JP3523708B2 - 石炭焚排ガスの排ガス処理方法及び排ガス処理装置 - Google Patents
石炭焚排ガスの排ガス処理方法及び排ガス処理装置Info
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Description
ガス処理装置に関し、更に詳細には安定した脱硫性能を
維持しつつ、吸収剤の溶解活性の低下現象を抑制して吸
収剤の消費量を節減するようにした排ガス処理方法及び
それを実施する装置に関するものである。
ト等の有害物質を除去するために、湿式排煙処理法が多
用されている。湿式排煙処理法とは、排ガスと吸収液と
を気液接触させ、有害物質を除去する方法である。使用
される吸収液は、有害物質を固定化する吸収剤を水に溶
解及び/又は懸濁させた液で、例えば、亜硫酸ガスを硫
酸塩として固定化する場合には、吸収剤として石灰石を
水に溶解及び/又は懸濁させたスラリ状水溶液を使用す
る。
排ガス処理槽として、ジェットバブリング反応槽を使用
した湿式排煙処理装置は、有害物質の除去率が高くかつ
経済的にも優れた装置として広く採用されている。ジェ
ットバブリング反応槽は、亜硫酸ガス等の有害物質を固
定する吸収液を槽内下部に収容し、亜硫酸ガスを含む排
ガスを吸収液中に分散導入してジェットバブリング層
(又はフロス層)を形成しつつ吸収剤と反応させて主と
して亜硫酸ガスを硫酸塩として固定する気液接触式の反
応槽である。
図るために、火力発電所或いは工場ボイラーの燃料とし
て、石炭が注目されている。石炭の燃焼により発生する
排ガス(以下、石炭焚排ガスと言う)は、重油の燃焼に
より発生する排ガスと比較して、塩化水素ガス、フッ素
化合物及びアルミニウム化合物の含有率の高いフライア
ッシュを多量同伴している。そこで、従来から、生成す
る石膏品質の向上や安い装置母材の使用のため排ガスと
吸収液とを気液接触させて有害物質を除去する前に排ガ
スを冷却すると共に排ガス中のフライアッシュを捕捉す
る冷却・除塵工程が実施されている。冷却・除塵工程
は、除塵塔において液体、例えば冷却液と接触させ、気
液接触により排ガスの冷却及び除塵を行っているが、近
年除塵塔を省略して建設費を節減した、いわゆるスート
混合型排ガス処理装置が、多用されている(特公平3−
70532号公報参照)。
装置に使用されているジェットバブリング反応槽、即ち
排ガスの冷却を主として行う第1次気液接触を入口ダク
ト及び排ガス入口室で実施する従来のジェットバブリン
グ反応槽及び入口ダクトの構成を説明する。ジェットバ
ブリング反応槽10(以下、反応槽10と言う)は、吸
収剤として石灰石を使用して石炭焚排ガス中の有害物質
を除去する排ガス処理装置の主要部である。反応槽10
は、上から順に槽を横断するように設けられた、排ガス
出口室12と、排ガス入口室14と、石灰石を含む吸収
液を収容する下部空間とに区画されている。排ガス出口
室12と排ガス入口室14とは、槽を横断して水平に伸
びる第1隔板16によって仕切られ、排ガス入口室14
と下部空間とは、第1隔板16と同様に槽を横断する方
向に伸びる第2隔板18によって仕切られている。第2
隔板18は、吸収液層20の液面より上方に位置し、そ
の間に排ガス流出用の空間部22を形成している。
し、その下の排ガス入口室14は入口ダクト26に接続
している。また、吸収液と気液接触した処理排ガスを空
間部22から排ガス出口室12に流出させるガスライザ
として、複数本のパイプ状の連通管28(図8では、簡
単に1本のみ図示)が排ガス入口室14を貫通して、空
間部22と排ガス出口室12とを連通させている。
室14に連通し、下端部で吸収液20に浸漬するように
排ガス入口室14の第2隔板18から下方に下降してい
る。その下端部には開口部、例えば多数の小さな開口が
設けてあり、排ガスはそれら開口から吸収液層20中に
分散して、ジェットバブリング層(フロス層)Aを形成
する。ジェットバブリング層Aは、排ガスの気泡と石灰
石を含む吸収液とからなる気液連続相の気液接触層であ
る。反応槽10の下部は、吸収液層20を収容するよう
になっており、槽下部には吸収液を攪拌するための攪拌
機32と、亜硫酸ガスの石膏固定化に必要な酸素を供給
するための酸素含有ガス、例えば空気を噴出する空気ノ
ズルを備えた空気供給管34とが設けられている。
気液接触を行うために、入口ダクト26と排ガス入口室
14とにそれぞれ冷却液ノズル36、38が設けられて
いて、そこに、冷却液として吸収液が、ポンプ40によ
り反応槽10の下部より送給されている。冷却液として
吸収液を排ガス中に噴霧しているのは、第1次気液接触
において吸収液と排ガスとを気液接触させることによ
り、排ガスの冷却を行うと同時に除塵に加えて排ガス中
の有害物質の一部の除去が起こる。更に、入口ダクト2
6には、排ガスを予備冷却するために工業用水を排ガス
中に噴霧する工業用水ノズル42が、冷却液ノズル36
の上流に設けてある。反応槽10に吸収剤を供給するた
めに、石膏を濃厚に含む吸収液を反応槽底部から抜き出
すための排出管44、排出ポンプ46、吸収液から石膏
を分離する固液分離装置48、石膏を分離した母液に石
灰石粉末を添加した後、吸収剤スラリとして反応槽10
に供給する吸収剤供給管50とが設けてある。母液の一
部は必要により分岐され、排水処理装置(図示せず)へ
送られる。
8において、反応槽10の下部には、亜硫酸ガスと反応
して、石膏に固定化する石灰石粉末を水に溶解及び/又
は懸濁させたスラリが吸収液として収容されている。排
