JP4410421B2 - イオントフォレーシスデバイス - Google Patents

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和隆 井上
博敏 安達
浩幸 前田
成人 肥後
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N1/00Electrotherapy; Circuits therefor
    • A61N1/18Applying electric currents by contact electrodes
    • A61N1/20Applying electric currents by contact electrodes continuous direct currents
    • A61N1/30Apparatus for iontophoresis, i.e. transfer of media in ionic state by an electromotoric force into the body, or cataphoresis

Description

技術分野
本発明は、経皮または経粘膜に長時間投薬コントロール可能な極性反転型のイオントフォレーシスデバイスに関する。より詳細には、本発明は電気的駆動力を利用して効率的に長時間にわたり安全かつ安定な吸収性を維持でき,かつ安価に製造可能なイオントフォレーシスデバイスに関する。
背景技術
イオントフォレーシス(Iontophoresis)は外的刺激に電気を用いた経皮吸収促進システムで、その原理は主に通電により陽極および陰極間に生じた電界中を正にチャージした分子が陽極から出て陰極へ、負にチャージした分子が陰極から出て陽極へ移動する力に基づいて薬剤分子の皮膚バリヤー透過を促進するものである。〔ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of Controlled Release)18巻、1992年、213−220頁;アドバンスト・ドラッグ・デリバリー・レビュー(Advanced Drug Delivery Review)9巻、1992年、119頁;ファルマシュウティカル・リサーチ(Pharmaceutical Research)3巻、1986年、318−326頁参照〕
イオントフォレーシスにおける一般的な形態には、電源、薬剤リザーバー電極、電解質リザーバー電極が含まれる。電極には銀や塩化銀に代表される活性電極とカーボン、白金及びチタンなどの非活性電極がある。非活性電極は通電中にアノード側では水素イオン及び酸素ガスが発生し、カソード側では水酸イオン及び水素ガスが発生する。これらの非活性電極によって生成される水素イオンや水酸イオンは皮膚刺激を誘発したり、薬剤輸率の低下を引き起こしたりすることが知られている。
アノード側:2HO→4H+O+4e
カソード側:2HO+2e→2OH+H
一方、活性電極においては水の電気分解より低い電圧で酸化または還元反応がおこる。代表的な電極材料としては、銀または塩化銀電極が知られており、通常、アノード側には銀電極が使用され、さらに電解質リザーバー中には電極との酸化還元反応のために必要なカウンター物質(例えば、塩素イオンなど)が含有される。すなわち、アノード側電極より溶出する金属イオン(例えば、銀イオンなど)はリザーバー中の塩素イオンと反応し、不溶性の沈殿物(例えば、塩化銀)を生成する。これによって、実質的に金属イオンの皮膚への移動が抑制されることから、活性電極は非活性電極より皮膚に対する安全性が高い。
アノード側:Ag→Ag+e
Ag+Cl→AgCl
カソード側:AgCl+e→Ag+Cl
しかし、活性電極を使用した際にはアノード側では塩素イオンとの対イオン種によるカチオン性薬剤との競合の問題、カソード側では電極から溶出する塩素イオンによるアニオン性薬剤との競合による吸収低下などの問題があった。また、活性電極は電極自体が酸化または還元されるため、長時間の使用においては活性電極としての性能を持続することが困難である。
そこで、近年では上記電極における競合イオンの問題を改善するためのデバイス及び方法の開発が進み、特に、活性電極の使用において問題となる電極から溶出する競合イオンに対する改良が行われた。そのような活性電極における金属イオンの移動を抑制するための方法として、特表平3−504813号公報及び特表平3−504343号公報では、電極の反応が水の加水分解より低い電圧でおこる材料を電流分配部材として使用し、電極と薬剤貯留器との中間または体表と電極との中間に電荷選択物質の層を設けたデバイスを開示している。ここで、電荷選択物質に電極と反応するカウンターイオンが含まれる。また、特表平5−506158号公報ではドナー電極、電解質溜め、選択的透過膜及び薬剤溜めからなるデバイスが開示され、電解質溜めには電極と反応するカウンターイオンが含まれる。これらの技術において、電極と反応するカウンターイオンの対イオンは薬剤と同じ極性を示すことから薬剤輸率を低下させる要因となることが示され、それを回避するために高分子に結合した塩化物(例えば、4級アンモニウムの塩化物など)の使用が記載されている。しかし、このような改良の主な目的は、効率よく薬剤を送達することであり、構造自体が複雑であるため実用性や汎用性の面では依然として改良すべき課題が残り、さらに長時間の使用における電極性能の維持についての手段は何ら開示されていない。
また、銀や塩化銀などの活性電極に使用できる電極材料は高価な物質が多く、実生産においてはこれら金属材料(例えば、銀箔など)をデバイス中に組み込むことは生産性や製造コストにおいて障害となる。さらに長時間の使用における電極性能の維持(例えば、銀や塩化銀電極などの活性電極における電極劣化による寿命)、すなわち、アノード側での長時間の通電によって引き起こされる電極表面での非導電性の塩化銀の析出による電極の絶縁現象や、カソード側での通電中の塩化銀からの塩素の溶出による活性電極としての寿命などは、長時間のイオントフォレーシスデバイスを開発する際に大きな障壁であった。
一方で、長時間の使用のための電極改良についても開発が進み、特開平9−276416号公報には活性電極からなる主電極と非活性電極からなる再生用電極を備えた電極が開示されている。また、特開平4−312471号公報には非活性電極を備えたハウジングに着脱式に電解質リザーバーを交換することで長期に使用できるデバイスが開示されている。しかし、これら活性電極を用いたデバイスにおいては電極自体の再生または再利用を開示したものであり、通電中に生じる競合イオンまたは添加する電解質によって誘発される薬剤吸収性への影響については特に考慮されておらず、厳密な吸収コントロールはできない。
また、極性反転型装置を用いたデバイスに関する開発も進み、非活性電極における有害な水素イオンまたは水酸イオンの発生を抑制するために、特公昭60−34396号公報では正の電流エネルギー量と負の電流エネルギー量との比が約2:1〜7:1、ヨーロッパ特許第0776676号公報では0.0027Hz〜10Hzで極性を切り換えることによりpHを調整することが開示されている。また、特開平4−224770号公報では双方の電極間に印加される電圧の正負を切り換えることでpHを調整することが開示されている。これらのデバイスでは電極自体の劣化が起こらない非活性電極を使用し、通電中に極性反転させることでpH変化を抑制して皮膚刺激を改善するものである。しかし、酸素や水素などガスの発生に対する改良は行われておらず、長時間の使用ではデバイス中にガスが充満することから、そのためのガス抜きの孔など特殊な構造が必要となり、それを組み込んだ電極の製造は困難という問題は依然として解決されていなかった。
また、米国特許第4406658号公報において電極の極性が可逆的であるデバイスで電極の極性を切り換えるための手段を設けることによって1回の付与で両電極にイオントフォレーシスを行うことが記載されている。また、特表平9−503136号公報では通電中の刺激を減じるための方法として極性を切り換えることが記載されている。しかし、上記従来の技術は長時間の薬物投与を目的とした極性反転型デバイスではなく、長時間に渡って安全かつ安定した吸収を得るためのデバイスについては記載されていない。
一方で、長時間の持続的な薬剤投与を必要とする疾患は多く、このような患者には主に点滴などによる侵襲的な治療が行われている。しかし、点滴などによる治療では入院が必要となるばかりでなく、患者への負担も大きくなる。現在、そのようなデメリットを解決するために、徐放剤や埋め込み型製剤等が検討されているが、厳密な血中濃度をコントロールする際にはこれらの製剤では限界がある。また、重篤な副作用が現れた時に投薬を中止することができない。こうした厳密な投薬コントロールが必要な薬剤に対する持続的な投与方法として対応できる注射剤に代わる新しい薬剤送達システム(ドラッグデリバリーシステム)としてもイオントフォレーシスが注目される。すなわち、注射剤と同程度の吸収が可能であり、さらに薬剤を患者自身が自己投与できる製剤として開発すれば在宅治療への道が開けることになる。また通電時間の精密な制御により、任意の吸収パターンを作り出すことができ、特に投薬コントロールが必要な薬剤においては、より効果的な薬剤治療が実現できると考えられる。
発明の開示
従って本発明の目的は、効率的かつ持続的吸収が長時間にわたって得られるイオントフォレーシスデバイスを提供することにある。また、本発明の他の目的は、薬剤の輸率を低下させることなく通電性と吸収性を保持するとともに、薬剤の高い生物学的利用効率を与えるための安全かつ汎用性及び実用性が高い長時間型のイオントフォレーシスデバイスを提供することにある。本発明は一般的に皮膚に適用されるものであるが、粘膜に適用することも可能である。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、銀及び塩化銀を含む混合物からなる電極部材を備えた2つの電極構造体(第1電極構造体及び第2電極構造体)に所定量の塩素イオンと有効成分を含有させ、極性反転手段を備えた電源装置で通電することで、安全で効率的かつ持続的吸収が長時間にわたって得られることを見出し本発明に至ったものである。さらに鋭意研究を重ねた結果、本デバイスにおいては薬剤の極性に影響されず、かつ競合イオンの移動を抑制するための極性反転時間に応じた塩素イオン量を設定することで、薬剤が高い生物学的利用効率で再現性よく経皮的に投与できることを見出し本発明に至ったものである。本発明においては、極性反転手段を用いた通電方法による長時間通電を吸収効率の低下を引き起こすことなく安全に行うために、活性電極を備えた電極構造体の塩素イオン量及び塩素イオンを供給するための物質、さらにそのための最適なデバイスを開示する。これにより、長時間厳密に投薬コントロールが可能で安全かつ安価な極性反転型のイオントフォレーシスデバイスを得ることができる。
詳細には、最初に通電を開始するときの極性が第1電極構造体はアノード側、第2電極構造体はカソード側である場合、アノード側では第1電極構造体に含有される塩素イオンと電極の銀イオンが反応する。カソード側では電極部材の塩化銀が酸化されて塩素イオンが第2電極構造体中に溶出する。
第1電極構造体における最初の電極反応:Ag+Cl→AgCl
第2電極構造体における最初の電極反応:AgCl+e→Ag+Cl
極性反転後、アノード側では最初の電極反応で電極表面に析出した塩化銀が酸化されて塩素イオンが第1電極構造体中に溶出する。カソード側では最初の電極反応で第2電極構造体中に溶出した塩素イオンが電極部材の銀イオンと反応する。
第1電極構造体における最初の電極反応:AgCl+e→Ag+Cl
第2電極構造体における最初の電極反応:Ag+Cl→AgCl
このような電極反応を利用して、第1電極構造体中の塩素イオン量と極性反転時間を最適化することで長時間の通電が可能となる。一方、一定方向で通電後に極性を反転した場合、次に電極と反応するアノード側の塩素イオンは、先に電極から溶出した塩素イオンに限られる。そのため、電極と反応できる塩素イオン量が限定されることから、厳密な極性反転時間の管理が必要となる。また、アノード側において皮膚から抽出されるアニオンと電極から溶出する銀イオンが不可逆的な反応を起こした際には、電極に含有される銀含量が長時間通電において重要な役割を果たす。すなわち、電極中の銀及び塩化銀の含量は通電時間と極性反転時間に応じて調整することが必要である。
