JP2819894B2 - レブロジョイント外輪の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

レブロジョイント外輪の製造方法およびその製造装置

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JP2819894B2 JP3283854A JP28385491A JP2819894B2 JP 2819894 B2 JP2819894 B2 JP 2819894B2 JP 3283854 A JP3283854 A JP 3283854A JP 28385491 A JP28385491 A JP 28385491A JP 2819894 B2 JP2819894 B2 JP 2819894B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、軸方向の伸縮が許容
された等速ジョイントであるレブロジョイントの外輪の
製造方法と、その製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レブロジョイントの外輪は、そのカップ
部の内周面に複数のクロス溝を有しており、このクロス
溝を切削加工せずに鍛造成形する製造方法が、特開昭6
0−221144号公報に記載されている。この製造方
法は、カップ部と軸部とからなるレブロジョイント外輪
の粗形材の前記カップ部を、傾斜したクロス溝を形成す
るための複数のクロス溝賦形部を外周に備えたマンドレ
ルポンチの外側に被せ、このカップ部を、外周から鍛造
用の成形型によって加圧して成形するもので、この従来
の製造方法においては、粗形材として、外輪のカップ部
の肉厚が、クロス溝の深さの約2倍以上と大幅に厚い円
筒状に形成されたものを用いるのが一般的であった。そ
のため、鍛造成形された後の前記カップ部の肉厚は、ク
ロス溝の部分が薄く、それ以外の部分が厚くなって不均
一となる。したがって、成形時にクロス溝の部分と他の
厚肉部とで塑性変形量(伸び量)に差が生じ、その結
果、クロス溝の付近に引張応力が働き、割れ等の成形不
良が発生する恐れがあった。この割れ等の成形不良は、
特にレブロジョイント等のボールジョイントの場合のよ
うに、強度・剛性・硬さのそれぞれに優れた高炭素鋼や
合金炭素鋼等の材料を用いた場合に顕著に現われる傾向
があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、高炭素鋼等を
材料とした場合に、鍛造成形時の割れの発生を防ぐ方法
としては、加工時の塑性変形量が少なくかつ均等となる
ようにすればよく、例えば、外輪の粗形材のカップ部の
肉厚を、強度上必要とされる最小限とほぼ等しい肉厚と
するとともに円周方向にほぼ均一に形成することが考え
られる。しかし、カップ部の肉厚が、最終成形寸法すな
わち製品肉厚より若干厚い程度で、円周方向にほぼ一定
に形成された粗形材を鍛造加工する場合には、先ずカッ
プ部のクロス溝部が曲げ加工された後、肉厚方向に加圧
されて所定の形状で、所定の肉厚に鍛造成形されること
となる。
【0004】したがって、加工初期の段階では、カップ
部内周に成形されるクロス溝の両側の稜線部分は、マン
ドレルポンチのクロス溝賦形部に押し付けられ粗形材の
曲げの外側湾曲部となるため、所定形状とはなりきれ
ず、次いで加えられる鍛造加工によって、各部がフィル
アップされるようになっているが、塑性変形量を少なく
するために粗形材の肉厚が厚くなく、その結果、鍛造時
の材料の流れが少なく、前記稜線部分のフィルアップ量
が不足する恐れがあった。特に、カップ部の開口端は、
鍛造時に材料が軸方向に流れ易いため、前記稜線部分の
フィルアップが不充分となり易いという問題があった。
【0005】この発明は、上記の事情に鑑みなされたも
ので、高炭素鋼等の成形性の低い材料の場合でも割れや
フィルアップ不足等の成形不良が発生せず、欠陥のない
レブロジョイント外輪を製造できるレブロジョイント外
輪の製造方法およびその製造装置を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段としてこの発明の製造方法は、粗形材を成形型で
周囲から加圧することによって、軸線に対して所定の角
度に傾斜した複数本のクロス溝をカップ部の内周面に備
えたレブロジョイント外輪を製造する方法において、前
記カップ部の肉厚を最終成形寸法より若干厚く、かつ円
周方向にほぼ均一に形成した粗形材を、外周側から加圧
