JPH09103494A - イオントフォレシス用薬物溶解液 - Google Patents

イオントフォレシス用薬物溶解液

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JPH09103494A
JPH09103494A JP16853396A JP16853396A JPH09103494A JP H09103494 A JPH09103494 A JP H09103494A JP 16853396 A JP16853396 A JP 16853396A JP 16853396 A JP16853396 A JP 16853396A JP H09103494 A JPH09103494 A JP H09103494A
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JP
Japan
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drug
solution
interface
iontophoresis
acid
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Application number
JP16853396A
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Yasuyuki Suzuki
康之 鈴木
Katsumi Iga
勝美 伊賀
Yukihiro Matsumoto
行浩 松本
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオントフォレシスにおいて、水分の蒸散を
抑制し長時間に亘って通電性を確保し、薬物を高い生物
学的利用率及び高い再現性で経皮吸収させる。 【解決手段】 多孔質マトリックスで構成されたインタ
ーフェイスに保持又は担持された薬物を、保湿剤を含有
する薬物溶解液で溶解し、イオントフォレシスにより薬
物を経皮的に透過させる。保湿剤には、グリセリンなど
の多価アルコール、糖アルコール、プロリンなどのアミ
ノ酸、酸性ムコ多糖などが含まれる。保湿材の濃度は1
〜50重量%程度から選択でき、プロリンなどのアミノ
酸又はその塩の濃度は1〜30重量%程度である。薬物
には、(1)分子量100〜30000の生理活性ペプ
チド又は蛋白質、(2)分子量100〜1000の非ペ
プチド性生理活性化合物、または(3)核酸が含まれ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオントフォレシ
ス用インターフェイス(皮膚接触体)の薬物を溶解し、
経皮的に透過させる上で有用なイオントフォレシス用薬
物溶解液、この溶解液を用いた薬物の経皮吸収促進方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】イオントフォレシス(Iontophoresis) は
外的刺激に電気を用いた経皮吸収促進システムであり、
その原理は、主に通電により陽極及び陰極間に生じた電
界中を、正にチャージした分子が陽極から陰極へ、負に
チャージした分子が陰極から陽極へ移動する力に基づい
て、薬物分子の皮膚バリヤー通過を促進することにある
[ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Jour
nal of Contorolled Release)18巻、1992年、2
13〜220頁;アドバンスト・ドラッグ・デリバリー
・レビュー(Advanced Drug Delivery Review)9巻、
1992年、119頁;ファルマシュウティカル・リサ
ーチ(Pharmaceutical research)3巻、1986年、3
18〜326頁参照]。
【0003】最近の合成技術、遺伝子工学の進歩によ
り、天然に存在するペプチド又は蛋白質、若しくはこれ
らのアミノ酸組成を変化させたペプチド又は蛋白質や、
化学的に修飾した誘導体が、純粋にかつ大量に生産され
るようになり、これらのペプチド又は蛋白質の医薬品と
しての応用が期待されている。一方、これらのペプチド
や蛋白質に関する研究が進むにつれて、多様な生理活性
が微妙で複雑な体内動態によって生理的にコントロール
されていることが理解されるようになり、これらのペプ
チドや蛋白質を、限定された疾病において薬効を最大限
に発揮させるとともに副作用を最小限に抑制するために
は、厳密な投薬コントロールに対応できるシステムが要
求されるようになってきた。例えば、カルシトニンは骨
吸収を抑制することにより骨量の減少を抑制する作用を
有し、骨粗鬆症やページェット病などの治療に用いられ
るが、過剰な投与は食欲不振などの副作用の原因となる
ものの、治療効果をあげるためには繰り返し頻回投与が
必要である。さらにペプチドの中には投与方法によって
異なる薬効を発現するものもある。例えば、副甲状腺ホ
ルモンは骨吸収作用と骨形成促進作用の相反する作用を
有しているが、低速静注では骨吸収促進作用が、皮下注
頻回投与では骨形成促進作用が強く発現することが知ら
れている。そのため、副甲状腺ホルモンの骨形成作用を
期待して骨粗鬆症に治療薬として用いるためには、徐放
タイプではなくパルス放出タイプの製剤でなければなら
ない。
【0004】ところが、このような生理活性ペプチド又
は蛋白質は、一般に、胃腸管内で消化液によって分解さ
れたり、消化管壁の分解酵素によって加水分解されるた
め、吸収効率を高めることが困難である。そのため、こ
れらの生理活性ペプチド又は蛋白質は、経口投与では十
分な薬効を期待できず、通常、注射による投与が行われ
ている。しかし、注射剤は、患者に与える苦痛が大き
く、また、自己投与ができないため患者には大きな負担
となる。特に、前記のカルシトニンや副甲状腺ホルモン
のような繰り返し連続投与を要求される場合はなおさら
である。
【0005】製薬分野において、このような生理活性ペ
プチドや蛋白質の投与に対応できる新しい薬物送達シス
テム(ドラッグデリバリーシステム)として、イオント
フォレシスが精力的に研究がされている。すなわち、従
来は注射剤としてのみ投与可能であった薬物を、イオン
トフォレシスを利用して患者自身が自己投与できる製剤
として開発すれば在宅治療への道が開けることになる。
また、通電時間の精密な制御により、任意の吸収パター
ンを構築でき、特に内因性化合物の補充療法において
は、生体のサーカディアンリズムを考慮して、より効果
的な薬物治療が実現できると考えられる。
【0006】このような利点を有するイオントフォレシ
スを利用した投与システムでは、通常、電圧を印加する
ための電極と、この電極と導通可能であるとともに皮膚
に対して接触可能な薬物担持膜(皮膚接触体としてのイ
ンターフェイス)と、対照電極とが使用される。薬物担
持膜に担持された薬物は、前記薬物担持膜に対して接触
可能なスペーサーに含有された薬物溶解液により溶解さ
れる。薬物担持膜、および薬物溶解液を含有するスペー
サーで構成されたイオントフォレシス用インターフェイ
スは、小型で高い薬物吸収性を有する。しかし、前記イ
ンターフェイスを用いると、通電中の薬物溶解液の蒸散
などにより、皮膚接触面および薬物担持膜中で水分量が
低減し、通電性が低下する。そのため、このタイプのイ
ンターフェイスを用いたイオントフォレシスでは、イン
ターフェイスの長時間貼付により十分な薬物の経皮吸収
