JP2002151768A - 露光用フッ素レーザ装置 - Google Patents

露光用フッ素レーザ装置

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JP2002151768A
JP2002151768A JP2000343339A JP2000343339A JP2002151768A JP 2002151768 A JP2002151768 A JP 2002151768A JP 2000343339 A JP2000343339 A JP 2000343339A JP 2000343339 A JP2000343339 A JP 2000343339A JP 2002151768 A JP2002151768 A JP 2002151768A
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gas
discharge
fluorine
exposure
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Hidenori Watanabe
英典 渡邊
Koji Kakizaki
弘司 柿崎
Takashi Saito
隆志 斉藤
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Gigaphoton Inc
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    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70008Production of exposure light, i.e. light sources
    • G03F7/70025Production of exposure light, i.e. light sources by lasers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰返し周波数が2kHzを越えても、低ピー
クパワーで、かつロングパルス化が可能な高効率露光用
フッ素レーザ装置。 【解決手段】 レーザチェンバ1とレーザ放電電極2と
ピーキングコンデンサと高電圧パルス発生装置3とを有
し、レーザ放電電極2が高電圧パルス発生装置3の磁気
パルス圧縮回路の出力端に接続され、高電圧パルス発生
装置3が発生する極性が反転する1パルスの放電振動電
流波形の始めの半周期と、それに続く少なくとも2つの
半周期によってレーザ発振動作をする露光用フッ素レー
ザ装置において、放電回路の定数等が定められており、
バッファーガスとしてネオンを含み、放電開始までの電
圧立ち上がり時間Td(ns)と、ピーキングコンデン
サの容量Cp(F)とが、Td<33√( Cp×1
9 )の関係を満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体露光用の紫
外線を放出するガスレーザ装置に関し、特に、フッ素レ
ーザ装置において、ネオン(Ne)をバッファーガスと
して含み、レーザ発振パルス幅の長い(ロングパルス化
された)レーザ動作を行うガスレーザ装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路の微細化、高集積化につ
れて、その製造用の露光装置においては解像力の向上が
要請されている。このため、露光用光源から放出される
露光光の短波長化が進められており、次世代を担う半導
体露光用光源として、波長157nmの紫外線を放出す
るフッ素(F2 )レーザ装置が有力である。
【0003】フッ素レーザ装置においては、一般に、フ
ッ素(F2 )ガスとバッファーガスとして希ガスである
ヘリウム(He)からなる混合ガスを用いる。混合ガス
であるレーザガスが数百kPaで封入されたレーザチャ
ンバの内部で放電を発生させることにより、レーザ媒質
であるレーザガスが励起される。
【0004】すなわち、レーザチェンバ内部には、レー
ザガスを励起するための一対の主放電電極が、レーザ発
振方向に垂直な方向に所定の距離だけ離間して対向配置
されている。この一対の主放電電極には高電圧パルスが
印加され、主放電電極間にかかる電圧がある値(ブレー
クダウン電圧)に到達すると、主放電電極間のレーザガ
スが絶縁破壊されて主放電が開始し、この主放電により
レーザ媒質が励起される。
【0005】反射光学系を有する露光装置の光源として
フッ素レーザ装置を用いる場合は、フッ素レーザ装置が
放出するレーザ光のスペクトル線幅の狭帯域化は不要で
あるが、屈折系からなる投影光学系を有する露光装置の
光源としてフッ素レーザ装置を用いる場合は、露光装置
の投影光学系における色収差の問題を回避するために、
光学材料をCaF2 に限定した場合、スペクトル線幅を
0.2pm以下に狭帯域化することが必要となる。スペ
クトル線幅の狭帯域化は、例えば、拡大プリズムと回折
格子からなる狭帯域化光学系をレーザ共振器内に配置す
ることにより実現される。
【0006】このフッ素レーザ装置から放出されるレー
ザ光は、レーザ発振パルス幅(Tis)が長くても20n
s程度であるため、ピークパワーが大きく、また、短波
長であることから光子エネルギーが高いという特徴があ
る。そのため、反射光学系、屈折光学系を問わず光学素
子がダメージを受けやすい。
【0007】ここで、レーザ発振パルス幅(Tis)の定
義式は以下のとおりである。
【0008】 Tis=[∫T(t)dt]2 /∫T2 (t)dt ・・・(1) ここで、T(t)は時間的なレーザ形状である。
【0009】このレーザ発振パルス幅Tisは2光子吸収
によるダメージに関して定義されたパルス幅であるが、
1パルスのエネルギーが同じ場合、Tisが大きいと裾広
がりのパルス波形となり、Tisが小さいと矩形に近いパ
