JP3539596B2 - 光学的素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的素子に関し、例えば自発光の平面型ディスプレイであって、特に、有機薄膜を電界発光層に用いる有機電界発光ディスプレイに好適な光学的素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機電界発光素子(以下、有機EL素子と称することがある。)は、1μm以下の膜厚であり、電流を注入することにより電気エネルギーを光エネルギーに変換して面状に発光するなど、自発光型の表示デバイスとして理想的な特長を有しており、近年活発な研究開発が進められている。
【0003】
このような素子を複数集合させ、それぞれを画素とするマトリクスディスプレイとしては、平行な電極を直交させて形成するパッシブマトリクス型や、各画素にトランジスタTFT(Thin Film Transistor)などのアクティブ素子を組み込むアクティブマトリクス型がある。
【0004】
図24は、従来の発光素子としての有機EL素子10の一例を示す。この有機EL素子10は、透明基板(例えばガラス基板)6上に、ITO(Indium tin oxide)透明電極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、陰極(例えばアルミニウム電極)1を例えば真空蒸着法で順次製膜したものである。
【0005】
そして、陽極である透明電極5と陰極1との間に直流電圧7を選択的に印加することによって、透明電極5から注入されたホールがホール輸送層4を経て、また陰極1から注入された電子が電子輸送層2を経て、それぞれ発光層3に到達して電子−ホールの再結合が生じ、ここから所定波長の発光8が生じ、透明基板6の側から観察できる。
【0006】
発光層3には、例えば亜鉛錯体を含有させることもできるが、実質的に亜鉛錯体のみからなる層(但し、複数種の亜鉛錯体の併用が可能)であってよいし、或いは亜鉛錯体に螢光物質を添加した層であってもよい。また、亜鉛錯体と他の発光物質であるアントラセン、ナフタリン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン等を併用してよい。こうした亜鉛錯体又は螢光物質等との混合物は、電子輸送層2に含有させることができる。
【0007】
図25は、別の従来例を示すものであり、この例においては、発光層3を省略し、電子輸送層2に上記の亜鉛錯体又は螢光物質との混合物を含有させ、電子輸送層2とホール輸送層4との界面から所定波長の発光18が生じるように構成した有機EL素子20を示すものである。
【0008】
図26は、上記の有機EL素子の具体例を示す。即ち、各有機層(ホール輸送層4、発光層3又は電子輸送層2)の積層体を陰極1と陽極5との間に配するが、これらの電極をマトリクス状に交差させてストライプ状に設け、輝度信号回路30、シフトレジスタ内蔵の制御回路31によって時系列に信号電圧を印加し、交差位置にて発光させるように構成している。従って、このような構成により、ディスプレイとして勿論、画像再生装置としても使用可能となる。なお、上記のストライプパターンを赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎に配し、フルカラー又はマルチカラー用として構成することができる。
【0009】
上記のように有機EL素子が、陽極である透明電極5から注入されたホールと陰極から注入された電子の再結合により発光する現象は、陽極から陰極へ順方向に電流が流れる際に発光する一種の発光ダイオードとみなすことができる。そして、逆方向へは電流が流れにくい、いわゆるダイオード特性(基本的には逆方向へは電流を流さない性質がある。)を有している。
【0010】
逆方向に電流(リーク電流)が流れても有機EL素子は発光することはないが、このような電流は発光に寄与しないため無駄なエネルギー消費であるばかりでなく、不要な素子の発熱やクロストークの原因にもなるため、逆方向の電流を極力小さくすることが必要である。
【0011】
上記したように、特に、陰極と陽極との電極が同一基板上にマトリクス状に交差させてストライプ状に形成され、時系列的な信号電圧の印加により陰極と陽極との交差する位置で発光するパッシブマトリクス型の有機EL素子において、このようなダイオード特性は極めて重要である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであって、逆方向等に漏れる無駄な電流がなく、整流性の高い光学的素子を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を解決するため鋭意検討を重ねた結果、上記のような有機EL素子の逆方向の電流電圧特性に着目し、画素数の多いパッシブマトリクス型ディスプレイにも充分応用できる程に整流比を高めるためには、素子の構成材料を再検討し、特に陰極の金属材料を再吟味することにより、目的が達成できるとの結論を得、本発明に到達したものである。
【0015】
即ち、本発明は、発光層を間にして複数の陰極と複数の陽極とが交差して画素を形成し、これらの交差部における両電極間の電位差によって所定の発光色が得られるように構成された光学的素子において、