が得られない。従って、溶解液の蒸散を抑えることによ
り、通電性を長時間にわたって維持でき、イオントフォ
レシスによる十分な薬物の経皮吸収が得られると考えら
れる。
【0007】WO 93/25168号公報には、経皮
的に薬物を送達するシステム(ドラッグデリバリーシス
テム)において、薬物とグリセリン0.1〜50%(v/
v)とを含む経皮吸収剤(薬物組成物)を用い、経皮吸
収の初期バーストを抑制することが開示されている。こ
の文献には、薬物組成物の形態は、ゲル、クリームなど
であり、薬物組成物は、適用部位に保持させるため接着
剤などを含んでよいことが記載されている。WO 90
/08571号公報には、イオントフォレシス用インタ
ーフェイスの薬物層を、硬質多孔性材料やゲル剤と、柔
軟可塑剤としての水やグリセリンなどの多価アルコール
類とを使用して形成することが開示されている。WO
93/10163号公報には、ポリエチレンオキサイド
などの架橋性水溶性ポリマーと、グリセリン,プロピレ
ングリコールなどの保湿剤約1〜40重量%と、架橋促
進剤とを含む水性組成物に放射線を照射し、親水性ゲル
を調製する方法が開示されている。この文献には、前記
親水性ゲルをパッチや電極構成体(electrode assembl
y)に利用することも記載されている。しかし、これら
の文献には、イオントフォレシスにおける溶解液中の水
分の揮散を抑えるため、多価アルコールやアミノ酸を使
用することは開示されていない。また、これらの薬物組
成物,薬物層や親水性ゲルを用いて、イオントフォレシ
スにより薬物を経皮的に投与すると、通電に伴って皮膚
刺激が高くなる場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、イオントフォレシスを利用する薬物投与システムに
おいて、薬物溶解液からの水分の蒸散を抑制し長時間に
わたって通電性を確保する上で有用な薬物溶解液を提供
することにある。本発明の他の目的は、薬物を高い生物
学的利用率及び高い再現性で経皮吸収させる上で有用な
薬物溶解液を提供することにある。本発明のさらに他の
目的は、イオントフォレシスでの通電に伴う皮膚刺激を
緩和できる薬物溶解液を提供することにある。本発明の
さらに他の目的は、前記薬物溶解液を用いたイオントフ
ォレシス用インターフェイスおよび薬物投与システムを
提供することにある。本発明の別の目的は、インターフ
ェイスに担持された薬物の経皮吸収を有効かつ確実に促
進できる経皮吸収促進方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討したところ、イオントフォレシ
ス用インターフェイスにおいて、薬物溶解液に保湿剤を
配合すると、通電性を長時間に亘って維持でき、著しく
高い生物学的利用効率で再現性よく薬物を経皮的に投与
できることを見いだし、さらに鋭意研究を重ねた結果、
本発明を完成した。
【0010】すなわち、(1)本発明の薬物溶解液は、
薬物を保持又は担持する多孔質マトリックスで構成され
たインターフェイスを用い、イオントフォレシスによ
り、薬物を経皮的に透過させるための溶解液であって、
保湿剤を含有している。前記保湿剤には、多価アルコー
ル、糖アルコール、アミノ酸および酸性ムコ多糖から選
択された少くとも一種が含まれる。多価アルコールは、
分子中に2ないし4個のヒドロキシル基を有する多価ア
ルコール、例えば、グリセリンであってもよい。アミノ
酸は、含窒素複素環、例えば、非芳香族性含窒素5員複
素環を有するアミノ酸(例えば、プロリン,オキシプロ
リンなど)であってもよい。保湿剤の濃度は適当に選択
でき、例えば、多価アルコールの濃度は10〜50重量
%程度、アミノ酸の濃度は1〜30重量%程度の範囲か
ら選択できる。前記薬物には、生理活性ペプチドもしく
は蛋白質、または非ペプチド性生理活性化合物が含まれ
る。
【0011】本発明は、(2)薬物を保持又は担持する
多孔質マトリックスと、保湿剤とを含んでなるイオント
フォレシス用インターフェイス、(3)皮膚に対して接
触可能であるとともに、薬物を保持又は担持するマトリ
ックスを含むインターフェイスと、前記薬物を溶解する
ための保湿剤含有溶解液と、この溶解液をインターフェ
イスに供給するための供給手段とを備え、前記溶解液に
より溶解した薬物を、イオントフォレシスにより、経皮
的に吸収させる経皮吸収システムも開示する。前記イン
ターフェイスやシステムにおいて、マトリックスは、非
ゲル状で多孔質のシート状マトリックスであってもよ
い。また、少くとも通電域に保湿剤を保持させればよ
い。さらに本発明は、(4)電圧が印加可能な電極と、
この電極と導通可能であり、かつ皮膚に対して接触可能
であるとともに、薬物が保持又は担持されたインターフ
ェイスとを備え、前記薬物を溶解するための保湿剤含有
水溶液が供給可能なアプリケーターをも開示する。本発
明は、(5)インターフェイスの少くとも通電部位に薬
物および保湿剤を保持させることにより、イオントフォ
レシス用インターフェイスによる薬物の経皮吸収を促進
する方法として有用である。本明細書において、アミノ
酸、ペプチドなどに関する略号は、IUPAC−IUB
コミッション・オン・バイオケミカル・ノーメンクレ
ーチャー(Commission on Biochemical Nomenclature)
による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づ
く。また、アミノ酸の光学的異性体があり得る場合、特
に明示しない限り、L体を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、必要に応じて図面を参照
しつつ本発明を詳細に説明する。本発明の薬物溶解液に
含まれる保湿剤は、薬物溶解液からの水分の蒸散を抑制
し、皮膚表面,インターフェイスの皮膚接触面および薬
物保持体中で水分を保留し、皮膚に対して悪影響を及ぼ
さない物質であれば特に制限されない。保湿剤には、例
えば、(1)多価アルコール,(2)糖アルコール,
(3)アミノ酸,(4)酸性ムコ多糖などが含まれる。
これらの保湿剤は単独で又は二種組合わせて使用でき
る。
【0013】(1)多価アルコールには、例えば、グリ
セリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、ペンタエリスリトール、
ポリエチレングリコール、これらの多価アルコールにエ
チレンオキサイドが付加した付加体(例えば、ジオキシ
エチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、
ポリオキシエチレングリコール、エチレンオキサイド−
プロピレンオキサイド共重合体,グリセリン−エチレン
オキサイド付加体、ペンタエリスリトール−エチレンオ
キサイド付加体など)が含まれる。これらの多価アルコ
ールは単独で又は二種以上混合して使用できる。好まし
い多価アルコールには、分子中に2ないし4個のヒドロ
キシル基を有する多価アルコール,特にグリセリンが含
まれる。
【0014】(2)糖アルコールには、例えば、キシリ
トールなどのペンチトール、ソルビトール、マンニトー
ル、ガラクチトールなどのヘキシトールなどが含まれ
る。これらの糖アルコールも単独で又は二種以上混合し
て使用できる。
【0015】(3)アミノ酸には、例えば、(i)蛋白
質を構成するアミノ酸,(ii)微生物代謝産物あるいは