ルス波形となり、後者の場合の方がピーク値を取る時間
が長くなる。
【0010】従来、レーザパルス幅を時間的なレーザ形
状の半値全幅FWHMで定義する場合があったが、この
半値全幅でレーザパルス幅を定義する場合、図13のモ
デル図に示すように、時間的なレーザ形状が互いに異な
っても半値全幅は同じ値となる。しかしながら、図13
に示す例では、実際のレーザパルスの継続時間は、三角
形形状の方が矩形形状よりも長く、光学素子に対するダ
メージは小さくなる。これに対して、(1) 式で定義さ
れるレーザパルス幅Tisでは、図13に示す三角形形状
の方が矩形形状よりも長くなる。例えば図13に示す例
では、三角形形状のレーザパルス幅Tisは、矩形形状の
レーザパルス幅Tisの2倍となる。
【0011】したがって、ここでは、レーザパルスのピ
ークの影響によるダメージに反比例するするTisの値を
レーザ発振パルス幅として用いる。
【0012】上記したように、露光装置に搭載される光
学系のダメージを低減する1つの方法として、レーザパ
ルス幅Tisを長くするロングパルス化が求められるが、
このロングパルス化は、以下の点からも要請される。
【0013】投影露光装置において、回路パターン等が
施されたマスクの像が、投影光学系を介してフォトレジ
ストが塗布されたウエーハ等のワークに投影される投影
像の解像度Rと焦点深度DOFは、次式で表される。
【0014】 R=k1 ・λ/NA ・・・(2) DOF=k2 ・λ/(NA)2 ・・・(3) ここで、k1 、k2 はレジストの特性等を反映する係
数、λは露光用光源から放出される露光光の波長、NA
は投影光学系の開口数である。
【0015】解像度Rを向上させるため、(2)式から
明らかなように、露光光の波長の短波長化、高NA化が
進んでいるが、その分(3)式が示す通り、焦点深度D
OFが小さくなる。そのため、色収差の影響が大きくな
るので、露光光のスペクトル線幅をより狭くする必要が
ある。すなわち、投影露光装置の光源としてフッ素レー
ザ装置を使用する場合、フッ素レーザ装置から放出され
るレーザ光のスペクトル線幅のさらなる狭帯域化が要請
される。
【0016】ここで、Proc.SPIE Vol.3
679.(1999)1030〜1037には、レーザ
パルス幅が長くなると、それに伴ってレーザ光のスペク
トル線幅が狭くなっていくことが記載されており、実
際、本発明者等の実験でもこれは証明された。
【0017】すなわち、解像度Rを向上するためには、
レーザ光のスペクトル線幅のさらなる狭帯域化が要請さ
れ、そのためにはレーザ光のさらなるロングパルス化が
必要となる。
【0018】以上のように、露光装置の光学系へ与える
ダメージの回避、及び、投影露光装置の場合、解像度の
向上のために、レーザパルス幅(Tis)のロングパルス
化が必須となってきた。
【0019】しかしながら、上記したように、一般に、
従来のフッ素レーザ装置の場合、レーザ光のレーザパル
ス幅(Tis)は20ns程度と短い。これは、以下の理
由による。
【0020】従来のフッ素レーザ装置においては、一般
にバッファーガスとしてヘリウムを使用する。その理由
は、放電抵抗が高いヘリウムを用いることにより、主放
電の際に高ブレークダウン電圧を達成して、レーザ媒質
を短時間に強励起して高いレーザ出力を得るためであ
る。
【0021】そのため、レーザ共振器を構成する出力鏡
の最適反射率は10%付近の値となり、また、発振して
レーザ共振器より取り出されるレーザ光は、ASEの影
響を強く受けた20ns程度の短いレーザパルス幅(T
is)を持つ短パルスレーザ光となる。
【0022】フッ素レーザ装置において、可視域の発光
の抑制、装置の長寿命化・安定化及びレーザパルス幅の
ロングパルス化を達成するのに、特開2000−236
131では、バッファーガスを、ネオン若しくはネオン
に少量のヘリウムが混入した混合ガスとすることが提案
されている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、次世
代の半導体露光用レーザ光源として有力視されるフッ素
レーザ装置に対し、さらなる高スループット化、露光装
置に使用される光学素子に対する低ダメージ化が要請さ
れる。また、フッ素レーザ装置が投影露光装置の光源と
して使用される場合、投影露光装置の解像度の向上のた
めに、さらなるレーザ光の狭帯域化が要請される。
【0024】しかしながら、低ダメージ化、投影露光装
置の高解像度化のための狭帯域化に効果のあるロングパ
ルス化と、高スループット化のためのレーザ動作の高繰
返し化は、放電の安定持続性の観点から相反する技術で
あり、両立は困難と考えられていた。特にフッ素を使用
するガスレーザ装置においては、ロングパルス化が困難
であると報告されている(例えば、前田三男編「エキシ
マレーザー」p.163,(株)学会出版センター,1
983年8月20日初版;IEEE JOURNAL
OF SELECTED TOPICS IN QUA
NTUMELECTRONICS,vol.5,no.
6(1999),p.1515等)。
【0025】特開2000−236131に記載された
技術においては、バッファーガスがヘリウムのときと比
較すればロングパルス化はされているが、レーザ動作の
繰返し周波数(以下、繰返し周波数と称する。)は20
0Hzにも満たない。また、記載されたレーザパルス波
形から求めたレーザパルス幅(Tis)も、Heをバッフ
ァーガスとして用いる従来例の20nsよりは長いもの
の、30ns程度と決して満足できる値ではない。
【0026】本発明は従来技術のこのような問題点に鑑
みてなされたものであって、その目的は、繰返し周波数
が2kHzを越えても、低ピークパワーで、かつロング
パルス化が可能な高効率露光用フッ素レーザ装置を提供
することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の露光用フッ素レーザ装置は、少なくとも1種類以上
の希ガスからなるバッファーガスとフッ素ガスとからな
るレーザガスが封入されたレーザチェンバと、このレー
ザチェンバ内に配置された一対のレーザ放電電極と、そ
の一対のレーザ放電電極と並列に接続されたピーキング
コンデンサと、前記レーザチェンバ内で高電圧パルス放
電を発生させて前記レーザガスを励起してレーザ光を放
出させるための高電圧パルス発生装置とを有し、前記一
対のレーザ放電電極が前記高電圧パルス発生装置に搭載
される磁気パルス圧縮回路の出力端に接続された露光用
フッ素レーザ装置であって、前記高電圧パルス発生装置
が発生する極性が反転する1パルスの放電振動電流波形
の始めの半周期と、それに続く少なくとも2つの半周期
によってレーザ発振動作をする露光用フッ素レーザ装置
において、前記磁気パルス圧縮回路の最終段のコンデン
サの容量が15nF以下、ピーキングコンデンサの容量
が2〜8nF、前記ピーキングコンデンサと前記一対の
放電電極とが形成する回路ループのインダクタンスが3
〜8nH、前記一対の放電電極間距離が8〜18mm、
前記バッファーガスのレーザチェンバ内圧力が2.5〜
4気圧であるとき、前記レーザガス中のバッファーガス
を構成する少なくとも1種類以上の希ガスとしてネオン
を含み、放電開始までの電圧立ち上がり時間をTd(n
s)、ピーキングコンデンサの容量をCp(F)とした
とき、 Td<33√( Cp×109 ) ・・・(5) の関係を満たすことを特徴とするものである。
【0028】この場合、ネオンガス濃度が50%以上で
あることが望ましい。
【0029】また、バッファーガスが少なくともネオン
ガス並びにキセノンガスの混合ガスであって、そのキセ
ノンガス濃度が5〜15ppmであることが望ましい。
【0030】また、レーザチャンバを内部に含むように
配置された光共振器の出力鏡の反射率が30%以上であ
ることが望ましい。
【0031】本発明においては、上記のような構成であ
るので、放出されるレーザ光が低ピークパワー、ロング
パルス化され、露光用光源として相応しいフッ素レーザ
装置を実現することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の原理とその実施例
について、図面に基づいて説明する。
【0033】本発明者等は、上記のようなフッ素レーザ
装置への要請に対応するため、高繰返しレーザ発振動作
に対応し、放出するレーザ光がロングパルス化されてい
る励起回路を形成することにより、繰返し周波数が2k
Hz以上でも安定に動作可能であって、レーザパルス幅
(Tis)≧40nsとなるロングパルス露光用フッ素レ
ーザ装置を開発した。
【0034】その原理は、以下の通りである。すなわ
ち、本発明者等は鋭意検討した結果、図1に波形図を示
すように、主放電電極間を流れる振動電流の周期を短く
し、かつ、電流のピーク値が大きくなるように、励起回
路の回路定数を定めること(具体的な回路構成、回路定
数は後述する。)、及び、レーザガス混合比、混合ガス
圧力を定めることにより、振動周期の最初の1/2以降
の期間と、それに続く少なくとも2つの1/2周期にお
いてもレーザ励起を行い、高繰返し周波数条件下でも、
フッ素レーザから放出されるレーザ光の低ピークパワー
化、かつ、ロングパルス化することに成功した。
【0035】以下、本発明のフッ素レーザ装置とその励
起回路の具体例を示す。
【0036】図2は、本発明の露光用フッ素レーザ装置
の構成例を示す例であり、図中、1はレーザチェンバで
あり、両端に窓部が設けられ、フッ素ガス及びバッファ
ーガス(例えば、ネオンガス)からなる混合ガスである
レーザガスが封入されている。
【0037】レーザチェンバ1の内部には、所定間隔だ
け離間して対向した一対の主放電電極2、2が設けら
れ、高電圧パルス発生装置3(図3に示す励起回路を含
む。)により高電圧パルスを印加して主放電電極2、2
間に放電を発生させることにより、レーザ媒質であるレ
ーザガスが励起される。レーザチェンバ1内に配置され
たファン4によって、レーザガスはレーザチェンバ1内
部を循環する。
【0038】このレーザガス循環により、主放電電極
2、2間のレーザガスは、放電発生後、次の放電が発生
する前に新しいガスに置換されるので、次の放電は安定
な放電となる。
【0039】本発明者等は、レーザチェンバ1のレーザ
ガス循環構造、ファン4の形状等の改良を行い、繰返し
周波数2kHz以上を実現した。
【0040】例えば、投影露光装置の光源として使用す
る場合、レーザチェンバ1の一方の端部側には、レーザ
光のスペクトル幅を狭帯域化するための狭帯域化光学系
を有する狭帯域化モジュール5が設けられる。狭帯域化
モジュール5は、例えば、1個以上のプリズムからなる
ビーム拡大光学系とリトロー配置の反射型回折格子とか
ら構成される。レーザチェンバ1の他方の端部側には出
力鏡6が設けられ、この出力鏡6と狭帯域化モジュール
5に配置された狭帯域化光学系によりレーザ共振器が構
成される。
【0041】出力鏡6より放出されたフッ素レーザ光の
一部はビームサンプラー7により取り出され、レーザ光
の時間的波形を検出する波形検出手段8に導かれる。波
形検出手段8で得られた波形データはパルス幅算出手段
9に送られる。パルス幅算出手段9は、受け取ったパル
ス幅データに基いて、前記した式(1)に従って、レー
ザパルス幅Tisを算出する。
【0042】このようなフッ素レーザ装置の主放電電極
2、2の間に、図3に示すような放電回路により主放電
電圧が、また、コロナ予備電離部10の電極11と13
の間に予備電離用コンデンサCcを介して予備放電電圧
が印加される。なお、この例において、コロナ予備電離
部10は、例えば、第1電極11が高純度アルミナセラ
ミックス等の誘電体物質製の片側開放のチューブ12内
