JP3610437B2 - 排ガスの処理方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、排ガス中に含まれている汚染物質を高除去率でかつ経済的に除去し得る排ガスの処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、隔板によってその内部が2つ又は3つの室に区画された密閉容器と、その隔板に配設された多数の透孔に垂設された多数のガス分散管を備えた多管式排ガス処理装置は知られている(特公平3−70532号、特開平3−72913号、特開平3−262510号等)。
【0003】
このような多管式排ガス処理装置は、排煙脱硫装置として広く利用されており、その脱硫率も90〜95%と比較的高いものであるが、近年においては、地球環境保全の点等から、さらに高い脱硫率で排ガスを処理することが要望されている。このような要望に対しては、ガス分散管の先端を吸収液中に沈める深度を増加させたり、吸収液のpHを高めて吸収液の性能を高めること等により対応されているが、しかし、前者の方法では排ガスの圧力損失が増大するために動力費用が増大し、一方、後者の方法では、排ガス処理の副生物として得られる石こう中への未反応吸収剤の混入量が増大するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、排ガスの処理において、汚染物質除去率の高められた方法及び装置を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、排ガスを吸収液と接触させて浄化する方法において、
(i)第1隔板とその上方に位置する第2隔板とによってその内部が第1室と第1室の上方に隣接する第2室と第2室の上方に隣接する第3室とに区画された密閉槽におけるその第2室に排ガスを供給すること、
(ii)第2室に供給された排ガスを複数の第1隔板に形成された複数の透孔に垂設されたガス分散管を通して第1室に収容されている第1吸収液中に吹込むこと、
(iii)第1室の上部空間に存在する第1浄化排ガスを排ガス上昇筒を通して第3室に導入すること、
(iv)第3室に導入された排ガスを、第3室の上部に配設されたスプレーノズルにより形成された第2吸収液粒子と接触させて浄化すること、
(v)第3室の床面を形成する第2隔板の上面に滞留する第2吸収液を前記第3室に配設されているスプレーノズルに循環させること、
(vi)第3室で第2吸収液粒子と接触した後の第2浄化排ガスを第3室に配設された浄化排ガス出口を通して排出させること、
を特徴とする排ガスの処理方法が提供される。
【0006】
また、本発明によれば、第1隔板とその上方に位置する第2隔板とによってその内部が第1室と第1室の上方に隣接する第2室と第2室の上方に隣接する第3室とに区画された密閉槽と、第2室の周壁に形成された排ガス入口と、第3室に配設された浄化排ガス出口と、第1隔板に形成された複数の透孔と、その透孔に垂設され、第1室に収容されている第1吸収液中に延びるガス分散管と、第1室と第3室とを連絡する排ガス上昇筒と、第3室の上部に配設された第2吸収液スプレーノズルと、第3室の床面を形成する第2隔板の上面に滞留する第2吸収液を第3室のスプレーノズルに循環させる配管を備えたことを特徴とする排ガス処理装置が提供される。
【0007】
次に、本発明を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の排ガス処理装置の模式図を示す。この図において、1は密閉槽、2は第1隔板、3は第2隔板、4は天板、5は第1室、6は第2室、7は第3室、8は排ガス導入ダクト、9はガス分散管、10は排ガス上昇筒、11は浄化排ガス導出ダクト、12はミストエリミネータ、13は第2吸収液抜出し管、14は第2吸収液槽、15はポンプ、16は第2吸収液供給管、17は第2吸収液スプレーノズル、18は第1吸収剤供給管、19は第2吸収剤供給管、20は給水管、21は酸素含有ガス供給管、22は酸素含有ガス噴出ノズル、23は排液管、24は撹拌機、25は第2吸収液導管、26は排ガス衝突板、31は冷却除塵塔、32は排ガス導入ダクト、33は冷却液抜出し管、34はポンプ、35は冷却液供給管、36は冷却液スプレーノズル、Aはフロス層(気液混合層)、Lは第1吸収液、Lは第2吸収液、Lは冷却液を各示す。
【0008】