従って、これらの問題を回避するための好ましい形態として、所定量の塩素イオン及び少なくとも1種類の有効成分を含有する2つの電極構造体と、各電極構造体に備えられた少なくとも銀及び塩化銀を含む混合物からなる活性電極と、各電極構造体の電極部材に電気的に接合され、かつ2つの電極構造体間の電流の方向を変化させるための極性反転手段を設けた電源装置とからなるデバイスが挙げられる。このタイプのデバイスでは、アノード側において皮膚から抽出されるアニオンと電極の銀イオンとが不可逆的な反応を起こした場合あるいは極性反転時間に微妙なずれが生じた場合でも、何れの電極部材にも極性反転時間に相当する塩素イオン反応量より過剰な塩素イオンを塩化銀として含有し、かつ各電極構造体中に塩素イオンを含有することから、長時間の通電においても影響を受けることがない。
即ち本発明に係るイオントフォレーシスデバイスは、少なくとも1種類の有効成分を含有する親水性導電層と活性電極材料からなる電極部材とをそれぞれ有する第1電極構造体および第2電極構造体と、第1電極構造体及び第2電極構造体の電極部材間に電気的に接続され両電極構造体間の電流の方向を切り換えるための極性反転手段を有する電源装置とを備え、第1電極構造体及び第2電極構造体の少なくとも一方が塩素イオンを含み、投与前において、塩素イオン量(Pmg)が下記式(1)を満たすものである。
1.0×(I×T×0.022)≦P・・・・・(1)
(Tは一定方向の通電後に極性を反転するまでの極性反転時間(分)、Iは平均電流(mA)を示す。)
ここで、上記有効成分は中性またはカチオン性であって、上記電源装置による極性反転は定期的に繰り返される。
また本発明に係るイオントフォレーシスデバイスは、少なくとも1種類の有効成分を含有する親水性導電層と活性電極材料からなる電極部材とをそれぞれ有する第1電極構造体および第2電極構造体と、第1電極構造体及び第2電極構造体の電極部材間に電気的に接続され両電極構造体間の電流の方向を切り換えるための極性反転手段を有する電源装置とを備え、第1電極構造体及び第2電極構造体の少なくとも一方が塩素イオンを含み、投与前において、塩素イオン量(Pmg)が下記式(2)を満たすものである。
1.0×(I×T×0.022)≦P≦100×(I×T×0.022)・・・・・・(2)
(Tは一定方向の通電後に極性を反転するまでの極性反転時間(分)、Iは平均電流(mA)を示す。)
ここで、上記有効成分はアニオン性であって、上記電源装置による極性反転は定期的に繰り返される。
上記電源装置は、極性反転時間を制御するタイマー手段を有する。さらに、上記塩素イオンは、上記親水性導電層、または上記電極部材と上記親水性導電層間に設けられた別の親水性導電層に含有される。
第1電極構造体及び第2電極構造体は、所定量の塩素イオン及び少なくとも1種類の有効成分を含有した同一組成からなるものとしてもよい。
上記電極部材は、少なくとも銀及び塩化銀を含む導電性インクの印刷により形成される。上記電極部材の銀と塩化銀の構成比または混合比は1:9〜9:1であることが好ましい。上記電極部材には、さらにハロゲン化合物を含むようにしてもよい。
上記塩素イオンは塩酸から供給されるようにすることができる。また、塩素イオンは少なくとも有効成分の塩酸塩から供給され、あるいは少なくとも4級アンモニウム塩化物を含む樹脂または高分子から供給されるようにしてもよい。ここで、上記樹脂はアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマーまたはコレスチラミンから選ばれるものである。
上記電極構造体はpH調整物質として有機アミンを含む。pH調整物質は具体的には例えばメグルミン、トロメタモール、トリエタノールアミン、アミノアクリレートのうち少なくとも1種である。また、上記電源装置は、極性反転を行う際に回路を短絡する手段および/または一定時間の非通電時間を設ける手段を有するようにしてもよい。上記電源装置による極性反転は少なくとも1回以上であり、1回の極性反転時間は1分から2時間とするのがよい。上記電源装置により印加される電流は、直流、パルス直流およびパルス脱分極直流のうちの少なくとも一つが用いられる。
上記電極構造体は、窪みを形成した絶縁支持体を有し、上記電極部材及び親水性導電層を上記絶縁支持体の窪みに収容し、さらにその表面を半透膜、選択的透過膜、制御膜、または親水性多孔性薄膜で覆うように構成することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
本発明は、以下の構成を有する銀及び塩化銀を含む混合物からなる活性電極と所定量の塩素イオンと少なくとも1種の有効成分を含む2つの電極構造体(第1電極構造体及び第2電極構造体)、および極性反転手段を備えた電源装置を用いて、競合イオンの移動を抑制するために、塩素イオンを極性反転時間に応じた量に設定することで、薬剤の極性に影響されず、薬剤が高い生物学的利用効率で効率的かつ持続的吸収が長時間にわたって再現性よく経皮的に投与できるデバイスである。このデバイスを構成し、パッチを補強する方法、すなわち、バッキングの組成、構造等は特に限定されるものではない。
本発明に使用される電極構造体は、主に、銀及び塩化銀を含む混合物からなる活性電極と所定量の塩素イオンと少なくとも1種の有効成分とから構成される。一般に、活性電極は水の電気分解より低い電圧で酸化還元反応が起こる物質を含むものであって、アノード側では溶出した金属イオンが電極構造体中の塩素イオンと不溶性の沈殿物を形成する物質(例えば、銀など)を含み、カソード側では塩化銀を含む。しかし、極性反転による長時間の通電を行う際には電極表面で可逆的な酸化還元反応を繰り返し継続させることが必要である。このような電極部材としては、活性電極材料の種類には特に限定はされないが、通電特性や製造性の観点から電極部材に酸化または還元可能な物質を共存させることが好ましい。特に、アノード側においては皮膚から抽出されるアニオンと電極の銀イオンが不可逆的な反応を起こした場合、電極に含有される銀含量が長時間通電において重要な役割を果たす。すなわち、電極中の銀及び塩化銀の含量は通電時間と極性反転時間に応じて調整することが必要である。このように、活性電極における電極部材としては少なくとも銀及び塩化銀を含む混合物が好ましい。
また、本発明における活性電極の電極部材は、導電性インクの印刷によって製造されることが経済性及び製造性において好ましい。導電性インクは、主に導電性粒子、バインダー、希釈剤から構成され、特に本発明の導電性粒子としては銀及び塩化銀を含有する混合物であれば、特に限定されない。そのような導電性インクには市販の銀を含むインク、例えばDW−250H−5(東洋紡製)、EN−4000、EN−4040、EN4065、EN4020、EN−4050K、EN4088A、EN−4089、EN−4072、EN4085S2、EN−4322、EN4110、EN−4117、EN−4270H(以上、日立化成工業製)、Electrodag427SS、Electrodag951SS、Electrodag6022SS、SS24386、SS24780、SS24807(以上、日本アチソン製)、LS−504J、LS−506J、TU−1−SL、LS−005P、LS−708B、LS−411、LS−411−10、LS−3015HV、LS−3001、LS−415C−M、LS−504JM2、LS−408(以上、アサヒ化学研究所製)などが挙げられ、それらに塩化銀粉末を分散して使用される。また、市販の塩化銀を含むインク、例えばJEF−314、JEF−321シリーズ、DW2275、DB92342、DB92343(以上、日本アチソン製)などを銀インクと混合または単独で使用してもよい。さらに、必要に応じて黒鉛インク、希釈剤などを添加して使用される。黒鉛インクは高価な銀の含量を減ずることができることから、銀及び塩化銀を含むインクに混合して使用することが好ましい。さらに、電極の反応効率を増大するための添加剤、例えば、界面活性剤類、イオン交換樹脂類、水可溶性物質などを添加することもできる。また、これらの導電性インクは電極構造体を構成するバッキング用フィルム等に印刷され、そのような印刷方法としては、例えばスクリーン印刷などが挙げられる。また、印刷される電極形状等は、例えばシート状、メッシュ状、多層印刷、カーボンなどの不活性電極上に活性電極を印刷した多層印刷などがあり、またはこれらは種々の形にパターン印刷することもできる。
上記電極部材の銀と塩化銀の構成比または混合比は、1:9〜9:1であることが好ましく、さらに好ましくは、1:5〜5:1、特に好ましくは、1:2〜2:1の範囲のものが使用される。さらに、電極部材にハロゲン化合物、例えば、4級アンモニウム塩化物である水溶性または不溶性高分子・樹脂、すなわちアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマー、コレスチラミンなどを加えることで、活性電極材料との電極反応はより効率的となる。
図1(a)、(b)は、それぞれ本発明に係るイオントフォレーシスデバイスの構成例を示す図である。図1(a)における100aは第1電極構造体、110aは第2電極構造体を示す。第1電極構造体100aは、少なくとも1種類の有効成分103aと所定量の塩素イオンを含有する親水性導電層102a、及び銀及び塩化銀を含む混合物からなる電極部材101aから構成される。第2電極構造体110aは、少なくとも1種類の有効成分113aと所定量の塩素イオンを含有する親水性導電層112a、及び銀及び塩化銀を含む混合物からなる電極部材111aから構成される。また、第1電極構造体100aと第2電極構造体110a間の電流の方向を変化させるための極性反転手段を設けた電源装置120aが、第1電極構造体及び第2電極構造体の各電極部材101a及び111aに電気的に接続される。また、各親水性導電層と皮膚の間には親水性導電層を保持するための半透膜、物質の移動を制御するための選択的透過膜、薬物透過速度を調整するための制御膜、または吸収面積を調整するための親水性多孔性薄膜等を使用したリザーバー型構造体であってもよい。このようなリザーバー型構造体は、例えば親水性導電層及び電極部材を、絶縁支持体に窪みを形成させた部分に充填し、さらにその表面を半透膜または選択的透過膜で覆う構造よりなる。このような絶縁支持体としては、特に限定はしないが、ポリエチレンテレフタレート、ポロプロピレン、ポリエチレン等からなるプラスチックフィルム、またはアルミを積層してなる金属性フィルムが好ましい。また、このような半透膜、選択的透過膜、制御膜または親水性多孔性薄膜は、通電性に影響がない親水性または疎水性の何れの材料を用いてもよく、種々の多孔質または毛細管構造を有する部材(以下、単に、多孔質体という場合がある)がある。このような多孔質体としては、有機多孔質体、例えば、セルロースなどの天然繊維、セルロースアセテートやニトロセルロースなどの半合成繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル及びそれらを化学修飾した合成繊維などで形成された繊維集合体、紙などのシート、織布や不織布などの布、多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリスチレン、多孔質ポリメタクリル酸メチル、多孔質ナイロン、多孔質ポリスルフォン、多孔質フッ素樹脂等の多孔質合成樹脂などが用いられる。また、これら多孔質体の面積は、吸収性、製造性及び皮膚などの生体に対する適用性に問題がない範囲で設定される。
図1(b)は塩素イオンを含有する親水性導電層を電極部材の下側に別に積層した形態を示す。100bは第1電極構造体、110bは第2電極構造体を示す。第1電極構造体100bは、所定量の塩素イオンを含有する親水性導電層102b、少なくとも1種類の有効成分104bを含有する親水性導電層103b、及び銀及び塩化銀を含む混合物からなる電極部材101bから構成される。第2電極構造体110bは、所定量の塩素イオンを含有する親水性導電層112b、少なくとも1種類の有効成分114bを含有する親水性導電層113b、及び銀及び塩化銀を含む混合物からなる電極部材111bから構成される。また、第1電極構造体100bと第2電極構造体110b間の電流の方向を変化させるための極性反転手段を設けた電源装置120bが、第1電極構造体及び第2電極構造体の各電極部材101b及び111bに電気的に接続される。本形態では、電極と塩素イオンの酸化還元反応が効率的に行われる。
