JPH0617806U - 工作機械へのワーク取付位置決め装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 旋盤などの工作機械に同種のワーク（被加工
物）をチャッキングする際に、そのチャックの爪に把持
させる部分の必要な長さを常に一定に保つことを目的と
する 【構成】 本体は外向きフランジのついた円筒状ケース
１で奥端小径部に雌ネジ２を持つ。この雌ネジ２に調整
扞１１の雄ネジ１２を係合し、他方の雄ネジ１３には調
節用ストッパー２１の雌ネジ２３が係合している。これ
をチャックの中央の空洞部に挿通しフランジ部のネジ穴
５にボルトを挿通、チャック正面のシリンダーカバー取
り付け穴に固定する。前記のストッパー２１を回動し前
後させ、またスペーサーリング６を調節用ストッパーの
前面に嵌合して固定し、ワークのチャックへの挿通長さ
を規制する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

機械加工などにおける被加工物（ワーク）のチャッキングにおける位置決め装 置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

工作機械を用いた加工において被加工物と工具との関係位置を正確に、かつ強 固に固定する必要のあることは勿論である。このチャッキングにおける芯だし作 業は熟練を要する作業の一種で作業者の熟練度によって作業時間の長短の差が生 ずる。

【０００３】 旋盤、正面盤などにおいて加工する素材（ワーク）をチャッキングするには三 爪又は四つ爪チャックを使用して行われるが、この場合、ワークの芯ぶれが生じ ていないことと、ワークがチャックの爪に把持される長さが問題となる。特にＮ Ｃ（数値制御）旋盤などにおいてはバイトなどの加工工具の原点とワークの位置 とがワークの取り替え毎に常に一定であることが必要であり、このために作業者 はワークがチャックの爪の端面より常に一定の長さで突出するようにワーク毎に 突出寸法を計測し、その位置をチャックの爪の端面に合わせて爪を締め付けてい るのが通例である。しかし、この作業は能率が悪いために加工個数が比較的多い 場合には三爪又は四つ爪チャックの爪（通常の爪は焼き入れ硬化されている）を 熱処理焼き入れをしていないソフトジョウ（生爪）に取り替え、そのソフトジョ ウのワーク把持面を切削してワークの外径と同じ円弧Ｒとし、かつその奥端に壁 面Ｓを形成しワークの位置決め用当接面としている（図４）。

【０００４】 このように、ワークの把持長さを一定に保つためにソフトジョウを加工品ごと にその把持面を切削し、当接面を形成することによってチャッキング操作は簡単 になった。しかし、ほとんどの中小企業において受注する加工品は多品種少量生 産のものであり、被加工物の変更毎にソフトジョウの切削を繰り返すことによる ソフトジョウの消耗は激しく、このために多額の経費支出を余儀なくされている のが実情である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする問題点は、工作機械にワークをチャッキングする際 のワークの位置決めに熟練技能者の操作が必要なこと、また前述のようにソフト ジョウのワーク把持面を加工品毎に切削しワーク把持量を規制する方法がソフト ジョウの消耗を来たし、加工経費の増加要因になっていることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

以上の問題点を解決するために本考案は、フランジ付き円筒状ケースの内径を 段付きとして、その奥端小径部に雌ねじを設け、この雌ねじに螺合する雄ネジを 持ち中間に設けた環状突起を隔てて他端側にも雄ねじ形成した一次調節扞が前記 本体円筒状ケースの雌ネジに螺合し、さらに一次調節扞の一方の雄ネジに螺合す る雌ネジを有する二次調節用ストッパーを適当量のスペーサーリングを介在させ てその一次調節扞に螺合させ、該本体フランジ面とストッパー端面との相対的位 置関係を調節できる構造とした位置決め装置を案出したもので、これをチャック の中心にある空洞部に挿通固定し、該調節杆、ストッパーのネジ調節によりワー クの把持量を一定化するものである。

【０００７】

【実施例】

本考案に係るワーク位置決め装置を図面に従って詳細に説明する。チャックＣ の中心部に開口している空洞部に挿着し、チャック表面のシリンダカバー取付け 用ネジ穴３１にネジにより固定するためのフランジ４を有し、かつ内径が段つき の本体円筒状ケース１はその奥端の小径部に一次調節用雌ネジ２を設けている。 この雌ネジ２に係合する一次調節用雄ネジ１２を一端に有し環状突起１４を隔て て他端側に二次調節用雄ネジ１３を形成した調節杆１１が前記雌ネジ２に螺合さ れており、任意の位置に固定されるようにナット１５が該円筒状ケース１の外側 より螺合されている。この調節杆１１の二次調節用雄ネジ１３には、必要とする 厚さのスペーサーリング６、６を嵌合挿着し、更に内径の一端側に二次調節用雌 ネジ２３を形成し他端面を当接面２２とする円筒状ストッパー２１を螺合し、緊 締されている。なお、このスペーサーリング６、６は種々の厚さのものが用意さ れている。

