置に送液することを特徴としている。
また、第2の発明の別法では、排ガス中の硫黄酸化物を除去するために、スート混合型湿式排煙脱硫装置を使用して、排ガス中に第1の吸収液を噴霧して気液接触させる第1次気液接触と、続いて第1次気液接触を経た排ガスと吸収剤を含む第2の吸収液とを気液接触させて硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスの存在下で主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域にて一連的に実施する湿式排煙脱硫方法において、
第2次気液接触により生成した固形物を含むスラリを抜き出して、少なくともその一部を第1の吸収液として使用し、
第1次気液接触を経た排ガスから第1の吸収液を沈降分離により自然に分離した後、抜き出し、
抜き出した第1の吸収液をスート混合型湿式排煙脱硫装置に後続する排水処理装置に送液し、
前記抜き出した第1の吸収液のpHが0.5以上4.0以下になるように酸を添加することを特徴としている。
【0020】
第2発明方法では、第2次気液接触から抜き出したスラリの少なくとも一部を第1の吸収液として使用し、高濃度で亜硫酸ガスを含有する排ガスと接触させた後、排水処理装置に排水している。従って、第1の吸収液は煤塵、亜硫酸を高濃度で溶解し、亜硫酸イオンと硫黄過酸化物との酸化還元反応が煤塵中に含まれる鉄分などを触媒として進行し、排水処理装置に送液される被処理排水中の酸化性物質濃度が大幅に低下する。
スラリの残部は、固液分離し、得た母液の全量に吸収剤を投入して、第2気液接触用の吸収液として使用する。また、スラリの全量を第1の吸収液として使用し、吸収液調製用の水には工業用水を使用することもできる。
【0021】
第1発明方法及び第2発明方法の説明
本発明方法で言うスート混合型湿式排煙脱硫装置は、前段の除塵塔及び後段の酸化塔のいずれをも有しない一塔式の湿式排煙脱硫装置であって、排ガスの冷却、除塵を別置きの除塵塔で行う方式及び亜硫酸イオンの酸化を別置きの酸化塔で行う方式の湿式排煙脱硫装置のいずれをも除外する意味である。
スート混合型湿式排煙脱硫装置では、第1次気液接触と第2次気液接触とは、相互に近接した領域で行われる。例えば、第1次気液接触が吸収塔の上部で行われ、引き続き第2次気液接触が同じ吸収塔の上部に近接した直ぐ下の空間で行われる。別の例では、第1次気液接触が排ガスをジェットバブリング反応槽に導入する入口ダクト内でしかもジェットバブリング反応槽の排ガス入口室の直ぐ上流部分で及び/又は排ガス入口室で行われ、第2次気液接触が排ガス入口室直下のジェットバブリング層で行われる。
【0022】
本発明方法で使用する吸収剤としては、好ましくは、安価なCaCO3 、CaO、Ca(OH)2 である。その他、Mg(OH)2 等のマグネシウム化合物、NaOH等のナトリウム化合物も使用できる。第1次気液接触では亜硫酸ガスの溶解に加えて冷却及び除塵をも行い、排ガス中に飛灰が存在する時には吸収液がその飛灰を捕捉する。飛灰の触媒作用により、硫黄過酸化物等の酸化性物質との酸化還元反応が促進される。
第1次気液接触を経た第1の吸収液の分離には、特別の分離装置を使用する必要はなく、第1次気液接触で排ガス中に噴霧した第1の吸収液は、噴霧された空間内で同時進行的に排ガスから自然に沈降分離するので、それを利用することができる。
【0023】
第1発明方法及び第2発明方法の好適な実施態様
また、本発明の好ましい実施態様は、第1次気液接触で使用する第1の吸収液にCa(OH)2 、CaO、CaCO3 、NaOH、KOH及びMg(OH)2 のうちの少なくとも一種を添加して、抜き出した第1の吸収液のpHを少なくとも4.5以上にすることを特徴としている。アルカリとしてはpHの上昇が容易で、亜硫酸塩としての溶解度が大きい、NaOH、Mg(OH)2 が好ましい。アルカリ性化合物を添加して第1の吸収液のpHを高くし、第1次気液接触での亜硫酸ガスの吸収を促進し、分離した第1の吸収液中の亜硫酸イオン濃度を大きくすることができる。これにより、排煙脱硫排水中の酸化性物質濃度を更に一層低下させることができる。第1の吸収液中の亜硫酸濃度は石炭燃焼排ガスでは通常50〜150mg/lであるが、pHを6.0にすると100〜400mg/lにすることができる。
また、第1次気液接触での脱硫率が向上するので、湿式排煙脱硫方法の全工程での脱硫率が更に高くなる。また、第2次気液接触の吸収液循環量を減少させることができ、更には排ガス分散管の開口を吸収液の液面から浅い位置に位置できるので、排ガスファン動力を含む所要動力が軽減される。更には、第1次気液接触の吸収液のpHが高くなるので、石炭焚排ガスの場合、フライアッシュからのアルミニウム化合物の溶出が抑制され、カルシウム化合物系吸収剤の溶解活性の低下を防止できる。加えて、粒径が大きい良質の石膏を生成することができる。
【0024】
本発明の更に別の好ましい実施態様は、鉄、銅、マンガン、ニッケルの金属及びその金属化合物並びに排ガスから得られる飛灰のうちの少なくとも1種類の存在下で、前記抜き出したスラリから固形物石膏を分離して得た第1の母液、又は第1の母液を分離する前の前記抜き出したスラリのいずれかに前記抜き出した第1の吸収液を混合することを特徴としている。
鉄、銅、マンガン及びニッケルの金属及びその金属化合物、並びに排ガスから得られる飛灰は、亜硫酸イオンによる酸化性物質との酸化還元反応の触媒として有効であるから、酸化還元反応の進行が促進され、短時間に排煙脱硫排水中の酸化性物質濃度が低下する。
また、金属及びその金属化合物として、金属もしくは低価数のその金属化合物を用いると、その金属と酸化性物質が反応して、酸化性物質を分解除去することもできるので好ましい。
【0025】
また、これらの金属及び飛灰は、触媒として働いて硫黄過酸化物等の酸化性物質の分解除去効率を向上させるだけでなく、亜硫酸イオンによる分解反応にともなうジチオン酸(S2 6 2- )の生成を抑制できることが実験により見い出された。ジチオン酸の生成はCODの増大となり排水処理上で好ましくない。鉄、フライアッシュ等の飛灰(煤塵)が共存しない、もしくは低濃度である場合、生成するジチオン酸は分解除去された硫黄過酸化物の50%以上となるが、共存する場合には10%以下に低下できる。
pH3.0の条件下で鉄、フライアッシュ等の含有濃度は、鉄では5〜200mg/lの範囲、好ましくは30〜100mg/lの範囲、フライアッシュでは0.1〜10wt%の範囲、好ましくは1〜5wt%の範囲である。それぞれの下限値以下の含有濃度では、硫黄過酸化物の分解の促進、ジチオン酸の生成の抑制の効果が乏しく、上限値以上の含有濃度では、濃度の増大に比例してその効果が大きくならないので効率的でなく、場合によっては石膏の品質を低下させる恐れがある。
【0026】
第1発明方法の更に好ましい実施態様は、前記抜き出したスラリ、前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た前記第1の母液及び前記第1の吸収液の少なくとも一つにH2 SO3 、Na2 SO3 及びNaHSO3 の少なくとも一方を添加することを特徴としている。
抜き出した第1の吸収液中の亜硫酸イオン濃度が低い場合でも、H2 SO3 、Na2 SO3 及びNaHSO3 から解離した亜硫酸イオンにより抜き出したスラリ又は前記抜き出したスラリから石膏を分離して得た母液における酸化性物質との酸化還元反応が進行する。
第2発明方法においても、第1の吸収液に添加することを除いて同様である。
【0027】