図1に示す本発明の排ガス処理装置は、大型の密閉槽1から構成され、その槽の内部は、第1隔板2及びその上方に位置する第2隔板3によって第1室5と第1室の上方に隣接する第2室6と第2室の上方に隣接する第3室7とに区画されている。第3室の上部空間は天板4によって密閉されている。第1隔板2には多数の透孔が配設され、これらの各透孔にはガス分散管9が垂設されている。第1隔板2は水平又はやや傾斜したものであることができる。第2隔板3は水平又は傾斜したものであることができ、その傾斜角は特に制約されない。
第1室5の内部には、第1吸収液Lが収容されている。また、第1室には、撹拌機24と、第1吸収液L中に酸素を供給する必要がある場合に用いられる酸素含有ガス噴出ノズル22が配設されている。
第2室6の周壁には排ガス入口が配設され、この入口には排ガス導入ダクト8が連結されている。第2室の空間には特別の装置の配設は特に必要とされないが、必要に応じ、第3室の場合と同様に、吸収液をスプレーするためのスプレーノズル(図示されず)を配設することもできる。
第3室7の上部には、吸収液分散手段としてのスプレーノーズル17が配設されている。
第3室7の上方に配設された天板4には、浄化排ガス出口が配設され、この出口には浄化排ガス導出ダクト11が連結されている。
密閉槽1の外部には、第3室7の床面を形成する第2隔板3上に滞留する第2吸収液Lを第3室のスプレーノズル17に循環させるための循環ラインが配設されている。この循環ラインは、第2吸収液抜出し管13、第2吸収液槽14、循環ポンプ15及び第2吸収液供給管16からなる。第2吸収液槽14には、補充用の第2吸収液を得るための第2吸収剤供給管19及び給水管20が連結されている。
【0009】
第1隔板2には、第1室5と第2室6との間を連絡する透孔が多数配設され、各透孔にはその先端が第1室の吸収液中に延びるガス分散管9が垂設されている。また、第1隔板2及び第2隔板3には、排ガス上昇筒10を配設するための開口が配設され、これらの開口には、第1室5の上部空間に存在する排ガスを第3室7に導入させるための排ガス上昇筒10が連結されている。この場合、排ガス上昇筒10の開口端は第2隔板の上面より上方に突出し、第2隔板上の吸収液がこの排ガス上昇筒内を流下せずに、第2隔板上に滞留するようになっている。排ガス上昇筒10の上方には、排ガス衝突板26が配設されている。排ガス上昇筒10の横断面形状は、円形や、正方形、長方形等の形状であることができる。
【0010】
排ガス衝突板26の形状は、平板状でもよいが、液膜の形成が容易で排ガス中の汚染物質が容易に分離されるように、周端部よりも中央部が上方に突出した形状、例えば、陣笠状等の形状であることができる。また、この排ガス衝突板に対しては、衝突板の中央部に、液体を衝突板の下方に液幕状又は噴霧状で分散させる液分散機構を配設することができる。図3に、液体を液幕状に分散させる液分散機構を排ガス衝突板に配設した例にして示す。この液分散機構は、衝突板の中央部下方に開口する液体導入管41と、その液体導入管の開口部を包囲する短筒42と、その短筒の先端開口に配設した液分散板43から構成される。液分散板43としては、液体を放射状に分散させる構造のものであればよい。図4及び図5に液分散板の斜視図を示す。また液分散板43は、回転モータに接続し、回転させることにより、分散された液体の噴出し速度を高めることもできる。これによって、気液接触の効率を高めることができる。
【0011】
本発明の排ガス処理装置に対しては、必要に応じ、その上流側に、冷却除塵塔31を配設することができる。この冷却除塵塔31は、密閉筒体と、その天板に連結された排ガス導入ダクト32と、密閉筒体の下部に形成された排ガス導出口と、密閉筒体の底部に収容する冷却液Lを密閉筒体の上部に供給する冷却液循環ラインと、冷却液Lをスプレーさせるスプレーノズル36から構成される。また、冷却液循環ラインは、冷却液抜出し管33と循環ポンプ34と冷却液供給管35から構成される。
【0012】
図1に示した装置系を用いて排ガス処理するには、排ガスを排ガス導入ダクト32を介して冷却除塵塔31内に導入する。冷却除塵塔31では、冷却液Lが冷却液抜出し管33、循環ポンプ34及び冷却液供給管35を通してスプレーノズル36からスプレーされており、冷却除塵塔31内に導入された排ガスは、このスプレーされた冷却液粒子と接触し、排ガスの除塵とともに、排ガスの冷却増湿が行われる。冷却液としては、水や、吸収液が用いられる。