ガスは、入口ダクト26において工業用水ノズル42か
ら噴霧された工業用水及び冷却液ノズル36から噴霧さ
れた吸収液と接触し、次いで排ガス入口室14に入り、
そこで冷却液ノズル38から噴霧された吸収液と接触
し、第1次気液接触を行う。第1次気液接触では、排ガ
スと吸収液とが気液接触することにより、主として排ガ
スの冷却が行われるが、合わせて除塵と排ガスの有害物
質の除去も行われる。排ガスは、排ガス入口室14を経
由して排ガス分散管30の開口より吸収液の液面下に導
入され、ジェット状に噴出して吸収液と気液接触しなが
らバブリングしながら上昇する。これにより、所謂ジェ
ットバブリング層A(第2次気液接触)が吸収液の液面
上に生成される。第1次気液接触後に吸収液と気液接触
する第2次気液接触では、主として、化学的及び/又は
物理的吸収による排ガス中の有害物質の除去を目的とし
ているが、合わせて排ガスの除塵も行う。亜硫酸ガス
は、水、酸素、石灰石と反応して石膏となって除去さ
れ、生じた石膏は粒子となって吸収液中に浮遊する。
28及び排ガス出口室12を経て出口ダクト24により
系外に排出される。一方、晶析した石膏を濃厚に含有す
る吸収液下層は、排出管44及び排出ポンプ46により
反応槽10から排出され、固液分離装置48にて石膏が
分離される。次いで、母液に石灰石粉末が添加された
後、吸収剤スラリとして吸収液供給管50から反応槽1
0に供給される。尚、上述の反応槽10の運転におい
て、通常、反応槽10に収容されている吸収液層20の
下層では、PHが3.5以上になっている。
ス中には、フッ化水素ガスを主とするフッ素化合物及び
Al2 O3 を始めとする種々のアルミニウム化合物を含
有するフライアッシュが含まれている。フッ化水素及び
その他のフッ素化合物とアルミニウム化合物の双方が排
ガス処理装置の吸収液中に混入すると、難溶解性の化合
物(アパタイト)が吸収液中の吸収剤粒子、例えばCa
CO3 等の粒子表面に生成して吸収剤表面を覆う。その
ため、吸収剤の溶解を阻害する現象が生じ、しかも一
旦、この現象が生じると、吸収剤が極めて溶解し難くな
る。この現象は、一般に吸収剤の溶解活性の低下と言わ
れている。
溶解し難くなるために吸収液のPHを所定の値に維持す
ることが難しく、PHが所定値より低下するために、脱
硫率が低下するという問題が生じ、結果的に処理排ガス
の有害物質濃度が所定値以上になって、安定した性能が
得られなくなるケースが起こった。また、吸収剤の溶解
活性の低下が発生すると、当然のことながら排ガスの浄
化に必要な化学量論的な所要量よりも多量の吸収剤、例
えば5〜100%過剰の吸収剤を必要とするために、排
ガス処理のコストが上昇する一方、過剰の吸収剤が石膏
に混入して、副生品としての石膏の純度を低下させ、石
膏の販売価格の低下を招くと言う問題も発生した。
6号公報、特開昭62−244426号公報に開示され
ているように、吸収液にNa塩を添加して吸収液のPH
を大きくする案、或いは吸収液のPHを4.5未満に維
持する案等が提案されている。しかし、上述のような従
来から提案されている方法、特にNa塩を添加する方法
は、実用化する上で経済的な観点から必ずしも満足でき
るものではない。一方、石油資源の節減或いは石炭資源
の有効利用の観点から、火力発電所における石炭焚き
は、益々重要になってきており、吸収剤の溶解活性の低
下を防止する有効な対策が求められている。
を例にして従来の排ガス処理装置を説明したが、図9に
示したようなスプレー式吸収塔の場合についても、同様
の問題があった。図9のスプレー式吸収塔100は、竪
型の塔で形成され、塔の下部には石灰石を吸収剤とする
吸収液を収容し、入口ダクト102に接続された塔上部
には工業用水ノズル104と吸収液ノズル106とを備
えて、排ガス中に工業用水及び吸収液を噴霧し、排ガス
と第1次気液接触させ主として排ガスの冷却・除塵を行
う。また、吸収液と第1次気液接触との間には、吸収液
ノズル108を備えて、排ガス中に吸収液を噴霧し、排
ガスと第2次気液接触させて主として排ガス中の亜硫酸
ガスを除去する。
塔下部から吸収液ポンプ110によって供給される。吸
収塔100の下部には、吸収剤が吸収剤供給管112に
より供給され、吸収液排出管114により排出される。
排ガスは、入口ダクト102から吸収塔100上部に流
入する。排ガスは、第1次気液接触にて工業用水ノズル
104から噴霧された工業用水及び吸収液ノズル106
から噴霧された吸収液によって冷却されつつ除塵がなさ
れる。更に、第2次気液接触で吸収液ノズル108から
噴霧される吸収液と気液接触して主として排ガス中の亜
硫酸ガスが除去され、浄化された排ガスは、出口ダクト
116から流出する。
第1には吸収剤の溶解活性の低下を抑制すると共に吸収
剤の消費効率を向上させるようにした石炭焚排ガスの排
ガス処理方法を提供することであり、第2にはその排ガ
ス処理方法を実施する排ガス処理装置を提供することで
ある。
収剤として使用するカルシウム化合物、例えば石灰石の
溶解活性の低下現象にはAlF錯体が関係していること
が定性的には確認されていた。これは、吸収液に存在す
る全フッ素量及び全アルミニウム量が大きいときに溶解
活性が著しく低下すると言う認識に基づいている。本発
明者等は、更に、カルシウム化合物系吸収剤、特に石灰
石の溶解活性の低下現象のメカニズムについて、実験と
解析を重ねた。その結果、吸収液中の単位容積当たりの
全フッ素量及び全アルミニウム量が同じであっても、即
ちあらゆる形態(例えば、イオン形態、化合物形態、錯