各電極構造体の親水性導電層は、有効成分を分散したマトリックス型構造や皮膚接触面に高濃度の有効成分を適用できるように薬剤保持層を備えた積層型構造などとすることができるが、有効成分の分布状態は特に限定されない。なお、積層型構造は、有効成分が化学的に不安定であったり、微量で強力な薬理効果を発揮する薬剤または高価な薬剤である際には特に有用であり、有効成分を含有する保持手段を使用直前に親水性導電層と当接して使用される。また、親水性導電層は、ゲル、溶液型等は特に限定されるものではない。
上記親水性導電層は、薬剤が透過可能な種々の多孔質または毛細管構造を有する部材(以下、単に、多孔質体という場合がある)を用いてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。このような多孔質体としては、有機多孔質体、例えば、セルロースなどの天然繊維、セルロースアセテートやニトロセルロースなどの半合成繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル及びそれらを化学修飾した合成繊維などで形成された繊維集合体、紙などのシート、織布や不織布などの布、多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリスチレン、多孔質ポリメタクリル酸メチル、多孔質ナイロン、多孔質ポリスルフォン、多孔質フッ素樹脂等の多孔質合成樹脂などが用いられる。
また、親水性導電層は親水性導電ゲルであってもよく、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、メトキシエチレンマレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレンマレイン酸共重合体、N−ビニルアセトアミドアクリル酸ナトリウム共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の合成高分子類、寒天、デンプン、マンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、タマリンドガム、カードラン、ペクチン、アガロース、ファーセレラン、グアーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、タラガム、カラヤガム、アラビアゴム、セルロース及びその誘導体類等のポリサッカライド類、ゼラチン等が挙げられ、これらは単独または2種類以上の組み合わせで用いられる。さらに,本発明におけるデバイスにおいて、その性能に影響がない範囲で、適宜、電解質、pH調整剤、緩衝剤、皮膚保護剤、刺激緩和剤、安定化剤、増粘剤、湿潤剤、界面活性剤、可溶化剤、溶解補助剤、保湿剤、吸収促進剤、粘着剤、粘着付与剤、防腐剤などを添加してもよい。
本発明の極性反転手段を備えた電源装置より出力される電圧または電流は、通常、定電流または定電圧で制御されるが、薬剤吸収をコントロールするためには定電流制御が好ましい。ここで示す電流とは薬剤の吸収に関連する透過電流を意味する。極性反転手段を備えた電源装置から出力される電流は直流、パルス直流またはパルス脱分極直流が用いられる。電源としては、連続直流電圧またはパルス直流電圧を印加し得るものがよいが、より好ましくはパルス直流電圧を印加し得るものが用いられる。また、これらの組み合わせであってもよく、さらに通電と非通電を任意に設定した間欠通電であってもよい。方形型または矩形型パルス直流電圧を印加し得る電源が特に好ましい。パルス直流電圧の周波数は、好ましくは0.1から200kHz、より好ましくは1から100kHz、特に好ましくは5から80kHzの範囲より適宜選択される。パルス直流電圧のオン/オフ(on/off)の比は、1/100から20/1、好ましくは1/50から15/1、より好ましくは1/30から10/1の範囲より適宜選択される。また、極性反転型の通電においては、通電開始時、終了時及び極性反転時に急激な電流変化に伴う刺激感を避ける必要がある。そのような手段として、徐々に電流または電圧を所定の値まで変化させて通電する方法(例えば、5.0mA/min/cm以下、好ましくは2.0mA/min/cm以下、より好ましくは0.5mA/min/cm以下の電流印加速度で線形または非線形的に変化させる)がある。さらに、通電中の皮膚の分極による刺激や極性切り換え時における薬物吸収への影響を回避するために、一定時間通電した後の極性切り換え時に回路の短絡による脱分極または一定時間の非通電時間を設けて極性を反転させて通電を行う方法(例えば、1μ秒から30分、好ましくは1m秒から15分、より好ましくは10m秒から10分)を組み合わせることで極性反転型通電を安全に行うことができる。印加される平均電流密度は、特に限定はされないが0.5mA/cm以下、好ましくは0.1mA/cm以下、より好ましくは0.05mA/cm以下である。
図2は、本デバイスで用いられる電源装置の構成例を示す図である。図のように、電源装置200は、電源(電池)201、昇圧回路202、出力調整回路203、出力反転回路204、およびマイクロコンピュータ205などで構成される。ここで、出力反転回路204には、極性を切り換えるためのスイッチ手段が備えられ、マイクロコンピュータ205には、極性反転時間を制御するタイマー手段が備えられ、これらの組み合せにより、上記一定時間通電した後の極性の切り換え時に回路の短絡による脱分極または一定時間の非通電時間を設けて極性を反転させて通電することも可能となる。
図3(a)、(b)は、それぞれ本発明における電源装置より出力される極性反転型の平均の電圧または電流出力パターンを示す図である。ここで、極性反転時間とは通電開始時点から極性を反転させるまでの時間(t)およびその時点から次に極性を切り換えるまでの時間(t’)さらにその動作が繰り返される各々の時間をいう(t、t、・・・t、及びt’、t’、・・・t’で表される)。極性反転時間には特に制限はないが、通電中に電気特性の異常がおこらない反転時間、すなわち、絶縁や性能上問題とならない電圧上昇範囲内で極性を切り換えることが必要である。また、極端に短い反転時間による薬剤吸収性への影響がない範囲で設定しなければならない。そのような極性反転時間は印刷される電極の状態によって異なるが、通常1秒〜12時間、好ましくは1分〜6時間、さらに好ましくは1分〜2時間である。また、薬剤がアニオン性であれば添加される塩素イオンまたは通電中カソード電極から溶出する塩素イオンは事実上薬剤との競合イオンとなるため、それらの影響を最小限にする必要がある。そのような手段の一つとして、アニオン性薬剤における極性反転時間をさらに短縮することができ、1分〜2時間、好ましくは1分〜1時間、より好ましくは1分〜30分である。また、設定される各極性反転時間は任意に設定してもよいが、各反転時間の総和(ΣTn)と(ΣT’n)がほぼ等しいことが好ましい。さらに、一定間隔で極性反転を繰り返し行うことがより好ましい。通常、極性反転の回数は、1回以上、好ましくは1回から5000回、より好ましくは1回から2000回である。総通電時間は30分から72時間、好ましくは2時間から48時間である。
上記各電極構造体の親水性導電層には所定量の塩素イオン(ここで所定量とは、通電前に予め含まれる塩素イオン量のことをいう)が含有され、極性反転型の電源装置によって通電される。この所定量の塩素イオンは、ファラデーの法則から算出される。一般に、電気によって移動する物質のモル数(M)は、次のように電流(I)、適用時間(T)、物質の電荷数(Z)、定数(F)で表される。
M=(I・T)/(Z・F)
本発明の各反転時間におけるアノード側の電極表面における酸化還元反応は、主に、親水性導電層における塩素イオンと主に反応するように設計されることが好ましい。
アノード側:Ag→Ag+e
Ag+Cl→AgCl
そこで、各反転時間における反応に使用される塩素イオンのモル数(P)は以下の式に示される。
P=(I・Tn)/(F)またはP’=(I・T’n)/(F)
また、電極における酸化還元反応に必要なモル数に相当する塩素イオン量(P:mg、分子量35.5)は極性反転間隔に応じた平均電流(In:mA)、極性反転時間(Tn:分)で表される。ここで、極性反転時間及び平均電流値が極性反転通電中に任意に設定されるときは、通電期間中において1回の極性反転当たり最大の必要量が選ばれる。
P=(In・Tn・60・35.5)/96500=In・Tn・0.022
一方で、電極と塩素イオンの反応効率は親水性導電層における塩素イオンの移動度によって変化する。特に、ゲル等の高分子基剤を用いた親水性導電層では極端に効率が悪く、それを補うために塩素イオン量を増大する必要がある。さらに薬剤の極性と同じ極性のイオンの移動度によって薬剤吸収性は変動する。すなわち、薬剤がアニオン性である場合、添加する塩素イオンは実質的に薬剤との競合イオンとなる。従って、薬剤の吸収性に影響が少ない範囲での使用が望まれる。そこで、薬剤が中性またはカチオン性物質であれば薬剤との競合イオンが実質的に不動な物質を選択することで、親水性導電層に含有される所定量の塩素イオン量は反応に必要な、下記式(1)で表される量以上の添加であれば、上限は特に制限はない。
1.0×(I×T×0.022)≦P・・・・・(1)
(ここで、Tは一定方向の通電後に極性を反転するまでの極性反転時間(分)、Iは平均電流(mA)を示す。)
一方、薬剤がアニオン性物質であれば電極より溶出する塩素イオンまたは添加する塩素イオンが実質的な競合イオンとなるため、性能上影響が少ない範囲、すなわち、所定量の塩素イオン量は反応に必要な量の500倍以下、特に、1〜100倍であることが好ましい。従って、塩素イオン量は下記式(2)のように表される。
1.0×(I×T×0.022)≦P≦100×(I×T×0.022)・・・・・(2)
(ここで、Tは一定方向の通電後に極性を反転するまでの極性反転時間(分)、Iは平均電流(mA)を示す。)
上記塩素イオンは、種々の形態で各電極構造体に添加することができる。例えば、電解質、pH調整剤、緩衝剤、皮膚保護剤、刺激緩和剤、安定化剤、増粘剤、湿潤剤、界面活性剤、可溶化剤、溶解補助剤、保湿剤、吸収促進剤、粘着剤、粘着付与剤、防腐剤など種々の目的で添加される添加剤にその機能を付加させてもよい。例えば添加剤として、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩酸グルコサミン、塩酸トリエタノールアミン、塩酸、塩化4級アンモニウム基を官能基として付加した陰イオン交換樹脂または高分子、例えばコレスチラミン、塩酸アルギニン、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマーなど使用した場合には、上記の機能を有する塩素イオンが含まれることになる。また、このような添加剤を使用した際には、塩素イオンの対イオンである薬剤との同じ電荷を有する物質(競合イオン種)は薬剤の吸収性に影響を与えない範囲で使用しなければならない。そこで、より好ましい塩素イオンの供給方法として、例えば、塩酸、有効成分の塩酸塩、通電の有無に関わらず実質的に不動である高分子に塩素イオンを付加した物質またはその塩酸塩が用いられ、また、これらの物質を適宜組み合わせて使用することもできる。
また、塩素イオンの供給によるpH変化を調整するために薬剤の吸収に影響がない範囲内で、適宜pH調整剤または緩衝剤を添加してもよい。pH調整剤または添加剤としては、特に限定はされないが、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、酢酸、酢酸ナトリム、酢酸カリウム、リン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、ポリリン酸、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩酸グルコサミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタモール、メグルミン、アミノアクリレート、乳酸、乳酸ナトリウム、塩酸トリエタノールアミン、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートテトラヒドロフタレート、その他の酢酸基またはスルホン基を官能基として付加した陽イオン交換樹脂及び4級アンモニウム基を官能基として付加した陰イオン交換樹脂またはその塩類、その他の1〜3級アミン類またはそれらを含む高分子・樹脂等、コレスチラミン、アスパラギン酸及びグルタミン酸の酸性アミノ酸、アルギニン、リシン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸、または塩酸アルギニン、L−グルタミン、L−グルタミン酸ナトリウム等のその他のアミノ酸類、ポリアミン類などが使用可能であり、特に、有機アミンであるアミノアクリレート、メグルミン、トロメタモール、トリエタノールアミンは投与する薬物の輸率に対する影響が少なく好ましく用いられる。