【0013】
冷却除塵塔31で処理された排ガスは、その冷却除塵塔31の下部に連結された本発明の排ガス処理装置の密閉槽1に連絡する排ガス導入ダクト8を介して、第2室6内に導入し、ここからガス分散管9を介して第1室5内の第1吸収液L中に吹込まれる。吸収液L中に吹込まれた排ガスは気泡となって上昇し、その分散管のガス噴出孔より上方には気泡と吸収液との混合相からなるフロス層Aが形成される。排ガスが吸収液中を気泡として上昇する間に排ガス中に含まれている汚染物質は吸収液と反応し、排ガス中から除去される。
このようにして浄化された排ガスは、フロス層Aから上部空間に放散され、ここから排ガス上昇筒10を通って第3室7に導入される。この第3室内には、その床面を形成する第2隔板3の上面に滞留する第2吸収液Lを抜出すための第2吸収液抜出し管13、第2吸収液槽14、ポンプ15、第2吸収液供給管16を通って循環される第2吸収液がスプレーノズル17からスプレーされている。第3室に導入された排ガスはこの吸収液粒子(平均粒子径:200〜4000μm)と接触し、排ガス中に残存する汚染物質がその吸収液粒子と反応し、排ガス中から除去される。また、第3室内には、排ガス上昇筒10の上方に、排ガス衝突板26が配設されており、排ガス上昇筒10を上昇してきた排ガスはこの排ガス衝突板と衝突する。排ガス衝突板26の下面には、排ガス中に含まれる第1吸収液Lの粒子の衝突によって、第1吸収液Lの液膜が形成されている。従って、この排ガス衝突板26の下面に排ガスを衝突させることにより、排ガス中に含まれていた粉塵等の固体微粒子の除去とともに、排ガス中に含まれていたガス状汚染物質の除去も同時に達成することができる。
【0014】
第3室内における吸収液粒子との接触により浄化された浄化排ガスは第3室の上方に配設された天板4の開口部に連結された浄化排ガス導出ダクト11を通って槽外へ抜出され、ミストエリミネータ12に導入され、ここでそのガス中に含まれていた吸収液粒子が除去された後、大気へ放出される。
スプレーノズル17から粒子状でスプレーされた第2吸収液は第2隔板3の上面に落下滞留し、ここから第2吸収液抜出し管13を通って第2吸収液槽14へ返還される。
【0015】
ガス分散管9としては、下端部の周壁面にガス噴出孔を有するものや、下端がノズル構造に形成されたもの等の各種のものを用いることができる。図6に下端部の周壁面にガス噴出孔を有するガス分散管の斜視図を示す。図6において、9はガス分散管を示し、45はその下端部周壁面に形成されたガス噴出孔を示す。
【0016】
第2吸収液槽14は、第3室の床面を形成する第2隔板3の上面に滞留する第2吸収液Lを一時的に貯留させる貯槽としての作用とともに、補充用の第2吸収液の受槽としての作用を示す。補充用の第2吸収液は、これを第2吸収液槽とは別の槽において調製し、このあらかじめ調製された第2吸収液を第2吸収液槽14に供給することができる他、図1に示すように、第2吸収液槽14に対し、第2吸収剤供給管19を通して第2吸収剤及び給水管20を通して工業用水をそれぞれ導入し、この第2吸収液槽14において補充用の第2吸収液を調製することもできる。さらに、第2吸収液槽14からスプレーノズル17に供給する第2吸収液がスラリー状のもので、その固形分濃度が高いときには、濾過や遠心分離等によりその固形分をあらかじめ除去した後、スプレーノズルに循環することもできる。
また、図1に示した第2吸収液槽14の装置は必ずも必要とはされず、第2吸収液抜出し管13は、これを循環ポンプ15に直接連結させることもできる。この場合には、補充用の第2吸収液は、その第2吸収液抜出し管13又は第2吸収液供給管16に連結させることができる。
【0017】
スプレーノズル17に循環される第2吸収液の一部は、これを循環ライン、例えば、第2吸収液抜出し管13や、図1に示すように第2吸収液供給管16から抜出し、系外へ排出させることができるが、好ましくは図1に示すように、導管25を通って第1吸収液L中に導入させる。このような操作により、スプレーノズル17に循環される第2吸収液の成分組成を常に所定の範囲に保持することができると共に、第2吸収液に残存する汚染物質の除去能力を第1吸収液中に移行させることができ、吸収剤全体の利用効率を高めることができる。
スプレーノズル17からスプレーさせる吸収液の量は、標準状態に換算された排ガス量1m/hr当り、通常、0.1〜10kg/hr、好ましくは0.2〜2kg/hrである。このような吸収液量をスプレーさせることにより、排ガス中に残存する極く少量の汚染物質を効果的に除去することができる。
