JPH0910884A - 鍛造品の製造方法 - Google Patents

鍛造品の製造方法

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JPH0910884A
JPH0910884A JP7156417A JP15641795A JPH0910884A JP H0910884 A JPH0910884 A JP H0910884A JP 7156417 A JP7156417 A JP 7156417A JP 15641795 A JP15641795 A JP 15641795A JP H0910884 A JPH0910884 A JP H0910884A
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Hideo Yoshioka
岡 英 夫 吉
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鍛造による効果が十分に得られることによっ
て機械的性質のより一層の向上をはかると共に強圧下に
よって表面品質のより一層の向上をはかる。 【構成】 鋳造により鍛造用素材を成形したのち、前記
鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛造品に成形するに
際し、鍛造により得られる所望形状の鍛造品2の主たる
部位において圧下率15%以上および応力50MPa以
上の少なくともいずれかが得られるように前記所望形状
の鍛造品2とは非近似形状の鍛造用素材を鋳造により成
形したのち、前記鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛
造品2に成形して当該鍛造品2の主たる部位において圧
下率15%以上および応力50MPa以上の少なくとも
いずれかを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳造によって鍛造用素
材を成形したのち、前記鍛造用素材を鍛造によって所望
形状の鍛造品に成形するのに利用される鍛造品の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の鍛造品の製造方法として
は、例えば、特開平3−142031号公報に記載され
ているものがある。
【0003】この鍛造品の製造方法は、ロードホイール
用ディスクを対象としたものであって、まず、鋳造によ
って、前記ロードホイール用ディスクのディスク部の形
状に近似した形状の鍛造用ディスク素材を成形したの
ち、次に、前記鍛造用ディスク素材を鍛造によって所望
のディスク部の形状に成形するようになすものである。
【0004】この製造方法によれば、鋳造によってロー
ドホイール用ディスクのディスク部の形状に近似した形
状の鍛造用ディスク素材を成形したのち、所望のディス
ク部の形状に鍛造を行うようにしているので、鍛造工程
が簡略化されるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来における鍛造品(ロードホイール用ディスク)の
製造方法にあっては、鋳造によって成形する鍛造用ディ
スク素材の形状は、所望のディスク部の形状に近似した
ものとなっていたため、鍛造の際の加工度が小さなもの
となり、したがって、鍛造による効果、例えば、鋳造に
おいて凝固する際に発生した樹脂状晶の微細分断効果
や、鍛流線の発生による効果、などが得がたいと共に、
鍛造品の特徴のひとつである滑らかで光沢のある表面を
得がたいという難点があり、このような難点を解消する
ことが課題としてあった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたものであって、鋳造によって鍛造用素材
を成形したのち、前記鍛造用素材を鍛造によって所望形
状の鍛造品に成形するに際し、鍛造による効果(樹脂状
晶の微細分断効果や、鍛流線の発生による効果など)が
十分に得られることによって機械的性質のより一層の向
上をはかることが可能であると共に、滑らかで光沢のあ
る表面が得られることによって表面品質のより一層の向
上をも実現することが可能である鍛造品の製造方法を提
供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる鍛造品の