動植物成分として天然界から得られるアミノ酸,(ii
i)有機合成法によって得られるアミノ酸などが含まれ
る。 (i)蛋白質を構成するアミノ酸としては、例えば、グ
リシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンな
どの脂肪族モノアミノモノカルボン酸、セリン、スレオ
ニン等の脂肪族オキシアミノ酸、アスパラギン酸、グル
タミン酸などの酸性のアミノ酸、アスパラギン、グルタ
ミンなどの酸性のアミノ酸アミド、フェニルアラニン、
チロシン、トリプトファンなどの芳香族アミノ酸、プロ
リン、ヒドロキシプロリンなどのピロリジン環を有する
アミノ酸、ピログルタミン酸(ピロリドンカルボン酸)
などのピロリドン環を有するアミノ酸、アルギニン、リ
ジン、ヒスチジンなどの塩基性のアミノ酸、メチオニ
ン、シスチン、システインなどの硫黄含有アミノ酸など
が含まれる。これらのアミノ酸も単独で又は二種以上混
合して使用できる。
【0016】(ii)微生物代謝産物あるいは動植物成分
として天然界から得られるアミノ酸としては、例えば、
L−α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アミノイソ
酪酸、β−アラニン、ホモセリン、α−メチル−D−セ
リン、O−カルバミル−D−セリン、δ−ハイドロキシ
−γ−オキソ−ノルバリンなどの脂肪族モノアミノモノ
カルボン酸、L−α−アミノアジピン酸、L−β−アミ
ノアジピン酸、L−テアニン、L−γ−メチレングルタ
ミン酸、L−γ−メチルグルタミン酸などのモノアミノ
ジカルボン酸、L−オルニチン、β−リジン、α,β−
ジアミノプロピオン酸、L−α,γ−ジアミノ酪酸など
のジアミノモノカルボン酸、ジアミノピメリン酸などの
ジアミノジカルボン酸、システイン酸などの含スルホン
酸モノアミノモノカルボン酸、タウリンなどの含スルホ
ン酸アミノ酸、キヌレニン、3,4−ジオキシフェニル
−L−アラニンなどの芳香族アミノ酸、2,3−ジカル
ボキシアジリヂン、[S]−2−アミノ−3−(イソキ
サゾリン−5−オン−4−イル)−プロピオン酸、アン
チカプシンなどの複素環アミノ酸、L−4−オキサリジ
ン、L−4−オキソリジン、[3R,5R]−3,6−
ジアミノ−5−ハイドロキシヘキサン酸などの塩基性の
アミノ酸、ランチオニン、S−メチル−L−システイン
などの含硫黄アミノ酸、ピペコリン酸、アゼチジン−2
−カルボン酸、[1R,2S]−2−アミノシクロペン
タン−1−カルボン酸などの環状アミノ酸、シトルリ
ン、アラノシン、L−アザセリンなどの特殊官能基置換
アミノ酸などが例示できる。
【0017】(iii)有機合成法によって得られるアミ
ノ酸には、例えば、トリメチルグリシン、6−アミノヘ
キサン酸、8−アミノオクタン酸、12−アミノドデカ
ン酸などの脂肪族アミノカルボン酸、4−アミノ安息香
酸、4−(アミノメチル)安息香酸、4−(N−(カル
ボキシメチル)アミノメチル)安息香酸などの芳香族ア
ミノカルボン酸などが含まれる。
【0018】アミノ酸は塩として使用してもよい。アミ
ノ酸の塩には、例えば、塩基[アンモニア、アルカリ金
属(例えば、ナトリウム、カリウムなど)などの無機塩
基、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの有機塩
基]との塩、酸[塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機
酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸など
の有機酸]との塩が含まれる。
【0019】好ましいアミノ酸には、含窒素複素環を有
するアミノ酸(例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン
などのピロリジン環を有するアミノ酸、ピロリドンカル
ボン酸、ヒスチジン,トリプトファンなどの蛋白質を構
成するアミノ酸)又はその塩が含まれる。特に非芳香族
性含窒素5員複素環を有するアミノ酸(例えば、プロリ
ン、ヒドロキシプロリンなどのピロリジン環を有するア
ミノ酸、ピロリドンカルボン酸など)又はその塩が含ま
れる。 (4)酸性ムコ多糖には、例えば、ヒアルロン酸、コン
ドロイチン硫酸などの他、それらの塩[例えば、アルカ
リ金属(ナトリウム、カリウムなど)などとの塩)]な
どが含まれる。
【0020】これらの保湿剤のうち、多価アルコール
(特にグリセリン)、アミノ酸又はその塩(特にプロリ
ンなどの含窒素複素環を有するアミノ酸)が好ましい。
アミノ酸(特にプロリンなどの含窒素複素環を有するア
ミノ酸)又はその塩を用いると、通電に伴う皮膚刺激性
を大きく低減できるとともに、時間的に間隔をおいて複
数回経皮吸収させるとき、第1回目の通電に後続する通
電時の通電量を高めることができ、経皮吸収効率を改善
できる。
【0021】水溶液で構成された薬物溶解液中の保湿剤
の含量は、保湿剤の種類に応じて、薬物溶解液からの水
分の蒸散を抑制し、皮膚表面および薬物保持体中で水分
を保留できる範囲から適当に選択でき、例えば、溶解液
の量に対し、1〜90重量%、好ましくは1〜80重量
%、さらに好ましくは1〜50重量%程度の範囲から選
択できる。前記保湿剤のうちアミノ酸又はその塩は、少
量であっても高い保湿性を確保できる。より具体的に
は、保湿剤がグリセリンなどの多価アルコールである場
合、薬物溶解液中の保湿剤の含量は、例えば、5〜50
重量%(例えば、10〜50重量%)、好ましくは20
〜40重量%程度であり、保湿剤がアミノ酸又はその塩
である場合、薬物溶解液中の保湿剤の含量は、例えば、
1〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、さらに好
ましくは10〜20重量%程度である。
【0022】イオントフォレシス用インターフェイスを
構成する薬物保持体(マトリックス)としては、皮膚に
対して接触可能であるとともに、薬物を保持又は担持で
き、薬物が透過可能な種々の多孔質又は毛細管構造を有
する非ゲル状部材(以下、単に多孔質体という場合があ
る)が用いられる。このような多孔質体としては、有機
多孔質体(例えば、セルロースなどの天然繊維、セルロ
ースアセテートなどの半合成繊維、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維な
どで形成された繊維集合体、紙などのシート、織布や不
織布などの布、多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリスチ
レン、多孔質ポリメタクリル酸メチル、多孔質ナイロ
ン、多孔質ポリスルフォン、多孔質フッ素樹脂などの多
孔質合成樹脂など)などが用いられる。
【0023】多孔質体の形状は、特に制限されないがシ
ート状である場合が多い。シート状多孔質体の厚みは、
薬物の保持量などに応じて適当に選択でき、例えば、約
1〜約500μm、好ましくは約10〜約200μmで
ある。また、多孔質体は非変形性であってもよいが、柔
軟性や可撓性を有する場合が多い。
【0024】シート状多孔質体の面積は、薬物の保持量
などに応じて適当に選択でき、例えば、約1〜10cm
2 、好ましくは約2〜8cm2 である。
【0025】シート状多孔質体の気孔径は、薬物の保持
量、放出性などを損わない範囲から適当に選択でき、例
えば、平均孔径0.01〜20μm、好ましくは約0.
