JPH0911399A - アクリルプラスチゾル接着構造物 - Google Patents

アクリルプラスチゾル接着構造物

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JPH0911399A JP7163699A JP16369995A JPH0911399A JP H0911399 A JPH0911399 A JP H0911399A JP 7163699 A JP7163699 A JP 7163699A JP 16369995 A JP16369995 A JP 16369995A JP H0911399 A JPH0911399 A JP H0911399A
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誠七 小林
Yuusuke Shiyoufu
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アクリルプラスチゾルのゲルが金属基体に強
固に接着されていると共に、耐腐食性に優れ、しかもレ
トルト処理等の過酷な熱水処理条件下においても白化傾
向のない接着構造物及び該構造物を製造しうる方法を提
供する。 【構成】 ビスフェノール型エポキシ樹脂及びフェノー
ル樹脂を99:1乃至85:15の重量比で含有する熱
硬化性樹脂層を設けた金属基体乃至有機被覆金属基体
に、アクリルプラスチゾルを施し、加熱によりアクリル
プラスチゾルをゲル化すると同時に前記熱硬化性樹脂層
を介して基体に接着させる。 【効果】 アクリルプラスチゾルのゲル化と同時に熱硬
化性樹脂層への接着が短時間の内に強固に行われ、得ら
れる接着構造物は、耐剥離性、耐腐食性、耐レトルト性
等に顕著に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリルプラスチゾル
と金属基体乃至塗装金属基体との接着構造物に関するも
ので、特に、アクリルプラスチゾルを密封用ライナーと
した金属キャップとして有用な接着構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ホワイトキャップ等の大口径の金
属キャップ用ライナーとしては、PVC(塩化ビニール
樹脂)プラスチゾルが実用化されている唯一無二のもの
であり、それにともなって、ライナーと金属基体との接
着塗料、および金属基体の耐食性保護膜として、PVC
オルガノゾル等の塩化ビニル系塗料が広く用いられてき
た。
【0003】PVCプラスチゾルやPVCオルガノゾル
については、塩化ビニルモノマーの人体への有害性、熱
および光の作用による塩化水素の放出、特定環境下での
ダイオキシンの生成、金属スクラップのリサイクルへの
有害性等の観点から、代替物の開発が検討されている。
【0004】非塩ビ系プラスチゾルとしては、特公昭5
5−16177号公報記載のアクリル系プラスチゾル等
が古くより知られていたが、ゾルの可使時間やゲルの力
学特性等の面で不十分であり、未だ実用化された例はな
い。
【0005】最近になってやっと、特開平6−3222
18号公報や特願平5−330832号のような架橋ア
クリル系プラスチゾルで、PVCプラスチゾル並みの性
能を有した非塩ビ系プラスチゾルが開発されるに至っ
た。
【0006】一方、金属基体の耐食性保護膜としては、
塩ビ系以外にも従来より多数の物が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ホワイトキャップやス
クリューキャップでは、消費者は内容品を使い切るまで
キャップの開け締めを繰り返して使用するが、リシール
性の観点から、その際にライナーが脱落してはならない
ため、ライナーがキャップシェルに強固に固着されてい
ることが要求される。
【0008】非塩ビ系プラスチゾルの実用化に際して、
プラスチゾルと既存耐食性保護膜との接着を検討したと
ころ、強固に接着するプラスチゾルと金属保護膜の組み
合わせがないことが判明した。
【0009】PVCプラスチゾルとPVCオルガノゾル
の組み合わせでは、同種(ほぼ同一)ポリマー間の接着
であったため、PVCオルガノゾルでコーティングした
金属基体上にPVCプラスチゾルをライニングし、数十
秒間という比較的短時間の熱処理で、プラスチゾルをゲ
ル化させると同時に、塗膜とゾル(ゲル)間で樹脂の相
溶化を起こさせ、強固に接着させることが可能であっ
た。
【0010】他方、非塩ビ系プラスチゾルに対しては、
相溶性の金属保護膜が存在せず、たとえ相溶性の良い樹
脂膜があっても、成形加工に耐え、金属基体を保護する
耐食性保護膜として役立つものは存在しなかった。
【0011】また、一般に非塩ビ系プラスチゾルに用い
られる樹脂の分子量が非常に高いことも金属保護膜との
接着を困難にしている要因である。キャップシール用途
では、PVCプラスチゾルに用いられる樹脂の分子量が
数平均分子量で数万であるのに対し、非塩ビ系ではゲル
の力学的性質の面から、少なくとも数十万、百万以上の
物が用いられることも珍しくない。樹脂分子量が高くな
るほど、樹脂層間の拡散層の形成が困難になり、接着が
困難になることは、接着理論に照らし合わせても明らか
である。
【0012】本発明者らは、特定組成のエポキシ樹脂及
びフェノール樹脂を含有する熱硬化性樹脂層を設けた金
属基体乃至有機被覆金属基体に、アクリルプラスチゾル
を施し、これを加熱すると、アクリルプラスチゾルのゲ
ル化とこのゲルの樹脂層への接着とが強固に生じること
を見いだした。
【0013】本発明の目的は、アクリルプラスチゾルの
ゲルが金属基体に強固に接着されていると共に、耐腐食
性に優れ、しかもレトルト処理等の過酷な熱水処理条件
下においても白化傾向のない接着構造物を提供するにあ
る。
【0014】本発明の他の目的は、アクリルプラスチゾ
ルのゲル化と基体への接着とが短時間の内に行われ、ゲ
ルの耐剥離性、金属基体の耐腐食性、塗膜の耐熱水白化
性に優れた接着構造物を製造しうる方法を提供するにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、金属基
体乃至有機被覆金属基体と、アクリルプラスチゾルのゲ
ルとが、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びフェノール
樹脂を99:1乃至85:15、特に97:3乃至9
1:9の重量比で含有する熱硬化性樹脂層を介して接着
されて成ることを特徴とする接着構造物が提供される。
【0016】熱硬化性樹脂中のビスフェノール型エポキ
シ樹脂は、5000乃至50000の数平均分子量と3
500以上のエポキシ当量を有するものであることが好
ましい。
【0017】熱硬化性樹脂中のフェノール樹脂は、二官
能性単環フェノール及び/またはビスフェノール類から
誘導された数平均分子量200乃至1000のフェノー
ル樹脂であることが好ましい。
【0018】一方、アクリルプラスチゾルが10万以上
の数平均分子量を有するアクリル樹脂であることが望ま
しい。
【0019】本発明の典型的な応用例では、金属基体乃
至有機被覆金属基体が蓋であり且つアクリルプラスチゾ
ルが密封用ライナーである。
【0020】高度の耐腐食性を要求される用途には、有
機被覆金属基体がビスフェノール型エポキシ樹脂とフェ
ノール樹脂とを85:15乃至70:30の重量比で含
有する塗料から形成され且つ沸点で1時間のMEK抽出
率が8%未満である硬化塗膜を有する金属基体であるの
がよい。
【0021】本発明によればまた、ビスフェノール型エ
ポキシ樹脂及びフェノール樹脂を99:1乃至85:1
5、特に97:3乃至91:9の重量比で含有する熱硬
化性樹脂層を設けた金属基体乃至有機被覆金属基体に、
アクリルプラスチゾルを施し、加熱によりアクリルプラ
スチゾルをゲル化すると同時に前記熱硬化性樹脂層を介
して基体に接着させることを特徴とする接着構造物の製
造方法が提供される。
【0022】
【作用】本発明は、ビスフェノール型エポキシ樹脂とフ
ェノール樹脂とを特定の量比で含有する熱硬化性樹脂層
上に、アクリルプラスチゾルを施し且つ加熱ゲル化させ
ると、このゲルの熱硬化性樹脂に対する強固な接着が生
じしかもこの接着構造物は耐レトルト性にも顕著に優れ
ているという知見に基づくものである。本発明に用いる
熱硬化性樹脂層は、金属基体に対する保護層としての作
用と、アクリル樹脂のゲルに対する接着層としての二重
の作用を示す点で特異的なものである。
【0023】即ち、本発明に用いる熱硬化性樹脂層で
は、ビスフェノール型エポキシ樹脂とフェノール樹脂と
を99:1乃至85:15、特に97:3乃至91:9
の重量比で含有することが、アクリルプラスチゾルのゲ
ルとの接着力を高め、且つ接着構造物の耐レトルト性を
高めるために特に重要である。
【0024】後述する実施例の表1を参照されたい。エ
ポキシ樹脂の量が上記範囲を下回る場合には、ゲル化ア
クリル樹脂との接着力が1kgf/10mmを下回るの
に対して、エポキシ樹脂の配合量を上記範囲以上とする
ことにより、1.5kgf/10mm以上、特に2.0k
gf/10mm以上の接着力が得られる。一方、フェノ
ール樹脂の量が上記範囲を下回ると、この熱硬化性樹脂
層の耐レトルト性が低下し、従って接着構造物の耐レト
ルト性も低下するようになる。
【0025】本発明に用いる熱硬化性樹脂において、ゲ
