JPH0978210A - アルミ合金製車両ホイールの製造方法および車両ホイール - Google Patents

アルミ合金製車両ホイールの製造方法および車両ホイール

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JPH0978210A
JPH0978210A JP22999595A JP22999595A JPH0978210A JP H0978210 A JPH0978210 A JP H0978210A JP 22999595 A JP22999595 A JP 22999595A JP 22999595 A JP22999595 A JP 22999595A JP H0978210 A JPH0978210 A JP H0978210A
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JP
Japan
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aluminum alloy
wheel
forging
alloy material
weight
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JP22999595A
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English (en)
Inventor
Takashi Kobayashi
敬司 小林
Toshiro Kimura
敏郎 木村
Yasutaka Kaji
靖高 鍛治
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TANEISHIYA KK
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
TANEISHIYA KK
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 材料強度の向上が可能な組成のアルミニウム
合金を用い、この合金の特性を最大限に引き出すための
製造方法を提供すること。 【解決手段】 0.6〜1.0重量%のシリコン,0.
5重量%以下の鉄,0.6〜1.1重量%の銅,0.2
〜0.8重量%のマンガン,0.8〜1.2重量%のマ
グネシューム,0.4重量%以下のクロム,0.25重
量%以下の亜鉛,0.1重量%以下のチタンをそれぞれ
含み、これら含有元素の残部がアルミニウムからなるア
ルミ合金材を成形する工程(S1)と、これを450〜
520℃の開始温度で鍛造する鍛造工程(S2)とを含
む。好ましくは、その後、ホイールのリム部を薄肉化す
る第1のスピニング工程(S3)を200〜400℃の
温度で行い、500〜530℃の温度で0.5〜1.5
時間の加熱(S4),リム部に溝を主として形成する第
2のスピニング工程(S5)を行った後、120〜18
0℃の温度に4〜16時間放置する(S6)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる析出硬化
により高強度化を図り得る組成のアルミ合金から、より
強くて軽量な一体型の車両ホイールを製造できるアルミ
合金製車両ホイールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車のホイールのようにサ
スペンションより下に取り付けてある部品を軽量化す
る、いわゆる「バネ下重量の軽量化」は、燃費や乗り心
地、走行性などに大きく影響することが知られている。
近年、とくにトラックやバスなどの大型車両において
も、ホイールを軽量化する傾向が強くなってきている。
【0003】このため、従来のスチールホイールに代わ
り、皿状のディスク部と環状のリム部とを一体に形成し
た、より軽量な一体型のアルミホイールを大型車両に採
用することが多くなってきた。一般に、この一体型のア
ルミホイールは、金属組織が緻密で薄肉化できることか
ら鍛造製法により造られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の鍛造ア
ルミニュウム合金製ホイールは、耐食性や鍛造性のよい
材料、たとえばA6061合金などを素材としているた
め、さらなる軽量化を図るには材料強度が十分とはいえ
ず、またホイールデザインが単純であるため、アルミニ
ウム合金の軽量性を十分に生かしきれていないといった
課題を有していた。
【0005】本発明者らは、この課題のうちホイールデ
ザイン面からの軽量化について、すでに新たな提案を行
っている(特許出願平7−41937参照)。これに対
し、本発明は、さらなる材料強度の向上が可能な組成の
アルミニウム合金を用い、この合金の特性を最大限に引
き出すための製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した従来技術の課題
を解決し、上述した目的を達成するために、本発明のア
ルミ合金製車両ホイールの製造方法は、少なくとも以下
の2つの工程を含むことを特徴とする。
【0007】第1に、アルミ合金材を、所定の形状に成
形する工程である。このアルミ合金材の組成は、所定の
含有元素と、その残部のアルミニウムとからなる。所定
の含有元素としては、0.6〜1.0重量%のシリコン
(Si),0.5重量%以下の鉄(Fe),0.6〜
1.1重量%の銅(Cu),0.2〜0.8重量%のマ
ンガン(Mn),0.8〜1.2重量%のマグネシュー
ム(Mg),0.4重量%以下のクロム(Cr),0.
