JPH09107140A - パルスガスレーザ発振装置 - Google Patents

パルスガスレーザ発振装置

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JPH09107140A
JPH09107140A JP26421195A JP26421195A JPH09107140A JP H09107140 A JPH09107140 A JP H09107140A JP 26421195 A JP26421195 A JP 26421195A JP 26421195 A JP26421195 A JP 26421195A JP H09107140 A JPH09107140 A JP H09107140A
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JP
Japan
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pulse
laser light
voltage
gas laser
pulse gas
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JP26421195A
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Shigeyuki Takagi
茂行 高木
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パルスガスレーザ発振装置の構成を簡易化し
て、安価なパルスガスレーザ発振装置を提供することを
目的とする。 【解決手段】 動作タイミング信号を出力する動作タイ
ミング信号出力手段(21〜23)と、前記動作タイミ
ング信号出力手段から出力された動作タイミング信号に
基づいて、電力供給手段から供給される電力によりパル
スレーザ光を励起する複数の励起手段(24〜29)
と、前記励起手段がパルスレーザ光を励起することによ
り生ずる各励起手段間の電圧変化を遮断する電圧分離手
段(33)と、前記各励起手段によりパルスレーザ光が
励起されるとパルスレーザ光を発振するパルスレーザ光
発振手段(30〜32,34,35)とを具備したパル
スガスレーザ発振装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルスガスレーザ
発振装置に係り、特に、複数のパルスレーザ光を連続し
て出射するパルスガスレーザ発振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】パルスレーザ光により金属薄膜の溶融及
び熱処理を行なう場合、1パルスで全てのエネルギーを
与えてしまうと金属薄膜の温度が沸点に達して気化して
しまう。
【0003】そこで、同じエネルギーをもつパルスレー
ザ光を2回に分けて金属薄膜に照射することにより、金
属薄膜の温度を沸点に至らせずに溶融させる方法が採用
されている。
【0004】すなわち、エキシマレーザやTEACO2
レーザなどのパルスレーザ光による金属薄膜の加工処理
においては、図18に示すように、例えば、50[μ
s]のパルス間隔ΔTの連続する2パルス(以下、「ダ
ブルパルス」と呼ぶ。)のパルスレーザ光を出射する必
要がある。
【0005】図19は、従来のパルスガスレーザ発振装
置の構成を示す図である。遅延発振器1によって、レー
ザ発振装置2,3各々の動作タイミングが設定される
と、レーザ発振器2,3各々は、遅延発振器1によって
設定された各動作タイミングに基づいて、それぞれパル
スレーザ光を出射する。
【0006】レーザ発振器2から出射したパルスレーザ
光は、反射ミラー4,5により集光レンズ8に導かれ
る。また、レーザ発振器3から出射したパルスレーザ光
は、反射ミラー6,7により集光レンズ8に導かれる。
【0007】この集光レンズ8に導かれた各パルスレー
ザ光は、集光レンズ8によって、集光された後に、加工
対象である金属薄膜9に照射される。図20は、レーザ
発振器2の具体的な構成を示す図である。なお、レーザ
発振器3についてもレーザ発振器2と同様の構成が採用
されている。
【0008】高圧電源11には、主放電に投入される電
気エネルギーを蓄えるための主コンデンサ12及び主コ
ンデンサ12に蓄えられた電気エネルギーを主放電部に
供給するためのサイラトロン13が接続されている。
【0009】このサイラトロン13には、遅延発振器1
によって設定された動作タイミングに基づいて、サイラ
トロン13を駆動するサイラトロンドライバ14が接続
されている。
【0010】また、主コンデンサ12には、主コンデン
サ12を充電するための充電コイル15及びレーザガス
が封入されたレーザ管16内に配置される波形整形のた
めのピーキングコンデンサ17a,17b、並びに主放
電を点弧させるための主電極18aが接続されている。
【0011】さらに、ピーキングコンデンサ17aには
主放電を安定化するためのピン電極19a、ピーキング
コンデンサ17bにはピン電極19bが接続されるとと
もに、主電極18aと対向する位置には主電極18bが
配置されている。
【0012】なお、高圧電源11、主コンデンサ12、
サイラトロン13により主放電部に電気エネルギーを投
入するための励起回路を構成する。次に、上述の如く構
成されたパルスガスレーザ発振装置の動作について説明
する。
【0013】遅延発振器1からタイミング信号がレーザ
発振器2に入力されると、サイラトロンドライバ14が
駆動され、サイラトロン13が導通状態になる。する
と、高圧電源11により主コンデンサ12に供給された
電気エネルギーが、ピン電極19a,19bの予備放電
によって、主放電空間を光電離しながら、ピーキングコ
ンデンサ17a,17bに移行し波形整形される。
【0014】このピーキングコンデンサ17a,17b
によって、波形整形されたパルスエネルギーは、主電極
18a,18b間の主放電部に供給され、その結果、パ
ルスレーザ光が出射される。
【0015】そして、レーザ発振器2から出射したパル
スレーザ光は、反射ミラー4,5により集光レンズ8に
導かれ、集光レンズ8によって、集光された後に、加工
対象である金属薄膜9に照射される。
【0016】次に、所定時間経過後、遅延発振器1から
出力された動作タイミング信号に基づいて、レーザ発振
器2の動作説明で述べた動作と同様の原理で、レーザ発
振器3からパルスレーザ光が出射され、反射ミラー6,
7により集光レンズ8に導かれた後に、この集光レンズ
8によって集光され加工対象である金属薄膜9に照射さ
れる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述のような構成のパ
ルスガスレーザ発振装置ではダブルパルスを発生するた
めに、2組のレーザ発振器が必要とされるので、その結
