JPH09102395A - 光学的素子 - Google Patents

光学的素子

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JPH09102395A
JPH09102395A JP7286848A JP28684895A JPH09102395A JP H09102395 A JPH09102395 A JP H09102395A JP 7286848 A JP7286848 A JP 7286848A JP 28684895 A JP28684895 A JP 28684895A JP H09102395 A JPH09102395 A JP H09102395A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子内の陽極5と陰極1との交差部PXにお
ける順方向への整流性を高めることによって、電流の漏
れを抑制すると共に、逆方向への電流が流れにくい光学
的素子を提供すること。 【解決手段】 陰極1の材料としてアルミニウムを使用
することにより、陽極である透明電極5からの陰極側へ
の順方向の整流性が向上すると共に、漏れ電流や逆方向
電流が大幅に減少する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的素子に関
し、例えば自発光の平面型ディスプレイであって、特
に、有機薄膜を電界発光層に用いる有機電界発光ディス
プレイに好適な光学的素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機電界発光素子(以下、有機EL素子
と称することがある。)は、1μm以下の膜厚であり、
電流を注入することにより電気エネルギーを光エネルギ
ーに変換して面状に発光するなど、自発光型の表示デバ
イスとして理想的な特長を有しており、近年活発な研究
開発が進められている。
【0003】このような素子を複数集合させ、それぞれ
を画素とするマトリクスディスプレイとしては、平行な
電極を直交させて形成するパッシブマトリクス型や、各
画素にトランジスタTFT(Thin Film Transistor)な
どのアクティブ素子を組み込むアクティブマトリクス型
がある。
【0004】図24は、従来の発光素子としての有機EL
素子10の一例を示す。この有機EL素子10は、透明基板
(例えばガラス基板)6上に、ITO(Indium tin oxi
de)透明電極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送
層2、陰極(例えばアルミニウム電極)1を例えば真空
蒸着法で順次製膜したものである。
【0005】そして、陽極である透明電極5と陰極1と
の間に直流電圧7を選択的に印加することによって、透
明電極5から注入されたホールがホール輸送層4を経
て、また陰極1から注入された電子が電子輸送層2を経
て、それぞれ発光層3に到達して電子−ホールの再結合
が生じ、ここから所定波長の発光8が生じ、透明基板6
の側から観察できる。
【0006】発光層3には、例えば亜鉛錯体を含有させ
ることもできるが、実質的に亜鉛錯体のみからなる層
(但し、複数種の亜鉛錯体の併用が可能)であってよい
し、或いは亜鉛錯体に螢光物質を添加した層であっても
よい。また、亜鉛錯体と他の発光物質であるアントラセ
ン、ナフタリン、フェナントレン、ピレン、クリセン、
ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチル
ベン等を併用してよい。こうした亜鉛錯体又は螢光物質
等との混合物は、電子輸送層2に含有させることができ
る。
【0007】図25は、別の従来例を示すものであり、こ
の例においては、発光層3を省略し、電子輸送層2に上
記の亜鉛錯体又は螢光物質との混合物を含有させ、電子
輸送層2とホール輸送層4との界面から所定波長の発光
18が生じるように構成した有機EL素子20を示すもので
ある。
【0008】図26は、上記の有機EL素子の具体例を示
す。即ち、各有機層(ホール輸送層4、発光層3又は電
子輸送層2)の積層体を陰極1と陽極5との間に配する
が、これらの電極をマトリクス状に交差させてストライ
プ状に設け、輝度信号回路30、シフトレジスタ内蔵の制
御回路31によって時系列に信号電圧を印加し、交差位置
にて発光させるように構成している。従って、このよう
な構成により、ディスプレイとして勿論、画像再生装置
としても使用可能となる。なお、上記のストライプパタ
ーンを赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎に配し、
フルカラー又はマルチカラー用として構成することがで
きる。
【0009】上記のように有機EL素子が、陽極である
透明電極5から注入されたホールと陰極から注入された
電子の再結合により発光する現象は、陽極から陰極へ順
方向に電流が流れる際に発光する一種の発光ダイオード
とみなすことができる。そして、逆方向へは電流が流れ
にくい、いわゆるダイオード特性(基本的には逆方向へ
は電流を流さない性質がある。)を有している。
【0010】逆方向に電流(リーク電流)が流れても有
機EL素子は発光することはないが、このような電流は
発光に寄与しないため無駄なエネルギー消費であるばか
りでなく、不要な素子の発熱やクロストークの原因にも
なるため、逆方向の電流を極力小さくすることが必要で
ある。
【0011】上記したように、特に、陰極と陽極との電
極が同一基板上にマトリクス状に交差させてストライプ
状に形成され、時系列的な信号電圧の印加により陰極と
陽極との交差する位置で発光するパッシブマトリクス型
の有機EL素子において、このようなダイオード特性は
極めて重要である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な実情に鑑みてなされたものであって、逆方向等に漏れ
る無駄な電流がなく、整流性の高い光学的素子を提供す
ることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、上記のような有
機EL素子の逆方向の電流電圧特性に着目し、画素数の