【0018】
本発明装置の第3室7内には、その第2隔板3とスプレーノズル17との間に、充填層を配設することができる。この場合の装置の模式図を図2に示す。図2において、30は充填層を示す。図2に示した符号において、図1に示したものと同じ符号は同じ意味を示す。
【0019】
第3室7内に充填層30を配設するときには、排ガス上昇筒10を通って第1室5から第3室7に上昇してきた排ガスは、スプレーノズル17からスプレーされた吸収液が流下する充填層30を通過し、次いでスプレーノズルからスプレーされている吸収液粒子と接触した後、浄化排ガス導出ダクト11から排出される。そして、排ガスが充填層を通過する際には、排ガスは充填層内の充填材表面を流下する吸収液と効率よく接触することから、充填層を配設しない場合に比べて、より高い汚染物除去率が得られる。なお、充填層を配設した場合には、第2吸収液は、スプレーノズルの他に、液分散板や液分散筒等を用いて充填層に供給することもできる。
充填層30に用いる充填材としては、従来公知の各種のもの、例えば、ラシッヒリング、テラレット、ポールリング、サドル、レッシングリング、木格子等を挙げることができる。充填層30の厚さは特に制約されず、適宜決められるが、通常は0.5〜5mである。充填層は、多孔板上に充填して形成されることができるし、内面に金網を積層した多孔板上に充填して形成させることもできる。
また、図2においては、第2吸収液の一部は、導管27を通り、排ガス上昇筒10内に配設したスプレーノズル28に供給されている。スプレーノズル28からスプレーされた第2吸収液粒子は、排ガス上昇筒10を上昇する排ガスと接触し、これによって、排ガス中に含まれている固体微粒子やガス状汚染物質が除去される。
【0020】
本発明で用いる第1吸収液は、排ガスの種類に応じて適当に選定され、従来公知の各種のものが用いられる。このようなものとしては、例えば、排ガス中の汚染物質がSO、SO、NO、N、NO、N、N、CO、HCl、HF等の酸性物質である場合には、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等のアルカリ性物質を含む溶液やスラリーが用いられ、特に水酸化カルシウムスラリーや、炭酸カルシウムスラリーが用いられる。また、吸収液として炭酸カルシウムスラリーや水酸化カルシウムスラリーを用いる場合、これらのカルシウム化合物は亜硫酸ガスと反応して亜硫酸カルシウムを形成するが、この場合、吸収液中に空気や酸素を導入することにより、硫酸カルシウム(石コウ)を得ることができる。また、排ガス中の汚染物質がアンモニア等のアルカリ性物質である場合には、酸性水溶液を吸収液として用いればよい。
【0021】
本発明で用いる第2吸収液は、排ガスの種類に応じて適当に選定され、従来公知の各種のものが用いられる。このようなものとしては、例えば、排ガス中の汚染物質がSO、SO、NO、N、NO、N、N、CO、HCl、HF等の酸性物質である場合には、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等のアルカリ性物質を含む溶液やスラリーが用いられる。また、排ガス中の汚染物質がアンモニア等のアルカリ性物質である場合には、酸性水溶液を吸収液として用いればよい。本発明で用いる第2吸収液は、第1吸収液と同種のものであってもよいし、異った種類のものであってもよい。
【0022】
本発明において、排ガスが亜硫酸ガスを含むものであり、第1吸収液が炭酸カルシウムのスラリー液である場合、第2吸収液としては、NaHCO、NaCO、KHCO、KCO等のアルカリ金属炭酸塩や、NaOH、KOH等のアルカリ金属水酸化物やCa(OH)等のアルカリ土類金属の水酸化物を用いるのが好ましい。アルカリ金属水酸化物の場合、排ガス中のCOを吸収してその少なくとも一部は炭酸塩に変換される。第2吸収液として、このようなアルカリ性の強いアルカリ金属の水酸化物を用いるときには、排ガス中に含まれているCOを吸収して炭酸塩として吸収液中に溶解し、pH緩衝作用を発現し、第3室内においては、亜硫酸ガスの吸収に適した高いpH条件で排ガスは第2吸収液と接触されることから、排ガス中の亜硫酸ガスを効率よく、しかも排ガス中の亜硫酸ガス濃度が極めて低濃度になるまで吸収除去することができ、その上、その吸収液量の循環量は少なくてすむという利点が得られる。さらに、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物等の水溶性のものを第2吸収液として用いる場合には、カルシウム系の吸収液を用いる場合に見られたような配管内面へのスケール発生の問題を回避することができるという利点もある。