25重量%以下の亜鉛(Zn),0.1重量%以下のチ
タン(Ti)を含む。この組成の合金は、いわゆるAl
−Mg−Si系合金の一種で、Si−Mgの析出物(M
2 Si)の析出過程で素材を硬化させる析出硬化(あ
るいは時効硬化)により高強度化を図っている。とく
に、本組成においては、Si,Cu,Crの許容含有量
を多めにして、これにより鍛流線中にできる微細な亜結
晶粒の下部組織を細かいままに安定化させるための繊維
状組織(以下、「ファイバ組織」という。)を形成させ
る。したがって、このアルミ合金材の加工工程で、ファ
イバ組織を安定に維持することができれば更なる強度向
上を図り得る。ここでSi,Cu,Mgは析出物を構成
し、Crは鍛流線中の過部組織の安定化に寄与する。ま
た、Mnは、晶出物形状を塊状に変化させ、針状晶出す
る鉄化合物による強度や耐食性の低下を防止する。
【0008】第2に、成形した前記アルミ合金材につい
て、450〜520℃の開始温度で鍛造を行う鍛造工程
である。この開始温度条件の最初の熱間鍛造で、上述し
たファイバ組織が形成され、これが以後の加工および熱
処理で安定に存続し得るものとなる。このように温度範
囲を設定した理由は、450℃以下では変形抵抗が大き
く鍛造性が劣化する一方、530℃を越える温度では部
分的に溶融が始まる可能性があるためである。
【0009】この鍛造工程のほか、その後においては、
次の諸工程を所定の温度条件下で行うことが好ましい。
上述したファイバ組織を安定に維持するとともに、時効
硬化による高強度化を図るためである。すなわち、ま
ず、鍛造されたホイールのリム部を主として薄肉化する
第1のスピニング工程を行う。具体的には、ホイールを
回転させながらしごくスピニングを、200〜400℃
の温度に保ったまま行う。このように200〜400℃
の温度域で加工を行うのは、変形抵抗を小さくし加工し
やすくするとともに、鍛造時に形成されたファイバ組織
を安定化させるためである。
【0010】つぎに、溶体化処理を行う。すなわち、第
1のスピニングを行ったホイールを500〜530℃の
温度で0.5〜1.5時間加熱する。これにより、溶質
元素が固溶された過飽和固溶体が形成されるとともに、
加工歪みが除去される。その後、冷間あるいは熱間でス
ピニングを行うことにより、ホイールのリム部にタイヤ
をはめ込む溝を主として形成する第2のスピニング工程
を行う。
【0011】最後に、120〜180℃の温度に4〜1
6時間保持する人工時効を行うことにより、時効硬化さ
せる。すなわち、溶体化処理で形成された過飽和固溶体
が、より安定な平衡状態に移行する段階で微細な析出物
が分散し、これが転位の運動を妨げることにより強度が
向上する。
【0012】前記鍛造工程は、ホイールのディスク部と
リム部とへの大まかなボリューム配分を行う粗鍛造と、
粗鍛造によりボリューム配分したホイールについて主と
してディスク部の形状を整える仕上げ鍛造との2段階で
行うことが好ましい。ホイールデザインによっては、鍛
造を一度に行うと歪み負担が大きく局所的に無理が生じ
ることがあり、これを考慮して鍛造を2段階とした。
【0013】アルミ合金材は、リング形状を有するとと
もに、その成形は、鋳造により、あるいは鋳造後に切り
出すことにより行うことが好ましい。リング形状にする
のは、投入材料を減らす目的であり、鋳造材を用いるの
は、金属組織の均一性を重視したからである。
【0014】本発明に係るアルミ合金製車両ホイール
は、0.6〜1.0重量%のシリコン,0.5重量%以
下の鉄,0.6〜1.1重量%の銅,0.2〜0.8重
量%のマンガン,0.8〜1.2重量%のマグネシュー
ム,0.4重量%以下のクロム,0.25重量%以下の
亜鉛,0.1重量%以下のチタンをそれぞれ含み、これ
ら含有元素の残部がアルミニウムからなるアルミ合金材
で構成することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係るアルミ合金製車両ホ