1〜20μm(例えば、約0.2〜20μm)であり、
約1〜10μmである場合が多い。
【0026】薬物を保持又は担持する非ゲル状多孔質体
で構成されたインターフェイスを皮膚接触面に配する
と、マトリックス(多孔質体)を介して、薬物溶液で薬
物を溶解し、薬物を有効かつ再現性よく経皮的に吸収さ
せることができる。前記インターフェイスを通じて投与
される薬物は経皮吸収可能であるとともに水溶性である
限り特に制限されず、種々の生理活性ペプチドもしくは
蛋白質、核酸または低分子量の非ペプチド性生理活性化
合物が使用できる。生理活性ペプチド、蛋白質または核
酸の分子量は、例えば、100〜30000(好ましく
は200〜20000、さらに好ましくは500〜10
000、特に500〜8000)程度であり、低分子量
の非ペプチド性生理活性化合物の分子量は、例えば、約
1000以下(例えば、100〜1000)である。
【0027】生理活性ペプチドとしては、例えば、次の
ようなペプチドが挙げられる。黄体形成ホルモン放出ホ
ルモン(LH-RH),LH-RHと同様な作用を有する誘導体、
例えば、ナファレリン及び下記式(I): (Pyr) Glu-R1-Trp-Ser-R2-R3-R4-Arg-Pro-R5 (I) [式中、R1 は His, Tyr, Trp または p-NH2-Phe、R2
は Tyr または Phe、R3は Gly または D型のアミノ酸残
基、R4 は Leu, Ile または Nle、R5 は Gly-NH-R6 (R
6 は水素原子または水酸基を有していてもよい低級アル
キル基)またはNH-R6 (R6 は前記と同意義)を示す]
で表されるポリペプチド又はその塩(米国特許第385
3837号明細書、同第4008209号明細書、同第
3972859号明細書、英国特許第1423083号
明細書、プロシーデイングス・オブ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンス(Rroceedings of the Natio
nal Academy of Science)第78巻、6509〜651
2頁(1981年)参照]。前記式(I)において、R
3 で表されるD型のアミノ酸残基としては、例えば、炭
素数9までのα−D−アミノ酸(例えば、D−Leu,
Ile,Nle,Val,Nval,Abu,Phe,
Phg,Ser,Thr,Met,Ala,Trp,α
−Aibu)などが挙げられ、これらのアミノ酸は、保
護基(例えば、t−ブチル、t−ブトキシ、t−ブトキ
シカルボニル基など)を有していてもよい。R6 で表さ
れる低級アルキル基には、例えば、炭素数1〜6程度の
アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、t−ブチル基など)などが挙げられ
る。なお、前記式(I)で表されるペプチドの塩(例え
ば、酸との塩)、金属錯体化合物もペプチド(I)と同
様に使用できる。前記式(I)で表されるポリペプチド
において、R1 =His,R2 =Tyr,R3 =D−L
eu,R4 =Leu,R5 =NHCH2−CH3であるポ
リペプチド(TAP−144)が好ましい。
【0028】LH−RH拮抗物質、例えば、下記式(I
I): N-α-t-ブトキシカルボニル-O-ベンジル-Ser-Trp-Ser-Tyr-X1 -Leu-Arg-Pro -GlyNH2 (II) (式中、X1 は D-Ser 又は D-Trp を示す)で表される
ポリペプチド又はその塩(米国特許第4086219号
明細書、同第4124577号明細書、同第42539
97号明細書、同第4317815号明細書参照)。
【0029】GPIIb/IIIa拮抗作用を有する蛇
毒ペプチド、例えば、バルブリン(barbourin)、Ar
g−Gly−Asp配列を有するペプチド、例えば、A
rg−Gly−Asp−Ser,Gly−Arg−Gl
y−Asp−Ser−Pro,SK&F−106760
(シクロ−S,S−[Ac−Cys(Nα−メチル)A
rg−Gly−D−Asn−ペニシラミン]−N
2)、さらに同様の活性を有するペプチド様化合物、
例えば、(S)−4−[(4−アミジノベンゾイル)グ
リシル]−3−メトキシ−カルボニルメチル−2−オキ
ソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−グアニジ
ノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グア
ニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペ
ラジン−1−酢酸・HCl、MK−383(2−S−
(n−ブチルスルホニルアミノ)−3−[4−(N−ピ
ペリジン−4−イル)ブチルオキシフェニル)]−プロ
ピオン酸・HCl)、L−700462(L−Tyr−
N−(ブチルスルホニル)−O−[4−(ピペリジニ
ル)ブチル]モノハイドロクロライド)、SC−564
84(エチル[[4−(アミノイミノメチル)フェニ
ル]アミノ]−1,4−ジオキシブチル]アミノ−4−
ペンチノエート)、Ro−44−9883([1−[N
−(p−アミジノフェニル)−L−Tyr]−4−ピペ
リジニル]酢酸)、DMP728(サイクリック[D−
2−アミノブチリル−N−2−メチル−L−Arg−G
ly−L−Asp−3−アミノメチル−安息香酸]メタ
ンスルホン酸塩)。
【0030】さらに、インスリン;ソマトスタチン、ソ
マトスタチン誘導体、例えば、下記式(III):
【0031】
【化1】 [式中、Y は D-Ala, D-Ser または D-Val,Z は Asn
または Ala を示す]で表されるポリペプチド又はその
塩(米国特許第4087390号明細書、同第4093
574号明細書、同第4100117号明細書、同第4
253998号明細書参照)、成長ホルモン、成長ホル
モン放出ホルモン(GRH);プロラクチン;副腎皮質刺激
ホルモン(ACTH);メラノサイト刺激ホルモン(MSH);甲
状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、その誘導体、例
えば、下記式(IV):
【0032】
【化2】 [式中、Xa は4〜6員複素環基を、Ya はイミダゾー
ル−4−イルまたは4−ヒドロキシフェニル基を、Za
はCH2またはSを、R1a,R2aは同一または異なって
水素原子又は低級アルキル基を、R3aは水素原子または
置換基を有していてもよいアラルキル基を示す]で表さ
れる化合物又はその塩(特開昭50−121273号公
報、特開昭52−116465号公報参照)。
【0033】甲状腺刺激ホルモン(TSH);黄体形成
ホルモン(LH);卵胞刺激ホルモン(FSH);副甲
状腺ホルモン(PTH)、副甲状腺ホルモンと同様な作
用を有する誘導体、例えば、下記式(V) R1b-Val-Ser-Glu-Leu-R2b-His-Asn-R3b-R4b-R5b-His-Leu-Asn-Ser-R6b-R7b-Ar g-R8b-Glu-R9b-Leu-R10b-R11b-R12b-Leu-Gln-Asp-Val-His-Asn-R13b (V) [式中、R1bは Ser または Aib 、R2bは Met 又は天
然型の脂溶性アミノ酸、R3bは Leu, Ser, Lys 又は
芳香族アミノ酸、R4bは Gly 又はD−アミノ酸、R5b
は Lys 又は Leu、R6bは Met 又は天然型の脂溶性アミ
ノ酸、R7bは Glu又は塩基性アミノ酸、R8bは Val 又
は塩基性アミノ酸、R9bは Trp 又は2−(1,3−ジ
チオラン−2−イル)Trp、R10bは Arg 又は His、R
11bは Lys 又は His、R12bは Lys, Gln 又は Leu、R
13bは Phe 又は Phe-NH2を示す]で表されるペプチド又
はその塩(特開平5−32696号公報、特開平4−2
47034号公報、ヨーロッパ特許公開第510662
号公報、ヨーロッパ特許公開第477885号公報、ヨ
ーロッパ特許公開第539491号公報参照)、ヒト型
PTHのN末端(1→34位)のペプチドフラグメント
(以下、hPTH(1→34)と称する)(ジー・ダブ
リュー・トレギアー(G.W. Tregear)ら,エンドクリノ
ロジー(Endocrinology), 93, 1349-1353 (1973));
バソプレシン、バソプレシン誘導体{デスモプレシン