果、レーザ管16、高圧電源11が各々2台必要となり
パルスガスレーザ発振装置の製造コストが高くなってし
まうという問題があった。
【0018】また、ダブルパルスが別々のレーザ発振器
から出射されるため、これを合成するための合成光学系
4〜8が必要とされ、パルスガスレーザ発振装置のコス
トが高くなるだけでなく、装置全体の構成が複雑になっ
てしまうという問題があった。
【0019】この問題を解決するために、1つのレーザ
管に2つの励起回路を接続して構成するパルスガスレー
ザ発振装置も考案されているが、単に励起回路を2つ接
続するだけでは、一方の励起回路の電圧変化が他方の励
起回路に伝搬し、その電圧変化によって他方のサイラト
ロンが動作してしまい、その結果、励起回路が同時に動
作してしまうという問題があった。
【0020】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であり、第1の目的は、パルスガスレーザ発振装置の構
成を簡易化して、安価なパルスガスレーザ発振装置を提
供することを目的とする。
【0021】また、本発明の第2の目的は、一つの励起
回路の電圧変化が他方の励起回路に影響を及ぼすことな
く、精度良くダブルパルスを発生させることのできるパ
ルスガスレーザ発振装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】従って、まず、上記目的
を達成するために請求項1に係る発明は、動作タイミン
グ信号を出力する動作タイミング信号出力手段と、前記
動作タイミング信号出力手段から出力された動作タイミ
ング信号に基づいて、電力供給手段から供給される電力
によりパルスレーザ光を励起する複数の励起手段と、前
記励起手段のうち、1つの励起手段が先のパルスレーザ
光を励起することにより、後のパルスレーザ光を励起す
る他の励起手段に生ずる電圧変化を遮断する電圧分離手
段と、前記各励起手段によりパルスレーザ光が励起され
るとパルスレーザ光を発振するパルスレーザ光発振手段
とを具備したパルスガスレーザ発振装置である。
【0023】また、請求項2に係る発明は、請求項1記
載のパルスガスレーザ発振装置において、前記電圧分離
手段は、可飽和リアクトル又はダイオードであるパルス
ガスレーザ発振装置である。
【0024】さらに、請求項3に係る発明は、請求項1
記載のパルスガスレーザ発振装置において、前記複数の
励起手段には、1つの電力供給手段により電力が供給さ
れ、且つ少なくとも1つの励起手段にパルスレーザ光を
励起することにより生ずる前記電力供給手段から前記各
励起手段に供給される電力の変化を遮断する電源分離手
段を付加したパルスガスレーザ発振装置である。
【0025】さらに、請求項4に係る発明は、請求項1
記載のパルスガスレーザ発振装置において、前記パルス
レーザ光発振手段に、パルスレーザ光が発振された後に
生ずる電圧反転を防止する電圧反転防止手段を付加した
パルスガスレーザ発振装置である。
【0026】さらに、請求項5に係る発明は、請求項1
記載のパルスガスレーザ発振装置において、前記動作タ
イミング信号出力手段から出力される動作タイミング信
号の時間間隔を、前記パルスレーザ光発振手段に電圧反
転が生じているときには前記パルスレーザ光発振手段か
らパルスレーザ光が発振されないよう設定したパルスガ
スレーザ発振装置である。
【0027】さらに、請求項6に係る発明は、請求項1
記載のパルスガスレーザ発振装置において、前記各励起
手段は、前記電力供給手段から供給される電力を蓄える
コンデンサを備えており、少なくとも1つの励起手段の
コンデンサを他の励起手段におけるコンデンサの容量よ
りも大きな容量をもつ電力コンデンサで構成したパルス
ガスレーザ発振装置である。
【0028】さらに、請求項7に係る発明は、請求項1
記載のパルスガスレーザ発振装置において、前記パルス
レーザ光発振手段に、パルスレーザ光を発振する際の予
備電離タイミング変動を低減する予備電離タイミング変
動防止手段を付加したパルスガスレーザ発振装置であ
る。
【0029】さらに、請求項8に係る発明は、請求項4
記載のパルスガスレーザ発振装置において、前記パルス
レーザ光発振手段に、前記パルスレーザ光発振手段から
発振する各パルスレーザ光の時間間隔を制御する間隔制
御手段を付加したパルスガスレーザ発振装置である。
【0030】さらに、請求項9に係る発明は、請求項1
記載のパルスガスレーザ発振装置において、前記電圧分
離手段の特性を制御することにより前記パルスレーザ光
発振手段から発振する各パルスレーザ光の時間間隔を制
御する間隔制御手段を付加したパルスガスレーザ発振装
置である。
【0031】請求項1又は請求項2に係る発明は、電圧
分離手段によって励起手段がパルスレーザ光を励起する
ことにより生ずる各励起手段間の電圧変化を遮断するの
で、他の励起手段に電圧変化の影響を及ぼすことなく精
度のよいダブルパルスを発振することができる。
【0032】請求項3に係る発明は、請求項1記載のパ
ルスガスレーザ発振装置において、複数の励起手段に1
つの電力供給手段により電力を供給し、且つ少なくとも
1つの励起手段に付加された電源分離手段によりパルス
レーザ光を励起することにより生ずる電力供給手段から
励起手段に供給される電力の変化を遮断するので、パル
スガスレーザ発振装置の構成を簡略化することができ
る。
【0033】請求項4に係る発明は、請求項1記載のパ
ルスガスレーザ発振装置において、パルスレーザ光発振
手段に付加された電圧反転防止手段により、パルスレー
ザ光が発振された後に生ずる電圧反転を防止するので、
効率よく電力を投入することができる。
【0034】請求項5に係る発明は、請求項1記載のパ
ルスガスレーザ発振装置において、動作タイミング信号
出力手段から出力される動作タイミング信号の時間間隔
が、パルスレーザ光発振手段に電圧反転が生じていると
きにはパルスレーザ光発振手段からパルスレーザ光が発
振されないよう設定されているので、効率よくダブルパ
ルスを出射させることができる。
【0035】請求項6に係る発明は、請求項1記載のパ
ルスガスレーザ発振装置において、少なくとも1つの励
起手段のコンデンサを他の励起手段におけるコンデンサ
の容量よりも大きな容量をもつ電力コンデンサで構成す
るので、効率よくダブルパルスを出射させることができ
る。
【0036】請求項7に係る発明は、請求項1記載のパ
ルスガスレーザ発振装置において、パルスレーザ光発振
手段に付加された予備電離タイミング変動防止手段によ
って、パルスレーザ光を発振する際の予備電離タイミン
グ変動を低減するので、精度のよいパルスレーザ光を出
射することができる。
【0037】請求項8に係る発明は、請求項4記載のパ
ルスガスレーザ発振装置において、パルスレーザ光発振
手段に付加された間隔制御手段によりパルスレーザ光発
振手段から発振する各パルスレーザ光の時間間隔を制御
