JPH089365Y2 - 内燃機関のオイル撹拌防止用バッフルプレートの取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、内燃機関のオイル撹拌防止用バッフルプレ
ートの取付装置に関する。

〈従来の技術〉 従来の内燃機関のバッフルプレートとしては、例えば
第５図および第６図に示すようなものがある（特開昭61
−185609号公報等参照）。

直列多気筒内燃機関の機関本体31はシリンダブロック
32と、該シリンダブロック32の開放下面に被着されるオ
イルパン33とを備えている。

またクランクケース部34の複数のジャーナル壁35下部
には、夫々ベアリングキャップ36が重合され、さらにそ
れら複数のベアリングキャップ36に跨がって、それらの
下面にベアリングビーム37が重合されている。

前記ベアリングビーム37の下面には、金属板よりなる
バッフルプレート42が複数のボルト43によって固着され
る。

〈考案が解決しようとする課題〉 しかしながら、このような従来のバッフルプレート42
においては、ボルト43により前記ベアリングビーム37に
支持されている箇所より、該バッフルプレート42のオイ
ルパン33内壁方向に延びる部分が片持支持となるので、
該バッフルプレート42が振動して騒音が発生するおそれ
がある。

また、前記バッフルプレート42が前記ベアリングビー
ム37を完全に覆っているので、該バッフルプレート42と
該ベアリングビーム37の２本のビーム部44が重なる部分
においては、該ベアリングビーム37がバッフルプレート
42の機能を果たしているので、その部分のバッフルプレ
ート42の材料が無駄となり、シリンダブロック32の重量
増加にもなる。

更に、バッフルプレート42が、潤滑部全体を包み込む
ような形状を有しているためオイルが溜まりやすく、オ
イルパン33へのオイルの落ち具合が良好でない。

また、オイルが直にオイル液面に落下すると、オイル
パン33内のオイルが撹拌されてオイル内に空気が噛み込
むため、オイルをオイルパン33内に落とすためには、一
旦バッフルプレート42において上方から落ちてくるオイ
ルを受け止め、それからオイルパン33内のオイル液面に
落とす必要がある。そのためには、バッフルプレート42
はオイル液面より上方に位置している必要があるが、従
来のバッフルプレート42においては、該バッフルプレー
ト42が、シリンダブロック32の振動防止のために設けて
いるベアリングビーム37の下方に取り付けられるため、
該ベアリングビーム37の大きさに制限を受ける。

そこで、本考案はかかる従来の実情に鑑み、振動が発
生せず、軽量で、且つオイルの落ち具合が良好なオイル
撹拌防止用バッフルプレートを提供することを目的とす
る。

〈課題を解決するための手段〉 このため、本考案は、クランク軸を回転自由に支承す
る複数のベアリングキャップと、各ベアリングキャップ
の下面に連結される連結部と該連結部の両端部から夫々
クランク軸方向に延びる２本のビーム部とを有するベア
リングビームと、前記ベアリングビームの下方を覆って
設けられシリンダブロックに固定されるオイルパンと、
を有する内燃機関において、前記ベアリングビームの２
本のビーム部相互間のみを該ビーム部と僅かな隙間を有
して覆うオイル撹拌防止用バッフルプレートを前記連結
部に固定すると共に、前記オイルパン内に貯留するオイ
ル液面より上方に位置させて配設した構成とする。

〈作用〉 上記構成においては、前記ベアリングビームの２本の
ビーム部相互間のみに設けたので、オイル撹拌防止用バ
ッフルプレートは２本のビーム部に重なることが全く無
い。さらに、該オイル撹拌防止用バッフルプレートは前
記２本のビーム部間を連結している連結部に固定される
ので、該該オイル撹拌防止用バッフルプレートが前記２
本のビーム部に固定されることが無い。また、オイル撹
拌防止用バッフルプレートがビーム部相互間のみに設け
られているので、該オイル撹拌防止用バッフルプレート
を前記連結部に固定しても、片持支持となることは無
く、両持支持されることとなる。

また、該ビーム部との間に僅かに隙間を有した状態
で、オイル撹拌防止用バッフルプレートを設けたので、
オイルが該バッフルプレートと該ビーム部との間をオイ
ルパンに向かって流れ落ちる。