有効成分が中性またはカチオン性であれば、薬剤と競合するイオン種を生じない上記4級アンモニウムの塩化物を含む樹脂または高分子(例えば、これらのアミン類におけるカチオン成分は実質的に不動である)を添加できる。これらはアノード側及びカソード側の両極において添加されることが、薬剤吸収性と通電特性の観点より好ましい。図4は各電極構造体が同一構造である場合を示す。通電中における薬剤の移動と実質的に競合するイオン種が不動の場合には、図4のような形態が挙げられる。図4における300は2つの電極構造体を示す。各電極構造体300は、少なくとも1種類の有効成分303と所定量の塩素イオンを含有する親水性導電層302、及び銀及び塩化銀を含む混合物からなる電極部材301から構成される。また、各電極構造体300間の電流の方向を変化させるための極性反転手段を設けた電源装置310が、第1電極構造体及び第2電極構造体の各電極部材301間に電気的に接続される。この形態の利点としては各電極構造体の区別なく製造でき、煩雑さが解消できる。すなわち、効率性や経済性においても有利である。
一方、有効成分がアニオン性であれば、添加される塩素イオンは実質的に薬剤と同じ電荷を有する競合イオン種になる。このような競合イオン種による薬剤吸収性への影響を最小限にするための方法として、(a)上記薬剤吸収性に影響のない範囲で塩素イオンを加える、(b)上記極性反転時間を通常より短く設定する、(c)親水性導電層における塩素イオンの移動を選択的に抑制する、(d)最初の極性がカソード側の電極構造体において親水性導電層に塩素イオンを添加しないなどが挙げられ、これらは組み合わせて使用してもよい。
上記(a)に記載される薬剤吸収性に影響のない範囲で塩素イオンを加える方法としては、例えば、図1(a)または(b)の電極構造体において極性反転時間に応じた塩素イオン量を加え、さらに、極性反転時間を最適化することで電極部材と塩素イオンを含む親水性導電層間の効率的な酸化還元反応を誘導するデバイス等が挙げられる(例えば、添加する塩素イオン量が1.0×(I×T×0.022)≦P≦100×(I×T×0.022)の範囲であり、また総添加量をできるだけ少なく設定する)。
上記(b)に記載される極性反転時間を、例えば、1分〜30分などのように通常より短く設定することで、添加される塩素イオンの総添加量は少なくすることができる。
上記(c)に記載される親水性導電層における塩素イオンの移動を選択的に抑制する方法としては、例えば、親水性導電層にアニオン性高分子を使用することで電気的な反発によって移動を抑制するデバイス等が挙げられる。そのようなアニオン性高分子には、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、メトキシエチレンマレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレンマレイン酸共重合体、カルボキシビニルポリマー、スルホン基を官能基として付加した陽イオン交換樹脂等の酸性合成高分子類、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシセルロース、カルボキシメチルセルロース等のポリサッカライド類、ゼラチン等のタンパク類が挙げられ、これらは単独または2種類以上の組み合わせで用いられる。また、図1(b)記載のデバイス構造体などを用いることで、効率がより向上する。
上記(d)に記載される最初の極性がカソード側の電極構造体における親水性導電層に塩素イオンを添加しない方法としては、例えば、図5に示すデバイスが挙げられる。図5における400は第1電極構造体、410は第2電極構造体を示す。第1電極構造体410は、少なくとも1種類の有効成分403と所定量の塩素イオンを含有する親水性導電層402、及び銀及び塩化銀を含む混合物からなる電極部材401から構成される。第2電極構造体410は、少なくとも1種類の有効成分413を含有する親水性導電層412、及び銀及び塩化銀を含む混合物からなる電極部材411から構成される。また、第1電極構造体400と第2電極構造体410間の電流の方向を変化させるための極性反転手段を設けた電源装置420が、第1電極構造体及び第2電極構造体の各電極部材401及び411間に電気的に接続される。このようなデバイスにおいて、カソード側の電極構造体には通電開始時に薬剤と競合するイオン種は含有されておらず、高い薬剤の利用率が期待できる。一方、親水性導電層における電極より徐々に溶出する塩素イオンの移動は上記(b)の移動抑制方法や極性反転時間の最適化を施すことよって、さらに効率的なデバイスが設計できる。
また、これらは組み合わせて使用することで、アニオン性薬剤に対しても競合イオン(特に、塩素イオン)による影響を最小限にすることができ、長時間にわたって厳密な吸収コントロールが可能となる。
本発明において使用される有効成分には、薬理活性を有する化合物であれば薬剤の種類及び塩の種類、各薬剤の適応等には特に制限されず、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗腫瘍剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧剤、利尿剤、降圧利尿剤、循環器用剤、抗血小板薬、止血剤、抗高脂血症剤、解熱,鎮痛,消炎剤、抗リウマチ、弛緩剤、鎮咳去たん剤、抗潰瘍剤、鎮静剤、抗てんかん剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、糖尿病治療剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬拮抗剤、骨吸収抑制剤、血管新生阻害剤,局所麻酔剤などが用いられる。本デバイスの好ましい使用形態において、有効成分は塩が付加されていないフリー体として用いることもできるが、薬学的に許容される塩が付加されたものを用いることも可能である。塩の種類は特に限定しないが、例えば、塩基性薬物の塩類として、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、メシル酸塩、フタル酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、グルコン酸塩、エナント酸塩が使用され、酸性薬物の塩類として、トロメタミン塩、アンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、エポラミン塩が用いられる。この中でも、本デバイスにおいては塩基性薬物の塩酸塩が好ましく用いられる。また、各電極構造体に含有する有効成分の種類及び数には特に制限はなく、薬理効果を増強するために異なる有効成分を各電極構造体に含有することもできる。さらに、好ましい形態としては少なくとも1種以上の同一有効成分を2つの電極構造体に含有することである。
抗生物質としては、例えば、硫酸ゲンタンマイシン、リピドマイシン、硫酸シソマイシン、塩酸テトラサイクリン、アンピシリン、セファロチンナトリウム、塩酸セフォチアム、セファゾリンナトリウム、チエナマイシン、スルファゼシン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸カナマイシン、リファンピシン、塩酸バンコマイシン、オフロキサシン、硫酸セフォセリスなどが用いられる。
抗真菌剤としては、例えば、アンフォテリシンB、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、2−[(1R,2R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル]−4−[4−2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)フェニル]−3(2H,4H)−1,2,4−トリアゾロンなどが用いられる。
抗腫瘍剤としては、例えば、塩酸ブレオマイシン、テガフール、アクチノマシンD、マイトマシンC、アドリアマイシン、フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シタラビン、プロカルバジン、塩酸ドキソルビシン、メトトレキサート、クエン酸タモキシフェンなどが用いられる。
抗結核剤としては、例えば、硫酸ストレプトマイシン、硫酸カナマイシン、イソニアジド、塩酸エタンブトール、ピラジナミドなどが用いられる。
強心剤としては、例えば、トランスバイオキソカンファー、テオフィロール、塩酸ドパミン、塩酸ドブタミン、ユビデカレノンなどが用いられる。
不整脈治療剤としては、例えば、塩酸プロプラノール、塩酸オキシプレノール、塩酸プロカインアミド、リドカイン、フェニトイン、酒石酸メトプロロール、塩酸ベラパミル、塩酸ジルチアゼムなどが用いられる。
血管拡張剤としては、例えば、塩酸オキシフェドリン、塩酸トラゾリン、硫酸パメタン、塩酸二カルジピン、塩酸ベラパミル、塩酸パパベリンなどが用いられる。
抗圧剤としては、例えば、塩酸ヒドララジン、ブドララジン、塩酸プラゾシン、メシル酸ドキサゾシン、塩酸カルテオロール、塩酸クロニジン、マレイン酸エナラプリル、カプトプリル、塩酸デラプリル、塩酸マニジピン、ピナシジル、ミノキシジル、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタンなどが用いられる。
利尿剤としては、例えばアセタゾラミド、メタゾラミド、クロロチアジド、フロセミド、トリアムテレン、アミロリド、アミノメトロジンなどが用いられる。
降圧利尿剤としては、例えばペントリニウム、ヘキサメトニウムブロミドなどが用いられる。
循環器用剤としては、例えば、アルプロスタジル、リマプロスト、オザグレルナトリウム、硫酸クロピドグレル、ベラプロスト、シプロステン、アイロプロスト、アタプロスト、クリンプロスト、イコサペント酸エチル、塩酸エチレフリン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、パミコグレル、トラニラスト、プロブコール、カンデサルタンシレキセチル、クエン酸ナトリウム、DX−9065a、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ニフェジピン、塩酸エホニジピン、塩酸ジルチアゼム、トラニラストなどが用いられる。
抗血小板薬としては、例えば、チクロピジン、サチグレル、リマプロスト・アルファデクス、クリンプロスト、硫酸クロピドグレル、シブラフィバン、エプチバチド、塩酸チロフィバン、塩酸サルポグレラート、塩酸ゼミロフィバン、酢酸オルボフィバン、イスボグレル、シロスタゾール、アスピリン、アブキシマブ、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸もしくはその塩などが用いられる。
止血剤としては、エピネフリン、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、アセトメナフトン、トラネキサム酸などが用いられる。
抗高脂血症剤としては、例えばプラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、フルバスタチンナトリウム、セリバスタチン、アトルバスタチンなどが用いられる。