するので、遅延時間が長くても精度のよいパルスレーザ
光を出射することができる。
【0038】請求項9に係る発明は、請求項1記載のパ
ルスガスレーザ発振装置において、間隔制御手段により
電圧分離手段の特性を制御することによりパルスレーザ
光発振手段から発振する各パルスレーザ光の時間間隔を
制御するので、遅延時間が長くても精度のよいパルスレ
ーザ光を出射することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。 <第1の実施の形態>図1は、本発明の第1の実施の形
態に係るパルスガスレーザ発振装置の構成を示す図であ
る。
【0040】同図に示すように、動作タイミング信号出
力手段としての遅延発振器21には、遅延発振器21に
より設定された動作タイミングに基づいて、サイラトロ
ン24を駆動するサイラトロンドライバ22を介してサ
イラトロン24の制御グリッドが接続されるとともに、
サイラトロン25を駆動するサイラトロンドライバ23
を介してサイラトロン25の制御グリッドが接続されて
いる。
【0041】また、高圧電源26には、主放電に投入さ
れる電気エネルギーを蓄えるための主コンデンサ27及
び主コンデンサ27に蓄えられた電気エネルギーを主放
電部に供給するためのサイラトロン24の陽極が接続さ
れている。
【0042】同様に、高圧電源28にも、主コンデンサ
29及び主コンデンサ29に蓄えられた電気エネルギー
を主放電部に供給するためのサイラトロン25の陽極が
接続されている。なお、サイラトロン24,25の陰極
は共に接地されている。
【0043】上記主コンデンサ27には、主コンデンサ
27を充電するための充電コイル34、レーザガスが封
入されたレーザ管30内に配置された波形整形のための
ピーキングコンデンサ31a,31b及び主放電を点弧
させるための主電極32aが接続されている。
【0044】また、主コンデンサ29にも、電圧分離手
段としての電圧分離回路33を介して、主コンデンサ2
7に接続されている共通の充電コイル34、ピーキング
コンデンサ31a,31b及び主電極32aが接続され
ている。本実施の形態においては、この電圧分離回路3
3は、インダクタンスが飽和するまでに100〜数10
0[ns]を要する可飽和リアクトルを用いている。
【0045】ピーキングコンデンサ31aには、主放電
を安定化するためのピン電極35a、ピーキングコンデ
ンサ31bにはピン電極35bが接続される。また、主
電極32aと対向する位置には主電極32bが配置さ
れ、これらは接地されている。
【0046】なお、サイラトロン24、高圧電源26、
主コンデンサ27により第1の励起回路が構成され、サ
イラトロン25、高圧電源28、主コンデンサ29によ
り第2の励起回路が構成される。
【0047】次に、上述の如く構成したパルスガスレー
ザ発振装置の動作について説明する。遅延発振器21か
ら動作タイミング信号がサイラトロンドライバ22に入
力されると、サイラトロンドライバ22が駆動されてサ
イラトロン24が導通状態になる。
【0048】サイラトロン24が導通状態になると、高
圧電源26により主コンデンサ27に供給された電気エ
ネルギーは、ピン電極35a,35bの予備放電によっ
て、主放電空間を光電離しながら、ピーキングコンデン
サ31a,31bに移行し、主電極32a,32b間か
ら最初の放電が発生する。
【0049】この時、第2の励起回路には、電圧分離回
路であるインダクタンス33が接続されているため、ピ
ーキングコンデンサ31a,31bの電圧変化は、イン
ダクタンス33が飽和するまでの間、主コンデンサ29
には伝達されず、その結果、サイラトロン25の遮断状
態が維持される。
【0050】次に、遅延発振器21からタイミングタイ
ミング信号がサイラトロンドライバ23に入力される
と、サイラトロンドライバ23が駆動されて、サイラト
ロン25が導通状態になる。
【0051】そして、上述の第1の励起回路において述
べたように、主コンデンサ29に蓄えられた電気エネル
ギーがピーキングコンデンサ31a,31bに移行し、
主電極32a,32b間から第2の放電が発生し、そし
て、後のパルスレーザ光としての第2のパルスレーザ光
が出射する。
【0052】この時、第1の励起回路の主コンデンサ2
7の電気エネルギーは、最初の励起によって、ピーキン
グコンデンサ31a,31bに移行されているため、ピ
ーキングコンデンサ31a,31bの電圧変化によっ
て、再度、パルスレーザ光が励起されることはない。
【0053】なお、両パルスレーザ光の遅れ時間の最大
値は、電圧分離回路である可飽和リアクトルが飽和する
までの時間と、主放電空間の残留イオン密度に空間的に
不均一になるまでの時間により定まり、通常は、1[μ
s]以下である。
【0054】また、本実施の形態においては、電圧分離
回路である可飽和リアクトルを第2の励起回路側に設け
たが、急激な電圧変化からサイラトロン24、主コンデ
ンサ27を保護する目的で、第1の励起回路側に電圧分
離回路である可飽和リアクトルを設けても良い。
【0055】図2は、本実施の形態のパルスガスレーザ
発振装置の第1の変形例を示す図である。同図に示すよ
うに、このパルスガスレーザ発振装置は、第1の励起回
路の構成については、上述の第1の実施の形態における
パルスガスレーザ発振装置の構成と同様であるが、第2
の励起回路の構成が異なる。
【0056】すなわち、第2の励起回路は、サイラトロ
ン25、高圧電源28、主コンデンサ29、充電ダイオ
ード40、パルストランス41で構成されている。ま
た、電圧分離回路として、ダイオード42が使用されて
いる。
【0057】サイラトロン25の陽極には、高圧電源2
8により電圧が印加されるとともに、このサイラトロン
25の陽極と陰極間には充電ダイオード40と電圧パル
スの極性を反転させるための一次側のパルストランス4
1とが並列接続されている。
【0058】また、サイラトロン25の陽極と、充電ダ
イオード40及び一次側のパルストランス41との並列
接続点間には主コンデンサ29が接続されている。さら
に、サイラトロン25の制御グリッドには、サイラトロ
ンドライバ23からの駆動信号が供給されており、陰極
は接地されている。
【0059】第1の励起回路のサイラトロン24の陰極
と主コンデンサ27間には、二次側のパルストランス4
1、ダイオード42からなる直列回路が接続されてい
る。なお、このような構成の励起回路を採用することに
より、主電極32aには、第1の励起回路により負の電
圧が印加され、第2の励起回路により正の電圧が印加さ
れる。
【0060】次に、このように構成した第1の変形例に
係るパルスガスレーザ発振装置の動作について説明す
る。第1の励起回路の主コンデンサ27に蓄えられた電
気エネルギーが、サイラトロン24が導通することによ
り、ピーキングコンデンサ31a,31bに移行し、主
電極32a,32b間より第1のパルスレーザ光が発生