イールの製造方法の説明に先立ち、本実施形態における
アルミホイールについて、簡単に説明する。ここで使用
する図7はアルミホイールの完成図を示し、(A)はア
ルミホイールの表面図、(B)は(A)のII−III −II
V 線に沿った断面図である。
【0016】本発明に係る製法により完成した鍛造アル
ミホイール2は、たとえば図7(B)に示すように、皿
状のディスク部4と、幅中央が内寄りに多段状に窪んだ
ウェルを有しタイヤを保持する環状のリム部6とが一体
に形成されている。ディスク部4は、その中心を表裏面
に貫通する円形のハブ穴8と、ハブ穴8の外周を形成す
るフランジ状の取付部10と、取付部10の周縁からリ
ム部6に連なり、後方に向けて浅く傾斜する円錐台斜面
部12とから構成されている。
【0017】この円錐台斜面部12には、同図(A)に
示すように、凹面部14が円周方向に沿って所定間隔ご
とに形成されている。これにより、本実施形態における
円錐台斜面部12には、ディスク面に対し面一の凸面部
16と、前記凹面部14とが円周方向に沿って交互にそ
れぞれ8個づつ形成されている。また、前記取付部10
には、各凹面部14中心とホイールの回転中心IIとを結
ぶ線上で取付部10の円周方向に沿って、ボルト穴16
が表裏面を貫通して8つ形成されている。
【0018】上記凹面部14は、円錐台斜面部12にお
いて外周側に向かうにしたがい幅広な扇状に形成されて
いる。具体的に、凹面部14は、底面18と、その周囲
から円錐台斜面部12の外面に向かって斜めに連なる斜
側面20とで構成され、底面18の中央には、略円形の
第1貫通孔22が形成されている。これに対し、凸面部
16には、第2貫通孔24が円錐台斜面部12の表裏面
を貫いて形成されている。この第2貫通孔24は、断面
が略U字形でホイール内側向かって径が若干狭く形成さ
れている。
【0019】このような鍛造アルミホイールのデザイン
においては、ディスク面に凹凸のあるものとすることに
より、強度を低下させずに軽量化できる。すなわち、前
記円錐台斜面部12の周方向断面を蛇行状として、凹面
部14と凸面部16とをつなぐ傾斜面がリブとして機能
し強度補強されるので、薄肉化しても強度が低下しな
い。また、形状の異なる貫通穴22,24を交互に配す
ることにより、効果的に応力の分散を図るとともに、重
量バランスを保ちつつ軽量化できる。
【0020】以下、本発明に係るアルミ合金製車両ホイ
ールの製造方法を、図面に示す実施例にもとづいて、詳
細に説明する。図1は、本発明に係るアルミ合金製車両
ホイールの製造方法のフローを示す。また、図2〜7
は、アルミ合金材からアルミホイールが本発明に係る鍛
造製法により成形される各段階を示し、具体的に図2は
アルミ合金材がリング状に切り出された段階を示す図、
図3はアルミ合金材に粗鍛造を行った段階を示す図、図
4は仕上げ鍛造を行った段階を示す図、図5はしごきス
ピニングを行った段階の図、図6は形状出しスピニング
を行った段階を示す図、図7は内外面を機械加工した後
のアルミホイールの完成図をそれぞれ示す。また、それ
ぞれの図において、(A)はアルミホイールの表面図、
(B)は先に説明し図7(A)に示すII−III −IIV 線
に沿った断面図をそれぞれ示す。また、図3(C)およ
び図4(C)はアルミホイール内側からみて右半分を示
す略裏面図を示す。なお、ここでは、先に説明した図7
のデザインのホイールについて説明するが、本発明のア
ルミ合金製車両ホイールは、デザイン面で図示のものに
限定されない。
【0021】図1に示すように、まず、ステップ1(S
1)で、アルミ合金材を所定の形状に成形する。このア
ルミ合金材30の成形は、好ましくは、不図示の管形状
を有したアルミ合金製の鋳造材(ホロービレット)を、
図2に示すようにリング状に切り出すことにより行われ
る。リング形状にするのは、これにより前記ハブ穴8分