イオン形態等)を含めたフッ素の量及びアルミニウムの
量が吸収液中の単位容積当たり同じであっても、石灰石
の溶解活性の低下現象に相違があることを見い出した。
ウム量が同じであっても、フッ素化合物及びアルミニウ
ム化合物が溶解した状態で吸収液中に混入している場合
に、溶解活性の低下が特に著しいと言うことである。ま
た、混入するフッ素化合物及びアルミニウム化合物の溶
解の形態は、AlF錯体だけではなく、F- のフッ素イ
オン、フッ化水素、Al+++ のアルミニウムイオンとし
て溶解しているものであっても、溶解活性の低下を引き
起こすことを確認した。以上の事実により、本発明者
は、従来のジェットバブリング反応槽或いはスプレー式
吸収塔における吸収剤の溶解活性の低下現象のメカニズ
ムを以下のように解明することができた。
の例では、排ガスと吸収液との気液接触により主として
有害物質を除去する第2次気液接触の前に、冷却液と排
ガスとを接触させて主として排ガスを冷却する第1次気
液接触がある。この第1次気液接触では排ガスとの気液
接触に使用する冷却液として、前述のように、通常、排
ガスの冷却と共に排ガス中の有害物質を除去するために
第2次気液接触と同じ吸収液が使用されている。しか
も、冷却のために循環される冷却液は、第2次気液接触
での吸収液が循環使用され、排ガスの冷却とともにフッ
素化合物及びアルミニウム化合物を多量に含むフライア
ッシュを捕捉し、循環液量が小さいので、その含有率が
高くなって、フッ素化合物及びアルミニウム化合物の溶
解が進む。
むにつれ、冷却液は、亜硫酸ガス、塩化水素、亜硫酸を
酸化して硫酸を生成してPHが低下し、フッ素化合物及
びアルミニウム化合物を更に溶解し易くなる。その結
果、冷却液は、そのフッ素イオン濃度及びアルミニウム
イオン濃度が反応槽内の吸収液層より大幅に高くなっ
て、更に一層塩化水素などの強酸性のガスを吸収するの
で、冷却液のPHが吸収液のPHより大幅に低下する。
かかる冷却液が、第2次気液接触のため排ガス分散管を
経由して排ガスと共に吸収液、特にジェットバブリング
層近傍の吸収液中に流入すると、吸収液中の吸収剤の溶
解活性の低下現象が加速される。
ム錯体生成によってアルミニウムが溶解する現象に加え
て、冷却液のPH低下によりアルミニウム化合物が急速
に溶解してアルミニウムイオンが発生する。更に言え
ば、第1次気液接触でアルミニウムが溶解した冷却液
は、排ガス中に含まれた塩化水素、亜硫酸ガス等の酸性
ガスを吸収し、更に亜硫酸ガスの液相酸化により硫酸が
生成して、PHが益々低下する。その結果、溶解したフ
ッ素化合物に加え、溶解したアルミニウム化合物を多量
に含む冷却液が吸収液、特に気液接触ゾーンに混入し、
石灰石の溶解活性を更に低下させる。この現象は、仮
に、工業用水を使用して第1次気液接触を行ったとして
も、程度の差こそあれ、吸収液を使用した場合と同じよ
うに発生して、吸収剤の溶解活性の低下現象が起こる。
下は、従来、説明されていたメカニズム、即ち、吸収液
中の全フッ素及び/又は全アルミニウムの量自体により
規制されるだけではなく、寧ろ溶解しているフッ化水
素、アルミニウム化合物が多量に吸収液中に混入するこ
とにより吸収剤の溶解活性の低下が著しく促進されるの
である。溶解しているアルミニウム化合物が多量に混入
することによる吸収剤溶解阻害が、特に大きい。結論と
して、溶解しているアルミニウム化合物は、石灰石中の
アルミニウムの溶解もあるが、通常フライアッシュから
の溶出によるものが殆どであるため、フライアッシュか
らのアルミニウムの溶出が吸収剤溶解阻害の律速になっ
ていると考えられる。
らのアルミニウム化合物の溶解を抑制することによっ
て、溶解活性の低下現象を著しく緩和することができる
と結論し、その事実を実験で確認した。具体的には、第
2次気液接触に入る前に、第1次気液接触で排ガス中に
噴霧された冷却液を排ガスから分離、回収することによ
り、排ガスと冷却液との接触の継続を断ち切って、亜硫
酸ガスの吸収、更には亜硫酸ガスの液相酸化による硫酸
生成に伴うPHの低下を避け、かつジェットバブリング
層近傍の吸収液に流入させることなく、PHの高い吸収
液下層に合流させることである。また、吸収液下層に合
流させる冷却液のPHを高くして、アルミニウム化合物
が溶解し難くすることも有効である。また、アルミニウ
ム化合物の溶解は時間の関数であるから、第1次気液接
触を行った冷却液を速やかに分離、回収することが必要
である。
に基づき、本発明に係る排ガス処理方法は、石炭焚き炉
から排出された排ガス中の有害物質を除去する排ガス処
理方法であって、排ガスと冷却液とを接触させて排ガス
を主として冷却する第1次気液接触と、カルシウム化合
物系吸収剤を含む吸収液層の上層部に第1次気液接触を
経た排ガスを気泡状に分散して気液接触させ、主として
排ガス中の有害物質を除去する第2次気液接触とを相互
に近接した領域にて一連的に実施し、第1次気液接触を
経た排ガスが第2次気液接触に入る前に、排ガスから冷
却液を分離して、前記分離した冷却液を吸収液層の下層
部に流入させ、排ガスと冷却液との接触が継続しないよ
うに、かつ第2次気液接触で冷却液が排ガスと気液接触
中の吸収液に混入しないようにすることを特徴としてい
る。
て、亜硫酸ガス、塩化水素、アンモニア、ダスト等の環
境汚染物質を言う。本発明方法で使用するカルシウム化
合物系吸収剤としては、例えばCaCO3 、CaO、C
a(OH)2 等である。冷却液は、通常、冷却に加えて
除塵、排ガス中の有害物質の除去をも起きるために第2