ル化アクリル樹脂との接着に役立つ成分は、実施例から
明らかなとおり、ビスフェノール型エポキシ樹脂成分で
あると考えられる。即ち、熱硬化性樹脂中のビスフェノ
ール型エポキシ樹脂成分は加熱されるアクリルプラスチ
ゾルと混和し、このゾルのゲル化に伴って、強固な接着
結合を形成するものと認められる。一方、熱硬化性樹脂
中のフェノール樹脂成分は、エポキシ樹脂に対する硬化
剤成分であり、これがエポキシ樹脂を硬化させることに
より、耐レトルト性を付与するものと認められる。
【0026】本発明に用いる熱硬化性樹脂では、硬化剤
としてのフェノール樹脂を比較的少ない量で含有するこ
とに関連して、エポキシ樹脂として、数平均分子量50
00乃至50000及びエポキシ当量3500以上の高
分子ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが、皮
膜の耐レトルト性、強度、凝集力等の上で重要である。
【0027】即ち、エポキシ樹脂の分子量やエポキシ当
量が、上記範囲よりも低い場合には、後述する表4に示
すとおり、レトルト処理により白化を生じやすく、被覆
の耐性が著しく低下する。一方、エポキシ樹脂の分子量
が上記範囲を上回ると、熱硬化性樹脂の塗装作業性が低
下する。
【0028】また、フェノール樹脂成分は、二官能性単
環フェノール及び/またはビスフェノール類から誘導さ
れた200乃至1000の数平均分子量を有するフェノ
ール樹脂であることも、熱硬化性樹脂層の皮膜物性、基
体への密着性、耐レトルト性等に関して重要である。即
ち、フェノール樹脂の官能基、即ちメチロール基の濃度
は、数平均分子量に反比例するが、上記範囲よりも大き
いと耐レトルト性や基体への密着性が低下し、一方上記
範囲よりも小さいと、皮膜物性が低下したり、ゲル化ア
クリル樹脂への接着性が低下する傾向がある。
【0029】本発明では、金属基体乃至有機被覆金属基
体に、上記エポキシ樹脂−フェノール樹脂の熱硬化性樹
脂層を設けることにより、アクリルプラスチゾルのゲル
化と接着とを同時に行うが、この熱硬化性樹脂層の下側
に、ビスフェノール型エポキシ樹脂とフェノール樹脂と
を85:15乃至70:30の重量比で含有する塗料か
ら形成され且つ沸点で1時間のMEK抽出率が8%未満
である硬化塗膜を設けておくと、耐腐食性、耐レトルト
性、耐剥離性等に一層優れた接着構造物を得ることがで
きる。
【0030】更に、アクリルプラスチゾルから形成され
るゲル化アクリル樹脂の機械的強度や、耐クリープ性に
関連するが、このプラスチゾル中のアクリル樹脂は、1
0万以上、特に100万以上の数平均分子量を有するこ
とが好ましい。
【0031】アクリルプラスチゾルのゲル化樹脂の機械
的性質や熱的性質からは、アクリル樹脂がメチルメタク
リレート(MMA)を主たる単量体成分とするものが好
ましく、また、プラスチゾルの貯蔵安定性の点では、官
能基含有単量体成分の少量を含有するアクリル樹脂であ
ることが望ましい。
【0032】また、最終ゲル化アクリル樹脂の物性や、
基体への接着性の見地からは、アクリルプラスチゾルが
溶解度指数(SP値)が8.9乃至9.7の可塑剤、即
ち、アクリル樹脂とエポキシ樹脂との双方に対する相溶
性に優れた可塑剤を含有していることが好ましい。
【0033】更に、アクリルプラスチゾルとして、官能
基を含有するアクリル樹脂と前記官能基に対して反応性
を有する架橋剤とを含有するものを用いると、最終ゲル
化アクリル樹脂の機械的性質が改善されるばかりではな
く、熱硬化性樹脂層を介しての接着力も改善される。
【0034】更にまた、アクリルプラスチゾル中のアク
リル樹脂が10乃至80%のテトラヒドロフラン不溶解
分を有するアクリル樹脂である場合には、プラスチゾル
の貯蔵安定性が向上し、最終ゲル化アクリル樹脂の機械
的性質も向上するという利点が達成される。
【0035】本発明の接着構造物は、金属基体乃至有機
被覆金属基体が容器蓋であり且つアクリルプラスチゾル
が密封用ライナーである場合に特に顕著な利点をもたら
すものであり、供給用ホッパー内でのライナー離脱がな
く、耐レトルト性、持続密封性、耐圧密封性等に優れ、
廃棄処理も容易で、環境に優しい容器蓋を供給すること
ができる。
【0036】本発明の接着構造物の製造方法によると、
前述したエポキシ樹脂成分とフェノール樹脂成分とから
成る熱硬化性樹脂層を設けた基体上に、アクリルプラス
チゾルを施し、これを加熱するのみで、プラスチゾルの
ゲル化とこのゲルの接着が同時に進行し、一体化した接
着構造物を容易に製造できるという利点もある。このゲ
ル化と接着とは、例えば90秒以内という短時間の内に
進行することも本発明の利点である。
【0037】
【発明の好適態様】
「接着構造物及び製法の概要」 容器蓋の形の接着構造物の一例を示す図1において、金
属基体乃至有機被覆金属基体1は、天面2と短い周壁部
3とを備えたキャップシェルであり、このキャップの天
面2の内面側には、プラスチゾルのゲル化物から成る密
封用ライナー4が設けられている。周壁部3には、容器
口部への係止用ねじ5が形成されている。
【0038】天面2の部分の一例を拡大して示す断面図
2において、このキャップシェル1は、金属基体6と、
その外面に施された外面保護塗膜7と、その内面に施さ
れた特定の熱硬化性樹脂層8とから成っている。この熱
硬化性樹脂層8は、ビスフェノール型エポキシ樹脂とフ
ェノール樹脂とを前述した特定の量比で含有する熱硬化
性樹脂から成っており、この熱硬化性樹脂層8を介し
て、アクリル樹脂のライナー4は基体に強固に接着され
ている。外面保護塗膜7は上記熱硬化性樹脂層8と同一
のものでも或いは一般の保護塗膜であってもよい。
【0039】天面2の部分の他の例を拡大して示す断面
図3において、このキャップシェル1は、金属基体6
と、その外面に施された外面保護塗膜7と、その内面に
施された内面保護塗膜9と、内面保護塗膜9の上に施さ
れた特定の熱硬化性樹脂層8とから成っている。この熱
硬化性樹脂層8も、ビスフェノール型エポキシ樹脂とフ
ェノール樹脂とを前述した特定の量比で含有する熱硬化
性樹脂から成っており、この熱硬化性樹脂層8を介し
て、アクリル樹脂のライナー4は基体に強固に接着され
ている。外面保護塗膜7及び内面保護塗膜9は耐腐食性
に優れた一般の保護塗膜である。
【0040】上記接着構造物の製造工程を示す図4の工
程Aにおいて、先ず図2或いは図3に示す断面構造の塗
装金属板をキャップシェル1の形に成形する。工程Bに
おいて、このキャップシェル1を内面側が上向きとなる
ように回転チャック10上に保持して回転させ、ノズル
11からアクリルプラスチゾル12を所定量注下する。
天面の内面側に注下されたプラスチゾル12は遠心力の
作用により、天面全体に展延されると共に、周壁の部分
で盛り上がりが形成され、所定のライナー形状への成形
が行われる。工程Cにおいて、ライニングしたキャップ
を加熱オーブン13に供給し、熱風或いは赤外線等によ
りライナー形状のプラスチゾル12を加熱する。これに
より、プラスチゾルがゲル化すると共に前記熱硬化性樹
脂層への接着が生じて、アクリル樹脂のライナーを備え
たキャップ14が得られる。
【0041】「金属基体」 本発明の接着構造物は、密封を必要とする分野、特に包
装用分野に広く使用されている金属基体に適用できる。
金属基体として、各種金属板、特に各種表面処理鋼板や
アルミニウム等の軽金属板が使用される。
【0042】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、クロムメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理
等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いる
ことができる。好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロ
ム酸処理鋼板であり、特に10乃至200mg/m2
金属クロム層と1乃至50mg/m2 (金属クロム換
算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このもの
は塗膜密着性と耐腐食性との組合せに優れている。表面
処理鋼板の他の例は、0.6乃至11.2g/m2 の錫
メッキ量を有するブリキ板である。このブリキ板は、金
属クロム換算で、クロム量が1乃至30mg/m2 とな
るようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行
われていることが望ましい。更に他の例としてはアルミ
ニウムメッキ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウ
ム被覆鋼板が用いられる。
【0043】軽金属板としては、所謂純アルミニウム板
の他にアルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Z
n:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.16乃
至0.26重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が20乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理
