JP3504427B2 - 排ガスの脱硫方法 - Google Patents

排ガスの脱硫方法

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JP3504427B2 JP08262296A JP8262296A JP3504427B2 JP 3504427 B2 JP3504427 B2 JP 3504427B2 JP 08262296 A JP08262296 A JP 08262296A JP 8262296 A JP8262296 A JP 8262296A JP 3504427 B2 JP3504427 B2 JP 3504427B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重油や石炭等の燃
焼排ガスなどの硫黄酸化物を含有する各種排ガスの脱硫
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の排ガスの脱硫方法の一つとして、
脱硫剤に水酸化マグネシウムや軽焼酸化マグネシウム等
のマグネシウム系化合物を用いる方法が知られている。
この方法はまず脱硫工程において上記の脱硫剤を含む処
理液に排ガスを接触させて硫黄酸化物を処理液に吸収さ
せ、次いでこの処理液を酸素を含むガスで処理して硫酸
マグネシウムと硫酸の水溶液とし、この水溶液をマグネ
シウム系化合物で中和する。中和後の硫酸マグネシウム
の水溶液は海域などへそのまま放流されているが、マグ
ネシウム源の消費につながり、又環境への影響を考慮し
なければならない場合がある。
【0003】これに対し、硫酸マグネシウム水溶液を放
流しない他の従来技術として次の方法が特願平06−2
43385号に開示されている。すなわち、酸化工程で
生成した硫酸マグネシウムの水溶液を複分解槽に導き、
水酸化カルシウムや生石灰等を加えて反応させることに
より、二水石膏と水酸化マグネシウムを生成させ、これ
らの混合物を水酸化マグネシウムを主とした微粒子スラ
リーと、二水石膏を主とした粗粒子スラリーとに分離す
る。分離した前者の微粒子スラリーは脱硫剤として脱硫
工程に循環供給する。後者の粗粒子スラリーは、少量の
随伴されてくる水酸化マグネシウムを硫酸もしくは脱硫
工程処理液の酸化により生成した硫酸で処理し、あるい
は空気を吹き込んで硫酸マグネシウムに変換させる。得
られた硫酸マグネシウムと二水石膏からなるスラリーか
ら不溶成分である二水石膏を分離し、硫酸マグネシウム
水溶液は複分解工程に戻す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法においては、二水石膏と水酸化マグネシウムの二種
類の結晶の分別に際して各々の結晶の純度を上げるため
には装置が複雑になり、運転上も高度の技術が要求され
た。
【0005】そこで本発明の目的は、上記二種類の結晶
を相互に分離する困難を解消した排ガスの脱硫方法を提
供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々の検討を重ねた結果、本発明を
完成した。
【0007】第1の発明は、硫黄酸化物を含む排ガスを
マグネシウム系脱硫剤を含む処理液と接触させ排ガス中
に含まれる硫黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、脱硫
工程処理液を酸素を含むガスで処理する酸化工程とから
なる前工程と、前記酸化工程から得られた酸化工程処理
液を塩基性カルシウム化合物と反応させる複分解工程を
有する脱硫方法において、複分解工程で得られた水酸化
マグネシウムと二水石膏との混合スラリーを脱硫工程と
酸化工程の両方に返送し、前工程処理液から二水石膏を
系外に取り出すことを特徴とする排ガスの脱硫方法に関
する。
【0008】第2の発明は、前工程処理液から二水石膏