の投入材料を減らすことができ、鋳造材を用いるのは、
鋳造による金属組織は均一性がよいからである。ただ
し、リング形状とするのに、ホロービレットをリング状
に切り出す必要は必ずしもなく、たとえば棒状材を円形
板状に切り出した後に軸中心を穿孔することによっても
リング形とすることもできるし、あるいは最初からリン
グ状の型を用いて個々にアルミ合金材を生産することも
可能である。また、投入材料を減らすよりも生産コスト
的に有利であれば、リング状にする必要はなく、たとえ
ば円形板状のアルミ合金材を、棒状部材から切り出すこ
とにより、あるいは型形成で生産し得る。
【0022】このアルミ合金材30の組成は、所定の含
有元素と、その残部のアルミニウムとからなる。所定の
含有元素としては、0.6〜1.0重量%のシリコン
(Si),0.5重量%以下の鉄(Fe),0.6〜
1.1重量%の銅(Cu),0.2〜0.8重量%のマ
ンガン(Mn),0.8〜1.2重量%のマグネシュー
ム(Mg),0.4重量%以下のクロム(Cr),0.
25重量%以下の亜鉛(Zn),0.1重量%以下のチ
タン(Ti)を含む。この組成の合金は、いわゆるAl
−Mg−Si系合金の一種で、Si−Mgの析出物(M
2 Si)の析出過程で素材を硬化させることができ、
析出硬化(あるいは時効硬化)型合金といわれる。
【0023】この組成のアルミ合金材30は、通常のA
l−Mg−Si系合金(たとえばA6061合金)と異
なり、Si,Cu,Crの許容含有量が大きめに設定し
てある。これは、本組成の合金が、合金の鍛流線中にで
きる微細な亜結晶粒の下部組織を細かいままに安定化さ
せるためのファイバ組織を次に述べる最初の熱間加工時
に形成し、これを以後の工程でも安定に維持させること
で強度向上が図り得ることに着目して組成範囲が設定さ
れているからである。ここでSi,Cu,Mgは析出物
を構成し、Crは鍛流線中の下部組織の安定化に寄与す
る。また、Mnは、晶出物形状を塊状に変化させ、針状
晶出する鉄化合物による強度や耐食性の低下を防止す
る。
【0024】つぎのステップ2(S2)では、成形した
前記アルミ合金材30について、450〜520℃の開
始温度で鍛造が行われる。この開始温度条件の最初の熱
間鍛造で、上述したファイバ組織が形成され、これが以
後の加工および熱処理で安定に存続し得るものとなる。
このように温度範囲を設定した理由は、450℃以下で
は変形抵抗が大きく鍛造性が劣化する一方、530℃を
越える温度では部分的に溶融が始まる可能性があるため
である。
【0025】本実施例における鍛造工程は、ホイールの
ディスク部とリム部とへの大まかなボリューム配分を行
う粗鍛造(ステップ2a(S2a))と、粗鍛造により
ボリューム配分したホイールについて主としてディスク
部の形状を整える仕上げ鍛造(ステップ2b(S2
b))との2段階で行われる。これは、先に説明した本
実施態様のホイールデザインにおいては、前記凹面部1
4や前記凸面部16を鍛造時にある程度まで形造ってお
く必要があり、これをボリューム配分と同時に行うと歪
み負担が大きく局所的に無理が生じることから、これを
考慮して鍛造を2段階としたものである。したがって、
このような無理が生じない場合、たとえば比較的に簡素
なデザインの場合、その他、比較的に変形抵抗が小さい
などの理由で鍛造が容易な場合には、鍛造を2回に分け
ず最初の鍛造で仕上げまで行っても構わない。
【0026】具体的に、最初の粗鍛造(S2a)におい
ては、図1に示すアルミ合金材30について、その内周
壁や外側を所定の型で抑制しながら、内周壁の周囲の所
定幅しろに厚み方向に圧をかけると、図3(B)に示す
ように、合金材が抑制のないリング軸方向と平行な一方
側(同図では右側)に押し出され、リング軸と略直交な
ディスク部4aと、その周縁から断面が略L字状に延び
るリム部6aとにボリューム配分が行われる。このと
き、ディスク部4a内の外周側に円錐台斜面部12aが