第1発明方法の更に好ましい実施態様は、前記抜き出したスラリと前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た前記第1の母液のうちの少なくとも一方に前記抜き出した第1の吸収液を混合する際、混合して得た液のpHが0.5〜4になるように酸を添加することを特徴としている。
使用される酸は、塩酸又は硫酸であって、pHの範囲は0.5〜4、好ましくは1〜3であり、pHが0.5以下では亜硫酸イオンがガスと成って気化し、pHを4.0以上にしても酸化還元反応を促進する効果は少ない。特に、フライアッシュ、鉄等の金属を触媒として使用している場合に有効である。また、pHの低下はジチオン酸の生成率の低下にもつながる。
第2発明方法においても、第1の吸収液に添加することを除いて同様である。
【0028】
第1発明方法の更に好ましい実施態様は、前記抜き出したスラリ、前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た前記第1の母液及び前記抜き出した第1の吸収液のうちの少なくとも一つを加温することを特徴としている。これにより、亜硫酸による酸化還元反応が促進される。
第1発明方法の更に好ましい実施態様は、スート混合型湿式排煙脱硫装置の排ガス側上流に設けられている乾式除塵装置の除塵率を低下させ、排ガス中の煤塵量を増大させることを特徴としている。これにより、排ガス中の煤塵量を増大させ、第1の吸収液の効果を増大することができる。
以上の実施態様は、 第2発明方法においても同様である。
【0029】
湿式排煙脱硫装置の一
第1及び第2の発明方法の別法を実施するための湿式排煙脱硫装置の一は、排ガスと吸収剤を含む吸収液とを気液接触させ排ガス中の硫黄酸化物を除去する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装置において、
排ガス中に吸収液を噴霧して排ガスと気液接触させる第1ノズルと、排ガス流れから見て第1ノズルの下流に設けられ、排ガス中に吸収液を噴霧して排ガスと気液接触させて主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2ノズルと、第1ノズルから排ガス中に噴霧された吸収液を第2ノズルからの吸収液と排ガスとの気液接触の前に排ガスから回収する回収手段とを吸収塔の内部に備え、更に
吸収塔から抜き出されたスラリから固形物を分離して得た母液に回収手段によって回収した吸収液を混合する手段、又は抜き出されたスラリ自体に回収手段によって回収した吸収液を混合する手段のいずれかの混合手段と
設けている。
【0030】
回収手段としては、排ガスの小さい圧力損失で排ガスから吸収液を分離、回収できるような手段であれば、特に限定はなく、例えば、後述する実施例のようにドーナツ型傾斜板とロート型集液器とを組み合わせ、衝突分離した吸収液を回収するようにしたものがある。
スラリ中に含まれる固形物とは、例えば吸収剤に石灰石を使用した場合には石膏である。尚、これは、以下の湿式排煙脱硫装置の二及び三でも同様である。
【0031】
また、回収手段により回収した吸収液を固液分離する固液分離手段を備え、吸収塔から抜き出されたスラリから固形物を分離して得た母液に分離手段にて固液分離して得た吸収液を混合手段によって混合するか、又は抜き出されたスラリ自体に分離手段にて固液分離して得た吸収液を混合手段によって混合するようにしても良い。
【0032】
湿式排煙脱硫装置の二
また、本発明に係る湿式排煙脱硫装置は、第1発明方法を実施する装置であって、槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように上下方向に延在し、排ガスを吸収液中に気泡状で分散させて気液接触させる排ガス分散管とを有するジェットバブリング反応槽を備える湿式排煙脱硫装置において、
槽下部に収容された吸収液のほぼ全域に硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスを吹き込む吹き込み手段と、
入口ダクト及び排ガス入口室のうち少なくとも入口ダクトに設けられた液ノズルと、液ノズルに吸収液を供給する液供給管とを備え、液ノズルにより排ガス中に吸収液を噴霧して排ガスと気液接触させる液噴霧手段と、
槽下部に収容された吸収液を液噴霧手段に送液する送液手段と
液噴霧手段により噴霧された吸収液を主として入口ダクト内にて自然沈降分離により分離する分離手段と、
上端で隔板とほぼ面一に連結して排ガス入口室に連通し、隔板から下降して排ガス分散管の下端より下方の吸収液層に達するように延びて、分離手段により分離された吸収液を隔板から流下させる液下降管と、液下降管内に滞留する吸収液を抜き出すポンプとを有する液抜き出し手段と、及び
ジェットバブリング反応槽から抜き出され、排ガスと吸収液との気液接触により生成した固形物を含むスラリに前記抜き出した吸収液を混合する手段、又はスラリから固形物を分離した母液に前記抜き出した吸収液を混合する手段のいずれかの混合手段と
を備えることを特徴としている。
【0033】
また、液抜き出し手段により抜き出した吸収液を固液分離する固液分離手段を備え、ジェットバブリング反応槽から抜き出された固形物を含むスラリに前記固液分離して得た吸収液を前記混合手段によって混合するか、又はスラリから固形物を分離した母液に前記固液分離して得た吸収液を混合手段によって混合するようにしても良い。
【0034】
湿式排煙脱硫装置の二の好適な実施態様
本発明の好適な実施態様は、前記液噴霧手段が、液供給管にCa(OH)2 、CaO、CaCO3 、NaOH、KOH及びMg(OH)2 のうちの少なくとも一種を添加するアルカリ剤添加手段を備えることを特徴としている。また、前記混合手段が、ジェットバブリング反応槽から抜き出された固形物を含むスラリに前記抜き出した吸収液を混合する手段であって、前記抜き出されたスラリの配管経路の途中に設けられた反応槽と、前記抜き出した吸収液と触媒との組み合わせ、前記抜き出した吸収液と触媒と還元剤の組み合わせ、前記抜き出した吸収液と触媒と還元剤と酸との組み合わせのうちの1種類の組み合わせを反応槽内のスラリに添加する添加手段とを備えていることを特徴としている。
本発明の更に好適な実施態様は、前記反応槽に加熱手段が設けてあることを特徴としている。これにより、亜硫酸イオンの酸化還元反応が促進される。
尚、湿式排煙脱硫装置の二の好適な実施態様の技術的思想は、次の湿式排煙脱硫装置の三にも適用できる。
【0035】
湿式排煙脱硫装置の三
本発明に係る別の湿式排煙脱硫装置は、第2発明方法を実施する方法であって、槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように上下方向に延在し、排ガスを吸収液中に気泡状で分散させて気液接触させる排ガス分散管とを有するジェットバブリング反応槽を備える湿式排煙脱硫装置において、
槽下部に収容された吸収液のほぼ全域に硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスを吹き込む吹き込み手段と、
入口ダクト及び排ガス入口室のうち少なくとも入口ダクトに設けられた液ノズルと、排ガスと吸収液との気液接触により生成した固形物を含むスラリを液ノズルに供給する液供給管とを備え、排ガス中にスラリを噴霧して排ガスと気液接触させる液噴霧手段と、
液噴霧手段により噴霧されたスラリを主として入口ダクト内にて自然沈降分離により分離する分離手段と、
ジェットバブリング反応槽から抜き出されたスラリの少なくとも一部を液噴霧手段の液供給管を介して液ノズルに送液する送液手段と、及び