を系外に取り出す方法において、脱硫工程処理液を石膏
分離装置に供給し二水石膏スラリーと実質的に二水石膏
を含まない液とに分離し、液側を脱硫工程と酸化工程へ
返送することを特徴とする第1の発明の排ガスの脱硫方
法に関する。
【0009】第3の発明は、前工程処理液から二水石膏
を系外に取り出す方法において、酸化工程処理液を石膏
分離装置に供給し二水石膏スラリーと実質的に二水石膏
を含まない液とに分離し、液側を酸化工程と複分解工程
へ返送することを特徴とする第1の発明の排ガスの脱硫
方法に関する。
【0010】第4の発明は、複分解工程で得られた水酸
化マグネシウムと二水石膏との混合スラリーを前工程に
返送する際、前工程処理液の一部を添加した後返送する
ことを特徴とする第1、第2又は第3の発明の排ガスの
脱硫方法に関する。
【0011】第5の発明は、複分解工程で得られた水酸
化マグネシウムと二水石膏との混合スラリー中に、酸化
工程処理液の一部を添加し溶解しているカルシウムイオ
ン濃度を低下させた後、該スラリーを前工程に返送する
第1、第2又は第3の発明のの排ガスの脱硫方法に関す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態を図1〜
図3に基づいて説明する。
【0013】本発明を実施するプロセスの主要部は図1
に示すように、脱硫塔1、石膏分離装置2、酸化槽3、
複分解槽4、水酸化カルシウム供給タンク5、カルシウ
ムイオン除去槽6、水酸化マグネシウムスラリー供給タ
ンク7及び付帯のポンプ・配管からなる。
【0014】脱硫塔1には水酸化マグネシウム系脱硫剤
を含む水スラリーがシャワー状に導入され硫黄酸化物を
含む排ガスと気液接触し、硫黄酸化物は亜硫酸マグネシ
ウムあるいは酸性亜硫酸マグネシウムとして吸収・固定
される。 Mg(OH)2+SO2→MgSO3+H2O Mg(OH)2+2SO2→Mg(HSO32 脱硫工程処理液はポンプ2により酸化槽3に送られ空気
により酸化され、亜硫酸マグネシウム及び酸性亜硫酸マ
グネシウムは易溶性の硫酸マグネシウムに変換される。 MgSO3+1/2O2→MgSO4 Mg(HSO32+O2→MgSO4+H2SO4 酸化工程処理液は複分解槽4に送られ水酸化カルシウム
と反応し、硫酸マグネシウムは水酸化マグネシウムと二
水石膏に変換される。 MgSO4+Ca(OH)2+2H2O→Mg(OH)2
CaSO4・2H2O カルシウムイオン除去槽6において複分解槽処理液に酸
化工程処理液の一部を加えることにより、硫酸イオンを
添加し、二水石膏の溶解度を低下させカルシウムイオン
の除去を図る。カルシウムイオンが除去された複分解槽
処理液は、水酸化マグネシウム及び二水石膏を含む混合
スラリーとして酸化槽3及び脱硫塔1に返送される。
【0015】脱硫工程処理液の一部がポンプP1により
抜き出され石膏分離装置2によって二水石膏と液とに分
離され液側が再び脱硫塔1に戻される。
【0016】図2は、酸化工程処理液の一部が抜き出さ
れ、石膏分離装置2において二水石膏と液とに分離さ
れ、液側が酸化槽3・複分解槽4・カルシウムイオン除
去槽6に供給される例を示している。
【0017】図3は、複分解槽処理液のうち脱硫塔1に
戻される部分のみがカルシウムイオン除去槽6を経由し
ている例を示している。酸化工程処理液の一部が抜き出
され、石膏分離装置2によって二水石膏と液とに分離さ
れ、液側が酸化槽3・複分解槽4・カルシウムイオン除
去槽6へ供給される。
【0018】本発明においては上記の何れの例において
も複分解槽処理液は脱硫塔1及び酸化槽3に戻される。
その際、複分解槽処理液は、通常それぞれのpH調整に
必要な量に分配され返送される。
【0019】カルシウムイオン除去槽6は、本プロセス
において二水石膏の析出による閉塞を防止するために設
けることが好ましい。
【0020】本発明においてマグネシウム系脱硫剤と