前記交差部における両電極間の順方向抵抗と逆方向抵抗との比(逆方向抵抗/順方向 抵抗)が前記交差部の総数以上であり、
前記発光色の種類によって異なる前記抵抗比に応じて、各発光色毎に最大画素数が設 定されている
ことを特徴とする光学的素子に係るものである。
【0016】
ここで、上記の「電位差によって」とは、パッシブマトリクス型(単純マトリクス型)のように、個々の交差部での両電極間の電位差で直接発光するもの以外に、TFT等の別の駆動源を付加してもよいことを意味している。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく光学的素子において、陽極がインジウム−錫酸化物を主体とする材料によって形成されていることが望ましい。
【0018】
そして、陰極と陽極との交差部が画素として構成され、ストライプ状の複数の陰極とストライプ状の複数の陽極との間に発光層を含む有機層が設けられていることが望ましい。このようにすることにより、この素子は、所定の発光色を呈する発光素子として単純マトリクス型に構成された有機電界発光ディスプレイに好適である。
【0019】
従って、本発明の素子は、交差部が画素として構成されていることが望ましい。
【0020】
この場合、陰極がアルミニウムを主体とする材料によって形成され、陽極がインジウム−錫酸化物を主体とする材料によって形成されていることが望ましい。
【0021】
また、陽極材料の仕事関数より 0.5eV小さい仕事関数よりも大きい仕事関数を有する材料が陰極にほとんど含まれていないことが望ましい。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明を有機EL素子に適用した実施例を示す要部の拡大断面図である。そして、本実施例も、前述した従来例と同様に、ガラス等の透明基板6上に、ITO透明電極5(以下、ライン電極と称することがある。)、ホール輸送層4、電子輸送層2(この例では発光層を兼ねている。)、電極層1(以下、コラム電極と称することがある。)が、この順に積層されている。
【0026】
そして、上記有機EL素子が単純マトリクスの場合、図2の概略平面図に示すように、同一基板上にライン電極5とコラム電極1との各交差部に有機EL素子の1画素PXが形成されており、回路的には図3に示すように、これらの各交差部に一つのダイオードDが接続されているのと等価となる。
【0027】
図2のように、素子単位で形成されるコラム電極1とライン電極5との交差部の数は、少なくとも72個存在し、1000×1000個とすることができる。従って、1つの画素PXを発光させるために電圧を印加して電流を流そうとすると、他の画素にも電圧がかかってしまう。
【0028】
このように多数の交差部が形成された素子において、選択した画素へ流した電流の一般的な流れの状態を示したものが図3である。即ち、図3(a)において、順方向だけを1回通る本来のパスAは実線で示すパス、逆方向を通る副次的なパスBは破線で示すパス、また、同図(b)において、逆方向を通る他の副次的なパスCは破線で示すパスである。
【0029】
そして、このような副次的なパスとしては、n1 ………nn のライン電極5とm1 ………mn のコラム電極1とで形成された多数の交点を通る多数のパスが存在している。上記の一般的なパスを等価回路として表したのが図4である。
【0030】
ライン電極5の切り替えがフロート型と仮定すると、等価回路は図4において、発光させようとする画素PXに直接電圧がかかり、電流が流れるべき本来のパスA(実線)と、順方向−逆方向−順方向と流れる副次的なパスB(破線)と、順方向−逆方向−順方向と流れる他の副次的なパスC(破線)との例えば三つのルートを通ることになる。しかし、実際には、このようなルートと同様、マトリクス上に多数の複雑に接続された他の副次的なパスにも電圧がかかる。
【0031】
一つのパネル上に(m+1)×(n+1)の画素PXがあり、各画素PXは全て同じ電流電圧特性を有するものとしてこの状態を簡単に解析すれば、図3及び図4に示すように、本来のパスAでの順方向の抵抗をR、副次的なパスB及びCでの順方向の抵抗をR’、同じくB及びCでの逆方向の抵抗をR”とすれば、一般的にR<R’<R”である。
【0032】
このような回路に電圧Vをかけた場合に、本来のパスAに流れる電流をJ、副次的なパスBにおいて逆方向に画素PXを流れる電流をiとし、このような副次的なパスを流れる電流は本来は意図せぬ漏れ電流(リーク電流)であり、その総和をIとすれば、これらの関係は次式で表され、図4のように解析できる。
V=JR=i{R'(m+n)+R”}
【0033】
即ち、本来のパスAにおける電圧、電流、抵抗の関係はV=JRであり、また、副次的なパスBにおける順方向の抵抗R'(m+n)と逆方向の抵抗R”が存在しているため、副次的なパスでの関係は、V=i{R'(m+n)+R”}である。従って、漏れ電流の総和Iは次式(1)のように表される。
I=mni=JmnR/{R'(m+n)+R”}
I/J=mnR/{R'(m+n)+R”}・・・・・(式1)
【0034】
しかし、一般に、R’は電圧により大きく変動し、R”よりはかなり小さいのでここでは無視するとして、次式(2)が成り立つ。
I/J<mnR/R”・・・・・(式2)
【0035】