上端で隔板とほぼ面一に連結して排ガス入口室に連通し、隔板から下降して排ガス分散管の下端より下方の吸収液層に達するように延びて、分離手段により分離されたスラリを流下させる液下降管と、液下降管内に滞留するスラリを抜き出すポンプと、抜き出したスラリを送出する送出管とを有するスラリ抜き出し手段と
を備えることを特徴としている。
【0036】
湿式排煙脱硫装置の二及び三の説明
上述の湿式排煙脱硫装置では、第1次気液接触は排ガス入口室の直ぐ上流の入口ダクト部分及び排ガス入口室の双方又はその一方に設けられた液ノズルから排ガス中に噴霧された第1の吸収液と排ガスとの気液接触により行われ、第2次気液接触は槽下部に収容された第2の吸収液と排ガス分散管から出た排ガスとの気液接触により行われる。
【0037】
分離手段は、液ノズルが設けれている空間、即ち入口ダクト及び/又は排ガス入口室の空間自体であり、空間の自然沈降分離作用により気液分離される。
液ノズルが入口ダクトに設けられている場合には、液下降管の相当数(以下、第1液下降管と言う)を隔板上で排ガス入口室と入口ダクトとの接続口近傍領域に配置し、更に隔板から上方に延びる堰板を排ガスの流れから見て配置した第1液下降管の背後に設けるのが望ましい。液下降管の残り(以下、第2液下降管と言う)は、排ガス入口室における第1の吸収液の排出のために必要に応じ排ガス入口室の隔板に設ける。
液下降管の総開口面積は、第1次気液接触のために排ガス中に噴霧された液量により定められ、望ましくは単位開口面積当たりの流量が33〜5000m3 (液)/hr/m2 である。
また、排ガス分散管の上端が隔板より突出している場合には、液下降管の上端は、必ずしも隔板と面一である必要はなく、排ガス分散管の上端より同一もしくは低い位置にあれば良い。よって、隔板とほぼ面一とは、このような液下降管の上端部をも含める表現である。
【0038】
堰板は、排ガスに伴って排ガス入口室に流入する冷却液をせき止めるために設けてあり、好適には、第1液下降管と排ガス流れからみて最上流側の排ガス分散管との間でかつ第1液下降管の全てにわたってその背後に位置するように設けてある。隔板が、隔板から直立する直立板部と、排ガスの進入方向とは逆向きに直立板部の上端から斜め上方に傾斜している傾斜板部とで形成されているのが望ましい。これにより、排ガスに伴って排ガス入口室に流入する冷却液をせき止める効果が大きくなる。堰板の高さは、好適には0.2mから3.0mとする。0.2m以下では堰板の効果が無く、3.0m以上であると、排ガス流れの圧力損失が大きくなるからである。
【0039】
また、上述の湿式排煙脱硫装置の他の部品、部位は、従来の湿式排煙脱硫装置のものを使用でき、例えば固液分離装置として遠心分離器、デカンター、フィルター、シックナーを使用できる。また、排ガス入口室内で噴霧する吸収液には、固液分離装置を使用することなく、反応槽から排出した吸収液に直接吸収剤を添加しても良い。
【0040】
【作用】
湿式排煙脱硫装置の一では、第1液ノズルから排ガス中に噴霧された吸収液が、排ガスとの接触を継続することなく、回収手段により排ガスから分離されて回収されるので、酸化が抑制されるため亜硫酸イオン濃度および鉄などを含むフライアッシュなどの飛灰の液中濃度が高く、硫黄過酸化物等の酸化性物質との酸化還元反応能が高い。この吸収液と固形物を含むスラリ(以下、簡単に固形物スラリと略称する)とを混合手段により混合すれば、固形物スラリ中の硫黄過酸化物等の濃度を低下させることができる。
【0041】
湿式排煙脱硫装置の二では、液噴霧手段により噴霧された第1の吸収液は、比較的高い亜硫酸ガス濃度を有する排ガスと気液接触して亜硫酸ガスを高濃度で溶解し、排ガスとの接触を継続することなく分離手段により排ガスから分離され、次いで液抜き出し手段により抜き出される。よって、抜き出された第1の吸収液は、酸化が抑制されるため亜硫酸イオン濃度が高く、かつ、鉄などを含む飛灰の液中濃度が高く、酸化性物質との酸化還元反応能が高い。この第1の吸収液と固形物スラリとを混合手段により混合すれば、固形物スラリ中の酸化性物質濃度を低下させることができる。
【0042】
湿式排煙脱硫装置の三では、送液手段により固形物スラリの少なくとも一部が液噴霧手段に送液され、そこで、比較的高い亜硫酸ガス濃度を有する排ガスと気液接触して亜硫酸ガスを高濃度で溶解し、排ガスとの接触を継続することなく分離手段により排ガスから分離され、次いで液抜き出し手段により抜き出される。よって、抜き出された固形物スラリは、酸化が抑制されるためそれ自体亜硫酸イオン濃度が高く、酸化性物質との酸化還元反応能が高いので、固形物スラリ中の酸化性物質は、亜硫酸イオンの酸化還元反応によりその濃度が低下する。
【0043】
【実施例】
以下、添付図面を参照し、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
湿式排煙脱硫装置の実施例1
全体構成
図1は、本発明に係る湿式排煙脱硫方法を実施する湿式排煙脱硫装置の二の主要部の構成を示す模式図である。
本実施例の湿式排煙脱硫装置は、本発明方法に係る湿式排煙脱硫方法を実施する装置であって、その主要部は図1に示すようなジェットバブリング反応槽及び入口ダクトで構成され、そこで第1次気液接触及び第2次気液接触がそれぞれ実施される。
本実施例の湿式排煙脱硫装置60(以下、簡単に排煙脱硫装置60と略称する)は、図12に示すジェットバブリング反応槽10の構成に加えて、第1液下降管62と、第2液下降管64と、第1液下降管62の管内に滞留する、石膏を含むと共に亜硫酸ガスを高濃度に溶解したスラリ(以下、簡単に亜硫酸含有スラリと略称する)を抜き出すための抜き出しポンプ66と、抜き出しポンプ66の吸い込み側に接続された亜硫酸含有スラリの抜き出し管68と、抜き出しポンプ66の吐出側に接続された亜硫酸含有スラリの送出管70と及びその他の接続配管系とを備えている。
【0044】
第1吸収液ノズル
本実施例では、第1次気液接触のための第1の吸収液(以下、簡単に吸収液と言う)を噴霧する吸収液ノズルとして、第1吸収液ノズル36が入口ダクト26内に配置されている。本実施例では、排ガスと吸収液との第1次気液接触及び吸収液の沈降分離を行う空間を分離手段として構成し、排ガス入口室14に入る前に排ガスから吸収液をできるだけ沈降分離させている。そのため、第1吸収液ノズル36は、排ガス入口室14の入口、即ち入口ダクト26と排ガス入口室14との接続口から上流に約5mの入口ダクト26内に設けられている。
【0045】
第1液下降管
第1液下降管62は、入口ダクト26内で噴霧され、排ガスと第1次気液接触して亜硫酸ガスを高濃度で溶解した吸収液を出来るだけ酸化させることなく回収するために設けられている。
そこで、複数本の第1液下降管62が、図2に示すように、排ガス入口室14の入口、即ち入口ダクト26と排ガス入口室14との接続口に近接した第2隔板18上の位置で、しかも第2隔板18の側縁に沿って少なくとも接続口の全長にわたりほぼ等間隔で配置されている。
図2に示す第1液下降管62の配列は、例示のための一例であって、多数本の第1液下降管を複数列で配置しても良い。
第1液下降管の断面形状は円形だけでなく、角形、楕円形などでもよく、液の下降がスムーズに行われる形状であればよい。
【0046】
第1液下降管62は、排ガス分散管30に比べて比較的大径のパイプで形成され、上端で第2隔板18の上面と面一に連結され、そこから下降して反応槽60の下部、具体的には攪拌機32の羽根より1.0m上方の吸収液内に下端部が位置している。第1液下降管62の下端部は、相互に連通するように連通管(図示せず)で結ばれた連通部を形成し、そこに抜き出しポンプ66の抜き出し管68が挿入されている。
【0047】