多いパッシブマトリクス型ディスプレイにも充分応用で
きる程に整流比を高めるためには、素子の構成材料を再
検討し、特に陰極の金属材料を再吟味することにより、
目的が達成できるとの結論を得、本発明に到達したもの
である。
【0014】即ち、本発明は、複数の陰極と複数の陽極
とが交差し、これらの交差部における両電極間の電位差
によって所定の表示を行うように構成され、前記陰極が
アルミニウムを主体とする材料によって形成されている
光学的素子に係るものである。
【0015】また、本発明は、複数の陰極と複数の陽極
とが交差し、これらの交差部における両電極間の電位差
によって所定の表示を行うように構成され、前記交差部
における両電極間の順方向抵抗と逆方向抵抗との比(逆
方向抵抗/順方向抵抗)が前記交差部の総数程度以上で
ある光学的素子に係るものである。
【0016】ここで、上記の「電位差によって」とは、
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型)のように、
個々の交差部での両電極間の電位差で直接発光するもの
以外に、TFT等の別の駆動源を付加してもよいことを
意味している。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に基づく光学的素子におい
て、陽極がインジウム−錫酸化物を主体とする材料によ
って形成されていることが望ましい。
【0018】そして、陰極と陽極との交差部が画素とし
て構成され、ストライプ状の複数の陰極とストライプ状
の複数の陽極との間に発光層を含む有機層が設けられて
いることが望ましい。このようにすることにより、この
素子は、所定の発光色を呈する発光素子として単純マト
リクス型に構成された有機電界発光ディスプレイに好適
である。
【0019】従って、本発明の素子は、交差部が画素と
して構成されていることが望ましい。
【0020】この場合、陰極がアルミニウムを主体とす
る材料によって形成され、陽極がインジウム−錫酸化物
を主体とする材料によって形成されていることが望まし
い。
【0021】また、陽極材料の仕事関数より 0.5eV小さ
い仕事関数よりも大きい仕事関数を有する材料が陰極に
ほとんど含まれていないことが望ましい。
【0022】また、ストライプ状の複数の陰極とストラ
イプ状の複数の陽極との間に発光層を含む有機層が設け
られていることが望ましい。
【0023】これにより、この素子は、所定の発光色を
呈する発光素子として単純マトリクス型に構成された有
機電界発光ディスプレイとして更に好適になる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例について詳細に説明す
る。
【0025】図1は、本発明を有機EL素子に適用した
実施例を示す要部の拡大断面図である。そして、本実施
例も、前述した従来例と同様に、ガラス等の透明基板6
上に、ITO透明電極5(以下、ライン電極と称するこ
とがある。)、ホール輸送層4、電子輸送層2(この例
では発光層を兼ねている。)、電極層1(以下、コラム
電極と称することがある。)が、この順に積層されてい
る。
【0026】そして、上記有機EL素子が単純マトリク
スの場合、図2の概略平面図に示すように、同一基板上
にライン電極5とコラム電極1との各交差部に有機EL
素子の1画素PXが形成されており、回路的には図3に
示すように、これらの各交差部に一つのダイオードDが
接続されているのと等価となる。
【0027】図2のように、素子単位で形成されるコラ
ム電極1とライン電極5との交差部の数は、少なくとも
72個存在し、1000×1000個とすることができる。従っ
て、1つの画素PXを発光させるために電圧を印加して
電流を流そうとすると、他の画素にも電圧がかかってし
まう。
【0028】このように多数の交差部が形成された素子
において、選択した画素へ流した電流の一般的な流れの
状態を示したものが図3である。即ち、図3(a)にお
いて、順方向だけを1回通る本来のパスAは実線で示す
パス、逆方向を通る副次的なパスBは破線で示すパス、
また、同図(b)において、逆方向を通る他の副次的な
パスCは破線で示すパスである。
【0029】そして、このような副次的なパスとして
は、n1 ………nn のライン電極5とm1 ………mn
コラム電極1とで形成された多数の交点を通る多数のパ
スが存在している。上記の一般的なパスを等価回路とし
て表したのが図4である。
【0030】ライン電極5の切り替えがフロート型と仮
定すると、等価回路は図4において、発光させようとす
る画素PXに直接電圧がかかり、電流が流れるべき本来
のパスA(実線)と、順方向−逆方向−順方向と流れる
副次的なパスB(破線)と、順方向−逆方向−順方向と
流れる他の副次的なパスC(破線)との例えば三つのル
ートを通ることになる。しかし、実際には、このような
ルートと同様、マトリクス上に多数の複雑に接続された
他の副次的なパスにも電圧がかかる。
【0031】一つのパネル上に(m+1)×(n+1)
の画素PXがあり、各画素PXは全て同じ電流電圧特性
を有するものとしてこの状態を簡単に解析すれば、図3
及び図4に示すように、本来のパスAでの順方向の抵抗
をR、副次的なパスB及びCでの順方向の抵抗をR’、
同じくB及びCでの逆方向の抵抗をR”とすれば、一般
的にR<R’<R”である。
【0032】このような回路に電圧Vをかけた場合に、
本来のパスAに流れる電流をJ、副次的なパスBにおい
て逆方向に画素PXを流れる電流をiとし、このような
副次的なパスを流れる電流は本来は意図せぬ漏れ電流
(リーク電流)であり、その総和をIとすれば、これら
の関係は次式で表され、図4のように解析できる。 V=JR=i{R'(m+n)+R”}
【0033】即ち、本来のパスAにおける電圧、電流、
抵抗の関係はV=JRであり、また、副次的なパスBに
おける順方向の抵抗R'(m+n)と逆方向の抵抗R”が
存在しているため、副次的なパスでの関係は、V=i
{R'(m+n)+R”}である。従って、漏れ電流の総
和Iは次式(1)のように表される。 I=mni=JmnR/{R'(m+n)+R”} I/J=mnR/{R'(m+n)+R”}・・・・・(式1)