本実施例において、無駄な漏れ電流を十分に少なくするために、漏れ電流Iを本来の順方向のパスAの電流Jと同等以下にしようと思えば、I/J<mnR/R”≦1とする必要がある。即ち、R/R”≦1/mnであるから、R”/R≧mn(画素数の等倍)にしなければならない。コラム電極m(1)、ライン電極n(5)がそれぞれ1000程度のディスプレイを考えれば、R”=〜106 Rであることが要求される。この抵抗比:R”/Rは更に10mn〜100 mn、又はそれ以上であるのが望ましい。
【0036】
ここで注目すべきことは、本実施例では、図1に示した電極1、即ちコラム電極として整流特性の良好な(順方向抵抗が小さく、逆方向抵抗の大きい)アルミニウムを使用していることである。これにより、コラム電極1及びライン電極5の両電極間の順方向の本来的なパスの整流性が高められ、本来的なパス以外への漏れ電流が著しく少なくなる。従って、逆方向への電流は流れにくい(或いはほとんど流れない)ダイオード特性が得られ、上記した抵抗比:R”/R≧mnが実現可能となる。
【0037】
このように、上記両電極間の個々の交差位置におけるR”/Rは、理論的に上記の式を満たすことが必要であり、この条件を満たすものはアルミニウム電極である。そして、これは後述する実験の結果により明確に証明される。
【0038】
本実施例では、上記した効果を示すために、次のように、2種類の発光素子をテストサンプルとして作製し、それぞれの電流電圧特性を測定した。図5はその要部の斜視図であり、図6はその要部の拡大断面図である。
【0039】
図5の(a)は比較例、図5(b)は本実施例のテストピースの一部をそれぞれ示すものであって、30mm2 のガラス基板16の一面に、ITO透明電極15を蒸着した上にSiO2 絶縁膜14を蒸着して2×2mm2 の開口を(a)及び(b)共にそれぞれ所要ピッチで縦横で計8×2=16個開け、更にマスク開口上に有機積層体を形成したものである。この積層体は蒸着で形成可能であり、抵抗加熱方式の蒸着機(昭和真空社製)を使用し、真空度は約2×10-6Torrで行った。
【0040】
各テストピースとも、上記マスク開口の上に、後述するトリフェニルジアミン誘導体TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)13を蒸着レート約0.1nm/s で50nmの厚さに蒸着し、その上に、後述するAlq3 トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム12を蒸着レート約0.1nm/s で50nmの厚さに蒸着した。
【0041】
そして、この上に、図5(a)では、陰極の電極材としてマグネシウム−銀(重量比1:1)の合金を蒸着し、図5(b)では、陰極としてアルミニウムを蒸着した。いずれも蒸着レート1〜3nm/sで形成したものである。そして、測定結果は次の通りである。
【0042】
図7及び図8は、縦軸に電流、横軸に電圧をとり、整流性を表したものであり、図7は陰極にマグネシウム−銀を用い、図8は陰極にアルミニウムを用いてそれぞれの電極11A、11Bを形成したものである。
【0043】
まず、マグネシウム−銀を用いた素子は、図7のように、閾値電圧が順方向では10V、逆方向では8Vであり、逆方向電圧の方が小さく、整流性が得られなかった。これはこの電極の逆方向抵抗が小さく、整流性が優れていないことを表している。従って、逆方向電圧側では8V位から急に電流が流れ出し、反対に順方向においては10V位から急に電流が流れ出す。
【0044】
これに対し、アルミニウム電極の場合には、図8に示すように、逆方向の20Vから順方向の12V位までの間では電流が流れず、安定しており、12V付近で閾値電圧を示す。逆方向電圧では、電流が流れないため、図7のマグネシウム−銀電極の場合に比べて、アルミニウム電極の方が顕著な整流性を有していることが分かる。
【0045】
図9は、陰極にアルミニウムを用い、発光色が緑色の素子の場合の抵抗変化を表したものであり、縦軸に抵抗、横軸に電圧をとって示したものである。そして、この図から、+25Vと−20Vの範囲で 104〜105 程度の整流性(逆方向での抵抗/順方向での抵抗)が得られることが分かる。図9において抵抗の測定値は、−20V〜+25Vの範囲の各電圧で、ほぼ108 Ω・cm2 〜50Ω・cm2 である。
【0046】
つまり、+20Vでの抵抗Rは約50Ω・cm2 であり、−20Vでの抵抗R”は106 Ω・cm2 であるので、106/5×10≒2×104 であり、このことから、上記した範囲(104〜105 程度)の整流性が確認できる。
【0047】
同じく、図10は陰極にアルミニウムを用い、発光色が赤色の素子の場合の抵抗比を表したものである。この場合も、上記した図9とほぼ類似した抵抗変化の傾向が見られる。即ち、+20Vでの抵抗Rは約50Ωであり、−20Vでの抵抗R”は約107 Ωであるので、107/5×10≒2×105 となり、これから、 105〜106 程度の整流性が得られていると判断される。
【0048】
図9又は図10の抵抗比から、クロストークなく動作するパッシブマトリクスディスプレイの最大の画素数(m×n)は2×104 又は2×105 となり、m又はnとしては 140又は 450となる。これらを目安にして、画素数又は陽極及び陰極の電極数を決めることができる。そして、単純マトリクス型ディスプレイにこれを適用した場合、ライン電極の高速切り換えでもクロストークを生じることなく、画像を表示できる。
【0049】