形造られ、この円錐台斜面部12aに、前記凹面部14
となる窪み14aと前記凸面部16となる窪み16aと
が形成される。
【0027】つぎの仕上げ鍛造(S2b)では、主とし
て前記ディスク部4aの形状が整えられる。すなわち、
この鍛造後のディスク部4bでは、図4に示すように、
前記凸面部16となる窪み16bが、薄肉部25を残し
ている以外は最終形状に近いものに形造られ、凹面部1
4bにおいては底面18bと斜側面20bとがはっきり
と形成される。また、円錐台斜面部12bやリム部6b
の形状も整えられ、リム部6bの表面側端にフランジ部
7が形成される。
【0028】つぎのステップ3(S3)では、鍛造され
たホイールのリム部6bを薄肉化する第1のスピニング
工程として、しごきスピニングを行う。具体的には、ホ
イールを回転させながらしごくスピニングを、200〜
400℃の温度に保ったまま行う。このように200〜
400℃の温度域で加工を行うのは、変形抵抗を小さく
し加工しやすくするとともに、鍛造時に形成されたファ
イバ組織を安定化させるためである。これにより、図5
に示すように、スピニング後のリム部6cは薄肉化され
幅が拡張されるとともに、リム部6cにテーパ状の最初
の段差が形成される。
【0029】つぎのステップ4(S4)では、溶体化処
理を行う。すなわち、しごきスピニングを行ったホイー
ルを500〜530℃の温度で0.5〜1.5時間加熱
する。これにより、溶質元素が固溶された過飽和固溶体
が形成されるとともに、加工歪みが除去される。
【0030】その後、ステップ5(S5)で、ホイール
のリム部6cにタイヤをはめ込む溝を主として形成する
第2のスピニング工程として、形状出しスピニングを行
う。このスピニングでは、前記しごきスピニングで既に
ファイバ組織を安定化させていることから、熱間で行う
必要は必ずしもなく、冷間で行ってもよい。これによ
り、図6に示すように、スピニング後のリム部6eに2
段目の段差が形成される。
【0031】続いて、つぎのステップ6(S6)では、
120〜180℃の温度に4〜16時間保持する人工時
効を行うことにより、時効硬化させる。これにより、溶
体化処理で形成された過飽和固溶体が、より安定な平行
状態に移行する段階で微細な析出物が分散し、これが転
位の運動を妨げることにより、強度が向上する。
【0032】最後に、ステップ7(S7)で、内外面の
機械加工を行う。具体的には、図7に示すように、図6
の段階の前記リム部6dを更に薄肉化するとともに、図
4の段階で形成された前記凸面部16bの薄肉部25,
前記凹面部14bの底面18b,前記取付部10の所定
位置を打ち抜くことにより、それぞれ前記第2貫通孔2
4,第1貫通孔22,ボルト穴26が形成される。その
後、トリミングおよび表面研磨を行えば、当該アルミホ
イールの鍛造製法による製造が完了する。
【0033】この製法により製造された本発明に係るア
ルミ合金製ホイールは、前述した所定組成のアルミ合金
材を用い、たとえば450〜520℃の開始温度で鍛造
しているため、より強く軽量にすることができる。な
お、本実施態様の説明において、とくに言及した以外の
事項に制限はなく、発明の範囲内で種々に改変すること
ができる。
【0034】
【実施例】以下、さらに具体的な実施例について説明す
る。この実施例では、先に説明した図7のデザインのホ
イールを、図1のフローにしたがって試作した。本実施
例に用いたアルミ合金材は、A6013相当品であり、
その組成はSi:0.89重量%,Fe:0.3重量
%,Cu:0.89重量%,Mn:0.49重量%,M
g:0.97重量%,Cr:0.03重量%,Ti:
0.01重量%,残部Alであった。
【0035】この合金材を選択した理由は、第1に、従
来のA6061合金板材が耐力:26kgf/mm2
抗張力:30kgf/mm2 であるのに対し、このA6
013系合金の加熱板材(T6)は、耐力:32kgf