第1液下降管62の寸法、本数は、入口ダクト26内で噴霧する吸収液及び工業用水の液量に基づいて決まるものであるが、本実施例では、第2隔板18の径が約13mであり、工業用水及び吸収液の液量と排ガスのガス量との比率(L/G、L:リットル、G:Nm3 )が排ガス入口室14の入口で0.5〜2.0であるとして、入口ダクト26と排ガス入口室14との接続口の全長6mにわたり第2隔板18の側縁に沿って管径約0.6mのパイプが5本配置されている。
一方、排ガス分散管30として、管径約100mmの多数本のパイプがほぼ均一な分布で第2隔板18上に配置されている。
【0048】
第2吸収液ノズル
第2吸収液ノズル38は、吸収液を噴霧して排ガスと気液接触させるよりは、寧ろ本実施例では、入口ダクト26内で排ガス中に噴霧された吸収液を吸収液層20に洗い落とすために設けられている。即ち、入口ダクト26内で噴霧された吸収液が液滴となって排ガスに同伴されて排ガス入口室14に入りそこで分離し、第2隔板18上に滞留する。
第2吸収液ノズル38は、吸収液を噴出して第2隔板18上の吸収液を洗い流して第2液下降管64を介して素早く吸収液層下部に流下させるために設けてある。よって、吸収液38から噴霧される吸収液量は、第1吸収液ノズル36から噴霧される吸収液量より通常少ない。
【0049】
また、第2吸収液ノズル38の設置の高さは第2隔板18の上0.5m以上であればよい。0.5m以下では噴霧液の分散領域が小さく、数多くのノズルを必要とし、経済的でない。尚、第2吸収液ノズル38は排ガス入口室14の入口付近に設けられた第1液下降管62にて、液分離が充分達成できれば省略できる。また、図2では、排ガス分散管30の配置は省略されている。
【0050】
第2液下降管
複数本の第2液下降管64が、図2に示すように、第2隔板18にほぼ均一な分布で配置され、上端で第2隔板18に面一で連結され、そこから下降して反応槽60の下部、具体的には攪拌機32の羽根の直ぐ上方近くまで延びている。
第2液下降管64の寸法、本数は、排ガス入口室14内で噴霧する吸収液の液量、正確には入口ダクト26及び排ガス入口室14内で噴霧する吸収液及び工業用水の液量から第1液下降管62により流下させた液量を差し引いた液量に基づいて決まるものであるが、本実施例では、第2液下降管64として管径0.15mのパイプが30本配置されている。
【0051】
第1次気液接触のための吸収液を噴霧する吸収液ノズルが、入口ダクト26でなくて排ガス入口室14に設けられている場合には、第1液下降管62を省略して、第2液下降管64から飛灰および亜硫酸含有スラリを抜き出す。その場合には、第2液下降管64の下端部は、相互に連通するように連通管(図示せず)で結ばれた連通部を形成し、そこに抜き出しポンプ66の抜き出し管68が挿入されている。
【0052】
堰板
入口ダクト26内で排ガス中に噴霧された工業用水及び吸収液は、その一部が微細粒子となって排ガスに同伴されて排ガス入口室14に入るが、大部分は排ガス入口室14に入る前に分離して入口ダクト26の底板上に沈降し、排ガスに押し流されて排ガス入口室14に入るか、沈降しつつ排ガス流れの下層に同伴されて排ガス入口室14に入る。
そこで、本実施例では、図3に示すように高さ約2.7mの入口ダクト26に対して、高さ1.0m(図3(c)ではHで表示)の堰板72が、排ガスに伴って排ガス入口室に流入する冷却液をせき止めるために設けてある。
堰板72は、図3(c)に示すように、高さ0.7m(図3(c)ではH1 で表示)の直立板部72aと、排ガスの進入方向とは逆向きに直立板部72aの上端から斜め45°上方に傾斜している高さ0.3m(図3(c)ではH2 で表示)の傾斜板部72bとで形成されている。
【0053】
堰板72はその有効長さL(図3(a)参照)が入口ダクト26の全幅Wより長く、かつ全ての第1液下降管62にわたってその背後に位置するように第1液下降管62と排ガス流れから見て最上流の排ガス分散管30との間に設けてある。図3(a)では、更に、堰板72が冷却液を捕捉し易いように、その両端に曲がり部72cが設けてある。
これにより、入口ダクト26の底板上を流れる吸収液の流れ及び排ガス流れの下層に同伴された液滴は、この堰板72によって捕捉され、確実に第1液下降管62内に導入される。
【0054】
抜き出しポンプ
抜き出しポンプ66は、亜硫酸含有スラリを第1液下降管62から抜き出し、固液分離装置48の上流の石膏スラリ管54又は排水管52のいずれかに、送出管70を介して抜き出した亜硫酸含有スラリを注入する。尚、亜硫酸含有スラリは石膏濃度が高いので、送出管70を石膏スラリ管54に接続し、固液分離装置48で固液分離した方が望ましい。
また、図14に示すように、送出管70の途中に固液分離装置71を設け、亜硫酸含有スラリを固液分離して得た亜硫酸含有液を直接排水管52に注入しても良い。固液分離装置71には、遠心分離機、フィルタ、シックナ、サイクロン等を使用できるが、好ましくは、シックナ又はサイクロンを使用して、触媒機能を有するフライアッシュが亜硫酸含有液に含まれるようにするのが良い。
【0055】
第1液下降管の改変例1
図4は、第1液下降管62の改変例1を示す模式図である。また、堰板72に代えて又は堰板72の設置と共に、図4に示すように、排ガス分散管30の上端を第2隔板18より上方に突出させることもできる。
第1液下降管62及び第2液下降管64の上端が第2隔板18と面一であり、一方排ガス分散管30の上端部74が第2隔板18より上方に突出していることにより、第2隔板18上に滞留する吸収液は、排ガス分散管30を流下してジェットバブリング層に流下することなく、第1液下降管62を流下し、抜き出しポンプ66により抜き出される。
尚、排ガス分散管30の上端が第2隔板18より突出している場合には、第1液下降管62の上端が必ずしも第2隔板18と面一である必要はなく、第2隔板18上で第1液下降管の上端より低い位置であれば同じ効果を奏することが出来る。
本実施例では、堰板72の設置と共に排ガス分散管30の上端部74が第2隔板18から上方に約150mm突出している。
【0056】
第1液下降管の改変例2
図5(a)は、第1液下降管62の改変例2を示す模式図である。本例の第1液下降管62は、第1液下降管62の上部に第1液下降管62を相互に連通する連通部を有し、その連通部が、亜硫酸含有スラリの溜め槽76を構成している。抜き出し管68は、溜め槽76の底部に接続されていて、亜硫酸含有スラリを抜き出し、過剰の亜硫酸含有スラリは第1液下降管62を経由して吸収液層20に流下する。
これにより、溜め槽76には常に亜硫酸含有スラリが滞留しているので、抜き出しポンプ66は、円滑に運転されることができる。
図5(a)の例では、溜め槽76が反応槽60の中に設けてあるが、図5(b)は亜硫酸含有スラリの溜め槽76を反応槽60の側壁の外に設けてある例を示している。
【0057】
第1液下降管の改変例3
図6は、第1液下降管62の改変例3の要部を示す模式図である。本実施例では、入口ダクト26内で吸収液を噴霧する吸収液ノズル36は、排ガス中に下向きで吸収液を噴霧するように配置されたノズル36aとそのノズル36aの上流側に設けられ、排ガスの流れ方向に吸収液を噴霧するノズル36bとから構成されている。また、吸収液ノズル36の噴霧領域の入口ダクト26底部は、ロート状に形成された回収部78を備え、回収部78の底部は配管79によって第1液下降管62のいずれかに接続されている。
また、回収部78で回収されずに排ガス入口室14に流入した飛灰および亜硫酸含有スラリを排ガス入口室14で回収して第1液下降管62及び配管68を経由して抜き出す一方、回収部78で回収した飛灰および亜硫酸含有スラリを配管77を経由して抜き出すようにしても良い。更には、第1液下降管62の設置を省き、配管77を経由して回収部78からのみ飛灰および亜硫酸含有スラリを抜き出すようにしても良い。