或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ま
しい。
【0044】金属板の厚みは、金属の種類、用途或いは
サイズによっても相違するが、容器蓋の場合、一般に
0.10乃至0.30mm、特に0.13乃至0.23
mmの厚みを有するのがよく、この内でも表面処理鋼板
の場合には、0.13乃至0.20mmの厚み、また軽
金属板の場合には0.15乃至0.23mmの厚みを有
するのがよい。
【0045】上記金属基体に対しては、エポキシ樹脂−
フェノール樹脂の特定の組み合わせから成る熱硬化性樹
脂層を直接設けることもできるし、また、それ自体公知
の耐腐食性に優れた保護塗膜を、金属基体の内面或いは
外面に予め形成させておくこともできる。かかる保護塗
膜としては、公知の熱硬化性樹脂塗料、例えば、フェノ
ール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒ
ド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホ
ルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラ
ミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、
トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、
シリコーン樹脂、油性樹脂等、或は熱可塑性樹脂塗料、
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸
ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹
脂等を挙げることができる。これらの樹脂塗料は単独で
も2種以上の組合せでも使用される。保護塗膜の厚さ
は、一般に1乃至20μmの範囲にあるのがよい。
【0046】また、金属基体に設ける保護塗膜は、熱可
塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート等の
フィルム層であってもよい。フィルムの厚みは、2乃至
50μmの範囲にあるのがよい。
【0047】「熱硬化性樹脂層」 本発明で保護層兼接着層として使用する熱硬化性樹脂
は、ビスフェノール型エポキシ樹脂とフェノール樹脂と
を99:1乃至85:15、特に97:3乃至91:9
の重量比で含有する。
【0048】ビスフェノール型エポキシ樹脂成分として
は、ビスフェノール類とエピハロヒドリンとから誘導さ
れたエポキシ樹脂の内、数平均分子量5000以上及び
エポキシ当量3500以上のものが好適に使用される。
【0049】本明細書において、ビスフェノール類と
は、フェノール性水酸基が結合した環を2個有するフェ
ノール類の意味であり、かかるビスフェノールの代表的
な例として、式(1) HO−Φ−R−Φ−OH ‥‥(1) 式中、Rは直接結合或は2価の橋絡基を表わし、Φはフ
ェニレン基(オルソ、メタ及び/またはパラ)を表す。
で表わされる2価フェノールがある。式(1)の2価フ
ェノールにおいて、2価の橋絡基Rとしては、式−C
R’R’−(式中、R’の各々は水素原子、ハロゲン原
子、炭素数4以下のアルキル基、またはパーハロアルキ
ル基である)のアルキリデン基、−O−、−S−、−S
O−、−SO2 −、−NR”−(式中、R”は水素原子
または炭素数4以下のアルキル基である)の基等を挙げ
ることができるが、一般にはアルキリデン基又はエーテ
ル基が好ましい。このような2価フェノールの適当な例
は、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(ビスフェノ−ルA)、2,2’−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、1,1’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4
−,3−または2−ヒドロキシフェニル)メタン(ビス
フェノールF)、4−ヒドロキシフェニルエーテル、p
−(4−ヒドロキシ)フェノール、等であるが、ビスフ
ェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールBが
最も好適である。
【0050】このエポキシ樹脂は、下記一般式(2) 式中、Rは2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパンの縮合残基であり、nは樹脂の平均分子量が5
000以上となるように選択される数である、で表され
る。好適なエポキシ樹脂は、エピコート1010Jとし
て入手しうる。
【0051】フェノール樹脂成分としては、二官能性単
環フェノール及び/またはビスフェノール類とホルムア
ルデヒドとから誘導されたフェノール樹脂で、一層好適
には、200乃至1000の数平均分子量を有するフェ
ノール樹脂が使用される。
【0052】二官能性単環フェノールとしては、下記式
(3) 式中、R1 は水素原子又は炭素数4以下のアルキル基又
はアルコキシ基であって、3個のR1 の内2個は水素原
子であり、かつ1個はアルキル基又はアルコキシ基であ
るものとし、Rは水素原子又は炭素数4以下のアルキル
基である。で表わされる2官能性フェノール、例えば、
o−クレゾール、p−クレゾール、p−tertブチルフェ
ノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノー
ル、2,5−キシレノール等の2官能性フェノールの1
種又は2種以上の組合せが最も好ましい。勿論、上記式
(3) の2官能性フェノールの他に、フェノール(石炭
酸)、m−クレゾール、m−エチルフェノール、3,5
−キシレノール、m−メトキシフェノール等の3官能性
フェノール類;2,4−キシレノール、2,6−キシレ
ノール等の1官能性フェノール類;p−tert−アミルフ
ェノール、p−ノニルフェノール、p−フェニルフェノ
ール、p−シクロヘキシルフェノール等のその他の2官
能性フェノールも、その本質を損なわない範囲の少量で
組み合わせ使用することができる。
【0053】ビスフェノール類としては、エポキシ樹脂
に関して述べた式(1)のビスフェノール類が使用され
る。勿論、二官能性単環フェノールとビスフェノール類
は組み合わせで使用してもよいことが理解されるべきで
ある。
【0054】本発明に用いるレゾール型フェノールアル
デヒド樹脂成分は、上述したフェノールとアルデヒドと
を塩基性触媒の存在下に反応させることにより得られ
る。フェノールに対するアルデヒドの使用量には特に制
限はなく、従来レゾール型樹脂の製造に使用されている
量比で用いることができ、例えばフェノール類1モル当
たり1モル以上、特に1.5 乃至3.0 モルの量比のアルデ
ヒドを好適に用いることができるが、1モルよりも少な
いアルデヒドを用いても特に不都合はない。
【0055】縮合は、一般に適当な反応媒体中、特に水
性媒体中で行うのが望ましい。塩基性触媒としては、従
来レゾール型樹脂の製造に使用されている塩基性触媒の
いずれもが使用でき、就中、アンモニアや、水酸化マグ
ネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化マ
グネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性塩化マグ
ネシウム、塩基性酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金
属等の水酸化物、酸化物或は塩基性塩等が好適に使用さ
れる。これらの塩基性触媒は、反応媒体中に触媒量、特
に0.01乃至0.5 モル%の量で存在させればよい。縮合条
件は、特に制限はなく、一般に80乃至130℃の温度
で1乃至10時間程度の加熱を行えばよい。生成する樹
脂はそれ自体公知の手段で精製することができ、例え
ば、反応生成物たる樹脂分を例えばケトン、アルコー
ル、炭化水素溶媒或はこれらの混合物で反応媒体から抽
出分離し、必要により水で洗浄して未反応物を除去し、
更に共沸法或は沈降法により水分を除去して、エポキシ
樹脂に混合し得る形のレゾール型フェノールアルデヒド
樹脂とすることができる。
【0056】ビスフェノール型エポキシ樹脂とフェノー
ル樹脂とは、溶液の形で混合し、この混合物の形で用い
ることもできるが、一般には予備縮合を行い、この予備
縮合物の形で、金属基体乃至有機被覆金属基体への塗布
に用いるのがよい。予備縮合は、100乃至130℃の
温度で1乃至10時間程度行うのがよい。
【0057】ビスフェノール型エポキシ樹脂−フェノー
ル樹脂に対する溶媒としては、トルエン、キシレン等の
芳香族溶媒、エタノール、ブタノール等のアルコール系
溶媒、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のセルソ
ルブ系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等
のケトン系溶媒、酢酸ブチル等のエステル系溶媒の1種
或いは2種以上を用いることができ、固形分が10乃至
50%の溶液の形で塗料とする。
【0058】この塗布用組成物にはそれ自体公知の変性
剤や配合剤、例えば脂肪酸、重合脂肪酸、ロジン、乾性