に円柱状電極を挿入して構成され、第2電極13が矩形
の板状体電極から構成され、第2電極13の板状体はそ
の1つの直線状のエッジ近傍で屈曲されており、そのエ
ッジにおいて第1電極11の誘電体チューブ12の外面
に平行に線接触してなり、その接触位置は、主放電電極
2、2の間のレーザ励起空間を見込むことができる位置
に設定されている。
【0043】図3の励起回路は、可飽和リアクトルから
なる3個の磁気スイッチSL0、SL1、SL2を用い
た2段の磁気パルス圧縮回路からなる。磁気スイッチS
L0は固体スイッチSW保護用のものであり、第1の磁
気スイッチSL1と第2の磁気スイッチSL2により2
段の磁気パルス圧縮回路を構成している。
【0044】図3に従って回路の構成と動作を以下に説
明する。まず、高電圧電源HVの電圧が所定の値に調整
され、磁気スイッチSL0、インダクタンスL1を介し
て主コンデンサC0が充電される。このとき、固体スイ
ッチSWはオフになっている。主コンデンサC0の充電
が完了し、固体スイッチSWがオンとなったとき、固体
スイッチSW両端にかかる電圧は磁気スイッチSL0の
両端にかかるよう移り、固体スイッチSWを保護する。
磁気スイッチSL0の両端にかかる主コンデンサC0の
充電電圧V0の時間積分値が磁気スイッチSL0の特性
で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSL0が飽和
して磁気スイッチが入り、主コンデンサC0、磁気スイ
ッチSL0、固体スイッチSW、コンデンサC1のルー
プに電流が流れ、主コンデンサC0に蓄えられた電荷が
移行してコンデンサC1に充電される。
【0045】この後、コンデンサC1における電圧V1
の時間積分値が磁気スイッチSL1の特性で決まる限界
値に達すると、磁気スイッチSL1が飽和して磁気スイ
ッチが入り、コンデンサC1、コンデンサC2、磁気ス
イッチSL2のループに電流が流れ、コンデンサC1に
蓄えられた電荷が移行してコンデンサC2に充電され
る。
【0046】さらにこの後、コンデンサC2における電
圧V2の時間積分値が磁気スイッチSL2の特性で決ま
る限界値に達すると、磁気スイッチSL2が飽和して磁
気スイッチが入り、コンデンサC2、ピーキングコンデ
ンサCp、磁気スイッチSL2のループに電流が流れ、
コンデンサC2に蓄えられた電荷が移行してピーキング
コンデンサCpが充電される。
【0047】図3の説明から明らかなように、予備電離
のためのコロナ放電は、誘電体チューブ12と第2電極
13とが接触している個所を基点として誘電体チューブ
12の外周面に発生するが、図3のピーキングコンデン
サCpの充電が進むにつれてその電圧V3が上昇し、V
3が所定の電圧になるとコロナ予備電離部の誘電体チュ
ーブ12表面にコロナ放電が発生する。このコロナ放電
によって誘電体チューブ12の表面に紫外線が発生し、
主放電電極2、2間のレーザ媒質であるレーザガスが予
備電離される。
【0048】ピーキングコンデンサCpの充電がさらに
進むにつれて、ピーキングコンデンサCpの電圧V3が
上昇し、この電圧V3がある値(ブレークダウン電圧)
Vbに達すると、主放電電極2、2間のレーザガスが絶
縁破壊されて主放電が開始し、この主放電によりレーザ
媒質が励起され、レーザ光が発生する。
【0049】この後、主放電によりピーキングコンデン
サCpの電圧が急速に低下し、やがて充電開始前の状態
に戻る。
【0050】このような放電動作が固体スイッチSWの
スイッチング動作によって繰り返し行われることによ
り、所定の繰り返し周波数でのパルスレーザ発振が行わ
れる。
【0051】ここで、磁気スイッチSL1、SL2及び
コンデンサC1、C2で構成される各段の容量移行型回
路のインダクタンスを後段に行くにつれて小さくなるよ
うに設定することにより、各段を流れる電流パルスのパ
ルス幅が順次狭くなるようなパルス圧縮動作が行われ、
主放電電極2、2間に短パルスの強い放電が実現され
る。
【0052】以上説明した通り、本発明におけるフッ素
レーザ装置は、図1、図3に示すように、磁気パルス圧
縮回路の出力端に接続され、レーザチャンバ内に配置さ
れた一対のレーザ放電電極を有し、極性が反転する1パ
ルスの放電振動電流波形の始めの半周期と、それに続く
少なくとも2つの半周期によってレーザ発振動作をする
ことを特徴とするものである。
【0053】ところで、半導体露光用光源としてのフッ
素レーザ装置の場合、露光に必要な出力エネルギー(≧
5mJ/パルス)からそれに必要な放電体積が自ずから
決まり、その放電体積から主放電電極2、2間の間隔も
8〜18mm程度ある必要がある。また、そのレーザ出
力エネルギーはピーキングコンデンサCpの容量で決ま
るので、半導体露光用の光源として必要なピーキングコ
ンデンサCpの容量は2〜8nFである。
【0054】ここで、上記したように、本発明に基づい
て、図3において、主放電電極2、2間を流れる振動電
流の極性が反転する最初の1/2周期以降においても、
レーザ発振を持続させるためには、まず、振動電流の最
初の1/2周期のピーク値が大きくなるように回路定数
を定める必要がある。電流のピーク値を大きくするため
には、主電極2、2間で放電が開始する電圧(ブレーク
ダウン電圧)Vbを高くする必要がある。すなわち、放
電開始電圧Vbは主放電電極2、2間に加えられる電圧
の立ち上がりに依存し、立ち上がり時間が高速である場
合に放電開始電圧Vbが高くなる(過電圧の発生)の
で、その印加電圧を急激に上昇するようにする必要があ
る。
【0055】ピーキングコンデンサCpに対する第2の
コンデンサC2の容量が大きければ大きい程、その電圧
の立ち上がりは急激になり望ましいが、一方で、第2の
コンデンサC2の容量を大きくすればする程、レーザ装
置全体を駆動するために必要なエネルギーが大きくな
り、レーザ装置の効率が低下してしまうので、第2のコ