【0023】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
図1に示した構造の排ガス処理装置1を用いて、SO:2500volppm、O:5vol%を含む排煙を処理した。
この場合の装置条件を示すと次の通りである。
(1)密閉槽1の直径:3.2m
(2)第1室5の高さ:4m
(3)第2室6の高さ:2m
(4)第3室7の高さ:4m
(5)ガス分散管9の直径:4インチ及び本数:110本
(6)排ガス上昇管10の直径:410mm及び本数:6本
(7)第1室5における吸収液の静止液面の高さ:3m
また、ガス分散管9としては、図6に示す構造のものを用い、その下端部周壁面に設けたガス噴出孔45の位置は、吸収液面下300mmの位置に設定した。
【0024】
図1に示す構造の装置1の第1室5内に、あらかじめ、第1吸収液として、石こう濃度:15重量%の水スラリー液を高さ3mになるように収容させた。
次に、この装置の排ガス導入ダクト8から排煙を40,000Nm/hの供給量で第2室6内に供給した。この場合、吸収液の静止液面下2500mmの位置に配設した酸素含有ガス噴出ノズル22から空気を370Nm/hで噴出させるとともに、撹拌機24を回転させて吸収液の撹拌を行った。また、第1室5内の第1吸収液Lに対しては、排液管23を通して石こう濃度の高い吸収液を約1,200kg/hで抜出し、石こうを分離した液に炭酸カルシウムを添加混合して、pHが4.5を維持するように吸収液導入管18より供給した。
さらに、密閉槽1の外部に設置した第2吸収液槽14にあらかじめ充填しておいた第2吸収液としての0.02mol/lのNaOH水溶液をポンプ15により抜出し、第3室7内に2段に配設したスプレーノズル17(1段目高さ2m、2段目高さ4m)から80m/hでスプレーさせた。第2隔板上面に流下してくるスプレー吸収液は、第3室下部に設けられた吸収液排出ノズルより吸収液槽14に返送した。スプレー吸収液のpHは排ガスの処理と共に速やかに低下するため、20wt%NaOH水溶液を吸収液槽14に供給し、スプレー吸収液のpHを7.5に維持させると共に、吸収液の増加分は密閉槽1の第1室5内に供給した。
前記のようにして排煙を脱硫処理した結果、99%の高脱硫率を得ることができた。
次に、比較のために、第3室7内のスプレーノズル17からのスプレーを停止し、ガス分散管9のガス噴出孔45の位置を液面下350mmまで深くして脱硫処理を行なったが、99%の脱硫率を達成できないことがわかった。
【0025】
実施例2
図2に示した構造の装置を用いて、SO2;2,500volppm,O2;5vol%を含む排煙を処理した。
この場合の装置条件を示すと次の通りである。
(1)密閉槽1の直径;3.2m
(2)第1室5の高さ;4m
(3)第2室6の高さ;2m
(4)第3室7の高さ;4m
(5)ガス分散管9の直径;4インチ及び本数;110本
(6)排ガス上昇管10の直径;410mm及び本数;6本
(7)第3室7における充填層30層厚;2m
(8)第1室5における吸収液の静止液面29の高さ;3m
なお、前記充填層30を構成する充填材としては、テラレットを用いた。
また、ガス分散管9としては、図6に示す構造のものを用い、その下端部周壁面に設けたガス噴出孔45の位置は、吸収液面下300mmの位置に設定した。
図2に示す構造の装置の第1室5内に、あらかじめ石膏濃度15重量%の水スラリー液を高さ3mになるように収容させた。
次に、この装置の排ガス導入ダクト8から排煙を40,000Nm/hの供給量で第2室6内に供給した。この場合、吸収液の静止液面下2,500mmの位置に配設した酸素含有ガス供給管21から空気を370Nm/hで噴出させると共に、撹拌機24を回転させて吸収液の撹拌を行なった。第1室5内の吸収液に対しては、排液管23を通して石膏濃度の高い吸収液を約1,200kg/hで抜出し、石膏を分離した液に、炭酸カルシウムを添加混合して、pHが4.5を維持するように吸収剤導入管18より供給した。