また、順方向電流の整流性を確保するためには、陽極と陰極とに使用される電極の金属の仕事関数が重要である。陰極の仕事関数は陽極の仕事関数よりもかなり小さくなければならない。また、陰極が合金の場合、仕事関数の比較的大きな金属が含まれていてはいけない。具体的には、(陽極材料の仕事関数−0.5eV )より大きい仕事関数を有する材料が陰極の材料に含まれていないことである。
【0050】
本実施例における有機EL素子の陽極材料はITOであり、陰極の材料はアルミニウムであり、この両者の仕事関数の差は次の通りである。
Figure 0003539596
つまり、アルミニウムの最大 4.3eVとITOの最 4.5eVとの差は 0.2eVであり、アルミニウムの最小 4.0eVとITOの最大 4.7eVとの差は 0.7eVであるから、これらの差の中間値(0.5eV付近)を基準にし、この値以下が整流性を保持するための必要条件となる。
【0051】
但し、上記の仕事関数の値は表面状態によって大きく変わり、報告されている値もばらついているため、厳密な数値として規定することは難しい。
【0052】
従って、この条件、即ち(ITOの仕事関数−0.5eV)より大きくない或いはそれ以下の仕事関数を示すものであれば、陰極用として、アルミニウムは勿論、アルミニウムに代わるものとして例えば、アルミニウムと少量(望ましくは 0.1〜10重量%)のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金又は混合物であれば適用可能である。
【0053】
具体的には、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−ルビジウム、アルミニウム−バリウム、アルミニウム−セリウム、アルミニウム−マグネシウム、アルミニウム−カルシウム、アルミニウム−ストロンチウム、アルミニウム−リチウム−マグネシウム等、或いはこれら元素を複数種含むアルミニウム合金がある。
【0054】
本実施例においては、上記したように、漏れ電流を減らすために整流性に主眼をおき、その顕著な効果が得られた。但し、上述した素子において、素子が電源から離れて位置する程、配線抵抗によるその画素への供給電圧の低下に伴って輝度の低下が生じ易い。しかし、これは、後述する駆動回路によって改善される。即ち、電圧の低下に伴う輝度の低下が起きないように全素子に亘って制御されるので、後述の駆動回路が併用されていることによって本実施例の素子の優位性が更に顕著になる。
【0055】
図11は、上記のように構成された有機EL素子20の概略平面図である。この場合、発光層は独立の層として形成されている。透明基板6の上面にはITO透明電極5が同一パターンでストライプ状に形成され、これらの透明電極5の上にはこれらの電極とマトリクス状に直交してSiO2 絶縁膜9が同一パターンでストライプ状に形成されている。そして、絶縁膜9−9間には、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、アルミニウム電極1がこの順でほぼ同じパターンに積層され、この積層体が絶縁膜9と同一方向にて同一パターンでストライプ状に形成されている。
【0056】
図12は、図11のA−A線断面におけるa部の拡大断面図である。また、図13は、同じく図11のB−B線断面におけるa部の拡大断面図である。そして、その両図における上下の電極1と5との交差部が個々の画素PXであり、陽極側の透明電極5から陰極側の電極1の方向へ選択的に電流が流れる発光ダイオードが接続されているのと等価となっている。
【0057】
次に、図11〜図13に示した本実施例による有機EL素子を図14〜図21に示す製造工程について更に詳細に説明する。
【0058】
初めに、図14に示すように、ガラス基板6の全面にITO(Indium Tin Oxide)をスパッタ法により成膜した後、図15(図14のXV−XV線断面図)のように、エッチングにより、透明電極5を幅w1 =2mm、ピッチw2 =2.54mmで8本を単位としてストライプパターンに形成する。これら8本の透明電極5はそれぞれ、1本の両端の抵抗を約 300Ωとする。
【0059】
次に、図16のように、後述する有機積層体を絶縁するためのSiO2 絶縁膜9を全面蒸着後のエッチングでストライプ状に形成する。その幅w3 は1mm、ピッチw4 は2.54mm、膜厚tは 100nmとする。
【0060】
SiO2 絶縁膜9を形成した透明基板6は、有機溶剤、紫外線(UV)オゾン処理により表面を十分に清浄した後、上記真空蒸着装置32により赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を発光するストライプを隣接して形成するため、有機層及び金属電極を各色毎に別の蒸着マスクを用いて次の手順で行った。
【0061】
この蒸着は、図17に示すような真空蒸着装置32を使用する。この装置の内部には、アーム34の下に固定された一対の支持手段34が設けられ、この双方の固定手段34、34の間には、透明基板6を下向きにし、後述するマスク37、38又は39をセットできるステージ機構(図示省略)が設けられている。そして、透明基板及びマスクの下方には、所定個数の各種蒸着源35を配置する。蒸着源35は、電源36による抵抗加熱方式又は必要に応じて電子線加熱(EB)方式で加熱される。
【0062】