【0034】しかし、一般に、R’は電圧により大きく
変動し、R”よりはかなり小さいのでここでは無視する
として、次式(2)が成り立つ。 I/J<mnR/R”・・・・・(式2)
【0035】本実施例において、無駄な漏れ電流を十分
に少なくするために、漏れ電流Iを本来の順方向のパス
Aの電流Jと同等以下にしようと思えば、I/J<mn
R/R”≦1とする必要がある。即ち、R/R”≦1/
mnであるから、R”/R≧mn(画素数の等倍)にし
なければならない。コラム電極m(1)、ライン電極n
(5)がそれぞれ1000程度のディスプレイを考えれば、
R”=〜106 Rであることが要求される。この抵抗比:
R”/Rは更に10mn〜100 mn、又はそれ以上である
のが望ましい。
【0036】ここで注目すべきことは、本実施例では、
図1に示した電極1、即ちコラム電極として整流特性の
良好な(順方向抵抗が小さく、逆方向抵抗の大きい)ア
ルミニウムを使用していることである。これにより、コ
ラム電極1及びライン電極5の両電極間の順方向の本来
的なパスの整流性が高められ、本来的なパス以外への漏
れ電流が著しく少なくなる。従って、逆方向への電流は
流れにくい(或いはほとんど流れない)ダイオード特性
が得られ、上記した抵抗比:R”/R≧mnが実現可能
となる。
【0037】このように、上記両電極間の個々の交差位
置におけるR”/Rは、理論的に上記の式を満たすこと
が必要であり、この条件を満たすものはアルミニウム電
極である。そして、これは後述する実験の結果により明
確に証明される。
【0038】本実施例では、上記した効果を示すため
に、次のように、2種類の発光素子をテストサンプルと
して作製し、それぞれの電流電圧特性を測定した。図5
はその要部の斜視図であり、図6はその要部の拡大断面
図である。
【0039】図5の(a)は比較例、図5(b)は本実
施例のテストピースの一部をそれぞれ示すものであっ
て、30mm2 のガラス基板16の一面に、ITO透明電極15
を蒸着した上にSiO2 絶縁膜14を蒸着して2×2mm2
の開口を(a)及び(b)共にそれぞれ所要ピッチで縦
横で計8×2=16個開け、更にマスク開口上に有機積層
体を形成したものである。この積層体は蒸着で形成可能
であり、抵抗加熱方式の蒸着機(昭和真空社製)を使用
し、真空度は約2×10-6Torrで行った。
【0040】各テストピースとも、上記マスク開口の上
に、後述するトリフェニルジアミン誘導体TPD(N,
N’−ビス(3−メチルフェニル)1,1’−ビフェニ
ル−4,4’−ジアミン)13を蒸着レート約0.1nm/s で
50nmの厚さに蒸着し、その上に、後述するAlq3
リス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム12を蒸
着レート約0.1nm/s で50nmの厚さに蒸着した。
【0041】そして、この上に、図5(a)では、陰極
の電極材としてマグネシウム−銀(重量比1:1)の合
金を蒸着し、図5(b)では、陰極としてアルミニウム
を蒸着した。いずれも蒸着レート1〜3nm/sで形成した
ものである。そして、測定結果は次の通りである。
【0042】図7及び図8は、縦軸に電流、横軸に電圧
をとり、整流性を表したものであり、図7は陰極にマグ
ネシウム−銀を用い、図8は陰極にアルミニウムを用い
てそれぞれの電極11A、11Bを形成したものである。
【0043】まず、マグネシウム−銀を用いた素子は、
図7のように、閾値電圧が順方向では10V、逆方向では
8Vであり、逆方向電圧の方が小さく、整流性が得られ
なかった。これはこの電極の逆方向抵抗が小さく、整流
性が優れていないことを表している。従って、逆方向電
圧側では8V位から急に電流が流れ出し、反対に順方向
においては10V位から急に電流が流れ出す。
【0044】これに対し、アルミニウム電極の場合に
は、図8に示すように、逆方向の20Vから順方向の12V
位までの間では電流が流れず、安定しており、12V付近
で閾値電圧を示す。逆方向電圧では、電流が流れないた
め、図7のマグネシウム−銀電極の場合に比べて、アル
ミニウム電極の方が顕著な整流性を有していることが分
かる。
【0045】図9は、陰極にアルミニウムを用い、発光
色が緑色の素子の場合の抵抗変化を表したものであり、
縦軸に抵抗、横軸に電圧をとって示したものである。そ
して、この図から、+25Vと−20Vの範囲で 104〜105
程度の整流性(逆方向での抵抗/順方向での抵抗)が得
られることが分かる。図9において抵抗の測定値は、−
20V〜+25Vの範囲の各電圧で、ほぼ108 Ω・cm2 〜50
Ω・cm2 である。
【0046】つまり、+20Vでの抵抗Rは約50Ω・cm2
であり、−20Vでの抵抗R”は106Ω・cm2 であるの
で、106/5×10≒2×104 であり、このことから、上記
した範囲(104〜105 程度)の整流性が確認できる。
【0047】同じく、図10は陰極にアルミニウムを用
い、発光色が赤色の素子の場合の抵抗比を表したもので
ある。この場合も、上記した図9とほぼ類似した抵抗変
化の傾向が見られる。即ち、+20Vでの抵抗Rは約50Ω
であり、−20Vでの抵抗R”は約107 Ωであるので、10
7/5×10≒2×105 となり、これから、 105〜106 程度
の整流性が得られていると判断される。
【0048】図9又は図10の抵抗比から、クロストーク
なく動作するパッシブマトリクスディスプレイの最大の
画素数(m×n)は2×104 又は2×105 となり、m又
はnとしては 140又は 450となる。これらを目安にし
て、画素数又は陽極及び陰極の電極数を決めることがで
きる。そして、単純マトリクス型ディスプレイにこれを
適用した場合、ライン電極の高速切り換えでもクロスト
ークを生じることなく、画像を表示できる。
【0049】また、順方向電流の整流性を確保するため
には、陽極と陰極とに使用される電極の金属の仕事関数
が重要である。陰極の仕事関数は陽極の仕事関数よりも
かなり小さくなければならない。また、陰極が合金の場
合、仕事関数の比較的大きな金属が含まれていてはいけ
ない。具体的には、(陽極材料の仕事関数−0.5eV )よ
り大きい仕事関数を有する材料が陰極の材料に含まれて
いないことである。
