JPH0911010A - ワークチャック用補助治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 旋盤の主軸端でワークをチャックする補助治
具であって、容易且つ正確な姿勢保持が可能で、取り扱
えるワークの種類が多い治具の提供を目的とする。 【構成】 一端側に平面出しプレート部５ｂを設けた挿
通軸５を、スクロールチャック１の中心孔３に前面側か
ら挿通させ、後面側に突出するネジ部５ａに締付ナット
７を螺合させて締め付け固定する。この時平面出しプレ
ート部５ｂが主軸の回転軸と直交面をなすようにし、薄
物ワークＷをチャックする時は、ワークＷの裏面側を平
面出しプレート部５ｂの前面ｐに密着させ、爪２、…で
チャックする。また、平面出しプレート５ｂには、爪
２、…の拡縮を許容する遊動溝ｍ、…を設け、また、平
面出しプレート部５ｂをスクロールチャック１の軸方向
に移動調整可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、旋盤加工時に正確な姿
勢でワークをチャックするための補助治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、旋盤加工において主軸の端部にス
クロールチャックを装着し、このスクロールチャックで
ワークをチャックして加工するのが一般であるが、例え
ばワッシャ等の薄物ワークのチャックにおいては、図５
に示すような平面出しを行っている。この方法は、スク
ロールチャック５１の爪５２、‥によってワークＷをチ
ャックした後、平面測定ゲージ５３を使用して面測定を
行い、必要に応じて銅ハンマ５４で叩きながら平面出し
を行っている。しかしながら、このような方法は平面出
しに熟練と技能を要し、時間もかかることから、例えば
実開昭６１−２７６０４号のようなチャック用治具も提
案されている。

【０００３】この方法は、スクロールチャックの段付爪
の外周に着脱自在なリング状のホルダを取り付け、この
ホルダと一体形成されるストッパの前面を主軸の回転軸
と直交する平面にし、薄物ワークの裏面をこのストッパ
の前面に密着させてチャックすることで裏面と平行な平
行出しを行うようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記実開昭
６１−２７６０４号の技術では、リング状のホルダがス
クロールチャックの爪に止めネジで止着されているた
め、ワークをチャックするため爪を縮合させると、ホル
ダの止め付けが弛み、１つのホルダで取り扱えるワーク
の大きさが限定されるという問題があった。このため、
正確な姿勢で容易にチャック出来、しかも取り扱えるワ
ークの種類を多く出来るような装置が望まれていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、旋盤の主軸端のスクロールチャックの中心孔
に挿通可能な挿通軸と、この挿通軸の一端側に設けた平
面出し部材と、前記挿通軸の他端側に取り付けられる締
付部材を備えた補助治具を設け、前記平面出し部材をス
クロールチャックの前面側にして前記挿通軸をスクロー
ルチャックの中心孔に挿通させた際、前記締付部材によ
って該補助治具とスクロールチャックを一体結合し得る
ようにするとともに、結合時の平面出し部材の前面が主
軸の回転軸と直交面をなすようにした。そして、請求項
２では、前記締付部材を、挿通軸に形成されたネジ部に
螺合する締付ナットとした。

【０００６】また、請求項３では、前記平面出し部材に
複数の遊動溝を設け、この遊動溝からスクロールチャッ
クの爪を前面側に突出させるようにした。また、請求項
４では、前記平面出し部材を、スクロールチャックに対
して軸方向に移動調整可能とした。

【０００７】

【作用】スクロールチャックの中心孔に挿通軸を挿通さ
せ、平面出し部材の前面を主軸の回転軸に対して精密に
直交面になるようにして、締付部材にて結合一体化する
ことで、ワッシャー等の薄物ワークの裏面を平面出し部
材の前面に密着させてチャックすれば、加工面となるワ
ーク前面の平面出しを容易に且つ精密に行うことが出来
る。この際、請求項２のように締付部材を締付ナットと
し、この締付ナットを締め付けることで、補助治具をス
クロールチャックに一体結合する。

【０００８】また、請求項３のように、平面出し部材に
複数の遊動溝を設け、この遊動溝を通してスクロールチ
ャックの爪を前面側に突出させるとともに、この遊動溝
の中を爪が遊動するようにすれば、平面出し部材より小
さいワークとか、リング状のワーク等のチャックも可能
となり、取り扱えるワークの種類が増える。また、請求
項４のように、平面出し部材をスクロールチャックの軸
方向に移動可能とすれば、例えば厚みの異なるワークを
取り扱う時でも、平面出し部材を移動調整してワークを
確実に把持出来る。

【０００９】

【実施例】本発明の実施例について添付した図面に基づ
き説明する。ここで図１は本補助治具の斜視図、図２は
縦断面図、図３は小物ワークのチャック要領の一例を示
す正面図、図４はリング状ワークのチャック要領の一例
を示す正面図である。旋盤の主軸端部には、図１の２点
鎖線で示すようなスクロールチャック１が装着され、こ
のスクロールチャック１の前面には半径方向に拡縮自在
な段付形状の爪２、‥（実施例では３個）が突設される
とともに、スクロールチャック１の中心には中心孔３が
設けられている。

【００１０】そして、この爪２、‥はワークＷの周面部
を内方又は外方に押圧して保持し得るようにされている
が、例えばワッシャー等の薄物ワークＷの場合、加工面
の面出しが問題となる。そこで、本補助治具４は、特に
薄物ワークＷの平面出しを容易且つ正確に行うことが出
来るようスクロールチャック１に取り付けて使用するよ
うにしている。