次気液接触で使用される吸収液と同じ吸収液が使用され
るが、必ずしも吸収液である必要はなく、例えば工業用
水等の水を使用することもできる。本発明方法で、排ガ
スを主として冷却する第1次気液接触とは、第1次気液
接触では排ガスを冷却することを主とするが、合わせて
除塵及び有害物質の除去をも行うことを意味し、主とし
て排ガス中の有害物質を除去する第2次気液接触とは、
第2次気液接触では排ガス中の有害物質を除去すること
を主とするが合わせて排ガスの冷却及び除塵をも行うこ
とを意味する。第1次気液接触と第2次気液接触とは、
相互に近接した領域で行われる。例えば、第1次気液接
触が吸収塔の上部で行われ、引き続き第2次気液接触が
同じ吸収塔の上部に近接した直ぐ下の空間で行われる。
別の例では、第1次気液接触が排ガスをジェットバブリ
ング反応槽に導入する入口ダクト内でしかもジェットバ
ブリング反応槽の直ぐ上流部分で及び/又は排ガス入口
室で行われ、第2次気液接触がジェットバブリング層で
行われる。第1次気液接触を経た吸収液の分離には、特
別の分離装置を使用する必要はなく、第1次気液接触で
排ガス中に噴霧した冷却液は、同時進行的に排ガスから
沈降分離するので、それを利用することができる。
気液接触で使用される吸収液を収容している吸収液溜ま
り部に前記分離した冷却液を流入させるようにしたこと
を特徴としている。
した冷却液にアルカリ性化合物を添加する方法、第1次
気液接触で排ガスと気液接触する冷却液に予めアルカリ
化合物を添加する方法及び第1次気液接触の前にアルカ
リ性化合物の粉末又はアルカリ性化合物のスラリを排ガ
ス中に噴霧する方法のいずれかにより、分離した冷却液
のPHを少なくとも2.5以上にして吸収液溜まり部に
流入させるようにしたことを特徴としている。
るのは、次の理由による。即ち、PHが小さいと、フッ
素化合物の多量の部分が未解離のフッ化水素として存在
し、カルシウムと共存してもCaF2 として析出するこ
となく、全フッ素量が高い含有率で存在し、溶解速度を
低下させる。そこで、冷却液に予めアルカリを添加して
PHを大きくしておくことが有効であるからである。分
離した冷却液のPHを少なくとも2.5以上としたの
は、冷却液のPHが2.5以下ではアルミニウム化合物
の溶解を抑制することが難しいからである。好ましく
は、分離した冷却液のPHは3.5以上である。本発明
方法で使用するアルカリ性化合物として、例えばCaC
O3 、CaO、Ca(OH)2 等のカルシウム化合物、
NaOH、Na2 CO3 等のナトリウム化合物、Mg
O、Mg(OH)2 等のマグネシウム化合物を例として
挙げることができる。
は、槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内に区
画され、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通する排
ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端が槽
下部に収容される吸収液に浸漬するように上下方向に延
在する排ガス分散管とを有するジェットバブリング反応
槽を備える排ガス処理装置において、入口ダクトと排ガ
ス入口室の少なくとも一方に設けられ、排ガスと気液接
触させ、主として排ガスを冷却するために排ガス中に液
を噴霧する液ノズルと、上端で隔板とほぼ面一に連結し
て排ガス入口室に連通し、隔板から下降して排ガス分散
管の下端より下方の吸収液層に達するように延びる液下
降管とを備えていることを特徴としている。
は、排ガス入口室の直ぐ上流の入口ダクト部分及び排ガ
ス入口室の双方又はその一方に設けられた液ノズルから
排ガス中に噴霧された液と排ガスとの気液接触により行
われ、第2次気液接触は槽下部に収容された吸収液と排
ガス分散管から出た排ガスとの気液接触により行われ
る。好適には、液下降管は、反応槽の下部、好ましくは
攪拌機の羽根より下方の位置もしくは攪拌翼の近傍まで
延びている。
ルが入口ダクトと排ガス入口室の双方に設けられ、液下
降管が、隔板上で排ガス入口室と入口ダクトとの接続口
近傍領域に配置された第1液下降管と、接続口近傍以外
の領域に配置された第2液下降管とからなり、隔板から
上方に延びる堰板が、排ガスの流れから見て第1液下降
管の背後に位置するように設けてあることを特徴として
いる。
内で第1次気液接触のために排ガス中に噴霧された液量
により定められ、望ましくは単位開口面積当たりの流量
が33〜5000m3 (液)/hr/m2 である。第2
液下降管の総開口面積は、排ガス出口室内で第1次気液
接触のために排ガス中に噴霧された液量、正確には入口
ダクト及び排ガス入口室内で噴霧する吸収液及び工業用
水の液量から第1液下降管により流下させた液量を差し
引いた液量に基づいて定められ、望ましくは単位開口面
積当たりの流量が150〜5000m3 (液)/hr/
m2 である。具体的には、後述するように、入口ダクト
と排ガス入口室との接続口に近接し、かつ排ガス分散管
が配置されていない第2隔板上の領域に、排ガス分散管
に比べて大径の複数本の第1液下降管が、又は接続口に
沿って開口部が長く延びる断面長孔の第1液下降管が少
なくとも接続口の全長にわたり配置される。また、多数
の第1液下降管を複数列に配置しても良い。第2液下降
管は、接続口近傍以外の領域にほぼ均一な分布で配置さ
れる。
入する冷却液をせき止めるために設けてあり、好適に
は、第1液下降管と排ガス流れからみて最上流側の排ガ