【0050】本実施例における有機EL素子の陽極材料
はITOであり、陰極の材料はアルミニウムであり、こ
の両者の仕事関数の差は次の通りである。 つまり、アルミニウムの最大 4.3eVとITOの最大 4.5
eVとの差は 0.2eVであり、アルミニウムの最小 4.0eVと
ITOの最大 4.7eVとの差は 0.7eVであるから、これら
の差の中間値(0.5eV付近)を基準にし、この値以下が整
流性を保持するための必要条件となる。
【0051】但し、上記の仕事関数の値は表面状態によ
って大きく変わり、報告されている値もばらついている
ため、厳密な数値として規定することは難しい。
【0052】従って、この条件、即ち(ITOの仕事関
数−0.5eV)より大きくない或いはそれ以下の仕事関数を
示すものであれば、陰極用として、アルミニウムは勿
論、アルミニウムに代わるものとして例えば、アルミニ
ウムと少量(望ましくは 0.1〜10重量%)のアルカリ金
属又はアルカリ土類金属との合金又は混合物であれば適
用可能である。
【0053】具体的には、アルミニウム−リチウム、ア
ルミニウム−ルビジウム、アルミニウム−バリウム、ア
ルミニウム−セリウム、アルミニウム−マグネシウム、
アルミニウム−カルシウム、アルミニウム−ストロンチ
ウム、アルミニウム−リチウム−マグネシウム等、或い
はこれら元素を複数種含むアルミニウム合金がある。
【0054】本実施例においては、上記したように、漏
れ電流を減らすために整流性に主眼をおき、その顕著な
効果が得られた。但し、上述した素子において、素子が
電源から離れて位置する程、配線抵抗によるその画素へ
の供給電圧の低下に伴って輝度の低下が生じ易い。しか
し、これは、後述する駆動回路によって改善される。即
ち、電圧の低下に伴う輝度の低下が起きないように全素
子に亘って制御されるので、後述の駆動回路が併用され
ていることによって本実施例の素子の優位性が更に顕著
になる。
【0055】図11は、上記のように構成された有機EL
素子20の概略平面図である。この場合、発光層は独立の
層として形成されている。透明基板6の上面にはITO
透明電極5が同一パターンでストライプ状に形成され、
これらの透明電極5の上にはこれらの電極とマトリクス
状に直交してSiO2 絶縁膜9が同一パターンでストラ
イプ状に形成されている。そして、絶縁膜9−9間に
は、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、アルミ
ニウム電極1がこの順でほぼ同じパターンに積層され、
この積層体が絶縁膜9と同一方向にて同一パターンでス
トライプ状に形成されている。
【0056】図12は、図11のA−A線断面におけるa部
の拡大断面図である。また、図13は、同じく図11のB−
B線断面におけるa部の拡大断面図である。そして、そ
の両図における上下の電極1と5との交差部が個々の画
素PXであり、陽極側の透明電極5から陰極側の電極1
の方向へ選択的に電流が流れる発光ダイオードが接続さ
れているのと等価となっている。
【0057】次に、図11〜図13に示した本実施例による
有機EL素子を図14〜図21に示す製造工程について更に
詳細に説明する。
【0058】初めに、図14に示すように、ガラス基板6
の全面にITO(Indium Tin Oxide)をスパッタ法によ
り成膜した後、図15(図14のXV−XV線断面図)のよう
に、エッチングにより、透明電極5を幅w1 =2mm、ピ
ッチw2 =2.54mmで8本を単位としてストライプパター
ンに形成する。これら8本の透明電極5はそれぞれ、1
本の両端の抵抗を約 300Ωとする。
【0059】次に、図16のように、後述する有機積層体
を絶縁するためのSiO2 絶縁膜9を全面蒸着後のエッ
チングでストライプ状に形成する。その幅w3 は1mm、
ピッチw4 は2.54mm、膜厚tは 100nmとする。
【0060】SiO2 絶縁膜9を形成した透明基板6
は、有機溶剤、紫外線(UV)オゾン処理により表面を
十分に清浄した後、上記真空蒸着装置32により赤
(R)、緑(G)、青(B)の3色を発光するストライ
プを隣接して形成するため、有機層及び金属電極を各色
毎に別の蒸着マスクを用いて次の手順で行った。
【0061】この蒸着は、図17に示すような真空蒸着装
置32を使用する。この装置の内部には、アーム34の下に
固定された一対の支持手段34が設けられ、この双方の固
定手段34、34の間には、透明基板6を下向きにし、後述
するマスク37、38又は39をセットできるステージ機構
(図示省略)が設けられている。そして、透明基板及び
マスクの下方には、所定個数の各種蒸着源35を配置す
る。蒸着源35は、電源36による抵抗加熱方式又は必要に
応じて電子線加熱(EB)方式で加熱される。
【0062】まず、真空蒸着装置32の中に透明電極基板
6と赤(R)色用のマスク37をセットする。図18は、そ
の透明基板6とマスク37の位置関係を示した一部分の拡
大断面図である。図示のように、蒸着は絶縁膜9−9間
の領域にマスク37のスリット状の開口部37aを位置合わ
せ(マスク掛け)する。マスク37の開口部37aは、絶縁
膜9−9間の領域に対して3本おきの間隔で形成されて
いる。従って、このマスク掛けにより、赤(R)の発光
体領域以外は遮蔽される。
【0063】このように、赤(R)色用のマスク37を掛
けてから、真空蒸着装置を2×10-6Torrの真空度に保
ち、下記の構造式のトリフェニルジアミン誘導体TPD
(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1,1’−ビ
フェニル−4,4’−ジアミン)を蒸着レート 0.3nm/s
で50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4Rを形成する。
【0064】続いて、同じマスク37をそのまま用いて、
下記構造式のAlq3 (トリス−(8−ヒドロキシキノ
リン)アルミニウム)とレーザー色素DCM(4−ジシ
アノメチレン−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−
2−メチル−4H−ピラン)をそれぞれ 0.3nm/s及び0.
