JPH0893136A - 半プレキャスト部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量化が期待できる半プレキャスト部材の提
供。 【構成】 図示の梁用の半プレキャスト部材１は断面Ｕ
形で、底壁３は両端部で厚く中間部で薄い。緊張材４の
端部は底壁３の肉厚部に所要の被りで埋設されて定着さ
れ、緊張材４の中間部は底壁３の肉薄部の内側に被り不
足もしくは露出して配置されている。半プレキャスト部
材１の内部空間にコンクリートを打増しすることで緊張
材４の中間部の被り不足もしくは露出は解消される。防
錆処理をした緊張材を用いるのがよい。 【効果】 目的の達成。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンクリート造建築物
の梁、床を構成するための半プレキャスト部材に関する
ものである。

【０００２】

【従来技術】従来、コンクリート造建築物の梁、床を構
成する際に、半プレキャスト部材を用い、そのコンクリ
ート打増し側に場所打ちコンクリートを打設して完全体
にすることは周知であるが、従来の半プレキャスト部材
では、部材にプレストレスを付与する緊張材を所定の被
りを保持した状態で部材コンクリート体内に埋設してお
り、そのため、部材の軽量化に限度があった。

【０００３】しかし、半プレキャスト部材のコンクリー
ト打増し側では、緊張材の端部の定着部を除く中間部を
被り不足もしくは露出の状態にしても、それは一時的な
ものであり、完全体では被りが十分の状態になることは
明らかである。

【０００４】

【発明の目的】本発明の目的は、前記知見に基づき軽量
化を図った半プレキャスト部材を提供することにある。

【０００５】

【発明の構成】本発明の半プレキャスト部材の構成上の
特徴は、コンクリート打増し側に、緊張材の両端の定着
部を除く中間部が、被り不足の状態もしくは露出の状態
で配置されている点にある。

【０００６】そして、本発明の半プレキャスト部材で
は、緊張材として防錆処理を施したものを用いるのが好
ましく、特に、表面を熱可塑性合成樹脂で被覆するとと
もに、素線間の間隙に熱可塑性合成樹脂を充填したスト
ランドを用いるのがよい。

【０００７】

【実施例の説明】図１に示す梁用の半プレキャスト部材
１は、両側壁２，２と底壁３とを備え、その断面形状は
全長に亙ってＵ形であるが、底壁３の厚さは一様でな
く、両端部が厚く、中間部が薄くなっている。

【０００８】緊張材４は底壁３内に横に並べて複数本配
置され、その端部は底壁３の両端の肉厚部に定着され、
また、その中間部は底壁３の肉薄部の内側に被り不足の
状態で埋設されている（図３参照）。

【０００９】半プレキャスト部材１は、柱間に架設した
後、その内部空間に場所打ちコンクリートを打設して完
全梁体にするので、緊張材４の被り不足の状態は一時的
なものである。

【００１０】図２に示す梁用の半プレキャスト部材５
は、両端の断面方形部６，６と中間の断面Ｕ形部７とを
備え、緊張材４の端部は断面方形部６，６に下方部に定
着され、緊張材４の中間部は断面Ｕ形部７の底壁の内側
に被り不足の状態で埋設されており、この中間部の埋設
状態は半プレキャスト部材１の場合と同様である（図３
参照）。

【００１１】この実施例では、断面方形部６，６にシー
ス８が埋設されており、このシース８に緊張材を挿入
し、プレストレスを導入することにより、柱と圧着一体
化することが簡単にできるので、そうしてから、断面Ｕ
形部７に場所打ちコンクリートを打設して完全梁体にす
る。

【００１２】なお、前述の梁用の半プレキャスト部材
１，５では、緊張材４の中間部が断面Ｕ形部の内側に被
り不足の状態で配置されているが、断面Ｕ形部の内方に
露出した状態で配置してもよい。

【００１３】図４に示す梁用の半プレキャスト部材９
は、両端に断面方形部６，６を、中間に断面Ｕ形部７
を、それぞれ備え、断面Ｕ形部７には隔壁１０，１０が
設けられ、断面方形部６，６に埋設したシースと隔壁１
０，１０に設けた孔を通して緊張材４’を折線状に配置
し、部材の端面からプレストレスを導入するようになっ
ている。