して塑性変形させることにより、カップ部外周面の前記
クロス溝の外側となる部分のうちカップ開口端近傍部分
を、軸線に対して平行に成形することを特徴としてい
る。
【0007】さらに、レブロジョイント外輪に加工され
る粗形材のカップ部の内周面に圧接してクロス溝を含む
内周形状を賦形するマンドレルポンチと、このマンドレ
ルポンチの外周面との間に所定の距離を保持し、前記粗
形材のカップ部内周に内周形状を、またカップ部外周に
外周形状をそれぞれ賦形するとともに、前記クロス溝に
対応する外周側の突出部分を賦形する溝状の賦形部のカ
ップ開口端側の所定の範囲が、軸線方向に対して平行に
形成された成形型とを有することを特徴としている。
【0008】
【作用】上記のように、この発明の製造方法によれば、
軸線に対して所定の角度に傾斜した複数本のクロス溝を
内周面に備えたカップ部を有するレブロジョイント外輪
の製造方法において、粗形材のカップ部の肉厚を最終成
形寸法より若干厚く、かつ円周方向にほぼ均一に形成す
るとともに、この粗形材を外周側から加圧して塑性変型
させることにより、カップ部外周面の前記クロス溝の外
側となる部分のうちカップ開口端近傍部分を、軸線に対
して平行に形成すれば、カップ部内周のクロス溝両側の
稜線の直上に材料を供給することにより、良好なフィル
アップが行われる。
【0009】またこの発明の製造装置は、レブロジョイ
ント外輪に加工される粗形材のカップ部の内周面に圧接
してクロス溝を含む内周形状を賦形するマンドレルポン
チと、このマンドレルポンチの外周面との間に所定の距
離を保持し、前記粗形材のカップ部内周に内周形状を、
またカップ部外周に外周形状をそれぞれ賦形するととも
に、前記クロス溝に対応する外周側の突出部分を賦形す
る溝状の賦形部のカップ開口端側の所定の範囲が、軸線
方向に対して平行に形成された成形型とを有するので、
加工時の塑性変形量が少なくなり、ひけや割れ等の成形
不良の発生を防止できるとともに、必要とされる加工荷
重が小さくなるため装置の小型化が図れる。
【0010】
【実施例】以下、この発明の実施例を図1ないし図10
に基づいて説明する。
【0011】図1および図2は、この発明のレブロジョ
イント外輪の製造装置の一実施例を示すもので、この製
造装置31は、前工程において成形されたカップ部11
とジョイント軸部12とからなる粗形材13(図3,図
4参照)を更に鍛造成形してレブロジョイント外輪を製
造するものである。ここで使用する前記粗形材13のカ
ップ部11は、その肉厚が最終成形寸法より若干厚い円
筒形に形成されており、例えばカップ部11の口縁部
は、図5および図6に示す加工後の鍛造品23のカップ
部21の口縁部の最終成形寸法t1 ,t2 より若干厚
く、かつ円周方向にほぼ均一な肉厚t0 に成形され、ま
たカップ部の直径を大きくして円周長を長くし、加工時
に余肉を発生させて圧縮応力が加わるように形成されて
いる。
【0012】そして、この製造装置31は、レブロジョ
イント外輪の粗形材13のカップ部11の内周面に圧接
してクロス溝24を形成する6本のクロス溝賦形部材3
5a(図1において半分は省略)と、このクロス溝賦形
部材35aを外周の所定位置に、所定角度に傾斜させて
固定するマンドレルガイド35bとからなるマンドレル
ポンチ35とを有している。また、このマンドレルポン
チ35の外周には、その外周を6等分する位置に6個の
ラジアルダイ36がそれぞれ放射方向にスライド可能に
配設され、各ラジアルダイ36が最も中心側(マンドレ
ルポンチ35側)に前進した状態で、前記マンドレルポ
ンチ35との間に、図5に示す鍛造品23のカップ部2
1を密接状態に収容可能な空隙が形成されるようになっ
ている。そして、これら6個のラジアルダイ36は、互
いの見切り面が、前記マンドレルポンチ35により賦形
される鍛造品23のクロス溝24の外周側となる突出部
23aの最も突出した部分(最外径部分)を通る稜線R
(図6において二点鎖線にて示す)に沿って形成されて
いる。
【0013】また各ラジアルダイ36の後端(外側端)
には、スライド方向に対してそれぞれ垂直な受圧面36
aが形成されている。さらに、各ラジアルダイ36の外
側には、前記受圧面36aにそれぞれ平行に対向する6
つの反力受け面37aを内側に備えた6角形穴の反力受
けリング37(図1において半分は省略)が、互いに対
向する各受圧面36aと反力受け面37aとの間に一定
の距離をそれぞれ保持するとともに、マンドレルポンチ