03nm/sの蒸着レートで20nmの厚さに蒸着し、発光層3R
をホール輸送層4R上にほぼ同じパターンに積層する。
【0065】続いて、同じマスク37をそのまま用いて、
下記構造式のAlq3 (トリス−(8−ヒドロキシキノ
リン)アルミニウム)を蒸着レート 0.3nm/sで40nmの厚
さに蒸着し、電子輸送層2Rを発光層3R上にほぼ同じ
パターンに積層し、最後にアルミニウムを蒸着レート2
nm/sで 300nmの厚さに共蒸着し、電子輸送層2R上にほ
ぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0066】
【化1】
【0067】
【化2】
【0068】
【化3】
【0069】次に、図19のように、緑(G)色用のマス
ク38に掛け替える。このマスク38は、図示のように、上
記の赤(R)色用のマスク37による積層領域に隣接する
絶縁膜9−9間の領域にスリット状の開口部38aが一致
するように、位置合わせされる。マスク38は上記した赤
(R)色用のマスク37と同じパターンに形成され、緑
(G)以外の発光領域を遮蔽する。
【0070】このようにして緑(G)色用のマスク38掛
けをしてから、真空蒸着装置を3×10-6Torrの真空度に
保ち、まず、上記したトリフェニルジアミン誘導体TP
Dを蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール
輸送層4Gを形成する。
【0071】続いて、同じマスク38をそのまま用いて、
上記したAlq3 を蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに
蒸着し、ホール輸送層4G上にほぼ同じパターンに発光
層3Gを積層する。この発光層は電子輸送層2Gを兼用
するものである。
【0072】更に、この上にアルミニウムを蒸着レート
2nm/sで 300nmの厚さに蒸着し、発光層3G(及び電子
輸送層2G)とほぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0073】次に、図20のように、青(B)色用のマス
ク39に掛け替える。このマスク39は、図示のように、上
記の緑(G)色用のマスク38による積層領域に隣接する
絶縁層9−9間の領域にスリット状の開口部39aが一致
するように、位置合わせされる。マスク39は赤(R)色
用及び緑(G)色用のマスクと同じパターンに形成さ
れ、青(B)以外の発光領域を遮蔽する。
【0074】このように青(B)色用のマスク39を掛け
てから、真空蒸着装置を3×10-6Torrの真空度に保ちな
がら、まず上記したトリフェニルジアミン誘導体TPD
を蒸着レート 0.3mm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸
送層4Bを形成する。
【0075】続いて、同じマスク39をそのまま用いて、
下記構造式のZn(oxz)2 (2−(o−ヒドロキシ
フェニル)−ベンズオキサゾールの亜鉛錯体)を蒸着レ
ート0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4B
上にほぼ同じパターンに発光層3Bを積層する。この発
光層は電子輸送層2Bを兼用するものである。
【0076】最後に、アルミニウムを蒸着レート2nm/s
で 300nmの厚さに蒸着し、発光層3B(及び電子輸送層
2B)上にほぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0077】
【化4】
【0078】図21は、上記した製造工程において、蒸着
により有機層から電極(陰極)までを各色毎に所定の色
用の同じマスクを使用して積層して得られる有機EL素
子を示す。そして、図22は、陽極の透明電極5と陰極の
金属電極1とを駆動・制御回路に配線した状態である
が、その動作については後述する。
【0079】以上の製造プロセスにおいて、マスクの掛
け替えは、真空状態下で真空中のまま、或いは真空を破
って蒸着膜が大気に曝される状態下で行ったが、初期の
発光性能に大きな差は見られなかった。
【0080】他方、上記の製造工程と同様の工程で、陰
極にマグネシウム−銀陰極を用いた有機EL素子を作製
した。但し、この陰極は共蒸着で行い、その厚みは、赤
色用として 200nm、緑色用として 200nm、青色用として
300nmとした。
【0081】上記のように作製した2種類(陰極がアル
ミニウム又はマグネシウム−銀)の有機EL素子をいわ
ゆるダイナミックドライブ方式(この回路の詳細は後述
する。)で点灯させた。まず、マグネシウム−銀を陰極
に用いたものについて、15〜25ボルトの電圧を60μs〜
数秒間隔で逐次的にライン電極に加えてパルス点灯を試
みた。その結果、切り替え時間が 0.1s以上では、若干
の発光が認められたものの、切り替え時間が60μsの場
合は、ほとんど発光が認められなかった。これは、逆方
向に流れる副次的なパスで大きな電流が流れたため、本
来のパスに充分な電流が流れず、点灯が弱くなったと考
えられる。
【0082】一方、アルミニウムを陰極に用いたものに
ついても、上記したマグネシウム−銀を陰極に用いたも
のと同じ駆動回路を用いて同じ条件で点灯させたとこ
ろ、全ての素子が明るく発光し、ラインの切り替え時間
を60μsにしてもほとんど減光することなく点灯した。
また、キャラクターもこの切り替え速度で表示すること
ができ、各々の画素がほぼクロストークすることなく、
入力信号に対応した点灯が実現できていることが確認さ
れた。