【００１４】この実施例では、半プレキャスト部材９の
自重及び断面Ｕ形部７へのコンクリート打設による自重
増による半プレキャスト部材９の垂れ下がりを簡単に防
止できる点が特徴の１つであり、このような折線配置の
緊張材の利用は従来の半プレキャスト部材のスパンを遥
かに上回る大スパン半プレキャスト部材の製造を可能に
するものである。

【００１５】図５，図６に示す床用の半プレキャスト部
材１１は、扁平板状体１２の長さ方向の中間部に横方向
に並べて２つの細長い凹陥部１３を設けたもので、中間
部における中央の突条１４の巾は両側の突条１５の巾の
２倍になっている。

【００１６】緊張材４は各凹陥部１３の巾内に納まるよ
うに配置され、その端部は扁平板状体１２の端部に定着
され、中間部は凹陥部１３の底壁の上方に露出してい
る。

【００１７】半プレキャスト部材１１を梁間に並べて架
設し、その上にトッピングコンクリートを打設して床を
構成するが、この際、緊張材４の露出部は凹陥部１３に
入ったコンクリート内に埋め込まれる。

【００１８】図７，図８に示す床用の半プレキャスト部
材１６は、扁平板状体の表側に、長さ方向に延びる２つ
の溝１７，１７を設けて、巾方向中央の突条１８と両側
の突条１９，１９を形成し、扁平板状体の長さ方向の中
間部において、突条１８に凹陥部２０を、また、突条１
９，１９に切欠部２１，２１を、それぞれ設けたもの
で、突条１８と凹陥部２０の各巾は突条１９と切欠部２
１の各巾のそれぞれ２倍になっている。

【００１９】緊張材４は突条１８，１９，１９の位置に
それぞれ横に並べて複数本配置され、その端部は突条１
８，１９，１９内に定着され、中間部は凹陥部２０，切
欠部２１，２１の各底壁の上方に露出している。

【００２０】半プレキャスト部材１６を梁間に並べて架
設し、その上にトッピングコンクリートを打設して床を
構成する際に、凹陥部２０と隣接の切欠部２１，２１に
より形成される凹陥部内にはコンクリートが入るように
するが、溝１７，１７の部分にはコンクリートが入らな
いようにして、この部分を中空にする。

【００２１】図９，図１０に示す床用の半プレキャスト
部材２２は、扁平板状体の裏側に、長さ方向に延びる２
つの溝２３，２３を設けて、巾方向中央の突条２４と両
側の突条２５，２５を形成し、扁平板状体の長さ方向の
中間部において、表側から、突条２４の部分に凹陥部２
６を、突条２５，２５の部分に切欠部２７を、それぞれ
設けたもので、突条２４と凹陥部２６の各巾は突条２４
と切欠部２７の各巾のそれぞれ２倍になっている。

【００２２】緊張材４は突条２４，２５，２５の位置に
それぞれ横に並べて複数本配置され、その端部は突条２
４，２５，２５内に定着され、中間部は凹陥部２６，切
欠部２７，２７の各底壁の上方に露出している

【００２３】半プレキャスト部材２２を梁間に並べて架
設し、その上にトッピングコンクリートを打設して床を
構成する際に、凹陥部２６と隣接の切欠部２７，２７に
より形成される凹陥部内にコンクリートが入って、露出
した緊張材４の中間部はこのコンクリート内に埋め込ま
れる。

【００２４】図１１，図１２に示す床用の半プレキャス
ト部材２８は、平板部２９と両側の下向きの突条部３
０，３０とを備え、その断面形状は全長に亙って逆Ｕ形
であり、その長さ方向の中間部の両側に切欠部３１，３
１が設けられている。

【００２５】緊張材４は突条部３０，３０の位置に上下
に並べてそれぞれ複数本配置され、その端部は突条部３
０，３０に定着され、中間部は切欠部３１，３１の側面
の外側に露出している。