油、キシレン樹脂等の改質剤を混合乃至は予備縮合によ
り含有させることができ、更にビニルアセタール樹脂、
シリコーンオイル等のレべリング剤、ワックス等の滑
剤、リン酸やナフテン酸金属塩の硬化促進剤等を配合し
得る。
【0059】上記組成物は、例えば浸漬塗り、ローラコ
ート、スプレー塗布、ハケ塗り、静電塗装、電着塗装、
ワイヤーコート、フローコート、ドクターコート等の任
意の手段で、容器蓋形成用の素材或いは容器蓋に塗布す
ることができる。熱硬化性樹脂層の厚みは、一般に乾燥
物基準で0.5乃至20ミクロン、特に1乃至15ミク
ロンの範囲にあるのがよい。
【0060】熱硬化性樹脂の硬化条件は、樹脂組成物中
のエポキシ樹脂成分やフェノール樹脂成分の種類によっ
ても相違するが、一般的に言って150乃至230℃の
温度及び2乃至20分間の焼付時間の内から、耐薬品性
や耐熱水性の点で十分な硬化が達成される条件を選べば
よい。
【0061】「アクリルプラスチゾル」 本発明に用いるプラスチゾルは、分散媒としての可塑剤
と分散粒子層としてのアクリル樹脂とから成る。
【0062】アクリル系樹脂の樹脂の主体となるアクリ
ル酸やメタクリル酸のエステルとしては、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)
アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミ
ル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オク
チル等がある。ただし上記の(メタ)アクリル酸とはア
クリル酸もしくはメタクリル酸を示す。上記(メタ)ア
クリル酸エステルは単独でも組み合わせても使用でき、
また他の単量体との共重合体でもよい。好適なエステル
は、単独重合したときのガラス転移点が60℃以上のポ
リマーを与えるメタクリル酸のメチル、エチル、イソプ
ロピル、イソブチルエステルなどであり、特にメタクリ
ル酸メチル(MMA)が好ましい。
【0063】これらの単量体と共に共重合される他の共
単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等を挙げる
ことができる。
【0064】プラスチゾルのポットライフ及びゲルの機
械的特性の点で、単独重合したときのガラス転移点が6
0℃以上のポリマーを与える(メタ)アクリル酸エステ
ル単位が、アクリル系樹脂成分当たり50重量%以上、
特に60重量%以上存在するのが望ましい。
【0065】プラスチゾルの貯蔵安定性の点では、アク
リル樹脂は官能基含有単量体成分の少量を含有している
ことが望ましく、官能基含有単量体成分としては、カル
ボキシル基、その塩の基、アミド基、水酸基、アミノ
基、エポキシ基、メチロール基、及びエーテル化メチロ
ール基を有するものであり、具体的には次のものが挙げ
られる。エチレン系不飽和カルボン酸またはその無水
物;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸等。これらの酸基含有モノマー単
位は、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の金属塩類
やアンモニウム塩、アミン塩等の形で存在していてもよ
い。アミド基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル
アミド等が挙げられる。水酸基含有モノマー単位として
は、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ
エチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピ
ルエステル、アクリル酸プロピレングリコールモノエス
テル等が挙げられる。アミノ基含有モノマー単位として
は、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メ
タ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、ビニルピリジ
ン、2−ビニル−5−エチルピリジン、(メタ)アクリ
ル酸オキサゾリルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シエチルアミノエチル等が挙げられる。エポキシ基含有
モノマーとしては、(メタ)アクリル酸グリシジルエー
テル、アリルグリシジルエーテル、ブタンモノオキシド
等が挙げられる。メチロール基及びエーテル化メチロー
ル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミ
ドのジメチロール化物や、そのエーテル化物、例えばエ
チルエーテル化物或いはブチルエーテル化物等が使用さ
れる。
【0066】これらの官能基含有モノマーはアクリル系
樹脂中に、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロ
ック共重合体の形で存在することができる。重合体鎖中
の絡み合いが十分に生じている場合、または重合体鎖間
を結ぶ架橋効果が十分に期待できる場合は、単独重合体
の形で存在することも許容される。
【0067】アクリル系樹脂粒子中における官能基含有
モノマー成分の割合は、上述したカルボキシル基、その
塩の基、アミド基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、メ
チロール基、及びエーテル化メチロール基から成る群よ
り選ばれた極性基が、粒子重量当たり30乃至330ミ
リモル/100g、特に50乃至250ミリモル/10
0gの濃度で含有されるものであればよい。極性基の濃
度が上記範囲を下回ると、ポットライフが上記範囲内の
ものに比して低下し、最も重要なことは、耐クリープ性
が上記範囲内のものに比して低下するようになる。一方
極性基の濃度が上記範囲を上回ると、加熱により柔軟で
強靭なゲルを形成するゲル化性能が上記範囲内のものに
比して低下するようになる。
【0068】アクリル系プラスチゾルの粘度安定性、す
なわちポットライフの面から、アクリル系樹脂粒子は、
(メタ)アクリル酸エステル単位を主体とするコア部
と、極性基濃度の高いシェル部を有するコア/シェル構
造をとることが望ましい。プラスチゾルの貯蔵時におい
て、極性基濃度の高いシェル部が可塑剤の粒子中への侵
入を防ぐため、粒子の膨潤または溶解による増粘を抑制
し、プラスチゾルに優れた貯蔵安定性(ポットライフ)
を付与する。また、粒子最外殻のシェル部に反応性の極
性基が多く存在することにより、プラスチゾルの加熱ゲ
ル化時に新たに重合体鎖間の絡み合いが生じる粒子界面
での架橋反応が迅速に起こり、耐クリープ性の向上に効
果的である。
【0069】アクリル系樹脂は、強靭なゲルを形成する
のに足る分子量を有するべきであり、一般に10万以
上、特に20万以上、最も好適には100万以上の分子
量を有していることが望ましい。また、特にアクリルプ
ラスチゾルが高温で際立った耐クリープ性が要求される
ような用途に用いられる場合は、予めアクリル系樹脂粒
子の重合段階で架橋構造を導入しておくことも有効であ
る。
【0070】アクリルプラスチゾル中にアクリル系樹脂
の官能基に対して反応性を有する架橋剤を含有させる
と、ゲルの機械的性質の向上及び接着性の増大に有効で
ある。アクリル系樹脂のカルボキシル基やその塩の基に
対してはエポキシ基、水酸基、アミノ基、イソシアナー
ト基、メチロール基或いはエーテル化メチロール基等を
有するもの、アミド基に対してはエポキシ基、メチロー
ル基或いはエーテル化メチロール基を有するもの、水酸
基に対してはカルボキシル基、エポキシ基、イソシアナ
ート基、メチロール基或いはエーテル化メチロール基を
有するもの、アミノ基に対してはエポキシ基、イソシア
ナート基を有するもの、エポキシ基に対してはカルボキ
シル基、その塩の基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、
メチロール基或いはエーテル化メチロール基を有するも
の、メチロール基及びエーテル化メチロール基に対して
はカルボキシル基、その塩の基、水酸基、エポキシ基、
メチロール基及びエーテル化メチロール基を有するもの
等が使用される。
【0071】この様な架橋剤成分としては、エポキシ化
合物、メチロール化乃至エーテルメチロール化アミノ樹
脂、変性乃至未変性のポリアミン、変性乃至未変性のポ
リアミドアミン、メチロール化乃至エーテルメチロール
化フェノール樹脂等が使用される。また、架橋剤成分
が、前記アクリル系樹脂と反応性を有するビニル系のオ
リゴマー乃至ポリマーであってもなんら差し支えない。
これらは単独で使用しても、複数の組み合わせで使用し
てもよく、また他の架橋助剤や架橋触媒との組み合わせ
で用いてもよい。
【0072】架橋剤成分が上記非ビニル系樹脂である場
合、架橋剤成分のアクリル系樹脂粒子中への導入は、ア
クリル系樹脂を形成する前記単量体成分の重合時に、単
量体成分に架橋剤成分を溶解乃至部分的に可溶化した状
態で含有させた組成物を調製し、該組成物を水相中に乳
化乃至懸濁させ、乳化重合、乳化播種重合、微細懸濁重
合或いは微細懸濁播種重合を行うことによって導入す
る。
【0073】好適な架橋剤成分は、アクリル系樹脂を形