[日本内分泌学会雑誌、第54巻,第5号,第676頁
〜第691頁(1978)]参照}など。
【0034】オキシトシン;カルシトニン、カルシトニ
ンと同様な作用を有する誘導体、例えば、下記式(V
I):
【0035】
【化3】 [式中、Xbは2−アミノスベリン酸]で表される化合物
又はその塩[エンドクリノロジー(Endocrinology)19
92,131/6(2885−2890)参照];グル
カゴン;ガストリン;セクレチン;パンクレオザイミ
ン;コレシストキニン;アンジオテンシン;ヒト胎盤ラ
クトーゲン;ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)。
【0036】エンケファリン、エンケファリン誘導体、
例えば、下記式(VII):
【0037】
【化4】 [式中、R1cとR3cは水素原子または炭素数1〜6のア
ルキル基、R2cは水素原子またはD-α−アミノ酸の残
基、R4cは水素原子または置換されていてもよい炭素数
1〜8の脂肪族アシル基を示す]で表されるペプチド又
はその塩(米国特許第4277394号明細書、ヨーロ
ッパ特許出願公開第31567号公報参照)などのオリ
ゴペプチドおよびエンドルフィン。
【0038】キョウトルフィン;インターフェロン(α
型,β型,γ型);インターロイキン(IからXIな
ど);タフトシン;サイモポイエチン;サイモスチムリ
ン;胸線液性因子(THF);血中胸線因子(FTS)
およびその誘導体、例えば、下記式(VIII): PGlu-Xd-Lys-Ser-Gln-Yd-Zd-Ser-Asn-OH (VIII) [式中、XdはL-またはD-Ala,YdおよびZdは各々Gly ま
たは炭素数3〜9のD-アミノ酸残基を示す]で表される
ペプチド又はその塩(米国特許第4229438号明細
書参照);およびその他の胸線ホルモン[例えば、サイ
モシンα1およびβ4,サイミックファクターXなど、医
学のあゆみ、第125巻、第10号、835頁−843
頁(1983年)]。
【0039】腫瘍壊死因子(TNF);コロニー誘発因
子(CSF);モチリン;デイノルフィン;ボムベシ
ン;ニュウロテンシン;セルレイン;ブラディキニン;
ウロキナーゼ;アスパラギナーゼ;カリクレイン;サブ
スタンスP;神経成長因子;血液凝固因子の第VIII因
子,第IX因子;塩化リゾチーム;ポリミキシンB;コリ
スチン;グラミシジン;バシトラシン;タンパク合成刺
激ペプチド(英国特許第8232082号明細書);胃
酸分泌抑制ポリペプチド(GIP);バソアクティブ・
インティスティナル・ポリペプチド[vasoactive intes
tinal polypeptide(VIP)];プレートレット−デ
ィライブド・グロース・ファクター[platelet-derived
growth factor(PDGF)];成長ホルモン分泌因子(GR
F,ソマトクリニン);ボーン・モルファジェネティッ
ク・プロテイン(born morphageneticprotein (BM
P));上皮成長因子(EGF);プレプロコーチスタチ
ン(Nature, Vol.381, 242-245, (1996));エリスロポ
エチンなど。
【0040】これらの生理活性ペプチドは、ヒト型であ
ってもよく、他の動物、例えば、ウシ、ブタ、ニワト
リ、サケ、ウナギ由来のものであってもよい。さらに
は、ヒトと前記動物由来のものとのキメラ体や、一部の
構造を変化させた活性誘導体であってもよい。例えば、
インスリンはブタ由来であってもよい。カルシトニンで
は、ブタ、ニワトリ、サケ、ウナギ由来のカルシトニ
ン、あるいはヒトとサケのキメラ体であって、下記式
(IX) Cys-Gly-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys-Met-Leu-Gly-Lys-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His- Lys-Leu-Gln-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly-Thr-Pro (IX) で表されるペプチド[エンドクリノロジー(Endocrinol
ogy)1992,131/6(2885−2890)参
照]などが用いられる。
【0041】好ましい薬物には、生理活性ペプチド類と
その誘導体、例えば、カルシトニン、副腎皮質刺激ホル
モン、副甲状腺ホルモン(PTH)、hPTH(1→3
4)、インスリン、セクレチン、オキシトシン、アンギ
オテンシン、β−エンドルフィン、グルカゴン、バソプ
レッシン、ソマトスタチン、ガストリン、黄体形成ホル
モン放出ホルモン、エンケファリン、ニューロテンシ
ン、心房性ナトリウム利尿ペプチド、成長ホルモン、成
長ホルモン放出ホルモン、ブラジキニン、サブスタンス
P、ダイノルフィン、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチ
ン、インターフェロン、インターロイキン、G−CS
F、グルタチオンパーオキシダーゼ、スーパーオキシド
ディスムターゼ、デスモプレシン、ソマトメジン、エン
ドセリン、およびこれらの塩などが含まれる。また、核
酸、オリゴヌクレオチドや各種の抗原蛋白質を用いるこ
とができる。
【0042】生理活性ペプチド又はその誘導体の塩に
は、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸などの無
機酸との塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール
酸、シュウ酸、琥珀酸、酒石酸、クエン酸、ベンゼンス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との
塩;カルシウム、マグネシウムなどの無機化合物との錯
塩などが含まれる。
【0043】非ペプチド性生理活性化合物には、分子量
が約1000以下であり、薬理活性を有する化合物が含
まれる。非ペプチド性生理活性化合物の種類は特に制限
されず、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗高脂血症剤、
循環器官用薬、血管収縮薬、抗血小板薬、抗腫瘍剤、解
熱,鎮痛,消炎剤、鎮咳去たん剤、鎮静剤、筋弛緩剤、
抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、
強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿
病治療剤、抗凝固剤、止血剤、抗結核剤、ホルモン剤、
麻薬拮抗剤、骨吸収抑制剤、骨形成促進剤、血管新生阻
害剤などが挙げられる。
【0044】抗生物質としては、例えば、ゲンタンマイ
シン、リビドマイシン、シソマイシン、塩酸テトラサイ
クリン、アンピシリン、セファロチン、セフォチアム、
セファゾリン、チエナマシン、スルファゼシンなどが例
示できる。抗真菌剤としては、例えば、2−[(1R,
2R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル−2−ヒド
ロキシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリア
ゾール−1−イル)プロピル]−4−[4−(2,2,
3,3−テトラフルオロプロポキシ)フェニル]−3
(2H,4H)−1,2,4−トリアゾロン、1−
[(1R,2R)−2−(2−フルオロフェニル)−2
−ヒドロキシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−
トリアゾール−1−イル)プロピル]−3−[4−
(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)フェニ
ル]−2−イミダゾリジノンなどが例示できる。抗高脂
血症剤としては、例えば、プラバスタチン、シンバスタ
チンなどが用いられる。循環器用剤としては、例えば、
塩酸デラプリルなどが用いられる。血管収縮薬として
は、例えば、プロスタグランジンE2、プロスタグラン
ジンFなどが用いられる。抗血小板薬としては、例え
ば、チクロピジン、シロスタゾール、リマプロスタッ
ト、アスピリンなどが例示できる。抗腫瘍剤としては、
例えば、塩酸ブレオマイシン、アクチノマシンD、マイ