製造方法は、請求項1に記載しているように、鋳造によ
り鍛造用素材を成形したのち、前記鍛造用素材を鍛造に
より所望形状の鍛造品に成形するに際し、鍛造により得
られる所望形状の鍛造品の主たる部位において圧下率1
5%以上および内部応力50MPa以上の少なくともい
ずれかが得られる形状の鍛造用素材を鋳造により成形し
たのち、前記鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛造品
に成形して当該鍛造品の主たる部位において圧下率15
%以上および内部応力50MPa以上の少なくともいず
れかを得る構成としたことを特徴としている。
【0008】そして、本発明に係わる鍛造品の製造方法
の実施態様においては、請求項2に記載しているよう
に、鍛造により得られる所望形状の鍛造品の主たる部位
において圧下率15%以上および内部応力50MPa以
上の少なくともいずれかが得られるように前記所望形状
の鍛造品とは非近似形状の鍛造用素材を鋳造により成形
したのち、前記鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛造
品に成形して当該鍛造品の主たる部位において圧下率1
5%以上および内部応力50MPa以上の少なくともい
ずれかを得るようになすことができる。
【0009】また、同じく本発明に係わる鍛造品の製造
方法の実施態様においては、請求項3に記載しているよ
うに、鍛造用素材のうち鍛造により肉厚が薄くなる部分
は圧下率15%以上を得ると共に鍛造により前方押出し
や後方押出しなどで塑性流動して形成される部分は応力
50MPa以上を得るようになすことができ、さらに具
体的には、請求項4に記載しているように、鍛造品がロ
ードホイール用ディスクであり、凹部および凸部が形成
されるスポーク部において鍛造により肉厚が薄くなる部
分に相当する凹部の底肉部分は圧下率15%以上を得る
と共に鍛造により前方押出しや後方押出しなどで塑性流
動して形成される部分に相当する凸部の突肉部分は応力
50MPa以上を得るようになすことができ、この場
合、請求項5に記載しているように、ディスクにアウタ
ーリムを一体的に成形するようになすことができる。
【0010】さらにまた、本発明に係わる鍛造品の製造
方法の実施態様においては、請求項6に記載しているよ
うに、圧下率15%以上に代えてひずみ量0.25以上
(伸び25%以上)を得るようになすことができる。
【0011】
【発明の作用】本発明に係わる鍛造品の製造方法は、請
求項1に記載しているように、鍛造により得られる所望
形状の鍛造品の主たる部位において圧下率15%以上お
よび応力50MPa以上の少なくともいずれかが得られ
る形状の鍛造用素材を鋳造により成形したのち、前記鍛
造用素材を鍛造により所望形状の鍛造品に成形して当該
鍛造品の主たる部位において圧下率15%以上および応
力50MPa以上の少なくともいずれかを得ることとし
ているが、この場合、圧下率15%以上および応力50
MPa以上を得ることとしているのは次の理由による。
【0012】すなわち、鋳造によって成形した鍛造用素
材に対する鍛造の際の圧下率と耐力,引張強さとの関係
を調べると共に、圧下率と伸びとの関係を調べたとこ
ろ、それぞれ図12および図13に例示する結果が得ら
れた(ただし、いずれも鍛造後にT6処理を実施した場
合を示す。また、圧下率0%は鋳造ままであることを示
す。) 図12に示すように、圧下率と耐力,引張強さとの関係
では、圧下率を15%以上とすることによって耐力約2
20MPa以上を得ることが可能であると共に、引張強
さ約300MPa以上を得ることが可能であり、図13
に示すように、圧下率と伸びとの関係では、圧下率を1
5%以上とすることによって、伸び約14%以上を得る
ことが可能であった。
【0013】また、鋳造によって成形した鍛造用素材に
対して鍛造を行ったのちにおいて、鍛造品が受けている
主応力と機械的性質との関係を調べたところ、鍛造品の
主たる部位において50MPa以上の応力を受けている
ものとすることによって、耐力約220MPa以上、引
張強さ約300MPa以上、伸び約14%以上の良好な
る機械的性質が得られることがわかった。
【0014】したがって、本発明では、鍛造により得ら
れる所望形状の鍛造品の主たる部位において圧下率15
%以上および応力50MPa以上の少なくともいずれか