35との相対位置が変化しないように固定されている。
そして、互いに対向する前記各受圧面36aと反力受け
面37aとの間には、下方へ突出するように上型38の
下面に取付けられたくさび39が、図示しないプレス機
のラムに駆動され、下降して前記ラジアルダイ36を中
心のマンドレルポンチ35に向けて押動し、押動された
各ラジアルダイ35はマンドレルポンチ35との間に、
レブロジョイント外輪用の粗形材13を挟圧して鍛造成
形するようになっている。
【0014】また前記各クロス溝24は、その中間部分
をジョイント軸22の中心を通る軸線から一定の距離で
一定の角度傾斜させてカップ部21の内周面に形成され
るとともに、各クロス溝24のカップ開口端側の部分
は、幅J(J≦t1 ort2 ) だけを、ジョイント軸部2
2の軸線と平行に形成されている。このとき、カップ部
21のクロス溝24,24に挟まれかつ開口端側に拡が
る部分(イ)の内外面の端部における寸法は、外側寸法
L1 が内側寸法L2 の約70%程度となるように設定さ
れている。
【0015】また図7に示すように、各ラジアルダイ3
6の先端面(中心側の面)には、鍛造品23の内周面に
形成される各クロス溝24に対応する外方への突出部2
3aを形成する半割り溝状の溝外周賦形部36bが両側
に、また内周面のクロス溝24以外の部分に対応する非
突出部23bを形成する曲面状の外周賦形部36cが中
央にそれぞれ形成されており、また、隣接するラジアル
ダイ36,36間には、各ラジアルダイ36が前進限ま
で前進した際に、所定寸法の間隙sが形成されるように
なっている(図1参照)。なお、図5において符号25
は、鍛造成形時に、ラジアルダイ36の見切り面に沿っ
て鍛造品23のカップ部21の外周面に形成される余肉
突条であり、この余肉突条は、軽量化のために仕上げ工
程において切削除去される。
【0016】次に、上記のように構成されるこの実施例
の製造装置31を用いて行われるレブロジョイント外輪
の製造方法について説明する。
【0017】先ず、レブロジョイント外輪用の粗形材1
3は、図3および図4に示すように、カップ部11の口
縁部の肉厚t0 を、鍛造品23のカップ部21の口縁部
の最終成形寸法t1 ,t2 に基づいて肉厚圧縮率[(t
0 −t1 ort2 /t0 )×100]が約5〜30%の範
囲となるように設定する。そして、カップ部11が、そ
の口縁部の肉厚t0 を含む全体の肉厚が円周方向にほぼ
均一な円筒形となるように、通常の鍛造装置によって成
形する。
【0018】そして、得られた粗形材13のカップ部1
1を、製造装置31のマンドレルポンチ35の外周に被
せてセッティングした後、プレス機のラムを下降させる
と、上型38に取付けた6個のくさび39が、6個のラ
ジアルダイ36と反力受けリング37との間にそれぞれ
圧入され、6個のラジアルダイ36がそれぞれ中心方向
に押動される。
【0019】くさび39に押動された各ラジアルダイ3
6は、それぞれの先端の半割り溝状の溝外周賦形部36
b,36bおよび曲面状の外周賦形部36cが、粗形材
13のカップ部11を外周側からそれぞれ加圧して、こ
のカップ部11をマンドレルポンチ35との間で挟圧す
る。その結果、図5に示すように、カップ部11の内周
面には、マンドレルポンチ35に設けられた6本のクロ
ス溝賦形部材35aによって、6本のクロス溝24が形
成されるとともに、カップ部11の外周は、各クロス溝
24に対応する突出部23aと、隣接する突出部23a
間の非突出部23bとが交互に形成されてチューリップ
状に、外周が凹凸形成されるとともに、各突出部23a
の稜線部分には、この稜線に沿って見切り面を形成した
6個のラジアルダイ36間から押出された余肉が、幅s
の余肉突条25として形成される。したがって、この余
肉突条25は、カップ部21の外周の最も突出した部分
(最外径部)となるため、この余肉突条25の切削除去
は旋盤によって6箇所を同時に行うことができる。
【0020】また、この実施例においては、隣接する各
ラジアルダイ36間に幅sの間隙が形成されるようにし
て、加工時に発生する余肉がこの間隙から押出されるよ
うにしたので、成形荷重を低減することができる。また
図7に示したように各ラジアルダイ36の先端の半割り
溝状の溝外周賦形部36bの開口端側をそれぞれ拡径方
向に削って段部36dを形成して、各ラジアルダイ36
の前記段部36dの部分を、マンドレルポンチ35の口
縁部形状に対して非相似形に形成して、鍛造品23のカ
ップ部21の口縁部は、前記カップ部21のクロス溝2