ンデンサC2の容量には限界があり、半導体露光用の光
源としてのフッ素レーザレーザ装置の場合、15nF以
下に設定される。
【0056】また、主放電電極2、2間を流れる振動電
流の2番目以降の1/2周期の電流のピーク値を大きく
して2番目以降の1/2周期においてもレーザ発振を行
わせるためには、レーザガスの電気抵抗を小さくする必
要がある。レーザチェンバ1内のバッファーガスの圧力
が低い程、また、バッファーガスとして一般的に用いら
れているヘリウム(He)の代わりに、ネオン(Ne)
あるいはネオン(Ne)を含む混合ガスを用いること
で、放電抵抗を小さくすることができる。なお、レーザ
チェンバ1内のバッファーガスの圧力が2.5気圧より
小さい場合、放電によりレーザ媒質に注入できるエネル
ギーが小さくなりすぎ、露光装置に必要な出力エネルギ
ーを得られなくなる。逆に、レーザチェンバ1内のバッ
ファーガスの圧力が4気圧より大きい場合は、電気抵抗
が大きくなりすぎ、2番目以降の1/2周期においても
レーザ発振を行わせることが困難になる。よって、レー
ザチェンバ1内のバッファガスの圧力は2.5〜4気圧
であることが望ましい。
【0057】さらに、前記のように、主放電電極2、2
間を流れる振動電流の最初の1/2周期以降の周期を短
くすることも、2番目以降の1/2周期においてもレー
ザ発振を持続させるための必要な条件である。この周期
が長いと、2番目の1/2周期の後半において放電の空
間的な集中が発生して、必要な均一な励起が効率よく行
われなくなるからである。2番目以降の1/2周期の周
期を決めるパラメータは、図3の励起回路のピーキング
コンデンサCpと主放電電極2、2間が形成するループ
(放電電流回路)中の容量CL と浮遊インダクタンスL
d 、及び、レーザガスにおける電気抵抗Rd であり、そ
の周期Td は以下で記述される。
【0058】 Td ∝[(Ld L -1−(Rd /2Ld 2 ] -1/2 ・・・(4) したがって、その周期Td を短くするには、上記放電電
流回路の浮遊インダクタンスLd を可能な限り小さくす
ればよい。しかし、この浮遊インダクタンスL d の大き
さはレーザキャビティの断面積で決まるから、実際上3
〜8nH程度より小さくはできない。
【0059】以上のようなパラメータ範囲に選んだ条件
下で、放電体積を放電幅3〜5mm×電極間距離8〜1
8mm、長さ550〜700mmとして、バッファガス
としてネオン(Ne)を含んだレーザガスにおけるレー
ザ発振特性の具体例を示す。
【0060】図4に、第2のコンデンサC2の容量14
nF、ピーキングコンデンサCpの容量4.6、6、
7.4nF、放電電流回路の浮遊インダクタンスL
d 7.5nH、主放電電極間距離16mm、有効放電長
550mm、フッ素(F2 )濃度0.086%、レーザ
チェンバ1内のバッファーガスの圧力3.5気圧、繰返
し周波数2000Hzにおいて、バッファーガスをヘリ
ウム(He)とネオン(Ne)の混合ガスとして、混合
比Ne/(Ne+He)を100%、83%、62%、
59%と変えた場合の放電電流(振動電流)波形を示
し、図5に、それらの場合のレーザ発振パルス波形を示
す。各混合比において、レーザ媒質への投入エネルギー
は同一であり、このときのブレークダウン電圧Vbは、
略変わらず31.5kVであった。
【0061】図4から明らかなように、バッファーガス
におけるネオン(Ne)の割合を増加させることによ
り、放電電流の振動周期は短くなり、電流のピーク値は
大きくなった。この理由は、バッファーガスとしてヘリ
ウム(He)のみを使用した場合と比較して、ヘリウム
(He)とネオン(Ne)の混合ガスをバッファーガス
として用いることで放電抵抗が小さくなり、始めの1/
2周期に消費されなかったエネルギーが次の1/2周
期、さらにその次の1/2周期へと移行し、レーザ発振
に寄与しためであると考えられる。
【0062】図6に、上記諸条件下で、バッファーガス
をヘリウム(He)とネオン(Ne)の混合ガスとし
て、混合比Ne/(Ne+He)を100%、83%、
59%、0%と変えた場合に得られたレーザパルス幅
(Tis)と、レーザ出力を示す。ここで、レーザ出力は
上記混合比が0%(すなわち、ヘリウム100%)のと
きのレーザ出力値で規格化してある。
【0063】図5、図6から明らかなように、ネオン
(Ne)の割合を増加させていくに従い、低ピークパワ
ー化かつロングパルス化されている。この結果より、ロ
ングパルス化するためには、少なくともネオン(Ne)
の割合は50%以上とすることが望ましい。
【0064】また、図4と図5の結果から、He/Ne
混合バッファーガスにおけるネオン(Ne)の含有割合
を大きくしていくにつれて、放電開始(ブレークダウ
ン)からレーザ発振までの時間が延長され、レーザパル
スの尖頭出力が減少するので、ヘリウム(He)のみを
バッファーガスに使用したときと比較して弱励起状態と
なり、ASEの割合を減少させることができ、レーザ光
が狭帯域化光学系を通過する割合が高くなり、その結
果、より狭帯域化される。
【0065】一方、図6から明らかなように、レーザパ
ルスのロングパルス化とレーザ出力とは相補的な関係に
ある。そのため、He/Ne混合バッファーガスにおけ
るネオン(Ne)の含有割合を大きくして、ヘリウム
(He)のみをバッファーガスに使用したときと同程度
のレーザ出力を得るためには、例えば、高い放電開始電
圧Vbが必要になる。露光用フッ素レーザにおいて必要
とされるレーザ出力エネルギーは5mJ以上と言われて
おり、そのためには、放電開始電圧Vbがある所定電圧
値以上である必要がある。
【0066】レーザチェンバ内のバッファーガスのガス
圧を高く設定することによって放電開始電圧(ブレーク
ダウン電圧)Vbを高くすることも可能だが、その反
面、放電抵抗が大きくなるので、主放電電極2、2間を