/mm2 ,抗張力:36kgf/mm2 といずれも20
%ほど素材自体の高強度化が図られているからである。
【0036】また、この合金材を選択した第2の理由と
して、とくにSi,Cuの含有量が比較的に多くファイ
バ組織の形成が期待できる一方、Cu含有量の増加にと
もない劣化する腐食性が、Mn含有量の増加により改善
されているからである。ちなみに、従来のA6061の
組成は、Si:0.4〜0.8重量%,Fe:0.7重
量%以下,Cu:0.15〜0.4重量%,Mn:0.
15重量%以下,Mg:0.8〜1.2重量%,Cr:
0.04〜0.35重量%,Ti:0.15重量%以
下,残部Alと規格されている。
【0037】まず、図1のアルミ合金材の形成工程(S
1)では、鍛造素材としてのホロービレットは、外径d
1 :464mmφ,内径d2 :220mmφのものを用
い、これを図2に示すように、89mmの長さ(t)ご
とに切断することによりアルミ合金材30を形成した。
【0038】つぎの粗鍛造(S2a)では、鍛造温度:
480℃で行った。この結果、材料強度が、耐力:35
kgf/mm2 ,抗張力:40kgf/mm2 まで向上
した。つぎの仕上げ鍛造(S2b)も480℃で鍛造を
行い、この鍛造の余熱を利用して次のしごきスピニング
(S3)を行った。このときのスピニング開始温度は、
300℃であった。
【0039】その後、溶体化処理(S4)を、510℃
の温度で1時間行った後、リム部の形状出しスピニング
(S5)を冷間で行った。最後に、人工時効(S6)
を、160℃の温度で8時間施した後、内外面を機械加
工して(S7)、ホイールの鍛造による形成が終了し
た。
【0040】この人工時効(S6)後の耐力・抗張力
は、耐力:40kgf/mm2 ,抗張力:45kgf/
mm2 であり、素材状態の最初の耐力:32kgf/m
2 ,抗張力:36kgf/mm2 から、それぞれ25
%向上した。また、伸びも10%以上が確保されている
こと、および耐食性に問題がないことも確認した。この
ため、従来のA6061合金の素地強度から、アルミ合
金製ホイールを成形した後では、1.5倍の高強度を得
ることができる。
【0041】この結果、本実施例では、ホイールの薄肉
化および高機能デザイン化の余地が生まれ、従来比30
%の重量を軽減することができた。これにより、たとえ
ば大型トラックにおいては、一台あたり11車輪に使用
するため全体で70kgwの軽量化が達成される。
【0042】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、含有元素の析出過程で硬化させるほか、ファイバ組
織により高強度が得られる組成のアルミ合金を用い、こ
の合金の特性を最大限に引き出すためにファイバ組織を
維持しながらホイールを成形する製造方法を提供でき
る。これにより、アルミ合金製車両ホイールの更なる軽
量化を図ることが可能となり、デザイン面での工夫が生
まれる余地も生じる。
【0043】また、本発明によれば、より強くて軽量な
アルミ合金製車両ホイールを提供することができる。本
発明を用いてホイールの軽量化を行うことにより、燃費
向上や積載重量の増加が見込まれ、輸送効率の向上に寄
与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルミ合金製車両ホイールの製造
方法のフロー図である。
【図2】アルミ合金材がリング状に切り出された段階を
示す図である。ここで(A)はアルミホイールの表面
図,(B)は図7(A)に示すII−III −IIV 線に沿っ
た断面図である。
【図3】アルミ合金材に粗鍛造を行った段階を示す図で
ある。ここで(A)は同表面図,(B)は同断面図,
(C)はアルミホイール内側からみて右半分を示す略裏
面図である。
【図4】仕上げ鍛造を行った段階を示す図である。ここ
で(A)は同表面図,(B)は同断面図,(C)は同略
裏面図である。