するまでの動作は、上述の第1の実施の形態において述
べた動作と同様である。
【0061】なお、第1の励起回路の電圧変化は、ピー
キングコンデンサ31a,31bに印加される電圧極性
の相違により、電圧分離回路としてのダイオード42に
遮断される。
【0062】次に、遅延発振器21からタイミングタイ
ミング信号がサイラトロンドライバ23に入力される
と、サイラトロンドライバ23が駆動されて、サイラト
ロン25が導通状態になる。
【0063】すると、高圧電源28により充電ダイオー
ド40を介して充電された主コンデンサ29の電気エネ
ルギーが、サイラトロン25のスイッチングによりパル
ス化される。
【0064】このパルスは、パルストランス41によっ
て極性が反転された後に、ダイオード42を介して、ピ
ーキングコンデンサ31a,31bに供給され、その結
果、上述のように、主電極32a,32b間から第2の
パルスレーザ光が出射される。
【0065】なお、ここでは、サイラトロン25の陰極
を接地した場合について説明したが、サイラトロン25
の陰極を接地することなく構成する場合、或いはサイラ
トロン25の代わりにギャップスイッチを使用する場合
には、スイッチングにより正極性の電圧パルスを発生さ
せることが可能なので、この場合にはパルストランス4
1が不要となる。
【0066】図3は、本実施の形態のパルスガスレーザ
発振装置の第2の変形例を示す図である。すなわち、上
述の第1の実施の形態のパルスガスレーザ発振装置と異
なる点は、高圧電源を1つで共有したことにある。
【0067】同図において、51a,51bは電源を分
離するための電源分離回路であり、ここでは抵抗が用い
られている。なお、抵抗の代わりにコイルを用いても良
い。これらの回路定数は、ともに大きく、例えば抵抗で
は100[kΩ]以上、コイルではmHオーダ以上であ
る。
【0068】このような構成を採用したパルスガスレー
ザ発振装置においては、両励起回路の主コンデンサ2
7,29は、msオーダ以上の比較的長い時間に渡って
電源分離回路を介して充電される。
【0069】また、一方の励起回路が動作して主コンデ
ンサの電圧が変化した場合、その電圧変化は1[μs]
以下であるために、抵抗或いはコイルがその電圧変化を
保持し、その結果、他方の励起回路に電圧変化の影響が
及ぶのが防止される。
【0070】従って、本実施の形態のパルスガスレーザ
発振装置によれば、電圧分離回路を設けることにより、
一つの励起回路の電圧変化が他方の励起回路に影響が及
ぶのを防止することができるので、精度良くダブルパル
スを発生させることができる。
【0071】また、電圧分離回路を設けることによっ
て、レーザ管30を共有することができるので、パルス
ガスレーザ発振装置のコストを大幅に下げることができ
る。さらに、電源分離回路を設けることによって、高圧
電源を共有することができるので、さらに安価なパルス
ガスレーザ発振装置を提供することができる。
【0072】さらに、パルスレーザ光が同一のレーザ管
30から出射されるため、従来のようにレーザ光を合成
する光学系が不要となり、その結果、簡易且つ小型のパ
ルスガスレーザ発振装置を提供することができる。 <第2の実施の形態>上述の第1の実施の形態において
述べたパルスガスレーザ発振装置によれば、安価なパル
スガスレーザ発振装置を提供するという本発明の本来の
目的を達成することができるが、以下に述べる課題が残
されている。
【0073】すなわち、上述の第1のパルスガスレーザ
発振装置においてダブルパルスを発生させる場合、第1
の励起回路によって励起された第1のパルスレーザ光の
主電極32a,32b間の電圧波形は、図4(a)に示
すようになる。
【0074】通常、主コンデンサ27とピーキングコン
デンサ31aとは、ほぼ同じ容量のものが用いられる
が、主電極32a,32b間が放電負荷であるため、主
コンデンサ27からの電気エネルギーは完全に消費され
ず、図4(a)に示す波形の61,62,63の部分の
ように電圧反転を起こしてしまう。
【0075】その結果、この電圧極性によっては、図4
(b)に示すように、第2の励起回路によって励起され
る第2のパルスレーザ光の電圧波形62と打ち消しあっ
てしまい、電力投入が効率よく行われないという課題が
あった。
【0076】また、第2の励起回路の動作時には、主電
極32a,32b間には多くの荷電粒子が残存している
ことから、主電極32a,32b間のインピーダンスは
第1の励起回路動作時に比して著しく低下しており、第
2の励起回路の励起が効率よく行なわれない等の問題が
あった。
【0077】本実施の形態のパルスガスレーザ発振装置
は、このような電力投入効率の問題を解決するものであ
る。図5は、本発明の第2の実施の形態に係るパルスガ
スレーザ発振装置の構成を示す図である。
【0078】すなわち、上述の第1の実施の形態のパル
スガスレーザ発振装置と本実施の形態のパルスガスレー
ザ発振装置と異なる点は、主電極32a,32b間に充
電コイルに代えて、主電極32a,32b間の電圧反転
を阻止する反転阻止回路71を設け、第1の励起回路に
よる電圧反転を無くし、第1のパルスガスレーザ発振
後、任意の時間に第2の励起回路を動作させることがで
きるようにしたことである。
【0079】この反転阻止回路71には、例えば、高電
圧・大電流のダイオードが用いられる。上述の構成のパ
ルスガスレーザ発振装置においては、反転阻止回路71
を介して主コンデンサ31a,31bが充電される。そ
して、第1の実施の形態において説明したように、第1
の励起回路によって主電極32a,32b間から第1の
パルスレーザ光が出射される。
【0080】この時の電圧波形は、図4(c)に示すよ
うに、電圧の反転成分が電圧反転阻止回路71によりカ
ットされている。すなわち、この状態において第2の励
起回路を動作させて第2のパルスレーザ光を出射して
も、第1のパルスレーザ光を出射したことによりレーザ
管33内に帯電している電荷と打ち消しあうことはな
い。
【0081】従って、本実施の形態のパルスガスレーザ
発振装置によれば、第2の励起回路による電力投入を効
率よく行なうことができる。次に、本実施の形態の第1
の変形例に係るパルスガスレーザ発振装置について説明
する。
【0082】第2の励起回路を動作させるタイミングに
許容範囲がある場合には、遅延発振器21の設定時間を
限定しても良い。すなわち、図4(a)に示す波形を例
にとって説明すると、主電極32a,32b間の電圧が
正の電圧となっている61,63の部分においては、第
2の励起回路を動作させず、主電極32a,32b間の
電圧が負、或いはゼロとなっている領域においてのみ第
2の励起回路が動作するように遅延発振器21の動作タ
イミングを設定する。
【0083】この遅延発振器21から出力される第1の
動作タイミング信号に対する第2の動作タイミング信号
の遅れ時間T1 は、(1),(2)式で決定される時間