は、海水中のマグネシウムを原料とした水酸化マグネシ
ウム、マグネサイト鉱石を焼成して得られる酸化マグネ
シウム、酸化マグネシウムを消化して得られる水酸化マ
グネシウム等の酸化マグネシウムや水酸化マグネシウム
を主成分とする塩基性マグネシウム化合物をいう。
【0021】本発明は、硫黄酸化物を含む排ガスのみな
らず、さらに塩化水素を含む排ガスにも適用可能であ
る。排ガス中に含まれる硫黄酸化物および塩化水素は脱
硫工程においてマグネシウム系脱硫剤を含む水溶液から
なる処理液と接触して処理液に吸収される。
【0022】複分解槽から脱硫塔および酸化槽に戻され
る処理液は、水酸化マグネシウムと二水石膏との混合ス
ラリーであるが、脱硫工程処理液中の水酸化マグネシウ
ムは脱硫剤、脱塩化水素剤として消費される。また、脱
硫塔の運転条件を、生成する亜硫酸マグネシウムの溶解
度以下の濃度に保つようにすれば、脱硫工程処理液中の
懸濁物質は二水石膏のみとなる。一方、酸化工程処理液
中に複分解槽から返送される水酸化マグネシウムは酸化
によって生成する硫酸の中和剤として消費され硫酸マグ
ネシウムに変換されるので、酸化工程処理液中の懸濁
は二水石膏のみである。したがって、これらの処理液
からの石膏分離は容易である。
【0023】本発明においては、二水石膏の系外取り出
しは、脱硫工程処理液または酸化工程処理液の何れか一
方もしくは両方から二水石膏を分離することにより行わ
れる。すなわち、該処理液を石膏分離装置に供給し、二
水石膏スラリーと実質的に二水石膏を含まない液側とに
分離し、二水石膏スラリーを系外へ取り出す。一方、液
側は脱硫塔と酸化槽もしくは複分解槽あるいはこれら両
方へ返送し、又は、液側は酸化槽もしくは複分解槽ある
いはこれら両方へ返送することが望ましい。さらにカル
シウムイオン除去槽へも返送してよい。液側の返送箇所
及びその分配は脱硫塔1・酸化槽3・複分解槽4・カル
シウムイオン除去槽6の運転条件を調節するため、特に
それぞれの塔もしくは槽でのpHを調整することで決め
られる。
【0024】上記の分離後の液側には、ほとんど二水石
膏の結晶は含まれていない。したがって、それを脱硫塔
のみでなく、酸化槽や複分解槽あるいはカルシウムイオ
ン除去槽へ返送することは、無用の二水石膏の循環を防
ぐことになり、配管や槽等の機器のサイズを小さくで
き、経済的となる。脱硫塔のみへ返送した場合、酸化槽
へは脱硫塔と同じ濃度の二水石膏のスラリーが送られ、
さらに複分解槽へも送られるので、反応に無用の二水石
膏のスラリーの循環量が増加し、配管や機器などのサイ
ズを大きくする必要が生じる。したがって、液側は、脱
硫塔以外にも酸化槽や複分解槽等へも返送し、あるいは
脱硫塔へは返送しないで酸化槽や複分解槽等へ返送する
ことが望ましい。
【0025】石膏分離装置は、液体サイクロン、濾過装
置、遠心分離装置などの固液分離が可能である装置であ
ればよい。
【0026】脱硫塔は、気液を効率よく接触するような
構造を持つ塔からなり、脱硫剤を含む水スラリー溶液を
ノズルで噴霧し、これに対し向流または並流でガスを流
す形式のものを用いることができる。また、気液接触の
効率向上のために充填物や棚段などを内部に設置しても
よい。
【0027】脱硫工程処理液は、マグネシウム系脱硫剤
水溶液と硫黄酸化物と或いはさらに塩化水素とが反応し
て生成した亜硫酸マグネシウム・亜硫酸水素マグネシウ
ム・硫酸マグネシウム・塩化マグネシウム等が混在した
組成の水溶液に、二水石膏が含まれた懸濁液である。亜
硫酸マグネシウムの水への溶解度が低いのでその析出を
防止するため、空気等を吹き込み酸化して水への溶解度
の高い硫酸マグネシウムとすることにより、亜硫酸マグ
ネシウムの濃度を溶解度以下に制御する必要がある。
【0028】脱硫工程処理液の温度は、通常80℃以
下、好ましくは60℃以下であり、pHは5.0〜7.