解熱,鎮痛,消炎剤としては、例えば、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、スルピリン、インドメタシン、ジクロフェナックナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、フェルビナック、ザルトプロフェン、ピロキシカム、ニメスリド、メロキシカム、セレキシコブ、チアラミド、エモルファゾン、ブプレノルフィン、臭化水素酸エプタゾシン、ペンタゾシン、酒石酸ブトルファノール、塩酸トラマゾール、ケトロラック、塩酸メペリジン、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、ハイドロモルヒネ、クエン酸フェンタニル、フェンタニル、モフェゾラクなどが用いられる。
抗リウマチ剤としては、例えば、塩酸メトトレキサート、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、ブシラミン、D−ペニシラミン、アクタリット、ロベンザリット、ミゾリビン、サラゾスルファピリジン、タクロリムス水和物などが用いられる。
筋弛緩剤としては、例えば、メタンスルホン酸プリジノール、塩化ツボクラリン、塩酸エペリゾン、塩酸チザニジン、カルバミン酸クロルフェネシン、塩酸トルペリゾン、ダントロレンナトリウム、バクロフェン、塩酸ランペリゾンなどが用いられる。
鎮咳去たん剤としては、例えば、塩酸エフェドリン、リン酸コデイン、塩酸ピコペリダミン、アンプロキソール、塩酸ブロムヘキシン、硫酸サルブタモール、塩酸ツロブテロール、フマル酸フォルモテロール、塩酸アゼラスチン、フマル酸ケトチフェン、ピコペリダミンなどが用いられる。
抗潰瘍剤としては、例えば、オルノプロスチル、シメチジン、ファモチジン、塩酸ラニチジン、メトクロプラミド、オメプラゾール、ランソプラゾールなどが用いられる。
鎮静剤としては、例えば塩酸クロルプロマジン、硫酸アトロピン、エナント酸フルフェナジンなどが用いられる。
抗てんかん剤としては、例えばフェニトインナトリウム、エトサクシミドなどが用いられる。
抗うつ剤としては、例えば、塩酸アミトリプチリン、塩酸イミプラミン、塩酸クロミプラミン、塩酸デシプラミン、塩酸マプロチリン、硫酸フェネルジンなどが用いられる。
抗アレルギー剤としては、例えば塩酸ジフェニルヒドラミン、塩酸トリペレナミン、塩酸クレミゾール、d−マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸シプロヘプタジン、フマル酸ケトチフェン、エピナスチン、タクロリムス水和物などが用いられる。
糖尿病治療剤としては、例えばグリミジンナトリウム、グリピザイド、メトフォルミン、トルブタミド、クロルプロパミド、グリベンクロミド、アセトヘキサミド、ミダグリゾール、グリメピリド、セナグリニド、レパグリニド、塩酸ピオグリタゾンなどが用いられる。
抗結核剤としては、例えば硫酸ストレプトマイシン、硫酸カナマイシン、イソニアジド、塩酸エタンブトール、ピラジナミドなどが用いられる。
ホルモン剤としては、例えばβ−エストラジオール、エナント酸テストステロン、コハク酸プレドニゾロン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、メチマゾールなどが用いられる。
麻薬拮抗剤としては、例えば酒石酸レバロルファン、塩酸ナロルフィン、プロタミン、ナロキソンなどが用いられる。
骨吸収抑制剤としては、例えば(硫黄含有アルキル)アミノメチレンビスフォスフォン酸、ラロキシフェン、アレンドロ酸ナトリウム、インカドロン酸二ナトリウム、チボロン、シマドロネート、リセドロネート、クロドロネート酸二ナトリウム、ファレカルシトリオール、カルシトリオール、アルファカルシトリオール、ダイドロネルナトリウム、イプリフラボン、ミノドロン酸などが用いられる。
血管新生阻害剤としては、例えば血管新生抑制ステロイド〔サイエンス(Science)第221巻、719頁(1983年)参照〕、フマギロール誘導体〔例えば、O−モノクロロアセチルカルバモイルフマギロール、O−ジクロロアセチルカルバモイルフマギロール等(ヨーロッパ特許出願第357061号公報、同359036号公報、同386667号公報、同415294号公報参照)〕などが用いられる。
局所麻酔剤としては、例えば、塩酸リドカイン、塩酸テトラカイン、塩酸プロカイン、塩酸ベンゾカイン、塩酸エチドカイン、塩酸プリロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸コカイン、アミノ安息香酸エチル、塩酸オルソカイン、塩酸オキセサゼイン、塩酸メピバカインなどが用いられる。
その他の有効成分としては、ペプチド、タンパク及び核酸、オリゴ糖類などの薬理活性を有する化合物が挙げられる。本明細書において、アミノ酸,ペプチド等に関し、略号で表示する場合、IUPAC−IUBコミッション・オン・バイオケミカル・ノーメンクレーチャー(Commission on Biochemical Nomenclature)による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に光学異性体があり得る場合、特に明示しなければL体を示すものとする。
ペプチドとしては、次のようなペプチドが用いられる。
黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH),LH−RHと同様な作用を有する誘導体、例えば下式(I):
(Pyr)Glu−R1−Trp−Ser−R2−R3−R4−Arg−Pro−R5・・・(I)
〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2−Phe、R2はTyrまたはPhe、R3はGlyまたはD型のアミノ酸残基、R4はLeu,IleまたはNle、R5はGly−NH−R6(R6はHまたは水酸基を有していてもよい低級アルキル基)またはNH−R6(R6は前記と同意義)を示す〕で表されるポリペプチドまたはそれらの塩〔米国特許第3853837号,同第4008209号、同第3972859号,英国特許第1423083号,プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proceedings of the National Academy of Science)第78巻,6509〜6512頁(1981年)参照〕が用いられる。
LH−RH 拮抗物質、例えば下式(II):
N−α−t−ブトキシカルボニル−O−ベンジル−Ser−Trp−Ser−Tyr−X1−Leu−Arg−Pro−GlyNH2・・・(II)
〔式中、X1はD−SerまたはD−Trpを示す〕で表されるポリペプチドまたはそれらの塩(米国特許第4086219号,同第4124577号,同第4253997号,同第4317815号参照)が用いられる。
インスリン;ソマトスタチン,ソマトスタチン誘導体、例えば下式(III):
Figure 0004410421
〔式中、YはD−Ala,D−SerまたはD−Val、ZはAsnまたはAlaを示す〕で表されるポリペプチドまたはそれらの塩(米国特許第4087390号,同第4093574号,同第4100117号,同第4253998号参照)が用いられる。
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH);メラノサイト刺激ホルモン(MSH);甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH),その誘導体、例えば下式(IV):
Figure 0004410421
〔式中、Xaは4,5または6員複素環基を、Yaはイミダゾール−4−イルまたは4−ヒドロキシフェニルを、ZaはCH2またはSを、R1a,R2aは同一または異なって水素もしくは低級アルキル基を、R3aは水素または置換基を有していてもよいアラルキル基を示す〕で表される化合物またはそれらの塩(特開昭50−121273号,特開昭52−116465号公報参照)が用いられる。
副甲状腺ホルモン(PTH),その誘導体、例えば下式(V):
R1’−Val−Ser−Glu−Leu−R2’−His−Asn−R3’−R4’−R5’−His−Leu−Asn−Ser−R6’−R7’−Arg−R8’−Glu−R9’−Leu−R10’−R11’−R12’−Leu−Gln−Asp−Val−His−Asn−R13’・・・(V)
〔式中、R1’はSerまたはAib、R2’はMetまたは天然型の脂溶性アミノ酸、R3’はLeu,Ser,Lysまたは芳香族アミノ酸、R4’はGlyまたはD−アミノ酸、R5’はLysまたはLeu、R6’はMetまたは天然型の脂溶性アミノ酸、R7’はGluまたは塩基性アミノ酸、R8’はValまたは塩基性アミノ酸、R9’はTrpまたは2−(1,3−ジチオラン−2−イル)Trp、R10’はArgまたはHis、R11’はLysまたはHis、R12’はLys,GlnまたはLeu、R13’はPheまたはPhe−NH2を示す〕で表されるペプチドまたはそれらの塩(特開平5−32696号,同第4−247034号,ヨーロッパ特許公開第510662号,同第477885号,同第539491号公報参照)、ヒト型PTHのN末端(1→34位)のペプチドフラグメント(以下、hPTH(1→34)と略す)など〔G.W.Tregearら、エンドクリノロジー(Endocrinology),93,1349−1353(1973)参照〕;バソプレシン,バソプレシン誘導体{デスモプレシン〔日本内分泌学会雑誌,第54巻 第5号第676〜691頁(1978)〕参照}が用いられる。
オキシトシン;カルシトニン、カルシトニンと同様な作用を有する誘導体、例えば下式(VI):
Figure 0004410421
〔式中、Xは2−アミノスベリン酸〕で表される化合物またはそれらの塩(エンドクリノロジー(Endocrinology)1992,131/6(2885−2890)参照〕;グルカゴン;ガストリン;セクレチン;コレーシストキニン;アンジオテンシンが用いられる。
エンケファリン,エンケファリン誘導体、例えば下式(VII):
Figure 0004410421
〔式中、R1cとR3cは水素または炭素数1から6のアルキル基、R2cは水素またはD−α−アミノ酸、R4cは水素または炭素数1から8の置換されていてもよい脂肪族アシル基を示す〕で表されるペプチドまたはそれらの塩(米国特許第4277394号,ヨーロッパ特許出願公開第31567号公報参照)等のオリゴペプチドおよびエンドルフィンが用いられる。
キョウトルフィン;インターロイキン(IからXI);タフトシン;サイモポイエチン;胸腺液性因子(THF);血中胸腺因子(FTS)およびその誘導体、例えば式(VIII):
PGlu−Xd−Lys−Ser−Gln−Yd−Zd−Ser−Asn−OH・・・(VIII)
〔式中、XdはL−またはD−Ala、Yd及びZdは各々Glyまたは炭素数3から9のD−アミノ酸を示す〕で表されるペプチドまたはそれらの塩(米国特許第4229438号参照);およびその他の胸腺ホルモン〔サイモシンα1およびβ4,サイミックファクターX等、医学のあゆみ、第125巻,第10号,835−843頁(1983年)参照〕が用いられる。
モチリン;デイノルフィン;ボムベシン;ニュウロテンシン;セルレイン;ブラディキニン;ウロキナーゼ;サブスタンスP;ポリミキシンB;コリスチン;グラミシジン;バシトラシン;タンパク合成刺激ペプチド(英国特許第8232082号参照);胃酸分泌抑制ポリペプチド(GIP);バソアクティブ・インティスティナル・ポリペプチド〔vasoactive intestinal polypeptide(VIP)〕;プレートレット−ディライブド・グロース・ファクター〔platelet−derived growth factor(PDGF)〕;成長ホルモン分泌因子(GRF,ソマトクリニン)などが用いられる。
これらの生理活性ペプチドはヒト型でも他の動物、たとえばウシ、ブタ、ニワトリ、サケ、ウナギ由来のものでもよく、さらにはヒトとそれら動物由来のもののキメラ体でもよい。さらに一部構造を変化させた活性誘導体でもよい。例えば、ブタ由来のインスリンや、カルシトニンではブタ、ニワトリ、サケ、ウナギ由来のものあるいはヒトとサケのキメラ体であって、下式(IX):