ス分散管との間でかつ第1下降管の全てにわたってその
背後に位置するように設けてある。堰板の高さは、好適
には0.2mから3.0mとする。0.2m以下では堰
板の効果が無く、3.0m以上であると、排ガス流れの
圧力損失が大きくなるからである。本発明の好適な実施
態様は、隔板が、隔板から直立する直立板部と、排ガス
の進入方向とは逆向きに直立板部の上端から斜め上方に
傾斜している傾斜板部とで形成されていることを特徴と
している。これにより、排ガスに伴って排ガス入口室に
流入する冷却液をせき止める効果が大きくなる。
散管の上端が、隔板の面より上に突出していることを特
徴としている。突出する長さは、吸収液の噴霧量により
異なるが、通常、30mmから300mmである。尚、排ガ
ス分散管の上端を隔板の面より上に突出させる場合に
は、液下降管の上端を必ずしも隔板の面と面一にする必
要はなく、隔板上で排ガス分散管の上端が排ガス分散管
の上端より低い位置にあれば良い。尚、本明細書で面一
とは、高さ位置が同じであること、例えば排ガス分散管
の上端面が隔板の面と同じ高さになっていることを意味
する。
理装置の他の部品、部位は、従来の排ガス処理装置のも
のを使用でき、例えば固液分離装置として遠心分離器、
デカンター、フィルター、シックナーを使用できる。ま
た、排ガス入口室内で噴霧する吸収液には、固液分離装
置を使用することなく、反応槽から排出した吸収液に直
接吸収剤を添加しても良い。
中に噴霧された冷却液が、排ガスとの接触を継続するこ
となく、かつ吸収液ノズルから噴霧された吸収液と接触
することなく、回収手段により排ガスから分離されて回
収される。これにより、アルミニウム化合物粒子を多量
に懸濁させた冷却液は、アルミニウム化合物が冷却液に
溶解する前に、PHが比較的大きい吸収液下層に合流す
るので、冷却液中のアルミニウム化合物は、溶解するこ
となく吸収液中に浮遊する。よって、アルミニウムイオ
ンの濃度が低いので、吸収剤の溶解活性の低下現象が著
しく抑制される。
を区画する隔板上の冷却液が、液下降管を介して、排ガ
ス及びジェットバブリング層近傍の吸収液と接触するこ
となく、吸収液下層に合流する。ここで、第1液下降管
は入口ダクト内で排ガス中に噴霧された冷却液を回収す
るために設けてあり、また第2液下降管は主として排ガ
ス入口室内で排ガス中に噴霧された冷却液を回収するた
めに設けてある。尚、排ガス入口室では、冷却液は、気
液接触による排ガスの冷却も行うが寧ろ隔板上の冷却液
を押し流し、第2液下降管を介して吸収液下層に流下さ
せるために隔板に向け噴霧される。これにより、アルミ
ニウム化合物粒子を多量に懸濁させた冷却液は、アルミ
ニウム化合物が冷却液に溶解する前に、PHが比較的大
きい吸収液下層に合流するので、冷却液中のアルミニウ
ム化合物は、溶解することなく吸収液中に浮遊する。よ
って、アルミニウムイオンの濃度が低いので、吸収剤の
溶解活性の低下現象が著しく抑制される。
本発明をより詳細に説明する。実施例1 図1は、本発明に係る排ガス処理方法を実施する排ガス
処理装置の実施例1の主要部の構成を示す模式図であ
る。本実施例の排ガス処理装置は、本発明方法に係る排
ガス処理方法を実施する装置であって、その主要部は図
1に示すようなジェットバブリング反応槽及び入口ダク
トで構成され、そこで第1次気液接触及び第2次気液接
触が実施される。本実施例のジェットバブリング反応槽
60は、図8に示すジェットバブリング反応槽の構成に
加えて第1液下降管62、第2液下降管64及び吸収液
ノズル36にアルカリを注入するアルカリ注入管66と
が設けてある。また、排ガス入口室14に入る前に排ガ
スから冷却液をできるだけ沈降分離することが望まし
い。そこで、本実施例では、排ガスの冷却と冷却液の沈
降分離のための空間を設けるために、吸収液ノズル36
及び工業用水ノズル42は、排ガス入口室14の入口、
即ち入口ダクト26と排ガス入口室14との接続口から
上流に約5mの入口ダクト26内に設けられている。
噴霧された吸収液によって捕捉されたフッ素化合物及び
フライアッシュ中のアルミニウム化合物が吸収液に溶解
する前に、フライアッシュを捕捉した吸収液を出来るだ
け早く回収して反応槽60内の多量の吸収液に分散させ
るために設けられている。そのために、複数本の第1液
下降管62が、図2(a)に示すように、排ガス入口室
14の入口、即ち入口ダクト26と排ガス入口室14と
の接続口に近接した第2隔板18上の位置で、しかも第
2隔板18の側縁に沿って少なくとも接続口の全長にわ
たりほぼ等間隔で配置されている。第1液下降管62
は、排ガス分散管30に比べて比較的大径のパイプで形
成され、上端で第2隔板18の上面と面一に連結され、
そこから下降して反応槽60の下部、具体的には攪拌機
32の羽根より1.0m上方の吸収液内まで延びてい
る。また、第1液下降管62は、図2(b)に示すよう
に多数の第1液下降管を複数列(図2(b)では簡単に
2列のみ図示)で配置しても良い。
クト26内で噴霧する吸収液及び工業用水の液量に基づ
いて決まるものであるが、本実施例では、第2隔板18
の径が約13mであり、工業用水及び吸収液の液量と排
ガスのガス量との比率(L/G、L:リットル、G:N
m3 )が排ガス入口室14の入口で0.5〜2.0であ
るとして、入口ダクト26と排ガス入口室14との接続
口の全長6mにわたり第2隔板18の側縁に沿って管径
約0.6mのパイプが5本配置されている。一方、排ガ
ス分散管30として、管径約100mmの多数本のパイプ