【0083】上記したことから明らかなように、本発明
に基づく有機EL素子は、基板上に複数の画素を設けた
単純マトリクス型のディスプレイにおいて、ライン電極
の逐次切り替え方式で切り替え時間が60μsという、N
TSC信号にまで対応できる高速切り替えでも、クロス
トークを生じることなく画像を表示することができる。
【0084】次に、上記した本実施例による有機EL素
子25をいわゆるダイナミックドライブ方式で、電流制御
回路部を有する図22に示す駆動回路により点灯させた。
【0085】この駆動回路は、オペアンプOPAを用い
て、コラムを流れる素子電流(画素PXを流れる電流)
Jを外部からの輝度信号によって制御できるように構成
したものである。
【0086】即ち、ストライプ状のコラム電極(上記し
た電極1)とストライプ状のライン電極(上記した透明
電極5)とが上下でマトリクス状に交差して、この交差
位置にそれぞれのピクセル(画素)PXがパッシブマト
リクス型構造に形成されている。各ピクセルPXは、順
方向に接続された発光ダイオードDとして等価的にみな
せる。そして、一方のコラム電極1はそれぞれの電流制
御回路部40に接続されると共に、他方のライン電極5は
それぞれ駆動電源VC に接続され、制御信号CSによっ
て駆動されるようになっている。この駆動回路とその動
作を更に詳細に説明する。
【0087】電流制御回路部40は、多数のピクセルPX
のそれぞれに流れる電流Jを電圧Vm としてモニターで
きる基準抵抗Rref と;この基準抵抗Rref とピクセル
PXとの間に接続された電流制御素子としてのFET(F
ield Effect Transistor)と;前記のモニターされた電
圧Vm と電流制御回路部40に対し外部のPROM(Progr
ammable Read Only Memory)から供給される輝度信号電
圧VS とを比較してFETに対する制御電圧VCSを出力
する演算増幅素子(オペアンプ)OPAと;を有してい
る。
【0088】PROMには、有機EL素子25で表示した
い映像情報が予めプログラムされてメモリされている。
これは、パーソナルコンピュータPCで操作されるマイ
クロプロセッシングユニットMPUからの指示によりP
ROMに入力され、上記映像情報がサンプリングされて
所定の輝度信号電圧VS がPROMから出力される。こ
の輝度信号電圧は抵抗器rで所望の電圧値に調整され、
この調整された電圧VSAがオペアンプOPAの+端子に
入力される。
【0089】一方、ピクセルPXを点灯させるために、
電源VC とピクセルPXとの間に駆動トランジスタ(こ
こではNPNバイポーラトランジスタ)Trが接続さ
れ、このトランジスタのベースにスイッチング用の制御
電圧CSが選択的に印加され、各ライン電極5が逐次切
り替えられる。従って、制御電圧CSによってトランジ
スタTrがオンしたタイミングで、そのライン電極5に
電源電圧VC が印加され、これによってコラム電極1と
の間に電流Jが流れ、ピクセルPXが点灯することにな
る。
【0090】こうした点灯動作は、ライン電極5に電源
電圧VC が印加されると同時に、上記した輝度信号電圧
によるFETのオン状態が続く間(即ち、電流Jが流れ
る期間中)は継続され、こうした動作が各ライン毎に輝
度信号に対応して行われるため、目的とするディスプレ
イ画像がEL素子25から得られる。
【0091】この場合、ピクセルPXを通して流れる電
流Jは、そこに要求される発光輝度に相当して流れるよ
うにしているが、これは上記の電流制御回路部40によっ
て実現可能である。これを以下に説明する。
【0092】オペアンプOPAの+端子には、上記した
輝度信号電圧VSAが入力されると共に、その−端子に
は、基準抵抗Rref を電流Jが流れることにより、基準
抵抗Rref の両端に生じる電位差(上記のモニターされ
た検出電圧Vm )が入力される。
【0093】そして、VSA>Vm の条件下では、オペア
ンプOPAの出力VCSが上昇し、FETのゲート電位V
G が上昇し、Vm −VG が小さくなってFETのソース
−ドレイン抵抗を下げて電流Jを増加させる。このよう
にJが増加してJ・Rref =Vm がVSAに達すると、そ
れ以上はVCSが上昇しなくなり、FETの抵抗値が安定
し、Jは一定値Vm /Rref に安定する。
【0094】従って、PROMからの輝度信号電圧が印
加されている間は、その輝度信号電圧VSAと検出電圧V
m とが一致するまで、可変抵抗としてのFETを介して
電流Jが流れ、ピクセルPXには目的とする電流量とな
るまで電流が流れるから、所望の発光輝度が常に得られ
ることになる。
【0095】電源VC 側のライン電極5の切り替え動作
を説明すると、クロックジェネレータからなる発振器C
LKからの発振パルスがカウンタCT1 に入力され、同
じビット数のカウンタCT2 との組み合わせによって所
定のカウント数毎にスイッチング用ラインセレクタLS
が作動され、所定の選択ラインにTTLレベルの電圧が
出力される。この出力は、インバータINVによって反
転され、この反転出力が制御信号CSとしてトランジス
タTrのベースに印加されるが、この印加によってオン
したトランジスタTrを介して電源電圧VC が上述した
ようにライン電極5に供給される。なお、上記のPRO
Mは、カウンタCT1 によってクロック制御される。
【0096】上記したように、図22の駆動回路によっ
て、画素PXを流れる電流量を制御するため、各画素の
輝度を正確にコントロールし、常に鮮明な発光(画像表
示)を実現することができる。
【0097】なお、図22の駆動回路は一例であって、例