成する単量体に溶解乃至部分的に溶解し、さらに単量体
のラジカル重合時に重合禁止剤とならないものである。
アクリル系樹脂の主成分である(メタ)アクリル酸エス
テルへの相溶性は、エポキシ化合物、メチロール化乃至
エーテルメチロール化アミノ樹脂、メチロール化乃至エ
ーテルメチロール化フェノール樹脂等が良好であり、単
量体のラジカル重合性に全く悪影響を与えないという点
では、ビスフェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ化合
物、メチロール化乃至エーテルメチロール化アミノ樹脂
等が優れている。一般に、フェノール樹脂系の架橋剤は
ラジカル重合禁止剤となるものが多い。
【0074】架橋剤樹脂成分がアクリル系樹脂と反応性
を有するビニル系オリゴマー乃至ポリマーである場合
は、架橋剤樹脂成分のアクリル系樹脂粒子への導入法と
しては、アクリル系樹脂を形成する前記単量体成分の重
合時に、単量体成分に別途重合した反応性ビニル系オリ
ゴマー乃至ポリマーを溶解乃至部分的に可溶化した状態
で含有させた組成物を調整し、乳化重合、乳化播種重
合、微細懸濁重合或いは微細懸濁播種重合を行うという
第一の導入法:予め乳化乃至微細懸濁重合したアクリル
系樹脂粒子をシードとした架橋剤樹脂の播種重合、また
その逆の架橋剤樹脂粒子をシードとしたアクリル系樹脂
の播種重合による第二の導入法:さらに、架橋剤樹脂の
形成に用いられる単量体とアクリル系樹脂の形成に用い
られる単量体を同時に乳化重合、乳化播種重合、微細懸
濁重合或いは微細懸濁播種重合を行う第三の導入法が用
いられる。
【0075】一般に、架橋剤成分とアクリル系樹脂の架
橋反応は開環乃至縮合反応で進行し、100〜250
℃、特に150〜230℃の温度範囲でプラスチゾルの
ゲル化とともに架橋反応が進行する官能基の組み合わせ
が選択される。一方、単量体の重合はラジカル付加反応
で進行し、25〜100℃、特に40〜85℃の温度範
囲で重合が行われるため、アクリル系樹脂組成物の調製
時には、架橋剤樹脂成分の官能基とアクリル系樹脂の官
能基は未反応である場合がほとんどである。但し、架橋
反応に要する時間を節約するなどの特別な場合は、単量
体の重合条件で架橋反応も同時に進行するような官能基
の組み合わせも採用される。また、官能基を有する単量
体と架橋剤樹脂成分を予め反応させたマクロモノマーが
アクリル系樹脂組成物の形成に用いられる場合もある。
【0076】エポキシ化合物としては、分子内に2個以
上のオキシラン環を有するエポキシ化合物、特にエポキ
シ樹脂が使用され、中でも、ビスフェノールA及びビス
フェノールF等のビスフェノール類とエピクロルヒドリ
ンとの重縮合により得られたビスフェノール型エポキシ
樹脂が好適であり、そのエポキシ当量は一般に140乃
至4000、特に170乃至2500の範囲及び数平均
分子量は、290乃至5500、特に350乃至350
0の範囲にあるものが好ましい。
【0077】メチロール化乃至エーテルメチロール化ア
ミノ樹脂としては、分子内に多数のメチロール基を有す
る尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を
挙げることができる。エーテル型樹脂は、上記樹脂のメ
チロール基をエタノールやブタノール等のアルコール類
でエーテル化したものが使用される。
【0078】架橋剤樹脂成分が前記非ビニル系樹脂であ
る場合は、アクリル系樹脂組成物中の架橋剤樹脂成分の
割合は、0.5〜30重量%、特に1.0〜15重量%
の範囲内の濃度で含有されるものであればよい。また、
アクリル系樹脂組成物中の官能基濃度は、架橋剤成分中
の官能基も考慮して、樹脂組成物100g当たり30乃
至330ミリモル、特に50乃至250ミリモルの範囲
にあるのがよい。架橋剤濃度が上記範囲を下回ると、耐
クリープ性が上記範囲内のものに比して低下し、一方、
架橋剤濃度が上記範囲を上回ると、ポットライフ及びゲ
ル化性能が上記範囲内のものに比べて低下するようにな
る。
【0079】架橋剤成分がビニル系樹脂である場合は、
アクリル系樹脂組成物中における官能基含有モノマー成
分の割合は、粒子重量当たり30乃至330ミリモル/
100g、特に50乃至250ミリモル/100gの濃
度で含有されるものであればよい。既に指摘した通り、
官能基の濃度が上記範囲を下回ると、ポットライフが上
記範囲内のものに比し低下し、最も重要なことには、耐
クリープ性が上記範囲内のものに比して低下するように
なる。一方官能基の濃度が上記範囲を上回ると、ゲル化
性能が上記範囲内のものに比して低下するようになる。
【0080】本発明で用いるアクリル系樹脂粒子は、プ
ラスチゾル用に好適な単一粒子径が0.01〜10μ
m、特に0.2〜5μmの粒子であり、その製造にあた
っては、乳化重合法、乳化播種重合法、微細懸濁重合法
または微細懸濁播種重合法等の公知の方法が用いられ
る。
【0081】プラスチゾル中の可塑剤としては、フタル
酸等の芳香族二塩基酸乃至多塩基酸のエステル類;脂肪
族二塩基酸乃至多塩基酸のエステル類;リン酸エステル
類;ヒドロキシ多価カルボン酸エステル;脂肪酸エステ
ル;多価アルコールエステル;或いはエポキシ化油等の
内、アクリル樹脂に適したものが使用される。
【0082】好適な可塑剤は、溶解度指数(SP値)が
8.5より大で且つ 9.7より小さい範囲にあるもの
である。ここで、溶解度指数(Solubility
Parameter、SP値)は、物質の相溶性を評価
するための目安として、広く使用されているものであっ
て、このSP値とは、J.BRANDRUP等編 Po
lymer Handbook (1967年) 第4
章に定義されているように、凝集エネルギー密度の1/
2乗値である。
【0083】可塑剤を構成する芳香族カルボン酸として
は、フタル酸が挙げられ、脂肪族カルボン酸としては、
アジピン酸、アゼライン酸或いはセバシン酸等が挙げら
れ、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸が挙
げられる。エステル中のアルキル基としては、エチル、
プロピル、ブチル等の低級アルキル基が使用され、上記
分子量を満足する範囲では、イソデシル基、オクチル基
(エチルヘキシル基)等の高級アルキル基や、ベンジル
基やクレシル基等のアラールキル基を有するものも使用
される。具体的には、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチ
ルベンジル、クエン酸アセチルトリブチル(ATB
C)、ブチルフタリルブチルグリコレート、リン酸トリ
クレジル(TCP)等が挙げられるが、クエン酸アセチ
ルトリブチル(ATBC)が最も好適である。
【0084】アクリル系樹脂と可塑剤との重量比は、塗
布成形時に十分な流動性が得られ、ゲル化時には十分な
物性が得られるようなものであり、一般的に言って、ア
クリル系樹脂100重量部当たり、50乃至120重量
部、特に60乃至100重量部の範囲にあるのがよい。
【0085】本発明に用いるプラスチゾル組成物は、可
塑剤中に架橋剤樹脂の一部を溶解乃至分散した形で含有
することができる。可塑剤中の架橋剤樹脂は、アクリル
系樹脂粒子中の架橋剤と同一であっても異なっていても
差し支えない。プラスチゾル組成物が加熱ゲル化する場
合において、可塑剤中の架橋剤は、新たにポリマー鎖の
絡み合いが生成するアクリル系粒子界面の補強に有効に
働いて耐クリープ性を向上させる。
【0086】アクリル系樹脂と可塑剤中の架橋剤の重量
比は、アクリル系樹脂粒子中の官能基濃度や架橋剤樹脂
濃度等によっても相違するが、一般的に言って、アクリ
ル系樹脂組成物100重量部当たり20重量部以下、特
に15重量部以下の範囲で含有するのが良好な結果を与
える。架橋剤量が上記範囲よりも多いと、塗布成形時の
流動性が低下したり、或いはゲル化生成物の硬度が高く
なりすぎて、クッション性や柔軟性が失われたり、低分
子量物の割合が多くなり、むしろ耐クリープ性を損なう
ような不都合が生じる。
【0087】このプラスチゾルには、それ自体公知の樹
脂配合剤、例えば、充填剤、着色剤、熱安定剤、発泡
剤、酸化防止剤、増粘剤、減粘剤、希釈剤、酸素吸収剤
等をそれ自体公知の処方に従って配合することができ
る。
【0088】本発明に用いるプラスチゾル組成物は、そ
れ自体公知の分散機、例えば、らい潰機、ホモディスパ
ー、スパイラル・ピンミキサー、アトライター等を用
い、それ自体公知の配合処方で調製すればよい。
【0089】「接着構造物の製造」 本発明の製法によれば、ビスフェノール型エポキシ樹脂
及びフェノール樹脂を特定の重量比で含有する熱硬化性
樹脂層を設けた金属基体乃至有機被覆金属基体に、アク
リルプラスチゾルを施し、加熱によりアクリルプラスチ
ゾルをゲル化すると同時に前記熱硬化性樹脂層を介して
基体に接着させる。
【0090】この接着構造物は、PVCプラスチゾルが
従来広く使用されている各種用途、例えばライナー乃至
ガスケットを備えた各種建材、内装品、家具、玩具、日
用品、雑貨、容器乃至容器蓋等の分野に有用であり、特
に容器密封用の蓋として有用である。プラスチゾルの施
用に先立って、熱硬化性樹脂層を設けた金属基体を所定
形状に成形する。
【0091】プラスチゾルのコーティングには、スプレ
ッド法、ディッピング法、スピンコート法、グラビアコ
ート法、スプレー塗布法、スクリーンコート法等が採用