領域に設定される。
【0084】 t1 +(3/4)×t2 +t3 <T1 <t1 +(4/5)×t2 +t3 …( 1) T1 >t1 +2×t2 +t3 …(2) ここで、t1 は、サイラトロンが動作してから主放電が
点弧するまでの時間で、例えば、約150[ns]であ
る。t2 は、主電極32a,32b間を流れる電流パル
ス1周期の時間で、例えば、約200[ns]である。
3 は、第1の励起回路及び第2の励起回路に動作タイ
ミング信号が入力されてからサイラトロンが点弧するま
での時間差で、サイラトロン24,25、サイラトロン
ドライバ22,23に特性の差がなければ0[s]であ
る。
【0085】上記のように、遅延発振器21の動作タイ
ミングT1 を(1),(2)式により決定される時間領
域に設定すれば、第2の励起回路は電極32a,32b
間の電圧が負の状態のときに行なわれる。
【0086】従って、上記のように遅延発振器21の動
作タイミングを設定することによっても第2の励起回路
からの電力投入を効率よく行なうことができる。次に、
本実施の形態の第2の変形例に係るパルスガスレーザ発
振装置について説明する。
【0087】上述のパルスガスレーザ発振装置において
は、第1の励起回路及び第2の励起回路の回路パラメー
タはほぼ同じ値としている。このような構成において、
第2の励起回路を動作させて第2のパルスレーザ光を出
射した場合、第1の励起回路によって点弧された放電の
荷電粒子が残留し、主電極32a,32b間のインピー
ダンスは数Ω以下に低下したままであるため、この状態
で第2の励起回路を動作させると、主コンデンサ29か
らの電荷はピーキングコンデンサ31bを充電すること
なく、直接主電極32a,32bに投入される。
【0088】図6(a)及び図6(b)は、このときの
主電極32a,32b間の電圧・電流波形を示す図であ
る。図6(a)は、第1の励起回路及び第2の励起回路
のパラメータが等しい場合のパルスレーザ光の電圧波
形、図6(b)は、電流波形を示す図である。また、X
は第1パルスの波形、Yは第2パルスの波形を示してい
る。
【0089】図6(a)に示すように、第2パルスY
は、荷電粒子の影響により電極32a,32b間の電圧
が第1パルスに比して小さくなる。また、主電極32
a,32b間の励起は、主コンデンサ29により行なわ
れ、ピーキングコンデンサ31a,31bによる波形整
形が行なわれないため、その電流波形は図6(b)の波
形Yに示すように、パルス幅が長く、ピーク値が低いも
のとなる。
【0090】エキシマレーザを励起するためには、1
[MW/cm3 ]程度の電力密度が必要であるが、図6
(b)の電流波形Yに示すように、電流のピーク値が低
いために、レーザ発振が極めて弱くなってしまうという
問題があった。
【0091】そこで、本実施の形態の第2の変形例に係
るパルスガスレーザ発振装置においては、図7に示すよ
うに、第2の励起回路の主コンデンサ29を大容量の電
力コンデンサ81に代え、その充電電圧を低下させる。
【0092】この時、電力コンデンサ81の容量Cd
電圧Vd は以下の式で決定される。 Cd > 2Cs …(3) Vb < Vd < Va …(4) ここで、Cs は第1の励起回路の主コンデンサ27の容
量、Vb は第1の励起回路の破壊電圧、Va は第1の励
起回路の充電電圧である。
【0093】図6(c)及び図6(d)は、このような
構成を採用したパルスガスレーザ発振装置のパルスレー
ザ光の電圧波形を示す図である。図6(c)は、第1の
パルスレーザ光の電圧波形X及び第2のパルスレーザ光
の電圧波形Yを示す図である。また、図6(d)は、第
2のパルスレーザ光の電圧波形X及び第2のパルスレー
ザ光の電圧波形Yを示す図である。
【0094】図6(c)に示すように、容量の大きい電
力コンデンサ81を採用することにより、第2パルスの
電圧波形Yのパルス幅が長くなるが、電圧の最大値は変
化しない。また、電力コンデンサ81に蓄えられたエネ
ルギーが、図6(d)に示す電流波形Yのような大電流
パルスを形成し、1[MW/cm3 ]以上のエネルギー
が投入される。
【0095】従って、このようなパルスガスレーザ発振
装置を採用しても効率よくパルスレーザ光を出射させる
ことができる。次に、本実施の形態の第3の変形例に係
るパルスガスレーザ発振装置について説明する。ここで
は、パルスレーザ光の遅延ジッタを少なくするパルスガ
スレーザ発振装置を考える。
【0096】第1の励起回路において、主放電はピン電
極35a,35bで予備電離が点弧してから一定時間、
例えば、100[ns]経過後に点弧する。このため、
予備電離の点弧タイミング変動に対応して図8(a)の
X,Yに示すように、主放電点弧タイミングが変動す
る。また、第1のパルスレーザ光による放電により、主
電極32a,32b間及びピン電極35a,35b間に
は荷電粒子が残留しているため、第2のパルスレーザ光
は時間変動することなくなく出射される。
【0097】従って、第1のパルスレーザ光と第2のパ
ルスレーザ光が出射するまでの時間間隔は、図8(b)
に示すように、ΔT1 からΔT2 に変動してしまうとい
う問題があった。
【0098】図9は、2つのパルスレーザ光の遅延時間
間隔を一定にするために、予備電離の方式にジッタの少
ないX線予備電離を用いたものである。91は予備電離
のためのX線管、92はX線管を駆動するためのX線管
電源である。また、93は主電極の背面から主放電空間
にX線を供給するための主電極となる中空電極である。
【0099】このような構成を採用したパルスガスレー
ザ発振装置においては、X線電源92によりX線管91
に電力が供給されると、X線が放出されて主電極32
a、93間の空間を予備電離し、安定主放電が点弧され
る。
【0100】この時、X線管91には熱電子の陰極が使
われていることから電子放出が容易に行なわれ、その結
果、主放電の動作タイミングのジッタもなくなり、2つ
のパルスレーザ光の遅延時間間隔は、図8(c)に示す
ように一定となる。
【0101】また、上述の例においては、予備電離の時
間変動をなくすために、X線管を用いたが、X線管の代
わりにコロナ予備電離を用いても良い。コロナ予備電離
は、金属電極間に誘電体を介して予備電離を点呼させる
ため、動作タイミングジッタが少なく、その結果、X線
管を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0102】従って、本実施の形態のパルスガスレーザ
発振装置によれば、第2の励起回路の動作タイミング領
域を制限、或いは反転電流をなくすことで、第2の励起
回路による電力投入を干渉を受けることなく効率よく行
なうことができる。
【0103】また、第2の励起回路のコンデンサを大容
量の電力コンデンサで構成し、この電力コンデンサに印
加される電圧を小さくすることにより、放電部に投入さ