【図5】しごきスピニングを行った段階の図である。こ
こで(A)は同表面図,(B)は同断面図である。
【図6】形状出しスピニングを行った段階を示す図であ
る。ここで(A)は同表面図,(B)は同断面図であ
る。
【図7】内外面を機械加工した後のアルミホイールの完
成図である。ここで(A)は同表面図,(B)は同断面
図である。
【符号の説明】
2…アルミホイール 4,4a〜4b…ディスク部 6,6a〜4d…リム部 7…フランジ部 8…ハブ穴 10…取付部 12…円錐台斜面部 14,14a〜14b…凹面部 16,16a〜16b…凸面部 18,18b…底面 20,20b…斜側面 22…第1貫通孔 24…第2貫通孔 25…薄肉部 26…ボルト穴 30…アルミ合金材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鍛治 靖高 富山県新湊市新堀34番地5 株式会社鍛栄 舎内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.6〜1.0重量%のシリコン,0.
    5重量%以下の鉄,0.6〜1.1重量%の銅,0.2
    〜0.8重量%のマンガン,0.8〜1.2重量%のマ
    グネシューム,0.4重量%以下のクロム,0.25重
    量%以下の亜鉛,0.1重量%以下のチタンをそれぞれ
    含み、これら含有元素の残部がアルミニウムからなるア
    ルミ合金材を成形する工程と、 成形した前記アルミ合金材について、450〜520℃
    の開始温度で鍛造する鍛造工程とを少なくとも含むアル
    ミ合金製車両ホイールの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記鍛造工程後には、 ホイールを回転させながらしごくスピニングを、200
    〜400℃の温度に該ホイールを保持して行うことによ
    り、鍛造したホイールのリム部を主として薄肉化する第
    1のスピニング工程と、 第1のスピニングを行ったホイールを、500〜530
    ℃の温度で0.5〜1.5時間加熱する工程と、 冷間あるいは熱間で前記スピニングを行うことにより、
    ホイールの前記リム部にタイヤをはめ込む溝を主として
    形成する第2のスピニング工程と、 第2のスピニングを行ったホイールを、120〜180
    ℃の温度に4〜16時間保持する工程とを少なくとも含
    む請求項1に記載のアルミ合金製車両ホイールの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記鍛造工程は、 ホイールのディスク部とリム部とへの前記アルミ合金材
    の大まかなボリューム配分を行う粗鍛造と、 粗鍛造によりボリューム配分されたホイールについて、
    主としてディスク部の形状を整える仕上げ鍛造との2段
    階で行う請求項1または2に記載のアルミ合金製車両ホ
    イールの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルミ合金材は、リング形状を有す
    るとともに、 該アルミ合金材の成形は、鋳造により、あるいは鋳造後
    に切り出すことにより行う請求項1〜3のいずれか1項
    に記載のアルミ合金製車両ホイールの製造方法。
  5. 【請求項5】 0.6〜1.0重量%のシリコン,0.
    5重量%以下の鉄,0.6〜1.1重量%の銅,0.2
    〜0.8重量%のマンガン,0.8〜1.2重量%のマ
    グネシューム,0.4重量%以下のクロム,0.25重
    量%以下の亜鉛,0.1重量%以下のチタンをそれぞれ
    含み、これら含有元素の残部がアルミニウムからなるア
    ルミ合金材で構成するアルミ合金製車両ホイール。
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