【００１１】すなわち、この補助治具４は、スクロール
チャック１の中心孔３に挿通可能な挿通軸５と、この挿
通軸５の先端部に設けた平面出しプレート部５ｂと、挿
通軸５のネジ部５ａに螺合する締付ナット６、７及びワ
ッシャー８を備え、例えばナット部６を操作して軸回り
に回転させると、挿通軸５をスクロールチャック１の軸
方向に出し入れ可能とされている。

【００１２】また、平面出しプレート部５ｂの周縁部に
は、円周方向に沿って等間隔３箇所に遊動溝ｍ、‥が形
成され、この遊動溝ｍ、‥は、前記爪２、‥を前面側に
突出させるとともに、爪２、‥の拡縮動を許容すべく半
径方向に長く形成されている。また、平面出しプレート
部５ｂの前面ｐは、挿通軸５の軸方向と直交面をなすよ
うにされている。

【００１３】以上のように構成した補助治具４の作用に
ついて説明する。挿通軸５のネジ部５ａから締付ナット
７及びワッシャー８を取り外した状態で、スクロールチ
ャック１の前面側から中心孔３内に挿通軸５を挿通さ
せ、図１に示す状態で平面出しプレート部５ｂの遊動溝
ｍ、‥内に爪２、‥を嵌入させた後、後端部から飛び出
したネジ部５ａにワッシャー８を介して締付ナット７を
螺合させ、これを締め付ける。すると、補助治具４は、
前方のナット６と後方のワッシャー８でスクロールチャ
ック１を挟み付けた状態となり、補助治具４とスクロー
ルチャック１は一体に結合される。この際、必要に応じ
例えば平面出しプレート部５ｂの前面ｐが精密に主軸の
回転軸に対して直交面となっていることを平面測定ゲー
ジ等で調整、確認しながら結合するようにすると良い。

【００１４】そして、このように補助治具４をセットす
ると、例えば平面出しプレート部５ｂより小さい薄物ワ
ークＷに対しては、ワークＷの裏面を平面出しプレート
部５ｂの前面ｐに密着させ、例えば図３に示すように、
ワークＷの外周面を爪２、‥の内側で内方に押圧してチ
ャックする。また、リング状の薄物ワークＷに対して
は、同様にワークＷの裏面を平面出しプレート部５ｂの
前面ｐに密着させ、例えば図４に示すように、爪２、‥
の段部外側で外方に押圧してチャックする。そして、こ
のようにワークＷの裏面を平面出しプレート部５ｂの前
面ｐに密着させることで、精密な平面出しが簡単に行え
る。また、平面出しプレート部５ｂの精密な面出しを１
回行っておけば、複数のワークＷの正確な面出しに何回
も利用出来るので便利である。

【００１５】次に、取り扱うワークＷの厚みが変更され
る時は、補助治具４のナット６を回転操作して平面出し
プレート部５ｂをスクロールチャック１に対して軸方向
に移動調整し、ワークＷを確実に把持出来るようにす
る。この際、後端部側の締付ナット７を弛めた状態で行
い、平面出しプレート部５ｂの移動調整が終えたら、再
び締付ナット７を締め付けて固定する。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明のワークチャック用
補助治具は、スクロールチャックの中心孔に挿通軸を挿
通させ、平面出し部材の前面を主軸の回転軸に対して精
密に直交面になるようにして締付部材にて結合一体化す
るようにしたため、特に薄物ワークの裏面を平面出し部
材の前面に密着させてチャックするだけで、ワーク加工
面の平面出しを精密に行うことが出来る。また、平面出
し部材にスクロールチャックの爪を突出せしめる複数の
遊動溝を設ければ、小さなワークでもチャック出来、適
用ワークの種類が増える。また、平面出し部材をスクロ
ールチャックの軸方向に移動調整可能とすれば、ワーク
の厚みが変化してもワークを確実に把持出来るため便利
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のワークチャック用補助治具の斜視図

【図２】同縦断面図

【図３】小物ワークのチャック要領を示す正面図

【図４】リング状ワークのチャック要領を示す正面図

【図５】従来の一例図

【符号の説明】

１…スクロールチャック、２…爪、３…中心孔、４…補
助治具、５…挿通軸、５ａ…ネジ部、５ｂ…平面出しプ
レート部、６…ナット、７…締付ナット、ｍ…遊動溝、
ｐ…前面、Ｗ…ワーク。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 旋盤の主軸端のスクロールチャックの中
   心孔に挿通可能な挿通軸と、この挿通軸の一端側に設け
   た平面出し部材と、前記挿通軸の他端側に取り付けられ
   る締付部材を備えた補助治具であって、前記平面出し部
   材をスクロールチャックの前面側にして前記挿通軸をス
   クロールチャックの中心孔に挿通させ、前記締付部材に
   よって該補助治具とスクロールチャックを一体結合し得
   るようにするとともに、結合時の平面出し部材の前面が
   主軸の回転軸と直交面をなすようにしたことを特徴とす
   るワークチャック用補助治具。
2. 【請求項２】 請求項１記載のワークチャック用補助治
   具において、前記締付部材は、前記挿通軸に形成された
   ネジ部に螺合する締付ナットであることを特徴とするワ
   ークチャック用補助治具。
3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２記載のワークチャ
   ック用補助治具において、前記平面出し部材に複数の遊
   動溝を設け、この遊動溝を通して前記スクロールチャッ
   クの爪を前面側に突出させることを特徴とするワークチ
   ャック用補助治具。
4. 【請求項４】 請求項１乃至請求項３のいずれか１項に
   記載のワークチャック用補助治具において、前記平面出
   し部材は、前記スクロールチャックに対して軸方向に移
   動調整可能とされることを特徴とするワークチャック用
   補助治具。