れる電力を大電流とした。これにより、第1パルスの残
留荷電粒子によりインピーダンスが低下している主放電
部とのインピーダンスマッチングが格段に改良される。
【0104】さらに、これらの改良により、第1のパル
スレーザ光の3分の1程度であった第2のパルスレーザ
光の発振効率が、第1のパルスレーザ光とほぼ同じにな
り、約3倍の発振効率の改善となった。
【0105】予備電離タイミングのジッタを低減するこ
とにより、両パルスレーザ光の遅延時間間隔の変動を1
00[ns]以上から10[ns]とすることができ、
遅延時間間隔の変動を大幅に低減することができた。 <第3の実施の形態>本実施の形態のパルスガスレーザ
発振装置は、電力投入効率を向上させるとともに、任意
の時間に第2のパルスレーザ光を出射させることのでき
るものである。
【0106】上述のように、第1の実施の形態において
述べたパルスガスレーザ発振装置を用いてダブルパルス
を発生させると、主電極間で電圧反転を生じ第2の励起
回路から効率的に電力を投入することができない。
【0107】また、電圧が反転している時間領域におい
ては電圧変化が早いために、同じ極性で第2の励起回路
を動作させても、動作の途中で第1の励起回路による電
圧が異極性に変化するために、この時間領域において第
2の励起回路を動作させても良好な第2のパルスレーザ
光を発振させることができなかった。
【0108】さらに、第2の励起回路による放電を安定
に点弧するためには、第1の励起回路によって点弧され
た放電の荷電粒子が空間的に均一に残存していることが
必要である。このため、第2の励起回路によるレーザ発
振が得られる時間は、第1の励起回路による放電終了か
ら約200[ns]以内であった。
【0109】このことから、第2のパルスレーザ光を得
られる遅延時間は、図10に示すように、最初の電圧反
転が発生するまでの領域T1 (通常、0<T1 <100
[ns])と、電圧反転が終了した領域T2 (通常、3
00<T2 <500[ns])に限定されてしまうとい
う問題があった。
【0110】図11は、本発明の第3の実施の形態に係
るパルスガスレーザ発振装置の構成を示す図である。上
述の第1の実施の形態のパルスガスレーザ発振装置と異
なる点は、主電極32a,32b間の放電部と、ピーキ
ングコンデンサ31a,31bと、ピン電極35a,3
5bとから構成される放電回路にある。
【0111】すなわち、本実施の形態のパルスガスレー
ザ発振装置の放電部には、主電極32aとピーキンコン
デンサ31a間に抵抗95aが接続され、主電極32b
とピーキングコンデンサ31b間に抵抗95bが接続さ
れている。
【0112】抵抗95a,95bの値Rは、放電回路が
電圧振動しないような条件で決定される。今、主電極3
2a,32b間の放電抵抗をRd とすると、抵抗値R
は、以下の式を満たすように設定される。
【0113】 Rd + R ≧ (4Ld /C)1/2 …(5) ここで、Ld は放電回路中の浮遊インダクタンスの値、
Cはピーキングコンデンサの値である。エキシマレーザ
の場合、例えば、Rd =0.3[Ω]、Ld =10[n
H]、C=30[nF]であるため、R≧0.85
[Ω]となる。
【0114】(5)式の条件を満たすように抵抗95
a,95bの値を設定すれば、電圧反転を生ずることは
ないが、抵抗値が大きくなると発振効率が低下するた
め、抵抗値は(5)式の条件を満たし、且つできるだけ
小さな値に設定される。
【0115】従って、本実施の形態のパルスガスレーザ
発振装置によれば、図12(a)に示す第2の励起回路
にて励起される電圧・電流波形は、図12(b)に示す
ような波形となる。
【0116】この時のパルスレーザ光の出力波形は、図
12(c)に示すようになり、100〜200[ns]
程度の遅延時間で第2のパルスレーザ光を出射すること
ができる。
【0117】図13は、本実施の形態における第1の変
形例に係るパルスガスレーザ発振装置の構成を示す図で
ある。同図に示すように、本実施の形態の第1の変形例
に係るパルスガスレーザ発振装置においては、充電コイ
ル34に並列にクローバースイッチ101を接続すると
ともに、このクローバースイッチ101にトリガパルス
を出力してスイッチングを行なわさせるトリガパルス発
生装置102を設ける。なお、このトリガパルス発生装
置102から出力されるトリガパルスの出力タイミング
は反転電圧の発生する時間に設定されている。
【0118】従って、このようにタイミングが設定され
たトリガパルス発生装置102から出力されるトリガパ
ルスにより、クローバースイッチ101がスイッチング
されることによって、放電回路に生じた反転電圧がクロ
ーバースイッチ101に吸収される。
【0119】このような構成を採用することによって
も、放電回路における電圧・電流波形は図12(b)に
示すような波形となる。その結果、パルスレーザ光の出
力波形は、図12(c)に示すようになり、100〜2
00[ns]程度の遅延時間で第2のパルスレーザ光を
出射することができる。
【0120】また、トリガパルスの出力時間をずらすこ
とで、任意の時間に電圧反転を終了させた後に第2の励
起回路を動作させて第2のパルスレーザ光を出射させる
こともできる。
【0121】従って、100〜500[ns]程度の任
意の遅延時間のダブルパルスを発生させることができ
る。なお、クローバースイッチ101は、他のスイッチ
ング素子であってもよい。
【0122】また、スイッチング素子のスイッチングに
はトリガパルス信号ではなく第1のパルスレーザ光を用
いてスイッチングしても良い。この場合、トリガパルス
発生装置102が不要になるという利点がある。
【0123】図14は、本実施の形態における第2の変
形例に係るパルスガスレーザ発振装置の構成を示す図で
ある。同図に示すように、本実施の形態の第2の変形例
に係るパルスガスレーザ発振装置においては、主電極3
2aとピーキングコンデンサ31aとの間に、抵抗11
1aとコイル112aとから成る直列回路を接続すると
ともに、主電極32aとピーキングコンデンサ31bと
の間には、抵抗111bとコイル112bとから成る直
列回路を接続している。
【0124】このときの抵抗111a,111bの抵抗
値は、(5)式を満たすように設定されている。このよ
うな回路構成を採用した場合、放電部の電流パルス幅T
w は近似的に次式で示される。
【0125】Tw ≒ π(Lt C)1/2 …(6) ここで、Lt は放電回路の浮遊インダクタンスLd と、
コイル112a,112bのL成分Lc の合計値であ
る。一方、パルスレーザ光は、電流パルスの中央で、パ
ルス幅20[ns]程度で出射する。
【0126】従って、例えば、ピーキングコンデンサの
容量が30[nF]、浮遊インダクタンスLd のみの場
合、電流パルス幅Tw =54[ns]となり、第1のパ
ルスレーザ光の出射が終了してから電流パルスが終了す