【０００８】 以上の構造になる本考案ワークの位置決め装置は、工作機械に使用するスクロ ールチャック、エアーチャックなどの中心に開口している空洞部に、円筒状ケー ス部１を挿通しフランジ４に穿設された取り付け穴５、５にボルト（図示してい ない）を挿通して該チャックの正面に設けられたシリンダカバーの取り付け用ネ ジ穴（なければドリリング及びタッピングして設けたネジ穴）３１、３１に固定 される。

【０００９】 工作機械のチャックに取り付けられた本考案位置決め装置は機械加工のために 該チャックの爪に把持されるワークの把持量（長さ）を一定に規制するもので、 その使用方法の第一は調節杆１１をワークの挿通限度とするものである。本体円 筒状ケース１に螺合している調節杆１１を回転することによって前進又は後退さ せて、その調節扞１１の端面１１ａと本体のフランジ４の表面との相対位置を適 当に調節する。これはチャックＣの把持爪３０の前方端面から調節扞１１の端面 １１ａまでの距離の調節を意味し、したがってチャックに把持されるワークの該 チャックへの挿入長さに相当する位置に該端面１１ａが回転移動せられナット１ ５で固定される。作業者はワークをチャッキングする際に、このように設定され た調節扞１１の端面１１ａに当接するところまでワークを挿入しチャッキングを すればワークの位置は常に一定となり、従って加工工具とワークとの相対位置が 簡単に保たれる事になる。

【００１０】 使用方法の第二は、チャックの爪に把持される把持長さが前記のものより短い 場合である。すなわち調節杆１１の調節可能範囲を越えるものについて、該調節 杆１１の二次調節用雄ねじ１３にスペーサーリング６を適当枚数嵌合挿着し、次 いでストッパー２１の二次調節用雌ねじ２３を螺合緊締する。スペーサーリング はストッパー２１の当接面２２がチャックに把持されるワークの挿通限度に位置 するようにその厚さ、枚数が選定される。作業者はこのようにして調節された当 接面２２にワークの先端を接触させながらチャックの把持爪３０で締め付ける事 によりワークを容易に常に一定の位置にチャッキングできることは使用方法第一 の場合と同様である。

【００１１】 なお、本体円筒状ケース１と調節杆１１との螺合部２、１２を緊締するための ナット１５は必ずしも必要なものではなく、適当量のスペーサーリング６、６を 一次調節用雄ネジ１２に嵌合挿着し、該ケース１の内径段部の側壁３と環状突起 １４間に介在させて雌ネジ２に螺合することによって調節杆１１の位置決めと緊 締とを同時に実現することもできる。

【００１２】

【考案の効果】

本考案に係るワークの位置決め装置は、以上に記載したように工作機械に使用 されるチャックに取り付け、ワークのチャッキング長さを常に一定にする装置で あり、チャッキング量の調整は前記のように調節杆１１又はストッパー２１を回 動し締め付けるだけで良く、どのようなワークにも素早く対応できるために作業 能率の向上が図れる。

【００１３】 従来、このようなチャッキングの位置決めの方法として、生爪を削りチャック への挿通限度を形成していたために、把持爪（ソフトジョー）の消耗が激しく加 工経費の増加を来していたが、本考案位置決め装置を使用することにより、この ような作業や消耗がなくなり経済的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るワーク位置決め装置の一部断面と
した側面図である。

【図２】スペーサーリングの斜視図である。

【図３】本考案ワーク位置決め装置をチャックに装着し
た状態を示す斜視図である。

【図４】ソフトジョーを切削してワークのチャッキング
量を決める従来方法を示すもので（イ）は側面図、
（ロ）は正面図である。

【符号の説明】

１ 円筒状ケース ２ 一次調節用雌ネジ ３ 側壁 ４ フランジ ５ 取り付け穴 ６ スペーサーリング １１ 調節杆 １１ａ 端面 １２ 一次調節用雄ネジ １３ 二次調節用雄ネジ １４ 環状突起 １５ ナット ２１ 二次調節用ストッパー ２２ 当接面 ２３ 二次調節用雌ネジ Ｃ チャック

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 チャックの中心に設けられた円形空洞部
   に挿入しそのチャックに取り付けるためのフランジ
   （４）を有する本体円筒状ケース（１）はその奥端の小
   径部に雌ネジ（２）が設けてあり、 一次調節用雄ネジ（１２）を一端に有し環状突起（１
   ４）を隔てて他端側に二次調節用雄ネジ（１３）を形成
   した調節杆（１１）が、前記円筒状ケース（１）のフラ
   ンジ（４）側から挿通され、その一次調節用雄ねじ（１
   ２）と前記雌ネジ（２）が螺合し、さらに、 内径の一端側に雌ネジ（２３）を形成し、他端面を当接
   面（２２）とした円筒状ストッパー（２１）を前記調節
   杆（１１）の二次調節用雄ネジ（１３）に螺合したもの
   で、 必要に応じて該円筒状ストッパー（２１）と環状突起
   （１４）との間にスペーサーリング（６）を装着して当
   接面（２２）のフランジ面（４）との相対位置を適当に
   調整し得る構造からなるワークの位置決め装置。