5、より好ましくは5.5〜6.5である。脱硫工程処
理液のpHは、複分解槽で得られる水酸化マグネシウム
と二水石膏との混合スラリー又は水酸化マグネシウムの
何れか若しくは両方を供給することにより調節される。
複分解槽で得られた水酸化マグネシウムと二水石膏との
混合スラリーは、酸化工程処理液の一部を添加してpH
を調整した後に脱硫工程に供給することができる。
【0029】酸化槽3では、脱硫塔内で硫黄酸化物とマ
グネシウム系脱硫剤とが反応して生成した亜硫酸マグネ
シウムや亜硫酸水素マグネシウムが酸素を含むガスによ
り酸化されて硫酸マグネシウム及び硫酸を生成する。通
常、硫酸マグネシウムの濃度は3〜10重量%である。
【0030】酸化槽3で供給される酸素を含むガス中の
酸素以外のガス成分は、脱硫工程処理液に対して不活性
なものであればその種類は問わない。酸素を含むガスと
しては、通常、空気が用いられる。
【0031】酸化槽3には通常、槽型反応器が用いられ
る。下部に酸素を含むガスを供給・分散するための配管
が設置されている。また、攪拌混合装置を設置すること
ができる。
【0032】酸化槽3では、複分解槽4若しくはカルシ
ウムイオン除去槽6から戻される水酸化マグネシウムと
二水石膏との混合スラリーの一部または水酸化マグネシ
ウムの何れか一方もしくは両方を添加することにより、
pHは2〜7の範囲に調整される。好ましくはpH6〜
7の範囲に調整する。
【0033】上記の範囲内でpHが一定になるように、
水酸化マグネシウムと二水石膏との混合スラリーを返送
することが望ましい。このようなpH調整を行わない
と、排ガス中のSO2濃度により酸化槽のpHが変動
し、SO2濃度が高い場合、酸化槽のpHは1〜2まで
低下する。そのため、酸化槽の材質を耐酸材料とする必
要がでてくるためコストがよけいにかかる。また、酸化
槽での酸化速度がpHによって変化するので安全サイド
の設計をしておく必要が生じる。さらに、酸化槽のpH
の変動は複分解槽のpH制御にも影響するため安定した
運転に影響を及ぼす。そこで、水酸化マグネシウムと二
水石膏との混合スラリーを分割して酸化槽にも返送する
ことで、 (i)酸化槽でのpHが異常に低下することを防止でき
る、 (ii)全系の安定した運転が可能になる、 (iii)酸化槽の空気酸化の安定化が図れる(pHによ
る酸化速度の変動を防止する)、 などの効果を得ることができる。
【0034】複分解槽4では、酸化槽3から供給される
硫酸マグネシウムと硫酸を主成分とし場合により塩化マ
グネシウムも含有する処理液に対して、塩基性カルシウ
ム化合物を添加して攪拌混合し、複分解反応により二水
石膏と水酸化マグネシウムが生成する。
【0035】複分解槽には通常、槽型反応器が用いら
れ、反応温度は80℃以下、好ましくは60℃以下であ
るが、通常は脱硫塔と同程度の温度でよい。pHは1
0.0〜11.5、より好ましくは10.0〜11.0
の範囲に設定する。これによって生成する二水石膏は、
一般に平均粒子径(長径)が70μm以上、通常は20
0μmまでの粗大粒子に成長し、一方、水酸化マグネシ
ウムは通常0.3〜20μm程度の微粒子となる。
【0036】複分解槽で使用する塩基性カルシウム化合
物としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸
カルシウム、或いはこれらの混合物が好ましく、複分解
槽に供給する形状としては粉末でもよいが、これらの水
スラリーが作業性の点でも最も好ましい。
【0037】本発明においてカルシウムイオン除去槽
は、複分解槽処理液中に溶解しているカルシウムイオン
を除去し、脱硫塔内や配管中に二水石膏がスケールとし
て析出するのを防ぐ目的で設置される。カルシウムイオ
ンの除去方法の一つは硫酸イオンを添加することで石膏
の溶解度を低下させることで行う。そのため、硫酸マグ
ネシウムを含有する酸化工程処理液を添加する。