が得られる形状の鍛造用素材を鋳造により成形したの
ち、前記鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛造品に成
形して当該鍛造品の主たる部位において圧下率15%以
上および応力50MPa以上の少なくともいずれかを得
るようにしているのであり、これによって、鍛造品の各
部において鍛造による強度上の効果(樹脂状晶の微細分
断効果や、鍛流線の発生による効果など)が十分に得ら
れることにより機械的性質のより一層の向上がもたらさ
れることになると共に、鍛造による強加圧の効果により
滑らかで光沢のある表面が得られることによって表面品
質のより一層の向上がもたらされることとなる。
【0015】そして、請求項2に記載しているように、
鍛造により得られる所望形状の鍛造品の主たる部位にお
いて圧下率15%以上および応力50MPa以上の少な
くともいずれかが得られるように前記所望形状の鍛造品
とは非近似形状の鍛造用素材を鋳造により成形したの
ち、前記鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛造品に成
形して当該鍛造品の主たる部位において圧下率15%以
上および応力50MPa以上の少なくともいずれかを得
るようになすことによって、鍛造による強度上の効果が
十分に得られることにより機械的性質のより一層の向上
がもたらされると共に、鍛造による強加圧の効果が十分
に得られることにより滑らかで光沢のある表面が得られ
ることによって表面品質のより一層の向上がもたらされ
ることとなる。
【0016】また、請求項3に記載しているように、鍛
造用素材のうち鍛造により肉厚が薄くなる部分は圧下率
15%以上を得ると共に鍛造により前方押出しや後方押
出しなどで塑性流動して形成される部分は応力50MP
a以上を得るようになすことによって、鍛造用素材のう
ち鍛造により肉厚が薄くなる部分は圧下率によって表現
できるので(すなわち、圧下率=[(H−h)/H]×
100(%) ただし、Hは鍛造前の厚さないしは高
さ,hは鍛造後の厚さないしは高さである。)、このよ
うな肉厚が薄くなる部分は圧下率15%以上を得るよう
になすと共に、鍛造に際して前方押出しや後方押出しや
アプセット加工などで塑性流動して形成される部分は上
記圧下率で表現することができないので、このような塑
性流動して形成される部分は内部圧縮応力で表わすこと
として、鍛造後には応力50MPa以上を受けているよ
うな鍛造を行うこととした。
【0017】このような圧下率15%以上および/また
は応力50MPa以上を得ることによって、鍛造による
強度上の効果が十分なものとなることにより機械的性質
のより一層の向上がもたらされると共に、鍛造による強
加圧の効果が十分なものとなることにより滑らかで光沢
のある表面が得られることによって表面品質のより一層
の向上がもたらされることとなる。
【0018】さらに、請求項4に記載しているように、
鍛造品がロードホイール用ディスクである場合におい
て、このロードホイール用ディスクのうち凹部および凸
部が形成されるスポーク部において鍛造により肉厚が薄
くなる部分に相当する凹部の底肉部分は圧下率15%以
上を得ると共に鍛造により前方押出しや後方押出しなど
で塑性流動して形成される部分に相当する凸部の突肉部
分は応力50MPa以上を得るようになすことによっ
て、機械的性質および表面品質のいずれにも優れた高性
能なロードホイール用ディスクが得られることとなり、
請求項5に記載しているように、ディスクにアウターリ
ムを一体的に成形するようになすことによって、ロード
ホイールにおいて最も強度が要求され且つホイールの外
観となるアウターリムにも鍛造による強度および表面品
質の向上の作用がもたらされることとなる。
【0019】さらにまた、鋳造により成形された鍛造用
素材に対する圧下率と鍛造品におけるひずみ量との関係
を調べたところ、図14に示すような比例関係にあるこ
とが認められたので、請求項6に記載しているように、
圧下率15%以上に代えてひずみ量0.25以上(伸び
25%以上)を得るようになすことによっても、同様
に、機械的性質および表面品質のいずれにも優れた高品
質の鍛造品ないしはロードホイール用ディスクその他の
機械要素等が得られることとなる。
【0020】
【実施例】実施例1 図1ないし図6は、本発明に係わる鍛造品の製造方法の