えば、電流制御回路部40に電圧ホールド回路を設けた
り、構成素子を適宜変更する等、電流制御を一層正確に
行うように構成することができる。また、輝度信号電圧
を外部から供給するための回路も種々変更してよく、ラ
インセンサLSと連動してPROMを作動させてもよ
い。また、PROMでは映像信号がサンプルホールドさ
れるか、或いはサンプリング後にA/D変換されてよ
い。更に、これらの変更を含む図22の駆動回路を設けず
に、従来から行われている印加電圧の制御による輝度制
御を行うこともできる。
【0098】本実施例によれば、陰極側の電極材料とし
て特にアルミニウムを使用していることにより、電流の
順方向特性が向上する反面、逆方向への電流が流れにく
くなり、閾値電圧間の電圧領域が広がり、安定した電圧
維持が可能となって素子の性能がよくなる。
【0099】更に、全素子に亘って各素子ごとの所要の
電流制御機能を有する図22の駆動回路が併用されている
ことにより、全素子への所要の電流が供給され、各素子
を所望の輝度で表示できる。
【0100】図23は、本発明を液晶素子に適用した例を
示す要部の拡大断面図である。この液晶素子(LCD)
21は、高反射率のバックライトとしての上述した有機E
L素子20と組み合わせて利用される。
【0101】この例で用いるLCD21は、ガラスなどの
透明な基板22aの内面上に、ITO(indium tin oxid
e:インジウムに錫をドープした導電性酸化物)などの
透明電極層25、及び液晶配向膜として高コントラスト良
好なドメインを実現する例えばSiO2 斜方蒸着層24a
を順次積層した積層体1Aと;これと同様に、基板22b
の内面上に、ITOなどの透明電極層23、例えばSiO
2 斜方蒸着層24bを順次積層した積層体1Bと;を液晶
配向膜である例えばSiO2 斜方蒸着層24a、24bが互
いに対向するように配し、所定のセルギャップdを実現
するための粒状のスペーサ26を挟むことにより液晶セル
21を構成し、そのセルギャップに強誘電性液晶27を注入
し、周囲を接着剤で封じた構造を有している。
【0102】このLCD21は、電圧がかかっているとき
に透過率は 100%であり、電圧がかかっていないときに
は透過率が0%とする。従って、明るい所では外光Lを
有機EL素子20のアルミニウム電極1による反射板とし
て、暗い所では有機EL素子20の発光を通過させてバッ
クライトとして使用できる。勿論、LCD21による表示
も行え、上記の有機EL素子20の動作と組み合わせた種
々の表示が可能である。
【0103】従って、この実施例によれば、反射板を形
成する電極の材料として反射性に優れたアルミニウムを
使用しているので、反射による画素の輝度が一段と向上
する。
【0104】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明
の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0105】例えば、陰極としてアルミニウムに代えて
アルミニウム合金を用いる場合は、上記以外の種々の組
成を選択してよい。また、上述の抵抗比(R”/R)が
mn以上であるという条件を満たすときは、陰極材料は
アルミニウム又はアルミニウム合金でなくてもよい。同
様に、陽極材料もITO以外であってもよい。
【0106】また、電極、ホール輸送層、発光層、電子
輸送層のそれぞれの厚さは、素子の動作電圧を考慮して
決められるものであり、上述の実施例に限定されるもの
ではない。これら各層の組成や配置、画素のパターン及
びレイアウト等は様々に変化させることができる。
【0107】また、素子の各層の作製法も通常の真空蒸
着法、ラングミュアブロジェット(LB)蒸着法をはじ
め、ディップコーティング法、スピンコーティング法、
真空気体蒸着法、有機分子線エピタキシ法(OMBE)
が採用可能である。なお、ホール輸送層又は電子輸送層
には螢光物質を含有させておいてもよい。
【0108】また、本発明の光学的素子は、ディスプレ
イ以外にも、例えば、文字板などの光源として利用する
ことも可能であり、この場合はマトリクス状にする必要
はなく、また発光領域も分割してもよい。また、撮像素
子として応用してもよい。
【0109】また、この光学的素子は、上述のEL素子
以外の自発光型の素子に適用してよく、更に光起電装置
(バッテリ用)、光通信機器などにも応用することがで
きる。
【0110】
【発明の作用効果】本発明は、複数の陰極と複数の陽極
とが交差し、これらの交差部における両電極間の電位差
によって所定の表示を行うように構成され、前記陰極が
アルミニウムを主体とする材料によって形成されている
ので、交差部における順方向への整流性が向上し、順方
向に対する逆方向の抵抗比が増すため、逆方向への電流
が流れにくくなると共に、漏れ電流が減少して性能が向
上する。
【0111】これと同様の効果は、複数の陰極と複数の
陽極とが交差し、これらの交差部における両電極間の電
位差によって所定の表示を行うように構成され、前記交
差部における両電極間の順方向抵抗と逆方向抵抗との比
(逆方向抵抗/順方向抵抗)が前記交差部の総数程度以
上とすることによっても、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による有機EL素子の要部の拡
大断面図である。
【図2】同有機EL素子の概略平面図である。
【図3】同素子の陽極と陰極との交差部の一部を示し、
(a)は交差部におけるパスの例、(b)は同他のパス
を示す図である。
【図4】図2におけるパスを回路的に示した図である。