流れる振動電流の2番目以降の1/2周期においてもレ
ーザ発振を行わせることが困難になる。したがって、先
に述べたように、ロングパルス化されたレーザ光を得る
ためには、バッファーガスの圧力は2.5〜4気圧が望
ましいが、この圧力範囲においては、必ずしも5mJ以
上のレーザ出力エネルギーを得るための放電開始電圧V
bを得られるとは限らない。
【0067】先に述べたように、放電開始電圧Vbは主
放電電極2、2間に加えられる電圧の立ち上がりに依存
し、立ち上がり時間が高速である場合に放電開始電圧V
bが高くなる(過電圧の発生)。よって、ロングパルス
化されていて、かつ、所定の出力のレーザ光を得るに
は、上記立ち上がり時間を高速にして、放電開始電圧V
bをある所定電圧値以上に高くすることが有効である。
【0068】ここで、ブレークダウン電圧Vbまでの立
ち上がり時間の定義は、図8に示すように、主放電電極
2、2間に印加される電圧V3の最初の1/2周期の立
ち上がり部の最も急峻になる部分を直線近似し、その直
線が電圧0の直線と交差する点からブレークダウン電圧
Vbに至るまでの時間である。
【0069】図7に、ピーキングコンデンサCpの容量
を4.6、6、7.4nFとした場合の、一対の主放電
電極2、2間にブレークダウンが発生するまでの放電立
ち上がり時間Td(ns)に対するレーザ出力エネルギ
ー特性を示す。ここで、第2のコンデンサC2の容量は
14nFであり、放電電流回路の浮遊インダクタンスL
d は7.5nH、主放電電極間距離は16mm、有効放
電長は550mm、フッ素(F2 )濃度0.086%、
レーザチェンバ1内のバッファーガスの圧力は3.5気
圧、He/Ne混合バッファーガスにおけるネオン(N
e)の混合比は91%である。
【0070】なお、上記の立ち上がり時間Tdの調整
は、主コンデンサC0に充電した電圧は一定だが、ピー
キングコンデンサCpへの充電効率を変化させることに
より行った。
【0071】図7から明らかなように、ピーキングコン
デンサCpの容量が4.6nFの場合には、立ち上がり
時間Tdが72ns以下のとき、露光用フッ素レーザに
おいて必要とされるレーザ出力エネルギーは5mJ以上
となる。同様に、ピーキングコンデンサCpの容量が6
nFの場合は、立ち上がり時間Tdが80ns以下のと
き、ピーキングコンデンサCpの容量が7.4nFの場
合には、立ち上がり時間Tdが89ns以下のとき、レ
ーザ出力エネルギーは5mJ以上となる。
【0072】ちなみに、上記条件の下、図9に、ピーキ
ングコンデンサCpの容量を6nFとした場合の、放電
立ち上がり時間Td(ns)に対するブレークダウン電
圧Vb特性を示す。この場合、上記した通り、レーザ出
力エネルギーが5mJ以上となる立ち上がり時間Tdが
80ns以下であるので、必要なブレークダウン電圧V
bは約30kV以上となる。
【0073】さて、図7に示す結果から、レーザ出力エ
ネルギーが5、6、7mJとなる場合のピーキングコン
デンサCpの容量と立ち上がり時間Tdの関係を調べ
た。その結果を図10に示す。解析の結果、ピーキング
コンデンサCpの容量をCp(F)、立ち上がり時間を
Td(ns)としたとき、レーザ出力エネルギーが5m
Jの場合、ピーキングコンデンサCpの容量Cp(F)
と立ち上がり時間Td(ns)との関係は、Td=33
√(Cp×109 )と近似できた。
【0074】同様に、レーザ出力エネルギーが6mJの
場合は、Td=30√(Cp×10 9 )、レーザ出力エ
ネルギーが7mJの場合は、Td=27√(Cp×10
9 )と近似できた。
【0075】したがって、ピーキングコンデンサの容量
Cp(F)と立ち上がり時間Td(ns)との間に以下
の関係が成立するとき、レーザ出力エネルギーは半導体
露光に必要な5mJ以上となることが分った。
【0076】 Td<33√( Cp×109 ) ・・・(5) なお、図4の場合、何れも放電立ち上がり時間Tdは6
0nsであり、その場合の図5のレーザ発振パルス波形
のレーザ出力エネルギーは、Ne/(Ne+He)が1
00%の場合は6.2mJ、83%の場合は7.2m
J、62%の場合は7mJ、59%の場合は7.2mJ
であり、何れも上記の式(5)の条件を満たしている。
【0077】ところで、ネオン(Ne)をバッファーガ
スに含むフッ素レーザ装置は放電抵抗が小さくなるた
め、ヘリウム(He)のみをバッファーガスに使用した
ときと比較して弱励起状態となり、レーザゲインの減少
を招く。そのため、レーザ共振器における最適出力鏡反
射率は、ヘリウム(He)をバッファーガスに用いた場
合と比較して、高反射側にシフトする。
【0078】図11に、第2のコンデンサC2の容量1
4nF、ピーキングコンデンサCpの容量6nF、放電
電流回路の浮遊インダクタンスLd 7.5nH、主放電
電極間距離16mm、有効放電長550mm、フッ素
(F2 )濃度0.086%、レーザチェンバ1内の全ガ
ス圧3.5気圧、He/Ne混合バッファーガスにおけ
るネオン(Ne)の混合比91%、繰返し周波数200
0Hzのときの、レーザ出力、パルス幅の出力鏡反射鏡
依存性を示す。ここで、レーザ出力は出力鏡反射率が3
0%のときのレーザ出力値で規格化してある。
【0079】従来のヘリウムのみをバッファーガスとし
て使用した場合の最適出力鏡最適反射率が10%付近の
値であったのに対し、図11から明らかなように、出力
鏡反射率30〜50%においてレーザ出力が最大となっ
た。なお、共振器内の損失が増加すると共に、この最適
値はさらに高反射側にシフトする。そして、高反射率の
出力鏡を用いることによりレーザ共振器内のレーザエネ
ルギー密度が上がるため、図11のように、さらにロン
グパルス化される。したがって、望ましくは出力鏡反射
率は30% 以上である。
【0080】上記実施例においては、バッファーガスと
してネオン(Ne)若しくはネオン(Ne)とヘリウム