トマシンC、アドリアマイシン、フルオロウラシルなど
が例示される。解熱,鎮痛,消炎剤としては、例えば、
サリチル酸ナトリウム、スルピリン、インドメタシンナ
トリウム、ハイドロモルフォン、塩酸モルヒネ、ブプレ
ノルフィン、フェンタニルなどが挙げられる。鎮咳去た
ん剤としては、例えば、塩酸エフェドリン、リン酸コデ
ィン、塩酸ピコペリダミンなどが挙げられる。
【0045】鎮静剤としては、例えば、塩酸クロルプロ
マジン、硫酸アトロピンなどが用いられる。筋弛緩剤と
しては、例えばメタンスルホン酸プリジノール、塩化ツ
ボクラリンなどが用いられる。抗てんかん剤としては、
例えば、フェニトインナトリウム、エトサクシミドなど
が挙げられる。抗潰瘍剤としては、例えば、メトクロプ
ロミドなどが用いられる。抗うつ剤としては、例えば、
イミプラミン、硫酸フェネルジンなどが用いられる。抗
アレルギー剤としては、例えば、塩酸ジフェニルヒドラ
ミン、塩酸トリペレナミン、塩酸クレミゾールなどが例
示される。強心剤としては、例えば、トランスパイオキ
ソカンファー、テオフィロールなどが用いられる。不整
脈治療剤としては、例えば、塩酸プロプラノール、塩酸
オキシプレノールなどが用いられる。血管拡張剤として
は、例えば、塩酸オキシフェドリン、塩酸トラゾリン、
硫酸バメタンなどが用いられる。降圧利尿剤としては、
例えば、ペントリニウム、ヘキサメトニウムブロミドな
どが用いられる。
【0046】糖尿病治療剤としては、例えば、グリミジ
ンナトリウム、グリピザイド、メトフォルミン、ピオグ
リタゾン、トログリタゾンなどが用いられる。抗凝血剤
としては、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられ
る。止血剤としては、例えば、メナジオン亜硫酸水素ナ
トリウム、アセトメナフトン、トラネキサム酸などが用
いられる。抗結核剤としては、例えば、イソニアジド、
エタンブトールなどが挙げられる。ホルモン剤として
は、例えば、βエストラジオール、テストステロン、コ
ハク酸プレドニゾロン、デキサメタゾン硫酸ナトリウ
ム、メチマゾールなどが挙げられる。麻薬拮抗剤として
は、例えば、酒石酸レバロルファン、塩酸ナロルフィン
などが用いられる。骨吸収抑制剤としては、例えば、
(硫黄含有アルキル)アミノメチレンビスフォスフォン
酸などが用いられる。骨形成促進剤としては、例えば、
(2R,4S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホス
ホリルメチル)フェニル[−1,2,4,5−テトラヒ
ドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オ
キソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミドなどが
挙げられる。
【0047】血管新生阻害剤としては、例えば、血管新
生抑制ステロイド[サイエンス(Science)第221
巻、719頁(1983年)参照]、フマギロール誘導
体[例えば、O−モノクロロアセチルカルバモイルフマ
ギロール、O−ジクロロアセチルカルバモイルフマギロ
ールなど(ヨーロッパ特許出願第357061号公報、
同359036号公報、同386667号公報、同41
52943号公報参考)]などが例示できる。
【0048】前記薬物は、例えば、注射用蒸留水、注射
用生理食塩水などを用いて水溶液とした後、薬物保持体
(多孔質体)に、慣用の方法、たとえば、含浸、噴霧、
塗布、滴下などの方法で適用し、乾燥することにより保
持又は担持させることができる。なお、薬物が生理活性
ペプチド又は蛋白質である場合、前記薬物を含む水溶液
には、例えば、二糖類(例えば、トレハロース、マルト
ース、マンニトール、イノシトールなど)を添加し、乾
燥状態での薬物の安定性を増大させてもよい。二糖類の
添加量は、例えば、0.1〜10mg/ml、好ましく
は1〜5mg/ml(例えば、1〜4mg/ml)程度
である。
【0049】マトリックス(薬物保持体)に保持された
薬物は、乾燥状態で保存することにより薬物の活性を維
持しつつ長期間保存できる。乾燥状態で薬物を保存する
には、具体的には、例えば、薬物を保持させた薬物保持
体をよく乾燥した後、水分透過性の小さなフィルム(例
えば、アルミニウム製フィルムなど)で真空密封包装す
る方法などが採用できる。さらに、乾燥状態を確実に維
持するため、乾燥剤(例えば、東海化学(株)製,「セ
ラム」などのゼオライト製乾燥剤、シリカゲル製乾燥剤
など)とともに、薬物を保持した薬物保持体を真空密封
包装してもよい。また、薬物が酸素により酸化分解する
場合、前記乾燥剤に加えて、酸素吸収剤(例えば、三菱
ガス化学(株)製,「エイジレス」)を同封してもよ
い。
【0050】マトリックス(薬物保持体)に対する薬物
の保持量は、薬物の種類、薬物保持体の種類、投与部位
などに応じて有効量であればよく、例えば、シート状薬
物保持体1cm2 当たり、約0.1〜100μg、好ま
しくは約0.5〜50μg(例えば、1〜50μg)程
度である。
【0051】さらに、本発明において、イオントフォレ
シス用インターフェイスは、前記のように薬物を保持す
る多孔質マトリックスで構成してもよく、薬物を保持又
は担持する多孔質マトリックスと、この多孔質マトリッ
クスに保持又は担持された保湿剤とで構成してもよい。
なお、薬物は必ずしもシート状マトリックス(薄膜保持
体など)に保持させる必要はなく、使用時に薬物を含む
溶液を保持体やその近傍に注入してもよい。この場合、
インターフェイスは、マトリックスと、このマトリック
スに保持又は担持された保湿剤とで構成することもでき
る。また、薬物溶解液に薬物を含有させてもよい。さら
に、薬物を溶解するための溶解液には、生理活性ペプチ
ドおよび蛋白質の吸着損失を防止するための適当な吸着
防止剤を含有させてもよい。吸着防止剤には、例えば、
アルブミン(例えば、牛血清アルブミン(BSA)、ヒ
ト血清アルブミン(HSA)などの血清アルブミン)、
ゼラチンなどの水溶性蛋白質;アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩(例えば、ナトリウム塩など)などのアニオン性
界面活性剤、C8-20アルキルトリメチルアンモニウムク
ロリド、C8-20アルキルトリメチルアンモニウムクロリ
ド、C8-20アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロ
リド(塩化ベンザルコニウム)(以下、BACと略称す
ることがある)、4−C1-10アルキルフェニルオキシエ
トキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド
(塩化ベンゼトニウムなど)などのカチオン性界面活性
剤、ツイーン(Tween)80などのノニオン界面活性剤
などの界面活性剤、あるいはアルカリ金属塩(例えば、
塩化ナトリウムなど)などが含まれる。吸着防止剤の含
有量は、例えば、溶解液の量に対して、0.00001
〜1%(w/w)、好ましくは0.0001〜0.5%
(w/w)、より好ましくは0.001〜0.1%(w
/w)程度である。また、薬物溶解液には、適当な吸収
促進剤(例えば、モノテルペン類、脂肪族グリセリド、
エイゾン(ネルソン社製)、リモネン、オレイン酸、ラ
ウリン酸、オクタノールなど)を含有させてもよい。吸
収促進剤の添加量は、例えば、溶解液の量に対して、
0.1〜80%(w/w)、好ましくは0.5〜50%
(w/w)、より好ましくは1〜30%(w/w)程度
である。
【0052】前記薬物保持体(多孔質体)で構成された
インターフェイスは、皮膚に対して適用可能な種々のア
プリケーターを用いて、イオントフォレシスにより、薬
物を経皮的に投与する上で有用である。アプリケーター
は、電圧が印加可能な電極と、この電極と導通可能であ
り、かつ皮膚に対して接触可能であるとともに、薬物が
保持又は担持されたインターフェイスとを備えており、
前記薬物を溶解するための保湿剤含有水溶液が供給可能
である。また、本発明の経皮吸収システムでは、前記マ
トリックス(特にシート状多孔質体)で構成されたイン
ターフェイスと、前記薬物を溶解するための保湿剤含有
溶解液と、この溶解液をインターフェイスに供給するた
めの供給手段とを備えている。そして、前記溶解液によ
り溶解した薬物は、イオントフォレシスにより、経皮的