まず、真空蒸着装置32の中に透明電極基板6と赤(R)色用のマスク37をセットする。図18は、その透明基板6とマスク37の位置関係を示した一部分の拡大断面図である。図示のように、蒸着は絶縁膜9−9間の領域にマスク37のスリット状の開口部37aを位置合わせ(マスク掛け)する。マスク37の開口部37aは、絶縁膜9−9間の領域に対して3本おきの間隔で形成されている。従って、このマスク掛けにより、赤(R)の発光体領域以外は遮蔽される。
【0063】
このように、赤(R)色用のマスク37を掛けてから、真空蒸着装置を2×10-6Torrの真空度に保ち、下記の構造式のトリフェニルジアミン誘導体TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)を蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4Rを形成する。
【0064】
続いて、同じマスク37をそのまま用いて、下記構造式のAlq3 (トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)とレーザー色素DCM(4−ジシアノメチレン−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン)をそれぞれ 0.3nm/s及び0.03nm/sの蒸着レートで20nmの厚さに蒸着し、発光層3Rをホール輸送層4R上にほぼ同じパターンに積層する。
【0065】
続いて、同じマスク37をそのまま用いて、下記構造式のAlq3 (トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)を蒸着レート 0.3nm/sで40nmの厚さに蒸着し、電子輸送層2Rを発光層3R上にほぼ同じパターンに積層し、最後にアルミニウムを蒸着レート2nm/sで 300nmの厚さに共蒸着し、電子輸送層2R上にほぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0066】
【化1】
Figure 0003539596
【0067】
【化2】
Figure 0003539596
【0068】
【化3】
Figure 0003539596
【0069】
次に、図19のように、緑(G)色用のマスク38に掛け替える。このマスク38は、図示のように、上記の赤(R)色用のマスク37による積層領域に隣接する絶縁膜9−9間の領域にスリット状の開口部38aが一致するように、位置合わせされる。マスク38は上記した赤(R)色用のマスク37と同じパターンに形成され、緑(G)以外の発光領域を遮蔽する。
【0070】
このようにして緑(G)色用のマスク38掛けをしてから、真空蒸着装置を3×10-6Torrの真空度に保ち、まず、上記したトリフェニルジアミン誘導体TPDを蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4Gを形成する。
【0071】
続いて、同じマスク38をそのまま用いて、上記したAlq3 を蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4G上にほぼ同じパターンに発光層3Gを積層する。この発光層は電子輸送層2Gを兼用するものである。
【0072】
更に、この上にアルミニウムを蒸着レート2nm/sで 300nmの厚さに蒸着し、発光層3G(及び電子輸送層2G)とほぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0073】
次に、図20のように、青(B)色用のマスク39に掛け替える。このマスク39は、図示のように、上記の緑(G)色用のマスク38による積層領域に隣接する絶縁層9−9間の領域にスリット状の開口部39aが一致するように、位置合わせされる。マスク39は赤(R)色用及び緑(G)色用のマスクと同じパターンに形成され、青(B)以外の発光領域を遮蔽する。
【0074】
このように青(B)色用のマスク39を掛けてから、真空蒸着装置を3×10-6Torrの真空度に保ちながら、まず上記したトリフェニルジアミン誘導体TPDを蒸着レート 0.3mm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4Bを形成する。
【0075】
続いて、同じマスク39をそのまま用いて、下記構造式のZn(oxz)2 (2−(o−ヒドロキシフェニル)−ベンズオキサゾールの亜鉛錯体)を蒸着レート0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4B上にほぼ同じパターンに発光層3Bを積層する。この発光層は電子輸送層2Bを兼用するものである。
【0076】
最後に、アルミニウムを蒸着レート2nm/sで 300nmの厚さに蒸着し、発光層3B(及び電子輸送層2B)上にほぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0077】
【化4】
Figure 0003539596
【0078】
図21は、上記した製造工程において、蒸着により有機層から電極(陰極)までを各色毎に所定の色用の同じマスクを使用して積層して得られる有機EL素子を示す。そして、図22は、陽極の透明電極5と陰極の金属電極1とを駆動・制御回路に配線した状態であるが、その動作については後述する。