(He)との混合ガスを用いた例を示したが、これに限
るものではなく、さらに他の不活性ガスを混合してもよ
い。図12は、第2のコンデンサC2の容量を14n
F、ピーキングコンデンサCpの容量を6nF、放電電
流回路の浮遊インダクタンスLd を7.5nH、主放電
電極間距離を16mm、有効放電長を550mm、フッ
素(F2 )濃度を0.086%、レーザチェンバ1内の
全ガス圧を3.5気圧、He/Ne混合バッファーガス
におけるネオン(Ne)の混合比を91%として、キセ
ノン(Xe)を6ppm添加したときの、繰返し周波数
とレーザ出力との関係を調べたものである。ここで、レ
ーザ出力は繰返し周波数が100Hzのときのレーザ出
力値で規格化してある。
【0081】繰返し周波数が高くなるにつれ、レーザ出
力が落ち込んでいるが、図12から明らかなように、キ
セノン(Xe)を6ppm添加したことにより、キセノ
ンを添加しない場合に比べて、高繰返し周波数時のレー
ザ出力の落ち込みが緩和されている。この理由は、キセ
ノンは予備電離電子源として作用し、ブレークダウンに
先立つ予備電離電子の増加によって初期放電が安定し、
放電後半まで均一な放電が持続したためであると考えら
れる。
【0082】ここで、キセノン添加量は5〜15ppm
程度が望ましい。その理由は、キセノン添加量を5pp
mより小さくすると、高繰返し周波数時のレーザ出力の
落ち込み緩和効果はほとんど得られず、キセノン添加量
を15ppmより大きくすると、レーザ出力自体の低下
を招くことが、本発明者等の実験により明らかになった
ためである。
【0083】なお、図12は、繰返し周波数を100H
zから1kHzまで変化させた場合について示したが、
繰返し周波数がさらに増大しても、キセノンが予備電離
電子源として作用する状況に変化はないので、上記のよ
うな効果は得られる。
【0084】以上のように、本発明に基いて、従来のよ
うにバッファーガスを単にネオンとするという技術のみ
ではなく、新規な技術であるロングパルス化放電回路の
新たな考案により、繰返し周波数2kHz以上、レーザ
パルス幅Tisが40ns以上の高繰返しロングパルス化
フッ素レーザ装置を実現することに成功した。
【0085】特に、レーザ共振器の出力鏡反射率を50
%以上としたとき、従来技術では成し得なかったレーザ
パルス幅Tisが50ns以上というロングパルス化を実
現できた。
【0086】以上、本発明の露光用フッ素レーザ装置を
その原理と実施例に基いて説明してきたが、本発明はこ
れら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0087】なお、将来、露光用フッ素レーザ装置とし
て、注入段レーザ装置と増幅段レーザ装置とからなる注
入同期方式のものが採用された場合、ロングパルス化は
注入段レーザ装置にのみ必要になり、そのときの注入段
レーザ装置の必要エネルギーは1mJ以下になると考え
られる。この場合には、装置小型化の観点から、磁気パ
ルス圧縮回路の最終段のコンデンサ(2段の磁気パルス
圧縮回路の場合、図3におけるコンデンサC2)の容量
をできるだけ小さくし、ピーキングコンデンサの容量を
2nF付近にし、電極間距離を8mm付近と短くし、有
効放電長も短くすることになる。
【0088】本発明者等が実験したところ、このように
レーザ主力エネルギーが1mJ以下でロングパルス化さ
れたレーザ光を得るために小型化する場合にも、理由は
明らかではないが、上記した(5)式の関係Td<33
√( Cp×109 )に基づいて放電開始までの電圧立ち
上がり時間Td(ns)を定めることが有効であった。
【0089】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のフッ素レーザ装置によると、少なくとも1種類以上の
希ガスからなるバッファーガスとフッ素ガスとからなる
レーザガスが封入されたレーザチェンバと、このレーザ
チェンバ内に配置された一対のレーザ放電電極と、その
一対のレーザ放電電極と並列に接続されたピーキングコ
ンデンサと、前記レーザチェンバ内で高電圧パルス放電
を発生させて前記レーザガスを励起してレーザ光を放出
させるための高電圧パルス発生装置とを有し、前記一対
のレーザ放電電極が前記高電圧パルス発生装置に搭載さ
れる磁気パルス圧縮回路の出力端に接続された露光用フ
ッ素レーザ装置であって、前記高電圧パルス発生装置が
発生する極性が反転する1パルスの放電振動電流波形の
始めの半周期と、それに続く少なくとも2つの半周期に
よってレーザ発振動作をする露光用フッ素レーザ装置に
おいて、前記磁気パルス圧縮回路の最終段のコンデンサ
の容量が15nF以下、ピーキングコンデンサの容量が
2〜8nF、前記ピーキングコンデンサと前記一対の放
電電極とが形成する回路ループのインダクタンスが3〜
8nH、前記一対の放電電極間距離が8〜18mm、前
記バッファーガスのレーザチェンバ内圧力が2.5〜4
気圧であるとき、前記レーザガス中のバッファーガスを
構成する少なくとも1種類以上の希ガスとしてネオンを
含み、放電開始までの電圧立ち上がり時間をTd(n
s)、ピーキングコンデンサの容量をCp(F)とした
とき、 Td<33√( Cp×109 ) ・・・(5) の関係を満たすように構成したので、放出されるレーザ
光が低ピークパワー、ロングパルス化され、露光用光源
として相応しいフッ素レーザ装置を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光用フッ素レーザ装置の原理を説明
するための波形図である。
【図2】本発明の露光用フッ素レーザ装置の構成例を示
す図である。
【図3】本発明に基づく一例のフッ素レーザ励起回路を
示す回路図である。
【図4】He/Ne混合バッファーガスにおいて、混合
比Ne/(Ne+He)を変えた場合の放電電流波形の
例を示す図である。