4の軸線と平行に形成した口縁部分の幅Jとほぼ同じ幅
K(K≧J) の範囲だけ肉厚が増加するようにしたの
で、口縁部への材料の流れが増加し、粗形材13が鍛造
品23に加工される途中で、カップ部21のクロス溝2
4,24に挟まれた非突出部23bのうち加工の初期段
階で形成された開口端側に開いた三角形の部分(イ)
が、肉厚方向に圧縮された際に、ジョイント軸22の方
向に材料が伸びる性質により、この部分がマンドレルポ
ンチ35の表面から離れようとしても、ラジアルダイ3
6の拘束力が保たれて、高い圧縮応力が発生するので、
カップ部21の内周面の稜線部分を良好にフィルアップ
させることができる。
【0021】そして、カップ部21のクロス溝24,2
4に挟まれた非突出部23bのうち開口端側に狭くなる
三角形の部分(ロ)は、その幅に対して肉厚t1 ,t2
が厚くなるほど外側形状の幅が狭くなり、肉厚圧縮時の
体積不足となってフィルアップ不足となり易いが、ラジ
アルダイ36の半割り溝状の各溝外周賦形部36bの開
口端側の一部(Kの部分)を、ジョイント軸部22と平
行に形成したので、クロス溝24の両側の開口端側の稜
線部分と対応する位置にラジアルダイ36側の突出部が
配置されて(図5参照)、形状効果によって圧縮率を高
めたのと同じ状態となるため、各稜線部分を充分にフィ
ルアップさせることができる。
【0022】また図8は、ラジアルダイの別の例を示す
もので、各ラジアルダイ46は、先端の半割り溝状の溝
外周賦形部46bと曲面状の外周賦形部46cのそれぞ
れの開口端側(図8において下端側)を、溝外周賦形部
46bの開口端側のジョイント軸部22の軸線と平行に
形成された部分と同じ幅Kだけを、拡径方向に削って段
部46dが、全周に亘って形成されている。したがっ
て、この場合にも図7に示した各ラジアルダイ36の場
合と同様に、溝外周賦形部46bの開口端側の部分が軸
線と平行に形成されているので、カップ部の内周面の稜
線部分を良好にフィルアップさせることができ、さら
に、段部46dを開口端の全周に形成して、成形品の開
口端の外周に厚肉部が環状に形成されるようにしたの
で、鍛造時における開口端部への材料の流れが増加し、
カップ開口端への材料の供給不足による成形不良の発生
を防止することができる。
【0023】また図9はラジアルダイの他の例を示すも
ので、各ラジアルダイ56において、溝外周賦形面56
bと外周賦形面56cとの開口端側には、外周賦形面5
6cの開口端部を除いた部分に、それぞれの開口端側を
拡径方向に削って段部56dが形成されており、この場
合にも前記ラジアルダイ46とほぼ同様の効果が得られ
る。
【0024】また図10は、粗形材の別の例を示すもの
で、このレブロジョイント外輪用の粗形材73は、カッ
プ部71とジョイント軸部72とからなり、前記カップ
部71は、その肉厚が最終成形寸法より若干厚い円筒形
に形成されており、例えばカップ部71の口縁部の肉厚
t0 が、鍛造後のカップ部の口縁部の最終成形寸法より
若干厚く、かつ円周方向にほぼ均一な厚さの円筒状に成
形され、さらに口縁部は厚さαだけ外周側に突出させ
て、厚さt0 +αの厚肉部74が所定幅で環状に形成さ
れている。そして、このようにカップ部71の口縁部に
厚肉部74が全周に亘って予め形成されるている粗形材
73は、鍛造成形時に、厚肉部74が形成されているカ
ップ部71の開口端の圧縮率が高くなり、材料の供給不
足による成形不良の発生を防止することができる。ただ
し、この場合には肉厚圧縮率が過大となる恐れがあるた
め圧縮率を加減して適正化を図る必要がある。
【0025】以上のように、この実施例のレブロジョイ
ント外輪の製造方法および製造装置によれば、粗形材1
3のカップ部の直径を大きくして円周長を長くし、加工
時に余肉を発生させて、圧縮応力が加わるようにしたの
で、引張も圧縮も受けない、所謂中立軸が曲げ外側に移
動するか、または発生する余肉によって材料内部が全て
圧縮状態となり、そのため、ひけの発生を防いで、割れ
等の成形不良の発生を防止することができる。
【0026】また製造段階においては、粗形材13のカ
ップ部11の肉厚を最終成形寸法より若干厚く、円周方
向にほぼ均一な厚みとしたので、加工時の塑性変形量を
小さくでき、したがって加工荷重を低減できるため、高
炭素鋼や中炭素合金鋼等の成形性の低い材料の場合に
も、欠陥のない鍛造品を製造することができ、また製造
装置の小型化が可能となり、設備費の削減および設置場
所の省スペース化が図れる。さらに加工荷重が低減され