Cys−Gly−Asn−Leu−Ser−Thr−Cys−Met−Leu−Gly−Lys−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu−His−Lys−Leu−Gln−Thr−Tyr−Pro−Arg−Thr−Asn−Thr−Gly−Ser−Gly−Thr−Pro・・・(IX)
で表されるペプチド〔エンドクリノロジー(Endocrinology)1992,131/6(2885−2890)参照〕などが用いられる。
(実験例)
以下に実験例に基づいて本発明の実施例、比較例をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実験例1においては、極性反転型通電における電気特性及び吸収性に及ぼす電極材料の影響をインビボで評価した。実験例2は本発明の電極構造体のラットにおける吸収性及び電気特性について検討した。実験例3は塩基性薬剤における塩素イオン量と極性反転時間の関係について、実験例4は酸性薬剤における塩素イオン量と極性反転時間の関係について、ラットにおける吸収性及び電気特性について検討した。実験例5は本発明の電極構造体を用いたクエン酸フェンタニルのウサギにおける吸収試験を実施した。
(実験例1)
実験例1では本発明のデバイス構造体における電極材料の影響について検討したものである。本実験は、SDラット(雄性、体重約250〜300g)の腹部皮膚をバリカン及びシェーバーで剃毛処理した後、70%エタノール水溶液を含む脱脂綿を用いて脱脂消毒して使用した。実施例1、実施例2及び比較例1の電極構造体における電極材料を表1に示す。電極はPET製のシートに各電極材料を含む導電性インクをスクリーン印刷した後にカップ状に成型加工した容器(PET製、内径24mm、有効面積4.5cm)に装着し、5.0%(w/w)コレスチラミン及び2.0%(w/w)塩酸リドカイン、0.2%(w/w)メチルパラベン、1.0%(w/w)カンテンを含むゲルを0.7g充填し電極構造体を作成した。ラット腹部皮膚に前記電極構造体を2枚(第1電極構造体及び第2電極構造体)に貼付し、通電は短絡スイッチによるパルス脱分極直流通電(周波数50kHz、デューティー50%)を用い、定電流0.1mA/cm、極性反転時間30分、総通電時間4時間で通電した。通電終了後に各電極構造体中に残存する薬物量を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、総薬物吸収量は初期含量(リドカインとして約24.2mg/2枚)から残存量を差し引いて算出した。
Figure 0004410421
前記実施例及び比較例で得られた結果を表2に示す。実施例1の電極材料を用いた場合、通電中の極性切り換え時に瞬間的な電圧上昇及び通電中徐々に電圧上昇傾向が観察された。このような電気特性の変化は第1電極構造体においてカソード側として通電する際に電極中の塩素イオン(塩化銀として存在)が徐々に不足するためと思われる。また、実施例2では通電中の電圧変化は認められなかった。一方、非活性電極を用いた比較例1では、通電中に電圧が急激に上昇した後、絶縁状態となり通電できなかった。このように比較例1では通電中のガス発生によってゲル接触面積が変化したためと考えられる。リドカインの総吸収量は実施例1及び2では約3.2〜3.4mgであったのに対して、比較例では約1.8mgと顕著に低かった。
Figure 0004410421
(実験例2)
次に、実施例3〜8及び比較例2、3に示す処方を用いて各電極構造体を作成し、その電気特性及び薬物吸収性を評価した。電極はPET製のシートに銀及び塩化銀を含む導電性インク(銀と塩化銀とのモル比約1:1)をスクリーン印刷した後にカップ状に成形加工した容器(PET製、内径24mm、有効面積4.5cm)に装着し、各実施例及び比較例に示す処方のゲル0.7gを充填した。実験はSDラット(雄性、体重約250〜300g)の腹部皮膚をバリカン及びシェーバーで剃毛処理した後,70%エタノール水溶液を含む脱脂綿を用いて脱脂消毒して使用した。ラット腹部皮膚に前記電極構造体を2枚(第1電極構造体及び第2電極構造体)貼付し、通電は短絡スイッチによるパルス脱分極直流通電(周波数50kHz、デューティー50%)を用い、定電流0.1mA/cm、極性反転時間30分、総通電時間4時間で通電した。通電終了後に各電極構造体中に残存する薬剤量を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、総吸収量は初期含量から残存量を差し引いて算出した。
実施例3
Figure 0004410421
Figure 0004410421
実施例4
Figure 0004410421
実施例5
Figure 0004410421
実施例6
Figure 0004410421
Figure 0004410421
実施例7
Figure 0004410421
実施例8
Figure 0004410421
Figure 0004410421
比較例2
Figure 0004410421
比較例3
Figure 0004410421
前記実施例及び比較例で得られた結果を表3に示す。実施例3及び実施例4における塩酸リドカインを処方中に添加した場合、処方中の塩素イオンと電極から溶出する銀イオンが反応し、皮膚の着色は観察されず、高い吸収性を示した(投与量に対して約17%程度)。薬物にクエン酸フェンタニルを用いた場合、実施例5及び6の処方における塩素イオンは4級アンモニウム塩化物から供給されるため、通電終了後の皮膚着色は観察されず、投与量に対して約17%程度の高い吸収性を示した。一方、比較例2では処方中に塩素イオンが存在しないことから、通電中に銀がゲル中に移行し不溶性物質を析出し、さらに皮膚に着色が観察された。
薬物にジクロフェナックナトリウムを用いた場合、実施例7及び8において添加された塩素イオン(4級アンモニウム塩化物)は競合成分となるが、添加した4級アンモニウム塩化物の量が少なく、極性反転時間が短いことから、比較例3と同等であった(投与量に対して約30%程度)。しかし、比較例3では通電中アノード側で溶出する銀イオンのため、通電終了後には両デバイス構造体に接する皮膚着色が認められた。
Figure 0004410421
(実験例3)
塩基性薬物としてクエン酸フェンタニルを用いて、実施例9〜14、比較例4、5に示す処方において電極構造体を作成し、塩素イオン含量と極性反転時間の関係について電気特性及び薬物吸収性から評価した。電極はPET製のシートに銀及び塩化銀を含む導電性インク(銀と塩化銀のモル比約1:1)をスクリーン印刷した後にカップ状に成形加工した容器(PET製、内径24mm、有効面積4.5cm)に装着し、各実施例及び比較例に示す処方のゲル0.7gを充填した。本実験はSDラット(雄性、体重約250〜300g)の腹部皮膚をバリカン及びシェーバーで剃毛処理した後,70%エタノール水溶液を含む脱脂綿を用いて脱脂消毒して使用した。ラット腹部皮膚に前記電極構造体を2枚(第1電極構造体及び第2電極構造体)貼付し、通電は短絡スイッチによるパルス脱分極直流通電(周波数50kHz、デューティー50%)を用い、定電流0.1mA/cm、極性反転時間30秒〜90分、総通電時間4時間で通電した。通電終了後に各電極構造体中に残存する薬剤量を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、総吸収量は初期含量から残存量を差し引いて算出した。また、表4には各実施例及び比較例における塩素イオン量及び極性反転時間を示す。本実験における各電極構造体における塩素イオン含量はコレスチラミン中の塩素イオン含量(約15%(w/w))から算出した。各電極構造体中の塩素イオン含量と予め設定した極性反転時間における塩素イオン反応量から計算した塩素イオンの必要量(P)から、塩素イオン必要量に対する添加量の比を算出した。
実施例9
Figure 0004410421
実施例10
Figure 0004410421
実施例11
Figure 0004410421
実施例12〜14及び比較例4、5
Figure 0004410421
Figure 0004410421
Figure 0004410421
表5は各実施例及び比較例について、塩基性薬剤(クエン酸フェンタニル)のラットにおける吸収量を示す。実施例9から14においてフェンタニルの吸収量は約2.0〜4.4mgであり約15%が吸収された。また、本実験における処方中に添加した塩素イオン量(極性反転時間に相当する塩素イオン必要量の約1111倍量)の範囲では何れも高い吸収性を示し、通電中の電圧変化も観察されなかった。
一方、実施例12〜14及び比較例4、5においてクエン酸フェンタニルの吸収性及び電気特性に及ぼす極性反転時間の影響について検討した結果、極性反転時間が短い(0.5分)比較例4において吸収性が低下した。特に、比較例5では通電中に電圧上昇が観察され絶縁状態となった。一方、実施例9〜14の極性反転時間の範囲においては、実施例14で通電中に電圧上昇傾向が観察されたが大きな変化は認められなかった。
Figure 0004410421
(実験例4)
酸性薬物としてジクロフェナックナトリウムを用いて、実施例15〜19、比較例6、7に示す処方において電極構造体を作成し、塩素イオン含量と極性反転時間の関係について電気特性及び薬物吸収性から評価した。電極はPET製のシートに銀及び塩化銀を含む導電性インク(銀と塩化銀のモル比約1:1)をスクリーン印刷した後にカップ状に成形加工した容器(PET製、内径24mm、有効面積4.5cm)に装着し、各実施例及び比較例に示す処方のゲル0.7gを充填した。本実験はSDラット(雄性、体重約250〜300g)の腹部皮膚をバリカン及びシェーバーで剃毛処理した後,70%エタノール水溶液を含む脱脂綿を用いて脱脂消毒して使用した。ラット腹部皮膚に前記電極構造体を2枚(第1電極構造体及び第2電極構造体)貼付し、通電は短絡スイッチによるパルス脱分極直流通電(周波数50kHz、デューティー50%)を用い、定電流0.1mA/cm、極性反転時間30秒〜90分、総通電時間4時間で通電した。通電終了後に各電極構造体中に残存する薬剤量を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、総吸収量は初期含量から残存量を差し引いて算出した。また、表6には各実施例及び比較例における塩素イオン量及び極性反転時間を示す。本実験における各電極構造体における塩素イオン含量はコレスチラミン中の塩素イオン含量(約15%(w/w))から算出した。各電極構造体中の塩素イオン含量と予め設定した極性反転時間における塩素イオン反応量から計算した塩素イオンの必要量(P)から、塩素イオン必要量に対する添加量の比を算出した。
実施例15
Figure 0004410421
実施例16
Figure 0004410421
Figure 0004410421
実施例17
Figure 0004410421
実施例18
Figure 0004410421
実施例19
Figure 0004410421
Figure 0004410421
比較例6
Figure 0004410421
比較例7
Figure 0004410421
Figure 0004410421
表7は各実施例及び比較例について、酸性薬剤(ジクロフェナックナトリウム)のラットにおける通電特性及び吸収量を示す。実施例15から19においてフェンタニルの吸収量は4.2〜6.3mgであり約40%程度が吸収された。また、本実験における処方中に添加した塩素イオン量(極性反転時間に相当する塩素イオン必要量の約11〜80倍)の範囲では何れも高い吸収性を示し、通電中の電圧変化も観察されなかった。また、約111倍量の塩素イオンが存在する比較例6では吸収量が低下する傾向が観察された。
一方、実施例15、18、19及び比較例7において極性反転時間の影響について検討した結果、極性反転時間が短い(0.5分)比較例7において吸収量の低下傾向が認められた。また、実施例15〜18、比較例6、7においては電圧の変化は観察されなかったが、実施例19で通電中に電圧上昇傾向が観察された。
Figure 0004410421
(実験例5)