【0058】
実施例1では、吸収液ノズル36より噴霧された吸収液は、比較的高い亜硫酸ガス濃度を有する排ガスと気液接触して亜硫酸ガスを高濃度で吸収溶解し、亜硫酸含有スラリとなる。さらに飛灰(煤塵)も捕集される。亜硫酸含有スラリは主として入口ダクト空間26で気液分離され、排ガスとの接触を継続することなく第1液下降管62を流下する。次いで、抜き出しポンプ66により抜き出されて、排出ポンプ46で抜き出された石膏スラリ又は固液分離装置48から出る母液に注入される。
よって、抜き出された吸収液、即ち亜硫酸含有スラリは、亜硫酸イオン濃度が高く、酸化性物質との酸化還元反応能が高いので、石膏スラリ又は母液中の硫黄過酸化物の濃度を低下させる。これにより、酸化性物質濃度の低い排煙脱硫排水が、排水処理装置に送液される。
【0059】
湿式排煙脱硫装置の実施例2
図7は、第2発明方法の湿式排煙脱硫方法を実施する湿式排煙脱硫装置の三の主要部の構成を示す模式図である。
本実施例の湿式排煙脱硫装置80(以下、簡単に排煙脱硫装置80と言う)は、実施例1の排煙脱硫装置60において、ジェットバブリング反応槽10から抜き出した石膏スラリの少なくとも一部を第1吸収液ノズル36及び/又は第2吸収液ノズル38から排ガス中に噴霧するようになっている。
そのため、排出ポンプ46に代えて吸収液ポンプ40により石膏スラリを抜き出し、少なくともその一部を第1吸収液ノズル36及び/又は第2吸収液ノズル38から排ガス中に噴霧する。その残部は、管69を経て固液分離装置48に送液され、そこで固液分離された後、母液には石灰石粉末が投入され吸収液として吸収液供給管50によりジェットバブリング反応槽10に戻る。
亜硫酸含有スラリは、第1液下降管62から抜き出し管68を介して抜き出され、抜き出しポンプ66により送出管70を介して排水処理装置に向け送出される。
その他の構成は、実施例1と同じである。
【0060】
実施例2では、吸収液ポンプ40により石膏スラリは、全量が主として第1吸収液ノズル36に送液され、そこで、比較的高い亜硫酸ガス濃度を有する排ガスと気液接触して亜硫酸ガスを高濃度で溶解し、主として入口ダクト空間26で気液分離され、亜硫酸含有スラリとなり排ガスとの接触を継続することなく第1液下降管62を流下する。次いで、抜き出しポンプ66により抜き出される。
第1液下降管62から抜き出された亜硫酸含有スラリは、それ自体亜硫酸イオン濃度が高く、硫黄過酸化物等の酸化性物質との酸化還元反応能が高いので、亜硫酸含有スラリ中の酸化性物質は、亜硫酸イオンの酸化還元反応によりその濃度が低下する。よって、酸化性物質濃度の低い排煙脱硫排水が排水処理装置に送液される。
【0061】
湿式排煙脱硫装置の実施例3
本実施例では、実施例1又は2の構成に加えて、図8に示すように、アルカリ注入管82が、吸収液ノズル36に接続して吸収液を供給する吸収液供給管36cに設けられている。入口ダクト26内で排ガス中に噴霧する吸収液に予めアルカリ化合物の水溶液を注入して、第1液下降管62を流下する吸収液のpHが4.0以上、好ましくは4.5〜6.5になるようにしておく。注入されるアルカリ剤は、NaOH、KOH及びMg(OH)2 のうちの少なくとも一種の水溶液である。これにより、亜硫酸ガスを更に高濃度に溶解することができる。
【0062】
湿式排煙脱硫装置の実施例4
図9は、本発明に係る排煙脱硫装置の実施例4の構成を示す模式図である。
本実施例の排煙脱硫装置は、実施例1から3のいずれかの構成に加えて、排煙脱硫装置の石膏スラリ管54又は排水管52の途中に攪拌機84を備え、亜硫酸含有スラリを送出する送出管70を接続した反応槽86と、鉄、銅、マンガン、ニッケルの金属及びその金属化合物並びに排ガスから得られる飛灰のうちの少なくとも1種類からなる触媒を反応槽86に添加する添加手段88と、H2 SO3 、Na2 SO3 又は NaHSO3 等の亜硫酸塩からなる還元剤を反応槽86に添加する添加手段90と、塩酸又は硫酸からなる酸を添加する添加手段92とを備えている。
添加手段88は粉体を添加する常用の手段であり、添加手段90及び92は、配管に既知の添加装置を設けた常用の手段である。
【0063】
湿式排煙脱硫装置の実施例5
図10は、本発明に係る排煙脱硫装置の一の実施例の構成を示す模式図である。
本実施例の湿式排煙脱硫装置120は、本発明方法に係る湿式排煙脱硫方法の第1発明方法を実施する装置であって、本実施例の主要部は、実施例1から4までとは異なり、第1次気液接触及び第2次気液接触を実施するために、ジェットバブリング反応槽に代えてスプレー式吸収塔(以下、簡単に吸収塔と言う)121を使用している。
本実施例では、吸収塔121は、図13に示す吸収塔101の構成に加えて、カスケード型の分離板122と、分離板の底部に接続された下降管124とを備えている。
【0064】
分離板122は、ドーナツ形の傾斜板122aと、傾斜板122aの内径より大きな外径を有するロート型集液器122bとから構成されていて、吸収液ノズル106と最上段の吸収液ノズル108との間に設けてある。下降管124は、ロート型集液器122bの底部から下方に下降して吸収液層の下部に達している。
下降管124の下部には、抜き出し管126が挿入され、抜き出しポンプ(図示せず)を介して亜硫酸含有スラリが抜き出され、石膏スラリから石膏を分離して得た母液、又は石膏スラリ自体に注入される。
実施例2と同様に、石膏スラリの全量を吸収液ポンプ110により抜き出し、吸収液ノズル106及び108から噴霧し、次いで下降管124から亜硫酸含有スラリとして抜き出すようにすることもできる。
【0065】
以上の構成により、本実施例では、吸収塔120の上部の第1次気液接触で噴霧された吸収液は、分離板122と衝突して排ガスから分離されて、亜硫酸含有スラリとなり、下降管124の下部に滞留する。滞留する亜硫酸含有スラリは、抜き出し管126及び抜き出しポンプにより石膏スラリから石膏を分離して得た母液、又は石膏スラリ自体に注入され、その酸化性物質濃度を低減する。
【0066】
湿式排煙脱硫装置の実施例6
本実施例の排煙脱硫装置130は、実施例1のジェットバブリング反応槽10の改変例として構成されたジェットバブリング反応槽を使用しており、図11はそのジェットバブリング反応槽131及び入口ダクト26を含む装置主要部の模式図である。
本ジェットバブリング反応槽131では、空間部22がジェットバブリング反応槽131の排ガス出口室12を兼ねており、出口ダクト24が空間部22に連通するように槽壁に連結されている。その結果、空間部22と排ガス出口室12とを連通させている連通管28は不要になり、設けられていない。
その他の構成部品は、実施例1のジェットバブリング反応槽10に設けられているものと同じである。
また、ジェットバブリング反応槽131を実施例2と同様に構成することができ、更に実施例3から4に示す設備を実施例1及び実施例2と同様に設けることもできる。
以上の構成により、実施例6は、実施例1で説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0067】
湿式排煙脱硫法の実施例1
上述の実施例1の排煙脱硫装置60と同じ構成の実験装置を使用して、湿式排煙脱硫法の第1発明方法の評価を行った。
SO濃度が520ppm(V%)、煤塵濃度が253mg/mNの石炭焚排ガスを用い、吸収剤に石灰石を使用して処理した。まず、実施例1のフローを示す図1に従い、下降管62の下部に滞留する液を1L/hr抜き出し、一方、石膏スラリー抜き出しポンプ46の吐出配管54から3L/hrを抜き出し、この両液を滞留時間10分の攪拌混合槽で混合し、混合して得たスラリー液を連続的に吸引濾過した。