に吸収される。図1は前記インターフェースを備えたア
プリケーターの一例を示す断面図である。図1に示すア
プリケーターは、柔軟性を有するとともに、開口部9が
形成された支持体4と、この支持体の開口部9に対応す
る部位に配置された容器3とを備えており、この容器
は、銀電極などの電極1を備えているとともに、NaC
l含有ポリビニルアルコール(PVA)、含水ゲルなど
の導電性ゲル,または水を含んだ不織布や海綿体などで
構成された導電体2を収容している。導電体2は、保水
作用を有する親水性物質を含有した水溶液を含む多孔質
スポンジや不織布などで構成してもよい。また、支持体
4の下部のうち開口部9に対応する部位には、前記容器
3の導電体2と対向するイオン交換膜5と、インターフ
ェース6とが粘着テープ7により積層状に配置されてい
る。なお、粘着テープ7は、皮膚に対してアプリケータ
ーを貼付するために利用される。前記容器3の導電体2
は、前記電極1と導通可能であるとともに、前記開口部
9を通じて、イオン交換膜5およびインターフェース6
と接触可能である。そして、前記イオン交換膜5とイン
ターフェース6との間には、注液可能な注液部10が形
成されている。
【0053】このようなアプリケーターは、インターフ
ェイスが薬物を保持する場合には、使用時に、注液用チ
ップ8のノズル先端を、イオン交換膜5とインターフェ
ース6との間の注液部10に挿入して、保湿剤を含む注
射用蒸留水などの薬物溶解液をインターフェース6に対
して注入すればよい。また、インターフェイスが薬物を
保持していない場合には、薬物を含む溶液と保湿剤を含
む薬物溶解液とを、それぞれ、インターフェース6に対
して注入すればよく、インターフェイスが薬物と保湿剤
とを保持する場合には、注射用蒸留水などの薬物溶解液
をインターフェース6に対して注入すればよい。薬物溶
解液の注入量は、アプリケーターのサイズ、インターフ
ェースの表面積、薬物の保持量などに応じて選択でき、
通常、30〜500μl、好ましくは50〜200μl
程度である場合が多い。
【0054】なお、アプリケーターの支持体には、前記
容器3から離れた開口部に、注射用蒸留水などの薬物溶
解用の液体を貯留するリザーバーとしての第2の容器を
配設し、イオン交換膜の外面に、前記第1の容器の部位
から第2の容器の部位に至る領域に配された不織布を介
して、インターフェースを積層してもよい。このような
アプリケーターは、使用時に、針などで突き刺し、支持
体と第2の容器とが通じる孔を形成することにより、薬
物溶解用の液体又は薬物溶液を、不織布に浸透させて、
インターフェースに保持された薬物を溶解したり、薬物
溶液をインターフェイスに到達させればよい。
【0055】前記容器は、例えば、ポリエチレンなどの
合成樹脂などで形成できる。また、イオン交換膜として
は、イオン交換能を有する種々の膜、例えば、旭化成
(株)製の商品名「AC220膜」などが利用でき、不
織布としては、液体が浸透可能な種々の不織布、例え
ば、旭化成(株)製の商品名「ベンベルグハーフ」など
が使用できる。さらに、粘着テープとしては、皮膚に対
する粘着性を有する種々の粘着テープ、例えば、3M社
製の商品名「ブレンダーム」などが利用できる。
【0056】前記アプリケータを用いた投与方法や経皮
吸収システムでは、薬物溶解液中の保湿剤により、イン
ターフェイスのみならず、皮膚からの水分の揮散又は消
失を抑制して通電性を向上させるため、薬物溶解液は、
マトリックス(薬物保持体)を通じて皮膚まで拡散する
必要がある。水分の揮散や消失を抑制し、薬物を有効に
投与するためには、少くとも通電域に保湿剤を保持させ
るのが有効である。このようなシステムでは、インター
フェイスの少くとも通電部位に薬物および保湿剤を保持
させることにより、イオントフォレシス用インターフェ
イスにより、薬物の経皮吸収を促進することができる。
特に、保湿剤含有溶解液の1回の供給などにより、水分
を補給して保湿剤を通電域に保持させると、水分の揮散
や消失を長時間に亘り防止しつつ、通電性を確保でき
る。そのため、複数回の通電により薬物を投与する場
合、従来のように、後続する通電工程で水分を補給する
ため、蒸留水などの薬物溶解液を複数回に亘り供給する
という煩雑な操作が不要である。特に、保湿剤としてア
ミノ酸又はその塩は、少量であっても水分の揮散や消失
を抑制できるだけでなく、通電に伴う皮膚刺激を緩和で
きるので、イオントフォレシスを利用して薬物を経皮的
に投与する上で有用である。
【0057】なお、イオントフォレシスにより薬物の経
皮的投与は、前記アプリケーターの電極と対照電極と
に、電圧を印加し、通電することにより行うことができ
る。電圧としては、交流電圧の利用できるが、直流電圧
を利用する場合が多い。直流電圧としては、連続直流電
圧に限らず、脱分極型パルス直流電圧も利用できる。好
ましくは、脱分極型パルス直流電圧、特に方形型パルス
直流電圧を印加できる電源が使用される。パルス直流電
圧の周波数は、例えば、0.1〜200kHz、好まし
くは1〜100kHz、さらに好ましくは5〜80kH
z程度の範囲から選択できる。また、パルス直流電圧の
オン/オフ(ON/OFF)の比は、例えば、1/10
0〜20/1、好ましくは1/50〜15/1、さらに
好ましくは1/30〜10/1程度の範囲から選択でき
る。印加電圧は、生体の皮膚を損傷せず、経皮吸収率を
損なわない範囲から選択でき、例えば、1〜20V、好
ましくは3〜15V程度である。また、1日あたりの通
電時間は、例えば、連続通電においては、24時間以
下、好ましくは12時間以下、特に6時間以下である場
合が多い。間欠通電においては、通電時間の総計が24
時間以下、好ましくは12時間以下、特に6時間以下で
ある場合が多い。
【0058】
【発明の効果】本発明では、保湿剤を含む薬物溶解液を
用いるため、イオントフォレシスを利用した薬物投与シ
ステムにおいて、薬物溶解液からの水分の蒸散を抑制し
長時間に亘り通電性を確保できる。そのため、インター
フェイスに担持された薬物の経皮吸収を有効かつ確実に
促進でき、薬物を高い生物学的利用率及び高い再現性で
経皮吸収させる上で有用である。また、アミノ酸又はそ
の塩を保湿剤として用いると、通電に伴う皮膚刺激を緩
和でき、イオントフォレシスを利用した薬物の経皮吸収
に有用である。
【0059】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 比較例1 ペントバルビタール麻酔下にて雄性SDラット(7週
齢)の腹部皮膚をバリカンで剃毛、シェーバーで処理し
た後、70%エタノール水溶液を含む脱脂綿で清拭し、
脱脂消毒した。イオントフォレシスにおいては、図1に
示されるアプリケーターを用いた。すなわち、薬物保持
体(バイオダインプラス膜、日本ポール社製、2.5c
2 )を予め10%(w/v)BSAに浸漬した後乾燥
させ、1枚当たり40μgのhPTH(1→34)を乾
燥保持させ、イオントフォレシス用インターフェイスを
得た。このインターフェイスをラット腹部皮膚に貼付固
定した。皮膚への貼付後に注入チップ8より120μl
の蒸留水を供給し乾燥薬物を溶解させた。通電は直流1
2V定電圧、周波数40kHz,オン/オフ比3/7の
パルス直流電圧を利用し、15分間の通電と5分間の非
通電の組み合わせを合計3回行い、この通電パターンを
2時間おきに3回繰り返した。所定時間経過後に頸静脈
より採血し、12000rpmで10分間遠心分離し、
血清試料を得た。血清中のhPTH(1→34)濃度
(pg/ml)をラジオイムノアッセイ法にて測定した
ところ、図2に示す結果を得た。なお、図2において横
軸(時間)の長細いボックスは通電時間を示す。
【0060】比較例2 通電サイクル2回目と3回目の開始直前に、それぞれ、
注入チップ8より60μlの蒸留水を供給する以外、イ
オントフォレシス用インターフェイス、投与方法、通電
条件および血清中hPTH(1→34)濃度の測定法を
比較例1と同様にして経皮的に投与したところ、図2に
示す結果を得た。
【0061】実施例1 インターフェイス貼付後に蒸留水に代えて30%(w/
w)グリセリン水溶液120μlを1回注入する以外、
イオントフォレシス用インターフェイス、投与方法およ
び通電条件を比較例1と同様にして経皮的に投与したと
ころ、図2に示す結果を得た。
【0062】図2から明らかなように、蒸留水1回補給
(比較例1)では、通電サイクル数に対応する3本目の