【００２６】半プレキャスト部材２８を梁間に並べて架
設し、その上に床のトップコンクリートを打設すると、
半プレキャスト部材２８の接合部において隣接の切欠部
３１，３１により形成される凹陥部内に打設コンクリー
トが入り、このコンクリート内に露出した緊張材４の中
間部が埋め込まれる。

【００２７】なお、前述の半プレキャスト部材１１，１
６，２２，２８では、緊張材４の中間部がコンリート打
増し側に露出した状態で配置されているが、被り不足の
状態で埋設して配置してもよい。

【００２８】また、図示説明は省略するが、図４に示す
梁用の実施例で説明した隔壁利用の緊張材折線配置は、
床用の半プレキャスト部材においても有効である。

【００２９】前述の各実施例における緊張材４によるプ
レストレスの付与は、プレテンションとポストテンショ
ンの何れでもよく、緊張材４の定着手段も任意である。

【００３０】緊張材４，４’には防錆処理をしたものを
用いるのが好ましく、特に、表面を熱可塑性合成樹脂で
被覆するとともに素線間の間隙にも熱可塑性合成樹脂を
充填した完全防錆タイプのストランドを用いるのがよ
い。

【００３１】

【発明の効果】本発明の半プレキャスト部材は、以上の
ものであって、コンクリート打増し側に緊張材の両端の
定着部を除く中間部を被り不足状態もしくは露出した状
態で配設したことにより、断面を小さくすることができ
て経済的であるのみならず、軽量化が期待できて運搬時
や架設時において有利である。

【００３２】そして、緊張材に防錆処理を施したものを
用いると、製造後、完全体にするまでの一時的ではある
が被り不足もしくは露出の状態に置かれる緊張材が錆び
るのを防止して、品質良好で安全性に富む製品を提供す
ることができ、特に、緊張材が、表面を熱可塑性合成樹
脂で被覆するとともに素線間の間隙にも熱可塑性合成樹
脂を充填した完全防錆タイプのストランドである場合
は、品質と安全性の一層の向上が期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】梁用の第１実施例の全体的斜視図である。

【図２】梁用の第２実施例の全体的斜視図である。

【図３】図１に示す実施例の長さ方向中間部の拡大断面
図である。

【図４】梁用の第３実施例の縦断面図である。

【図５】床用の第１実施例の一半部の斜視図である。

【図６】図５に示す実施例の長さ方向中間部の拡大断面
図である。

【図７】床用の第２実施例の一半部の斜視図である。

【図８】図７に示す実施例の長さ方向中間部の拡大断面
図である。

【図９】床用の第３実施例の一半部の斜視図である。

【図１０】図９に示す実施例の長さ方向中間部の拡大断
面図である。

【図１１】床用の第４実施例の一半部の斜視図である。

【図１２】図１１に示す実施例の長さ方向中間部の拡大
断面図である。

【符号の説明】

１：半プレキャスト部材、２：側壁、３：底壁、４：緊
張材、４’：緊張材、５：半プレキャスト部材、６：断
面方形部、７：断面Ｕ形部、８：シース、９：半プレキ
ャスト部材、１０：隔壁、１１：半プレキャスト部材、
１２：扁平板状体、１３：凹陥部、１４：突条、１５：
突条、１６：半プレキャスト部材、１７：溝、１８：突
条、１９：突条、２０：凹陥部、２１：切欠部、２２：
半プレキャスト部材、２３：溝、２４：突条、２５：突
条、２６：凹陥部、２７：切欠部、２８：半プレキャス
ト部材、２９：平板部、３０：突条部、３１：切欠部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート打増し側に、緊張材の両端
   の定着部を除く中間部が、被り不足の状態で配置されて
   いることを特徴とする半プレキャスト部材。
2. 【請求項２】 コンクリート打増し側に、緊張材の両端
   の定着部を除く中間部が、露出した状態で配置されてい
   ることを特徴とする半プレキャスト部材。
3. 【請求項３】 防錆処理を施した緊張材を用いた請求項
   １又は請求項２記載半プレキャスト部材。
4. 【請求項４】 緊張材が、表面を熱可塑性合成樹脂で被
   覆するとともに素線間の間隙に熱可塑性合成樹脂を充填
   したストランドである請求項３記載の半プレキャスト部
   材。