【0079】
以上の製造プロセスにおいて、マスクの掛け替えは、真空状態下で真空中のまま、或いは真空を破って蒸着膜が大気に曝される状態下で行ったが、初期の発光性能に大きな差は見られなかった。
【0080】
他方、上記の製造工程と同様の工程で、陰極にマグネシウム−銀陰極を用いた有機EL素子を作製した。但し、この陰極は共蒸着で行い、その厚みは、赤色用として 200nm、緑色用として 200nm、青色用として 300nmとした。
【0081】
上記のように作製した2種類(陰極がアルミニウム又はマグネシウム−銀)の有機EL素子をいわゆるダイナミックドライブ方式(この回路の詳細は後述する。)で点灯させた。まず、マグネシウム−銀を陰極に用いたものについて、15〜25ボルトの電圧を60μs〜数秒間隔で逐次的にライン電極に加えてパルス点灯を試みた。その結果、切り替え時間が 0.1s以上では、若干の発光が認められたものの、切り替え時間が60μsの場合は、ほとんど発光が認められなかった。これは、逆方向に流れる副次的なパスで大きな電流が流れたため、本来のパスに充分な電流が流れず、点灯が弱くなったと考えられる。
【0082】
一方、アルミニウムを陰極に用いたものについても、上記したマグネシウム−銀を陰極に用いたものと同じ駆動回路を用いて同じ条件で点灯させたところ、全ての素子が明るく発光し、ラインの切り替え時間を60μsにしてもほとんど減光することなく点灯した。また、キャラクターもこの切り替え速度で表示することができ、各々の画素がほぼクロストークすることなく、入力信号に対応した点灯が実現できていることが確認された。
【0083】
上記したことから明らかなように、本発明に基づく有機EL素子は、基板上に複数の画素を設けた単純マトリクス型のディスプレイにおいて、ライン電極の逐次切り替え方式で切り替え時間が60μsという、NTSC信号にまで対応できる高速切り替えでも、クロストークを生じることなく画像を表示することができる。
【0084】
次に、上記した本実施例による有機EL素子25をいわゆるダイナミックドライブ方式で、電流制御回路部を有する図22に示す駆動回路により点灯させた。
【0085】
この駆動回路は、オペアンプOPAを用いて、コラムを流れる素子電流(画素PXを流れる電流)Jを外部からの輝度信号によって制御できるように構成したものである。
【0086】
即ち、ストライプ状のコラム電極(上記した電極1)とストライプ状のライン電極(上記した透明電極5)とが上下でマトリクス状に交差して、この交差位置にそれぞれのピクセル(画素)PXがパッシブマトリクス型構造に形成されている。各ピクセルPXは、順方向に接続された発光ダイオードDとして等価的にみなせる。そして、一方のコラム電極1はそれぞれの電流制御回路部40に接続されると共に、他方のライン電極5はそれぞれ駆動電源VC に接続され、制御信号CSによって駆動されるようになっている。この駆動回路とその動作を更に詳細に説明する。
【0087】
電流制御回路部40は、多数のピクセルPXのそれぞれに流れる電流Jを電圧Vm としてモニターできる基準抵抗Rref と;この基準抵抗Rref とピクセルPXとの間に接続された電流制御素子としてのFET(Field Effect Transistor)と;前記のモニターされた電圧Vm と電流制御回路部40に対し外部のPROM(Programmable Read Only Memory)から供給される輝度信号電圧VS とを比較してFETに対する制御電圧VCSを出力する演算増幅素子(オペアンプ)OPAと;を有している。
【0088】
PROMには、有機EL素子25で表示したい映像情報が予めプログラムされてメモリされている。これは、パーソナルコンピュータPCで操作されるマイクロプロセッシングユニットMPUからの指示によりPROMに入力され、上記映像情報がサンプリングされて所定の輝度信号電圧VS がPROMから出力される。この輝度信号電圧は抵抗器rで所望の電圧値に調整され、この調整された電圧VSAがオペアンプOPAの+端子に入力される。
【0089】
一方、ピクセルPXを点灯させるために、電源VC とピクセルPXとの間に駆動トランジスタ(ここではNPNバイポーラトランジスタ)Trが接続され、このトランジスタのベースにスイッチング用の制御電圧CSが選択的に印加され、各ライン電極5が逐次切り替えられる。従って、制御電圧CSによってトランジスタTrがオンしたタイミングで、そのライン電極5に電源電圧VC が印加され、これによってコラム電極1との間に電流Jが流れ、ピクセルPXが点灯することになる。
【0090】
こうした点灯動作は、ライン電極5に電源電圧VC が印加されると同時に、上記した輝度信号電圧によるFETのオン状態が続く間(即ち、電流Jが流れる期間中)は継続され、こうした動作が各ライン毎に輝度信号に対応して行われるため、目的とするディスプレイ画像がEL素子25から得られる。
【0091】
この場合、ピクセルPXを通して流れる電流Jは、そこに要求される発光輝度に相当して流れるようにしているが、これは上記の電流制御回路部40によって実現可能である。これを以下に説明する。
【0092】
オペアンプOPAの+端子には、上記した輝度信号電圧VSAが入力されると共に、その−端子には、基準抵抗Rref を電流Jが流れることにより、基準抵抗Rref の両端に生じる電位差(上記のモニターされた検出電圧Vm )が入力される。