その濾過液に空気を導入し残留する亜硫酸を酸化し、第1発明方法を適用した結果物として酸化性物質の濃度の低い濾過液を得た。
【0068】
下降管62の下部に滞留する液、吐出管54の石膏スラリー及び結果物の硫黄過酸化物濃度を測定して、以下に示すような測定結果を得た。
・下降管62の下部に滞留していた液の性状
pH :2.8
亜硫酸濃度 :130mg/l
フライアッシュ濃度:0.28wt%
酸化性物質濃度 :0.3〜0.5mg− Cl/l
・石膏スラリー抜き出しポンプ46の吐出配管54のスラリー液の性状
pH :5.1
亜硫酸濃度 :0
酸化性物質濃度 :8mg− Cl/l
・酸化後に結果物として得た濾過液の性状
pH :3.4
酸化性物質濃度 :0.8mg− Cl/l
以上の測定結果により、吐出配管54から抜き出したスラリー液中に存在した濃度8mg− Cl/lの酸化性物質は、本発明方法を適用することにより、スラリー液の濾過液の酸化性物質濃度は、0.8mg− Cl/lに低下した。
【0069】
また、酸化性物質濃度が0.8mg− Cl/lの結果物の濾過液を用いて硝化細菌の培養速度を測定した。この濾過液による硝化細菌の培養速度は、酸化性物質を含まない液と同等であって、正常な脱窒素性能を確認した。これにより、本発明方法を適用すれば、硝化細菌の培養速度に支障となる酸化性物質濃度以下に抑えることができる。
また、混合槽内の液pHを塩酸で2.8に調整し、Naの亜硫酸塩を100mg/l添加したところ、混合して得たスラリーの濾過液中の酸化性物質濃度は0.21mg− Cl/lとなった。さらにこの条件で混合槽の液滞留時間を60分間にしたところ、0.1mg− Cl/l以下となった。
【0070】
ここで、酸化性物質の分析方法を説明する。残留塩素分析法として用いられているジエチル−P−フェニレンジアミン比色法(DPD法)にて、発色反応時間を60分間として、得られる分析値(塩素換算値)を硫黄過酸化物等の酸化性物質の定量値とした。なお、同時にイオンクロマトグラフ法による定量分析も同時に行い、DPD法による定量値の検証も同時に行ったところ、得た塩素換算値の分析値はイオンクロマトグラフ法による定量分析で得た硫黄過酸化物等の酸化性物質の分析値と極めて高い相関を有することが確認できた。よって、以後の分析は、特別な機器を用いないDPD法にて得た塩素換算値を酸化性物質の定量値とした。
【0071】
湿式排煙脱硫法の実施例2
湿式排煙脱硫法の実施例2では、図7を参照した前述の湿式排煙脱硫装置の実施例2(排煙脱硫装置80)を使用して、湿式排煙脱硫法の第2発明方法の評価を行った。
上述の湿式排煙脱硫法の実施例1と同じ石炭焚排ガスを試料として使用し、排煙脱硫装置80の下降管62の下部に滞留する液を4L/hr抜き出し、連続的に吸引濾過した。
その濾過液の酸化性物質濃度をDPD法により測定したところ、その濃度は0.5mg−Cl/lであった。
【0072】
湿式排煙脱硫法の実施例3
湿式排煙脱硫法の実施例3では、図9を参照して前述の湿式排煙脱硫装置の実施例4を使用して、触媒の効果を評価した。但し、本実施例では、実施例4の排煙脱硫装置の反応槽86の代わりに回分式反応器を用いた。
触媒の評価試験の試料として、石膏スラリに第1下降管62から抜き出した液を注入して、硫黄過酸化物(S 2−)の濃度が50mg/l、SO濃度が50mg/lの混合液を調製し、更に、希塩酸を添加してpHを3.0に調整し、Fe、Ni、Cu、Mnの塩化物、フライアッシュのいずれかを以下の濃度になるように添加し、温度を45°Cに維持して30分間酸化還元反応を進行さた。
Fe、Ni、Cu、Mnの塩化物:いづれも0.5mmol/l
フライアッシュ :1wt%
【0073】
上記条件で、Fe、Ni、Cu、Mn、フライアッシュを添加しない場合に比べて、いづれも酸化性物質の分解除去率が50%から99%に向上した。さらに反応時間について詳細に検討したところ、Fe等の触媒を含む場合には分解除去率99%が約3分間で達成できたのに対して、触媒を添加しなかった場合には50%の分解除去率を達成するのに20分間を要することが判った。さらに反応時間を60分間に延長しても58%の分解除去率までしか到達できなかった。
その他にジチオン酸についても、Fe等の触媒の添加によりその生成が大幅に抑制されることがわかった。
【0074】
【発明の効果】
請求項1から13の発明方法によれば、次に挙げるような効果を奏することができる。
第1には、第1次気液接触により排ガスと気液接触して亜硫酸ガスを高濃度に溶解した亜硫酸含有スラリを抜き出し、固形物スラリから固形物を分離して得た母液、固形物スラリ自体等に亜硫酸含有スラリを注入することにより、排水処理装置に送液する排煙脱硫排水中の硫黄過酸化物の濃度を低減することができる。よって、排水処理装置の性能を低下させないような水質の排煙脱硫排水を排出することができる。
【0075】
第2には、本発明方法では、第1次気液接触での脱硫率が向上するので、湿式排煙脱硫方法の全工程での脱硫率が更に高くなる。
第3には、第2次気液接触の吸収液循環量を減少させることができ、更には排ガス分散管の開口を吸収液の液面から浅い位置に位置できるので、排ガスファン動力を含む所要動力が軽減される。
第4には、第1次気液接触の吸収液のpHが高くなるので、石炭焚排ガスの場合、フライアッシュからのアルミニウム化合物の溶出が抑制され、カルシウム化合物系吸収剤の溶解活性の低下を防止できる。加えて、粒径が大きい良質の石膏を生成することができる。
第5には、従来方法と同様に、スケーリングの抑制、ジチオン酸等のCOD成分の生成の抑制に効果を奏することができる。
【0076】
請求項14から24の発明によれば、請求項1から13に記載の発明方法を実用的に実施できる湿式排煙脱硫装置を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排煙脱硫装置の実施例1の主要部の構成を示す模式図である。
【図2】第1液下降管及び第2液下降管の配置図である。
【図3】図3(a)は堰板の配置図、図3(b)は図3(a)の線I−I′での堰板の断面図、図3(c)は図3(a)の堰板の矢視II−II′での断面図である。
【図4】排ガス分散管の上端突出部を示す模式図である。
【図5】図5(a)は実施例1で設けた第1液下降管の改変例1を示す模式図であり、図5(b)は図5(a)に示す例の改変例である。
【図6】実施例2で設けた第1液下降管の改変例1を示す模式図である。
【図7】本発明に係る排煙脱硫装置の実施例2の主要部の構成を示す模式図である。
【図8】本発明に係る排煙脱硫装置の実施例3の主要部の構成を示す模式図である。
【図9】本発明に係る排煙脱硫装置の実施例4の主要部の構成を示す模式図である。
【図10】本発明に係る排煙脱硫装置の実施例5の主要部の構成を示す模式図である。
【図11】本発明に係る排煙脱硫装置の実施例6の主要部の構成を示す模式図である。
【図12】従来のジェットバブリング反応槽の構成を示す模式図である。
【図13】従来のスプレー式吸収塔の構成を示す模式図である。
【図14】排煙脱硫装置の実施例1の改変例の主要部の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
10 従来のジェットバブリング反応槽
12 排ガス出口室
14 排ガス入口室
16 第1隔板
18 第2隔板
20 吸収液層
22 空間部
24 出口ダクト
26 入口ダクト
28 連通管
30 排ガス分散管
32 攪拌機
34 空気供給管
36、38 吸収液ノズル
40 ポンプ
42 工業用水ノズル
44 吸収液供給管
46 排出ポンプ
48 固液分離装置
50 吸収液供給管
52 排水管
60 湿式排煙脱硫装置の実施例1