さらに、前記ビーム部とオイル面との上下に関わら
ず、オイル撹拌防止用バッフルプレートがオイルパン内
に貯留するオイル液面より上方に設けられるので、上方
から落ちてくるオイルは一旦該バッフルプレートで受け
止められ、それからオイルパン内のオイル液面に落ちる
ことになる。

〈実施例〉 以下に本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図において、内燃機関４はシリンダブロック１の
開放下面にシール材２を介して被着されるオイルパン３
を備えている。

前記シリンダブロック１においては、クランク軸５が
複数のベアリングキャップ６により回転自由に支承さ
れ、さらに、それら各ベアリングキャップ６の下面に連
結される連結部７と、該連結部７の両端部から夫々クラ
ンク軸５方向に延びる２本のビーム部９と、を有するベ
アリングビーム20が該各ベアリングキャップ６に重合さ
れ、これら複数のベアリングキャップ６とベアリングビ
ーム20がシリンダブロックのジャーナル壁（図示せず）
に複数のボルト８により固着される。そして、複数のジ
ャーナル壁（図示せず）およびベアリングキャップ６に
よりクランク軸５が回転自在に支承される。

第２図はオイル撹拌防止用バッフルプレート10を組付
けた状態の前記ベアリングビーム20の平面図である。ベ
アリングビーム20の夫々の連結部７の下面にはバッフル
プレート固定用取付けボス15が設けられており、該ベア
リングビーム20の２本のビーム部９相互間のみを、該ビ
ーム部９と僅かな隙間Ｌを有して、例えば金属板よりな
るオイル撹拌防止用バッフルプレート10が複数のボルト
11をバッフルプレート固定用ボルト取付ボス15に締結す
ることにより、ベアリングビームの連結部７下面に組付
けられる。

そして、当該ベアリングビーム20は、ボルト孔25にボ
ルト８が挿通されて、ベアリングキャップ６に締結固定
される。

オイル撹拌防止用バッフルプレート10はボルト11によ
り、ビーム部９相互間のみを、該ビーム部９と僅かな隙
間Ｌを有して設けられているので、オイル撹拌防止用バ
ッフルプレートが２本のビーム部９に重なることが全く
無い。なお、ベアリングビーム20はベアリングキャップ
６の下面に固定されるので、該２本のビーム部９が該オ
イル撹拌防止用バッフルプレート10の機能を果たすこと
となり、該ベアリングビーム20と該オイル撹拌防止用バ
ッフルプレート10とを重ねて設ける必要はない。従っ
て、オイル撹拌防止用バッフルプレート10を小型にで
き、もって材料を低減でき、シリンダブロック１の重量
も軽減される。

さらに該オイル撹拌防止用バッフルプレート10は前記
２本のビーム部９間を連結している連結部７に設けられ
たバッフルプレート固定用取付けボス15にボルト11によ
り固定される。即ち、該オイル撹拌防止用バッフルプレ
ート10を固定するのに、前記２本のビーム部９に固定用
ボルト締結孔等を設ける必要が無い。ここで、ビーム部
９に締結孔等の孔が開孔された場合には、該ビーム部９
の断面積が減少し、該ビームの剛性が低下することとな
るが、本実施例では、ビーム部９に固定用ボルト締結孔
等を設ける必要が無いので、ビーム部９の断面積が減少
することも無く、もって該ビームの剛性を十分に確保す
ることが可能となる。

また、オイル撹拌防止用バッフルプレート10はボルト
11によりビーム部９相互間のみに設けられているので、
該オイル撹拌防止用バッフルプレート10を前記連結部７
に固定しても、片持支持となることは無く、両持支持さ
れることとなる。もって、該オイル撹拌防止用バッフル
プレート10において、ボルト11により固定される部分よ
り先端の部分が振動することを防止でき、オイル撹拌防
止用バッフルプレート10の振動発生を防止できる。

第１図において、上方より落ちるオイルは、オイル撹
拌防止用バッフルプレート10とベアリングビーム20上面
に落ちて溜められた後、隙間Ｌを通って円滑にかつ低速
で、オイルパン３内のオイル液面に落下する。従って、
良好なオイル落とし機能を維持しつつ、オイル内への空
気の噛み込みを防止できる。