されるが、各種容器や容器蓋の密封用ガスケット乃至ラ
イナー等の形成には、スピンコートが有用である。
【0092】アクリルプラスチゾルは、一般に室温で5
乃至500ポイズの粘度を有することが、塗布、成形時
の作業性の点で好ましく、一方、ゲル化時の硬度は、用
途によっても相違するが、前述した密封用ガスケット乃
至ライナー等の用途には、30乃至75の硬度(JIS
−A)を有するのがよい。
【0093】プラスチゾルのゲル化及び接着は、150
乃至250℃、特に180乃至220℃の温度に1乃至
3分間加熱することにより容易に行うことができる。
【0094】
【実施例】本発明を次の例で更に説明する。尚、実施例
中で用いた%、部、及び比率は、特に断らない限り、重
量%、重量部、及び重量比を示す。
【0095】[アクリルプラスチゾルの調製]2L丸底
セパラブルフラスコにモノマー400g、アゾビスイソ
ブチロニトリル(AIBN)0.5g、セチルアルコー
ル2.8g、ステアリルアルコール2.0gを投入し、
撹拌して溶解させた。(分子量調整のためには、上記モ
ノマー溶液にn−ドデシルメルカプタンを0.5g以下
の量で、適宜配合して使用した。)次にドデシル硫酸ナ
トリウム4gと蒸留水450gとの予備混合物を加え、
クイック・ホモミキサーの12000rpmで10分間
の高速撹拌処理を行って、微細懸濁液を調製した後、蒸
留水450gを加えて希釈した。
【0096】調製されたモノマー微細懸濁液の入った2
L丸底セパラブルフラスコを、撹拌機、冷却管、温度セ
ンサー、窒素導入口を備えたセパラブルカバーに装着
し、温浴中、窒素置換下で、63℃に4〜5時間保持し
て重合を行った。重合中は、粒子が凝集しないような低
速で撹拌を行った。重合されたサスペンションの粒子径
は、レーザー回折式粒度分布測定機によって測定し、得
られた重量平均値を一次粒子径とした。得られたサスペ
ンションを噴霧乾燥機で乾燥し、粒径20〜30μmの
二次粒子に造粒してアクリル粉末を調製した。
【0097】アクリル樹脂の分子量は、GPC(ゲルパ
ーミエーション・クロマトグラフィー)測定によって行
った。テトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒とし、
標準ポリスチレンによる検量線から、数平均分子量を算
出した。アクリル樹脂のTHF不溶解分は、以下のよう
にして決定した。200mlの共栓付三角フラスコに、
樹脂濃度が1〜3重量%になるようにアクリル樹脂(A
g)及びTHF(Bg)を秤取り、電磁スターラーで攪
拌下、三昼夜(72時間)保持してTHF溶解分を抽出
した。次に、50ml蓋付テフロン製遠心チューブに約
30gを正確に秤取り(Cg)、11000rpmで1
0分間の遠心処理後、上澄みのTHF溶解分を採取し
た。更に、採取分相当のTHFを追加し、同様の遠心処
理を行って、上澄み採取を繰返した。重量既知の丸型蒸
発皿に採取したTHF溶解分を移し、70℃のオーブン
中に2時間保持してTHFを飛散させ、更に100℃−
30分の加熱で完全に乾燥させた後、THF溶解樹脂分
(Dg)を秤量した。THF不溶解分は、式[100−
100D(A+B)/AC]から重量%として算出し
た。
【0098】可塑剤80gに、架橋剤(油化シェルエポ
キシ社製エピコート828.4g、三井サイテック社製
サイメル303 3g、ドデシルベンゼンスルホン酸
0.3g)7.3gや酸化チタン(石原産業社製CR−
95)3gを適宜予備混合し、円盤の外周上下方向に鋸
歯状に加工された撹拌羽根を持つホモディスパーを用
い、500〜1000rpmの撹拌下、5分間程度で得
られたアクリル粉末100gを徐々に添加し、更に20
00rpmで5分間高速撹拌処理を行ってペースト化を
行った。酸化チタンを配合する場合は、上記予備混合液
を3本ロールミルに通して、酸化チタンの分散を行っ
た。得られたペースト状物を、4〜6mmHgの減圧下
に、撹拌しながら30分間保持して気泡や水分を除去
し、アクリルプラスチゾルを調製した。本実施例に用い
た種々のアクリルプラスチゾルについて、その明細を表
1に示した。
【0099】[接着力の評価]塗装やラミネート等の方
法で接着用樹脂層を設けた金属基体を、縦130mm、
横160mmのサイズに切り出し、上部30mmをあけ
て横方向に幅15mmのテフロン耐熱テープを貼り付け
た。テフロンテープ上にアクリルプラスチゾルを適量の
せ、ナイフコーターで1mm厚になるようにプラスチゾ
ルを下方に押し広げ、適宜熱処理を行って、接着シート
を調製した。接着シートのテフロンテープと直角方向
に、幅10mmでサンプルを切り出し、片端に15mm
幅のテフロンテープ、他方にゲル化したアクリルプラス
チゾルがくるようにして、長さ50mmの接着力評価用
サンプルを調製した。
【0100】接着力評価のための剥離試験は万能引張試
験機を用い、接着シートの調製1週間後に実施した。こ
れは、プラスチゾルの接着の場合、初期の接着力が経時
とともに急激に減少することが多々あるためである。接
着力評価用サンプルのテフロンテープ部分を剥し、T字
型に折り曲げ、アクリルプラスチゾルを上向きにして、
上下チャック間に挟み込み、200mm/分のクロスヘ
ッドスピードで引張試験を行って接着力を評価した。
【0101】本発明のアクリルプラスチゾル接着構造物
では、少なくとも1.5kgf/10mm幅以上の接着
力を示した。尚、この試験方法では、4kgf/10m
m幅付近でアクリルゲルが破断するため、4kgf/1
0mm幅以上の接着力は評価できなかった。接着力を>
4と表示したものは、この場合である。
【0102】[レゾール型フェノール樹脂の合成]実施
中のレゾール型フェノール樹脂は以下の要領で製造し
た。所定量のフェノール類と37%ホルマリンを反応容
器に入れ、50℃で加熱撹拌しながら所定量の水酸化マ
グネシウム触媒を添加し、1時間反応させた。その後、
反応系を80℃に上げて、2〜3時間程度反応させた。
次いで、液温を60℃まで下げた後に10%リン酸水溶
液を加えて触媒を中和し、メチルイソブチルケトン、ト
ルエン、シクロヘキサノン、セロソルブアセテートの
4:2:2:2の混合溶剤を加えて生成した樹脂を抽出
し、下層の水及び触媒を分離除去した。更に、樹脂溶液
中に残存する水分を共沸脱水法で除去して、不揮発分2
6%のレゾール型フェノール樹脂溶液を調製した。
【0103】これらの樹脂のメチロール基濃度はNMR
法により測定し、ベンゼン環1個当りのメチロール基乃
至エーテル化メチロール基の数として示した。尚、樹脂
の数平均分子量はテトラヒドロフランを展開溶剤として
GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ
ー)法により決定した。製造したレゾール型フェノール
樹脂の明細を表2に示した。
【0104】[エポキシ・フェノール系溶剤型塗料の調
製]所定のエポキシ樹脂と所定の溶剤を反応容器に仕込
み、撹拌しながら80℃で1〜2時間かけてエポキシ樹
脂を溶解した。次いで、所定のエポキシ/フェノール比
で26%レゾール型フェノール樹脂溶液を添加し、11
0℃で2時間予備縮合を行って所望のエポキシ・フェノ
ール系溶剤型塗料を調製した。尚、エポキシ・アミノ塗
料の場合は、予備縮合を省略した。
【0105】[比較例1]エポキシ樹脂(油化シェルエ
ポキシ社製エピコート1010)に種々のアミノ樹脂を
それぞれ95/5、90/10、85/15の比率で組
み合わせ、不揮発分27%の12種類の溶剤型塗料を調
製した。樹脂の溶解、希釈には、ブチルセロソルブとソ
ルベッソ100の等重量混合溶剤を用い、アミノ樹脂に
は、三井サイテック社製のサイメチル303、325、
370、701の4種類を使用した。硬化触媒として
は、三井サイテック社製のキャタリスト600を0.1
%の配合量で使用した。
【0106】調製した塗料を、厚み0.23mmのブリ
キ板(錫メッキ量:2.8g/m2、テンパー:T4C
A)上に、#14のバーコーターで塗装し、190℃−
10分の条件で焼付け、塗装板を作製した。塗装板の乾
燥塗膜量は53±2mg/100cm2 であり、MEK
抽出率は7重量%未満の値を示した。尚、実施例中で用
いたMEK抽出率は、メチルエチルケトンの沸点で1時
間、塗装板を抽出したときの、抽出減量/塗膜量であ
る。
【0107】塗装板上にアクリルプラスチゾルA、B、
Dの3種類を、180℃−3分の条件で焼付け、接着力
を評価したところ、全て0.3kgf/10mm幅以下
の値を示した。
【0108】[比較例2]厚み0.17mmのブリキ板
(錫メッキ量:2.8g/m2 、テンパー:T4CA)
上に、15mg/100cm2 の乾燥塗膜量になるよう
にエポキシ・フェノール系サイズ塗料を塗装し、190
℃−10分で焼付けを行った後、100mg/100c
2 の乾燥塗膜量となるようにデクスター・ミドランド
社製PVCオルガノゾル塗料(8510−J05M)を
塗装し、190℃−10分で焼付けを行った。尚、ここ
で用いたサイズ塗料は油化シェルエポキシ社のエポキシ
樹脂(エピコート1010)(Mn:5,200、エポ
キシ当量:3,700g/eq)と、硬化剤として、フ
ェノール樹脂Aを85/15のエポキシ/フェノール比
で組合わせた塗料である。塗装板上に、アクリルプラス
チゾルDを180℃−3分で焼付け、接着力を評価した
ところ、0.1kgf/10mm幅の値を示した。