62 第1液下降管
64 第2液下降管
66 抜き出しポンプ
68 抜き出し管
70 送出管
71 固液分離装置
72 堰板
74 排ガス分散管の上端部
76 溜め槽
77 配管
78 回収部
79 配管
80 湿式排煙脱硫装置の実施例2
82 アルカリ注入管
84 攪拌機
86 反応槽
88、90、92 添加手段
100 従来のスプレー式湿式排煙脱硫装置
101 従来のスプレー式吸収塔
102 入口ダクト
104 工業用水ノズル
106 吸収液ノズル
108 吸収液ノズル
110 吸収液ポンプ
112 吸収液供給管
114 吸収液排出管
116 出口ダクト
118 空気ノズル
120 湿式排煙脱硫装置の実施例5
121 スプレー式吸収塔
122 分離板122
122a ドーナツ形の傾斜板
122b ロート型集液器
124 下降管
126 抜き出し管
130 湿式排煙脱硫装置の実施例6
131 実施例5のジェットバブリング反応槽

Claims (24)

  1. 排ガス中の硫黄酸化物を除去するために、スート混合型湿式排煙脱硫装置を使用して、排ガス中に第1の吸収液を噴霧して気液接触させる第1次気液接触と、続いて第1次気液接触を経た排ガスと吸収剤を含む第2の吸収液とを気液接触させて硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスの存在下で主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域にて一連的に実施する湿式排煙脱硫方法において、
    第1次気液接触では、前記第1の吸収液として第2次気液接触のための前記第2の吸収液を使用し、第2次気液接触の前に、第1次気液接触を経た排ガスから第1の吸収液を沈降分離により自然に分離させた後、第2の吸収液とは独立して抜き出し、
    第2次気液接触では、前記酸化用酸素含有ガスを吹き込んだ第2の吸収液の吸収液層の上層部に第1次気液接触を経た排ガスを気泡状に分散して気液接触させ、次いで生成した固形物を含むスラリを抜き出し、
    抜き出したスラリから固形物を分離して得た第1の母液に前記抜き出した第1の吸収液又は抜き出した後に固液分離して得た第1の吸収液を混合して得た第1の混合液、第1の混合液から固形物を分離して得た第2の母液、前記抜き出したスラリに前記抜き出した第1の吸収液又は抜き出した後に固液分離して得た第1の吸収液を混合して得た第2の混合液、第2の混合液から固形物を分離して得た第3の母液のいずれかをスート混合型湿式排煙脱硫装置に後続する排水処理装置に送液することを特徴とする湿式排煙脱硫方法。
  2. 排ガス中の硫黄酸化物を除去するために、スート混合型湿式排煙脱硫装置を使用して、排ガス中に第1の吸収液を噴霧して気液接触させる第1次気液接触と、続いて第1次気液接触を経た排ガスと吸収剤を含む第2の吸収液とを気液接触させて硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスの存在下で主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域にて一連的に実施する湿式排煙脱硫方法において、
    第2次気液接触では、前記酸化用酸素含有ガスを吹き込んだ第2の吸収液の吸収液層の上層部に第1次気液接触を経た排ガスを気泡状に分散して気液接触させ、次いで生成した固形物を含むスラリを抜き出し、
    第1次気液接触では、前記抜き出したスラリの少なくとも一部を1の吸収液として使用し、第2次気液接触の前に、第1次気液接触を経た排ガスから第1の吸収液を沈降分離により自然に分離した後、第2の吸収液とは独立して抜き出し、
    抜き出した第1の吸収液をスート混合型湿式排煙脱硫装置に後続する排水処理装置に送液することを特徴とする湿式排煙脱硫方法。
  3. 第1次気液接触で使用する第1の吸収液にCa(OH)、CaO、CaCO、NaOH、KOH及びMg(OH)のうちの少なくとも一種を添加して、抜き出した第1の吸収液のpHを少なくとも4.5以上にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の湿式排煙脱硫法。
  4. 鉄、銅、マンガン、ニッケルの金属及びその金属化合物並びに排ガスから得られる飛灰のうちの少なくとも1種類の存在下で、前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た第1の母液、又は第1の母液を分離する前の前記抜き出したスラリのいずれかに前記抜き出した第1の吸収液を混合することを特徴とする請求項1又は3に記載の湿式排煙脱硫法。
  5. 前記抜き出したスラリ、前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た前記第1の母液及び前記第1の吸収液のうちの少なくとも一つにHSO、NaSO及びNaHSOの少なくとも一方を添加することを特徴とする請求項1、3及び4のうちのいずれか1項に記載の湿式排煙脱硫法。
  6. 前記抜き出したスラリと前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た前記第1の母液のうちの少なくとも一方に前記抜き出した第1の吸収液を混合する際、混合して得た液のpHが0.5以上4.0以下になるように酸を添加することを特徴とする請求項1及び3から5のうちのいずれか1項に記載の湿式排煙脱硫法。
  7. 前記抜き出したスラリ、前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た前記第1の母液及び前記抜き出した第1の吸収液のうちの少なくとも一つを加温することを特徴とする請求項1及び3から6のうちのいずれか1項に記載の湿式排煙脱硫法。
  8. 前記抜き出した第1の吸収液にHSO、NaSO及びNaHSOの少なくとも一方を添加することを特徴とする請求項2又3に記載の湿式排煙脱硫法。
  9. 鉄、銅、マンガン、ニッケルの金属及び金属化合物並びに排ガスから得られる飛灰のうちの少なくとも1種類を前記抜き出した第1の吸収液に添加することを特徴とする請求項2、3又は8のうちのいずれか1項に記載の湿式排煙脱硫法。
  10. 前記抜き出した第1の吸収液のpHが0.5以上4.0以下になるように酸を添加することを特徴とする請求項2、3、8及び9のうちのいずれか1項に記載の湿式排煙脱硫法。
  11. 前記抜き出した第1の吸収液を加温することを特徴とする請求項2、3及び8から10のうちのいずれか1項に記載の湿式排煙脱硫法。
  12. スート混合型湿式排煙脱硫装置の排ガス側上流に設けられている乾式除塵装置の除塵率を低下させ、排ガス中の煤塵量を増大させることを特徴とする請求項1から11に記載の湿式排煙脱硫法。
  13. 排ガス中の硫黄酸化物を除去するために、スート混合型湿式排煙脱硫装置を使用して、排ガス中に第1の吸収液を噴霧して気液接触させる第1次気液接触と、続いて第1次気液接触を経た排ガスと吸収剤を含む第2の吸収液とを気液接触させて硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスの存在下で主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域にて一連的に実施する湿式排煙脱硫方法において、
    第1次気液接触のための第1の吸収液として第2次気液接触のための第2の吸収液を使用し、
    第1次気液接触を経た排ガスから第1の吸収液を沈降分離により自然に分離させた後、抜き出し、
    一方、第2次気液接触により生成した固形物を含むスラリを抜き出し、