【図5】図4の放電電流において得られたレーザ発振パ
ルス波形を示す図である。
【図6】He/Ne混合バッファーガスにおいて、混合
比Ne/(Ne+He)を変えた場合のレーザ出力とレ
ーザ発振パルス幅の例を示す図である。
【図7】ピーキングコンデンサの容量を変えた場合のブ
レークダウンが発生するまでの放電立ち上がり時間に対
するレーザ出力エネルギー特性を示す図である。
【図8】立ち上がり時間の定義を説明するための図であ
る。
【図9】放電立ち上がり時間に対するブレークダウン電
圧特性の一例を示す図である。
【図10】レーザ出力エネルギーを変えた場合のピーキ
ングコンデンサの容量と立ち上がり時間の関係を調べた
結果を示す図である。
【図11】出力鏡反射率を変えた場合のレーザ出力及び
レーザ発振パルス幅の関係を調べた結果を示す図であ
る。
【図12】バッファーガスとしてキセノンを添加した場
合及び添加しなかった場合における繰り返し周波数とレ
ーザ出力の関係を調べた結果を示す図である。
【図13】レーザパルス幅について説明するための図で
ある。
【符号の説明】
1…レーザチェンバ 2…放電電極 3…高電圧パルス発生装置 4…ファン 5…狭帯域化モジュール 6…出力鏡 7…ビームサンプラー 8…波形検出手段 9…パルス幅算出手段 10…コロナ予備電離部 11…コロナ予備電離第1電極 12…誘電体チューブ 13…コロナ予備電離第2電極 SL0…固体スイッチ保護用磁気スイッチ SL1…第1の磁気スイッチ SL2…第2の磁気スイッチ HV…高電圧電源 L1…インダクタンス SW…固体スイッチ C0…主コンデンサ C1…第1のコンデンサ C2…第2のコンデンサ Cp…ピーキングコンデンサ Cc…予備電離用コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01S 3/223 H01S 3/223 Z (72)発明者 斉藤 隆志 栃木県小山市横倉新田400 ギガフォトン 株式会社 Fターム(参考) 2H097 BA02 CA13 LA10 5F046 CA04 DA27 DA30 DB03 5F071 AA04 BB01 CC06 CC10 EE04 GG05 JJ10 5F072 AA04 GG05 JJ20 KK01 YY09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種類以上の希ガスからなる
    バッファーガスとフッ素ガスとからなるレーザガスが封
    入されたレーザチェンバと、このレーザチェンバ内に配
    置された一対のレーザ放電電極と、その一対のレーザ放
    電電極と並列に接続されたピーキングコンデンサと、前
    記レーザチェンバ内で高電圧パルス放電を発生させて前
    記レーザガスを励起してレーザ光を放出させるための高
    電圧パルス発生装置とを有し、前記一対のレーザ放電電
    極が前記高電圧パルス発生装置に搭載される磁気パルス
    圧縮回路の出力端に接続された露光用フッ素レーザ装置
    であって、前記高電圧パルス発生装置が発生する極性が
    反転する1パルスの放電振動電流波形の始めの半周期
    と、それに続く少なくとも2つの半周期によってレーザ
    発振動作をする露光用フッ素レーザ装置において、 前記磁気パルス圧縮回路の最終段のコンデンサの容量が
    15nF以下、ピーキングコンデンサの容量が2〜8n
    F、前記ピーキングコンデンサと前記一対の放電電極と
    が形成する回路ループのインダクタンスが3〜8nH、
    前記一対の放電電極間距離が8〜18mm、前記バッフ
    ァーガスのレーザチェンバ内圧力が2.5〜4気圧であ
    るとき、 前記レーザガス中のバッファーガスを構成する少なくと
    も1種類以上の希ガスとしてネオンを含み、 放電開始までの電圧立ち上がり時間をTd(ns)、ピ
    ーキングコンデンサの容量をCp(F)としたとき、 Td<33√( Cp×109 ) ・・・(5) の関係を満たすことを特徴とする露光用フッ素レーザ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記ネオンガス濃度が50%以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の露光用フッ素レーザ装
    置。
  3. 【請求項3】 前記バッファーガスが少なくともネオン
    ガス並びにキセノンガスの混合ガスであって、前記キセ
    ノンガス濃度が5〜15ppmであることを特徴とする
    請求項1又は2記載の露光用フッ素レーザ装置。
  4. 【請求項4】 前記レーザチャンバを内部に含むように
    配置された光共振器の出力鏡の反射率が30%以上であ
    ることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の
    露光用フッ素レーザ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005148550A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Gigaphoton Inc 光学的パルス伸長器および露光用放電励起ガスレーザ装置
JP2005148549A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Gigaphoton Inc 光学的パルス伸長器および露光用放電励起ガスレーザ装置
JP2017503344A (ja) * 2013-12-17 2017-01-26 ケーエルエー−テンカー コーポレイション サブ200nmレーザ励起等核エキシマレーザ

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