一実施例を示すものであって、鍛造品がロードホイール
用ディスクである場合を示しており、図1は鋳造により
成形された鍛造用素材としてのディスク素材1を示して
いると共に、図2は前記ディスク素材1を鍛造により所
望形状に成形された鍛造品としてのディスク2を示して
いる。
【0021】図1に示すディスク素材1は、例えば、S
i含有量などを適宜に調整することによって鋳造性と鍛
造性とを両立させると共に良好なる機械的性質が得られ
るようにしたアルミニウム合金よりなるものであって、
裏側(図1の下側)の中央部分に窪んだ形状のハブ取付
け部相当部1Aを有していると共に、ハブ取付け部相当
部1Aの外周側に凹部1Bおよび凸部1Cが形成された
スポーク部相当部1Dを有し、さらに、スポーク部相当
部1Dの外周には裏側へ突出した環状のインナーリム接
合部相当部1Eを有すると共に、インナーリム接合部相
当部1Eの外周にアウターリム相当部1Fを有してお
り、全体として、所望形状の鍛造品であるディスク2に
対して非近似形状に成形してある。なお、ハブ取付け部
相当部1Aの中央には、鍛造の際において材料の流れを
生じさせることができるようにするためのセンター穴1
Gが設けてある。
【0022】そして、ディスク素材1の形状を設定する
に際しては、所望形状のディスク2の主たる部位におい
て圧下率15%以上および応力50MPa以上の少なく
ともいずれかが得られるようにする。
【0023】そして、鍛造後には、ディスク素材1に対
応するものとして、図2に示すように、裏側(図2の下
側)の中央部分に窪んだ形状のハブ取付け部2Aを有し
ていると共に、ハブ取付け部2Aの外周側に凹部2Bお
よび凸部2Cが形成されたスポーク部2Dを有し、さら
にスポーク部2Dの外周には裏側へ突出した環状のイン
ナーリム接合部2Eを有すると共に、インナーリム接合
部2Eの外周にアウターリム2Fを有しているディスク
2に成形される。
【0024】そこで、図1に示すディスク素材1から図
2に示すディスク2を鍛造により成形するに際し、ディ
スク素材1のハブ取付け部相当部1Aにおける厚さt
とディスク2のハブ取付け部2Aにおける厚さtとの
関係は、厚さtから厚さtへの鍛造において圧下率
15%以上を得ることができるように、この実施例で
は、厚さtを厚さtの1.3倍以上(すなわち、圧
下率約23%以上)にすると共に、ディスク素材1の凹
部1Bの底肉部における厚さtとディスク2の凹部2
Bの底肉部における厚さtとの関係は、厚さtから
厚さtへの鍛造において圧下率15%以上を得ること
ができるように、この実施例では厚さtを厚さt
1.3倍以上(すなわち、圧下率約23%以上)にし
た。
【0025】また、ディスク素材1の凸部1Cの高さh
(図4参照)は鍛造時に生じる後方押出しによってデ
ィスク2の凸部2Cの高さh(図5参照)へと増加す
るが、このような後方押出しによる材料の塑性流動で凸
部2Cが形成される場合には圧下率で評価することがで
きないので、この凸部2Cにおいては鍛造によって応力
50MPa以上を受けることができるように、この実施
例では、ディスク素材1の凸部1Cの高さh(図4参
照)がディスク2の凸部2Cの高さh(図5参照)の
3分の1以下であるものとした。
【0026】さらに、ディスク2のインナーリム接合部
2Eにあっては、鍛造の際にディスク素材1のインナー
リム接合部相当部1Eの突出部分に対して両側からの材
料流れを生じ、これによって図6に示すように割れなど
の鍛造欠陥Dを発生することがあるため、体積としては
鍛造後と同等の材料配分にしてある。なお、ディスク2
のアウターリム2Fにあっては材料の一部が鍛造型の外
側へ流れてばり2Hとなるので、その分だけ余裕のある
寸法設定を行うことが可能である。
【0027】このように、厚さt,t,および高さ
等に設定したディスク素材1を鋳造により成形した
のち、このディスク素材1を鍛造によりディスク2に成
形することによって、圧下率約23%以上が得られる厚
さt,tに鍛造成形されると共に、後方押出しによ
って図5に示すように応力50MPa以上を受ける高さ
に成形されて、鍛造による強度向上の効果および強
加圧による表面品質向上の効果がもたらされ、品質の良
いロードホール用ディスク2を製造することが可能であ
った。
【0028】また、この実施例におけるディスク2は、
アウターリム2Fが一体で成形されており、このアウタ