【0038】また、本発明におけるカルシウムイオン除
去槽では、塩素イオンの除去も行われる。すなわち、H
Clを含む排ガスを処理した場合、複分解槽では、 MgCl2+Ca(OH)2→Mg(OH)2+CaCl2 によりCaCl2が生成し、カルシウムイオンの溶解度
が高くなり、これが脱硫塔へ返送され、スケールの問題
を起こす。しかし、カルシウムイオン除去槽において、 CaCl2+MgSO4→CaSO4+MgCl2 の反応によりカルシウムイオン濃度を下げることができ
る。なお、MgCl2は系内に蓄積しないように一部パ
ージすることが望ましい。
【0039】以上に説明したように本発明は、複分解工
程で生成した水酸化マグネシウムと二水石膏との混合ス
ラリーをそれぞれの結晶に分離することなく脱硫工程と
酸化工程に分割して返送し、それぞれの塔もしくは槽の
pHを適正に調整できる。また、マグネシウムイオンの
大部分を硫酸マグネシウムとして存在させるため、脱硫
工程・酸化工程中に存在するマグネシウム化合物は液中
溶解しているため、二水石膏の分離が容易になる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明する
が、本発明はこれらに限定するものではない。
【0041】実施例1 図1に示す装置を用いて脱硫を行った。
【0042】マグネシウム系脱硫剤および二水石膏粗粒
子が懸濁した処理液を脱硫塔1の上方から14t/hで
シャワー状に流下させ、下方から導入した硫黄酸化物を
含有する排ガスG1と気液接触させ、硫黄酸化物を亜硫
酸マグネシウム、亜硫酸水素マグネシウム等として処理
液中に吸収・固定し、硫黄酸化物が除去された排ガスG
2を上方から塔外へ排出した。
【0043】脱硫塔に供給された排ガスは温度150℃
で、排ガス量は3000Nm3/h、SO2濃度は100
0ppmであった。
【0044】脱硫塔1の底部に流下した硫黄酸化物を吸
収した脱硫工程処理液は、後述の脱硫塔返送混合スラリ
ー0.75t/hと水酸化マグネシウムスラリー供給タ
ンク7から新たに供給される液0.01t/hとともに
ポンプP1と配管L1を介して脱硫塔上部へ送り流下さ
せ、この繰り返しによって処理液を脱硫塔1内で連続的
に循環させた。塔底には、亜硫酸マグネシウムの析出を
防止するために空気を吹き込んだ。
【0045】また、配管L1から一部の処理液を1.0
t/hで石膏分離装置2へ導き、処理液中に懸濁してい
た二水石膏を分離して0.1t/hで系外に排出し、残
液は脱硫塔1へ0.2t/hで、酸化槽3へ0.7t/
hで返送した。
【0046】脱硫塔内の処理液の塩濃度は硫酸マグネシ
ウム換算で3.0重量%、亜硫酸マグネシウムと亜硫酸
水素マグネシウムの合計濃度は硫酸マグネシウム換算で
0.5重量%であり、pHは5.8〜6.0であった。
排ガスG2のSO2濃度は50ppmで脱硫率は95%
であった。
【0047】酸化槽3では、空気を曝気して酸化を行
い、硫酸マグネシウムと硫酸の水溶液とした。生成した
硫酸を中和するために、後述のカルシウムイオン除去槽
6から二水石膏と水酸化マグネシウムとの混合スラリー
0.3t/hを配管L7とL8を介して供給し、pHを
6.5に調節した。
【0048】この酸化工程処理液をポンプP3により配
管L3を介して0.7t/hで複分解槽へ供給した。複
分解槽4には、水酸化カルシウム供給タンク5から配管
L4により20重量%の水酸化カルシウムの水スラリー
を0.05t/hで加え、攪拌機により攪拌混合しなが
ら硫酸マグネシウム及び硫酸と水酸化カルシウムとの反
応を行わせ、二水石膏と水酸化マグネシウムの固体粒子
を生成した。反応温度は50℃であった。
【0049】得られた二水石膏と水酸化マグネシウムと
の混合物スラリーは、配管L5によりカルシウムイオン
除去槽6に導き、ここで酸化槽3から配管L3とL6を
介して供給した酸化工程処理液の一部を0.3t/hで
加え、攪拌機により均一に攪拌混合した。これにより、