がほぼ均一な分布で第2隔板18上に配置されている。
液を噴霧して排ガス中のフライアッシュを冷却さらに除
塵するが、寧ろ入口ダクト26内で排ガス中に噴霧され
た吸収液の回収を目的として設置されている。即ち、入
口ダクト26内で噴霧された吸収液が液滴となって排ガ
スに同伴されて排ガス入口室14に入りそこで分離し、
第2隔板18上の滞留する。吸収液ノズル38は、吸収
液を噴出して第2隔板18上の吸収液を洗い流して第2
液下降管64を介して素早く吸収液層下部に流下させる
ために設けてある。そのために、複数本の第2液下降管
64が、図2に示すように、第2隔板18にほぼ均一な
分布で配置され、上端で第2隔板18に面一で連結さ
れ、そこから下降して反応槽60の下部、具体的には攪
拌機32の羽根の直ぐ上方近くまで延びている。また、
吸収液ノズル38の設置の高さは第2隔板18の上0.
5m以上であればよい。0.5m以下では噴霧液の分散
領域が小さく、数多くのノズルを必要とし、経済的でな
い。尚、吸収液ノズル38は排ガス入口室14の入口付
近に設けられた第1液下降管62にて、液分離が充分達
成できれば省略できる。また、図2では、排ガス分散管
30の配置は省略されている。第2液下降管64の寸
法、本数は、排ガス入口室14内で噴霧する吸収液の液
量、正確には入口ダクト26及び排ガス入口室14内で
噴霧する吸収液及び工業用水の液量から第1液下降管6
2により流下させた液量を差し引いた液量に基づいて決
まるものであるが、本実施例では、第2液下降管64と
して管径0.15mのパイプが30本配置されている。
工業用水及び吸収液は、その一部が微細粒子となって排
ガスに同伴されて排ガス入口室14に入るが、大部分は
排ガス入口室14に入る前に分離して入口ダクト26の
底板上に沈降し、排ガスに押し流されて排ガス入口室1
4に入るか、沈降しつつ排ガス流れの下層に同伴されて
排ガス入口室14に入る。噴霧した工業用水及び吸収液
が底板上に沈降しやすくするため、入口ダクト26の上
方に噴霧ノズル(図示せず)を設け、下方に向け吸収液
を噴霧すると効果的である。そこで、本実施例では、図
3に示すように高さ約2.7mの入口ダクト26に対し
て、高さ1.0m(図3(c)ではHで表示)の堰板6
8が、排ガスに伴って排ガス入口室に流入する冷却液を
せき止めるために設けてあって、図3(c)に示すよう
に、高さ0.7m(図3(c)ではH1 で表示)の直立
板部68aと、排ガスの進入方向とは逆向きに直立板部
68aの上端から斜め45°上方に傾斜している高さ
0.3m(図3(c)ではH2 で表示)の傾斜板部68
bとで形成されている。堰板68はその有効長さL(図
3(a)参照)が入口ダクト26の全幅Wより長く、か
つ全ての第1液下降管62にわたってその背後に位置す
るように第1液下降管62と排ガス流れから見て最上流
の排ガス分散管30との間に設けてある。図3(a)で
は、更に、堰板68が冷却液を捕捉し易いように、その
両端に曲がり部68cが設けてある。これにより、入口
ダクト26の底板上を流れる吸収液及び工業用水の流れ
及び排ガス流れの下層に同伴された液滴は、この堰板6
8によって捕捉され、確実に第1液下降管62内に導入
される。尚、堰板68の配置は、上述例に限ることはな
く、例えば図10(a)に示すように第1液下降管62
の背後に直線状に配置しても良く、また堰板68は、必
ずしも連続的に設置する必要もなく、例えば図10
(b)に示すように直線状で断続的に設けても良い。
置と共に、図4に示すように、排ガス分散管30の上端
を第2隔板18より上方に突出させることもできる。第
1液下降管62及び第2液下降管64の上端が第2隔板
18と面一であり、一方排ガス分散管30の上端部70
が第2隔板18より上方に突出していることにより、第
2隔板18上に滞留する吸収液は、排ガス分散管30を
流下してジェットバブリング層に流下することなく、確
実に第1液下降管62及び第2液下降管64から吸収液
層下部に流下することができる。突出する長さは、吸収
液の噴霧量により異なる。尚、排ガス分散管30の上端
が第2隔板18より突出している場合には、第1液下降
管62及び/又は第2液下降管64の上端が必ずしも第
2隔板18と面一である必要はなく、第2隔板18上で
第1及び/又は第2液下降管の上端より低い位置であれ
ば同じ効果を奏することが出来る。本実施例では、堰板
68の設置と共に第1液下降管62の上端部70が第2
隔板18から上方に約150mm突出している。
に接続する吸収液供給管に設けられている。入口ダクト
26内で排ガス中に噴霧する吸収液に予めアルカリ化合
物のスラリ又は水溶液を注入して、第1液下降管62及
び第2液下降管64内を流下する吸収液のPHが2.5
以上になるようにしておく。これにより、吸収液によっ
て捕捉したフライアッシュ中のフッ素化合物及びアルミ
ニウム化合物が吸収液に溶解するのを抑制することがで
きる。また、吸収液ノズル36により噴霧さえる吸収液
と同様に、排ガス入口室14内で吸収液ノズル38によ
り噴霧される吸収液にも、アルカリ性化合物を添加して
も良い。更に、第1液下降管62中にアルカリ性化合物
を添加して、PHが2.5以上になるようにしても良
い。
主として冷却しつつ除塵等をも行う第1次気液接触は、
入口ダクト26内及び排ガス入口室14に設けられた吸
収液ノズル36及び38から噴霧される吸収液と排ガス
との気液接触により行われ、主として排ガス中の有害物
質を除去する第2次気液接触は、ジェットバブリング層
Aにおける排ガス分散管30より出た排ガスと吸収液と