【0093】
そして、VSA>Vm の条件下では、オペアンプOPAの出力VCSが上昇し、FETのゲート電位VG が上昇し、Vm −VG が小さくなってFETのソース−ドレイン抵抗を下げて電流Jを増加させる。このようにJが増加してJ・Rref =Vm がVSAに達すると、それ以上はVCSが上昇しなくなり、FETの抵抗値が安定し、Jは一定値Vm /Rref に安定する。
【0094】
従って、PROMからの輝度信号電圧が印加されている間は、その輝度信号電圧VSAと検出電圧Vm とが一致するまで、可変抵抗としてのFETを介して電流Jが流れ、ピクセルPXには目的とする電流量となるまで電流が流れるから、所望の発光輝度が常に得られることになる。
【0095】
電源VC 側のライン電極5の切り替え動作を説明すると、クロックジェネレータからなる発振器CLKからの発振パルスがカウンタCT1 に入力され、同じビット数のカウンタCT2 との組み合わせによって所定のカウント数毎にスイッチング用ラインセレクタLSが作動され、所定の選択ラインにTTLレベルの電圧が出力される。この出力は、インバータINVによって反転され、この反転出力が制御信号CSとしてトランジスタTrのベースに印加されるが、この印加によってオンしたトランジスタTrを介して電源電圧VC が上述したようにライン電極5に供給される。なお、上記のPROMは、カウンタCT1 によってクロック制御される。
【0096】
上記したように、図22の駆動回路によって、画素PXを流れる電流量を制御するため、各画素の輝度を正確にコントロールし、常に鮮明な発光(画像表示)を実現することができる。
【0097】
なお、図22の駆動回路は一例であって、例えば、電流制御回路部40に電圧ホールド回路を設けたり、構成素子を適宜変更する等、電流制御を一層正確に行うように構成することができる。また、輝度信号電圧を外部から供給するための回路も種々変更してよく、ラインセンサLSと連動してPROMを作動させてもよい。また、PROMでは映像信号がサンプルホールドされるか、或いはサンプリング後にA/D変換されてよい。更に、これらの変更を含む図22の駆動回路を設けずに、従来から行われている印加電圧の制御による輝度制御を行うこともできる。
【0098】
本実施例によれば、陰極側の電極材料として特にアルミニウムを使用していることにより、電流の順方向特性が向上する反面、逆方向への電流が流れにくくなり、閾値電圧間の電圧領域が広がり、安定した電圧維持が可能となって素子の性能がよくなる。
【0099】
更に、全素子に亘って各素子ごとの所要の電流制御機能を有する図22の駆動回路が併用されていることにより、全素子への所要の電流が供給され、各素子を所望の輝度で表示できる。
【0100】
図23は、本発明を液晶素子に適用した例を示す要部の拡大断面図である。この液晶素子(LCD)21は、高反射率のバックライトとしての上述した有機EL素子20と組み合わせて利用される。
【0101】
この例で用いるLCD21は、ガラスなどの透明な基板22aの内面上に、ITO(indium tin oxide:インジウムに錫をドープした導電性酸化物)などの透明電極層25、及び液晶配向膜として高コントラスト良好なドメインを実現する例えばSiO2 斜方蒸着層24aを順次積層した積層体1Aと;これと同様に、基板22bの内面上に、ITOなどの透明電極層23、例えばSiO2 斜方蒸着層24bを順次積層した積層体1Bと;を液晶配向膜である例えばSiO2 斜方蒸着層24a、24bが互いに対向するように配し、所定のセルギャップdを実現するための粒状のスペーサ26を挟むことにより液晶セル21を構成し、そのセルギャップに強誘電性液晶27を注入し、周囲を接着剤で封じた構造を有している。
【0102】
このLCD21は、電圧がかかっているときに透過率は 100%であり、電圧がかかっていないときには透過率が0%とする。従って、明るい所では外光Lを有機EL素子20のアルミニウム電極1による反射板として、暗い所では有機EL素子20の発光を通過させてバックライトとして使用できる。勿論、LCD21による表示も行え、上記の有機EL素子20の動作と組み合わせた種々の表示が可能である。
【0103】
従って、この実施例によれば、反射板を形成する電極の材料として反射性に優れたアルミニウムを使用しているので、反射による画素の輝度が一段と向上する。
【0104】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0105】
例えば、陰極としてアルミニウムに代えてアルミニウム合金を用いる場合は、上記以外の種々の組成を選択してよい。また、上述の抵抗比(R”/R)がmn以上であるという条件を満たすときは、陰極材料はアルミニウム又はアルミニウム合金でなくてもよい。同様に、陽極材料もITO以外であってもよい。
【0106】
また、電極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層のそれぞれの厚さは、素子の動作電圧を考慮して決められるものであり、上述の実施例に限定されるものではない。これら各層の組成や配置、画素のパターン及びレイアウト等は様々に変化させることができる。
【0107】