【0109】同上のブリキ板に、外面側には東洋インキ
製造社のポリエステルアミノ塗料(L−144WCA)
を塗装し、内面側には上記塗装を施して、63mm径の
ラグキャップを成形した。ライナーとして、アクリルプ
ラスチゾルDをライニングし、210℃−90秒で焼付
けた。ヘッドスペースを10ccとして、内容量125
ccのガラス瓶に90℃の熱水を充填し、キャッピング
を行った。パック後2週間で、バキュームゲージを用い
減圧値を測定したところ、内圧は大気圧に等しく、密封
できていないことが確認された。開栓したところ、PV
C塗膜がプラスチゾルの可塑剤によって溶けたようにな
っており、ライナー部が完全に脱落していることが判明
した。
【0110】[比較例3]比較例2で用いたエポキシ・
フェノール系サイズ塗料の塗装板に、東洋インキ製造社
のポリエステルアミノ塗料(L−144WCA)を、1
00mg/100cm2 の乾燥塗膜量になるように、1
95℃−10分の条件で焼付けた。この塗装板上に、ア
クリルプラスチゾルA〜Fを220℃−90秒で焼付
け、接着力を評価したところ、全て0.3kgf/10
mm幅以下の値を示した。
【0111】[比較例4]東洋鋼鈑社製PET(ポリエ
チレンテレフタレート)ラミネート鋼板(商品名:II
i−pet)を切り出し、アクリルプラスチゾルA〜F
をそれぞれ210℃−90秒の条件で焼き付け、接着力
を評価したところ、全て0.3kgf/10mm幅以下
の値を示した。
【0112】[実施例1〜5、比較例5〜7]油化シェ
ルエポキシ社のエポキシ樹脂(エピコート1010)
(Mn:5,200、エポキシ当量:3,700g/e
q)と、硬化剤として、フェノール樹脂Aを種々のエポ
キシ/フェノール比で組合わせ、不揮発分27%の溶剤
型塗料を調製した。希釈溶剤には、ブチルセロソルブと
ソルベッソ100の等重量混合物を使用し、場合によっ
ては、リン酸を硬化触媒として使用した。
【0113】調製した塗料を、比較例1で使用したブリ
キ板上に、#14のバーコーターで塗装し、190℃−
10分の条件で焼付け、塗装板を作成した。さらに、こ
れにアクリルプラスチゾルDを180℃−3分の条件で
焼付け、接着力評価サンプルを作成した。尚、120℃
−30分の条件で塗装板のみのレトルト白化試験を実施
した。
【0114】塗料組成や接着力等の評価結果について、
表3に示した。実施例1〜5及び比較例5で示したよう
に、エポキシ・フェノール系塗料において、フェノール
量を多くし、塗膜の硬化度を上げていくと、アクリルプ
ラスチゾルとの接着力が落ち、フェノール量が樹脂分あ
たり15%を超えると、ほとんど接着力を示さないのが
わかる。また、比較例7に示したが、フェノール量を低
く抑えすぎると、接着力は得られても、硬化度が低く塗
膜性能が落ちてくるので、蓋用途には不適当であった。
【0115】[実施例6、7及び比較例8〜12]油化
シェルエポキシ社製の分子量の異なる種々のエポキシ樹
脂に、硬化剤として、フェノール樹脂Bを種々の比率で
組合わせ、溶剤型塗料を調製した。不揮発分は27%で
あり、樹脂及び硬化剤の溶解・希釈にはブチルセロソル
ブとソルベッソ100の等量混合物を使用した。
【0116】調製した塗料を、比較例1で使用したブリ
キ板上に、#14のバーコーターで塗装し、190℃−
10分の条件で焼付け、塗装板を作成した。さらに、こ
れにアクリルプラスチゾルBを220℃−90秒の条件
で焼付け、接着力評価サンプルを作成した。尚、120
℃−30分の条件で塗装板のみのレトルト白化試験を実
施した。
【0117】塗料組成や接着力等の評価結果について、
表4に示した。表4の結果から、接着用塗料に、エポキ
シ樹脂の分子量が5000未満、エポキシ当量が350
0g/eq未満のものを用いた場合では、フェノール樹
脂量を樹脂分当り1〜15%の範囲内で用いた場合、ア
クリルプラスチゾルとの接着力が確保できたとしても、
十分な塗膜性能が得られないことがわかる。
【0118】次に、比較例2で用いたブリキ板の両面
に、比較例2で用いたサイズ塗料を15mg/100c
2 の塗膜量で塗装し、190℃−8分で焼付けた。更
に、内面側には、本実施例及び比較例で調製した塗料を
60mg/100cm2 の塗膜量、190℃−8分の焼
付け条件で塗装し、他方、外面側には、東洋インキ製造
社製の顔料(酸化チタン)入りポリエステル塗料を10
0mg/100cm2 の塗膜量、190℃−8分の焼付
け条件で塗装した。
【0119】得られた塗装板から63mmφのラグキャ
ップを成形し、アクリルプラスチゾルDをライニング
後、210℃−90秒で焼付けた。内容量125ccの
ガラス瓶に、5重量%酢酸+2重量%食塩の耐食性試験
水溶液を100cc充填し、アクリルライナーを装着し
たラグキャップで密封後、正立状態で、40℃−1週間
の促進腐食試験を実施した。1週間後、開栓し、腐食状
況を調査したところ、比較例8〜12のラグキャップで
は、成形・加工を受けた部分で腐食が観察されたが、実
施例6、7のラグキャップでは腐食が観察されなかっ
た。
【0120】[実施例8]油化シェルエポキシ社製のエ
ポキシ樹脂(エピコート1010J)(Mn:5,50
0、エポキシ当量5,200g/eq)と、硬化剤とし
て、フェノール樹脂Aを80/20の比率で組合わせ、
不揮発分20%のサイズ塗料を調製した。比較例2で使
用した0.17mm厚のブリキ板の両面に、それぞれ1
5mg/100cm2 の塗膜厚みになるようにサイズ塗
料を塗装し、190℃−8分で焼付けた。
【0121】次いで、同エポキシ樹脂と同フェノール樹
脂を95/5の比率で組合わせ、更に、樹脂分あたり4
0部の顔料(酸化チタンとベンガラの混合物)を配合
し、不揮発分34%のベージュ色の接着用トップコート
を調製した。これを、先のサイズ塗装板の片面に、10
0mg/100cm2 の塗膜厚みに塗装し、190℃−
8分で焼付けた。本実施例中のサイズ塗料及びトップコ
ートの調製に使用した溶剤は、ブチルセロソルブ、ソル
ベッソ100、メチルイソブチルカルビノール、イソホ
ロンの4:3:2:1の混合溶剤である。
【0122】更に、もう一方の面には、東洋インキ製造
社の顔料(酸化チタン)入りポリエステル系塗料を、1
00mg/100cm2 の塗膜厚みに塗装し、190℃
−8分で焼付けた。
【0123】得られた塗装板の接着用トップコート側
に、アクリルプラスチゾルA〜Dを220℃−90秒の
条件で焼付け、接着力を評価したところ3.5kgf/
10mm幅の値が得られた。
【0124】次いで、得られた塗装板から63mmφの
ラグキャップを成形し、アクリルプラスチゾルDをライ
ニングした後に、210℃−90秒の条件で焼付けた。
内容量125ccのガラス瓶に、5%酢酸+2%食塩の
耐食性試験水容液を100cc充填し、アクリルライナ
ーを装着したラグキャップで密封後、正立状態で、40
℃−1週間の促進腐食試験を実施した。1週間後の開栓
で、内面側にはなんらの腐食も観察されず、ライナーの
接着状態も良好であった。
【0125】[実施例9]実施例8で得られた塗装板
に、アクリルプラスチゾルEを220℃−90秒の条件
で焼付け、接着力を評価したところ、3.1kgf/1
0mm幅の値が得られた。
【0126】[比較例13]実施例8で得られた塗装板
に、アクリルプラスチゾルFを220℃−90秒の条件
で焼付け、接着力を評価したところ、0.3kgf/1
0mm幅の値が得られた。
【0127】[実施例10]フェノキシ・アソシエート
社製のフェノキシ樹脂(PKHH)(Mn:12,20
0、エポキシ当量:26,000g/eq)と、硬化剤
として、フェノール樹脂Bを95/5の比率で組合わせ
た溶剤型塗料を調製した。樹脂の溶解、希釈には、ブチ
ルセロソルブとソルベッソ100の等量混合物を用い、
不揮発分19%に調整した。ここで得られた塗料を、比
較例1で用いたブリキ板に塗膜量50mg/100cm
2 になるよう塗装し、200℃−8分の条件で焼付け
た。
【0128】更に、得られた塗装板にアクリルプラスチ
ゾルA〜Dを220℃−90秒の条件で焼付け、接着力
を評価したところ、全サンプルについて、3.0kgf
/10mm幅以上の値が得られた。また、内面接着用ト
ップコートを本実施例の塗料に置換え、その塗膜量を5
0mg/100cm2 にする以外は実施例8と同様にし
てラグキャップを作製し、耐食性を評価したところ、良
好な結果が得られた。
【0129】[実施例11]油化シェルエポキシ社製の
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エピコート4010
P)(Mn:6200、エポキシ当量:4100g/e
q)と、硬化剤として、フェノール樹脂Cを95/5及
び90/10の比率で組合わせ、溶剤型塗料を調製し
た。塗料の調製に用いた溶剤は、ブチルカルビトールと
ブチルセロソルブの3:7の混合物であり、不揮発分2
7%に調整した。
【0130】板厚0.25mmのアルミ板(5052
材)に、塗膜量50mg/100cm 2 になるよう塗装
し、180℃−10分で焼付けた。更にアクリルプラス
チゾルDを230℃−90秒で焼付け、接着力を評価し
たところ、エポキシ/フェノール比95/5及び90/
10で、それぞれ、2.4及び2.1kgf/10mm
幅の接着力を示した。
【0131】また、内面接着用トップコートを本実施例