の気液接触により行われる。また、上述の記載に基づい
て本実施例の排ガス処理装置を運転することにより、本
発明方法を実施することができる。尚、以下の実施例2
から4において同様に本発明方法を実施することができ
る。
を示す模式図である。本実施例のジェットバブリング反
応槽80では、入口ダクト26内で吸収液を噴霧する吸
収液ノズル82は、排ガス中に下向きで吸収液を噴霧す
るように配置されたノズル82aとそのノズル82aの
上流側に設けられ、排ガスの流れ方向に吸収液を噴霧す
るノズル82bとからなる。また、吸収液ノズル82の
噴霧領域の入口ダクト26底部は、ロート状に形成され
た回収部84を備え、回収部84の底部を配管86によ
って反応槽80の吸収液層下部に接続することにより、
噴霧された吸収液を入口ダクト26内で回収するように
なっている。このような入口ダクト26内での吸収液の
回収機構に加えて、実施例1で説明した第1液下降管6
2、第2液下降管64、更には堰板68を設けることも
できる。
を示す模式図である。本実施例のジェットバブリング反
応槽90では、入口ダクト26内に設けられた吸収液ノ
ズル36及び工業用水ノズル42の前にアルカリ性化合
物の粉末又はスラリを噴霧するアルカリ噴霧ノズル92
が設けてある。噴霧されたアルカリ性化合物は、排ガス
に同伴されて吸収液に接触して吸収液のPHを所定値以
上にする。例えば、本実施例では、入口ダクト26内で
排ガスと気液接触した後の吸収液のPHが2.5以上に
なるようにしている。これにより、吸収液に捕捉された
フライアッシュ中のフッ素化合物及びアルミニウム化合
物の溶解が抑制できるので、吸収剤の溶解活性の低下を
抑制することができる。
を示す模式図である。本実施例の排ガス処理装置は、本
発明方法に係る排ガス処理方法を実施する装置であっ
て、本実施例の主要部は、実施例1から3までとは異な
り、第1次気液接触及び第を次気液接触を実施するため
に、ジェットバブリング反応槽に代えてスプレー式吸収
塔(以下、簡単に吸収塔と言う)120を使用してい
る。本実施例では、吸収塔120は、図9に示す吸収塔
の構成に加えて、カスケード型の分離板122と、分離
板の底部に接続された下降管124とを備えている。分
離板122は、ドーナツ形の傾斜板122aと、傾斜板
122aの内径より大きな外径を有するロート型集液器
122bとから構成されていて、吸収液ノズル106と
最上段の吸収液ノズル108との間に設けてある。下降
管124は、ロート型集液器122bの底部から下方に
下降して吸収液層の下部に達している。
20の上部の第1次気液接触で噴霧された吸収液は、分
離板122と衝突して排ガスから分離され、下降管12
4を介して吸収液下層に合流する。これにより、吸収液
と気液接触して吸収液に捕捉された排ガス中のフッ素化
合物及びアルミニウム化合物を含むフライアッシュが、
吸収液に溶解する前に回収されて吸収塔120内の多量
の吸収液に分散される。これによって、吸収塔120の
第2次気液接触で吸収液ノズル108より噴霧された吸
収液は、第1次気液接触の吸収液と接触しないので、第
2次気液接触での吸収剤の溶解活性の低下現象が抑制さ
れる。
にアルカリ化合物を吸収液ノズル106に、下降管12
4に、或いは吸収液層に添加することができる。更に
は、実施例3と同様に入口ダクト102にアルカリ化合
物の粉末又はスラリを噴霧しても良い。
リング反応槽60の改変例として構成されたジェットバ
ブリング反応槽を使用しており、図11はそのジェット
バブリング反応槽130及び入口ダクト26を含む装置
主要部の模式図である。本ジェットバブリング反応槽1
30では、空間部22がジェットバブリング反応槽60
の排ガス出口室12を兼ねており、出口ダクト24が空
間部22に連通するように槽壁に連結されている。その
結果、空間部22と排ガス出口室12とを連通させてい
る連通管28は不要になり、設けられていない。その他
の構成部品は、実施例1のジェットバブリング反応槽6
0に設けられているものと同じである。また、実施例2
及び実施例3の設備を実施例1と同様に実施例5のジェ
ットバブリング反応槽130及び入口ダクト26に設け
ることもできる。以上の構成により、実施例5は、実施
例1で説明した効果と同様の効果を奏することができ
る。
気液接触により排ガスと気液接触してフライアッシュを
捕捉した冷却液を分離して大量の吸収液層に合流させる
ことにより、更には分離した冷却液に、又は噴霧する前
の冷却液にアルカリ性化合物を添加することにより、吸
収剤の溶解活性の低下現象を大幅に抑制することができ
る。よって、吸収剤の所要量を排ガスの有害物質の除去
に必要な化学量論的所要量に近い数値まで減少させるこ
とができる。この結果、安定した脱硫性能のもとで、排
ガス処理のコストを低下させることができると共に副生
する石膏の純度を向上させることができる。
から3に記載の発明方法を実用的に実施できる排ガス処
理装置を実現している。
をなすジェットバブリング反応槽の構成を示す模式図で
ある。
管及び第2液下降管の配置図である。
(a)の線I−I′での堰板の断面図、図3(c)は図
3(a)の堰板の矢視II−II′での断面図である。
る。
すための入口ダクトの断面を示す模式図である。
を示すための入口ダクトの断面を示す模式図である。
す模式図である。
模式図である。
ある。
改変例を示す模式的配置図である。
構成を示す模式図である。