次に、塩基性薬物としてクエン酸フェンタニルを用いて、実施例20に示す処方において電極構造体を作成し、ウサギにおける吸収試験により極性反転通電における長時間の持続的吸収性を確認した。電極はPET製のシートに銀及び塩化銀を含む導電性インク(銀と塩化銀のモル比約1:1)をスクリーン印刷した後にカップ状に成形加工した容器(PET製、内径24mm、有効面積4.5cm)に装着し、各実施例及び比較例に示す処方のゲル0.7gを充填した。本実験は、日本白色種雄性ウサギ(体重約3.0〜4.0kg)の背部皮膚をバリカン及びシェーバーで剃毛処理した後,70%エタノール水溶液を含む脱脂綿を用いて脱脂消毒して使用した。ウサギ背部皮膚に前記電極構造体を2枚(第1電極構造体及び第2電極構造体)貼付し、通電は短絡スイッチによるパルス脱分極直流通電(周波数50kHz、デューティー50%)を用い、定電流0.1mA/cm、極性反転時間30分、総通電時間8時間で通電した。経時的に耳介静脈より血液を採取し、血清中の薬剤濃度をGC−MS法により測定した。
実施例20
Figure 0004410421
図6は実施例20における電極構造体を用いて極性反転型通電を8時間行った際のフェンタニル血清中濃度を示す。フェンタニルの血清中濃度は通電中長時間に渡って約10〜15ng/mlで持続した。また、通電終了後におけるデバイス貼付部位の皮膚刺激は観察されなかった。これらの結果より、本発明における電極構造体による極性反転型通電は長時間使用において、持続的かつ安全に薬剤投与が可能であることが確認された。
(製造例)
(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸二塩酸塩の製造
Figure 0004410421
(S)−4−アミノアセチル−3−(3−アミノプロピル)−2−オキソ−ピペラジン−1−酢酸(GAPA)水溶液に、アセトニトリル7.0L、水6.6L、炭酸水素ナトリウム448g(5.33mol)を仕込み、次いで、N−(4−グアニジノベンゾイルオキシ)−5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミド(GBNB)1607g(4.27mol)を加えて室温で4時間攪拌した。反応液を2N−HClでpH3に調整して、酢酸エチルエステル抽出(30L×3)した。水層を約10L迄減圧濃縮した。水10Lを加え重曹でpH5.0に調整し、樹脂(SP−207、30L充填カラム)に吸着させた後、純水150Lで洗浄後、0.003N−HCl/5%アセトニトリル250Lで溶出した。有効画分(約200L)を合わせ、減圧濃縮(約10L迄)した。濃縮液を濃塩酸(約117ml)でpH1.5に調整し、さらに3L迄濃縮した後、エチルアルコール24Lを加えた。室温で19時間、氷冷下で2時間攪拌し、析出結晶を濾取した。89%エチルアルコール900mlで洗浄した後、一夜風乾し、50℃で9時間真空乾燥して819gの目的化合物の粗結晶を得た。この粗結晶を水2.05Lに溶解し、活性炭16.5gを加えて室温で30分攪拌した後、濾過した。濾液を0.2μのメンブランフィルターに通し、20.5Lのエチルアルコールを加えた。室温で5時間、氷冷下で2時間攪拌し、析出した結晶を濾取した。結晶を89%エチルアルコール(1.0L)で洗浄し、50℃で9時間真空乾燥し、一夜加湿(RH100%)し、再び50℃で9時間真空乾燥後、RH60〜70%で約3日間放置した。含水率5%(約2mol)の目的化合物(2塩酸塩)の精製した結晶753gを得た。
融点:245から251.5℃
元素分析 C273410−2HCl−1.5H
計算値:C 46.69:H 5.66:N 20.17:Cl 10.21
実測値:C 46.15:H 5.62:N 19.94:Cl 10.65
実施例21
イオントフォレーシス投与用デバイスとして、図7に示すような導電媒体10、11のそれぞれに製造例で得た化合物を含有するイオントフォレーシス投与用デバイスを作製した。本発明におけるイオントフォレーシス経皮透過方法に用いられるデバイスは、本発明のスイッチングイオントフォレーシス経皮投与の目的にかなうものであれば特に限定されないが、図7に示すように、電源1、コンピュータ制御式電流発生装置2およびタイマー付きスイッチ3を有する電源装置20と、2つの電極デバイスユニット4、5と、粘着テープ16および剥離ライナー14、15とを備える。各電極デバイスユニット4、5は、例えば、それぞれ窪みを形成した絶縁支持体6、7、電極8、9、導電媒体層10、11(例えば、ハイドロゲルと電解質等を含む導電性水分貯体など)、および親水性多孔性薄膜12、13から構成される。
ここで、対となる2つの電極デバイスユニット4、5はいずれも相似で、形状は円盤状で、電極8、9の内径は25mm、導電媒体10、11の内径及び容積はそれぞれ30mm及び1.3mL、親水性多孔性薄膜12、13の直径は35mm(表面積9.62cmに相当)であった。絶縁支持体6、7はプラスチック製(ポリエチレンテレフタレート:PET)で、カップ(cup)状のもの(庇部の長さ約5mm)を使用した。電極は銀と塩化銀が1:1の重量割合でシートに印刷したものを使用した。このときの印刷された銀/塩化銀の厚さは約15ミクロンであった。また導電媒体としては、上記の化合物を4.32%(w/w)(2HCl塩として56.13mg、遊離体として50mgに相当する)、アガロースを1%(w/w)、L−プロリンを10%(w/w)、NaOHを0.23%(w/w)含有するゲルを使用した。このときの導電媒体のpHは約4.5であった。また、親水性多孔性薄膜12、13としては、親水性デュラポア(商品名:日本ミリポア社製)を使用した。また、親水性多孔性薄膜に接する剥離ライナー14、15としてはPETシートを用いた。また、粘着テープ16としては、ブレンダーム(3M社製)を使用した。
薬物投与対象には10週齢の雄性SDラット(体重約400g)を用いた。前記ラットはペントバルビタールで麻酔した後、腹部をシェイプし、その部位にイオントフォレーシス用デバイスを貼付した。さらに、前記デバイスの対となる2つの電極端子を、図7に示すようにタイマー付きスイッチ3、さらには電流発生装置2(50kHz、50%duty)及び電源1に接続し、定透過電流(電流密度0.075mA/cm;総電流0.72mA)となる条件で、スイッチングイオントフォレーシス投与を24時間行った。なお、電流が流れる部位は親水性多孔性薄膜が皮膚と接触している部位であり、その面積は9.62cmであった。この時のスイッチング条件は、5分毎の電極の極性の反転の繰り返しで、タイマーにより設定した時間間隔で電流を1方向に流した後、瞬時にリレーを働かせて極性を反転させて通電を再開する方法で行った。また、投与開始後、経時的に採血を行い、血清中の化合物濃度をHPLCにより測定した。
なお、血清サンプルは生理食塩液で希釈した後、前処理用カラム(Bond Elut C18)にアプライし、カラムに吸着させ、さらに1%TFA含有メタノール溶液で溶離させる方法で血清成分を大まかに除去し、窒素気流下で溶媒を蒸発させた後、HPLC用溶離液で溶解させ、HPLCにアプライした。HPLCの条件は下記のとおりである。
HPLC条件:
カラム:L−column(ODS;内径4.6mm;長さ150mm;化学品検査協会)
溶離液:0.05mol phosphate buffer(pH3.5)/Acetonitrile/0.5mol Sodiuml−octabesykfibate=85/15/1
流速:1mL/分
UVの波長:254nm
実施例22
実施例21で用いたものと同じイオントフォレーシス投与用デバイスを用い、反転の時間間隔を15分とすること以外は、実施例21と同じ条件でラットにイオントフォレーシス投与を行ったときの血清中化合物濃度を調べた。
血清中化合物濃度の時間推移
実施例21及び22における血清中化合物濃度の時間推移は図8に示す通りである(図8において、黒丸は実施例21の結果を、白丸は実施例22の結果を示す)。いずれの投与においても、血清中化合物濃度は2時間跡には約2000ng/mlに達し、その後、その濃度が24時間まで維持される結果を示した。すなわち、スイッチングを行うことにより通電性が長時間にわたり維持され、通電に応答する高い経皮吸収性が長時間にわたって維持されることがわかった。なお比較対象として、別途、実施例21のイオントフォレーシス投与デバイスを用いて電極の反転を行わず1方向での通電を行った結果、約1.5時間後には電圧が急上昇し、その後通電不良となった。
また別の比較対象として、別途、電極が箔銀からなる以外、実施例21と同じ組成の電極デバイスユニットを陽極用電極デバイスユニットとして用い、また陰極用電極デバイスユニットとしては、市販のプリント銀/塩化銀電極を用い、極性を反転させずに一方向でのイオントフォレーシス投与(但し陰極用電極ユニットは数時間ごとに取り替える;電流密度0.075mA/cmの条件)を行った場合の血清中化合物濃度と比較すると、実施例21、22で得られた定常状態での血清中濃度はその約80%で期待された以上の皮膚透過促進効果があった。一般的には極性を反転させると一旦皮膚側に移行した化合物が通常とは逆のイオントフォレーシス効果(薬物が陰極に向かって移動する効果)を受けて、イオントフォレーシスによる期待した皮膚透過促進が得られないと懸念されたが、本結果は、好適な化合物の選択、極性の反転時間および電極デバイスユニットにおける好適組成によって得られたものといえる。
実施例23
イオントフォレーシス投与用デバイスとして、図7に示すような導電媒体10、11のそれぞれに製造例で得た化合物を含有するイオントフォレーシス投与用デバイスを作製した。対となる2つの電極デバイスユニット4、5はいずれも相似で、形状は円盤状で、電極8、9の内径は25mm、導電媒体10、11の内径及び容積はそれぞれ30mm及び1.3mL、親水性多孔性薄膜12、13の直径は35mm(表面積9.62cmに相当)であった。絶縁支持体6、7はプラスチック製(ポリエチレンテレフタレート:PET)で、カップ(cup)状のもの(庇部の長さ約5mm)を使用した。電極は銀と塩化銀が1:1の重量割合でシートに印刷したものを使用した。このときの印刷された銀/塩化銀の厚さは約15ミクロンであった。また、導電媒体としては、上記の化合物を4.32%(w/w)、アガロースを1%(w/w)、グリセリンを10%(w/w)、メグルミンを1.14%(w/w)、ポリソルベート80を5%含有するゲルを使用した。このときの導電媒体のpHは約4.5であった。また、親水性多孔性薄膜12、13としては、親水性デュラポア(商品名:日本ミリポア社製)を使用した。また、親水性多孔性薄膜に接する剥離ライナー14、15としてはPETシートを用いた。また、粘着テープ16としては、ブレンダーム(3M社製)を使用した。このイオントフォレーシス投与用デバイスを用い、反転の時間間隔を30分とし、電流密度を0.05mA/cmとする以外は、実施例21と同じ条件でラットにイオントフォレーシス投与を行い、血清中化合物濃度を調べた結果、良好な吸収と期待して高い血清中化合物濃度が24時間にわたって維持されることが確認された(2時間後の血清中化合物濃度:約2500ng/mL)。また、導電媒体にポリソルベート80を配合することにより消費電力の削減効果が認められた(印加電圧値を1/2以下に下げても所定の電流密度が得られる効果)。
実施例24
イオントフォレーシス投与用デバイスとして、図7に示すような導電媒体10、11のそれぞれに製造例で得た化合物を含有するイオントフォレーシス投与用デバイスを作製した。対となる2つの電極デバイスユニット4、5はいずれも相似で、形状は円盤状で、電極8、9の内径は25mm、導電媒体10、11の内径及び容積はそれぞれ30mm及び1.3mL、親水性多孔性薄膜12、13の直径は35mm(表面積9.62cmに相当)であった。絶縁支持体6、7はプラスチック製(ポリエチレンテレフタレート:PET)で、カップ(cup)状のもの(庇部の長さ約5mm)を使用した。電極は銀と塩化銀が1:1の割合でシートに印刷したものを使用した。このときの印刷された銀/塩化銀の厚さは約15ミクロンであった。また、導電媒体としては、上記の化合物を4.32%(w/w)、寒天を1%(w/w)、グリセリンを10%(w/w)、メグルミンを1.14%(w/w)、ポリソルベート80を0.1%、メチルパラベンを0.2%(w/w)、安息香酸を0.2%(w/w)含有するゲルを使用した。このときの導電媒体のpHは約4であった。また、親水性多孔性薄膜12、13としては、親水性デュラポア(商品名:日本ミリポア社製)を使用した。また、親水性多孔性薄膜に接する剥離ライナー14、15としてはPETシートを用いた。また、粘着テープ16としては、ブレンダーム(3M社製)を使用した。このイオントフォレーシス投与用デバイスを用い、反転の時間間隔を10分とし、電流密度を0.05mA/cmとする以外は、実施例21と同じ条件でラットにイオントフォレーシス投与を行い、血清中化合物濃度を調べた結果、良好な吸収と期待した高い血清中化合物濃度が24時間にわたって維持されることが確認された(2時間後の血清中化合物濃度:約2000ng/mL)。また、実施例23と同様に導電媒体にポリソルベート80を配合することにより消費電力の削減効果が認められた(印加電圧値を1/2以下に下げても所定の電流密度が得られる効果)。