るまでの時間は、(54−20)/2=17[ns]と
なる。
【0127】これに対して、Lc =90[nH]を付加
すると、276[ns]までの遅延が可能となる。従っ
て、L成分を付加することにより、電圧、レーザ出力波
形は、図15(a)に示す波形から図15(b)に示す
ような波形になり、電流パルスが広がることで、設定可
能な遅延時間はT3 からT4 へと長くなる。
【0128】エキシマレーザにおいて、第1パルスの接
続時間は、最大で1[μs]程度であるため、この接続
時間の半分の500[ns]と、放電後も安定に点弧す
ることができる200[ns]の時間領域とを加えて最
大で700[ns]程度の遅延時間でパルスレーザ光を
発振することができる。
【0129】次に、同実施の形態における第3の変形例
に係るパルスガスレーザ発振装置を説明する。本実施の
形態の第3の変形例に係るパルスガスレーザ発振装置
は、遅延時間に対応させて電圧分離回路33の動作状態
を変化させるものである。
【0130】第1のパルスレーザ光が出射した直後に、
第2の励起回路を動作させる場合、主電極32a,32
b間は、十分に電離された状態にあるため、急峻なパル
スが入力されても放電は安定に点弧される。
【0131】一方、放電終了後100[ns]以降は、
放電部の荷電粒子が減少するため、急峻なパルスでは、
十分に電力を投入することができない。従って、第2の
励起回路によるパルスの最初の立ち上がりを遅くする必
要がある。
【0132】そこで、図16に示すように、電圧分離回
路33に、バイアス電源121と、バイアス電源121
からの電流による磁界を電圧分離回路33に鎖交させる
鎖交線122を設けて、電圧分離回路33のインダクタ
ンスを変化させることができるよう構成する。
【0133】また、電圧分離回路33に流れるバイアス
電流は、バイアス電源121を制御して図17に示すよ
うに変化させる。すなわち、放電終了直後から100
[ns]までに第2の励起回路を動作せるときには、バ
イアス電源121により、電圧分離回路33である過飽
和リアクトルを飽和状態に設定しておく。
【0134】一方、放電終了直後100[ns]以上の
場合には、バイアス電流を少なくし、電圧分離回路33
を飽和させるまでの時間を長くして電圧の立ち上がりを
遅くする。このように、バイアス電流を変化させること
で、どの時間タイミングにおいても、第2の励起回路に
よって安定した放電を得ることができる。
【0135】なお、ここでは電圧分離回路33として過
飽和リアクトルが使用されている場合について説明した
が、バイアス電流を制御することができるものであれば
他の方法を採用してもよいことは言うまでもない。
【0136】従って、本実施の形態のパルスガスレーザ
発振装置によれば、抵抗95a,95bを放電回路に付
加することにより、電圧反転をなくし、第2のパルスレ
ーザ光を100〜200[ns]の時間領域で発振する
ことができる。
【0137】また、スイッチ素子101を充電コイル3
4と並列に接続し、このスイッチ素子101により反転
電圧を吸収するので、抵抗を付加した場合と同様に、第
2のパルスレーザ光を100〜200[ns]の時間領
域で発振することができる。
【0138】さらに、スイッチ素子101に入力される
トリガパルスのタイミングを任意の時間で変化させるこ
とにより、500[ns]までの遅延時間で第2のパル
スレーザ光を出射させることができる。
【0139】さらに、放電回路にコイル112a,11
2bを付加することにより電流パルス幅を長くすること
ができるので、約700[ns]程度の長い遅延時間領
域で第2のパルスレーザ光を出射させることができる。
【0140】さらに、電圧分離回路33のインダクタン
スを変化させ、第2の励起回路によるパルスの電圧立ち
上がりを変化させることにより、長い遅延時間での放電
を安定化し、パルスレーザ光の発振効率を高めることが
できる。
【0141】なお、上述の第1の実施の形態〜第3の実
施の形態においては、2つの励起回路を有するパルスガ
スレーザ発振装置について説明したが、励起回路が3つ
以上の場合についても本実施の形態において述べた手法
を採用することができることは言うまでもない。
【0142】
【発明の効果】請求項1又は請求項2の発明によれば、
電圧分離手段によって励起手段がパルスレーザ光を励起
することにより生ずる各励起手段間の電圧変化を遮断す
るので、他の励起手段に電圧変化の影響を及ぼすことな
く精度のよいダブルパルスを発振することができる。
【0143】請求項3の発明によれば、複数の励起手段
に1つの電力供給手段により電力を供給し、且つ少なく
とも1つの励起手段に付加された電源分離手段によりパ
ルスレーザ光を励起することにより生ずる電力供給手段
から励起手段に供給される電力の変化を遮断するので、
パルスガスレーザ発振装置の構成を簡略化することがで
きる。
【0144】請求項4の発明によれば、パルスレーザ光
発振手段に付加された電圧反転防止手段により、パルス
レーザ光が発振された後に生ずる電圧反転を防止するの
で、効率よく電力を投入することができる。
【0145】請求項5の発明によれば、動作タイミング
信号出力手段から出力される動作タイミング信号の時間
間隔が、パルスレーザ光発振手段に電圧反転が生じてい
るときにはパルスレーザ光発振手段からパルスレーザ光
が発振されないよう設定されているので、効率よくダブ
ルパルスを出射させることができる。
【0146】請求項6の発明によれば、少なくとも1つ
の励起手段のコンデンサを他の励起手段におけるコンデ
ンサの容量よりも大きな容量をもつ電力コンデンサで構
成するので、効率よくダブルパルスを出射させることが
できる。
【0147】請求項7の発明によれば、パルスレーザ光
発振手段に付加された予備電離タイミング変動防止手段
によって、パルスレーザ光を発振する際の予備電離タイ
ミング変動を低減するので、精度のよいパルスレーザ光
を出射することができる。
【0148】請求項8の発明によれば、パルスレーザ光
発振手段に付加された間隔制御手段によりパルスレーザ
光発振手段から発振する各パルスレーザ光の時間間隔を
制御するので、遅延時間が長くても精度のよいパルスレ
ーザ光を出射することができる。
【0149】請求項9の発明によれば、間隔制御手段に
より電圧分離手段の特性を制御することによりパルスレ
ーザ光発振手段から発振する各パルスレーザ光の時間間
隔を制御するので、遅延時間が長くても精度のよいパル
スレーザ光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパルスガスレ
ーザ発振装置の構成を示す図である。
【図2】同第1の実施の形態における第1の変形例に係
るパルスガスレーザ発振装置の構成を示す図である。
【図3】同第1の実施の形態における第2の変形例に係
るパルスガスレーザ発振装置の構成を示す図である。
【図4】パルスレーザ光の波形を説明するための図であ