るため、型面圧が低下し、型寿命を向上することができ
る。また加工による硬化が減るため焼鈍処理が不要とな
る等の効果を有する。
【0027】また製品段階では、肉厚が薄くなるため、
コストダウンを図ることができる。また軽量化できるた
め、これを車両に用いることにより走行燃費の向上が図
れる。また駆動軸の車輪接続部のジョイントに使用すれ
ば、バネ下重量が減少して乗り心地が向上する等の効果
を有する。
【0028】また、成形型の見切り面を、粗形材のカッ
プ部の各クロス溝の溝底となる部分とそれぞれ対応する
外周面の稜線となる部分に沿って形成されているので、
鍛造成形時に型合せ目に形成される余肉突条25が、成
形品の最外径部分に発生するため、この突条の除去は、
旋盤によって容易に切削除去することができる。
【0029】さらに、カップ部の開口端外周部に厚肉部
を形成すれば、カップ部の開口端部分への材料の流れが
増加し、開口端部の材料の供給不足を解消して、成形不
良のない成形品を成形することができる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明のレブロジ
ョイントの製造方法は、カップ部の肉厚が、最終成形寸
法より若干厚く、かつ円周方向にほぼ均一な粗形材を成
形し、これをマンドレルポンチに被せて外側から成形型
によって加圧して成形するので、小さな成形荷重で加工
できる。また、カップ部外周面の前記クロス溝の外側と
なる部分のうちカップ開口端近傍部分を、軸線に対して
平行に形成したので、カップ部の開口端側の部分のフィ
ルアップ性を向上させ、またひけや割れ等の成形不良の
無い成形品を成形することができる。
【0031】またこの発明の製造装置は、カップ部の内
周形状と外周形状とをマンドレルポンチと成形型とで賦
形するとともに、前記クロス溝に対応する外周側の突出
部分を賦形する溝状の賦形部のカップ開口端側の所定の
範囲が、軸線方向に対して平行に形成された成形型とを
有し、成形荷重が小さいため装置の小型化が図れるとと
もに、型寿命を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法によってレブロジョイント外輪
を鍛造成形している状態の製造装置を示す図2のI−I
線断面平面図である。
【図2】この発明の製造装置の断面側面図である。
【図3】レブロジョイント外輪用の粗形材の平面図であ
る。
【図4】同じく粗形材の断面側面図である。
【図5】この発明の方法および装置によって製造された
鍛造品の平面図である。
【図6】同じく鍛造品の断面側面図である。
【図7】ラジアルダイの一例を示す斜視図である。
【図8】ラジアルダイの別の例を示す斜視図である。
【図9】ラジアルダイのまた別の例を示す斜視図であ
る。
【図10】粗形材の別の例を示す断面側面図である。
【符号の説明】
11 カップ部 13 粗形材 21 カップ部 22 ジョイント軸部 24 クロス溝 31 製造装置 35 マンドレルポンチ 36 ラジアルダイ R 稜線

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗形材を成形型で周囲から加圧すること
    によって、軸線に対して所定の角度に傾斜した複数本の
    クロス溝をカップ部の内周面に備えたレブロジョイント
    外輪を製造する方法において、 前記カップ部の肉厚を最終成形寸法より若干厚く、かつ
    円周方向にほぼ均一に形成した粗形材を、外周側から加
    圧して塑性変形させることにより、カップ部外周面の前
    記クロス溝の外側となる部分のうちカップ開口端近傍部
    分を、軸線に対して平行に成形することを特徴とするレ
    ブロジョイント外輪の製造方法。
  2. 【請求項2】 レブロジョイント外輪に加工される粗形
    材のカップ部の内周面に圧接してクロス溝を含む内周形
    状を賦形するマンドレルポンチと、このマンドレルポン
    チの外周面との間に所定の距離を保持し、前記粗形材の
    カップ部内周に内周形状を、またカップ部外周に外周形
    状をそれぞれ賦形するとともに、前記クロス溝に対応す
    る外周側の突出部分を賦形する溝状の賦形部のカップ開
    口端側の所定の範囲が、軸線方向に対して平行に形成さ
    れた複数の成形型とを有することを特徴とするレブロジ
    ョイント外輪の製造装置。
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