    抜き出したスラリから固形物を分離して得た第1の母液に前記抜き出した第1の吸収液又は抜き出した後に固液分離して得た第1の吸収液を混合して得た第1の混合液、第1の混合液から固形物を分離して得た第2の母液、前記抜き出したスラリに前記抜き出した第1の吸収液又は抜き出した後に固液分離して得た第1の吸収液を混合して得た第2の混合液、第2の混合液から固形物を分離して得た第3の母液のいずれかをスート混合型湿式排煙脱硫装置に後続する排水処理装置に送液し、
    前記抜き出したスラリと前記抜き出したスラリから固形物を分離して得た前記第1の母液のうちの少なくとも一方に前記抜き出した第1の吸収液を混合する際、混合して得た液のpHが0.5以上4.0以下になるように酸を添加することを特徴とする湿式排煙脱硫法。
  14. 排ガス中の硫黄酸化物を除去するために、スート混合型湿式排煙脱硫装置を使用して、排ガス中に第1の吸収液を噴霧して気液接触させる第1次気液接触と、続いて第1次気液接触を経た排ガスと吸収剤を含む第2の吸収液とを気液接触させて硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスの存在下で主として排ガス中の硫黄酸化物を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域にて一連的に実施する湿式排煙脱硫方法において、
    第2次気液接触により生成した固形物を含むスラリを抜き出して、少なくともその一部を第1の吸収液として使用し、
    第1次気液接触を経た排ガスから第1の吸収液を沈降分離により自然に分離した後、抜き出し、
    抜き出した第1の吸収液をスート混合型湿式排煙脱硫装置に後続する排水処理装置に送液し、
    前記抜き出した第1の吸収液のpHが0.5以上4.0以上になるように酸を添加することを特徴とする湿式排煙脱硫法。
  15. 槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように上下方向に延在し、排ガスを吸収液中に気泡状で分散させて気液接触させる排ガス分散管とを有するジェットバブリング反応槽を備える湿式排煙脱硫装置において、
    槽下部に収容された吸収液のほぼ全域に硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスを吹き込む吹き込み手段と、
    入口ダクト及び排ガス入口室のうち少なくとも入口ダクトに設けられた液ノズルと、液ノズルに吸収液を供給する液供給管とを備え、液ノズルにより排ガス中に吸収液を噴霧して排ガスと気液接触させる液噴霧手段と、
    槽下部に収容された吸収液を液噴霧手段に送液する送液手段と
    液噴霧手段により噴霧された吸収液を主として入口ダクト内にて自然沈降分離により分離する分離手段と、
    上端で隔板とほぼ面一に連結して排ガス入口室に連通し、隔板から下降して排ガス分散管の下端より下方の吸収液層に達するように延びて、分離手段により分離された吸収液を隔板から流下させる液下降管と、液下降管内に滞留する吸収液を抜き出すポンプとを有する液抜き出し手段と、及び
    ジェットバブリング反応槽から抜き出され、排ガスと吸収液との気液接触により生成した固形物を含むスラリに前記抜き出した吸収液を混合する手段、又はスラリから固形物を分離した母液に前記抜き出した吸収液を混合する手段のいずれかの混合手段と
    を備えることを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  16. 更に、液抜き出し手段により抜き出した吸収液を固液分離する固液分離手段を備え、ジェットバブリング反応槽から抜き出された固形物を含むスラリに前記固液分離して得た吸収液を前記混合手段によって混合するか、又はスラリから固形物を分離した母液に前記固液分離して得た吸収液を混合手段によって混合するようにしたことを特徴とする請求項15に記載の湿式排煙脱硫装置。
  17. 前記液噴霧手段が、液供給管にCa(OH)、CaO、CaCO、NaOH、KOH及びMg(OH)のうちの少なくとも一種を添加するアルカリ剤添加手段を備えることを特徴とする請求項15又は16に記載の湿式排煙脱硫装置。
  18. 前記混合手段が、ジェットバブリング反応槽から抜き出された固形物を含むスラリに前記抜き出した吸収液を混合する手段であって、前記抜き出されたスラリの配管経路の途中に設けられた反応槽と、前記抜き出した吸収液と触媒との組み合わせ、前記抜き出した吸収液と触媒と還元剤の組み合わせ、前記抜き出した吸収液と触媒と還元剤と酸との組み合わせのうちの1種類の組み合わせを反応槽内のスラリに添加する添加手段とを備えていることを特徴とする請求項15から17のうちのいずれか1項に記載の湿式排煙脱硫装置。
  19. 前記混合手段が、スラリから固形物を分離した母液に前記抜き出した吸収液を混合する手段であって、前記母液の配管経路の途中に設けられた反応槽と、前記抜き出した吸収液と触媒との組み合わせ、前記抜き出した吸収液と触媒と還元剤の組み合わせ、前記抜き出した吸収液と触媒と還元剤と酸との組み合わせのうちの1種類の組み合わせを反応槽内の母液に添加する添加手段とを備えていることを特徴とする請求項15から17のうちのいずれか1項に記載の湿式排煙脱硫装置。
  20. 前記反応槽に加熱手段が設けてあることを特徴とする請求項18又は19に記載の湿式排煙脱硫装置。
  21. 槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように上下方向に延在し、排ガスを吸収液中に気泡状で分散させて気液接触させる排ガス分散管とを有するジェットバブリング反応槽を備える湿式排煙脱硫装置において、
    槽下部に収容された吸収液のほぼ全域に硫黄酸化物の酸化用酸素含有ガスを吹き込む吹き込み手段と、
    入口ダクト及び排ガス入口室のうち少なくとも入口ダクトに設けられた液ノズルと、排ガ スと吸収液との気液接触により生成した固形物を含むスラリを液ノズルに供給する液供給管とを備え、排ガス中にスラリを噴霧して排ガスと気液接触させる液噴霧手段と、
    液噴霧手段により噴霧されたスラリを主として入口ダクト内にて自然沈降分離により分離する分離手段と、
    ジェットバブリング反応槽から抜き出されたスラリの少なくとも一部を液噴霧手段の液供給管を介して液ノズルに送液する送液手段と、及び
    上端で隔板とほぼ面一に連結して排ガス入口室に連通し、隔板から下降して排ガス分散管の下端より下方の吸収液層に達するように延びて、分離手段により分離されたスラリを流下させる液下降管と、液下降管内に滞留するスラリを抜き出すポンプと、抜き出したスラリを送出する送出管とを有するスラリ抜き出し手段と
    を備えることを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  22. 前記液噴霧手段が、液供給管にCa(OH)、CaO、CaCO、NaOH、KOH及びMg(OH)のうちの少なくとも一種を添加するアルカリ剤添加手段を備えることを特徴とする請求項21に記載の湿式排煙脱硫装置。
  23. 前記スラリ抜き出し手段が、送出管の途中に設けられた反応槽と、触媒のみ、触媒と還元剤の組み合わせ、触媒と還元剤と酸の組み合わせのうちの1種類を反応槽内のスラリに添加する添加手段とを備えていることを特徴とする請求項21又は22に記載の湿式排煙脱硫装置。
  24. 前記反応槽に加熱手段が設けてあることを特徴とする請求項23に記載の湿式排煙脱硫装置。
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