る。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るパルスガスレ
ーザ発振装置の構成を示す図である。
【図6】主電極間の電圧・電流波形を説明するための図
である。
【図7】同実施の形態における第2の変形例にかかるパ
ルスガスレーザ発振装置の構成を示す図である。
【図8】第1のパルスレーザ光と第2のパルスレーザ光
の遅延時間間隔を設営するための図である。
【図9】同実施の形態における第3の変形例にかかるパ
ルスガスレーザ発振装置の構成を示す図である。
【図10】第2のパルスレーザ光の出射時間を説明する
ための図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るパルスガス
レーザ発振装置の構成を示す図である。
【図12】同実施の形態におけるパルスガスレーザ発振
装置における電圧・電流・パルスレーザ光の出力波形を
示す図である。
【図13】同実施の形態における第1の変形例に係るパ
ルスガスレーザ発振装置の構成を示す図である。
【図14】同実施の形態における第2の変形例に係るパ
ルスガスレーザ発振装置の構成を示す図である。
【図15】同実施の形態における第2の変形例に係るパ
ルスガスレーザ発振装置の電圧・パルスレーザ光の出力
波形を示す図である。
【図16】同実施の形態における第3の変形例に係るパ
ルスガスレーザ発振装置を説明するための図である。
【図17】同実施の形態における第3の変形例に係るパ
ルスガスレーザ発振装置の電圧分離回路のバイアス電流
特性を示す図である。
【図18】ダブルパルスを説明するための図である。
【図19】従来のパルスガスレーザ発振装置の構成を示
す図である。
【図20】従来のレーザ発振装置の具体的な構成を示す
図である。
【符号の説明】
21…遅延発振器、22,23…サイラトロンドライ
バ、24,25…サイラトロン、26,28…高圧電
源、27,29…コンデンサ、30…レーザ管、31
a,31b…ピーキングコンデンサ、32a,32b…
主電極、33…電圧分離回路、34…充電コイル、35
a,35b…ピン電極、40…充電ダイオード、41…
パルストランス、42…ダイオード、51a,51b…
電源分離回路、71…反転阻止回路、81…電力コンデ
ンサ、91…X線管、92…X線管電源、93…中空電
極、95a,95b…抵抗、101…クローバースイッ
チ、102…トリガパルス発生装置、111a,111
b…抵抗、112a,112b…コイル、121…バイ
アス電源、122…鎖交線。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動作タイミング信号を出力する動作タイ
    ミング信号出力手段と、 前記動作タイミング信号出力手段から出力された動作タ
    イミング信号に基づいて、電力供給手段から供給される
    電力によりパルスレーザ光を励起する複数の励起手段
    と、 前記励起手段のうち、1つの励起手段が先のパルスレー
    ザ光を励起することにより、後のパルスレーザ光を励起
    する他の励起手段に生ずる電圧変化を遮断する電圧分離
    手段と、 前記各励起手段によりパルスレーザ光が励起されるとパ
    ルスレーザ光を発振するパルスレーザ光発振手段とを具
    備したことを特徴とするパルスガスレーザ発振装置。
  2. 【請求項2】 前記電圧分離手段は、可飽和リアクトル
    又はダイオードであることを特徴とする請求項1記載の
    パルスガスレーザ発振装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の励起手段には、1つの電力供
    給手段により電力が供給され、且つ少なくとも1つの励
    起手段にパルスレーザ光を励起することにより生ずる前
    記電力供給手段から前記各励起手段に供給される電力の
    変化を遮断する電源分離手段を付加したことを特徴とす
    る請求項1記載のパルスガスレーザ発振装置。
  4. 【請求項4】 前記パルスレーザ光発振手段に、パルス
    レーザ光が発振された後に生ずる電圧反転を防止する電
    圧反転防止手段を付加したことを特徴とする請求項1記
    載のパルスガスレーザ発振装置。
  5. 【請求項5】 前記動作タイミング信号出力手段から出
    力される動作タイミング信号の時間間隔を、前記パルス
    レーザ光発振手段に電圧反転が生じているときには前記
    パルスレーザ光発振手段からパルスレーザ光が発振され
    ないよう設定したことを特徴とする請求項1記載のパル
    スガスレーザ発振装置。
  6. 【請求項6】 前記各励起手段は、前記電力供給手段か
    ら供給される電力を蓄えるコンデンサを備えており、少
    なくとも1つの励起手段のコンデンサを他の励起手段に
    おけるコンデンサの容量よりも大きな容量をもつ電力コ
    ンデンサで構成したことを特徴とする請求項1記載のパ
    ルスガスレーザ発振装置。
  7. 【請求項7】 前記パルスレーザ光発振手段に、パルス
    レーザ光を発振する際の予備電離タイミング変動を低減
    する予備電離タイミング変動防止手段を付加したことを
    特徴とする請求項1記載のパルスガスレーザ発振装置。
  8. 【請求項8】 前記パルスレーザ光発振手段に、前記パ
    ルスレーザ光発振手段から発振する各パルスレーザ光の
    時間間隔を制御する間隔制御手段を付加したことを特徴
    とする請求項4記載のパルスガスレーザ発振装置。
  9. 【請求項9】 前記電圧分離手段の特性を制御すること
    により前記パルスレーザ光発振手段から発振する各パル
    スレーザ光の時間間隔を制御する間隔制御手段を付加し
    たことを特徴とする請求項1記載のパルスガスレーザ発
    振装置。
JP26421195A 1995-10-12 1995-10-12 パルスガスレーザ発振装置 Pending JPH09107140A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012009892A (ja) * 2011-09-05 2012-01-12 Komatsu Ltd 放電励起式パルス発振ガスレーザ装置
JP2013141030A (ja) * 2013-04-17 2013-07-18 Komatsu Ltd 放電励起式パルス発振ガスレーザ装置

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JP2012009892A (ja) * 2011-09-05 2012-01-12 Komatsu Ltd 放電励起式パルス発振ガスレーザ装置
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