ピークは認められなかったが、30%(w/w)グリセ
リン水溶液1回の補給(実施例1)で、蒸留水3回補給
(比較例2)に匹敵する3本のピークが通電サイクル数
に応じて認められた。また、2μg/kgの静脈内投与
の実験で得られた血清中のhPTH(1→34)濃度−
時間曲線下面積(AUC)値に対する試験群のAUC値
の比として得られる生物学的利用率(バイオアベイラビ
リティー、BA)は、実施例1、比較例1、比較例2に
おいてそれぞれ17.8%,9.0%,13.8%であ
り、30%(w/w)グリセリン水溶液の1回の補給に
より蒸留水3回の補給に匹敵する吸収性が得られた。
【0063】実施例2 インターフェイス貼付後に蒸留水に代えて10%(w/
w)グリセリン水溶液120μlを1回注入する以外、
イオントフォレシス用インターフェイス、投与方法およ
び通電条件を比較例1と同様にして経皮的に投与した。
10%(w/w)グリセリン水溶液1回の補給(実施例
2)では、2μg/kgの静脈内投与の実験で得られた
血清中のhPTH(1→34)濃度−時間曲線下面積
(AUC)値に対する試験群のAUC値の比として得ら
れる生物学的利用率(バイオアベイラビリティー、B
A)は9.5%を示した。
【0064】実施例3 インターフェイス貼付後に蒸留水に代えて60%(w/
w)グリセリン水溶液120μlを1回注入する以外、
イオントフォレシス用インターフェイス、投与方法およ
び通電条件を比較例1と同様にして経皮的に投与した。
60%(w/w)グリセリン水溶液1回の補給(実施例
3)では、2μg/kgの静脈内投与の実験で得られた
血清中のhPTH(1→34)濃度−時間曲線下面積
(AUC)値に対する試験群のAUC値の比として得ら
れる生物学的利用率(バイオアベイラビリティー、B
A)は18.5%を示した。
【0065】実施例4 インターフェイス貼付後に蒸留水に代えて30%(w/
w)プロリン水溶液120μlを1回注入する以外、イ
オントフォレシス用インターフェイス、投与方法および
通電条件を比較例1と同様にして経皮的に投与したとこ
ろ、図3に示す結果を得た。なお、図3には前記比較例
2の結果も併せて示す。図3においては、横軸(時間)
の長細いボックスは通電時間を示す。
【0066】図3から明らかなように、30%(w/
w)プロリン水溶液1回の補給で実施例1と同様に血中
濃度パターンが得られ、2μg/kgの静脈内投与の実
験で得られた血清中hPTH(1→34)濃度−時間曲
線下面積(AUC)値に対する試験群のAUC値の比と
して得られる生物学的利用率(バイオアベイラビリティ
ー、BA)は17.6%を示した。
【0067】実施例5 インターフェイス貼付け後に30%(w/w)プロリン
水溶液の代わりに120μlの10%(w/w)プロリ
ン水溶液を注入する以外、イオントフォレシス用インタ
ーフェイス、投与方法および通電条件を実施例4と同様
にして、経皮的に投与した。結果を図4に示す。図4よ
り明らかなように10%(w/w)プロリン水溶液1回
補給で実施例1と同様の血中パターンが得られ、BAは
17.8%であった。
【0068】実施例6 インターフェイス貼付け後に30%(w/w)プロリン
水溶液の代わりに120μlの10%(w/w)ピログ
ルタミン酸Na水溶液を注入する以外、イオントフォレ
シス用インターフェイス、投与方法および通電条件を実
施例4と同様にして、経皮的に投与した。結果を図4に
示す。図4より明らかなように10%(w/w)ピログ
ルタミン酸Na水溶液1回補給で実施例1と同様の血中
パターンが得られ、BAは15.2%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はアプリケーターの一例を示す断面図であ
る。
【図2】図2は実施例1、比較例1および比較例2にお
けるhPTH(1→34)の血清中濃度の時間推移を示
すグラフである。
【図3】図3は実施例4および比較例2におけるhPT
H(1→34)の血清中濃度の時間推移を示すグラフで
ある。
【図4】図4は実施例5および実施例6におけるhPT
H(1→34)の血清中濃度の時間推移を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1…電極 2…導電体 3…カップ 4…支持体 5…イオン交換膜 6…薬物保持体 7…粘着テープ 8…注液用チップ 9…開口部 10…注液部

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬物を保持又は担持する多孔質マトリッ
    クスで構成されたインターフェイスを用い、イオントフ
    ォレシスにより、薬物を経皮的に透過させるための溶解
    液であって、保湿剤を含有する薬物溶解液。
  2. 【請求項2】 保湿剤が、多価アルコール、糖アルコー
    ル、アミノ酸および酸性ムコ多糖から選択された少くと
    も一種である請求項1記載の溶解液。
  3. 【請求項3】 保湿剤が、分子中に2ないし4個のヒド
    ロキシル基を有する多価アルコールである請求項1記載
    の溶解液。
  4. 【請求項4】 保湿剤がグリセリンである請求項1記載
    の溶解液。
  5. 【請求項5】 保湿剤が、含窒素複素環を有するアミノ
    酸である請求項1記載の溶解液。
  6. 【請求項6】 保湿剤が、非芳香族性含窒素5員複素環
    を有するアミノ酸である請求項1記載の溶解液。
  7. 【請求項7】 保湿剤が、プロリン又はオキシプロリン
    である請求項1記載の溶解液。
  8. 【請求項8】 多価アルコールの濃度が10〜50重量
    %である請求項2記載の溶解液。
  9. 【請求項9】 アミノ酸の濃度が1〜30重量%である
    請求項2記載の溶解液。
  10. 【請求項10】 薬物が、(1)生理活性ペプチドもし
    くは蛋白質、(2)非ペプチド性生理活性化合物、また
    は(3)核酸である請求項1記載の溶解液。
  11. 【請求項11】 薬物が、(1)分子量100〜300
    00の生理活性ペプチド又は蛋白質、または(2)分子
    量100〜1000の非ペプチド性生理活性化合物であ
    る請求項1記載の溶解液。
  12. 【請求項12】 マトリックスに保持又は担持された分
    子量100〜30000の生理活性ペプチド又は蛋白質
    を溶解するための溶解液であって、多価アルコール、糖
    アルコール、アミノ酸および酸性ムコ多糖から選ばれた
    少くとも一種の保湿剤を1〜50重量%含む水溶液で構
    成された請求項1記載の溶解液。
  13. 【請求項13】 多孔質マトリックスで構成されたイン
    ターフェイスを用い、イオントフォレシスにより薬物を
    経皮的に透過させるための溶解液であって、保湿剤と薬
    物とを含む薬物溶解液。
  14. 【請求項14】 薬物を保持又は担持する多孔質マトリ
    ックスと、保湿剤とを含んでなるイオントフォレシス用
    インターフェイス。
  15. 【請求項15】 皮膚に対して接触可能であるととも
    に、薬物を保持又は担持するマトリックスを含むインタ
    ーフェイスと、前記薬物を溶解するための保湿剤含有溶
    解液と、この溶解液をインターフェイスに供給するため
    の供給手段とを備え、前記溶解液により溶解した薬物
    を、イオントフォレシスにより、経皮的に吸収させる経
    皮吸収システム。
  16. 【請求項16】 マトリックスが、非ゲル状で多孔質の
    シート状マトリックスである請求項15記載の経皮吸収
    システム。
  17. 【請求項17】 少くとも通電域に保湿剤を保持せしめ
    る請求項15記載の経皮吸収システム。
  18. 【請求項18】 電圧が印加可能な電極と、この電極と
    導通可能であり、かつ皮膚に対して接触可能であるとと
    もに、薬物が保持又は担持されたインターフェイスとを
    備え、前記薬物を溶解するための保湿剤含有水溶液が供
    給可能なアプリケーター。
  19. 【請求項19】 インターフェイスの少くとも通電部位
    に薬物および保湿剤を保持させ、イオントフォレシス用
    インターフェイスによる薬物の経皮吸収を促進する方
    法。
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