の塗料に置換え、その塗膜量を50mg/100cm2
にする以外は実施例8と同様にしてラグキャップを作製
し、耐食性を評価したところ、良好な結果が得られた。
尚、ライナーの接着状態も良好であった。
【0132】[実施例12]撹拌機、冷却管、モノマー
タンク、窒素導入口、温度センサー及び加熱部を備えた
2L反応容器に、フェノキシ・アソシエート社製のフェ
ノキシ樹脂(PKHH)350g、n−ブタノール21
0g、ブチルセロソルブ140gを仕込み、120℃で
1時間撹拌し、樹脂を溶解させた。次に、反応容器を窒
素置換し、メタクリル酸40.3g、スチレン21.2
g、エチルアクリレート0.3g、75%過酸化ベンゾ
イル5.8g、ブチルセロソルブ20gの予備混合物を
モノマータンクに仕込み、120℃に保持しながら撹拌
下、30分間で滴下し、その後さらに30分間、120
℃に保持してフェノキシ樹脂のアクリル変性を行った。
【0133】上記アクリル変性フェノキシ樹脂液の加熱
を停止し、90℃まで温度を下げた後、硬化剤として、
フェノール樹脂Aの26%樹脂溶液27gとフェノール
樹脂Bの26%樹脂溶液27gを添加し、溶解させた。
次いで撹拌下、ジメチルアミノメタノール20.9gを
添加し、蒸留水800gを10分かけてモノマータンク
から滴下し、乳白色の水分散液を調製した。上記水分散
液の不揮発分当り20部の酸化チタン(石原産業社製C
R−95)を配合し、三本ロールミルで10分間混練し
て、顔料分散を行った。次いで、ロータリー・エバポレ
ーターで濃縮して、不揮発分35%の水性塗料を調製し
た。
【0134】比較例1で用いたブリキ板に、塗膜量90
mg/100cm2 、200℃−10分の焼付け条件で
上記水性塗料を塗装し、更に、アクリルプラスチゾルD
を220℃−90秒で焼付け、接着力を評価したとこ
ろ、4kgf/10mm幅を超える値が得られた。ま
た、内面接着用トップコートを本実施例の水性塗料に代
える以外は、実施例8と同様にしてラグキャップを作製
し、耐食性を評価したところ、良好な結果が得られた。
【0135】[実施例13]比較例4で使用した東洋鋼
鈑社製PETラミネート鋼板(商品名:Hi−pet)
の片面に、実施例10で用いた接着用トップコートを1
5mg/100cm 2 の塗膜量で塗装し、220℃−2
分の条件で焼付けた。次いで、得られた塗装板から接着
塗料側を内面にし63mmφのラグキャップを成形し、
アクリルプラスチゾルDをライニングした後に、210
℃−90秒の条件で焼付けた。内容量125ccのガラ
ス瓶に、5%酢酸+2%食塩の耐食性試験水溶液を10
0cc充填し、アクリルライナーを装着したラグキャッ
プで密封後、正立状態で、40℃−1週間の促進腐食試
験を実施した。1週間後の開栓で、内面側にはなんらの
腐食も観察されず、ライナーの接着状態も非常に良好で
あった。
【0136】[実施例14]油化シェルエポキシ社製の
エポキシ樹脂(エピコート1010J)と、硬化剤とし
て、フェノール樹脂Bを85/15の比率で組合わせ、
更に樹脂分当り40部の石原産業社製酸化チタン(CR
−95)を配合し、不揮発分36%のベース塗料を調製
した。比較例2で使用した0.17mm厚のブリキ板の
両面に、それぞれ100mg/100cm2 の塗膜厚み
になるように塗装し、190℃−8分で焼付けた。次い
で、同エポキシ樹脂とフェノール樹脂Aを95/5の比
率で組合わせ、不揮発分20%の接着用トップコートを
調製した。これを、先の塗装板の片面に、15mg/1
00cm2 の乾燥塗膜量で塗装し、190℃−8分で焼
付けた。
【0137】本実施例中の塗料調製に使用した溶剤は、
ブチルセロソルブ、ソルベッソ100、メチルイソブチ
ルカルビノール、イソホロンの4:3:2:1の混合溶
剤である。
【0138】得られた塗装板の接着用トップコート側
に、アクリルプラスチゾルDを220℃−90秒の条件
で焼付け、接着力を評価したところ、3.3kgf/1
0mm幅の値が得られた。
【0139】次いで、得られた塗装板から接着塗料側を
内面とし63mmφのラグキャップを成形し、アクリル
プラスチゾルDをライニングした後に、210℃−90
秒の条件で焼付けた。内容量125ccのガラス瓶に、
5%酢酸+2%食塩の耐食性試験水溶液を100cc充
填し、アクリルライナーを装着したラグキャップで密封
後、正立状態で、40℃−1週間の促進腐食試験を実施
した。1週間後の開栓で、内面側にはなんらの腐食も観
察されず、ライナーの接着状態も良好であった。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
【表3】
【0143】
【表4】
【0144】
【発明の効果】本発明によれば、特定量比のエポキシ・
フェノール系熱硬化性樹脂層を設けた金属基体上に、ア
クリルプラスチゾルを施し、これを熱処理することによ
り、アクリルプラスチゾルのゲル化と同時に熱硬化性樹
脂層への接着が短時間の内に強固に行われ、得られる接
着構造物は、耐剥離性、耐腐食性、耐レトルト性等に顕
著に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】容器蓋の形の接着構造物の一例を示す断面図で
ある。
【図2】図1の容器蓋の天面の部分の一例を拡大して示
す断面図である。
【図3】図1の容器蓋の天面の部分の他の例を拡大して
示す断面図である。
【図4】図1の接着構造物の製造工程を示す工程図であ
る。
【符号の説明】
1 金属基体乃至有機被覆金属基体 2 天面 3 周壁部 4 プラスチゾルのゲル化物から成る密封用ライナー 5 容器口部への係止用ねじ 6 金属 7 外面保護塗膜 8 エポキシ樹脂−フェノール樹脂の熱硬化性樹脂層 9 内面保護塗膜 10 回転チャック 11 ノズル 12 アクリルプラスチゾル 13 加熱オーブン 14 ライナー付きキャップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 33/06 LJF C08L 33/06 LJF (72)発明者 小田嶋 慎次 神奈川県平塚市八千代町6−5杉山ビル 302

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基体乃至有機被覆金属基体と、アク
    リルプラスチゾルのゲルとが、ビスフェノール型エポキ
    シ樹脂及びフェノール樹脂を99:1乃至85:15の
    重量比で含有する熱硬化性樹脂層を介して接着されて成
    ることを特徴とする接着構造物。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂中のビスフェノール型エポ
    キシ樹脂が5000乃至50000の数平均分子量と3
    500以上のエポキシ当量を有するものである請求項1
    記載の接着構造物。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂中のフェノール樹脂が二官
    能性単環フェノール及び/またはビスフェノール類から
    誘導された数平均分子量200乃至1000のフェノー
    ル樹脂である請求項1記載の接着構造物。
  4. 【請求項4】 アクリルプラスチゾルが10万以上の数
    平均分子量を有するアクリル樹脂を含有して成る請求項
    1記載の接着構造物。
  5. 【請求項5】 アクリルプラスチゾル中のアクリル樹脂
    がメチルメタクリレート(MMA)を主たる単量体成分
    とし且つ官能基含有単量体成分の少量を含有するアクリ
    ル樹脂である請求項1記載の接着構造物。
  6. 【請求項6】 アクリルプラスチゾルが溶解度指数(S
    P値)が8.9乃至9.7の可塑剤を含有するプラスチ
    ゾルである請求項1記載の接着構造物。
  7. 【請求項7】 アクリルプラスチゾルが官能基を含有す
    るアクリル樹脂と前記官能基に対して反応性を有する架
    橋剤とを含有するプラスチゾルである請求項1記載の接
    着構造物。
  8. 【請求項8】 アクリルプラスチゾル中のアクリル樹脂
    が10乃至80%のテトラヒドロフラン不溶解分を有す
    るアクリル樹脂である請求項1記載の接着構造物。
  9. 【請求項9】 金属基体乃至有機被覆金属基体が蓋であ
    り且つアクリルプラスチゾルが密封用ライナーである請
    求項1記載の接着構造物。
  10. 【請求項10】 有機被覆金属基体がビスフェノール型
    エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを85:15乃至7
    0:30の重量比で含有する塗料から形成され且つ沸点
    で1時間のMEK抽出率が8%未満である硬化塗膜を有
    する金属基体である請求項1記載の接着構造物。
  11. 【請求項11】 ビスフェノール型エポキシ樹脂及びフ
    ェノール樹脂を99:1乃至85:15の重量比で含有
    する熱硬化性樹脂層を設けた金属基体乃至有機被覆金属
    基体に、アクリルプラスチゾルを施し、加熱によりアク
    リルプラスチゾルをゲル化すると同時に前記熱硬化性樹
    脂層を介して基体に接着させることを特徴とする接着構
    造物の製造方法。
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