ーリム2Fの部分においても鍛造の際に圧下率15%以
上および応力50MPa以上の少なくともいずれかを得
ることができるようにすることによって、ロードホイー
ルにおいて最も強度が要求され且つホイールの外観とな
るアウターリム2Fにおいても鍛造による十分な機械的
強度と良好な表面品質を得ることが可能であった。
【0029】実施例2 図7ないし図10は本発明に係わる鍛造品の製造方法の
他の実施例を示すものであって、断面H形をなす鍛造品
である自動車サスペンション用トランスバーリングの製
造に適用した場合を示しており、図7は鋳造により成形
された鍛造用素材としてのリンク素材11を示している
と共に、図9は前記リンク素材11を鍛造により所望形
状に成形された鍛造品としてのトランスバーリンク12
を示している。
【0030】図7に示すリンク素材11は、実施例1と
同様に、例えば、Si含有量等を適宜に調整することに
よって鋳造性と鍛造性とを両立させると共に良好なる機
械的性質を得ることができるようにしたアルミニウム合
金よりなるものであって、3点の支持部S,S,S
間において凹部11Bと凸部11Cが形成してあって
図8に示すように概略H形状をなし、全体として最終形
状である図9,図10に示すトランスバーリンク12に
対して非近似形状のリンク素材11となっている。
【0031】そして、リンク素材11の形状を具体的に
設定するに際しては、所望形状のトランスバーリンク1
2の主たる部位において圧下率15%以上および応力5
0MPa以上の少なくともいずれかが得られるようにす
る。
【0032】そこで、リンク素材11の凹部11Bにお
ける厚さtとリンク12の凹部12Bにおける厚さt
との関係は、厚さtから厚さtへの鍛造において
圧下率15%以上を得ることができるように、この実施
例2では、厚さtを厚さtの1.4倍以上(すなわ
ち、圧下率約29%以上)にすると共に、リンク素材1
1における凹部11Cの高さhは鍛造時に生じる押出
しによってリンク12における凸部12Cの高さh
と増加するが、このような押出しによる場合には圧下率
で評価することができないので、この凸部12Cにおい
ては鍛造によって応力50MPa以上を受けることがで
きるように、この実施例ではリンク素材11の凸部11
Cの高さhがリンク12の凸部12Cの高さhの2
分の1以下にした。
【0033】このように、厚さtおよび高さh等に
設定したリンク素材11を鋳造により成形したのち、こ
のリンク素材11を鍛造によりリンク12に成形するこ
とによって、圧下率約29%以上が得られる厚さt
鍛造成形されると共に、押出しによって応力50MPa
以上を受ける高さhに成形されて、鍛造による強度向
上の効果および強加圧による表面品質向上の効果がもた
らされ、品質のよいトランスバーリンク12を製造する
ことが可能であった。
【0034】実施例3 図11は本発明に係わる鍛造品の製造方法のさらに他の
実施例を示すものであって、アーム部22Aが断面矩形
状をなすと共に両端に膨出部22Bを有する自動車サス
ペンション用アッパアーム22の製造に適用した場合を
示しており、鋳造により成形された鍛造用アーム素材は
図示を省略している。
【0035】このアッパアーム素材においても、前記実
施例と同様に、例えば、Si含有量等を適宜に調整する
ことによって鋳造性と鍛造性とを両立させると共に良好
な機械的性質を得ることができるようにしたアルミニウ
ム合金を素材としてなるものである。
【0036】そして、アーム素材の形状を設定するに際
しては、所望形状に鍛造成形されたアッパアーム22の
うちアーム部22Aの板厚がtである場合において、
鍛造によりアーム部22Aにおいて圧下率15%以上を
得ることができるように、アーム素材におけるアーム部
の板厚を前記板厚tの1.3倍以上(すなわち、圧下
率約23%以上)にすると共に、同じく鍛造により膨出
部22Bにおいて応力50MPa以上を受けることがで
きるように、アーム素材における両端部分の板厚がアー
ム部の板厚と等しいかむしろ小さ目であるようにしてお
く。
【0037】このようにして、アーム部の厚さおよび両
端部の厚さを設定したアーム素材を鋳造により成形した
のち、このアーム素材を鍛造によりアッパアーム22に
成形することによって、アーム部22Aでは圧下率約2
3%以上が得られる厚さtに鍛造成形されると共に、
両端部は塑性加工によって応力50MPa以上を受ける