また、素子の各層の作製法も通常の真空蒸着法、ラングミュアブロジェット(LB)蒸着法をはじめ、ディップコーティング法、スピンコーティング法、真空気体蒸着法、有機分子線エピタキシ法(OMBE)が採用可能である。なお、ホール輸送層又は電子輸送層には螢光物質を含有させておいてもよい。
【0108】
また、本発明の光学的素子は、ディスプレイ以外にも、例えば、文字板などの光源として利用することも可能であり、この場合はマトリクス状にする必要はなく、また発光領域も分割してもよい。また、撮像素子として応用してもよい。
【0109】
また、この光学的素子は、上述のEL素子以外の自発光型の素子に適用してよく、更に光起電装置(バッテリ用)、光通信機器などにも応用することができる。
【0110】
【発明の作用効果】
本発明は、上述したように、交差部における両電極間の順方向抵抗と逆方向抵抗との比(逆方向抵抗/順方向抵抗)が前記交差部の総数以上であり、かつ、前記発光色の種類によって異なる前記抵抗比に応じて、各発光色毎に最大画素数が設定されているので、いずれの発光色の場合でも、交差部における順方向への整流性が向上し、順方向に対する逆方向の抵抗比が増すため、逆方向への電流が流れにくくなると共に、漏れ電流が減少して性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による有機EL素子の要部の拡大断面図である。
【図2】同有機EL素子の概略平面図である。
【図3】同素子の陽極と陰極との交差部の一部を示し、(a)は交差部におけるパスの例、(b)は同他のパスを示す図である。
【図4】図2におけるパスを回路的に示した図である。
【図5】同有機EL素子のテストピースの一部を示し、(a)はマグネシウム−銀を陰極に用いたもの、(b)は同じくアルミニウムを用いたものの斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】マグネシウム−銀で陰極を形成した有機EL素子の閾値電圧を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例による有機EL素子の閾値電圧を示すグラフである。
【図9】同有機EL素子の一部の画素(緑色)の抵抗電圧比を示すグラフである。
【図10】同他の画素(赤色)の抵抗電圧比を示すグラフである。
【図11】同有機EL素子の概略平面図である。
【図12】図11のA−A線断面におけるa部の拡大図である。
【図13】図11のB−B線断面におけるa部の拡大図である。
【図14】同製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図17】同製造工程に使用可能な真空蒸着装置の概略図である。
【図18】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図19】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図20】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図21】同更に他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図22】同有機EL素子の駆動回路の等価回路図である。
【図23】本発明の他の実施例による光学的素子の要部の拡大断面図である。
【図24】従来例による有機EL素子の概略断面図である。
【図25】同他の有機EL素子の概略断面図である。
【図26】同有機EL素子の具体例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1、11A、11B・・・電極(陰極)
2、12・・・電子輸送層
3、13・・・発光層、TPD
4・・・ホール輸送層
5、15・・・透明基板(陽極)
6、16・・・透明基板
19・・・SiO2 絶縁層
20・・・有機EL素子
29、37、38、39・・・マスク
32・・・真空蒸着装置
33・・・アーム
34・・・支持手段
35・・・蒸着源
36・・・電源
41・・・電流制御回路
1A、1B・・・積層体
A・・・本来のパス
B・・・副次的なパス
C・・・他の副次的なパス
PX・・・画素
J・・・電流
R、R’、R”・・・抵抗
I、i・・・漏れ電流

Claims (6)

  1. 発光層を間にして複数の陰極と複数の陽極とが交差して画素を形成し、これらの交差部における両電極間の電位差によって所定の発光色が得られるように構成された光学的素子において、
    前記交差部における両電極間の順方向抵抗と逆方向抵抗との比(逆方向抵抗/順方向 抵抗)が前記交差部の総数以上であり、
    前記発光色の種類によって異なる前記抵抗比に応じて、各発光色毎に最大画素数が設 定されている
    ことを特徴とする光学的素子。
  2. 陰極がアルミニウムを主体とする材料によって形成されている、請求項に記載した光学的素子。
  3. 陽極がインジウム−錫酸化物を主体とする材料によって形成されている、請求項に記載した光学的素子。
  4. ストライプ状の複数の陰極とストライプ状の複数の陽極との間に発光層を含む有機層が設けられている、請求項に記載した光学的素子。
  5. 単純マトリクス型に構成された、請求項に記載した光学的素子。
  6. 有機電界発光ディスプレイである、請求項に記載した光学的素子。
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