さらに、密閉槽1の外部に設置した吸収液槽14にあらかじめ充填しておいた第2吸収液としての0.02mol/lのNaOH水溶液をポンプ15により抜出し、第3室7内に配設したスプレーノズル17から35m/hでスプレーさせた。第2隔板上面に流下してくるスプレー吸収液は、第3室下部に設けられた吸収液排出ノズルより吸収液槽14に返送した。スプレー吸収液のpHは排ガスの処理と共に速やかに低下するために、20wt%NaOH水溶液を吸収液槽14に供給し、スプレー吸収液のpHを7以上に維持させると共に、吸収液の増加分は導管25により密閉槽1の第1室5内に導入した。
前記のようにして排煙を脱硫処理した結果、99.7%の高脱硫率を得ることができた。
以上の結果から、従来法では達成困難な高脱硫率を、本発明の場合には、わずかな動力費の増加とわずかの別の吸収剤の使用により容易に達成できることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、従来法では達成困難な高脱硫率を格別の処理コストの増加を必要とせず、容易に得ることができ、その産業的意義は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス処理装置の1例についての模式図を示す。
【図2】本発明の排ガス処理装置の他の例についての模式図を示す。
【図3】液分散機構を配設した排ガス衝突板の1例についての構造説明図を示す。
【図4】液分散板の1つの例についての斜視図を示す。
【図5】液分散板の他の例についての斜視図を示す。
【図6】ガス分散管の1例についての斜視図を示す。
【符号の説明】
1 密閉槽
2 第1隔板
3 第2隔板
4 天板
5 第1室
6 第2室
7 第3室
8 排ガス導入ダクト
9 ガス分散管
10 排ガス上昇筒
11 浄化排ガス導出ダクト
12 ミストエリミネータ
13 第2吸収液抜出し管
14 第2吸収液槽
15 ポンプ
16 吸収液供給管
17 第2吸収液スプレーノズル
18 第1吸収剤供給管
19 第2吸収剤供給管
20 給水管
26 排ガス衝突板
30 充填層
31 冷却除塵塔
45 ガス噴出孔
第1吸収液
第2吸収液
冷却液

Claims (4)

  1. 排ガスを吸収液と接触させて浄化する方法において、
    (i)第1隔板とその上方に位置する第2隔板とによってその内部が第1室と第1室の上方に隣接する第2室と第2室の上方に隣接する第3室とに区画された密閉槽におけるその第2室に排ガスを供給すること、
    (ii)第2室に供給された排ガスを第1隔板に形成された複数の透孔に垂設されたガス分散管を通して第1室に収容されている第1吸収液中に吹込むこと、
    (iii)第1室の上部空間に存在する第1浄化排ガスを排ガス上昇筒を通して第3室に導入すること、
    (iv)第3室に導入された排ガスを、第3室の上部に配設されたスプレーノズルにより形成された第2吸収液粒子と接触させて浄化すること、
    (v)第3室の床面を形成する第2隔板の上面に滞留する第2吸収液を前記第3室に配設されているスプレーノズルに循環させること、
    (vi)第3室で第2吸収液粒子と接触した後の第2浄化排ガスを第3室に配設された浄化排ガス出口を通して排出させること、
    を特徴とする排ガスの処理方法。
  2. 第3室の空間部に充填層を存在させ、第3室に配設されたスプレーノズルから第2吸収液をこの充填層の上面にスプレーさせるとともに、第1室からの排ガスをこの充填層を通して上昇させることを特徴とする請求項1の方法。
  3. 第1隔板とその上方に位置する第2隔板とによってその内部が第1室と第1室の上方に隣接する第2室と第2室の上方に隣接する第3室とに区画された密閉槽と、第2室の周壁に形成された排ガス入口と、第3室に配設された浄化排ガス出口と、第1隔板に形成された複数の透孔と、その透孔に垂設され、第1室に収容された第1吸収液中に延びるガス分散管と、第1室と第3室とを連絡する排ガス上昇筒と、第3室の上部に配設された第2吸収液スプレーノズルと、第3室の床面を形成する第2隔板の上面に滞留する第2吸収液を第3室のスプレーノズルに循環させる配管を備えたことを特徴とする排ガス処理装置。
  4. 第3室の空間部に充填層を配設したことを特徴とする請求項3の装置。
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