【図5】同有機EL素子のテストピースの一部を示し、
(a)はマグネシウム−銀を陰極に用いたもの、(b)
は同じくアルミニウムを用いたものの斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】マグネシウム−銀で陰極を形成した有機EL素
子の閾値電圧を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例による有機EL素子の閾値電圧
を示すグラフである。
【図9】同有機EL素子の一部の画素(緑色)の抵抗電
圧比を示すグラフである。
【図10】同他の画素(赤色)の抵抗電圧比を示すグラフ
である。
【図11】同有機EL素子の概略平面図である。
【図12】図11のA−A線断面におけるa部の拡大図であ
る。
【図13】図11のB−B線断面におけるa部の拡大図であ
る。
【図14】同製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図であ
る。
【図17】同製造工程に使用可能な真空蒸着装置の概略図
である。
【図18】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図であ
る。
【図19】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図であ
る。
【図20】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図であ
る。
【図21】同更に他の製造工程を示す要部の拡大断面図で
ある。
【図22】同有機EL素子の駆動回路の等価回路図であ
る。
【図23】本発明の他の実施例による光学的素子の要部の
拡大断面図である。
【図24】従来例による有機EL素子の概略断面図であ
る。
【図25】同他の有機EL素子の概略断面図である。
【図26】同有機EL素子の具体例を示す概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
1、11A、11B・・・電極(陰極) 2、12・・・電子輸送層 3、13・・・発光層、TPD 4・・・ホール輸送層 5、15・・・透明基板(陽極) 6、16・・・透明基板 19・・・SiO2 絶縁層 20・・・有機EL素子 29、37、38、39・・・マスク 32・・・真空蒸着装置 33・・・アーム 34・・・支持手段 35・・・蒸着源 36・・・電源 41・・・電流制御回路 1A、1B・・・積層体 A・・・本来のパス B・・・副次的なパス C・・・他の副次的なパス PX・・・画素 J・・・電流 R、R’、R”・・・抵抗 I、i・・・漏れ電流

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の陰極と複数の陽極とが交差し、こ
    れらの交差部における両電極間の電位差によって所定の
    表示を行うように構成され、前記陰極がアルミニウムを
    主体とする材料によって形成されている光学的素子。
  2. 【請求項2】 陽極がインジウム−錫酸化物を主体とす
    る材料によって形成されている、請求項1に記載した光
    学的素子。
  3. 【請求項3】 交差部が画素として構成されている、請
    求項1に記載した光学的素子。
  4. 【請求項4】 ストライプ状の複数の陰極とストライプ
    状の複数の陽極との間に発光層を含む有機層が設けられ
    ている、請求項1に記載した光学的素子。
  5. 【請求項5】 所定の発光色を呈する発光素子として構
    成された、請求項1に記載した光学的素子。
  6. 【請求項6】 単純マトリクス型に構成された、請求項
    1に記載した光学的素子。
  7. 【請求項7】 有機電界発光ディスプレイである、請求
    項1に記載した光学的素子。
  8. 【請求項8】 複数の陰極と複数の陽極とが交差し、こ
    れらの交差部における両電極間の電位差によって所定の
    表示を行うように構成され、前記交差部における両電極
    間の順方向抵抗と逆方向抵抗との比(逆方向抵抗/順方
    向抵抗)が前記交差部の総数程度以上である光学的素
    子。
  9. 【請求項9】 交差部が画素として構成されている、請
    求項8に記載した光学的素子。
  10. 【請求項10】 陰極がアルミニウムを主体とする材料に
    よって形成されている、請求項8に記載した光学的素
    子。
  11. 【請求項11】 陽極がインジウム−錫酸化物を主体とす
    る材料によって形成されている、請求項8に記載した光
    学的素子。
  12. 【請求項12】 陽極材料の仕事関数より 0.5eV小さい仕
    事関数よりも大きい仕事関数を有する材料が陰極にほと
    んど含まれていない、請求項8に記載した光学的素子。
  13. 【請求項13】 ストライプ状の複数の陰極とストライプ
    状の複数の陽極との間に発光層を含む有機層が設けられ
    ている、請求項8に記載した光学的素子。
  14. 【請求項14】 所定の発光色を呈する発光素子として構
    成された、請求項8に記載した光学的素子。
  15. 【請求項15】 単純マトリクス型に構成された、請求項
    8に記載した光学的素子。
  16. 【請求項16】 有機電界発光ディスプレイである、請求
    項8に記載した光学的素子。
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