トバブリング反応槽 62 第1液下降管 64 第2液下降管 66 アルカリ注入管 68 堰板 70 上端部 80 実施例2のジェットバブリング反応槽 82 吸収液ノズル 84 回収部 86 配管 90 実施例3のジェットバブリング反応槽 92 アルカリ噴霧ノズル 100 従来のスプレー式吸収塔 102 入口ダクト 104 工業用水ノズル 106 吸収液ノズル 108 吸収液ノズル 110 吸収液ポンプ 112 吸収液供給管 114 吸収液排出管 116 出口ダクト 120 実施例4のスプレー式吸収塔 122 分離板122 122a ドーナツ形の傾斜板 122b ロート型集液器 124 下降管 130 実施例5のジェットバブリング反応槽
Claims (6)
- 【請求項1】石炭焚き炉から排出された排ガス中の有害
物質を除去する排ガス処理方法であって、 排ガスと冷却液とを接触させて排ガスを主として冷却す
る第1次気液接触と、カルシウム化合物系吸収剤を含む
吸収液層の上層部に第1次気液接触を経た排ガスを気泡
状に分散して気液接触させ、主として排ガス中の有害物
質を除去する第2次気液接触とを相互に近接した領域に
て一連的に実施し、 第1次気液接触を経た排ガスが第2次気液接触に入る前
に、排ガスから冷却液を分離して、前記分離した冷却液
を吸収液層の下層部に流入させ、排ガスと冷却液との接
触が継続しないように、かつ第2次気液接触で冷却液が
排ガスと気液接触中の吸収液に混入しないようにするこ
とを特徴とする石炭焚排ガスの排ガス処理方法。 - 【請求項2】前記分離した冷却液にアルカリ性化合物を
添加する方法、第1次気液接触で排ガスと気液接触する
冷却液に予めアルカリ化合物を添加する方法及び第1次
気液接触の前にアルカリ性化合物の粉末又はアルカリ性
化合物のスラリを排ガス中に噴霧する方法のいずれかに
より、分離した冷却液のPHを少なくとも2.5以上に
して吸収液溜まり部に流入させるようにしたことを特徴
とする請求項1に記載の石炭焚排ガスの排ガス処理方
法。 - 【請求項3】槽を横断する方向に延在する隔板によって
槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連
通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、
下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように上下
方向に延在する排ガス分散管とを有するジェットバブリ
ング反応槽を備える排ガス処理装置において、入口ダク
トと排ガス入口室の少なくとも一方に設けられ、排ガス
と気液接触させ、主として排ガスを冷却するために排ガ
ス中に液を噴霧する液ノズルと、上端で隔板とほぼ面一
に連結して排ガス入口室に連通し、隔板から下降して排
ガス分散管の下端より下方の吸収液層に達するように延
びる液下降管とを備えていることを特徴とする排ガス処
理装置。 - 【請求項4】液ノズルが入口ダクトと排ガス入口室の双
方に設けられ、液下降管が、隔板上で排ガス入口室と入
口ダクトとの接続口近傍領域に配置された第1液下降管
と、接続口近傍以外の領域に配置された第2液下降管と
からなり、隔板から上方に延びる堰板が、排ガスの流れ
から見て第1液下降管の背後に位置するように設けてあ
ることを特徴とする請求項3に記載の排ガス処理装置。 - 【請求項5】隔板が、隔板から直立する直立板部と、排
ガスの進入方向とは逆向きに直立板部の上端から斜め上
方に傾斜している傾斜板部とで形成されていることを特
徴とする請求項4に記載の排ガス処理装置。 - 【請求項6】 排ガス分散管の上端が隔板の面より上に
突出していることを特徴とする請求項3から5のうちの
いずれか1項に記載の排ガス処理装置。
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---|---|---|---|
JP06335795A JP3523708B2 (ja) | 1995-02-27 | 1995-02-27 | 石炭焚排ガスの排ガス処理方法及び排ガス処理装置 |
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JPH08229347A JPH08229347A (ja) | 1996-09-10 |
JP3523708B2 true JP3523708B2 (ja) | 2004-04-26 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP06335795A Expired - Lifetime JP3523708B2 (ja) | 1995-02-27 | 1995-02-27 | 石炭焚排ガスの排ガス処理方法及び排ガス処理装置 |
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---|---|---|---|---|
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JP5898885B2 (ja) * | 2011-08-30 | 2016-04-06 | 千代田化工建設株式会社 | 排煙脱硫装置における不活性化現象の予防方法 |
-
1995
- 1995-02-27 JP JP06335795A patent/JP3523708B2/ja not_active Expired - Lifetime
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