二水石膏と水酸化マグネシウムとの混合スラリー中に二
水石膏の溶解度レベルで溶解しているカルシウムイオン
濃度が上記処理液中の硫酸マグネシウムの共存により低
下した。
【0050】次いで、これらの二水石膏と水酸化マグネ
シウムの固体粒子を含む混合スラリーをポンプP4によ
り配管L7を介して脱硫塔1及び酸化槽3に循環供給し
た。
【0051】実施例2 図2に示す装置を用いて脱硫を行った。
【0052】マグネシウム系脱硫剤および二水石膏粗粒
子が懸濁した処理液を脱硫塔1の上方から14t/hで
シャワー状に流下させ、下方から導入した硫黄酸化物を
含有する排ガスG1気液接触させ、硫黄酸化物を亜硫酸
マグネシウム、亜硫酸水素マグネシウム等として処理液
中に吸収・固定し、硫黄酸化物が除去された排ガスG2
を上方から塔外へ排出した。
【0053】脱硫塔に供給された排ガスは温度150℃
で、排ガス量は3000Nm3/h、SO2濃度は100
0ppmであった。
【0054】脱硫塔1の底部に流下した硫黄酸化物を吸
収した脱硫工程処理液は、後述の複分解槽処理液の一部
で脱硫塔へ返送される混合スラリー0.75t/hと水
酸化マグネシウムスラリー供給タンク7から新たに供給
される液0.01t/hとともにポンプP1と配管L1
を介して脱硫塔上部へ送り流下させ、この繰り返しによ
って処理液を脱硫塔1内で連続的に循環させた。塔底に
は、亜硫酸マグネシウムの析出を防止するために空気を
吹き込んだ。
【0055】脱硫塔内の処理液の塩濃度は全硫黄分を硫
酸マグネシウム換算で3.0重量%、亜硫酸マグネシウ
ムと亜硫酸水素マグネシウムの合計濃度は硫酸マグネシ
ウム換算で0.5重量%であり、pHは6.2〜6.4
に調整した。排ガスG2のSO2濃度は50ppmで脱
硫率は 95%であった。
【0056】脱硫工程処理液をポンプP2により配管L
2を介して脱硫塔1から酸化槽3へ供給し、空気を曝気
して酸化を行い、硫酸マグネシウム3.0重量%と硫酸
の水溶液とした。生成した硫酸を中和するために、カル
シウムイオン除去槽6から二水石膏と水酸化マグネシウ
ム及び少量の硫酸マグネシウムを含む混合スラリー0.
3t/hを配管L5を介して供給し、pHを6.5に調
節した。
【0057】また、ポンプ5により配管L9を介して一
部の処理液を2.0t/hで石膏分離装置へ導き、処理
液中に懸濁していた二水石膏を分離して0.1t/hで
系外へ排出し、一部は配管L3を介して0.7t/hで
複分解槽4に及び0.3t/hでカルシウムイオン除去
槽6に送り、残液を酸化槽3へ戻した。
【0058】複分解槽4には、水酸化カルシウム供給タ
ンク5から配管L4を介して20重量%の水酸化カルシ
ウムの水スラリーをpHが10.5となるように制御し
て加え、攪拌機により攪拌混合しながら硫酸マグネシウ
ム及び硫酸と水酸化カルシウムとの反応を行わせ、二水
石膏と水酸化マグネシウムの固体粒子を生成した。反応
温度は50℃であった。
【0059】得られた二水石膏と水酸化マグネシウムか
らなる混合物スラリーは、配管L5によりカルシウムイ
オン除去槽6に導き、ここで石膏分離装置2から配管L
3とL6を介して供給した酸化工程処理液の残部の一部
を0.3t/hで加え、攪拌機により均一に攪拌混合し
た。これにより、水中に二水石膏の溶解度レベルで溶解
しているカルシウムイオンの濃度が上記処理液中の硫酸
マグネシウムの共存により低下した。
【0060】次いで、これらの二水石膏と水酸化マグネ
シウムの固体粒子を含む混合スラリーを配管L7を介し
て脱硫塔1と酸化槽3に循環供給した。
【0061】実施例3 図3に示す装置を用いて脱硫を行った。
【0062】本実施例は、基本的に実施例2と同様であ
る。ここでは複分解槽処理液を、カルシウムイオン除去
槽6を経由することなく複分解槽4から配管L5とL1
0を介して酸化槽3に0.2t/hで返送して酸化槽の
pHを調製した。一方、カルシウムイオン除去槽6に