膨出部となっている車体あるいはサスペンションメンバ
ーへの取付部22Bに成形され、鍛造による強度向上の
効果および強加圧による表面品質向上の効果がもたらさ
れ、品質のよいアッパーリンク22を製造することが可
能であった。
【0038】
【発明の効果】本発明に係わる鍛造品の製造方法によれ
ば、請求項1に記載しているように、鍛造により得られ
る所望形状の鍛造品の主たる部位において圧下率15%
以上および応力50MPa以上の少なくともいずれかが
得られる形状の鍛造用素材を鋳造により成形したのち、
前記鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛造品に成形し
て当該鍛造品の主たる部位において圧下率15%以上お
よび応力50MPa以上の少なくともいずれかを得るよ
うにしたから、鍛造品の各部において鍛造による強度上
の効果(樹脂状晶の微細分断効果や、鍛流線の発生によ
る効果など)が十分に得られることにより機械的性質の
より一層の向上を実現することが可能であると共に、鍛
造による強加圧の効果により滑らかで光沢のある表面が
得られることによって表面品質のより一層の向上を実現
することが可能であるという著しく優れた効果がもたら
される。
【0039】そして、請求項2に記載しているように、
鍛造により得られる所望形状の鍛造品の主たる部位にお
いて圧下率15%以上および応力50MPa以上の少な
くともいずれかが得られるように前記所望形状の鍛造品
とは非近似形状の鍛造用素材を鋳造により成形したの
ち、前記鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛造品に成
形して当該鍛造品の主たる部位において圧下率15%以
上および応力50MPa以上の少なくともいずれかを得
るようになすことによって、鍛造による強度上の効果が
十分に得られることにより機械的性質のより一層の向上
を実現することが可能であると共に、鍛造による強加圧
の効果が十分に得られることにより滑らかで光沢のある
表面が得られることによって表面品質のより一層の向上
を実現することが可能であるという優れた効果がもたら
される。
【0040】また、請求項3に記載しているように、鍛
造用素材のうち鍛造により肉厚が薄くなる部分は圧下率
15%以上を得ると共に鍛造により前方押出しや後方押
出しなどで塑性流動して形成される部分は応力50MP
a以上を得るようになすことによって、鍛造品の各部位
において鍛造による強度上の効果が十分なものとなるこ
とにより機械的性質のより一層の向上が可能になると共
に、鍛造による強加圧の効果が十分なものとなることに
より滑らかで光沢のある表面が得られることによって表
面品質のより一層の向上が可能になるという優れた効果
がもたらされる。
【0041】さらに、請求項4に記載しているように、
鍛造品がロードホイール用ディスクである場合におい
て、このロードホイール用ディスクのうち凹部および凸
部が形成されるスポーク部において鍛造により肉厚が薄
くなる部分に相当する凹部の底肉部分は圧下率15%以
上を得ると共に鍛造により前方押出しや後方押出しなど
で塑性流動して形成される部分に相当する凸部の突肉部
分は応力50MPa以上を得るようになすことによっ
て、機械的性質および表面品質のいずれにも優れた高性
能なロードホイール用ディスクを製造することが可能と
なり、請求項5に記載しているように、ディスクにアウ
ターリムを一体的に成形するようになすことによって、
ロードホイールにおいて最も強度が要求され且つホイー
ルの外観となるアウターリムにも鍛造による強度および
表面品質の向上が可能であるという優れた効果がもたら
される。
【0042】さらにまた、請求項6に記載しているよう
に、圧下率15%以上に代えてひずみ量0.25以上
(伸び25%以上)を得るようになすことによっても、
同様に、機械的性質および表面品質のいずれにも優れた
高品質の鍛造品ないしはロードホイール用ディスクその
他の機械要素等を製造することが可能であるという優れ
た効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による鍛造前の鍛造用素材の
直径方向における断面説明図である。
【図2】本発明の一実施例による鍛造後のディスク(鍛
造品)の直径方向(図3のII−II線)における断面
説明図である。