実施例25
実施例24で用いたものと同じイオントフォレーシス用デバイスを用い、電流密度の設定として投与開始時から120分までは電流密度を0.1mA/cmとし、その後は0.05mA/cmを用いること以外は、実施例24と同じ条件でラットにイオントフォレーシス投与を行い、血清中化合物濃度を調べた。
その結果として、投与開始から120分までに比較的早い経皮吸収が起こり、血清中化合物濃度が定常状態に達する時間が速まることが挙げられる。
実施例26
実施例24で作製したイオントフォレーシス投与用デバイスにおいて、対となる2つの電極デバイスユニット4、5のうち一方の電極デバイスユニット5における導電媒体に対し、その部分を上記の化合物及びメチルグルカミンを含有しないゲルからなる媒体に取り替え、他方の電極デバイスユニット4のみに上記化合物が配合されているイオントフォレーシス投与用デバイスを作製した。その投与用デバイスを用い、反転の条件とし30分間通電した後、通電を30分間停止させ、その後極性を反転させ通電を再開する条件を採用し、さらに電流密度を0.05mA/cmとし、投与開始時において電極デバイスユニット4が陽極となる条件以外は、実施例21と同じ条件でラットにイオントフォレーシス投与を行い、血清中化合物濃度を調べた。
その結果として、投与後30分間に化合物の経皮吸収による血清中化合物濃度の上昇が起こり、次の90分は経皮吸収が停止することによる血清中化合物濃度の低下が起こり、電極デバイスユニット4が再び陽極となったときにおいて経皮吸収が起こり、血清中濃度が上昇し、ほぼもとの高さまで戻るパターンの繰り返し、すなわち化合物が配合されている電極デバイスユニット4が陽極となったときにおいて、経皮吸収が起こり、血清中濃度が上昇し、それ以外の時間において経皮吸収が停止し、血清中濃度が降下する、安定したパルス型血清中化合物濃度推移が24時間にわたり繰り返されることが挙げられる。
実施例27
実施例26において反転の条件とし30分間通電した後、通電を10分間停止させ、その後極性を反転させ、通電を再開する条件を採用し、それ以外は実施例26と同じ条件でラットにイオントフォレーシス投与を行い、血清中化合物濃度を調べた。
その結果として、投与後30分間に化合物の経皮吸収による血清中化合物濃度の低下が起こり、電極デバイスユニット4が再び陽極となったときにおいて経皮吸収が起こり、血清中濃度が上昇するパターンの繰り返し、すなわち化合物が配合されている電極デバイスユニット4が陽極となったときにおいて経皮吸収が起こり、血清中濃度が上昇し、それ以外の時間において経皮吸収が停止し、血清中濃度が降下する、パルス型血清中化合物濃度のパルスのピーク値は反転を繰り返す毎にやや上昇していく傾向が指摘される。
実施例28
実施例24で作成したイオントフォレーシス投与用デバイスにおいて、対となる2つの電極デバイスユニット4,5のうち一方の電極デバイスユニット5における導電媒体に対し、その部分を上記の化合物およびメチルグルカミンをいずれも4分の1量配合されるゲルからなる媒体に取り替え、両電極デバイスユニットにおける配合化合物濃度が異なるイオントフォレーシス投与用デバイスを作製する。
その投与用デバイスを用い、反転の条件とし30分間通電した後、通電を10分間停止させ、その後極性を反転させ通電を再開する条件を採用し、さらに電流密度を0.05mA/cmとし、投与開始時において電極デバイスユニット4が陽極となる条件以外、実施例21と同じ条件でラットにイオントフォレーシス投与を行い、血清中化合物濃度を調べる。
その効果として、投与後30分間に化合物の経皮吸収による血清中化合物濃度の上昇が起こり、次にこの電極デバイスユニット4が陽極となるまでの間の50分間は経皮吸収の停止あるいは経皮吸収速度の低下により血清中化合物濃度の上昇度合いにおいて低下が起こり、電極デバイスユニット4が再び陽極となったときにおいて経皮吸収がさらに高まり、血清中濃度が再びもとの高さまで上昇するパターンを繰り返し、すなわち総投与期間である24時間を通じて化合物の血清中濃度がほぼ一定の範囲内に維持されることが挙げられる。
産業上の利用可能性
本発明によれば、種々の薬剤に応用でき、かつ、効率的かつ持続的吸収が長時間にわたって得られ、その際の薬剤の輸率を低下させることなく通電性と吸収性を保持するとともに、薬剤の高い生物学的利用効率を与えるための汎用性及び実用性の高い長時間型のイオントフォレーシスデバイスを得ることができる。すなわち、銀及び塩化銀を含む混合物からなる活性電極、所定量の塩素イオンと有効成分を含む2つの電極構造体、および極性反転手段を備えた電源装置を用いることにより、安全で効率的かつ持続的吸収が長時間にわたって得られる。さらに、本デバイスにおいて添加する塩素イオン量と極性反転時間を最適化することで薬剤の極性に影響されず、薬剤が高い生物学的利用効率で再現性よく経皮的に投与できる。
【図面の簡単な説明】
図1(a)、(b)は、それぞれ本発明に係るイオントフォレーシスデバイスの構成例を示す図である。
図2は、本デバイスで用いられる電源装置の構成例を示す図である。
図3(a)、(b)は、それぞれ本発明における電源装置より出力される極性反転型の平均の電圧または電流出力パターンを示す図である。
図4は、本発明に係るイオントフォレーシスデバイスの構成例を示す図である。
図5は、本発明に係るイオントフォレーシスデバイスの他の構成例を示す図である。
図6は、実施例20における極性反転型通電を行った際のフェンタニル血清中濃度を示すグラフである。
図7は、本発明に係るイオントフォレーシスデバイスの具体的構成例を示す断面図である。
図8は、実施例21及び22における血清中化合物濃度の時間推移を示すグラフである。

Claims (20)

  1. 少なくとも1種類の有効成分を含有する親水性導電層と活性電極材料からなる電極部材とをそれぞれ有する第1電極構造体および第2電極構造体と、第1電極構造体及び第2電極構造体の電極部材間に電気的に接続され両電極構造体間の電流の方向を切り換えるための極性反転手段を有する電源装置とを備え、上記有効成分が中性またはカチオン性であって、第1電極構造体及び第2電極構造体の少なくとも一方が塩素イオンを含み、投与前において、塩素イオン量(Pmg)が下記式
    1.0×(I×T×0.022)≦P
    (Tは一定方向の通電後に極性を反転するまでの極性反転時間(分)、Iは平均電流(mA)を示す)
    を満たす範囲にあることを特徴とするイオントフォレーシスデバイス。
  2. 少なくとも1種類の有効成分を含有する親水性導電層と活性電極材料からなる電極部材とをそれぞれ有する第1電極構造体および第2電極構造体と、第1電極構造体及び第2電極構造体の電極部材間に電気的に接続され両電極構造体間の電流の方向を切り換えるための極性反転手段を有する電源装置とを備え、上記有効成分がアニオン性であって、第1電極構造体及び第2電極構造体の少なくとも一方が塩素イオンを含み、投与前において、塩素イオン量(Pmg)が下記式
    1.0×(I×T×0.022)≦P≦100×(I×T×0.022)
    (Tは一定方向の通電後に極性を反転するまでの極性反転時間(分)、Iは平均電流(mA)を示す)
    を満たす範囲にあることを特徴とするイオントフォレーシスデバイス。
  3. 記電源装置による極性反転が定期的に繰り返されることを特徴とする請求項1記載のイオントフォレーシスデバイス。
  4. 記電源装置による極性反転が定期的に繰り返されることを特徴とする請求項2記載のイオントフォレーシスデバイス。
  5. 上記電源装置が、極性反転時間を制御するタイマー手段を有することを特徴とする請求項1〜4記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  6. 塩素イオンが、上記親水性導電層、または上記電極部材と上記親水性導電層間に設けられた別の親水性導電層に含有されることを特徴とする請求項1〜5記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  7. 第1電極構造体及び第2電極構造体が、所定量の塩素イオン及び少なくとも1種類の有効成分を含有した同一組成からなることを特徴とする請求項1〜6記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  8. 上記電極部材が、少なくとも銀及び塩化銀を含む導電性インクの印刷により形成されることを特徴とする請求項1〜7記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  9. 上記電極部材の銀と塩化銀の構成比または混合比が1:9〜9:1であることを特徴とする請求項8のイオントフォレーシスデバイス。
  10. 上記電極部材にさらにハロゲン化合物を含むことを特徴とする請求項8または9記載のイオントフォレーシスデバイス。
  11. 塩素イオンが塩酸から供給されることを特徴とする請求項1〜10記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  12. 塩素イオンが少なくとも有効成分の塩酸塩から供給されることを特徴とする請求項1〜11記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  13. 塩素イオンが少なくとも4級アンモニウム塩化物を含む樹脂または高分子から供給されることを特徴とする請求項1〜12記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  14. 上記樹脂がアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマーまたはコレスチラミンから選ばれることを特徴とする請求項13記載のイオントフォレーシスデバイス。
  15. 上記電極構造体がpH調整物質として有機アミンを含むことを特徴とする請求項1〜14記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  16. 上記pH調整物質がメグルミン、トロメタモール、トリエタノールアミン、アミノアクリレートのうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項15記載のイオントフォレーシスデバイス。
  17. 上記電源装置が、極性反転を行う際に回路を短絡する手段および/または一定時間の非通電時間を設ける手段を有することを特徴とする請求項1〜16記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  18. 上記電源装置による極性反転が少なくとも1回以上であり、1回の極性反転時間が1分から2時間であることを特徴とする請求項1〜17記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  19. 上記電源装置により印加される電流が直流、パルス直流およびパルス脱分極直流のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜18記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
  20. 上記電極構造体が窪みを形成した絶縁支持体を有し、上記電極部材及び親水性導電層を上記絶縁支持体の窪みに収容し、さらにその表面を半透膜、選択的透過膜、制御膜、または親水性多孔性薄膜で覆うように構成されることを特徴とする請求項1〜19記載のいずれかに記載のイオントフォレーシスデバイス。
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