は、配管L5を介して0.55t/hで返送した。
【0063】その結果、複分解槽処理液である混合スラ
リーのカルシウムイオン除去槽6へ送る量が減少し、そ
れに伴い配管L6から供給される酸化工程処理液量の供
給が約30%減少し、カルシウムイオン除去槽6の容量
も比例して減少した。
【0064】
【発明の効果】本発明は、複分解工程で生成した水酸化
マグネシウムと二水石膏との混合スラリーをそれぞれの
結晶に分離することなく脱硫工程と酸化工程に返送する
ので脱硫工程・酸化工程中に存在するマグネシウム化合
物の主要部は酸化によって水溶性の硫酸マグネシウムと
して存在する。その結果、二水石膏のみが懸濁している
水溶液となるので二水石膏を固液分離するだけでよく、
マグネシウム化合物と二水石膏との分離が極めて容易と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の説明図である。
【図2】本発明の他の実施例の説明図である。
【図3】本発明の他の実施例の説明図である。
【符号の説明】
1 脱硫塔 2 石膏分離装置 3 酸化槽 4 複分解槽 5 水酸化カルシウム供給タンク 6 カルシウムイオン除去槽 7 水酸化マグネシウムスラリー供給タンク G1 排ガス(未処理) G2 排ガス(処理済み) P1〜P5 ポンプ L1〜L10 配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 健一 奈良県生駒市新旭が丘16番49号 (56)参考文献 特開 平9−57053(JP,A) 特開 平8−155263(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/50

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウム
    系脱硫剤を含む処理液と接触させ排ガス中に含まれる硫
    黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、脱硫工程処理液を
    酸素を含むガスで処理する酸化工程とからなる前工程
    と、前記酸化工程から得られた酸化工程処理液を塩基性
    カルシウム化合物と反応させる複分解工程を有する脱硫
    方法において、複分解工程で得られた水酸化マグネシウ
    ムと二水石膏との混合スラリーを脱硫工程と酸化工程の
    両方に返送し、前工程処理液から二水石膏を系外に取り
    出すことを特徴とする排ガスの脱硫方法。
  2. 【請求項2】 前工程処理液から二水石膏を系外に取り
    出す方法において、脱硫工程処理液を石膏分離装置に供
    給し二水石膏スラリーと実質的に二水石膏を含まない液
    とに分離し、液側を脱硫工程と酸化工程へ返送すること
    を特徴とする請求項1記載の排ガスの脱硫方法。
  3. 【請求項3】 前工程処理液から二水石膏を系外に取り
    出す方法において、酸化工程処理液を石膏分離装置に供
    給し二水石膏スラリーと実質的に二水石膏を含まない液
    とに分離し、液側を酸化工程と複分解工程へ返送するこ
    とを特徴とする請求項1記載の排ガスの脱硫方法。
  4. 【請求項4】 複分解工程で得られた水酸化マグネシウ
    ムと二水石膏との混合スラリーを前工程に返送する際、
    前工程処理液の一部を添加した後返送することを特徴と
    する請求項1、2又は3記載の排ガスの脱硫方法。
  5. 【請求項5】 複分解工程で得られた水酸化マグネシウ
    ムと二水石膏との混合スラリー中に、酸化工程処理液の
    一部を添加し溶解しているカルシウムイオン濃度を低下
    させた後、該スラリーを前工程に返送する請求項1、2
    又は3記載の排ガスの脱硫方法。
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