また、ベアリングビーム20とオイルパン３との隙間か
らもオイルは落下するが、この隙間も小さいため、上方
から直接オイル液面に落下する量は少なく、大部分はビ
ーム壁21及びシリンダブロック１の内壁22,オイルパン
内壁23を伝わって滑らかに流下するので、オイル内への
空気の侵入を抑制できる。

さらに、オイル撹拌防止用バッフルプレート10に第３
図および第４図に示すように、クランク軸５の回転方向
と同方向に切り起こし13を設けて、オイルの落ち具合が
良好になるようにしても良い。

さらに、ベアリングビーム20の前記ビーム部９の最下
部12がオイル液中に浸漬しても、オイル撹拌防止用バッ
フルプレート10が、前記オイルパン３内に貯留するオイ
ル液面より上方に設けられるので、上方からのオイルが
直接オイルパン３内のオイル液面に落下することを防止
でき、オイル内に空気が噛み込むことを防止できる。よ
って、オイルの液面に制限されず、該ビーム部９を設計
することが可能となり、振動抑制機能も確保できる。

〈考案の効果〉 以上説明したように本考案によれば、オイル撹拌防止
用バッフルプレートをビーム部相互間のみに設けたの
で、オイル撹拌防止用バッフルプレートを小型にするこ
とが可能で、機関本体の重量を軽減することができる。

また、該オイル撹拌防止用バッフルプレートは前記２
本のビーム部間を連結している連結部に固定されるの
で、該該オイル撹拌防止用バッフルプレートが前記２本
のビーム部に固定されることが無く、もって、該ビーム
部に固定用孔を設けることによりベアリングビームの剛
性の低下を引き起こすことが無く、ベアリングビームの
剛性を十分に確保することが可能となる。

また、オイル撹拌防止用バッフルプレートがビーム部
相互間のみに設けられているので、該オイル撹拌防止用
バッフルプレートを前記連結部に固定しても、片持支持
となることは無く、両持支持されることとなり、該オイ
ル撹拌防止用バッフルプレートが振動することを防止で
き、もって騒音の発生を防止できる。

さらに、オイルが、オイル撹拌防止用バッフルプレー
トとビーム部との間に設けた隙間を、オイルパンに向か
って流れ落ちるので、該バッフルプレート上にオイルが
溜まることはなく、かつ潤滑部全体を包みこむ形状にな
らないので、オイルの落ち具合が良好となる。

さらに、オイル撹拌防止用バッフルプレートがオイル
パン内に貯留するオイル液面より上方に設けられるの
で、上方からのオイルが直接オイルパン内のオイル液面
に落ちることはなく、オイルの液面に左右されずにベア
リングビームの設計を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すシリンダブロックのオ
イルパン取付部の断面図、第２図はオイル撹拌防止用バ
ッフルプレートを組付けた状態のベアリングビームの下
方から見た平面図、第３図はオイル撹拌防止用バッフル
プレートの平面図、第４図は第３図におけるＡ−Ａ断面
図、第５図は従来例を示すシリンダブロックの部分断面
図、第６図は第５図におけるＢ−Ｂ断面図である。 １……シリンダブロック、３……オイルパン、４……内
燃機関、５……クランク軸、６……ベアリングキャッ
プ、７……連結部、９……ビーム部、10……オイル撹拌
防止用バッフルプレート、12……最下端部、20……ベア
リングビーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クランク軸を回転自由に支承する複数のベ
   アリングキャップと、各ベアリングキャップの下面に連
   結される連結部と該連結部の両端部から夫々クランク軸
   方向に延びる２本のビーム部とを有するベアリングビー
   ムと、前記ベアリングビームの下方を覆って設けられシ
   リンダブロックに固定されるオイルパンと、を有する内
   燃機関において、前記ベアリングビームの２本のビーム
   部相互間のみを該ビーム部と僅かな隙間を有して覆うオ
   イル撹拌防止用バッフルプレートを前記連結部に固定す
   ると共に、前記オイルパン内に貯留するオイル液面より
   上方に位置させて配設したことを特徴とする内燃機関の
   オイル撹拌防止用バッフルプレートの取付装置。