【図3】本発明の一実施例による鍛造後のディスク(鍛
造品)の部分正面説明図である。
【図4】図1のIV−IV線における部分断面説明図で
ある。
【図5】図2のV−V線における部分断面説明図であ
る。
【図6】インナーリム接合部における鋳造欠陥発生部位
の断面説明図である。
【図7】本発明の他の実施例による鍛造前の鍛造用素材
の正面説明図である。
【図8】図7のVIII−VIII線における断面説明
図である。
【図9】本発明の他の実施例によるトランスバーリンク
(鍛造品)の正面説明図である。
【図10】図9のX−X線における断面説明図である。
【図11】本発明のさらに他の実施例によるアッパーリ
ンク(鍛造品)の斜面説明図である。
【図12】耐力,引張強さと圧下率との関係を調べた結
果の一例を示すグラフである。
【図13】伸びと圧下率との関係を調べた結果の一例を
示すグラフである。
【図14】ひずみ量と圧下率との関係を調べた結果の一
例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ディスク素材(鍛造用素材) 1A ディスク素材のハブ取付け部相当部 1B ディスク素材の凹部 1C ディスク素材の凸部 1D ディスク素材のスポーク部相当部 1E ディスク素材のインナーリム接合部相当部 1F ディスク素材のアウターリム相当部 2 ディスク(鍛造品) 2A ディスクのハブ取付け部 2B ディスクの凹部 2C ディスクの凸部 2D ディスクのスポーク部 2E ディスクのインナーリム接合部 2F ディスクのアウターリム 11 リンク素材(鍛造用素材) 11B リンク素材の凹部 11C リンク素材の凸部 12 トランスバーリンク(鍛造品) 12B リンクの凹部 12C リンクの凸部 22 アッパアーム(鍛造品) 22A アッパアームのアーム部 22B アッパアームの取付部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造により鍛造用素材を成形したのち、
    前記鍛造用素材を鍛造により所望形状の鍛造品に成形す
    るに際し、鍛造により得られる所望形状の鍛造品の主た
    る部位において圧下率15%以上および応力50MPa
    以上の少なくともいずれかが得られる形状の鍛造用素材
    を鋳造により成形したのち、前記鍛造用素材を鍛造によ
    り所望形状の鍛造品に成形して当該鍛造品の主たる部位
    において圧下率15%以上および応力50MPa以上の
    少なくともいずれかを得ることを特徴とする鍛造品の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 鍛造により得られる所望形状の鍛造品の
    主たる部位において圧下率15%以上および応力50M
    Pa以上の少なくともいずれかが得られるように前記所
    望形状の鍛造品とは非近似形状の鍛造用素材を鋳造によ
    り成形したのち、前記鍛造用素材を鍛造により所望形状
    の鍛造品に成形して当該鍛造品の主たる部位において圧
    下率15%以上および応力50MPa以上の少なくとも
    いずれかを得る請求項1に記載の鍛造品の製造方法。
  3. 【請求項3】 鍛造用素材のうち鍛造により肉厚が薄く
    なる部分は圧下率15%以上を得ると共に鍛造により前
    方押出しや後方押出しなどで塑性流動して形成される部
    分は応力50MPa以上を得る請求項1または2に記載
    の鍛造品の製造方法。
  4. 【請求項4】 鍛造品がロードホイール用ディスクであ
    り、凹部および凸部が形成されるスポーク部において鍛
    造により肉厚が薄くなる部分に相当する凹部の底肉部分
    は圧下率15%以上を得ると共に鍛造により前方押出し
    や後方押出しなどで塑性流動して形成される部分に相当
    する凸部の突肉部分は応力50MPa以上を得る請求項
    1ないし3のいずれかに記載の鍛造品の製造方法。
  5. 【請求項5】 ディスクにアウターリムを一体的に成形
    する請求項4に記載の鍛造品の製造方法。
  6. 【請求項6】 圧下率15%以上に代えてひずみ量0.
    25以上を得る請求項1ないし5のいずれかに記載の鍛
    造品の製造方法。
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